なぜ私がこんな目に遭わなきゃならないの‥‥
　玲奈は運命を呪った。
　望んだわけではない。半ば罠にはめられた形で、文字通り二人の男に嬲られ官能の渦の中にいた。

　はじまりは一週間前。
　玲奈が気付いたとき、夫の雅彦が洗面所で倒れていた。
「あなた！　どうしたの！」
　その声に雅彦は「ああ」とか「うう」と答えるのみだった。
　玲奈はすぐに救急車を呼んだ。到着を待つ間にも雅彦の身体が硬直していく。青ざめていく顔を見て血が凍る思いがした。
　病院に着き検査を始めた医師から「くも膜下出血です。この二時間くらいが勝負です。最悪の事態を考えておいてください」と告げられ意識が遠くなった。

　結婚してから三年。満ち足りた生活、幸せの絶頂だったのに、いきなり地獄へ堕とされたようだった。雅彦とは大学時代サークルで知り合った。二つ上の先輩だった。アメリカの文化に傾倒していた彼は、卒業後、貿易会社に就職し仕事を覚えて独立した。その一年後、事業が軌道に乗った雅彦にプロポーズされた。ICUのベッドに寝かされ酸素吸入などで管だらけになった雅彦の姿を見つめながら思い出が頭の中を駆けめぐる。
　何もしてあげられないのが玲奈には辛かった。

　手術は成功し、幸い一命は取り留めたものの雅彦の意識は戻らなかった。
　雅彦のことを聞きつけた阿部と山内が見舞いに来たのが昨日。
　二人は雅彦の学生時代からの友人。阿部は資産家の息子で代々の広大な土地を利用して賃貸マンションなどを経営、山内は独立したてのトレーダーで、両者とも雅彦の会社の監査役にもなっている。
「大変なことになったね。それで雅彦の具合はどうなの？」
　阿部がたずねる。
「危険な状態は越したみたいなんですけど‥‥意識が戻るかは‥‥まだ‥‥」
「そうか‥‥まあ、最悪の事態だけは避けられたんだから、希望を持たないとね‥‥」
　そう言う阿部や山内の顔は暗い。
「会社の方は？」
「わたし、なんにも分からなくて‥‥」
「じゃあ、なんにもやってないの？」
　玲奈がうなずく。
「ヤバイな」
　と山内。
「あ‥‥あの‥‥なにか‥‥」
「雅彦の会社の鍵は？」
「へ、部屋にあるはずですが‥‥」
「急がないと。決済が近いものがあるはずだからね。これから俺たちと戻って鍵を貸してくれないかな」
　緊迫した雰囲気に玲奈は言う通りに二人の車に乗り込む。
　そして翌朝。山内から「大事な話があるから部屋にいて欲しい」と電話があった。昨日の二人の様子から玲奈は不安を覚えた。

　ダイニングテーブルの向かい側に並んで座った阿部と山内。
「まず、雅彦の会社の方だけど間一髪で間に合ったよ。早く気付いて良かった。取引先には全部事情を説明したよ」
　実務に長けた山内が話し出す。阿部は黙って出されたコーヒーを飲んでいる。
「ただね、問題はこれからなんだ。雅彦ひとりでやっていた会社だからね。玲奈さんが引き継ぐのが理想だけど」
「わたし、仕事のことぜんぜん分からないんです。どうしたら‥‥」
「じゃあ、休眠にするか、俺たちが引き継ぐしかないけど‥‥」
「どちらでも‥‥お任せします‥‥」
「俺たちには雅彦みたいな才覚はないからね。貿易で利益を上げるのは難しいと思う。だから休眠会社にするしかない。そうなると問題は借金なんだよ。まだ三千万ちょっとあって、月の返済が六十万以上。俺たちが保証人だから、まず、それをなんとかしなきゃならない」
「えっ‥‥そんなに‥‥」
　玲奈は途方に暮れた。そういえば、雅彦が独立するとき「二人のおかげだ」と言っていた覚えがある。
「それからここの家賃や玲奈さんの生活費もあるだろ。ざっと計算しただけで月に百万以上かかる。雅彦の保険はどうなってるの？　入院費用だってバカにならないぜ」
