西脇由里は、お嬢様のような顔立ちをしているわりにはけっこう好き者で、特にクレバスや女の芯の部分を舌と唇でなめ回されると、絶叫するような声を出してよがり、「はめて！　はめて！」と挿入を迫るのがいつものことだった。

　その日も、達夫はそのコースで由里を攻め立て、肉棒を正面から突っ込んで、上半身を少し起こしぎみにし、乳房を掴みながら何度も強く送り込んだ。由里は、結合が始まるとしばらくは「うーん、うっふーん」と押し殺した声を出しているが、すぐに自分から尻を上げて、結合部分を達夫に密着させ、上手に腰を使いながら「あっ、あっ」という大声を出し始める。

　そしてじきに耐えられなくって「あっ……、来そう、もう……、来そう」と言う。これは「いく」という意味ではなく、「もっと激しくして、いかせてほしい」という意味であることを達夫は知っていた。
　　　　　　
　だから、最後は二人が体を密着させる形にして、腰だけ早く動かして絶頂に向かって上ろうとした。由里も立てた両方の膝で男の体を締め付けるように挟み、達夫に合わせて腰を微妙に動かして、「責めて！、もっと責めて！」という声を出した。
　今日は安全日なので避妊はしていない。それでいつもより快感が強いせいか、達夫の肉棒はすでに発射まぎわの状況になってはいたが、達夫は必死でこらえた。
　達夫の動きが激しさを増し、ついに女は「んぅーん、はっ、はぁーん……、もう、だめっ……、だめっ……」と言い始める。これがこの女の絶頂だった。
　その声を聞くと、達夫も限界を迎えた。最後の一突きをぐいぐいっと奥まで送り込むと、女の膣の中にドクドクと多量の男の液を放出した。

　一度目のセックスが終わると、由里はいつもバスルームに行くのだが、そこから１時間ぐらい帰ってこないことも多かった。その間、達夫はいつもベッドに寝そべって、テレビを見たりして待っている。
　由里の部屋は、京王線のつつじヶ丘駅近くのワンルーム形式のマンションなのだが、音楽大学の学生なので、ピアノがおいてある。由里のマンションの近くには音楽大学があって、この辺りにはそんな学生向けのマンションがたくさん建っている。それを借りている学生は、たいてい地方の裕福な家庭の娘だった。
　由里は静岡市の出身で、家は特に裕福というわけではない。ピアノ科の学生なので、結構無理をしてこの部屋を借りたらしい。もちろん部屋は完全防音になっている。もっとも由里にとっては、部屋の防音はピアノを弾くのためだけでなく、セックスの時の絶叫を防ぐ役割も果たしていた。
　　
　達夫は合コンで知り合ったその日の夜に、もうここで由里を抱いた。それから一ヶ月くらいだが、多い時には週に４回、少ない時でも週末には必ずここに来て、由里の相手をするのだった。

　今日も由里はなかなかバスルームから戻ってこなかった。達夫はビデオに飽きて、ベッドに寝そべり、サイドテーブルの雑誌を読もうとした。すると雑誌の下から「多摩音楽家協会　入会申込書」という紙が出てきた。
　その申込書には、住所や氏名のほかに、身長、体重や、スリーサイズを書く欄があり、由里はバストに「８６」と書いていたが、そんなには大きくないはずで、達夫は思わず笑ってしまった。
　ちよっと興味を感じた達夫がさらに詳しく見ていくと、「希望するレッスン料（月額）」という欄があり、由里はそこに「５〜１０万」と書いていた。ほかにも「レッスン回数」とか「レッスン相手への希望」と言う項目があるが、由里はまだ書いていない。
　
　そんな書類を読んでいたところに、由里がバスルームから出てきた。由里はバスタオルも巻かず、ほとんど全裸でベッドに入ってきた。
　達夫は書類をサイドデーブルに戻しながら、なにげなく、
「多摩音楽家協会って、何だ？　入会申込書にスリーサイズを書くなんて、美人コンテストか、タレントのオーディションみたいじゃないか」というと、由里は何故かどきっとしたようで、
「そんなの見ないでよ」と言って達夫から書類を奪い取った。そして、折りたたんで、自分でサイドテーブルの引き出しの奥に突っ込んでしまった。

