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もう３年前に別れてはいた。人妻雪子とはその後も友人としてメールのやり取りをした。でも、今の僕には新しい恋人ができていたし、今までとは違いそれはかなり真剣な恋愛になっていたから、どうしても雪子との関係はかつてのようには考えられなかった。
ネットから始まった僕の仮想恋愛は現実のものとなり、そして終わった。しかし彼女にとってこの恋は終わっていない。もちろんそれは分かっていたが未練を残すのは残酷というものだ。そう思いつつ、それでも今まで数度、かつての遊びを思い出して、電話でオナニーを手伝わせたことがある。でもお互いそれが気まぐれであることは確認の上だった。
テレフォンセックスの時、
「ほんとに犯されたみたいです。やっぱり先生のペニスが懐かしい・・・」
とつぶやいた雪子の声は本心だっただろう。でもこれ以上近づけば、二人はメル友でもなくなってしまうことを雪子は分かっていた。
僕と別れた後、雪子はある既婚男性と付き合い始めた。別れた彼氏に未練があることを知りながら、それでも雪子との交際を切望する男性だという。とても大切にしてもらっています、と雪子は満足げだった。
ただセックスには満たされない。技巧も一級で気持ちのこもったセックスだというが、その男性とはあの時のような快楽は得られない、と雪子は愚痴った。大きさが普通だからつまらない、と彼女はいう。でもそれだけではない。
「きっと想像力が足りないというか、遊び心が無いというか・・・」
雪子の不満の真意は分かっている。遠隔操作ですっかり調教されてしまった彼女には、週に一度、普通にデートできる相手には満足できない性癖がしみ込んでしまっている。
「先生に犯されているところ思い出しながら自分でする時が一番いいんです、彼とのセックスでも実はそうしてる、ひどい女でしょ」
などと彼女はいう。
彼とはうまくいっていますよ、といいながら雪子は、かつて子どもの塾の講師だった５０代後半の男性と親密なメールを交わすようになったという。ありきたりの性的満足ではない背徳の愉悦を与えてくれる相手を探して、雪子は今も仮想空間にさまよいだそうとしている。
そんな雪子は、ごくまれに、しかし赤裸々に、恋愛相談を装って男との関係を報告してきた。
「男性心理を教えてください。お暇な時に返信いただければ」
というメールは、実は僕の性的興奮をあおるための道具だった。
「彼が撮ったわたしの画像、日記サイトに載せてるんです。もしよろしければ・・・」
見てみると、そこには雪子のデート日記がつづられており、顔の部分は加工してあるものの、はっきりと雪子とわかるいくつもの画像が貼り付けられている。
彼が撮影した扇情的な画像は二人の恋愛日記を飾り、そのせいか閲覧者はかなりの数のようだ。二人はお互いのセックスを称賛し、満足げな日々の様子が楽しく描かれている。美貌の人妻を手に入れた男性は、自慰にふけり、騎乗位でつながったて身体をのけぞらせる人妻の姿を撮影し、仮想空間に自慢げに公開する。獲物を見せびらかしたいオスの心理だ。
雪子はそれらの写真を僕に見せるために撮らせている。その日記を見れば僕がそう感じることを、雪子は知っている。
そうやって煽られながら、ある日、僕は策に落ちてしまった。僕はしばらく躊躇していた。抱いたらまた元に戻ってしまう気がしたし、今の彼女への申し訳なさもある。今の僕は心身ともに満たされている。
雪子はそれを知っているから、一生懸命にハードルを下げてくる。
「つまみ食い、でいいでしょ？ 好きなことだけして、それで終わりでいいじゃないですか」
「性欲のはけ口」という言葉攻めの常套句を、今度は雪子が使って僕を誘う。
「今の彼女さんがしてくれないようなこととか。遊びでいいじゃないですか。先生今でも自分でなさるんでしょ？ それなら代わりに私のお口を使っていただければいいじゃないですか」
