『SM stories on the desk』
eConomy 作
| 「彼女」 written by eConomy 彼女の名は××。歳は31。 職業は・・・たぶん、AV女優。 大学の2年、19の時、スカウトに声をかけられた。 月一度の渋谷でのショッピングは裕福とは言えない彼女には、唯一と言って良いささやかな楽しみ。 家庭教師で得た金の半分は家に入れている。 友人との買い物は、彼女が19の女子大生であることを確認させてくれた。 彼女が大学に行けたのは、国立に行ける明晰な頭脳があり、奨学金制度を利用したためだ。 女友達との待ち合わせ場所でダークブルーのスーツを着た40位の男が彼女に声をかけた。 「お待ち合わせですか。」 慇懃な態度に一見して高級なスーツ、そして、言葉にすれば「清潔感」。 無視も逃げるも可能だが、彼女の目は男から外せず、足は動かない。 男が白いシンプルな名刺を彼女に手渡した。 その紙には聞いたことのある気がするプロダクション会社と男の名、そして肩書き・代表取締役と記されている。 「私はスカウトです。あなたは有名になる可能性が多分にありそうに思います。」 スカウトと言う職業の者がそういう「内容」を言うものか、彼女にはわからない。 彼女は十分魅力的と言えただろうが、街中でこの手の男に声をかけられたのは初めてだった。 少しの会話。 一人っ子のせいか、彼女にはどこか甘い部分と人懐っこさを相手に感じさせる。 男は長年の経験で目の前の女がこの話を承諾すること、そして「売れっ子」になることを直感した。 「国立のAV女優か。悪くない。容姿も抜群とは言えないが、人を引き付ける魅力を持っている。自分では何も気づいていないってのが、一番良い・・・。」 当然、彼女には聞こえない男の独り言。 別の話を彼女としながらキャッチコピーが、もう男の頭に浮かんでいた。 その冬休み、彼女はあるAVに出演する。ビデオの内容は「ごく普通のもの」で、どこまで正しいのか。 当然、若干の男とのカラミはあったが、極めてその色彩は抑えられ、彼女の裸体がメインの「アイドルビデオ」に近いもの。 プロダクション側は長く彼女がこの世界で使える事、或いはメジャーなものも視野にし、売り込みを始めた。 その目論見は当たり、半年後、彼女はブレークする。 いくつものレーベルが彼女に声をかけてきた。 1本150万、200万、・・出演料は高騰を続け、ついに「AV女優」では破格とも言える500万円になった。 TVからもいくつか出演依頼があり始め、「現役国立大AV女優」と言う、常に長ったらしいレッテルがついたが、彼女の名はいつか子供までも知り処となり、ついに本物のアイドルとなった。 控えめな彼女も得意絶頂にならざるえない。 近くのコンビニへ買い物に出かける。 そこには、先日、一流と呼ばれるカメラマンが求めた彼女のビキニ姿に笑顔でのポーズがグラビア表紙で並んでいた。 当時、「妹」をジャンルとしたものには必ず彼女か、或いは極めて近いキャラクターしか目に出来なかった。 彼女は大学3年の時、2LDKの新築マンションを都心に購入する。 約7,000万円。 何故か、ビデオへの出演料は1本300万に決まっていたが、山の様な仕事の中で彼女は身動きが取れず、苦情すら言えない。 しかも、ビデオ出演が「アイドルもの」に衣替えした後、その出演料から100万円以上は経費として必要だった。衣装・コーディネイト料だけでも50万。 全て自費である。プロダクションは既にマージンを10％要求していた。 彼女の出演料から相当金額を先に受け取ってはいるはずだが・・・。 そして、彼女の負担はその他もろもろ。 マンションの購入費用は、彼女の全財産だった。 もしかしたら、両親と一緒に住む家かもしれない。もう一部屋欲しいがそれでは借金が生ずる。 （2LDKでも、このタイプなら大丈夫。） マンションの間取りはそれぞれ十分広く、彼女の考え方に間違いはない。そして、その財産的価値も20年は変わらないだろう。 （お金はまた仕事をすれば良いだけよ。） 