（「わからない・・なぜ、こんなことになったの？」）
　優香里は、スカートの中で蠢く男の頭を、無意識のうちに手前に抱き寄せながら懸命に考えていた。
（「あんなに嫌いだったのに、どうして？・・やッ、あっん！」）
　ショーツの股間部分から、男の指が何本か下着の中に潜り込んで来る。
　その間にも相手の舌は、彼女のショーツに浮き出た突起を、下から上に向かって何度も擦り上げていた。
　すでに優香里の下着の大事な部分は、男の舌先から滴る唾液によって湿り、透き通り始めている。
　やがて、スカートの中でショーツの股間部分を大きく捲り上げる気配がした。
彼女の陰毛に、男の荒い息がかかる。
「ハッ！・・だめッ」優香里は思わず、太ももを硬く閉じて、合わせた二本の脚をぴんと前に伸ばした。
　だが、この抵抗も長くは続かなかった。
　男が許しを乞う様に、優香里の太ももを撫で回しながら、下腹部にくちづけの雨を降らせ始めると、忽ち優香里の下半身から力が抜けて、腰が前に流れだす。
　男は優香里のガードが緩んだことがわかると、彼女の太ももの隙間を押し拡げて、そこに自分の体を割り込ませてくる。
　そして、カエルを飲み込むヘビのような執念深さで、再び、彼女の陰部に口を密着させてきた。
　男の指が、充血して硬くなった優香里の突起を直接撫で始める。
「う゛ぅー・・あぁ〜ん゛ーーッ！」
　やがて、拡げられた割れ目の間に相手の濡れた舌先が滑り込んで、素早く上下に動き出すと、もう優香里は何も考えられなくなった。
　腰から下が痺れたように感覚が無くなり、麻酔のような強い快感が、股間から全身に広がってゆく。
　知らないうちに背中が反り返り、腰が勝手に浮き上がり始める。
（「ハァ、ハァ・・凄い・・おかしくなりそう。もう・・どうなってもいい。」）
　男の巧みな口唇愛撫に完全に我を忘れた優香里は、全身の力を抜き、両脚を左右に開きながら、相手の舌をより深く自分の中へ導き入れようとした。
　男は、優香里が自ら脚を開いたのを知ると、身体を起こし、ゆっくりと立ち上がる。
　そして、ズボンのベルトを緩め始めた。
（「あぁ、止めないで。もっと・・はやく、夢中にさせて。」）
　巨大な男根が目の前で勃ち上がり、太い血管の筋を浮かべながら猛々しく咆哮するのを目撃した優香里は、自分からスカートの中に手を入れて、濡れたショーツを足首から引き抜いていた。


