『オナこもりの小説』ジーズリー 作
アツシ――彼は、つい二か月前、産休に入ったコーチの代わりに颯爽と現れ、たちまちの内に奥様連中の心をつかんだ。そのサラサラの髪、ほっそりと引き締まった体、スラリと伸びた手足、そして何より弾ける様な優しい笑顔は、まるで絵に描いた様な二枚目ぶりで、たとえ年増女達が秋波を送ったとしても、決して下品とばかりは断じきれない程であった。 「キャッ、アツシくんに触っちゃった」 チームメイトで友人の恵がコソコソと騒ぐ。それを目ざとく見つけ、咳払いでたしなめるのは部長の大林。いずれも学生などとうに修了した、れっきとした母親である。彼女達はいわゆるママさんバレーチームなのだ。 そういう大の大人達をして夢中にさせる程、新コーチの魅力は衝撃的であった。彼との歳の差たるや恵で一回り以上、大林に至っては親子程もあるのに関わらず、いずれも彼に対しては女としての構えを取っていた。厳格ぶってはいるが、大林ですら例外でなかったのである。 沙織はそれを承知している。そして、そんな彼女らを尻目に、アツシへ密かに目線を送った。ふと目が合った彼、ポッと頬を染めて視線を外す。沙織はほくそ笑んだ。 二人が肉体関係を結んだのは、彼が来て三週間経った頃だった。沙織は決して火遊びを好む性質ではない。実際、浮気も初めてだ。魔性の女を気取るつもりもないし、まして淫乱という自覚もない。とはいえ、ただ単にコーヒーを飲んでしゃべるだけの間柄が、いきなりベッドまで飛躍するはずもなし、力づくで押し倒されたのでない以上、やはり沙織の方で積極的な肯定があったわけだ。彼女自身は、あくまで偶発性を信じたいのであろうとも。 「ンッ……」 暗がりで唇を重ねながら、沙織はまるで少女漫画のヒロインみたいに小声で可愛らしく呻いた。背の高いアツシだから喉を伸べ、顎を彼の鎖骨辺りに預ける様な姿勢になる。少し苦しい。だがそれが良かった。抱きしめられている安心感があった。 彼とのキスは、夢のようなロマンスだった。背徳感はまるでなかった。だからだろう、その続きをすんなり受け入れられたのは。 「ねえ、いい？」 「……うん」 二人はその足でホテルに向かった。彼は二十歳、片や三十路の沙織だが、自然とエスコートは彼の役だった。 初めての密会のことを、沙織は事細かに覚えてはいない。ただひたすら現実でないような、夢のような時間を過ごした感動だけがある。 「（本当に浮気しちゃうんだ、わたし……）」 そんな感想がちらりと脳裏をよぎることもあったが、まるっきり他人事のような感じだった。アツシから、 「ほんとに、いいの？」 などと念押しじみた不興な質問がなかったこともありがたかった。 不安と言えば、むしろ別のことがあった。それは体型である。いかにも細く引き締まっている青年に対して、人妻は全体的な肉付きを否めなかった。いわゆる"ぽっちゃり"だとは自覚もしている。このことは折角のロマンスを一気に瓦解させる恐れがあった。 だが――、 「全然そんなことないよ！」 と、彼は力強く言い切った。ぽっちゃりが好みだ、などという言い方ではなく、太ってなどいないと断言したのである。沙織は嬉しかった。以来、ベッドでは思うままに気をやれた。 あまつさえ、アツシは上手かった。これは、後々の逢瀬でも確信した所だ。女体のあしらいが実に優しい。夫はおろか、昔付き合った誰とも違う。ほとんど、撫でられているだけで気持ち良かった。 それでいて、強引な所もあった。フェラチオの最中に頭を鷲掴みにされたのは初めてだった。それでいて嫌な感じにはならなかった。 「すごく気持ちいいよ」 熱っぽい息を吐きながら笑顔で見下ろす彼の笑顔を見ると、沙織はなんでもしてやりたくなるのである。彼女は、夫が永遠に知ることのない喉の奥まで彼を迎え入れた。 いつしか、彼女はしつけられていた。彼の逞しい怒張に接すると、犬のように尻尾を振ってひざまずくようになった。"