　そして、達夫に背を向けたまま、
「多摩音楽家協会って、大学の先生がやっている団体なのよ。音大生にレッスン先を紹介してくれるの。スリーサイズ書くのは、ほら、音大生は発表会の時にドレスを着るでしょ。あれ、とても高いから、みんなで貸したり借りたりするのよ。その時、サイズが必要でしょ」と言った。
「そんなら、見栄を張らずにバストのサイズは正直に書いておいた方がいいじゃないか」 と達夫がからかうように言うと、由里は達夫の方に向き直って、
「もう、どうでもいいじゃないの。ていうより、達夫がもっとがんばってくれれば、私の胸だって大きくなるのだから、早くそうしてよ」と二度目のセックスをせがんできた。
　達夫は、ふと、『でも、そんな高いレッスン料を払うところなんてあるのかな』と思いはしたが、由里の乳房が目の前で揺れると、そんなことは本当にどうでもよくなり、セックスに熱中しだした。その日達夫はそれから二度、由里の中で放出した。

　それからしばらくたって、達夫は由里の部屋に呼ばれて、いつものようにセックスをした。その日の由里は、いつも以上に達夫の強い愛撫を求めた。
　最後には、二人ともベッドから降り、達夫は由里を床の上に腹這いにさせて、後ろから激しく由里の膣の奥を突き上げた。
　由里は尻だけを突き出して、アダルトビデオの女優のように、
「ああっ、もう、だめっ……、だめっ……、いくっ、いっちゃう、あっ、ああっ、ああっ、いっちゃう」と絶叫した。達夫は女の腰を両手で押さえて、自分の体をぶつけるように激しく肉棒を送り込み、最後には、
「俺もいくぞ……、出すぞ、出すぞ」と言いながら果てた。

　セックスが終わると、いつものように由里はバスルームに行った。達夫は今の由里との交わりの余韻に浸っていたが、ふとベッドの横を見ると、由里のバッグが放り出してあり、そこから何かの地図の端が少し見えている。
　達夫は何気なくその紙をバッグから取り出した。それはパソコンからプリントアウトされたらしい書類だった。
　そこにまた「多摩音楽家音楽家協会」の文字が見えたので、手にとってよく見てみると、それは「賛助会員カード」という表題のついた履歴書のようなものだった。
　その氏名欄には「上原和正」とあり、年齢欄には「４５才」、そのほかにも職業や住所、そして自宅の地図などが書いてある。そして、最後の「希望する講師」という欄は、「二十代前半。やせ型」となっていて、「レッスン料」という欄は「月、二回で十万円」となっている。
　この書類の下にメッセージがついていて、それには「この賛助会員からレッスンの希望がありました。レッスン可能かどうか至急メールで回答してください」となっていた。
　
　これを見て、達夫はこの「多摩音楽家協会」がどういう組織なのか、怪しく感じはじめた。これはひょっとしたら、音楽大学の学生に援助交際の相手を紹介する、秘密の組織なのではないか。そして、由里はこの上原という男と、金のために寝ることにしたのではないか。
　そう考えると、最近の由里の様子が少しおかしい理由が理解できた。今日はひょっとしたら達夫と会う前に、その男と気の進まないセックスをしてきたところなのかもしれなかった。

　達夫は一応は由里の恋人ということになってはいるが、この女にそれほど入れ込んでいるわけではない。ただ、いつでも抱けるし、体の方も悪くないので付き合っているという程度だった。だから、由里がほかの男に抱かれてたとしても、それほどショックは感じなかった。とはいえ、あまりうれしい話というわけでもない。
　そこで、達夫はこの「多摩音楽家協会」について、もう少し調べてみようと思った。

　達夫は、まず由里がバスルームから出てくるまでに、急いで由里の携帯やパソコンのメールをチェックした。しかし、それらしいメールは何も残っていなかった。たぶん秘密のメールは読むとすぐ削除することになっているのだろう。
　あのプリントアウトされた書類は、相手の男の家を間違えないために、しかたなく残しておいたものに違いない。
　そんなことを考えているうちに、由里が戻ってきたので、その日はそれ以上の収穫はなかった。