　あの男に出会ったのは、誰もいない真夜中の神社の境内だった。
　いつもの様に、近所の一人住まいの女の家から、夜間乾しされているエロい下着を何枚か盗み、盗聴電波でどこかの女のやっている声を聞きながら、夜通しでたっぷりと愉しもうとしている矢先だった。
　その男は神社の建物の裏から、何の気配もなく突然現れた。
　俺は最初、神社の宮司か、ここの管理人だと思った。
　だがそれにしては服装が変だった。
　黒っぽいスーツに黒の長いコートをはおり、黒の山高帽を目深にかぶっている。
　さらに、びっくりするほど背が高く、がりがりに痩せていた。
（「なんだ？、こいつ・・」）
　俺が、突然の事にびっくりして動けずにいると、相手の方が先に口を開いた。
「欲望を持て余しているようだね。」
「？・・誰だ、あんた。俺になんか用か？」
　てっきり警察の人間だと思った。夜間のパトロールにひっ掛かったのかと。
「怪しいものではない。君の味方だ。助けてあげようと思ってね。」
「何の話だ？、助けなんて必要ない。用がないなら、さっさとどこかへ行ってくれ。」
　はやく厄介払いをして、自分だけの世界に戻りたかった。
「女からの求愛に、飢えているのではないかな？」
「えっ？」
「偽りの媚ではなく、誠の性愛を捧げてくれる相手が欲しいのではないかね？」
「・・・」（「なんでわかるんだ？！」）
　図星だった。
　今、本当に欲しいのはそれだ。
　風俗では決して手に入らない、本当の満足。永遠の夢。
「確かにそうだけど・・代わりに何をすればいいんだ？、金はそんなに持ってないぞ。」
「恐がらなくてもいい。代償を求めたりはしないよ。」
　男は、自分の後ろから鞄を取り上げた。（一体どこから出したんだ・・）
　それから、一段と低い声で、俺に問いかけてくる。
「多少の犠牲を払ってでも、欲望を満たしたいかね？」
「ああ、可能ならな。」
　当然だった。初めて女を好きになって以来、相手の側から好意を持たれたことは一度も無い。
　いつも、金を払うか、騙して無理やり犯るか、その二つに一つだ。
　好きな女が、相手の方から喜んで身体を差し出してくれるなら、その場で死んでもいいとさえ思っていた。
　だがそれは、到底無理な話だ。
　俺はデブの上にチビで、さらに超のつく醜男なのは、自分でもよくわかっている。
「では、君にこれをあげよう。」
　男は持っていた小さな鞄から、巻き物のような物を取り出した。
　そして、それを俺に手渡す。
　暗がりの僅かな灯で表面を照らしてみると、
「蠱惑の呪」とある。
「それに書いてある事を、誰にも知られず、かつ相手にも悟られずに、全てやり遂げることが出来れば、相手は君の思うままになるだろう。」
　その男は、低く無気味な声で、俺にそう告げた。


　優香里は、知らないうちに相手の股間に見蕩れ、時間を忘れてしまっている自分に気がついた。
　目の前で、裏側を晒しながら熱り勃っているペニスを眺めているうちに、理由もなくそれが愛おしくなっていた。
　歓ばせてあげたい、カチカチに興奮してほしい、そんな気持ちが抑え切れない。
　うっとりと酔ったような表情になった優香里は、魅入られたように上半身を前に倒し、男の股間にゆっくりと顔を近づけてゆく。
　そして、ぶる下がっている長い陰嚢にそっと頬ずりをした。
　相手が優しく自分の頭を抱き締めるのが解った。
　両手で優香里の頭を抱き寄せ、彼女の顔を股間に押し付けようとしている。
「ハァ、ハァー・・」
　頭上からは男の荒い呼吸音が聞こえてくる。
（「なぜかしら？、すごくドキドキする。」）
　まるで愛する人が、自分の身体で激しく興奮してくれているような錯覚に陥る。
　この時、優香里の頭の中からは、相手の顔も体型も消し飛んでいた。
　ただ、激しく興奮しながら、勃起したもので自分の腹を叩く、逞しい男の姿だけが目の前にあった。


　家に戻り、早速巻き物を調べてみた。
　漢字は古い字体だが、文章そのものは読めなくはない。おそらく昭和初期に書かれたものだろう。
　そこには箇条書きで次のような事が書かれていた。

１．意中の人の、月の血を手に入れること。
２．新月の日の午前２時から３時までの間に、自らの精でその血を３度以上犯すこと。
３．その日のうちに、相手の居所から見て南東の方角にその血を埋めること。
４．全ての淫欲を絶ち、一月の間、毎日、祠に参り、ことの成就を願うこと。
５．以上の事を、誰にも知られずに行うこと。

　全く馬鹿げた内容だったが、読み終わった時には、これを実行してみよう、という気になっていた。
　昨夜のあの男の雰囲気が、俺にこの内容を信じ込ませたのだと思う。
　それに、この時の俺は、死にたくなるほどに異性からの愛欲に飢えていた。
　まさに、溺れる者は藁をも掴む、だ。


