あたしは、とあるアイドル事務所に勤めているの。
　といってもあたしがやる仕事って言うのは細かい雑務ばっかりで、普通の会社の事務員となんら変わりはない。
　毎日、ともかく神経が磨り減るような、細かい数字とのにらめっこ。

　特に辛いのは昼食後。睡魔がとにかくひどくて、集中力も途切れやすいの。

　たまに目を開けたまま気絶しちゃってる女の子もいるけど……。

　でもあたしの事務所には監査部っていうのがあって、普段はタレントなんかをオフィスに連れ込んできて楽しげにおしゃべり。

　でも居眠りしている子なんかがいると足でいすを蹴ったりして起こすの。

　そんで、おいてめえ、とかいって凄む……。

　なかにはあまりの出来事に失禁しちゃう女の子もいる……、ごめんなさい、ごめんなさい……漏らしながら謝るの。

　それを後ろで見ながら、タレントの人がくすくす笑って言うの。

『え、ほんとに漏らしてるよー』

　でも、漏らすのは当たり前なんです。
　トイレに行くだけで、今日何回目だ、とか、いつまで糞してるんだ、とか文句を言われる職場では。

　しかし、そんな劣悪な環境では当然、そこで働く女の子たちの不満も募るってものです。
　かという、あたしもそのひとり。

　そんなさなかでした。

『アイドル登用制度』

　職場で働く事務員の中から、魅力を持った女の子を積極的に芸能界へプロデュースするというものでした。

　待合室の中でみんな意気揚々とはしゃいでいました。

　なにせ年端もいかない女の子たちです。
　みんな職場で幅を利かせるアイドルたちを目の敵にしていましたが……やはり心の奥底では自分もそうなりたいと願っていたのでしょう。

『外へ出ろ』

　監査部の人のぶっきらぼうな一声でみんなぞろぞろと一列になって屋内のステージに上がります。

『一列に並んだら、肩幅に足を開け。手は頭の後ろで組むんだ』

　戸惑いを見せる女の子を、手にしている警棒のようなものでド突きながら言います。

　そのときにしてあたしたちははじめて知るのでした。
　これは決してあたしたちを喜ばすためのオーディションではないのだと。

　みな、囚人のようにステージに整列させられると一人の青年が姿を現しました。

　青年はここにいる女の子なら誰でも知っている、ジャニーズ出身のバラエティ司会者でした。

『はい、みなさん、こんばんは！』

　青年はカメラに向かってしゃべりかけます。
　その姿に女の子たちは、口を半開きにして熱っぽい視線を送っています。

　当然です。
　彼に抱かれ愛撫されるという妄想をしたとがないという女の子はいないでしょう。
　実はあたしも彼が登場したとき、甘酸っぱい胸のときめきを覚えたのでした。

　しかし次の瞬間、女の子たちは甘い夢からたたき起こされるのでした。

『スカートと下着を降ろせ。下はすっぽんぽんになれ』

『すっぽんぽんって……』
　青年はその言葉の響きが可笑しかったのかくすくす笑いました。

　やがて、下半身をむき出しにした女の子たちが全身を真っ赤に紅潮させて
『肩幅に足を開き、両手を頭の後ろで組んで』並びました。

『壮観ですね』

　そう言い、青年はステージに上がり女の子たちを品定めするように周囲をぶらぶらと歩き出しました。

　女の子たちはみな、デスクワークで運動不足のためか下腹部がポッコリと膨らんでいました。
　服の上からでは気づきにくいみじめな部分でしょう。

　それが青年のスマートな立ち振る舞いと対比され、いっそうみじめな気分にさせられるのでした。
　みな体を震わせて恥辱に耐えていました。

　バンバンバンッ♪バンバンバンッ♪

　滑稽なBGMがステージに流れ始めました。

　やがて青年が、一人の女の子のそばでとまりました。

　女の子はまっすぐ前を見つめ、この場の雰囲気に飲まれまいとしていました。

　青年は女の子の耳元で何かをささやきました。
　可愛いよ、とかそのあたりの言葉でしょうか。

　すると女の子の体がカァーっと赤くなり、その表情はみるみるうちに泣き顔に変わったかと思うと

　プシュゥーーーーーッ！

『あッ……！あ、あ、あ、あッ！』

　盛大に股間から潮を吹くのでした。

　青年は潮を撒き散らしながら痙攣を続ける女の子に再び、耳元で囁こうとしましたが、そばにいた男になだめられると

『ふっ……』

　と軽蔑をこめた笑いを漏らすのでした。

　そう、その女の子は青年の熱烈なファンでした。

　青年は次々と女の子に囁きかけては、潮を吹かせて遊びました。

　やがて、あたしは背後に青年の気配を感じ、いよいよ自分の番が来たのね、そう思いました。
　しかしあたしの心は硬く閉ざされていました。

　あたしは、あんなみじめな姿をさらしてまでこの青年のおもちゃになるのはごめんでした。
　むしろ凛とした態度をこの青年に対してとり続け鼻をあかしてやりたい。
　そう思いました。

　青年の見るからにやわらかそうで赤く薄い唇が、あたしの耳に近づけられました。

『お姉さん……』

　青年はそう言うと、あたしの下腹部に手を回しました。

　いよいよね……。坊や、残念だけどあなたのお遊びには付き合うことは出来ないわ。

『きれいだね……』

　そんな言葉……、坊や、あたしが堕ちなかったら……恥をかくのはあなたなのよ？ふふ。

『きれいなお姉さんには……』

　もう終わりかしら？

　そう思ったときでした。

　ぶすッ！

『……あうッ！』

　あたしのお尻になにか硬い棒のようなものが突っ込まれました。

　ドクドクドクッ！

『あ、あ、あ、あ、あ、あッ！』

　そして中に何かが注ぎ込まれたのです。

『きれいなお姉さんには……特濃浣腸液をプレゼント』

　そういうと青年は棒をあたしのお尻から引っこ抜き、代わりに固く絞った脱脂綿を詰めました。

『かん…ちょう…？』

　グルッ！

　そのときでした。あたしは強烈なさしこみを覚え、思わず尻たぶをキュッと締めました。

『くッ……あッ！』

　やがて強烈な便意が押し寄せます。

『ふぅ……ッ！ん……ッ！』

　バンバンバンッ♪バンバンバンッ♪

　あたしの苦しみをよそにふざけたようなBGMが流されています。

『お姉さん、大丈夫？顔色悪いけど……』

　大丈夫な訳ないじゃない！今にもアレが噴出しそうなのに……！

　青年は介抱する振りをして、あたしの荒く波打っている下腹部を手で揉んでいます。

『一本じゃ足りなかったかな……。いつもならもっとドバーッといくんだけど』

　バンバンバンッ♪バンバンバンッ♪

『あ、あ、あ、あ、あああぅーーーッ！』

　あたしは歯をガチガチ鳴らし、顔面蒼白で脂汗をにじませながら排泄欲求に耐えました。

　…………。

　それから数時間後、あたしは市内の病室で目が覚めました。

　聞いたところによると、あたしはステージから駆け下りたところでやがて気を失ったそうです、下からおしっこと下痢便と噴出させながら。