　達夫は翌日も、由里が寝ているすきにパソコンを起動させ、何かの手がかりが残っていないか調べてみた。すると、ちょうどその作業をしている最中に由里宛のメールが届いた。
開けてみると、本文は「昨日のレッスン確認しました。賛助会員は講師に満足しています。次回は二週間後との要望です。詳細はまた連絡します」となっている。
　やはり達夫の想像は全部当たっているようだった。

　達夫は急いでそのメールのアドレス「s_uemura@*****」をメモし、メールを未読に戻して、パソコンの電源を切っておいた。

　家に帰ってから、達夫は由里が通っている大学についてインターネットで調べた。しばらくあれこれと調べるうちに、その大学の器楽学科に「上村志津子」という講師がいるのを発見し、達夫は喜んだ。

　それから数日かけて、達夫は上村志津子について調べてみた。まず、志津子の講義の時間を調べ、どんな女なのか確かめようとした。これはすぐにわかった。
　実際の志津子を見るまで、達夫は「オールドミスの陰気な女」を想像していたのだが、講義の教室に入る女は予想外に若い、しかも美人だった。
　遠くから見たのでよくはわからないが、年齢は３０才くらいだろうか。身長は１６０センチほどで、タレントの米倉○子を少し細めにしたような感じだった。

　達夫は、女の跡をつけてみようと思ったが、志津子は、講義が終わると大学の別の棟に入ってしまい、なかなか出てこなかった。
　この音楽大学には男子学生も少しはいるので、達夫がその場所に長時間いても、特別怪しまれるという雰囲気はなかったが、あてもなく待つことはかなり苦痛だった。
　数時間後、ようやく志津子が出てきた。しかし、志津子は大学の駐車場に止めてある車に乗り込み、そのまま去ってしまった。達夫はがっかりはしたが、志津子の車が赤のボルボだとわかっただけでも収穫だと言えた。
　
　翌日、達夫はバイクを大学の近くに止めて、志津子の車が駐車場から出てくるのを見張った。その日は、５時過ぎに赤のボルボが姿を現した。達夫は慎重に尾行した。車は大通りの渋滞を避け、何度も右折や左折を繰り返し、結局は千歳烏山あたりの住宅地にたどりついた。達夫は慎重に距離を取って家の様子をうかがった。
　
　その家の表札には「上村」とだけあり、駐車場にはボルボ一台分の駐車スペースしかなかった。どうやら、車はこの一台だけのようだった。
　家の敷地はかなり広いようだが、建物そのものはさほど大きくはない。とはいうものの、新築５〜６年のきれいな家で、かなり豪勢な邸宅と言って良かった。

　達夫は次の日には、朝からその家を見張ることにした。志津子はその日、十時頃に車で家を出たが、その時、彼女は玄関のカギを掛けていた。それを見た達夫は、ひょっとしたら志津子はこの家に一人で暮らているのかと想像したのだが、その予想通り、志津子が外出した後も、その家の人の出入りはなかった。　
　達夫は少し様子をうかがってから、玄関のベルを鳴らしてみた。やはり応答はなかった。

　達夫はそれからも何日か、志津子について調べてみた。また、それと同時に、コンピュータ・ウイルスに汚染されている添付ファイルをつけたメールを、彼女の家に定期的に送ることにした。これが達夫の作戦だった。

　何週間かそれを続けた上で、達夫は志津子の家に架空の報告書を送りつけることにした。それは「東京電子情報調査協会」という名前の団体の、次のような文書だった。
「最近、私立大学の職員のコンピュータから、ウイルスに汚染されたメールが多数見つかっております。私どもは東京の私立大学協会から依頼を受け、この件の解決に当たっている調査機関です。
　私たちの調査では、あなたのコンピュータから、ウイルスに汚染されたメールが多数発信されています。これは、あなたのコンピュータがウイルスに感染したことを示すものと思われます。直ちに対策が必要です。
　つきましては、５月１１日午前１０時に、ご自宅に伺って、コンピュータを調査させていただきたいと思いますので、なにとぞご在宅の上、調査にご協力ください」
　この日付と時間だけは、わざと手書きにしておいて、この文書が多くの人間に発送されたものであることを装った。