結局、二週間後に羽田のホテルで、という約束をした。
「その日は安全日です、ほんとは中に出してほしいな」
飛行機をとりましたというメールの最後に、彼女はそう書いてきた。こうして３年ぶりの空港のホテルでの再会となった。
日帰りだから滞在時間は２時間ほどだ。僕は先に部屋に入り、シャワーを浴びてベットで待つ。彼女から今着いたとのメール、予定時間を少し遅れている。部屋番号を教えると、しばらくしてベルが鳴った。前と同じだ。
「３年ぶりですよ、歳をとったからお目にかかるのが恥ずかしいです」
メールでもさかんにそれを繰り返していた。身体の線もかつてのようではないから、部屋は暗くしてほしいとも。
「変わっていませんよ、前と同じです」
そう言いながら僕は雪子を抱き寄せキスをする。かすかな体臭がかつての記憶がよみがえらせ。
彼女はパンプスとストッキングを脱ぐとすぐに僕をベッドに横たわらせ、バスローブの前を開いて、すでに堅くなりつつあるペニスにしゃぶりついた。
久しぶりの再会だが、そんな会話をすることもなくいきなり性技が始まる。
「安心してください。よりを戻したいと思っているんじゃありません、ほんとです。恋愛感情は満たされてますから。ただ、先生とセックスがしたいだけ。ご自分ですることがあるなんて聞いたら、そんなのもったいなくて！」
僕の警戒心を知って、雪子はこんな内容のメールを幾度も送ってきた。
「僕の性欲処理だからセックスはしませんよ、口だけで気持ちよくしなさい、オナニーしながらでいいから、イヤラシイ喘ぎ声出しながら肉棒に奉仕しなさい」
「はい、手は使わずに、先生がお好きなフェラだけします。でも、上手にできて満足していただけたら、ご褒美をおねだりしてもいい？ 一回は先生の巨根で犯してほしいな・・・」
「約束はしないよ、フェラが気持ちよかったら一回だけ犯してやるかもね」
会う前にこんなやり取りをして官能のボルテージを高めていくのはかつてと同じやり方だ。ところが約束の日の数日前、彼女は生理になっていた。
「神さま、いじわるです。いけないことしてるからですね、きっと」と彼女。
「だからお口で全部します、飲ませていただければわたしそれだけで感じますから」
実はかつて生理中にセックスしたことは何度もある。だが今回彼女はそのことには触れてこなかった。
「ああ、やっぱり大きい、久しぶりだとお口に入りません・・・」
そういいながら丹念に舌を這わせ、鬼頭をしゃぶり、袋を舐め、あらんかぎりの性技を使って雪子は奉仕を始めた。
しばらくそれに身をゆだねながら、僕は一枚ずつ彼女の衣服を剥ぎ取って行く。あらわになった乳首をいきなり乱暴にひねると、雪子は悲鳴を上げた。
大きく息を吸い込みながら、フェラは続く。雪子は乳首への愛撫を受けやすいように自分から身体の向きを動かし、手と口でペニスを愛し続けた。
「手はダメだよ、口だけでイカせられるんだろ」
僕はかつてのように冷たく命じる。
小さくうなずいて雪子は、あおむけに寝た僕の股間で、唾液でべとべとになったペニスを口に含み、上半身ごと頭を上下させている。僕はときおり乳首をひねり、乳房をつかみ、気まぐれに彼女の身体を弄んでいる。
「ハァ、あぁ」
全身を紅潮させ、ときおり苦しそうに喘ぎ声を漏らしひたすらペニスにしゃぶりつく彼女に、僕は次第に欲情した。髪の毛をわしづかみにし、腰を突き上げ雪子の口を犯した。雪子は苦しそうに全身に力を入れる。
「ヒ〜、ング、ング」
悲鳴と呻き声に促され、僕は乳房をさらにねじあげ、イクぞと声をかけた。
シーツをつかんだまま全身をこわばらせる雪子の口の中に、僕は一度目の射精をした。
ビクン、ビクンと波打つペニスを口全体に頬張り、唇でギュッと締め付けたまま、雪子はしばらくそのまま動かなかった。
目を閉じ、苦しそうに、僕がたっぷりと放出し終わるまでの間、雪子は口全体でペニスを感じているようだった。
