坂巻ジュンジは、居酒屋のカウンターに一人、俯きコップ酒の表面を見詰めていた。
　ココからタクシーでワンメーターの自宅へ、どうしても脚が向かずに、無駄に時間を費やしていた。

　古ぼけた居酒屋で、およそ１時間ほど思いを巡らせたあと、重い腰を椅子から持ち上げ、家路へ向かうためにタクシーを捕まえた・・・。

「お帰り、遅かったじゃない！」
　帰宅した亭主を玄関へと出迎えるわけでもなく、リビングのソファーに身を降ろしたままテレビを見続けた、ジュンジの妻、亜子が棘を含んだ口調で言った。

「スマン・・・ちょっとな」
　スーツの上着をダイニングチェアーへと放り投げ、ネクタイの結び目に中指を突っ込み、首の締め付けを開放するジュンジに、テレビへと向け続けられていた亜子のキツ目の表情が飛んだ。

「飲んでるのっ！　まったく・・・っ」
「少しだけだよ・・・ゴメンな」
「飲んで帰るなら連絡してって、いつも言ってるでしょっ、信じられない！」
「ああ、悪かった」

　フンっ、と鼻を鳴らすと、亜子はジュンジからテレビへと、視線を戻した。
　
（こんなオンナの、何処がイイっていうんだ・・・？）
　数時間前、ジュンジとの約束事に何度も念を押した、同僚の杉沢の顔が脳裏に浮かぶ・・・。
「お前の女房を抱かせろよ！いいな、それが不正を見逃してやる条件だっ」
　スデに同僚の配偶者を、その手に抱くシーンを思い浮かべる杉沢の顔は、卑しくも輝いた表情で、何度もジュンジに同じセリフを繰り返した。

　経理の不正操作・・・ただの一度、魔がさしたジュンジの悪事を、よりによって杉沢に見破られるとは、最悪のケースにジュンジはガタガタと全身を震わせた。
　不正を上へと報告しない見返り、それが、亜子を抱かせる事と杉沢が言ったとき、ジュンジは、正直、妻への愛情と会社での立場を天秤にかけた。
　結果は、妻を杉沢の自由にさせること、そちら側の受け皿が下がったのだった・・。

「明日の土曜、同僚の杉沢が来るんだ・・・」
　仕事着から軽装へと着替えたジュンジは、背を向ける亜子に言った。
「そんなこと、どうして勝手に決めるのっ？　私の都合とか関係ないわけ！？」　
　亜子の言い分はもっともだった。しかし、約束を反故することは、自分の人生を捨てることになる。苛立つ妻をなんとか説き伏せ、土曜の夜を迎えた・・・。

　
「あぁ〜楽しい！　杉沢さんて、とても愉快な人ね！」
「そんなこと、美人を前にしたら、どんな男だって饒舌になりますよ〜」
「うふふ・・・可笑しいひと。ウチの旦那も、杉沢さんくらい、ユーモアがあれば退屈しないのに」

　横目でチラリと自分を見る妻に、曖昧に微笑むジュンジだった。
　その表情を、杉沢の目線が追う・・・・何かを要求するように、その顔は無言のプレッシャーをジュンジに与えていた。

　ワインボトルが数本、テーブルに並ぶ頃には、亜子は潤んだ瞳をトロンとさせ、深くソファーに身を沈み込ませていた。
　膝丈のスカートが僅かに上へと捲れあがり、真直ぐに伸びた細い脚が、時折、左右へと振れる。
　杉沢の目は、亜子の様子を伺いながら、太腿の合せ目を何度も盗み見る・・・。
　やがて、亜子の身体は横向きへと変わり、ソファー上で軽く寝息をたてた。

　そっと立ち上った杉沢は、無防備な全身を横たえる亜子を見下ろしながら、自分の衣服を一枚ずつ脱ぎ出していく。

「おいっ！　イキナリなのか？」
「当たり前だ・・・もう我慢できねぇんだよ！」
「しかし・・・うむむ・・・」
「見てるのが嫌なら、何処かへ行ってろよ。その方が、女房も気兼ねなく楽しめるんじゃないか？」
「バカ言うなっ！　そんな訳があるはずないだろっ」
「どうかな・・・へへへ」

　最後のトランクスを足首から抜き、完全に裸になった杉沢が、横たわる亜子の脇腹近くに膝を落とす。
　
「お前はどう思っているか知らないが、すげぇ〜魅力的な女だぜ、お前さんの女房はよ」
「ぐっ・・・・！」
　唇を噛み締めるジュンジを尻目に、杉沢の右手が亜子の襟元へ伸びる。そしてゆっくりと上から、灰色のボタンを指で弾いていく。
　数にして５つ、ボタンを外した杉沢は、僅かに開いたシャツの合せ目に両手を掛けると、躊躇いも持たずに左右へと大きく開いた！
　控え目な刺繍を施した、薄紅色のブラジャーが、亜子の寝息に合わせ軽く上下運動を繰り返す。