「た‥‥たしか、一日、一万五千円くらい‥‥」
「ぜんぜん足りないじゃないか」
　腰掛け程度しか働いた経験がなく、どうしていいか分からない玲奈は目の前が暗くなった。
　気まずい沈黙が続く。
「そこで提案があるんだけど、玲奈さん、俺たちと契約をしないか？」
　精力的で押しの強いイメージの阿部が口を開く。
「雅彦は大事な友達だから放って置くわけにはいかない。けど、俺たちだって、ただ借金の肩代わりをするのは辛い。分かるだろ」
　玲奈は黙ってうなずく。
「玲奈さんさえ良ければ、雅彦が回復するまで、借金とここの家賃のほか、生活費まで面倒見ようと思うんだけど、どうかな？」
「そんなにしていただけるんですか‥‥」
「そのかわり、俺たちと愛人契約をして欲しいんだ」
「そ‥‥そんな‥‥」
　一気に奈落の底へ突き落とされた気分だった。
「大学時代、君は俺たちのマドンナだったんだよ。みんな君を狙っていた。けど、俺たちは友情を大事にして雅彦に譲った。だから、この提案だって、あいつは納得すると思うんだ。考えて欲しい。借金を返しながら生活するのは不可能じゃないか。それとも、風俗にでも行って身体を売るかい？　そうなるよりは、ずっといいと思わないか？」
　こんどは山内が言った。
　たしかに、その通りかもしれない。けど‥‥
「大事な仲間じゃないか。もし君が水商売や風俗に身を堕としたら、俺たちは雅彦に顔向けできないからね」
　シンプルなブラウスとセミタイトのスカート姿の玲奈を舐めまわすように見ながら阿部が言う。
　しばらくの間、沈黙だけがあたりを支配していた。
　玲奈の身体が細かく震え出す。
　その頬に涙がひとしずく流れる。
「いいね？」
　駄目押しをするような山内の声。
　玲奈は泣きながらうなずいていた。
「じゃあ契約だ。こっちへ来て」
　山内はソファーに移る。
「ここに座って」
　そう言って隣の座面をたたく。
　玲奈は言われるがまま山内の隣に座る。すると、阿部も隣に座り、玲奈は二人に挟まれた。
「さ、契約だ」
　阿部が玲奈の手を握る。
　何が起こったか分からず身を固くしている玲奈の耳元で山内が囁く。
「感激だな。前から憧れだった玲奈を抱けるなんて」
　耳たぶに唇が触れそうな距離。熱い息と低い声。玲奈の動悸が激しくなる。
　反対側の耳に阿部の舌が這いはじめる。
「ま‥‥待って‥‥」
　いったんは二人に身を任せる覚悟をしていた玲奈だったが、こんなに早くことが始まるとは思ってもみなかった。それに、二人から同時に愛撫されるなんて想像外のことだ。
　どうしてよいのか分からず身体が動かない。
「最高だ」
　阿部はブラウスの上からゆっくりとバストを揉んでいる。
「そうだな」
　山内もそれに習って首筋を舐めながらバストを揉む。
「だめっ‥‥ゆるして‥‥」
　彼らの手が身体を這い回っても言葉で抵抗することしかできない。
　しかも、言葉とは裏腹に身体は熱くなる。それを意識するとよけい感じてしまい、目眩にも似た快感に襲われてしまう。
　女の扱いに慣れているのか二人とも乱暴なことはしない。それどころか絶妙なタッチで触ってくるのでゾクゾクするような感覚が玲奈を襲う。
　乱暴に扱われた方が冷静さを保てたかもしれない。その方が諦めがついたかもしれない。反応しはじめている29才の成熟した身体が恨めしかった。
　それに、二人の男に挟まれ身動きできないような状況で優しく愛撫されているシチュエーションは、自分が悲劇のヒロインになったような倒錯した感覚がある。結婚してから、いや雅彦と付き合いはじめてから他の男に身体を許したことなどない。それなのに妖しい感覚に翻弄されはじめている自分に玲奈は戸惑っていた。
　気が遠くなるほど愛撫は長く続き全身に汗が滲んでくる。
