ダイアモンドに価値があることは知っているがそれは大きな問題ではない。 この石が硬いことが重要である。しかも最も硬い・・・。 西暦2000年の1月、あるものが作られた。 あるものとは精巧な技術の上になされた「拘束具」。 仕組みの目的部にはダイアモンドが使われていた。 価格的には1億にもなるだろう。 しかし、仕上げに必要だったのは、ダイアモンドの装飾性・価値ではなく、日常的温度では揺るがない最も硬質で「害」がない素材だったことである。 その拘束具は今もある女の自由を奪い続けている。 拘束具の役目として、それは当たり前の事。 一億円は拘束する男にさえ見えない場所に施され、その価値、いや存在自体が誰にもわからない。 男は名づけた。 「永遠の架け橋」 女は自由との引き換え、男への愛を証明するため体内に埋め込んだ。 女のヴァギナはダイアモンドがメインでできた1本の棒に「閉じられ」、男を受け入れることができない。 女であることを果たすことができず、また、女から性的快楽を奪い、当然子供も宿すこともない。 20歳を迎えようとするとき、女は「永遠の架け橋」を施すための手術を受けた。 今は24歳。 彼女は永遠の処女である。 男は女が22の時、他界した。 38での死。周りの全てが驚くほど、病魔は早く進行し、男の命は女と出会って4年目に消滅する。 女の悲嘆は、想像を絶するもので狂ったかのように泣き叫び、あらゆる手段で男の後に続こうと死を試みる。 男は女にとって、18から神に等しい存在であり、その身、心を捧げつくした人間だった。 男は財産家・企業家であって、紳士録に名が出るほどの著名人。 文才さえあり、彼の書くものは、ことごとくヒットする。 それには、甘い恋愛ものから、世界経済を論じたもの、宗教論、SEXやSMの類も小説、論文の形態で記され、それぞれがそれらの分野で高い評価を得た。 彼にとっては親から譲り受けた財産・会社ではあったが、彼自身もその程度のものは企業活動だけを行っていれば得れたであろう。 彼はある少女を見初めた。 彼が34の時である。少女は18。 彼の書く小説のファンだった。 彼女は、栗色の髪に紫のリボンをし、彼の前に初めて現れる。 経済ものの小説の発表会で彼女は、彼が書いた所謂、恋愛小説にサインをせがんだ。 男の書いたものは、わかる、わからないは別にし、彼女はほとんど目を通している。 しかし、彼女がサインが欲しかった本は本当はその恋愛小説ではない。 ましてや、経済ものの小説などとも違う。 場違い承知で「恋愛小説」を胸に抱き発表会にやってきたのだ。 誰もが目を送る美少女であったが、さすがにこの場にはふさわしくない。 少女は胸に抱いた本を彼に差し出した。 数人の男が彼女の行為を止めようとする。 大臣クラスもおり、彼女が何故、この会場に入れたのかはまったくわからない。 細い腕から、本が弾かれ床に叩き落とされた。 彼女は無理やり、中央から隅に追いやろうとされる。 本が幾人かの足で踏まれ、彼女は必死でその本を奪い返そうと手を伸ばしていた。 「静かにしろ。」 男が会場中に聞こえる声を発した。 この場の主役の大声に誰もが動きを止めざるえない。 「おい、床に落ちて君達が何度も踏んだ本は私の著作だ。・・・もしかしたら、今日のものより、優れているかもしれない。それは、その少女には確からしい。その娘から手を離しなさい。そして、本を返してあげてくれ。」 一人の老婦人が本を手に取り、自由となった少女に本を手渡した。 少女は大きな騒動の中心いることに恐れをなしたかの様に震えている。 本を渡してくれた老婦人への礼も忘れさせていた。 「お嬢さん、悪かった。その本を私に渡して下さい。」 男はまだ震える手で渡された本の最後のページを開き、ネームを書き込む。 本は、何度も手にされたであろう形跡があり、男が笑いながら聞いた。 「君はこの本が好きかい。」 「・・・ハイ。」