　指定の日は日曜日だった。達夫は一応は上着とネクタイを付け、指定の時間に志津子の家のベルを鳴らした。
　志津子は家にいた。
　達夫が「東京電子情報調査協会から来ました」と名乗ると、怪しみもせずに彼を家に上げた。
　応接間に通され、ソファーに座ると、テーブルの上にノートパソコンが載っていた。
　志津子は一度奥に入り、コーヒーを運んできて、向かいのソファーに座った。

　その日の志津子は、黒っぽいスカートに、白のシルクのブラウスを着ていて、まるで演奏会に出る女声合唱団員のようなスタイルだった。
　正面から見ると、志津子の顔は細く、肌がつやつやして、とても３０過ぎには見えなかった。日曜の朝なのに、来客を迎えるために薄く化粧をしている。
　胸の大きく開いたシルクのブラウスの下に、白いキャミソールが透けて見え、それが達夫の欲情をそそった。

「いつも使ってるのは、このコンピュータなの。最近ウイルスつきのメールが毎日来て、一通も開けてないんだけど、やっぱり感染しちゃったのかしら」
　志津子はそう言いながら、コンピュータの電源を入れようとした。

　達夫は、「ちょっと待ってください」と言って、鞄から書類を出した。
「私はあなたのコンピュータの調査を担当した山内と言います。私はあなたのコンピュータについて調べるうちに、とんでもないことを発見してしまったんです。実は……。」と言いにくそうに言葉を切った。
「何なの？　コンピュータウイルスに汚染されている、ってことなんでしょ？」
　志津子は心配そうに膝を乗り出してきた。　

「上村さん。コンピュータウイルスも確かに問題ですが、私はもっととんでもない情報をあなたのコンピュータから引き出してしまったんです」達夫はわざとゆっくりしゃべった。
「何かしら」志津子は徐々に不安が増してきたようだった。

「ご存じのように、コンピュータはウイルスに感染すると、ファイアウォールが壊れ、外部からの侵入にもろくなります。そこで私は、あなたのコンピュータがどんな状態なのかを調査するために、密かにハッキングを試みてみました。つまり、このコンピュータに侵入してみたんです」
　達夫がそこまで言うと、志津子は「ええっ」と言いながら、身を引き、胸の下で腕を組んだ。そうすることで、胸のふくらみが強調され、達夫はまた欲情した。

「なんでそんなこと……。そんなことする必要ないじゃないの」
　志津子は、怒るというより戸惑うという口調で、達夫に言った。
「それで……、どんな情報を私のコンピュータから引き出したのかしら？」

「それは……」達夫はまた言葉を切り、志津子を見つめて、一言、
「多摩音楽家協会」とだけはっきりした口調で言った。

　その言葉を聞くやいなや、志津子は
「やめて！」と叫ぶように言った。
「お願い、秘密にして。誰にも言わないで」

　達夫は心の中でほくそ笑んだ。彼は賭に勝ったのだ。
　そこで、わざと優しい口調で、
「ええ。わかってます」と言った。
「もちろん、この件はとんでもないスキャンダルですから、本来なら私どものような調査機関としては、判明した時点で正式な報告書を作り、大学に報告しなくてはいけません。ただし……」達夫はまた言葉を切って、志津子の様子をうかがった。

　志津子はソファーにもたれかかって、両手で顔を覆っていた。
　達夫は、「上村さん」と呼びかけた。
　志津子は、はっと我に返り、達夫を見て、また、
「お願い、誰にも言わないで。お願い」と繰り返した。