　そして、ついに阿部の手がスカートの裾から侵入してきた。
　内腿を撫でられながら唇にキスをされる。
「だめっ‥‥やっぱりだめ‥‥」
　玲奈は無意識に立ち上がっていた。
　どうしてか、唇を許すことだけはしたくなかった。
「どうする？」
　立ったまま震えている玲奈を見て顔を見合わす二人。
「縛っちゃおうか」
　阿部が、そう言いだし、バッグの中からロープを取りだした。
　たぶん、二人は無理矢理にでも自分を犯すつもりだったのだ。ロープを見たとき玲奈はそう悟り、諦めと絶望でヘタヘタと座り込んでしまう。
　脱力した玲奈を山内が抱き上げ寝室に連れて行く。
　ベッドに寝かされても玲奈は身体を動かすことが出来なかった。
　手首に食い込むロープの感触は現実のものとは思えない。
　ロープはヘッドボードに回される。
　両手を上の方に拡げられ繋がれた姿は磔刑のキリストのようだ。
「何とも言えない、いい眺めだな。山内、そっちの足を頼む」
　興奮と歓喜でギラついた眼をした阿部が足首にロープを巻き付けながら言う。
　その端はベッドの脚に結ばれた。
　ついに玲奈はベッドの四隅にくくりつけられてしまった。
　開かれた脚のせいでスカートが太ももの付け根のまで捲り上がってしまう。
　阿部はさっきの続きとばかり、内腿をやさしく撫で、山内はブラウスのボタンを外しはじめた。
「いやっ‥‥やめてっ‥‥ああっ‥‥」
　いくらもがいても、しっかりと結ばれたロープは玲奈の身体を開いたまま固定している。
　抵抗することも叶わず涙が溢れてくる。
　ブラウスのボタンが外され上半身が晒される。
「や‥‥やめて‥‥」
　上気した肌と白いシルクのブラジャーのコントラスト、その妖艶な美しさに山内がため息を漏らす。
「れいな‥‥」
　そうつぶやきながら山内は手のひらでバストを包むようにして揉む。
　ジンジンと熱いものが湧き上がるような感覚に玲奈は悶えた。
「あっ、あんっ」
　先端に走る甘い感覚に喘ぎ声が漏れる。
　山内の手がバストの頂点を軽くひっかくように動いていた。
　ブラジャーの上からでもはっきりと分かるくらい乳首が立ってきている。
「お‥‥おねがい‥‥ゆるして‥‥」
　そう言いながらも反応しだした身体に「ビンッ‥‥ビンッ‥‥」と電気にも似た衝撃が走る。
　そのたびに玲奈の身体は硬直した。
「あんっ‥‥だめぇ‥‥」
「ふふふ、いい声だな」
　山内は執拗に乳首を責める。
　阿部の指も一番敏感な部分をわざと避けるような位置で微妙に動いている。
　二人とも、じっくりと玲奈の反応を確かめるように愛撫を続ける。
　これほど長く、それも焦らされるように愛撫されたことなどない。目眩にも似た快感が波のように襲ってくる。
　秘肉が熱くなりドロドロに溶けてしまったように感じる。きっと蜜が溢れているに違いない。そう思うと、玲奈の身体は恥辱でいっそう熱くなった。
「いやぁ‥‥こんなのは‥‥いやぁ‥‥」
　以前、何度か雅彦に半ば遊びのようにタオルを使って縛られたことがあった。そのとき激しく取り乱してしまったことを玲奈は思い出していた。
（どうして‥‥どうして、こんなことをされると感じちゃうの‥‥）
　玲奈は自分の身体が恨めしかった。
「おい、すげぇことになってるぜ」
　クロッチの部分に軽く親指をあてた阿部が言う。
　溢れた蜜で布地がヌルリと秘肉の上を滑る。
「あうっ！」
　玲奈の腰がバウンドした。
「これはどうかな？」
　的確にクリトリスの位置を探り当てた阿部の指が素早く動かされる。
「やっ！　いやぁっ！」
　玲奈は腰を浮かせるようにして硬直した。
　愛撫が長く続いたせいか、それとも縛られている状況のせいか、いままで経験したことがないくらいクリトリスが硬くなっているのが自分でも分かる。