逞しい"まさにそれが相応しい表現で、沙織はそれを憧れの目で見つめながら、誠に丁寧に口淫奉仕するのである。 それが体内に入ってくる時の充足感たるや、何物にも代えがたかった。 「アウッ、アウフ……ッ！」 淫らな声も出した。いや、出た。子宮に響く連撃が、彼女を狂わせた。かつはまたメスとしての悦びを与えた。そして彼女は一層の奉仕を誓うのだった。 だがしかし、本来人妻の奉仕相手は別に決まっているのである。 「遅かったじゃないか」 帰宅した妻に、夫が文句を言った。アツシとの密会の後は、家に帰るのが遅くなることもままあった。 「ごめんごめん」 沙織は軽快に応えて、肥えた尻を揺らしながら台所に立った。アツシとの関係以来、彼女の機嫌は目に見えて良かった。 「（だってアッ君ったら三回も頑張るんだもん）」 その日の逢瀬を思い出しながら、彼女は頬を緩めた。彼女は恋をし、さらに夢を見ていた。それはある面で純粋でありながら、他方で欲望的なものだった。必ずセックスなくしては語りえなかったからである。 「早く飯にしてくれよ」 「お腹減った」 夫と息子が口々に急き立てる。 「はいはい」 妻は事務的に言って支度を始めた。現実、である。家庭にいる自分、これが本当の姿だ。それがため、若者との恋路が余計にきらめいて見える。しかしそれとの落差たるや、彼女を時にげんなりさせた。 「お前さあ、バレーもいいけど――」 追い打ちをかけるように、夫が言う。 「運動してんならちょっとは痩せそうなもんだよな」 言いながら、キッチンに立つ妻の尻を、彼はペロンと撫でた。 「ちょっと、やめてよ。マサヤもいるんだから」 沙織は小声できっぱりと叱りつけた。全くイライラする。早くも中年の域に入った伴侶に、ただでさえ生理的な嫌悪感を覚える今日この頃である。 だから、沙織は夫からの夜の誘いを久しく断っていた。どうしようもなく嫌であった。反して、アツシとの肉欲には益々傾倒の度を深めていった。 「ダメよ。ダメだったら、見つかるわ」 そんなことを言いながら、練習前の体育館でしたセックス。言葉とは裏腹に、拒絶の意思はなかった。 「もう……」 だらしなく笑いながら、人妻は青年に媚びた。集合より一時間も前にわざわざやって来たのも、この情事のためだった。沙織の胸は躍った。みんなが集まる場所での二人だけの秘密、そのことが彼女を女子高生のように初々しい気持ちにさせた。 「これから練習なのに、その前にクタクタになっちゃう」 そんな冗談を言って笑い合いながら、沙織は恋人の胸に頭を預けた。肉棒は今日も勇ましく、彼女は確かにクタクタにさせられた。 "秘密"はこれだけにとどまらない。 「アンッ、アンッ……！」 白昼の家に、淫らな声が響く。ギシギシと激しく鳴るは夫婦のベッド。沙織は間男を自宅に招き入れていた。今はアツシの指示により、彼の上にまたがっての腰振りである。このベッドの上で、彼女はこんな体位をかつてやったことがない。 「すごくいい眺め」 悠然と両手を頭の下に敷きながら、アツシは己が上で踊る年増女の肉体へ目線を這わせた。彼女の胸が大きいということを、常々彼は褒めていた。 それを知ってはいる沙織だが、彼女の懸念は胸よりも腹である。そもそも体をまじまじと眺められること自体恥ずかしかった。 「も、もう疲れちゃったから、アッ君動いてよ」 照れ隠しに言って、沙織は腹踊りをやめた。腰を止めても、動く度にタプンタプンと乳房が揺れた。 全く、アツシとの情事では初めて経験することが多かった。今まで性交というものを一体ちゃんとしてきたのか、沙織は疑問に思う程だった。イラマチオ、騎乗位といった性の技から、コスプレでのセックス。沙織はアツシにねだられる時、拒否という言葉を知らなかった。 「こんなの恥ずかしいわ」 なんて言葉では言いながら、バレーのユニフォームはもちろん、わざわざ学生時代の制服にまで着替えてみせた。 「かわいいよ。今でも全然イケる」 青年は言葉巧みに褒めそやして、人妻をその気にさせた。