「ええ。わかります。もしこの件が明るみに出たら、会員の大学生や、賛助会員の方にものすごい迷惑がかかりますよね。もちろん、上村さん自身もただではすまない。大学をクビになるし、たぶん刑務所に入ることになるでしょうね。たしか売春の斡旋は懲役二年でしたっけ」
　達夫は一言一言確かめるように言った。
　志津子は肩をふるわせて、また手で顔を覆った。
「やめて、お願い。秘密にして」
　おびえるようにそう言う志津子を見ると、達夫の欲情はますます高まり、彼は今にも飛びかかりたくなるような性欲を押さえるのに苦労した。ここまでくれば、もう志津子はほぼ、彼の思うとおりだろうが、最後の仕上げを間違えると大変なことになる。

　そこで、達夫は前よりもいっそう優しい口調で志津子に話しかけた。
「うちの協会でこのことを知っているのは、担当者の私だけです。私は実は半分アルバイトみたいなものですので、与えられた仕事以上のことをする義務はありません。与えられた仕事というのは、これからあなたのコンピュータを調査して、ウイルスの除去をするということ。それさえすれば、こんなよけいな報告書のことなんて、忘れてしまったっていいんです」

　志津子は目尻に涙を浮かべたまま、顔を上げた。
「ホント？　ホントなの？」志津子はまた身を乗り出した。
「あなたが秘密にしてくれるなら、私、何でもするわ」
　そう言って達夫を見上げる志津子の胸元から、キャミソールが見え、白いハーフカップのブラジャーに包まれた胸の谷間がのぞいた。達夫はもう女が抱きたくてしかたなかった。

「そっちこそ、本当ですか。僕に忘れさせるためなら、本当に『何でも』しますか」
　達夫が「何でも」と言う部分を強調して言うと、女はその言葉の意味と、達夫の視線の行方をはっきりと覚ったようで、はっとして胸を押さえた。

「本当に『何でも』するんですね」
　そう言いながら、達夫はゆっくりと立ち上がり、女の座っているソファーの空いている場所に腰掛けた。
　志津子は何も言わず、うつむいたままだった。

　達夫は手を伸ばして、志津子の指に触れた。
　志津子は、びくっとしてあわてて手を引いた。
　達夫は「あれっ？　『何でも』するって言ったばかりじゃないですか」と言いながら、志津子の肩を抱いて、引き寄せようとした。
　志津子は、ソファーから転げ落ちるようにして、床に四つんばいになり、こちらに背中を見せて、壁に手を突きながら、横に逃げようとした。達夫は左手で女の肩をつかみ、右手でスカートをまくり上げ、股の間に手のひらを差し込んだ。
　女は「あっ、いやっ」と言って、部屋の隅に逃げたが、それは逃げたと言うよりも、そこに追いつめられたようなものだった。
　達夫は女を壁に押しつけておいて、今度はゆっくりとスカートをたくし上げた。パンティストッキングに包まれた太股が現れ、続いて尻と下着が次第に現れてきた。
　志津子は、意外にも黒のボクサーショーツを付けていた。大学の女教師の志津子がそんな下着を着けているのを見て、達夫はさらに激しく欲情した。彼は両手をスカートの中に突っ込み、パンティストッキングとショーツを一度に下ろそうとした。

　志津子は「だめっ、だめっ！」と言いながら、激しく抵抗した。
　達夫は「上村さん、秘密が漏れてもいいんですか？　言うとおりにしないと、僕はすぐに大学に報告書を送ってしまいますよ。多摩音楽家協会の会員名簿を添付資料にしてね」と女の耳元で言った。
　志津子の抵抗は少し弱まった。その隙に達夫は、両手に思いきり力を込め、パンティストッキングと下着を、一気に膝まで下ろしてしまった。

　志津子は四つんばいのまま、尻を突き出して、なおも逃げようとする。膝を前に進めるたびに、女の尻が達夫の前で揺れる。達夫は女の腰をつかみ、乱暴に引き寄せた。
　女は床を滑り、「ああっ」と言いながら尻を達夫の体に密着させる姿勢になった。
　達夫は女の首筋に唇を這わせ、ブラウスの上から激しく乳房を揉んだ。
　女の抵抗はまた激しくなった。声は殺しているものの、「いゃっ、だめっ」と何度も言いながら、達夫の手をふりほどこうとした。

