第２話

　翌日、私は個室の専務室ではなく、事務室で仕事をしながら晴子と田中を観察していた。彼らはいつものように仕事をしていているが、時折、田中が晴子にイヤラシイ視線を送っていた。 まるで、目で犯すような視線だ。しばらくすると、田中は立ち上がり晴子の側へいき資料を渡した。
「頼むよ」
　田中は一言だけ述べ、事務室から出て行った。晴子を見ると彼女の頬が赤く染まってきた。なにやら、資料と一緒に別のものも渡されたようである。晴子はそれを手でもみくちゃにしポケットの中にしまい込みながら田中の後に続くように出て行った。私も立ち上がり、晴子の後を追った。晴子の後をつけると、彼女は資料室へ入室した。私は急いで資料室の扉の前に立ち、耳をすました。彼らの会話が聞こえてくる。
「もう、いいかげんにしてください」
「まだ、そんなこというのか」
「いやっ、やめて」
「ほらっ、手をどけるんだ」
「やっ、お願い…ゆるして…」
「そんなこといって、おま○こ、濡れているんじゃないのか？」
「いっ、いゃっ…もう、やめて…」
「ばらすぞ！　時間がないから早くやらせろ！」
「いやっ…そんな…」
「よしっ、いい子だ。そこに手をつけて尻をむけるんだ」
「いやっ、いやです…」
「時間が無いから早くしろっ！」
「いっ、痛い！」
　パーンと身体を叩くような音が聞こえた。昨日は興奮のあまりに何も出来なかったが、今回は田中の好きなようにはさせるつもりは無かったので私は、近くにあるゴミ箱をわざと蹴り上げた。ガタン、ガチャンと大きな音がした。すると、扉が開き、晴子が頬を染めながら現れた。
「あっ、専務」
「ゴミ箱でつまいじゃたよ」
　私はゴミ箱を元の位置に戻しながら言った。
「うふっ、私が片付けますから。専務はお仕事に戻ってください」
「ありがとう、それじやあ頼むよ、晴子さんって優しいんだね」
「そんなことないですよ」
　晴子は微笑んで、ホウキとチリトリを手にして床に散乱したゴミを集めはじめた。そんな晴子を見つめながら、まだ田中がいるのを知りながらワザと資料室の扉をドアノブに手をかけた。すると、晴子はあせったように言った。
「ちょっと待ってください」
「どうしたの、なにか問題でも？」
「いえ、別に…」
　ガチャリ、扉を開くと姿は見えないが、人のいる気配を感じた。当然、田中がいるのは百も承知だ。私は息を殺し潜んでいる田中の姿を想像して苦笑した。棚に綺麗に整理してあるファイルの１つを適当に選び資料室を出た。
（田中のやつ、俺に邪魔されて怒っているだろうな）

　事務室に戻ると晴子はいつものようにパソコンに向かいキーボードをたたいていた。五分ほど遅れて田中も戻り、いつものような事務室の光景になった。
　しばらくすると田中が晴子を呼んだ。私は耳を彼らへ傾けた。田中は不機嫌な声で書類を役所まで届けてくれと命令してた。
　予想通りに、田中は晴子と中途半端に終わったことにイライラしているようだ。晴子は書類を受け取り封筒に入れて事務室から出ていった。田中は立つ様子が無い。私は晴子の後を追うように、机の上の書類をしまい退室した。

　私は受付の女の子に外出してくると告げ外へ出た。会社の駐車場に行き車のエンジンをかけ、晴子が通るのを待ち伏せした。通常、ここを通ってバス停へ向かうはずだ。３分くらい経ったとき、私の視界の中に晴子が入ってきた。晴子は会社の封筒を小脇に抱えお尻を振りながら歩いていた。晴子と視線が交わった、軽く会釈をしてきた。
「さっきは、ありがとう」
「こちらこそ…」
　晴子はそう言いかけ慌てて口を抑えた。こちらこそ、私はなぜ晴子がそう言いかけたか解っていた。
「晴子さん、どこまで行くの」
「課長に頼まれて…、お役所まで書類届けに行きます」
「ちょうど良かったよ。僕も用事があって、これから行くんだ。乗ってきなよ」
「えっ、でも…」
「いいから、そっきのお礼だと思って」
「いいんですか。それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらいます」
　私は紳士的に助手席のドアを開け、晴子を乗車させたあとに運転席へ座り車を発車させた。ほのかな香水の香りが車内に広がり、鼻腔を刺激する。この狭いガラス張りの密室で晴子と２人きりであることに興奮し、心臓の鼓動は高鳴った。
「あまり、話したことないですよね」
「俺、綺麗な人の前だと口下手になるんだ」
「えっ、私がですかぁ。もう、38のおばさんですよ」
「えっ、晴子さん38なの？ もっと若いと思ってた」
「専務…口下手なんて嘘ですね…。お上手ですよ」
「そうかな…本当のことを言っただけだよ」
「うふっ…」
「専務、けっこう、女子社員に人気があるんですよ。優しそうだって…」
「ふーん、そうかなぁ」
「本当ですよ。そう言う私もファンだったりして…」
　そんな他愛も無い会話をしながら役所についた。楽しい時間はあっという間だ。
「晴子さん、俺の用事はすぐ終わると思うから帰りも送ってあげる」
「いいんですか？　わたし、時間かかるかもしれませんよ？」
「いいから、いいから、ここで待ち合わせしだから」
　強引にそう言って晴子と一旦わかれた。本当は用事などないので、１５分位、役所内で時間をつぶして車へ戻った。車内に入ると晴子の香りがまだ残っていた。さっきまで晴子のお尻が触れていた助手席のシートの表面に手を乗せた。まだ、温かいような気がする。晴子とやりたい。あの口で俺のものも咥えてもらいたい。もう、限界だった。すかさず、私は会社に電話し課長である田中を呼びだし、晴子と役所で偶然遭い、私の仕事を頼んだので帰社が遅くなるかもしれないと告げ、田中に有無も言わせずに電話を切った。私は軽く目を閉じて、晴子とのセックスを想像した。肉棒がスラックスを突き破るよもではないかと思うほど硬くなってきた。スラックスの上から肉棒を右手で摘み、ゆっくりと上下にしごきだす。
（晴子、もう少しで、これをぶちこむからね…）