脈動がおさまると、今度は締め付けていた唇をカリ首の方まで移動させ、根元から指でゆっくりと精液を絞り出すようにしごいていく。
「ハァ！」
っと、ながい潜水から水面に戻った時のような息をつくと、雪子は片手でペニスを握ったまま天をあおぎ、口の中の精液を味わってからゆっくりと喉の奥へと飲み下した。上体をそらせ、少し糸を引く舌なめずりがなまめかしい。
雪子の手の中で僕のペニスは再び充実感を取り戻していく。それに気づいたように雪子は再びペニスに吸い付くと、絞るような愛撫を再開する。
「小さくなってからじゃないと全部お口に入らないのに・・・」
そういいながら、少し硬さを落としただけのペニスを深く呑み込み、舐め回し、吸い付き、ねっとりとした愛撫をやめない。
雪子はときおり口を放し、手でしごきながら最近の様子を報告する。恋愛感情が伴う性技というより、プロの仕事のような振る舞いだ。
生理がまだ終わっていないから、と彼女はパンティを付けたままだった。その姿の不自然さも、これがロマンティックなデートでないことを印象づけている。
たしかに身体の線はかつてのようではない。太ったのに乳房は少し小さくなった、と自分で嘆くとおりかもしれない。そんな彼女がたわいないお喋りをしながら、ペニスをしごき、しゃぶっている。
この状況が、なぜか僕を欲情させた。ペニスはすぐに硬さを取り戻している。僕は起き上がると雪子をベッドに押し倒し、最後の下着を剥ぎ取ろうとした。
「ごめんなさい！！ お願いです、自分でしますから」
と、慌てふためいた雪子は僕に背を向けるようにしてベッドの端に座ると自分で全裸になった。中を確かめたのかもしれない。
「もう、だいたい終わってるんですけど。もしかしたら汚してしまうかな・・・」
と小声でつぶやく雪子を、僕はもう一度押し倒し、彼女の両腕を頭の上で交差させるようにひねりあげ、乱暴に乳房にしゃぶりついた。
雪子は大きな悲鳴を上げた。痛かったからだろう。それを知りながら僕はさらに乳房を責め続けた。身体は責めに抵抗するように、快感に応じるように激しくのた打ち回る。
「あ、あぁ、あっ、うっ、うっ」
喘ぎ声を押し殺すようにして、雪子は責めに応じた。
押さえつけた手を放し、今度は舌でやさしく乳首を愛撫する。舐めあげ、吸い付き、歯を当てて軽く噛むようにすると、雪子は深いため息をつきながら身体をそらせた。
「あ〜〜！！ あっ！！ ダ、ダメ・・・、これだけで・・・ イキそうです」
目を閉じた雪子が絞り出すようにそういうと、僕の身体に組み敷かれた雪子の全身の筋肉が今までにないような動きを繰り返した。
僕は雪子の秘部の入口にペニスをあて、指で乳首をころがしながらささやいた。
「さあ、どうしてほしい、いってごらん」
「お、お願い、センセイ・・・、い、入れてください・・・」
声にならないような声だった。
「ん？ フェラだけでもといったじゃない？ お口に精液をいただければ満足ですといったのはあなたですよ」
意地悪な僕の言葉に雪子は何度もうなずきながら、ペニスを飲み込もうと自分で腰を動かしていた。
かつてはこんな状態を楽しみながら、言葉でじらし、辱め、精神的に貶めたあげく、ようやく肉体的な快楽を与えたものだ。性奴隷にしてください、なんでもしますから恥ずかしいこと命令してください、だから犯してください、と何度も哀願させた末の結合だった。
しかし今の気分はそうではない。僕はすぐに彼女の要求に従った。クンニをしなかったのは出血があるかもしれないから多少気が引けたこともあるが、文字通り、この女を自分の性欲のはけ口として扱ってやりたかったかもしれない。
陰毛はすでに愛液にまみれている。ピンク色に露出したクリトリスをペニスでいたぶってみると、割れ目からはさらにじっとりと愛液があふれ出ている。入口にあてがい挿入に移ろうとしたとき、
「大きいから入らないかも、久しぶりだから・・・」
と雪子は急に冷静な声を出す。
いじめてやりたくなり、先ずは鬼頭だけを挿入、さっきのような乳房と乳首への攻撃を再開した。