少女は色白の顔を真っ赤に染め答える。 「そう、大分傷つけてしまって申し訳ない。」 男は、胸元からプライベートの名刺を渡し言った。 「ここの携帯にいつでも電話をください。お持ちかもしれませんが、私の著作は一揃えで差し上げます。当然、サイン付きでね。」 最後に男は少女にウィンクをする。 そういう仕草も自然に見えるノーブルな部分さえ男は持っていた。 少女はその美しさに似合う可憐な笑顔を取り戻し答える。 「先生、ありがとうございます。必ず電話を致します。・・どうも、お騒がせしました。」 少女は丁寧なお辞儀をし、ゆっくりと振り返り出口へと向かった。 少女の名は香澄。 高校の3年生であった。 彼女は男が1講義を受け持つ有名大学の文学部を目指している。 成績的にはほぼ大丈夫のはずだが人気のある大学で紛れも多い。その点だけが心配であった。 春に男の携帯に電話が入る。 「もしもし、S先生でしょうか。」 知らない電話番号だったので慎重に対応した。 「そうですが、学生さんですか。」 一部の学生には携帯番号は教えている。 「・・・はい、そうです。この春、先生の大学に入学しました。」 男の受け持つゼミの学生・院生しか知らないはずである。 「・・あのー、先生。憶えていらっしゃいませんか。いつか、先生の出版記念パティーでお騒がせしました・・・。」 男の脳裏をある情景を過ぎった。 「あぁ、あの時のお嬢さん。」 「はい。この春、先生の大学に入学しました。H.香澄と申します。」 男は栗色の清潔な髪、そして何より整った顔を思い浮かべた。 「それはおめでとう。あぁ、そうだ、まだ約束を果たしていませんでしたね。今、学校ですか。」 「いいえ、今は家の方におります。」 「そうですか。今は、え〜と、まだ3時ですね。ちょっと大学近くまで出れますか。おっと、お家を存じていない。無理なら結構です。本をお渡ししますが。」 「はい、すぐに参ります。今は大学のすぐそばの女子学生専用のマンションに住んでおります。それに・・先生にお会いするのは、大学に入ってからと思っておりました。すぐに行きます。」 香澄の声の最後は少し上ずっていた。 ここは教師であることを示しておかなければいけない。 「わかりました。それでは、理学部と文学部の建物の間に学外に出る道がありますね。あ、ちょっと待ってください。私も個人的に学生に会うことは慎む立場ですので、他の学生の目に触れることは望みません。渋谷まで出れますか。」 「はい、大丈夫です。」 「それじゃ、渋谷にある私の会社の本社はご存知ですね。大抵の私の本には記されています。そこの応接室でお会いしましょう。午後4時半で大丈夫ですか。」 「わかりました。すぐ、支度を致します。」 「それでは、お待ちしております。」 男は書棚にある香澄が持っていた本、幾つかの同系統の書籍、それに少し迷ったが最後にSM小説的なものも3冊ほどをそれぞれサインを入れバッグに10冊ほど収めた。 会社の車で戻る際、考える。 （たぶん、あの娘はSM関係の本も読んでいるだろう。なら問題ないか。） 男の頭には、その時、香澄をどうしよう。」等の考えは当然まったくない。 車は順調には流れなかった。 男が自社に戻ったのは午後5時を過ぎたころである。 会社の方から午後4時15分に香澄の来社を知らされていた。 「応接室で丁重にお持て成しを。」 時間が無意味に過ぎる事を、男はこれほど残念に思ったことはない。 時間は時に無言で過ぎても良いことを知っている男は2つの思考から、少女に何某かの想いを持っている自分に初めて気づく。 （あの娘、いや香澄はダイヤモンドの原石だ。磨けば磨くほど輝く。早く香澄をこの眼で確かめたい。・・・その通りであることを。） 車の中で、男は香澄に女を見つけた。 5時を10分ほど過ぎたころ、男は自社の応接室に飛び込む様に入る。 途中、秘書が幾つかの指示を求めたが軽く受け流した。 「後回しだ。」 香澄はドアが開いたのと同時に立ち上がった。 