　優香里は、男の股下に身体を沈め、相手の陰嚢を口一杯に含んでいた。
　口の中の大きな玉を、一つ一つ丁寧に舌の上で転がす。
　夢中になった男が、紫色に怒張した肉茎を扱いている。
　それに気づいた優香里は、そっと相手の手を留めると、代わりにその白く繊細な指で、優しく男の裏側を撫で上げ、さらに柔らかい掌で熱い先端を包み込んだ。
「あ！・・うっうぅー」
　すかさず、男の低い呻き声が漏れる。
（「触る度に跳ねてるわ・・とても感じてる。」）
　優香里の奥底から、例えようのない満足感が込み上げてくる。
　男が、自分の愛撫に敏感に反応して、歓んでくれる事が、純粋に嬉しかった。
　男の先端から溢れ出た粘液は、もう、彼女の右手をぬるぬるに濡らしている。
　優香里は、右手を捻る様にゆっくりと回しながら、男の裏側にそっと唇を近づけた。
（「この人を、もっと歓ばせてあげたい。もっと奉仕したい。」）
　いつの間にか優香里の頭の中にあった、醜く汚い小男の記憶は跡形もなく消え失せて、かわりに初で純真な男のイメージが心の中を占領していた。
「アッ、うッ！・・おぉーッ」
　優香里が亀頭の裏側を柔らかい唇で包み込み、その中で尖った舌先を振動させ始めると、男は堪らずに全身をブルブルと震わせながら彼女の肩に両手を突き、歓喜の絶叫を上げた。


　ターゲットはもう決めてある。
　同じマンションの２０３号室に住む、優香里だ。
　都内の一流企業に勤めるＯＬで、歳は２４才。
　知的で物静かなタイプで、俺の知る限り恋人はいない。
　背が高く、ほっそりとした体型をしている優香里は、いつも、清楚で上品な印象の服を着こなしている。
　俺は日頃、遠く離れた場所から彼女の優雅な姿を眺めながら、その姿からはまったく想像が出来ない、セックスに狂う彼女の肢体を思い浮かべて、ひとりズボンの前を膨らませていた。
　そう・・まさに高嶺の花だ。
　幸いなことに、階段下から彼女のスカートの中を盗撮した写真が多数ある。
　綺麗な脚と上品な下着の組み合わせに興奮して、何度抜いたことか・・
　あの写真を調べれば、ショーツの中のインナーから、メンスの日が判るだろう。
　後は、ゴミを漁るだけだ。
　形や中身から、優香里の部屋から出たゴミ袋はすぐに判る。
　いつものように、ゴミ収集車が来たタイミングで、間違って大事なものを捨ててしまった、と言ってゴミ袋を返してもらえばいい。
　特に難しいことはないはずだ。
　これで、使い古しの優香里の下着で自慰に耽ける日々も終わる。
　その日が今から楽しみだ。


　男のペニスが、優香里の口の中で一杯に跳ね上がったまま、小刻みに震え出した。
　もうほとんど爆発寸前なのがわかる。
（「いいのよ・・このまま出して。全部飲んであげる。」）
　優香里は今まで浅く咥えていたペニスを、先端が喉奥に当たるまで深く飲み込むと、舌を裏側にあてがったまま、顔を左右に振り始めた。
「おぁッ！・・うおッ・・くうぅ〜〜」
　見境の無くなった男が、無我夢中で優香里の頭を抱き寄せ、両腕で強く抱き締めてくる。
　太いペニスが、無理やり根本まで優香里の口の中に捩じ込まれ、彼女の高い鼻が、出っ張った男の下腹にめり込む。
　男は優香里の頭を抱えたまま、何度か腰を突き上げると、その直後に最初の絶頂を迎えた。
「おうぅツッ・・う゛〜・・あ゛ーーッ！」
　大きく弾んでいた陰嚢が、優香里の顎の下で小さく縮み上がリ、男の膝がガクガクと前後に揺れる。
（「？・・ぐッ！・・ッーーーー！」）
　ドッビューッ、ドクッ、ドクッ、ドクンッ・・
　凄い量だった。まるで何ヶ月も射精をしていないような・・
　どろどろの熱い飛沫が、優香里の喉奥に何度も叩き付けられ、そのまま生暖かい奔流となって食道を流れ下る。
　鼻からは、生臭い栗花の匂いが、蒸気のように吹き抜けてゆく。
　ンッぐうッ・・ごくッ、ごくッ・・
　優香里は、鵜の様に何度も喉を膨らませながら、男の欲望を一滴残らず飲み干した。
　力強く脈動を繰り返した男のペニスは、優香里の口の中に大量の精液を流し込むと、ようやく力をなくして、彼女の舌の上で腹這いになった。