　女の抵抗にあうことで達夫の興奮はますます高まった。
「ほらほら、いいんですか。僕は別にどうしてもあなたの体が欲しいわけじゃないけど、あなたの方にしてみたら、僕を味方につけたほうがいいんじゃないですか」
　そう言いながら、両手で胸を揉み、急に力を込めてブラウスを両側に引いた。ボタンがはじけ、ブラウスは左右に開かれて、ちょうど両手の自由を奪うような形で、腕の付け根のところに引っかかった。白いキャミソールとブラジャーに包まれた上半身が露わになり、女は床に仰向けに転がった。

　達夫は、乱暴に女を引き寄せた。女の抵抗は信じられないくらい弱くなった。
　達夫は女の腰のあたりにまたがり、膝で女を押さえつけておいて、ベルトをゆるめてズボンを下ろした。達夫の肉棒はすでにいきり立っていた。達夫はその棒をつかんで、
「上村さん。昔から、女が男を味方に付けるためにすることといったら、決まってますよね。」と言いながら女の顔に押しつけた。
　女は、かすれたような小さな声で、
「やめて、お願いだから、やめて」と、手で肉棒を払いのけようとした。
　達夫はその女の手に、自分の肉棒を握らせ、
「ほらほら、上村さん。美人が特別なサービスをしてくれれば、男はここも固くなるけど、口も堅くなりますよ」と言った。

　志津子は体を横にして、膝を曲げ、また手で顔を覆った。
　達夫は完全にズボンを脱ぐと、志津子を抱き起こし、ソファーに横たえた。
　そして、スカートのジッパーを開け、女の下半身を剥き出しにした。志津子の陰毛はきれいに形が整えられていた。たぶん自分で手入れをしているに違いなかった。

　それから、肩に引っかかったブラウスを脱がせ、キャミソールを取ると、女の身につけているものはブラジャー一枚になった。
　達夫は手を女の背中に回し、ブラジャーのホックをはずした。
　成熟しきった女教師の肉体がすべて露わになった。

　そこまで進んだ時、女はいきなり、
「お願い、カーテンは閉めて」と言った。
　気がつくと、庭に面した窓は開けたままになっている。庭が広いので、外から丸見えという状態ではないが、確かに開放的すぎるようだった。

　達夫は立ち上がってカーテンを閉めようとした。
　すると、その隙に女はソファーから身を起こし、胸を押さえながら部屋を出ていった。
　達夫はあわてて後を追った。

　志津子は応接間から出ると、廊下を進み、奥の部屋のドアを開けて入った。
　達夫も続いた。
　そこは女の寝室のようだった。
　部屋は遮光カーテンが引かれた部屋は薄暗く、すみに大きめのベッドがあった。
　志津子はそのベッドにうつぶせになっていた。

　達夫は少し安心した。
　と同時に、またさっきの欲情が戻ってきた。

　達夫はすぐに女を後ろから抱きしめ、乳房を激しく揉んだ。
　志津子の乳房は意外に豊満だった。
　次に達夫は、女の太股をまさぐり、手のひら全体で大陰唇を揉みほぐすようにした。
　志津子は「あっ」と言っただけで、尻を突き出すようにした。

　達夫はその瞬間を待っていた。
　彼は強引に女の股の間に自分の下半身を入れ、いきなり肉棒をクレバスにぶち込んだ。まだ最後まで行き着くつもりはない。とりあえず志津子の女の器の具合を試したかったのと、一度入れることで、少しは残っていると思われる女の抵抗の気持ちを、すべて奪ってしまうためだった。

　女は肉棒を受け入れた瞬間、「くぅっ」と声を漏らした。
　いきなり挿入したのに、女の内部はもうぐじゅぐじゅに潤んでいて、くちゃくちゃという音までした。
　達夫の肉棒が動き、腰が女の尻に当たるたびに、志津子は「はあっ、はあっ」という声を出した。
　志津子の女陰はよく締まっていた。特に膣壁の上部がざらざらしていて、全体に潤みが多かった。
　そのため、肉棒を送り込むたびに、下はずるっと滑るように棒を受け入れるのに、上が引っかかるような感じで、それが微妙な快感をもたらした。
　
　達夫は、女が愛撫に反応しはじめたのを確認して、一度肉棒を抜き、女を仰向けにした。そして、乳房を舌と指で愛撫することにした。
　女の反応はますます深くなった。
　必死で声をこらえていたようだったが、じきに、
「うっ、うっ……、あっあっ、あああっ……、やだやだ、やめて」という、苦しげな声を出しはじめた。