「ヒ〜！！」
と彼女は再び悲鳴をあげ、僕の二の腕をつかんで
「ダメ、ダメ、ダメ、ダメ、、、、」
と首を振り続けた。
身体を起こし、軽い挿入のまま指でクリトリスを弄ぶ。
「あ〜〜！！ ダメ、ダメ、そうしたらイッちゃう、もうダメ、ダメ！！」
先端だけが締め付けられているせいもあるが、雪子の締め付けは痛いくらいだった。
僕はそのままゆっくりと奥まで突き進んだ。裸身のままだ。
すぐにペニスの先端が一番深い部分に到達する。
「ヒ〜！！ あ〜〜〜〜！ あっ、あっ、あっ！！！」
と彼女は顔をゆがめながら声を上げ続ける。身体をひねりながらのけぞるのはかつてと同じだ。
「もう奥まで届いてるよ、お前の小さなおまんこじゃ根元まで全部入らないぞ、おい！」
僕がなじるようにそういうと、雪子は、
「すごい！ やっぱりこれがいいです！！ 奥を突いてください！！」
と絞り出すような声でピストンをせがんだ。
「お願いします、だろ！」
という言葉に雪子は
「ダメ！ もうイキそうです・・・、もうダメです！！ あっ、ああ、あっ！！ い、いいですか？ イカせてください！！」
と泣きそうな声で答えた。
「イケよ、何度でもイクだろ、俺が達するまでお前は勝手に何度でもイキまくるんだろ、淫乱女！！ ほら大好物のペニスで犯されて満足だろ！！」
そう言いながら初めてのピストン運動を開始すると、雪子は
「イク、イク、イク、イク・・・」
と連呼しながら、しばらく息を止めたまま全身を硬直させたかと思うと、どっと身体の力を抜いた。
雪子は感じやすい女だ。挿入中は何度でも頂点に達した。それを焦らしたりして遊ぶのが彼女とのセックスだった。僕は雪子の腰を両手で押さえつけ、深い挿入でピストン運動を再開した。
「もっとやられたいだろ！ 乱暴に？ え？！ 犯されるのが好きなんだろ？！」
そういう僕の二の腕に雪子はしがみつきながら、
「そうです！ 乱暴に犯して！！ 痛くしてください！！ わたしを犯して！！」
と叫び自分から腰を押し付けてくる。
そのまま加速すると雪子は大声を上げて絶頂に達し、また達し、おそらく立て続けに４〜５回は快感の頂点に上り詰めていた。
僕にはまだ射精の気配がない。かつてのようにイケないのはどうしてだろう、などと冷めた考えすら浮かんでくる。二の腕に爪痕がついたら困るな、などという心配もよぎる。
そんな雑念を振り払うようにさらに腰を振り、乳房を両手で握った時、雪子は、
「お、お願い、ちょっとだけ休ませてください、ダメ、ほんとにもうダメです！ あの、先生、お願い、ほんとにもうこれ以上は身体がもちません」
といって僕から離れようとした。
これはレイプごっこの誘いなのか。本気でそういっているようにも思えた。かつての僕ならここで彼女を組み敷き、泣いて嫌がる声に欲情しながら一気に果てたに違いない。実際に何度もそうしたし、その結果彼女が気を失ったこともあった。
しかし今日の僕は雪子の言葉に従った。腰の動きを止め、硬直しきったペニスを彼女から引き抜き、水を一口飲んでからあおむけになった。
雪子は息も絶え絶えという様子だったが、思い出したように僕のペニスにうっすらと血がついているのを見ると、慌ててタオルでぬぐい、再び舌を這わせ始めた。
激しい刺激のあとのソフトなフェラはくすぐったいだけだ。
「跨いで」
という一言に、彼女は騎乗位になって腰を振り始めた。
奥にペニスの先端をこすりつけるようなグラインドの仕方は変わっていない。下から乳首をつまむと、ヴァギナがきゅっと収縮する。
快感に震える雪子の顔を見上げながら、かつてのように気持ちが高ぶらない自分を発見していた。ペニスは相変わらず硬いままで雪子を突き上げている。彼女はかつてのように、ひそかに小さなアクメを何度も味わっている。イキすぎるのは恥ずかしいからと、僕に隠れるように小さなアクメを何度も繰り返し味わうのはかつてと同じだ。