「だめ‥‥もう、だめっ！」
　一瞬、身体が中を浮いたように感じ、激しいオルガスムスがやってきた。
「あぁぁっ‥‥」
　玲奈は長く喘いだ。
「そろそろ剥いちゃおうぜ」
　ヒクヒクと痙攣している玲奈を見下ろしながら阿部が言う。
「そうだな」
　そう答えた山内はキーホルダーに使っているアーミーナイフのブレードを起こした。そして、ブラジャーの真ん中を素早く切ってしまう。バストを覆っていた布は弾かれるように両脇にずれ、その衝撃でバストが揺れながらさらけ出された。淡い茶色の乳首が愛らしい。
「ゴクッ」
　阿部が音を立ててつばを飲み込んだ。
「こいつも邪魔だな」
　山内はストラップも切りブラジャーを取り去る。
　あまりのことに息を飲んだ玲奈は身動きすら出来ない。
　刃物を使われることへの恐怖が、まだ余韻が残っている身体を熱くさせる。
　次に山内はスカートのホックを外し、ジッパーの部分に切れ目を入れる。そして「ビッ、ビッ」と音を立てて生地を引き裂く。
　玲奈はスカートにすら感情移入してしまっていた。自分の身が引き裂かれていくような錯覚に陥ってしまう。しかも、それは甘美な感覚を伴っていた。
「おれにもやらせろ」
　阿部は荒い息で言い、山内からナイフを受け取るとショーツの脇の部分に刃を立てる。
　あっという間にショーツが取り去られる。
　炎を連想させるヘアーが露わになった。奥の方が蜜で濡れて光っているのが分かる。
「ああ‥‥」
　諦めと悲しみ、そして恥辱が入り交じった玲奈の声。
「やっと本物にお目にかかれたな。これが憧れのマドンナのオ○ンコかぁ‥‥」
　山内はヘアーを撫でながら言う。
「スケベでいい匂いだ」
　阿部は一枚の布と化したショーツを鼻に当て匂いを嗅いでいる。
　わざと二人は玲奈の恥辱を煽ろうとしている。それが分かっていながら、玲奈はその思惑通りに羞恥で身が焦げるくらいになり、いっそう身体が熱くなるのを感じていた。
「まだまだ、お楽しみはこれからだからな」
　山内は、そう言うとアイマスクで目隠しをする。
「いや‥‥こわい‥‥こわいの‥‥」
　突然の闇。本能的な恐怖に玲奈は震える。
「ふふふ」
　含み笑いをする山内の手には化粧に使うフェイスブラシが握られていた。
「やっ‥‥ああん‥‥」
　バストの頂点に今まで経験したことのない感覚が走る。
　指にしてはソフト過ぎる。
　くすぐったいのとは紙一重で官能的だ。
　なんだか分からないが恐ろしく感じてしまう。
「ああっ」
　思わず漏れる喘ぎ。
　何も見えないせいで身体が敏感になっている。
　筆先が乳首を一周して脇腹をなぞったとき全身が硬直して蜜壺の奥がカッと熱くなった。
「いやぁっ！」
　言葉とは裏腹に甘くて耐えられないほどの快感が身体中を駆けめぐる。
　もう、どうなってもいいと玲奈は思うようになっていた。いや、熟しきった身体を満たして欲しかった。
　しかし、二人の男は早急に事を運ぼうとはしない。ひたすら玲奈の官能を引き出すことに夢中になっている。
　阿部が耳たぶを口に含む。軽く噛んだり、舌先で形をなぞったり、まるで玲奈の感じるツボを知り尽くしているみたいだ。
「だ‥‥だめ‥‥」
　玲奈は身をよじらせながら悶える。
　上気した肌に汗が光っている。
「どうだい‥‥感じるだろ‥‥」
　阿部が囁く。
「ど‥‥どうしてぇ‥‥ああんっ‥‥」
　声の振動が秘肉まで響いてしまうようだ。
「ああっ‥‥いやぁっ！」
　絶妙のタイミングでフェイスブラシの先が内腿からきわどい部分まで走る。
　玲奈の身体は一気に硬直し痙攣を繰り返す。
「だめっ‥‥だめぇ‥‥」
　抵抗の言葉にシンクロして筆先がクリトリスをくすぐるように動く。
　そして山内が乳首を口に含んだとき、玲奈は二度目の絶頂を迎えた。