そうして、彼女の痴態を記録に残した。 写真を撮られることは大きなリスクだ。だが、沙織の感覚はこの際麻痺していた。恋人にメロメロの彼女は、彼の関心を失うのが怖かった。結果、彼の頼みなら何でも聞いた。 「愛してるよ、沙織」 問われるより前に、アツシは答えを与えてやった。 沙織は満面の笑みでカメラに向かってピースサインをつくり、硬い剛直に突かれて絶頂を繰り返した――。 ＊ 「――とまあ、こうやってヤるんだよ」 アツシは、さも事もなげに言った。話を聞いていた友人らは口々に、 「スゲー」 と言って、彼を称賛した。彼らの反応は、アツシを満足させるのに十分だった。彼は気心の知れた仲間二人を前に、ママさんバレーでの自身の"戦歴"を自慢していたのである。 「マジで？ ほんとに全部ヤッたの？」 二人の内の一人、太めでニキビ顔のカツノリが尋ねる。彼の手元には、件のバレーチームの集合写真があった。 「いやだから、全部っていうか、ハメ撮りあるヤツはほぼ全員な。まだ撮ってないのもあるけどさ」 アツシが答えると、すかさずもう一人の、頬骨の出っ張った長い顔のシゲヒロが問いかける。 「このオバちゃんともヤッたんだろ。スゲーなお前。別の意味でスゲーわ」 彼はアツシのスマートフォンとさっきの写真とを何度も見比べていた。彼の見ているのは大林である。 「ああ、オレってストライクゾーン広いから」 アツシは得意げにニヤニヤ笑う。 「そのオバちゃん中々良かったぜ。小遣いもくれるしさ」 「マジかよ。ていうかお前、もうそっちメインだろ」 アツシの発言にそう指摘するシゲヒロから端末を受け取って、今度はカツノリが、 「しかし、マジで鬼畜だよなあ」 と、ある画像を見つめながら非難した。そこには恵が、自分の子供の体操服を着て、後ろから交尾されている図があった。小柄でスリムな彼女ならではのプレイだった。 要するに、アツシは代理コーチを引き受けて以来というもの、チーム内のママさんを何人も食い物にしてきたのであった。何のことはない、不倫に走ったのは沙織一人ではなかったわけである。 「さっすが、イケメンパワーは違いますな」 シゲヒロが持ち上げると、 「いやいや、人妻なんかチョロいでしょ。お前らでもイケるって」 とアツシは語る。彼曰く、 「アイツら飢えてるからさ、ちょっと優しくしたらすぐチンポしゃぶるぜ。マジでさ、人妻ってエロエロだからな。全員ヤリマンかっての」 とのことである。これを聞いてカツノリは、 「マジでか。いいよな。俺もコーチ回ってこねえかな」 と、素直に羨ましがった。するとアツシが言った。 「なあ、お前らにもヤらせてやろうか」 「マジか！」 早速に食いつく両名に、アツシはニヤリと笑いかけた。 「ちょっと面白いこと思いついたんだよね――」 ＊ 試合当日――。会場は熱気に包まれていた。 「これ、差し入れです。今日は皆さん頑張って！」 沙織の夫が差し出したのは、栄養ドリンクの箱であった。それを受け取って大林が、 「あら、ありがとうございます」 と礼を言えば、隣にいた恵も、 「うわあ、沙織の旦那さん気が利く！」 と喜びの声を上げる。夫は嬉しそうに笑って、 「アイツは？」 と、妻の所在を尋ねたが、これはもう取って付けたような感じだった。女性陣は一本ずつドリンクを取って飲んだ。その中に沙織の姿はなかった。だが、まだチームの出番まで十分時間がある。それで彼女の存在は何となく有耶無耶になった。 沙織は今、用具倉庫の隅にいた。 「アッ、アッ、ダメッ、声出ちゃうよお」 跳び箱に手をついて、交尾に勤しんでいる。その身はひん剥かれてほとんど全裸。身に着けているのは靴下とシューズと、そしてアイマスクである。その後ろで部屋の扉が開き、そして静かに閉まった。彼女は気づいていない。 「ん、これ」 室内に入ったアツシは、シゲヒロに栄養ドリンクを手渡した。 「頑張れってさ、旦那さんが」 それを聞いて、シゲヒロがニヤリと笑う。 