３．

　上半身は動けないが、腰から下は私の動きを跳ね除けようと上下左右にくねくねと動いている。その動きがまた欲情を煽る。
「やめてぇ！」
　怒気を含んだその言葉を聞き、さらに気持ちが高ぶった。
　両手でつかんでいたヒトミの手を頭上で片手に組みなおし、空いた右手でヒトミの左胸をつかんだ。
「いやぁぁぁぁっ！！」
　さらに抵抗を続けるヒトミの動きに合わせ、手は胸を執拗に揉みしだいていく。思ったよりも弾力がある。手のひらに丁度よくフィットする感触を楽しみながら、ヒトミを見た。
　顔が上気し、頬を桜色に染めている。目に怒りが宿ってはいるが、かみ締める唇の先から声が漏れないように我慢しているようにもみえる。
　舌先で、そっと耳たしている。
　体幹の抵抗もなくなっていた。
　脱力したヒトミは、ワンピースの裾がずり上がり、あらわになった太腿を隠すこともなく開いた太もものその奥の布を露にしていた。
　開きかけた唇から舌が見え隠れしている。
　唇を合わせに行き、触れるか触れない距離で一旦動きを止める。
　舌先でヒトミの唇の輪郭をたどると、もどかしそうにヒトミの舌が私を誘う。
　ゆっくりその感触を楽しみながら、唇を合わせるとぽってりとした柔らかさがたまらない。
　舌をついばみあいながら、歯の付け根を時折くすぐったり、強く吸ってみたり、唾液を注ぎ入れ、それは激しさを増していく。
　ふと胸にあった右手を柔らかな太腿に持っていくと、一瞬ヒトミの体に緊張が走るのを感じた。
「ん！！」
　ふさがれた口から呻きが漏れる。
　それには構わず指の動きを上下していくと、ねっとりと肌が吸い付いてくる。膝まで下りては、ゆっくり内腿を這い上がる。
　その動きにあわせ、緊張する下半身が動いてしまうのか、突っ張るように助手席の足元に力を込める。
　足を閉じようと懸命に膝を合わせているが、割り込んだ私の手を締め付ける形になり　結局は愛撫を受け入れてしまう。
　眉根を寄せ　私の手を振り払おうとヒトミの左腕が伸びてきた。わずかに残る羞恥心から私の動きに再び抗いだしたのだ。
「・・・嫌かい？」
　唇を離し、動きを止めてささやくと
「こんなところじゃ・・・いや・・・」
　潤んだ目を上げ、乱れた呼吸で答えるヒトミ。
「じゃぁ　いいんだね？」
　ここからヒトミの家までほぼ10分。左手をその太腿に残し、緩やかにパーキングから車が滑り出した。

　ヒトミの部屋は１DK。南向きの窓からは、天気がよければ最高の日あたりが期待できる。
　3階建ての3階角部屋で東側にも窓があり、昇陽を望めるのだ。
　エレベーターに乗り込み、ヒトミの後ろに立つと腰に手を回し抱き寄せた。右耳にそっと吐息を吹きかけた。うつむくヒトミの臀部には、はちきれそうに勃起した私の分身が感じ取れているはずだ。
　エレベーターでの痴態は3階までの短い時間、ヒトミの部屋に入るまでのプロローグにしか過ぎない。
　オフホワイトで統一されたヒトミの部屋は、簡素な雰囲気だった。
　後ろ手でドアロックをし、部屋に上がるなりヒトミを抱きしめた。あえて部屋の電気は点けない。カーテンの隙間から入り込む光だけで十分だった。
　今まであえて紳士的に事を進めた私だったが、一気に堤防を壊したように性急な振る舞いに転じた。
　窓辺のベッドにうつぶせに押し倒しのしかかると
「苦しい・・・」
　ヒトミが呻く。
　顔を横に向け、その顔に髪がまとわりつき、苦悶の表情が見て取れた。
　一層欲情に駆られた私はワンピースをたくし上げ、ヒトミの丸い臀部からその秘部を覆っている小さな布切れを引きずりおろした。丸出しになった真っ白な丸みを両手で揉み広げる。
「いやぁっ！」
　あられもない格好のヒトミの声が部屋に響く。
　ゆっくり体を離し、ヒトミの両膝を立たせると腰を高く上げる姿勢をとらせた。
「・・・こんなの・・・いやぁぁっ！・・・」
　ヘッドランプを点けると怪しく揺れる丸い臀部の影にひそやかに湿り気をたたえる秘園がたたずんでいた。
　すぐにでもつないでしまいたい衝動に駆られたが、ヒトミに屈してもらうにはもう少しの辛抱が必要だった。