「いやぁ〜っ‥‥」
　長く叫んだ玲奈。
　終わることのない責めに身体がドロドロに溶けてしまったように感じる。
　まるで、全身が性感帯と化してしまったみたいだ。
「さてと、こんどはあそこを拝ませてもらおうか」
　山内がそう言い、ベッドの脚に結ばれていたロープが解かれる。膝の裏に手を入れられ脚がM字型に拡げられた。
「ああ‥‥見ないで‥‥」
　目隠しされていても山内の刺さるような視線を感じる。
「ふふふ、やっぱり本物は最高だな‥‥」
　山内の指が合わさっている花びらを開く。
「いやっ！　見ないで・・・おねがい・・・」
　奥にまで空気が通る感触に玲奈はパニックに襲われる。
「こんなに濡れちゃって‥‥きれいなピンクだよ」
「ああっ‥‥」
　山内の言葉が恥辱を一層のものにさせる。
　熱かった蜜壺、その奥にすっと空気が通る感触。見られている、そう思っただけでザワザワと鳥肌が立つような感覚が全身を走る。しかも、それは疼きを伴ったもので、玲奈は心の中で愛撫を求めている自分に気が付いた。
　抵抗することが叶わないなら、この甘美な感覚を受け入れてしまった方が楽になるのでは・・・いや、甘受したいのだと思うようになっていた。
「見ろよ。汁が溢れて尻の穴まで濡らしてるぜ」
　山内がそう言うと耳への愛撫が止んだ。
「指なら大丈夫だって言ってたよな」
　阿部が訳の分からないことを言う。
「試してみよう」
　山内の言葉と同時にアヌスへ指があてられた。
　菊の花びらのようなしわを揉みほぐすように指先が動く。
「おねがいです‥‥そんなとこ、やめてください‥‥あ‥‥あんっ‥‥」
　玲奈は哀願する。しかし、最後には妖しい感覚に負け喘いでしまった。
「ああっ！」
　指先がアヌスへ侵入する。異物感と同時に秘肉が熱く疼いた。
「い‥‥いやぁ‥‥」
　暗闇の中で閃光が走る。
　もう、どうなってもいい。滅茶苦茶にして欲しい。恥辱の限界を超え、玲奈は牝の本能に支配されはじめていた。
　雅彦も玲奈のアヌスを求めたことがあった。指までは受け入れられたが、最後までは無理だった。それに、こんなに感じてしまうことはなかった。
　ズルリと抵抗感があって山内の指が根本まで収まる。
「あっ‥‥ああんっ‥‥」
　玲奈は甘い悦びの声を上げてしまっていた。
「玲奈ちゃん‥‥こんなにスケベだったんだね‥‥」
　阿部がふたたび耳を口に含みながら囁く。
　熱い息とねっとりとした舌の感触、身体が震えだすほどの快感だった。
　それに、山内の指先が微妙に動いている。それが蜜壺の奥に響く。
「ああっ‥‥も‥‥もっと‥‥」
　無意識とはいえ、玲奈はついに自ら求めてしまう。
　その言葉に応えるように阿部はバストを揉みはじめ、山内は指をアヌスに入れたまま秘肉を舐めあげる。
「あああっ！」
　ひときわ高く叫んだ玲奈は山内へ秘肉を押しつけるようにしてのけぞる。
　山内の舌先がクリトリスの周りを這う。
　すでに玲奈の理性は粉々に砕け、押し寄せる快感に身を委ねるだけの存在になっていた。もう、どこをどうされているかなど関係なく、身体全体がドロドロに溶けた溶岩のかたまりになってしまったようだ。
　目隠しをされた暗闇の中で、天も地も分からず宙を漂うような感覚の中、玲奈は何度も絶頂を迎える。
　気が付くと手首のロープも解かれていた。ブラウスを脱がされ生まれたままの姿になっている。そして、ベッドの上で四つん這いにさせられていた。膝をつきヒップを持ち上げられた格好でだ。
「玲奈‥‥もっと気持ちよくしてやるよ」
　山内の声がして双丘に手がかかり拡げられた。
　アヌスに冷たいものが落ちる。
「ひぃっ‥‥」
　思わず力が入りアヌスがすぼまる。
「だめだめ、滑りを良くするんだから」