「ほほぉ〜・・・結構な大きさじゃない」
　声のトーンを少し落としながら、満更でもない人妻の膨らみに、素直な感想を述べる杉沢だった。
「見てみろよっ　お前のカミさん、胸元に汗かいてるぜ・・」
　杉沢の指が、胸の谷間で滲み輝く朱玉の汗を、指紋に馴染ませながら掻き回す。
「それじゃあ、奥様が目を覚ます前に、戴くとするか〜・・・」
　膝立ちとなった杉沢の股間では、黒々した大蛇が、鎌首を持ち上げ、小さく開けた口からは、粘り気のある雫を床へ落としていた・・・。

「んんン・・・・・っ　　うんンっ」
　眠りから覚めない亜子の乳首を、杉沢の濡れた舌先がスベリ付けるごとに、亜子の唇から、なんとも言えない甘い吐息が漏れ始める。
　白く大き目な双乳が、杉沢の掌で真ん中へと寄せられ、一層にその存在を大きく見せる。
　仲良く隣り合わせで隆起する乳首を、杉沢は満足気な表情で口に含んでは、舌を擦り付けた・・・。

「あああぁぁ・・・・・っ」
　悩ましげな吐息は、いつしか官能をはらんだ呼吸へと変化し、その現実がジュンジの胸を掻き毟った。
　
「奥さん、そろそろシタの顔も拝ませて貰いますよ」
　乳首を濡れた舌から開放した杉沢は、なんの役目も果たしていないスカートから覗く、ブラジャーと同色の下着に指を掛ける。
「まだ起きないでね、坂巻アコさん・・・・」
　ジュンジの気持ちを逆撫でするセリフをワザと吐いた杉沢は、ウエストのゴムをクルクルと巻き下げながら、亜子の足先へと布の塊を進めていく。
　スルリと爪先から抜き取れれた薄紅色のショーツが、丸まったまま、床へと落とされた・・・。

「さあ、夢にまで見た亜子奥様の、もっとも恥ずかしい場所を食べますよ〜」
　亜子の足首を掴んだ、杉沢の両手が、左右へと広がり、無抵抗な若妻の秘部が外気に晒される・・・。

「タマンね〜・・・っ！」
　一言だけ発した杉沢は、広げた両脚の間へと頭を突っ込むと、最初から厭らしい音を鳴らして、亜子の割れ目を舐め上げた！

　亜子の腰が一度、大きく跳ね上がった・・・！
　ジュンジは、二人の絡みを見続けることが出来なくなっていた。
　フラフラと、足元の定まらないジュンジは、ダイニングの方へと歩いていくと、リビングとダイニングの間に存在する仕切り戸を閉め、二人と自分との間に壁を作った。
　その途端、リビングからは一際大きな亜子の嬌声が響いた！
　ジュンジは冷蔵庫に凭れ掛かると、耳を塞ぎ、その場へ尻をついた・・・。

　大蛇の鎌首が、亜子の秘裂を割り拡げながら、ゆっくりと内部へと突き進んでいく。
　鎌首の先が行き止まりまで到達したとき、亜子の瞳が覚醒を始める。
　取り戻した視力の先に、杉沢の汗に塗れた顔が覆い被さっていた。

　一瞬、驚愕の色を弾かせた亜子だったが、力強く前後運動を繰り返す大蛇の摩擦が、その色を糸も簡単に消し去る。
　もう数分前から、亜子は完全に覚醒していたのだった。
　覚醒直後は、自分が置かれている状況に激しく狼狽したが、瞳を開いて現実を直視する勇気は沸かなかった・・・。
　沸かなかったと言うより、沸きかけた感情を、杉沢の愛撫が吹き飛ばしてしまっていたのだった。

　今はもう、逞しい大蛇を駆使して、内なる炎を燃え滾らせてくれる杉沢に、全てを預けていた。
　何処かで聞き耳を立てているであろう、自分の夫に本能の叫びを聞かせ、気を狂わせてやりたかった。

　大蛇が痙攣とともに、奥地へと毒液を吐き出したとき、後戻りするつもりも無い自分の業に素直になっていた。
　熱と愛液に塗れた大蛇を、自分のオンナから抜き出した杉沢の目を怪しい眼差しで睨んだ亜子は、蜜と白濁で汚れた鎌首に唇を被せ、双臀を激しく振りながら、その再成長を心待ちにした・・・。