　今は午前２時４０分、３回目の射精を終えたところだ。
　沢山の使用済み下着と盗撮写真があれば、１５分ごとに勃起することはそれほど難しくない。
　今日の新月の夜のために、抜かずに溜めておいた成果だ。
　ビニール袋に入れて冷蔵庫で保管しておいた、優香里のナプキンは、目の前で真っ白になっている。
　これからこれを、隣りの公園まで埋めに行く。
　公園は、２０３号室の優香里の部屋から見ると、丁度南東の方角にあたる。
　今なら誰にも見られることはないだろう。
　後は一ヶ月我慢するだけだ。
　何としてもやり遂げてやる。何としても・・


「はぁー・・ふぅ〜」
　男は、充分に女体を満喫して、大きな吐息をはいた。
　豊かな乳房を男の太ももに押し付けるような格好で、相手の腰に抱きついている優香里は、先程から、毛むくじゃらの男の腹から胸にかけて、吸い付くようなくちづけを繰り返していた。
　男が、バストが見たい、という素振りを見せたので、ブラを外した。
　その時の男の態度が、優香里に予想外の変化を与えた。
　男は、ギラギラと目を輝かせ、涎を垂らしそうな表情で優香里の裸の胸を見つめながら、柔らかくなったペニスを扱き立てたのだ。
　忽ち男のペニスは固さを取り戻し、優香里の目の前で、垂直に勃ったまま頭を振り始めた。
　以前だったら、すぐに「気持ちが悪い。」「しつこい。」と、思っただろう。
　でもなぜか今は、「とてもかわいい。」と感じてしまう。
　男が優香里の手をとり、自分の股間へと導く。
　もう一度して欲しいのだ。
　触ってみると、もうカチカチになっている。
　このまま愛撫を続けたら、きっとまた、すぐに逝ってしまうだろう。
　優香里は一旦男の肌から身体を離すと、後ろのソファーに背中を預けた。
　それから、男の目をじっと見上げながら、スカートの裾に手をかける。
　妖しい微笑みを浮かべた優香里は、スカートを胸のあたりまで大きく捲り上げると、両脚をＭ字に持ち上げた。
　掴めそうに細いウェストと、綺麗に手入れをされたピンクの陰部が、男の目に晒される。
　限界まで血液を送り込まれたペニスが、男の弛んだ腹に貼り付いたままになった。
　男は、嬉々とした表情でこの光景に見蕩れている。
「きて・・」
　さらに優香里は、恋する人を誘うように、男の手を取り、その手を静かに自分の方に手繰り寄せる。
　そして最後に、空いた方の手を自分の股間へ伸ばし、人差し指と中指で、濡れた割れ目を左右に押し拡げてみせた。
　男に対しての、とっておきのサービスのつもりだった。


　もう限界だ。
　２、３日前から抜きたくて、抜きたくて、仕方がない。
　昼休みなど、ぼーっとしている時に勝手に勃起していることがよくある。
　夢精も駄目なのだろうか？、今はそれが一番心配だ。
　これまでのところは、とてもうまくいっている。
　夜中の誰もいない時刻を見計らって、神社に通い出してから、明日で３０日になる。
　刺激を避け、興奮しないように心がけながら、ただ、優香里とのセックスを夢みて祈り続けてきた。
　あと数日・・今はただ、無事に過ぎることを願うしかない。