「最悪だな、お前」 二人は顔を見合わせて笑うと、奥の暗がりで交わるカツノリの背中を見やった。 「アイツ、二発目？」 アツシが問うと、シゲヒロは肯いた。 「アッ、アンッ、アッ君すごい……」 沙織は、今日に限って休みなく求めてくる"アツシの"男根に、喜悦の声で啼いた――。 「――目隠し？」 ほんの少し前、用具室に呼び出された沙織は、行為の前にアイマスクを渡された。 「そ。これ付けたらさ、興奮するから」 アツシに言われれば否やはない。彼女は素直に従った。しかしさすがの愛の前でも、この緊急的状況で安心しきることはできない。 「ね、ねえ、でも早く済ませてね」 彼女は要望したが、それが精一杯だった。例えば避妊具の装着にまで言及できなかった。 「分かってる分かってる」 結局軽く受け流され、沙織は試合前の慌ただしい中にも関わらず、性交を始めることになった。すると、今日に限って、である。彼の持久力は異常だった。 「アンッ、は、早く……」 そう願ってみても一向に終わる気配がない。いや終わってはいるのか、彼女にはその辺りが判然としなかった。復活が早いのか、持続が長いのか、それは分からない。というより途中から考えられなくなってきた。要はそれ位、延々と挿入が続いているのである。 「アッ君、今日、どうしたの？」 元々アツシは早漏でも一発屋でもない。が、それにしても今日は異常だった。時々抜き出され、ようやく解放されるかと思いきや、またすぐに入ってくる。しかもビンビンに硬い。それどころか、その抜き差しを境に、毎回攻め方まで変化するような気さえするのである。 「（い、痛い……）」 今日何度か、沙織は密かにそう感じていた。ついぞなかったことである。乳房の揉みしだき方がこれまでになく激しい。かなり強引に強く揉みくちゃにされる感じである。あるいは、これが目隠しの効果というものだろうか。だとすれば、確かに効果的であった。何しろ、こんな不安な状況の中、沙織は何回も絶頂に達していたからである。 「アッ、アッ、アッ、ダメェー……！」 その背中を見下ろしながら、うっとりと熱を吐き、且つまたドップリと精を吐き、カツノリはゆっくりと男根を抜いた。すかさずそれにシゲヒロが取って代わる。狂言輪姦は終わらない――。 「――あの牛みたいな爆乳の奥さん？」 事前に標的を聞かされた時、シゲヒロは歓喜した。 「ああ。まあ、腹も牛みたいだけどな」 アツシはそう言って笑ったが、確かに腹の贅肉ははっきり見て取れた。合体中も揺れる。だがそれを差し引いても余りある位、その"爆乳"はシゲヒロにとって魅力的だった。 彼はしばらく突いてから膣を出ると、彼女を座りこませてその胸に肉棒を突き立てた。そうして、自分勝手に乳房を持ち上げて谷間を作ると、そこへ挿入を試みる。 「アイツ……」 振り向いてニヤニヤ笑う彼を見て、アツシは呆れた。仕方なく近寄ってフォローしてやる。 「沙織、今度はパイズリしてくれよ、いつもみたいに」 "パイズリ"も、アツシが仕込んだものだ。彼女はそれを夫にしたことがない。 「ねえ、じゃあこれ取ってもいい？」 「ダーメ。取らないでもできるだろ」 アイマスクを外そうとした彼女だったが、アツシはこれをあっさりと退けた。実際彼の言う通り、行為自体に何らの支障はなかった。沙織は両手で胸を寄せて、見ず知らずのペニスを挟んだ。そこでも彼の正体に気付くことはない。 「グー！」 と、友人に合図を送るシゲヒロ。乳肉の摩擦は彼を納得させるものだった。潤沢な脂肪はまさにこの為にあったのかという位、勃起を包み込んでなお余りあった。じっとり汗ばんだ白い肌の上を、どす黒い肉棒が滑る。沙織も手慣れたものだ。これを本職にしても良いのではないかという程、巧みに乳肉でペニスをこねくる。 勢いで彼は、口淫も強いた。沙織は口腔でもなお、相手の真贋に気付けないでいた。さらに途中で相手がカツノリに代わってさえ、見極められなかった。盲目の愛の前に、真実は見えない。 