男は5ヶ月ぶりに少女だった女を目に入れる。 白の春物ワンピースは香澄に良く似合っていた。 しばらく、男は声が出せずにソファーの対面まで香澄に目を送りながら身体を移動させる。 「うん、しばらくだったね。・・・美しくなられて。いや、元々、綺麗なお嬢さんだったか。」 自分自身でも少しオカシイ応答である。 香澄が丁寧に言った。 「先生、お久しぶりでございます。先日はご迷惑をおかけ致しました。また、今日は私のため・・いえ、お仕事も兼ねてでしょうから、お時間を頂戴し申し訳ございません。」 男はその表情、声、髪の動き、身長、スタイル、できれば、心の中まで見る、聞く、感じようとじっと香澄を見つめ続けている。 何も応答されず男に見つめられている香澄は目の前の男が憧れの人故、だんだん心が小さくなっていく。 「いや、失礼。本当に美しい方だ。私のファンなんてとんでもない。私がファンになってしまいそうだよ。ハッ、ハッ。」 男は大笑いしたが、香澄はますます萎縮してしまう自分を感じた。 「まぁ、そんなに緊張せずに。腰をおろしてお話しましょう。」 「はい。」 香澄は名前どおり透明な声で答え、ソファーに腰を落ろす。 「うちの学生になったとのことでしたが。そうですか。優秀な方なんですね。あ、これを私が言うのはマズイか。」 男は持ってきた本をデスクに並べながら聞いた。 「はい、先生の元で勉強したくて頑張りました。」 うん、うん、と首を振り男は少し余裕を取り戻したようだ。 「うちには、立派な先生方が沢山いらっしゃる。大いに勉強して下さい。」 香澄が小さな答えを返す。 「あの〜、私は先生に教わりたくて・・・。」 男はその答えは無視し会話を続ける。 「これでしたね。いつかの本。はい。後ろにネームを入れましたが、香住さんへとも書いておきましょう。」 万年筆をスーツから取り出し、名前を書こうとする。 （かすみ・・か、どの字だろう。） 「どういう字ですか。」 「あ、ありがとうございます。すっかり舞い上がってしまって。香りとさんずいの・・。」 「わかりました。良いお名前だ。」 達筆の上、正確な文字で「香澄さんへ」と新たに記された。 「はい、どうぞ。」 「先生、ありがとうございます。」 宝物を貰ったかの様に香澄は胸に抱きしめる。 その光景に男は彼女以上の喜びを持ったかもしれない。 「幾つかの本をお持ちしましたが、お望みのものはありますか。」 香澄は一番左に置かれた本を見て、顔を赤くした。それは、SM小説にジャンルが入る。 小説の中の人物は「大学教授と女子大生。」 二人の今の立場と一致する。 内容は愛情の先に、戦時下で二人が異質な性体験を繰り返すストーリーである。 タイトルは「架け橋」。 「先生、「架け橋」にも、私の名をお書き頂けますか。」 「わかりました。「架け橋」ですね。」 男はストーリーを思い出そうとしたが、良くわからない。 「あ、これか。」 中を2,3ページめくってみる。 自分で書いたものだがはっきりとしない。 ただ、そのページに性的描写が書かれてあったが、今時では別に不自然とも思われない内容である。 「はい、ではこれも。」 男は「架け橋」の最後に同じように香澄の名を入れ手渡しながら聞いた。 「私の作には詳しいのですか。」 「はい、ここのあるものは全て持っております。・・・この2冊が特に好きです。」 「こりゃ手厳しい。その他は駄目ですか。」男は冗談を言った。 「とんでもないです。全部好きです。後、これ、・・・これも。」 結局全部であるが、ここに来る前、男が先に手を取ったものとは全て逆であった。 その日、香澄はそれで帰って行った。 お辞儀を何度も繰り返す香澄の髪には記憶にあるリボンは見つけられないが、栗色で優雅な7色の光を反射する若い生命力に溢れた女の髪そのものは記憶通りだった。 「ダイアモンドだな。」 男がつぶやいた時は既に香澄はドアの外に消えた後。 