彼女は考え、現金の一括でそのマンションを購入した。 それから、また1年が経つ。 彼女がグラビア表紙を飾ることはもう無くなっていた。 TVはバラエティーへの鞍替えが成功し、いくつかレギュラーができたが、1つの男性関係が表面に出た。 ここ3，4ヶ月に急激にゲスト出演が減り、レギュラーも編成替えで首が持つかどうか・・・。 しかし、まだ彼女は楽観的でいた。 （大丈夫よ。レギュラーも2つは残れるわ。CMだって来るじゃない。・・・でも、ずっと、サラ金か地方企業。・・・私はまだ22よ。まだ・・・。） 楽観的な部分は、彼女の若さがその全てを支えていたのかもしれない。 トーク番組は彼女の「知性」が切り抜けさせた。しかし、ドラマの様なものはまったくダメの評価は最初から変わらない。 所謂、「ダイコン」と言われ、幾人かのプロデュサー、ディレクターが何かの下心で彼女を出演させるが、2回目の出演はまさしくスパッと切られ、お呼びは掛からなかった。 彼女は女優など向かない。言い換えれば、自分に嘘がつけないタイプ。演技ができない。 だから、最初、彼女は圧倒的支持を得た。 当然のごとく、彼女の前を男が通り過ぎていく。 それらは彼女の不得意なドラマのシーンに良く似たリプレイばかりだった。 四月の編成替えで、彼女のレギュラーは1つとなる。 その原因の主は週刊誌がある事、無い事を書き始めたことと言って良いだろう。 しかし、週刊誌が載せる、男性関係のスキャンダルも要因だが、もう1つも十分大きなものと言えた。 つまり、彼女が大学の4回生となったこと。 彼女はTV関係の仕事を望んだが、卒業の目安はまだたっていない。 それはこの1年の時間を、毎日の授業に出席が必要なほどである。 しかし、彼女は幾つかの手を打ち、その状況を切り抜けようとしていた。 同時に、数社のTV局の入社面接に臨む。 彼女は有名人である。面接官は彼女を見、「コンチハ。」と気軽に声をかけた。 （この感触ならどこかは受かるわ。だから、絶対に卒業・・・。） 3社目の面接が終わり、彼女が会釈を終え、部屋を出るため、ドアのノブに手をかけた時、聞こえた。 「でも、元AV女優ですから・・・。」 彼女の動きは凍りついたように止まる。 約10秒ほどの不自然な時間。面接官の動きが彼女には背中から見える様だった。 （元AV女優と言った若い面接官に少し歳を得た左の位置の人間が指を口にやり黙らせている。そして、彼女の「不自然な静止」をじっと見守っている。） 彼女はようやく面接室を出た。 局近くの喫茶店で彼女は考え込んでいる。 （TV局・・。元AV女優・・。私、AV女優だったんだ。・・でも、元・・。もしかしたら。） 彼女は賢い、そして十分に謙虚だった。そのレッテルは「放送局」にはふさわしくないかもしれない。しかし、未来は得るには、彼女の中の不合理にも対峙が必要だった。 彼女は4局の一次試験を受けた。 その回答はものの見事に全て同じ内容。 ただ、回答を電話ではなく、各局とも文書で通達したことが彼女の実力かもしれない。 しかし、申し合わせた様な回答を送ってきた。 「この度はご縁がありませんでした。」 同じ書面が4つ並び、彼女は自宅のリビングでそれらを涙目で見ている。 やがて、全てを破り捨て叫ぶ。 「書いたら良いでしょう。元AV女優だから採用できませんって・・・。」 彼女は絨毯に突っ伏し号泣した。 大学の卒業も大した意味を持たなくなり、彼女の留年は、前期で確定してしまう。 10月の編成替えで各TV局が罪滅ぼしかのように、在っても無くてもいいメインドラマ或いはバラエティーとCMの間に入れる、時間調整の様な「レポーター」を依頼してきた。 その内容は最もギャランティーの低い、そして、視聴者の目に付かないもの・・・。 契約を出来高払いにしていた彼女の収入は11月に30万を少し超えたほどのものとなった。 そして、再び、彼女の留年を嗅ぎ付けた週刊誌が追い討ちをかけて来る。 「元AV女優 ××、○○大学留年確定。」 （・・・元AV女優・・・か。