　興奮した男が、一杯に勃起したペニスを振り立てながら、仰向けに寝た優香里の上に覆い被さってくる。
（「お願い、もう一度・・」）
　まだ白く濡れた舌根が乾ききっていないせいか、男のどろどろとした精液の感触がどうしても忘れられない。
　優香里は、身体を開いて男を迎え入れながら、心の中で、迸り出るような力強い射精を願っていた。
　身体の奥に流し込まれるような、あの充足感がまた欲しい。
　もう一度。いえ、せめて・・あともう２回。私のお腹の中に、あの熱い精液をたっぷりと流し込んで欲しい。
　長い両脚を相手の腰に回して、太った男の身体をしっかりと銜え込んだ優香里は、次に、両腕を男の背中に回して、相手の上半身にきつく抱き付く。
　そうしておいて、赤い唇で相手の口を完全に塞いだ。
「ん・・ふ・・」
　深く吸い付かれ、淫魔のように長い舌で、口の中を隅々まで探り回すように愛撫された男は、あまりの嬉しさに悶絶してしまう。
（「さあ、はやく・・頂戴。」）
　さらに、催促をするように、下になった優香里が大きく腰を使い始める。
　優香里の細いウェストが、波打つようにくねると、男のペニスが彼女の身体の中でさらに太く膨れ上がり、ドク、ドクと脈打つのが判った。


　こんなにうまくいくとは思わなかった。まるで夢のようだ。
　今、俺の部屋にあの優香里がいる。
　挨拶をしたところまでは、いつもと変わらなかった。
　顔を見ないで頭を下げ、何も言わずに遠ざかろうとする。
　毛嫌いしているのが、痛いほどによくわかる態度だ。
　だが、そこから先が全然違った。
　挨拶をする俺の声を聞いた優香里が、顔を上げて俺の顔をまじまじと見詰めている。
（えっ？！、まさか・・）、その瞬間、俺はそう思った。
　気を良くした俺が彼女の方に一歩近づくと、優香里が俺の匂いを嗅ぐ仕草をしているではないか。
　目を瞑り、気持ちがよさそうに俺の体臭を胸一杯に吸い込んだ優香里は、その目を開くと、頬を赤く染めながら、うっとりと酔ったような瞳で俺に微笑みかけてきた。
　その時俺は、多分、「俺の部屋に来ませんか？」と、言ったと思う。
　興奮していて、よく覚えていない。
　彼女は素直に俺の後についてきて、俺の部屋の一つしかないソファーに腰を降ろした。
　そして、すこしまえから、膝が触れるほど、すぐ近くに並んで座り、お互いに相手の目をじっと見詰め合っている。
　俺は思い切って、優香里の手に触れてみた。
　抵抗しようとしない。
　それどころか、俺の手を握り返して来る。
　俺は優香里の手を自分の両手で包み込むと、片方の手を彼女の二の腕までそっと滑らせた。
　そのまま、ゆっくりと彼女の腕を撫でる。
「あ・・はぁ〜・・」
　彼女は大きく息を漏らすと、疲れたように、ぐったりとソファに背中を凭れかけた。
　これは好きにしていい、という合図だと思った。
　俺はソファから腰を下ろし、優香里の膝の前にしゃがみ込むと、彼女の脚に手を伸ばしていた。
　やはり抵抗しない。
（「もう大丈夫だ。うまくいった！、やっぱり、あの呪文は本当だったんだ。」）
　狂喜した心臓が、早鐘の様にドクドクと脈打ち出す。
　我慢出来なくなった一物は、ズボンの前を突き上げて強烈に勃ってきた。
　俺は急がないように注意しながら、汗ばんだ右手を彼女のスカートの中へそっと滑り込ませた。