男はその夜、「架け橋」を読んでいた。 その中では、美しい少女は自由を奪われ、男の玩具にされ大きな声で叫んでいる。 「もっと、先生、もっと。私を縛って。全部、先生のものにして。私を放さないで。」 「私は先生の奴隷なの。全てを捧げた奴隷なの。何をしてもいいんです。」 「私にお小水を飲ませてください。先生のウンコもありがたく頂きます。」 「私の何を見たいのですか。落ちて行く姿ってどう言う事ですか。私は奴隷です。どのような言いつけも絶対です。」 栗色の髪の女は首輪を付け男の革靴を舐めている。 そんな映像が、男の頭に浮かぶ。 ダイアモンドは火には弱い。 この炭素の塊は、どんな大きなものでも、灰にさえならなく消滅する。 男は自分を慕うダイアモンドの原石を、自分の手で磨こうと考え始めた。 そして、その原石もそれを望んでいると理解する。 香澄は「架け橋」を読んでいた。 ちょうど、男と同じ時間に同じものを手にしている。 香澄はこの本が好きだった。 理由はわからない。 女子中・高と進み、男性は父親くらいしか生活の周辺にはいない。 男性に対して抱くイメージはメディアからだけである。 TV、雑誌、音楽、ネット、そして小説。 戦場へ向かう兵士の姿に男性を感じると同時に涙が溢れる。 そんな感受性を持った少女だった。 男が死の前に笑う姿が理解できない。 ころがった死体はぼろ雑巾のように集められ、手足がない、或いは手足のみとなり、国家は死体を見かけのみ元通りにし、勲章を付け、「女」の元に返す。 その仕組みの中にいる男達が笑う。 少女にはわからない。 誰にもわからない仕組みの中で男女が生きている現在（いま）。 「架け橋」はそんな背景の中で、一人の女が男の奴隷となり、男が死ぬまでの物語だった。 当然のように、主を失った女も死ぬ。 女の死に様は尋常でない。 数人の男に陵辱され、主とのみ行った「神聖」だった行為は、衆人の中で見世物の様に何度も繰り返され、糞尿の中で射殺される。 香澄はその女に憧れていた。 いや、女の生き方の1つとしてあるかもしれないと思っていたかもしれない。 ヒロインの名は「霞」。 男と香澄が再会したのは本を受け取った１週間後のこと。 文学部の掲示板に名指しで男の研究室にくるようにとの張り紙があった。 香澄は予感する。 （「架け橋」が始まる。きっと、私の想いを先生は理解してくれた。） 研究室に向かう。 緊張で香澄の足が少し震えた。 ノックをし部屋に入る。 「あぁ、良く来てくれた。少しお話がしたいと思いましてね。」 男は先日の笑顔で言った。 「そこに座ってください。今、コーヒーを入れます。」 香澄は笑顔でない。 男も香澄の緊張に気づき寡黙になる。 コーヒーは二人が座るソファーテーブルに置かれ、いきなり男が質問をした。 「何故、「架け橋」がお好きなんですか。」 「・・・。」 「質問を変えましょう。霞の生き方を如何思われますか。」 少しの間があき、香澄が答えた。 「「架け橋」は好きです。私はヒロインに少し憧れている様です。」 「ほぉ、あなたがですか。何故かはお聞きしない事にしましょう。・・・答えられるのなら答えてください。いやなら、結構です。あなたは私のヒロインになれますか。」 質問は極めて直接的、そして計算は何もない。 言い換えれば「私の奴隷になれますか。」 あこがれの男が聞いた。 香澄はダイレクトに答える。 「奴隷にして下さい。」 ダイアモンドの原石は落ちるべくして、男の手のひらに転がった。 香澄は男の前に裸で立っていた。 男は見つめることしか術がない。 その身体は全てが完璧な曲線で描かれた芸術品であった。 そして、曲線からは皮膚の薄さと柔らかさが触れずとも目で理解でき、少しの恥毛はまったく自然にあり、やはり完璧・完全な女体としか言いようがない。 男は目の前の女の前で服を脱いでいく。 そして女と同様に裸となる。 香澄が言った。 「ご命令してください。なんでもします。