５

「かわいいよ。」
　ひとしきり乳首への愛撫を終えると、タカシは一歩後ろに下がり、全裸の私を眺めてそう言った。私は両手を後ろの岩について身体を支えたまま、彼の視線と真夏の日差しに一糸まとわぬ裸体を晒し続けた。無意識に交差させた両脚の付け根の辺りで、私の女の部分が目覚め始めるのが分かった。
「恥ずかしい？」
「うん・・・。」
　私が頷くのを待たず、タカシは私の股間へ顔を近づけていくと両手で腿を持って左右に広げた。裸足の足が、くるぶしほどの浅いせせらぎの中に入ってポチャリと音を立てた。
（冷たい・・・んっ！）
　火照った体を冷水が冷やすのを許さないように、タカシは素早く私の股間に顔を埋めた。割れ目を開いて侵入した私の身体を知り尽くした舌が、ヴァギナの前後を数回動いた後にクリトリスを正確に刺激し始める。
「あはぁっ！」
　私はたまらずに小さな喘ぎ声を上げた。腰がガクリと下に落ち、あわてた両脚がバシャリと水音を立てながら足場を探した。タカシはその隙を逃さないとばかりにクリトリスに吸い付くようにして口を付けると、むき出しにされた中心部を舌先で舐め回す。
「あ・・・あっ！ああっ！ああん！」
　私は岩に寄りかかった上半身を左右に振って快感に耐えていた。日差しを受けて光る乳房がプルプルと揺れる。
（いい・・・感じる・・・。）
　ギュウウウウという分泌音が子宮から響くのが分かった。タカシはやがてヴァギナの方へと舌を滑らせ、入り口をこじ開けるように舌を差し込んだ。膣の奥からタカシのペニスを受け入れるための液体が膣壁を流れ落ちた。
「隆史・・・欲しい。」
　私は我慢できずにそう言った。
「もう？」
　タカシは私の股間から顔を離して意外そうな声を出したが、すぐにポケットからコンドームを取り出した。
　私はその場にしゃがみ込むとタカシのベルトを外しにかかった。ジーンズのファスナーを降ろすと、硬く勃起したペニスがトランクスの中で苦しそうにしている。
「出してあげるね・・・。」
　ズボンとトランクスを一緒に降ろすと、むき出しになった彼のペニスがそそり立つように目の前に現れる。前期テストの間相手ができなかったためか、もともとかなり大きいそれは、いつも以上に赤黒く張りつめて私の身体を強く求めているようだった。
「ああ・・・隆史。」
「ん？」
「・・・大きい。」
　タカシは袋から出したコンドームを右手で持ったままで笑った。私はペニスの先端の少し濡れたところに軽くキスすると、そのまま口の中へと含んでいった。
（あぁ、あっつい・・・それにホントに大きい・・・。）
　大きなかさを持ったカリ首の部分を唇が通り過ぎるころにはその存在感がいつも以上であることを察したが、私は構わずに喉の奥まで飲み込むと、舌で裏側を舐めながら数回前後に首を動かした。
「こら、あんまりしたら出ちゃうよ。」
　タカシが笑った。私は口から出したペニスを手で上へと向けて、できるだけイヤらしく見えるように舌を伸ばしてそれを舐めあげた。タカシはくすぐったそうな声をあげて、左手で私の髪を撫でた。
「入れようか？」
「うん。」
　私はペニスから口を離すと彼がコンドームをつけるのを見守った。彼のサイズには小さすぎるようにも感じられるゴムが、ペニスをしめつけるのはいつみても可哀想だ。
「後ろから？」
「うん。」
　タカシは岩に向けて私を立たせると両手を岩に置いて腰を突き出すポーズをとらせた。
「もう大丈夫かな？」
「うん、あんっ！大丈夫だと、思う・・・。」
　ペニスをヴァギナにすりつけるように動かされて私はようやくの思いで答えた。短めの前戯だったにもかかわらず私のヴァギナはよく濡れていた。真昼の野外という状況と、先ほどの全裸水泳のスリルが私の興奮を増しているのはもはや明らかだった。
「行くよ。」
　タカシのペニスがヴァギナに狙いを定めると、ゆっくりと入り口を広げて中に侵入してきた。
「うん・・・ううんんんっ！」
（大っきい・・・。）
　コンドームをつけているにもかかわらず、ペニスのかさの部分が膣壁をゆっくりと撫でながら奥に向かってくるのがはっきりと分かる。
（すごぉい・・・。）
　私はこの瞬間、男と女では女の方が幸せだといつも思う。相手の身体に入っていくよりも、相手を体内に受け入れる方がうれしいと思うからだ。侵入してくるタカシのペニスを包み込む私のヴァギナを想像するだけで、女に生まれて良かったと実感する。
「あん・・・。」
　いつものように子宮の入り口に先端が当たるのを期待していた私を裏切って、ペニスは膣の８分ほどまで入ったところで侵攻を止めた。
（ん・・・もう少し。）
　私はほとんど反射的に腰をタカシに押しつけてペニスをさらに奥へと導こうとしたが、タカシは逃れるように腰を引く。
「入った？」
　タカシは意地悪く聞いてきた。
「・・・まだぁ。」
　私はなおも腰をつきだし、彼のお尻のあたりに手を回して引き寄せようとした。タカシは両手で私の裸のお尻を抱えるようにしてペニスがそれ以上中に入るのを防いだ。
「ねぇぇ。」
　私は懇願する視線をタカシに送った。
「んん？」
　タカシはすっとぼけた声を出した。時々彼はこういう意地悪をする。私からお願いするまでは決してそれ以上入れてくれない。もちろん彼のほうだって本当は入れたいのは分かっているから、私に余裕があるときは我慢比べになるときもある。でも今はあきらかに私の方が限界だった。