　もう気が狂いそうだ。
　ついさっき、女の口の中で、一ヶ月ぶりの射精をした時には、突き抜ける快感で腰が抜けそうになった。
　それから、優香里が自分から股を開き、夢にまで見たあそこを、一番奥まで見せてくれた時には、興奮し過ぎて、勃起したあそこが腹に貼り付いたままになってしまった。
　今もまた、優香里の上に覆い被さり、耳元で彼女の喘ぎ声を聞きながら、甘い香りを嗅いでいるだけで、もう逝ってしまいそうになっている。
　あぁ、彼女が自分から口づけをせがんできた。
　ハァ、ハァ・・ッーー・・なんて柔らかいんだ。しなやかな舌が、吸い付く様に絡みついて来る。
　いい匂いだ・・堪らない。可愛くて、愛しくて、食べてしまいたくなる。
　あッ・・うぅ〜だ、駄目だ。そんなに腰を抉ったら・・やめて、アッ！、アッ！、あ゛ーーッ
　・・・
　また、彼女が求めて来る。
　下から打ちつける優香里の腰の振動で、俺の腹がブルブルと震えている。
　中は、温めた餅の様にドロドロだ。前後する度に絡みついてくる。
　あぁ、気持ちがいい・・まるで天国にいる様な気分だ。
　また硬くなってきた。
　さっきの出し尽くすような射精のせいで、先端が熱くなったまま、まだ感覚が無い。
　しかし、こんなにセックス好きな女だとは思わなかった。
　これもあの呪文のせいだろうか？
　優香里が上になりたがっている。やはり、俺が重た過ぎるのかもしれない。
　・・・
　俺の腰の上に跨がった優香里が、物凄い勢いで腰を振り始めた。
　俺の胸に両腕を突いて、狂った様にへそを抉りたてている。
　ああ、いい眺めだ・・優香里の引き締まったウェストが卑猥に捩れて、その上の美しいバストが弾むように揺れている。
　目を瞑り、恍惚とした表情を浮かべた優香里は、強弱をつけながらあそこを収縮させて、俺の一物を扱き続けている。
　あぁ、このまま時間が止まればいい。
　ずっと離れたくない。一生こうしていたい。


　一体どうしたの？
　気を失うような快感から目覚めると、ガマガエルのような男の上に跨がっていた。
　下を見ると、あそこからは、その男の白い精液が流れ出している。
　男の醜い顔を見た途端、嫌悪と恐怖が優香里の背中を駆け上がった。
　見るのが嫌で、道で会ってもいつも顔を背けていたあの男の顔だ。
　すぐに、転がり落ちるようにして、男の腹の上から飛び降りた優香里は、思わず引き裂くような悲鳴を上げた。
　それから、周りを見回して、脱いであった自分の服を急いでかき集めると、部屋の外に飛び出した。


　夢のような３度目の射精の直後だった。
　腰の上で愛しい優香里を躍らせながら、人生で最高の、燃え尽きるような絶頂を迎えた。
　痺れるような射精の余韻に浸りながら、彼女の脚をそっと撫でてていると、眠りから目覚めた優香里が、脅えたような表情をしていることに気がついた。
　どうしたの？、と声をかけようとしていると、突然彼女が、俺の上から転がり落ちて、凄まじい悲鳴を上げた。
　びっくりした俺が、凍りついたように動けずにいると、彼女はそのまま、逃げるように部屋を出て行ってしまった。
　俺は今、全裸のまま、呆然とソファの上に座り込んでいる。
　なぜ？・・
　もしかすると、呪文の効果は長くは続かないのかもしれない。
　でも、どうして突然もとに戻ってしまったのか？、時間？・・いや・・回数？
　玄関のドアを乱暴に叩く音で、ハッと我に返った。
　ドアを開けてみると、警察官を連れた優香里が、なにか叫んでいた。
「この人です！、この人が私を部屋に連れ込んで、乱暴したんです。」
「ち、違う。」俺は必死に弁明しようとした。
　だがすぐに、ある事に気がついた。
（「部屋を調べられたら・・」）