私の夢をかなえてください。」 「君は処女だろ。」男が突然聞く。 「・・そうです。」 「命令だ。君の処女は私のものだ。私がいつか君の処女を壊す。それまで守れ。それが最初の命令。次が君は私に奉仕するだけの存在になれ。そして、そのことに性的な快感を憶えるようにも。これが2番目。最後に君は奴隷だ。私は君に全てを見せる。私の心の奥底にあるものも。それは君が私の奴隷だからだ。奴隷である君は今、私にその事を証明しなさい。」 香澄は夢をかなえるため、男の言葉に聞き入った。そして、復唱する。 最後の命令のみが今、求められていた。 絵に描かれたような美少女は男に近づき、その足元に跪く。 少女の初めてのキスは男の右足の親指にされた。 美少女は言う。 「香澄は今のキスで一生、先生のご命令に従うことをお約束しました。」 少女の見上げた顔には、男のペニスが目に入る。 そのペニスを小さな両手で包み込み、先端に再びキスをする。 「香澄は今のキスで一生、先生の快楽の道具になることをお約束しました。」 「先生、香澄の全てを先生の奴隷にするため、お小水を香澄に下さい。「架け橋」の霞のように。私はそれで一生、本当の奴隷となることをお約束します。」 香澄はペニスの先端で口を拡げる。 少しの時間を要し、可憐な口に男の尿が注がれる。 香澄は懸命にそれを全部飲もうとし、とうとう口がペニスに接触する。 まだ、あふれ出る尿を美しい少女はゴクゴクと飲んでいく。 それは正に少女にとっては聖水であった。 少女が栗色の髪の動きを止めた時、同時に目を閉じる。 最後の尿は口に残され、味を確かめるように少しずつ飲下された。 栗色の髪の美少女が男にとって、もう、これ以上の「距離」を短縮できない、逆に言えば、いつも少しの「距離」がある奴隷という存在になった時であった。 香澄に細い銀の首輪がまかれる。 ヴァギナを使う「SEX」を禁じられた男の欲望を全て満たす性玩具となった香澄はあまりに華麗すぎた。 男は時に強烈な痛みを与え、さえずるような泣き声が聞きたくなり、女として蓄積された羞恥心の全てを見たくなり、愛玩動物として膝に置き美しい髪をいつまでも撫でてやりたくなる。 香澄は学生としての生活は続けたが、常に男の夜には側で仕えた。 1年が過ぎ、香澄は当然、処女だったがあらゆる方法で男を満足させる方法を憶える。 フェラチオ、アナルSEXなどは当然とし、口での大小便の処理、柔らかく白い身体全体を使った奉仕、鞭、全てで香澄自体もその反応で絶頂に達する。 香澄がヒロインの「架け橋」が進行していく。 20歳になる1ヶ月前、男に命じられた。 「香澄を永遠の処女にする。」 それだけである。 内容も何もわからない。 香澄はもう奴隷以外の何ものでもなく男の命令には頷くだけで良い。 20歳を迎えた日、ダイアモンドの一本の棒が見せられた。 「香澄、これをどうするかわかるか。」 「はい。先生の奴隷のおま○こは、その棒で永遠に閉じられます。」 「そのとおりだ。お前は一生、処女の奴隷となる。これを「永遠の架け橋」と名づけた。私が求める主題、処女の奴隷になれ。」 男は2度繰り返し、「処女の奴隷」と口にした。 香澄は彼女自身が男の人生のテーマの一つであることに納得し、いつかの様に再びその生涯の隷属を約束する。 「わかりました。処女の奴隷であることが私の人生の目的です。」 皮膚の中に埋め込まれなけばならないため、病院でその手術は行われる。 術後、男がベッドの側に付き添っている。 目を覚ました香澄に男が言った。 「これにサインしろ。」 香澄が受け取った紙は婚姻届である。 二人の関係においてはまさしく奴隷契約を法的に正式に成立させるもの。 香澄は何も問わない。 しかし、目に涙が光っている。 ボールペンで男の名の横に香澄の名が入り、二人は夫婦となった。 「香澄、愛している。ずっと一緒だ。しかし、君は奴隷の身体となった。最初の約束はこれからも絶対。