それでも僕自身はこのままではイケないような気がしていた。尻をつかみ、動きを封じてから荒々しく突き上げる。雪子は再び絶叫し、涙をにじませながら痛みとともに快楽に溺れている。これが絶景でなくてなんだろう。締め付ける圧力も申し分ない。それでも僕の気持ちは冷静なままだった。
まだ一度しか射精していない僕に気を使って、雪子はフェラと騎乗位を繰り返したが、僕はついに中に出すことはなかった。
「ごめんなさい、先生は一度しか・・・」
そういう彼女に
「雪子さんは十回？ いや、二十回？ もっとイッたでしょ？」
と意地悪に聞くと、
「はい、久しぶりに最高のセックスでした、もう全身ガタガタです、このペニスじゃないと味わえない感覚があります」
と真面目に答えた。
もともとロマンチックな女性ではなかったのかもしれないが、二人の会話はもはや恋人同士のやり取りではない。
「でも、ごめんなさい、あまりよくありませんでしたね、先生にとっては・・・。先生はすごく素敵、痩せたでしょ？ 前よりかっこよくなっていました。それにこんなに強くなって、前よりすごいです」
「まあ、今日は時間制限があるし、一回だけ。歳とって遅漏になったかな」
よ微笑むと、
「女性をたくさん感じさせられるんだから、その方がいいじゃないですか、すっごく強い・・・」
「時間があれば３〜４回はイケますよ、今でもね」
そういって笑うと、
「前はそうしていただきました、たくさん・・・」
といった顔はすこし寂しげだった。
テレビにはフライトインフォメーションが映し出されている。時間を気にしながら彼女は身支度を整え、
「すみません、そろそろいかないと。先生はどうぞごゆっくり。あの、ホテル代はわたしが」
と封筒を手渡す。雪子は微笑みながら丁寧にお辞儀をしてそそくさと部屋を出た。
実際の費用よりも多い金額が入った封筒を手に、僕は、雪子とはもう会わない方がいいな、と自分に言い聞かせた。
雪子とのセックスはかつてのようによくは無かった。本当はあの頃もあまりよくなかったのかもしれない、とすら思えてしまう。
もちろんこれは僕の気持ちの問題だ。おそらく世の男性は誰でも、今の雪子に最高の賛辞を送るはずだ。だが僕はもう彼女を求めてはいない。
会わない。きっと会わないだろう。会うとしても、文字通り、性欲のはけ口としてあの身体を使わせてもらう、ただそれだけのことだ。
いや、おそらくそんなこともしない。恋愛感情抜きのセックスは、もはや僕に快楽を与えてはくれない。雪子との再開で学んだことは、意外にもこのことだった。
しばらくして雪子からメールが来た。先日はありがとうございましたというあっさりとしたあいさつに続き、新しい男性との関係について助言が欲しいという。その男性とは一度ドライブデートしたが、その時も身体は求めず、かえって真剣に交際したいと口説いてきたらしい。婚外恋愛だから真剣な交際という言葉はピンと来ないのはよくわかる。雪子は相手の真意を測りかねている、という。
「まあ、最終的にはセックスが合うかどうかでしょ？ 一度してみたら？ それで相手が雪子さんの身体に溺れてしまうとやっかいですが、もしかすると最高のセックスができる相手かもしれないし。試食の価値ありでは？」
僕からのこんなメールに雪子は、
「そうですね、意外と巨根だったりして！ 溺れるようなセックスができればそれはいいことだし、先生にも」
妙にまじめな男性の場合、一度身体を合わせた相手を傷つけることもある。
「トラブルにならないようであれば、一度寝てみたら？」
「はい、それはだいじょぶ！ こちらから飛び込んで一度溺れてみます」
と返してきた。
しばらくメールは来ないだろう。しかし必ず報告のメールが来る気がする。詳細な、僕の嫉妬心をあおるような内容のメールがそのうち届くはずだ。どう返すか、その時の自分にゆだねるしかない。
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