初精（初めての射精）前の少年の自慰を見た事があるだろうか？
　知らずに通り過ぎてしまうそれは、大人と子供の間の、ほんの一瞬の夢のような体験だ。
　自身も確かにその時期を過ごしたはずだが、そんな経験をした記憶はない。
　初めてオナニーをした時の事はよく覚えている。（たしか中学２年だったと思う）だが、最初から射精は問題なく出来た。
　つまり、見たことも実際にしたこともないのだ。
　ところが、中年にさしかかる今ごろになって、実際にそれを目にする機会がめぐってきた。

　知り合いのある女性に、少年がそれをする様子をこっそりと覗かせてもらったのだが、正直、その光景が目に焼きつき、今でも忘れることが出来ない。
　当の少年は、その女性の再婚相手の連れ子で、まだ幼いのに淫欲な興奮をもて余し、自分のものを弄っているうちに、知らないうちにやり方を覚えてしまったらしい。
「まあ、環境が特殊だから仕方がないんだけど・・」
　その女性は、俺の前で、そうため息をついた。女性の夫は、数件のラブホテルを経営していた。

「俺は男には興味はないよ。女の子だったらよかったのにな。」
　最初俺は、そう言って断った。
　だが彼女は、「違うのよ、普通じゃないの。あなたもあれを見ればきっと驚くわよ。」そう言って譲らない。
「でも、ただの男の子のオナニーだろ？、どう違うんだ？」
「それが・・凄いのよ。」
「だから、なにが？」
「それは見ればわかるわ。」
　彼女はそう言いいながら、陰湿な笑いを浮かべた。
　俺は、その意味深な笑い方がどうしても気になって、その少年の自慰を覗いてみる事にした。

　それから数日後、客の少ない平日の昼にラブホテルに呼び出された俺は、寝室に繋がる彼女の個室に招き入れられた。
　彼女が、壁の一面に設えられた、一見クローゼットの扉に見えるドアを引きひろげると、中から録画装置を接続したモニタが姿を現す。
　彼女がモニタのスイッチを入れると、画面には、物置のような狭い小部屋が映し出された。
　どうも、シーツなどのリネン類や、冷蔵庫の中身などを保管しておく部屋の様だ。
「まさか、全部の部屋を覗けるわけじゃないよな？」
「ええ、もちろん客室は覗けないわよ。従業員の控え室や、備品を収めてある一部の部屋だけ。」
　−実は、この事は従業員にも秘密なの。ベットメイキングをする人の働きを調べるためのものなのよ。時々備品を盗んだり、掃除をさぼったりする人がいるもんだから・・」
　部屋の中央で、男の子が服を脱ごうとしている。
「あの子がそう？」
「ええ、いつもこうして人の居ない時間を狙って独りで愉しんでるの。誰にも知られていないと思ってるみたい。」
　俺は、その男の子の事をあらためて注視した。
　身長は意外と高くて、ほとんど俺と同じくらいある。見た目からすると中学生ぐらいだろうか。
「中学生？」
「いいえ。身体は大きくて見掛けは大人みたいだけど、本当の歳はうんと若いの。」
「へえー、とても子供には見えないね。」
「早熟なのよ。まわりの大人のせいで。」
　彼女はそう言いながら、表情を曇らせた。
　服を全部脱いだ男の子は、急いでソファの上に身体を横たえると、すぐに自分の股間に手を伸ばす。
「もう勃起してる・・一体、何を使って興奮してるんだろう？」
「お客さんが脱ぎ捨てた下着や、大人のおもちゃ。それから、放送用のＡＶを盗み見たり、部屋に残る精液の匂いを嗅ぎながらしていることもあるわね。」
「ひぇ〜、それじゃまるで変態エロオヤジじゃないか。」
「ええ、そう。でも身体の一部はまだ子供なのよ。」
　俺は彼女の話を半信半疑で聞いていた。どう見ても画面の中の少年は子供にはみえない。
　少なくとも、彼の手の中で垂直に熱り勃っている身体の一部分は、大人と同じほどの長さがあった。