　阿部がローションのチューブを手にして口を開けたようになっていたアヌスに流し込んでいたのだ。
「言うことを聞かないとこうだぞ」
　パチンッと平手でヒップをたたかれる。
「ああっ！」
　激しい音にショックを受けたものの、たたかれた部分が熱を持つと疼きが増してきた。
「言うことを聞くな？」
　山内の命令口調に思わず「はい」と答えてしまう。なぜだろう？　もう一度たたいて欲しいという倒錯した感情が芽生えてくる。
「見ろよ。尻の穴がローションを飲み込んでるみたいだぜ」
　まだ余韻の残っているせいでヒクッと痙攣するたびに半ば開いたアヌスがすぼまる。
「ちゃんと中まで入れないとな」
　山内の中指がスルッと入ってしまった。
「あうっ‥‥」
　ローションのせいか痛みも感じず妖しい感覚が下半身を支配する。
「いいみたいだな。これはどうかな？」
　山内は指を一本増やし、ゆっくりと抜き挿しする。
「ああ‥‥だめぇ‥‥」
　そう言っても、蜜壺の奥がジンジン熱くなってくる。後ろがこんなに感じるなんて信じられない。
　いつの間にか阿部の舌が背中を這っていた。同時にバストも優しく揉まれている。
「だ‥‥だめぇ‥‥どうにか‥‥なっちゃう‥‥」
　蜜壺が疼いて仕方がなかった。早く満たして欲しい、いっぱいにして欲しい、そう望んでも二人はなぜか最後の行為にまで及ばない。玲奈はおねだりをするように腰を振っていた。
「ちゃんと手順を踏めば感じるのにな。あいつ、下手だったんだなぁ」
　そんな山内の言葉を玲奈は訳も分からず聞いていた。
「そろそろ、いいんじゃないか？」
　阿部が言う。
「そうだな、やってみるか」
　山内が服を脱ぎはじめるが、まだ目隠しされたままの玲奈には何が起こっているのか分からない。
　山内の手が双丘にかかり屹立がアヌスにあてがわれた。
「な‥‥なに‥‥」
　アヌスにただならぬ熱さを感じた玲奈は呻くように言う。
「いやぁ〜っ！」
　次の瞬間、ものすごい圧迫感に襲われた玲奈は悲鳴を上げた。
　灼熱した肉棒がもたらす感覚は蜜壺で感じるそれとは次元が違う。
「玲奈の中を俺たちのものでいっぱいにしてやるよ」
　余裕たっぷりの山内の声。
「あ‥‥あうっ‥‥」
　衝撃と恐ろしいほどの圧迫感で玲奈は全身が熱く汗みどろになる。
　じりじりと山内のものが侵入してくる。
　不思議と痛みはないものの快感とはほど遠い。玲奈はただ耐える。
　肉棒が熱い。その熱が蜜壺の方へ伝わってくるような感じがした。
「すげえ‥‥玲奈の息がチ○ポコの先にまで伝わってくるぜ‥‥」
　山内の声に、玲奈はとうとう蹂躙されてしまったことを再認識する。しかし、それは、ある種の悦びを伴った不思議な感覚だった。
「山内、俺にもやらせろよ」
　阿部も服を脱ぎベッドに横たわる。
「ほら、足を上げて」
　山内は肉棒を突き刺したまま玲奈の脚を持ち上げ阿部の身体に跨らせる。
「そのまま、しゃがんで」
　阿部のものが蜜壺にあてがわれる。
「そ‥‥そんな‥‥ゆるして‥‥」
　二人のたくらみを察した玲奈は必死で哀願する。
　山内に腰を押さえつけられているので逃げることはできない。急に動くとアヌスが引き裂けてしまいそうな気がする。
「いや‥‥いやぁ〜っ‥‥」
　じわじわと熱くて太いもので蜜壺を満たされる感覚に玲奈は悲鳴を上げた。
「これならどうだ」
　阿部が腰を突き上げ、半ば埋まったものを一気に根本まで差し込んだ。
「ああ〜んっ！」
　満たされるというよりは、アヌスと蜜壺の肉壁が意識できなくなるほどの強烈な刺激、それは挿入時の快感などとは言えないレベルの違うものだった。
　玲奈は高く長く泣いた。
「もっと気持ちよくしてやるよ」