私は普通の娘（こ）より大きなお金を得てしまったけど、それより大きい何かを失ってしまったの・・・。） その踊るような文字が、彼女をまた少し涙ぐませた。 12月の末、彼女は大学に中退届を提出する。 彼女はTVの出演を全てキャンセルした。 TV局側はまったく引き留めようとはしない。局アナがやれば、済むだけである。 彼女は思う。 （私はまだ22。もう1度、AVでも何でも良いわ。それのTOPになって、TV局から、出演依頼が来るように。それは、たぶん今しかない。このくやしさは絶対忘れない・・・。） 彼女の判断が全て当然正しいとは言えない。地道に大きなメディアで「顔」を繋ぐ。 そちらがたぶん正しい。 一度得た名声はその反動で消えたように見えても、ただ小さくなっただけで消えてはいない。 しかし、きっかけは様々だから、彼女の選択が間違いであるとは誰にも言えないだろう。 彼女には新たに男が出来ていた。 その男は下手な小説に良くあるパターン。 彼女をAVの世界に引きずり込んだ40男だった。 男はプロダクションのオーナー社長である。 彼女がスターダムにのし上がった時は金の成る木として扱い、彼女から遠ざかっていた。 8月の中ごろ、そっと彼女に忍び寄ってくる。男は10月の編成替えの詳細を既に手にしていた。それを彼女に打ち明ける。 「どうだい。冷たいものだろう。こんなものさ。世の中ってやつ・・・か。」 彼女は理知的なタイプだったから、彼女がAVに出演したことは彼女自身の問題であると考えている。男には、大金を得た原因として、感謝こそすれ恨みはない。 男は相変わらず、「清潔感」を持っており、二人のいるプロダクション近くの喫茶店では普段着の彼女より「場違い」を感じさせた。 男が何気なく言う。 「うちで飼ってやろうか。」 「・・・。」 意味がわからない。 （何を買うの。仕事をくれるって意味・・・。） 彼女は少しノイローゼ気味だったかもしれない。 わずかな時間の間に、自分を取り巻く凄まじい環境の変化に対応など不可能だった。 「私が君を引き受けようっか、って意味だよ。」 彼女は理解した。 この世界を十分知っている彼女にはその意味が理解できる。 大抵、有名、中堅どころの30近くの女優には後ろ盾がいる。男はそれになろう、っと言っているのだ。別に驚きはない。 （良くある事。それも、「元AV女優」の私には良くあるではなく、「ほとんど」こういう状態になるんじゃないかしら。） 彼女は男の紳士的な態度にその裸身を世間に曝した。そして、普通では考えられない大金を手にし、男に悪いイメージは持っていない。 「かってくれるの。」 彼女は笑って答える。 「あぁ、かってやる。」 二人の会話の内容がズレタものなのか、今の二人にとって良い条件なのかも、たぶん互いに理解できていない。 ただ、大人の男女の会話。 その夜、彼女は自宅で男に身体を開いた。 男は何度も彼女を「イカセ」続ける。それくらいの思いは当然男にはあった。 4回目の絶頂を彼女が迎えようとする時、部屋には彼女の喘ぎ声しかなかったものに、初めて男の声が分け入る。 「飼ってやるからな。」 「アァ〜、カッテ〜、カッテ〜、ワタシヲカッテェ〜、イ、イク〜。」 半目の彼女に、男が命じた。 「ベッドを降りなさい。」 彼女は大儀そうに身体をベッドから降ろす。 男は手持ちのバックから、5cmほどの幅がある黒い皮製で金属部分が目立つ首輪を取り出した。 座り込んで、男を見ている彼女の首に「それ」を巻いた。 （・・・首輪。犬にされちゃった。かってやるって・・飼うって事。） 彼女は、あまり自由に働かない頭で考えていたが、やがて言った。 「飼ってくださるの。」 「あぁ、そう言っている。」 彼女も男も笑顔の会話だった。 彼女は当然、男も、それぞれ疲れきってはいたが、男は最後の力で、彼女を「自由」にすることを約束した。 時間が進み、お話を少し戻さなければいけない。 彼女が10月の出演料から得た金は約15万で倍にし男は彼女に支払った。 彼女は事実を知り、男のプロダクションの専属のモデル、つまり、社員となっている。 時をおかず、男の持ちものにも・・。 