「ほら、そろそろみたいよ。」
　彼女がカメラを操作して、少年の裸体を大きく画面に映しだすと、ちょうど男の子がクライマックスを迎えるところだった。
　全裸の少年が、両足を投げ出すようにしてソファに浅く腰かけ、自分の感じる場所を一心不乱に愛撫している。
　すでに男の子の裸体は朱色に染まり、その胸は、大きく上下を繰り返していた。
　そのうちに、夢中で動かし続けていた右手がふいに止まり、震える彼の唇が半開きになる。
　すると、皮を被ったままのピンクの先端から、サラサラで透明な液体がゆっくりと滲み出してきた。
（「これは？・・そうか、まだ出来ないのか。」）
　俺は、この時になってやっと、なぜ彼女が俺を誘ったのか、その理由を理解していた。
　射精にあたるその現象は、粘度のある精液が勢いよく何度も迸り散る大人の絶頂とは違って、長いホースの先の水の流れの様に、とても緩やかで穏やかなものだった。
　そのまま凍りついたように動かなくなった少年は、泉の様に粘液を生み出す自分の先端を、恍惚とした表情でじっと見つめている。
　しかし、溢れ出してきた体液は、ごく短時間で止まってしまった。
　少年はそのまましばらく、虚ろな表情で自分自身を見つめていたが、いきなりまた手を動かし始めた。
（「えっ！？」）
　びっくりした俺は、思わず後ろの女性を振り返った。
　女性はしたり顔で、ほらごらんなさい、とでも言いたげにすました顔をしている。
　その間にも秘密の遊びに夢中になった少年は、勃起したままの股間を扱き続けていた。
（その子は、両手の掌に自身の粘液を掬い取り、感じ易い剥き出しの先端部と、薄皮を被ったままの筒の裏側を素早く何度も擦り上げていた。）
　それからいくらも経たないうちに、少年の手はまたもや凍りつき、彼の先端からは前よりも多くの体液が噴水の様に湧き上がってきた。
「おい・・ウソだろ・・」それは俄には信じられない光景だった。
　間欠泉の様に、何度かに分けて噴き上がった多量の体液が、波打つ少年の腹に噴き溢れている。
　一見放尿の様に見えるが、そうではない。溢れ出した液体は透明だし、第一あんなに勃起していては小便は出ない。
「凄い量でしょう？、男の人って、随分と水分をため込んでるのね。」
　少年の義理の母親は、そう言いながら妖しい目つきで俺の下半身をちらりと眺めると、またすぐに少年の裸体に熱い視線を戻した。
　画面の中の男の子は、快感に身悶えをしながら、無心に両手を動かし続けている。
　まだ身体の中で精子を作ることが出来ないこの少年は、潤滑剤にあたる粘液のみの空の射精を繰り返し、その未知の快感に我を忘れて耽溺していた。
　今や、瞳を閉じて、頭を後ろへ仰け反らせたままの姿勢になった少年は、取り憑かれたようにこの行為を繰り返しはじめる。
　少年の手が見えなくなるほどの速度で動き、彼の腰が、覚えたての歓びに応えるようにビク、ビクと何度も跳ね上がっている。
　その間、少年の唇からは吐息のような浅く忙しない喘ぎ声が、ずっと漏れ続けていた。
「ねえ、こんなことをして本当に気持ちがいいのかしら？」
　俺と並んで画面を覗き込んでいた彼女が、ふとそんな疑問を口にする。
「それは・・睾丸の収縮と精子の放出が出来ないわけだから、痺れるような最後の快感が得られずに、ずっと絶頂直前のままで逝き続けてるみたいなものだろうな。」
「そう・・」
　俺の答えを聞いた彼女は、無意識のうちに自分の口を片手で被った。
　その後、何回も訪れる射出の快感と、間断なく続く愛撫の心地よさに陶酔した少年は、わずか２分間の間に４回も、透明な液体を噴き上げる独自の絶頂をむかえていた。
　すでに、彼の下腹部は、自らの体液でびしゃびしゃに濡れている。

　この時、画面を凝視し続けていた俺は、知らないうちに硬く勃起していた。
「なあ・・本当はしてあげたいんだろう？、咥えたくて、うずうずしてるみたいに見えるぞ。」
　俺が、頬を赤く染めている彼女の気持ちをそう代弁してやると、すかさず彼女は、
「馬鹿ね。そんな事出来るわけないじゃないの。」と、形のいい唇を尖らせた。
「でも、ずっと期待しながら見てたんじゃないのか？、あの子のあそこから白い精液が溢れ出る瞬間を。」
「えっ？・・ええ、そう・・そのとおりよ。よくわかったわね。」
　彼女は観念したようにそう認めた。
　やがて、男の子の身体から絞り出しても体液が一滴も出なくなると、（男の子はまだ執拗に手を動かし続けていたが）彼の母親は、疲れたようにモニタのスイッチを切った。

　それから俺達は隣りの寝室に移り、彼女が充分満足するまで、精液と愛液の飲ませ合いをした。