　３０分ほどたってから晴子は戻ってきた。
「お待たせしました」
　晴子は両手に缶ジュースを持ってきた。そのうちの１つを私に差し出した。
「そんな気を使わなくたっていいよ」
「いいんです。送ってくれたお礼ですら」
「ありがとう、ところで、一寸、いきたいところがあるんだけど、付き合ってくれるね？」
「え、でもあまり遅いと課長が……」
「大丈夫、僕が言っておくから、だからいいよね？」
「わ、わかりました。専務のお言葉ですから」
　私は海へ向け車を進めた。
「こんなこと、聞くのは失礼かもしれませんけど、どこへ、いくんですか？」
「息抜き…」
「えっ、いいんですか？」
「いいんだよ。たまには、晴子さんも息抜きしようよ、きっと気に入ってくれる場所だから」
　十五分位で海岸についた。海につくと、なるべく人のこない方へ車をとめた。
「わあ、いいところですね。専務、よくここに来るんですか？」
　私の肉棒はさっきからずっと立ちっぱなしである。もう限界だ。
「晴子さんと来たかったんだ」
「また、ご冗談を…」
　いきなり晴子の肩に手をまわし唇を奪った。晴子はすぐに顔をそむけ唇から逃れた。
「なっ…なにするんですか」
「回りくどいことは、嫌いだ。晴子さん、好きだ」
「えっ、そんな…こと、突然、言われても…」
「お互い大人だからはっきりと言うけど、俺、晴子さんのことを想像しながら毎日オナニーしてるほど、君を抱きたいと思っている」
「えっ…。そんな……困ります。わたし主人もいますし…それに、まずいですよ、こんなことは……」
「俺だって、女房がいる。でも、最初に君を見たときから、晴子さんとセックスしたかったんだ。ほら、君を求めて、もう、こんなになっている」
　晴子の手をとりスラックスの越しの硬くなった肉棒に触れさせた。
「いやっ、やめて…ください。それに、もう、会社に戻らないと…」
「大丈夫。時間はたっぷりあるよ」
　晴子は手を引っ込めようとするが私はそれを許さない。晴子の手首を力強く掴んだまま空いた手でスラックスのジッパーを下ろしトランクスから肉棒を取り出した。
「ほらっ、見てごらん。旦那のより大きいだろ」
「そんなこと、わかりません！　そんなもの、しまってください」
　晴子を見ると彼女はゴクリと唾を飲み込みんでそそり立つ肉棒を見つめていた。私は、晴子の細い手を肉棒へと擦りつけた。
「課長にしたみたいにやってくれ」
　晴子の手からは急速に力が抜けていった。
「どっ、どうして、そのことを…」
「実は、見てしまったんだ、屋上のこと…」
「あれは…」
「田中とのことは誰にも言うつもりはないが、昨日の光景を見て、もう、限界だ。しごいて」
「お願い…許してエ…」
「ダメだ、もう止まらないよ…」
　私はそう言いながら、晴子のスカート中に手を入れた。晴子は太股を必死に閉じようとしているが、男の力にはかなわない。私の手は、晴子の淫唇を包んでいるところに触れた。
「いっ、いやっ、止めて…」
　パンストの上から淫唇を押し付けるように刺激する。彼女の汗か愛液かはわからないがそこは明らかに湿っていた。
「ほらっ、湿ってる」
「いっ、いや…」
　更に刺激を続けると晴子の太股から力が抜けてきた。卑猥に蠢く男の指に諦めたのか晴子は目を閉じ背もたれに寄りかかた。
「一度だけだから…」
「…本当に、一度だけ？」
「あぁ、約束するよ」
　私は、晴子の上に重なるようにして助手席のシートを倒し、唇を重ねた。晴子は私の舌を受け入れ、田中との事を忘れようとしているのか自らも積極的に舌を絡めてきた。