　達夫は両手で乳房を愛撫しながら、顔を女の股間に埋め、クレバスの中に舌を差し込んだ。志津子の秘所のあたりは、愛液にまみれ、つやつやと光っている。
　志津子は体を横向きにして、
「あっ、もう、勘弁して……。勘弁して……」と、達夫の愛撫から逃れようとした。
　
　達夫は一度愛撫を中断した。そして、
「じゃあ、僕のをもっと満足させてください」と言って、肉棒を女の顔の前に突き出し、フェラチオを求めた。
　一度挿入された志津子は、もう達夫とのセックスに何のためらいも感じていないようだった。
　達夫の肉棒を両手でつかみ、上手に舌を使って傘の部分を舐めはじめた。

　それを見ていると、達夫はまた女を言葉でいじめたくなった。達夫は女の耳元でささやいた。
「フェラチオ、うまいですね。上村さんも賛助会員とレッスンしているんですか」
「いや。それ、言わないで」
志津子はまた手で顔を覆った。
　達夫はさらに言った。
「それに、上村さんのオ××コ、もうぐじゅぐじゅじゃないですか。ほんとはよっぽど好きなんでしょ？」

　それを聞くと、志津子は弁解するように言った。
「久しぶりだからよ、こんなことするの……。それは、昔はお金のためにレッスンだってしたけど、今はもう、そんなことしてないわ」
「じゃあ、今日は久しぶりに、あなたを昇天させてあげますよ」
　達夫はそう言うと、もう一度志津子の乳房を口に含んだ。そして、今は性欲を隠すこともなくなった女教師に、激しい愛撫を再開した。

　舌と指を使い、達夫は志津子の体中を愛撫した。
　そして、女が脇腹に深く反応することを確かめた。
　そこで達夫は、左手で乳房を揉みながら、唇と舌を脇腹に這わせ、右手で反対側の脇腹をソフトタッチしていった。

　女は「あっ、あっ、だめっ……、だめっ……、いやっ……、いやっ……」と言いながら高まっていった。そして、ついに、
「ああっ、もう、だめっ……、これ以上だめっ……」と言ったかと思うと、達夫の肉棒をつかんで、
「もう、これっ……、これっ……」とせがんだ。

「えっ、これ？　どうするの？」達夫がとぼけると、
「これっ……、これが欲しい」とはっきり言った。

　達夫は正常位で挿入した。志津子のクレバスは愛液に溢れ、下のシーツを濡らすほどだった。
　達夫は肉棒の先端をクレバスの入口で何度か上下させ、たっぷりと愛液をなすりつけた上で、まずはゆっくりと奥まで沈めていった。
　志津子は両手を上に広げ、全身を開くようにして達夫を迎え入れた。
　達夫は肉棒を奥まで差し込むと、今度はまたゆっくりと入り口近くまで引き抜いた。それを何度か繰り返すと、女は「うっ、ううーっ」と声を出した。
　達夫は女の内部での肉棒の動きを次第に早くしていった。すると女は、
「ひっ、いっ……、あっあっあっ……、いっ、いっ」と声をたてるようになり、男が本格的に腰を使い出すと、
「いいっ、いいわっ……、あっあっ……」と体をよじって悶えた。

　達夫も志津子の女陰の刺激で、射精の欲求が強まった。
　達夫は上半身を起こして、両手をベッドにつき、小刻みに腰を使って肉棒を女の器の奥で動かした。
　女は、「あーっ、怖い……、だめだめっ……、もうっ……、もうっ……、もうっ……」
　と叫んだ。
　その声を聞きながら、達夫も絶頂に登り詰め、肉棒に最後の力を込めて、今は最高に締まった状態になっている志津子の膣に、自分の精を思い切り放つのだった。