「ねえ・・・入れて。」
　私はあっさりと降伏した。
「どこまで？」
「奥ぅ・・・もっと奥。」
　私は息も絶え絶えという声で答えたが、今日のタカシはいつにもまして意地悪だった。
「なにを？」
「・・・隆史の、それぇ。」
「なに？」
「・・・・・・ペニス。」
「欲しいの？」
「うん欲しい、欲しいぃ！タカシのペニス、欲しいぃ・・・。」
　もう我慢できない私は普段では考えられない言葉を連呼した。それがタカシをさらに調子に乗らせた。
「じゃあちゃんと言ってごらん？どこに、なにを、どれだけ欲しいんだい？」
「はぁっ・・・意地悪。」
　私はすこし笑ってから続けた。
「隆史のペニスを・・・私のヴァギナの奥まで入れてくださ・・・いいっ！」
　言い終わらない内に突き入れられたペニスの先端が子宮口に当たった、渓流沿いに私の快楽の声が響いた。
「入った？」
「・・・入ぃっ・・・た・・・あぁっ！」
　タカシは嬉しそうに後ろから両手で乳首をコリコリと刺激した。身体の中では奥まで差し込まれたペニスが猛烈な存在感を持って私に女の悦びを感じさせている。
「・・・動いてぇ。」
　私が腰を振るようにしてそう言うと、ペニスを差し込んだまま動こうとしなかったタカシがようやくゆっくりと腰を前後に動かし始めた。
「んっ。んんっ。そうぅ。ん。」
　お尻と腰が当たるペチッ、ペチッという音が響くたびに、子宮口を突かれる快感が喘ぎ声となって私の口から漏れた。タカシは片手を私のお尻の横に置き、空いた手で乳首やクリトリスを刺激する。
（もっと、激しくして・・・。）
　タカシはもともと激しいピストン運動をするタイプではない。性感帯を探し当て、徐々に私を高まらせていき、最後には快楽の絶頂まで登らせてくれる。私はそのゆっくりとしたプロセスの中で次第に淫らになっていく自分自身を感じるのが好きだった。だが、今日はいつもよりもさらにゆっくりと、明らかに私を焦らしている。くすぐったさと気持ちよさの狭間のギリギリのところで私の性感は行き先を探してとまどっていた。
「どう？」
「もっとぉ・・・。」
「もっと何？」
　後ろでタカシのニヤニヤ笑いが見える気がした。
「・・・もっと・・・突いてぇ。」
　素直にそう言ったとたん、腰の奥の方に違う刺激が走った。
「あっ！」
　思わず大きな声が出る。ペニスの動きも少し速くなったが、それ以上にタカシの腰の使い方が変わったようだった。体内を前後に動くたびに、亀頭が私の感じるところを正確にトレースし始める。
「あっ！あああっ！それいいっ！いいっ！いいぃ・・・。」
　焦らされ続けていたぶん、火がつくのもはやかった。私は周囲の状況も忘れ、ペニスが一突きごとに与えてくれる快感に溺れていった。
（隆史、知ってる！私の感じるところ・・・！）
　いわゆる立ちバックの姿勢で突かれながら私はあらためて彼が私の性の解放者であることを実感していた。
「そうっ！そう！そう！うんっ！あああっ！」
　あっという間に私の身体は性欲の虜になり、絶頂への階段を上り始めた。肌と肌が当たるペチペチという音と私の喘ぎ声が、さわやかな森のＢＧＭに乗せるようにリズミカルに周囲に響く。
　タカシの動きは徐々に速くなり、強弱をつけながら一歩一歩私を登らせていく。

　ブルルルルル・・・
　そのとき遠くでエンジン音が聞こえた。
（車！？）
　トラックのような大きな音がゆっくりと近づいてくる。
「タカシ？」
「うん。」
　タカシはペニスを私の奥まで差し込んだままでしばし車道の方を見ていた。だがやがてここが完全に死角になっているのを確認すると、構わずに再び腰を動かし始めた。
「あっ！ああっ！聞こえちゃうよ！」
　エンジン音は明らかに近づいてきている。
「じゃあ声我慢して！」
　タカシはそう言って、音が出ないように気をつけながらも腰を前後に動かし続ける。
「んっ！ん！んん！ん！」
　私は口を固く結んで声が出るのを防いだ。エンジン音はすぐ近くまで来ている。
「ん！ああ！あ！んん！んっ！」
　車が来るのを待っていたかのようにタカシの動きがさらに速くなる。急激に高まる快感に、私は必死に声を抑えて車が通りすぎるのを待った。
（あああ！いいっ！いいっ！いいいっ！イキそう！イキそう！）
　数メートル先の頭上を車が大きな音を立てて通過していく。私はすでにいつでもイクことができる状態のまま、エンジン音が通り過ぎるのをひたすら待った。タカシのペニスはその間も私のスイートスポットに絶え間ない刺激を与えてくる。私は一突きごとに与えられる目眩のするような快感の中で必死に耐えた。気を抜くと大声を上げてそのまま絶頂に達してしまいそうだった。
（はやく・・・とおりすぎてぇ！）
　エンジン音はイライラするほどゆっくりと離れていく。
（はやく・・・イカせてぇ！）
　やがて再びペチッという音が響きはじめ、ペニスが子宮口への刺激を再開した。
「ああっ！」
　それが合図となり、私は声を上げながら絶頂への階段を一気に上り詰めた。
「あっ！イクっ！イッちゃうぅ！もうっ！いいっ！」
　タカシの腰の動きがさらに速くなった。
「いいいっ！ああっ！イクゥッ！ああああっ！！！」
　張りつめていたものが切れたように、私の身体を快感が包んだ。