　阿部の指がクリトリスをとらえ、こまかく動かされる。山内は首筋を舐めながらバストを揉み出した。
　玲奈は一気に昇り詰める。
「やっ‥‥やっ‥‥や‥‥ああんっ‥‥」
　もう、何も考えることができず、玲奈は喘ぎ続ける。
　達したままの感覚が収まらない。それは経験したことのないオルガスムスだった。
「や、やまうち‥‥どうだ‥‥」
　阿部が抽送を繰り返しながら言う。
「そろそろだ‥‥」
　山内の息も荒い。
「こっちは‥‥もう‥‥限界だ‥‥んっ‥‥おおっ！」
　阿部が叫んだ。と同時に蜜壺の中が熱いものでいっぱいになる。
「あうっ！」
　玲奈も叫ぶ。
「うおぉっ！」
　その反応に刺激された山内も一気に精を吐き出した。
　それは直腸の中で暴れ回る溶岩のようだった。
「‥‥」
　玲奈は背中をのけぞらせて硬直する。目の前が真っ白になった。

　ブルブルと身体を震わせた後、玲奈は脱力して阿部の身体の上に倒れ込んだ。
　阿部は目隠しを外し、玲奈の顔を両手で挟むようにして唇を重ねる。
　すぐに舌が入ってきて歯茎を舐めまわすように動く。
　玲奈は抵抗せずそれに応えた。萎えた山内のものが抜けるときの感触に悶えながら。
「俺、シャワー浴びてくる」
「おう、こっちは口できれいにしてもらおうかな」
　唇を離して山内に答えた阿部はニヤリと笑った。
　その言葉で我に還った玲奈は溢れてくる涙を抑えることができない。
　嗚咽がベッドルームに響く。
「ほら、口できれいにするんだ」
　立ち上がった阿部は下半身を玲奈の方へ突き出す。
「お‥‥おねがいします‥‥もう‥‥ゆるしてください‥‥」
　涙で濡れた顔を向けながら哀願する玲奈。
「だめだ。山内がなんでシャワーを浴びに行ったのか分からないらしいな。２ラウンド目でお前のオ○ンコを汚さないための気遣いなんだぞ」
「そ、そんな‥‥」
「当たり前だろ。こんどは俺が後ろに入れてやるよ。そうでないと不公平だからな」
　これ以上責められたら、どうなってしまうのだろう。恐怖にも似た感情が玲奈を襲う。
　それでも玲奈は「早くしろ」という阿部の命令に逆らえなかった。
　力の入らない身体で阿部の前にひざまずき、硬度を失った肉棒を口に含む。
　どうしてそんな行動を取ってしまったのか玲奈自身にも分からなかった。
「お前はMなんだよ」
　玲奈の気持ちが読めるかのように阿部が言う。
「縛られたときの濡れ方はすごかったからな。今日から俺たちがお前のご主人様だ。分かったか」
　玲奈はうなずく代わりに舌の動きで答えた。
　たしかにそうだった。強制されたり、自由を奪われたり、命令されたりすると不思議な疼きが身体の中から湧き上がってくるのだ。
「俺たちは分かってたんだよ」
　バスルームで下半身だけを洗ってきた山内が戻ってきて言った。
「お前を雅彦に譲るとき条件を出したんだ。お前がどんな身体をしているか、どんなセックスをするのか、全部俺たちに教えるってな。あのときの声を録音したり、写メ送ってもらったり、ずいぶん堪能したよ。雅彦の話を聞いて、俺たちはお前がMだって気が付いたんだ。それから、いつかはお前を縛って犯してやろうって思ってたんだ」
　話の内容は驚くべきものだったが、ぼんやりした意識の中で玲奈は妙に納得していた。それに、なぜ二人が自分の感じるツボを知っていたのか、やっと本物が拝めたなどと言っていたのかも腑に落ちた。「運命」という言葉が浮かんでくる。
　身体の力が抜け、玲奈はしゃがみ込んだ。
「これから俺たちがたっぷり仕込んでやるよ」
　もう、玲奈の心の中には雅彦がいなくなっていた。
「また縛ってやろうか？」
　山内がロープを持って言う。
　見ただけで胸の奥に焦げ付くような疼きが起こった。
「はい‥‥おねがいします‥‥」
　無意識のうちに玲奈はそう答えていた。