それを忘れるな。」 「メディアが少し騒ぐだろう。お前は学校を諦めなさい。世間的には少しの手続きもまだある。少しずつ退院後、終わらせよう。」 「わかりました。・・・ご主人・・・様。」 香澄を正式な妻にした男の気持ちは書きようがない。 「愛している。」で完結している。 男の妻になった香澄の気持ちも書きようがない。 あまりに多くの言葉を必要とする。 妻は夫となった男を「ご主人様」と呼んだ。幾つもの、想いが込められた呼び方。 それから、推察するしか手段が見つからない。 香澄は、家事の一切を任され、しかも、夜は奴隷である。 ベッドの横には小さな檻が最初の約束の時から置かれていた。 今も香澄は夫と一緒にベッドを共にすることはなく、その中で寝ている。 しかし、以前は鍵がかけられていたが、今はそれはない。 夫は「閉じられたヴァギナ」を鞭で打つ。 それがこの夫婦のSEXの前戯であり、香澄が気をやった後、夫は香澄に時に一晩中の奉仕を命じる。 「女」を使えない香澄は夫の体内から出るものの全ての味を憶え、身体の全部で夫に「妻」の務めを行った。 それは奴隷でないとできない事ばかりである。 香澄は夫が行ったことだが、「女でない事」を時に詫びる。 そして、その事で彼女の身体は火照り、再び濃厚な愛撫を行う。 夫婦は不確実の結果、確実に結合して行く。 結婚後2年目、夫が身体の不調を妻に告げた。 そのわずか3ヶ月後、夫の魂はこの世から消える。 男は最も美しい女、妻、奴隷に死を予感した時、告げた。 「香澄、お前は確かに霞になった。もう自由になれば良い。」 「ご主人様、私を一人にしないで下さい。」 医者から夫の状況を聞いている妻は答える。 「残念だな。私の手で処女は奪えなかった。ハッ、ハッ。でも、私は永遠にお前を処女のままにしていたな。お前は霞であることでダイアモンドなんだ。・・・きっと。」 それが夫の最後の言葉。 香澄は夫の死に立会い、ほぼ１週間正常ではなかった。 （死ななければいけない。私の「架け橋」は終わらない。） あらゆる思考が死を模索する。 暴風雨のような時が去り、香澄を「監視」する人の目がようやく消えた。 ずっと、夫に付き添っていた香澄は夫婦の寝室に4ヶ月ぶりに入る。 そこには以前あった檻やSM的道具はなかった。 香澄は夫が誰かに言いつけ捨てさせたものと考える。 デスクの上に一通の封書入りの手紙があった。 封書には何も書かれていない。 当然、夫の最後のメッセージに違いない。 急いで開封し中身を取り出す。 「香澄へ。 ご苦労様。人の命などこんなもんだ。 強がりを書いている。怖いし、君を失うことが、残念でたまらない。 私は君に2つのものを見つけた。君はダイヤの原石だった。 私はそれを磨き光輝く宝石にしようとした。 そして、君はなった。 君は永遠に輝く。 22か。若いな。 一つはそのこと。私は正しかった。 2つ目は書かない。それも君についてだ。 もうダイヤモンド以外、いや、それでさえ、君を拘束する気はないが、君は「架け橋」を読み違えている。 この本には「永遠」を書いたつもりだった。 私は君にそれを見つけた。 君は、奴隷としても、女のしても完璧だった。 君は明日から私が君に見つけた「永遠」を探さなくてはいけない。 つまり、君自身の何かを。 それが見つかれば、私のもとにおいで。 でも、早とちりはいけないよ。 明日も明後日も1年後もある。 確かな答えはただ１つしかない。 ゆっくり探せば良い。そうしたら、また飼ってあげる。 愛する妻 香澄へ さようなら 」 香澄には当然わかる。 夫は「死ぬな。」とのみ綴っていた。 香澄は、今24になる。 手垢にまみれた「架け橋」、それ以上に汚れた「夫の手紙」、そして「永遠の処女」も捨ててはいない。 「終」 |
| 2014.2.22掲載 |
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