今日もブランディーグラスを手にした男の足を裸に首輪のみの彼女が丹念に舐めていた。 それだけのこと・・・。彼女は男の夜を彩る花となり、白い裸体が毎晩、男の上をはい回る。 12月に彼女は学校を辞めた。 1年後、彼女は完全に世間からその名が消える。 黒だった首輪は赤に変えられ、愛らしい顔は男のベニスを覆い隠す。 そのヴァギナは根元まで男を味わいつくした。 男にも、「彼女」との関係が主原因となり、状況に変化が起こる。 離婚。二人の可愛い子供のために持ち家は古女房に呉れてやり、約4000万の慰謝料を払った。 資産家の家の女は養育費までは底が見えている男には求めない。正直、男は助かった。 男に残されたものは、傾きかけたプロダクション会社と約1000万の借金、そして、すっかり牝犬となった「彼女」。 彼女のマンションの購入は、やはり大正解であった。 病的に彼女の母親は物忘れがひどくなっている。既に、認知症と言えるほど。一人で外に出すのは危ない。 父親は多年の苦労でまだ、50を少し過ぎたばかりだが老人に見えた。 しかし、父親は都心の一等地にあるマンションの広い和室で、母親の看病を嬉々としてくれる。 彼女は男の「籍」に入り、男は彼女のマンションの主となった。 今晩の彼女は右手足が重ねて縛られ、滑車で宙に上げられている。女の部分が剥き出しになり、男は仕事上でつまらないことでもあったのか、特定の名前と罵倒を口にし、手にした鞭で、容赦無くその場所を打っていた。 「ハァ、ハァ・・・。」 息が上がった男は「妻」を下ろし、4つ足にさせた形でペニスの抽送を始める。 それに飽き、「妻」を座らせ、ペニスを喉の奥に達するほど激しく前後へ動く。 苦しさはあるが、彼女はこの行為が嫌いではない。 やがて、男が彼女の口内に射精した。 彼女は軽くそれを飲み干し、ベッドに身を投げた男の元に這って行く。 彼女が口に含んだペニスは、尿を吐き出し、それも精液と同様に処理される。 射精からここまでは、男が「妻」に1年かけて仕込んだ事。 彼女は更にペニスが硬さを取り戻すため、赤い首輪を上下左右に振る。 もう、45近い「夫」は、1時間後ようやく射精前に戻った。 彼女はヴァギナをゆっくりと押し込む。ペニスを支える手は、まるで高級な壊れ物でも扱うように慎重に。 「ア、ア〜、イィ〜、イィ〜。」 10分も快楽を貪っただろうか。 「イ、イクゥ〜。」彼女は昇りつめた。 まるで、老いた夫を労わるようなSEX。 彼女は男の隣に身を置く。既に「夫」は寝息を立てていた。 彼女は「妻」と言う響きが好きである。 同時に男と二人でいる時は「奴隷」と言う言葉も。 その響きの中に「安定感」を得、「自由」を感じる。 彼女は貧しい育ちだった。そして、一時の栄光を見、地獄も知った。 彼女の知性では、「妻」も「奴隷」も同じ事であり、決して「女」としては「不自然」「理不尽」ではない。 彼女が30歳になったころ、いよいよ、男の会社が危なくなった。女優一人雇う金も無い。 「あなた、私がやりますわ。」 男は妻を愛していた。だが、心のどこかで望んでいたこと。 （愛する「妻」を晒し者にしてみたい。） 捩じれているが、どこか男の急所をつく・・・。 彼女の身体はまだ若々しくはあったが日々の淫虐から、デビュー当時ピンクだった場所は、淫らな色素がもう取れない。 そして、男の気まぐれで、ピアスなどがあちらこちらに付けられていた。 「元アイドル ××、牝奴隷30歳」は、その過激さとアイドルの宿命で名前が思い出され話題となり、DVDは爆発的なヒットとなった。 プロダクションは一気に数億を得、彼女自身の収入も今までで最高額を記録する。 シリーズ「元アイドル（AV女優）、牝奴隷30歳」は次回で3作目。 タイトルにある最後の年齢は、コピー本数の調整で手間取り、彼女は31となってしまい、今、擦り直されている。 彼女の職業は・・・たぶん、AV女優。 |
| 2011.4.23掲載 |
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