カツノリも調子に乗って、パイズリを所望する。誰のものであろうと、彼女の乳房はウェルカムである。スライムのように柔らかいそれは、どんな肉棒にも形を変えて馴染み、すっかりホールドした。 フェラチオが丁寧なのは言うまでもない。彼女にとって"アツシの"ものであるそれらは、やはり愛の対象であった。舌を広げ、あるいは尖らせ、きれいに表面をなぞり、さらには筋から穴にかけて舐め上げる。そして膣口よろしく唇をすぼめてくわえ、ひょっとこのような顔で吸い付く。彼女にとり、美味ですらあるものだ。 人妻の奉仕は若者らを圧倒的に魅了した。 「アツシは？」 「ああ、オレはいい。今日はコイツの気分じゃないから」 カツノリに問われて、アツシはさらりと言い放った。彼ひとりが冷静だった。 残りの二人は、それからも交代で人妻の肉体を愉しんだ。時間に限りがあったから一気に射精までいかず、小まめに入れ替わっての挿入である。 「アアッ、オッ、オオッ、オホォッ……！」 繰り返される怒涛のピストンに、沙織は気が気でない。もはや時間的焦燥をかき消される程だ。絶え間なく深いオーガズムの波が、彼女の芯を押し流す。 「ア、アッ君すごっ……！ ヒ、イ、イく……ヒぐぅ……！」 裏返され、跳び箱の上に仰向けに寝かされる。そこで股を開き、入っては出ていく"アツシ"を待つ。玄関は次第に開きっぱなしになった。主人がいつでも出入りしやすいように、パックリと黒い口を開けて。 また、だらしなく垂れ広がった広い乳には、先程張り付いたのであろう陰毛が共に揺れていた。そこには精液もこびりついているはずで、試合前から随分汚れてしまったものである。準備運動にしては体力の消耗が著しい。まさにもう"ヘトヘト"になる状況であった。 そんな彼女の活躍を、世人は誰も知らない。この会場へ共にやってきた息子は今朝、 「ママ、頑張って勝ってね」 と励ましてくれたが、彼女の頑張りはこれまでの所試合でなく、男どもの性欲処理の為にあった。ここで母がこんなに頑張っていることを、無邪気な息子は知る由もない。また仮にこれが試合だとしても、彼女は大いなる快楽の前に完敗であった。 「オッ、オッ、オホオォ〜……！」 母は啼いた。家族に隠れ、チームメイトに隠れ、大勢の人の集まった試合会場の隅で、男達に輪姦されながら。律儀に健気に淫門を開き、愛するペニスに満足してもらうために。否、満足は彼女自身の求める所。バレーよりも愛に生きるママさん、沙織である。 結局その後、シゲヒロが膣内射精し、そこで時間となった。二人はまだやり足りない風だったが、アツシに腕時計を示されて、不承不承引き下がった。沙織が目隠しを取った時、当然彼らの姿はなかった。 「遅いじゃん」 戻った時、恵は飛び掛からんばかりの勢いで沙織を責めた。既に出番のひとつ前の試合が始まっていたのである。 「ごめんごめん、迷っちゃって」 沙織は平謝りしつつ、さりげなくショートパンツの後ろを直した。その股間の布地は、じんわりと色を濃くしていた。それが決して汗の為ばかりでないことは知る人ぞ知る所である。 「ガンバレ、ママー！」 観客席にいる沙織の息子が、これからコートに向かう母へ大声で声援を送る。その後方に、カツノリとシゲヒロは座った。二人は目を見合わせてほくそ笑む。 「ママ試合に出てるの？」 大胆にもシゲヒロが息子に尋ねた。すると、元気よくコートの沙織を指さして肯く彼。 シゲヒロとカツノリは、彼の父親にも語りかけた。アツシの友人であることを告げる。 「そうなんですか。じゃあ一緒に応援しましょう」 父親は笑顔でそう応じた。その時、彼の妻に今しがた種付けした陰茎がピクピクと疼き、先端から残り汁が漏れ出した。すると、時を同じくしてコート内の母親もまた太ももを痙攣させ、割れ目から白濁汁を漏らしていた。そんな彼女に、父子は手を振る。カツノリとシゲヒロも手を振った。その身に注がれた子種が二人のものだと、もちろん沙織は知らない。 「あっ、ママ手振ってる」 嬉しそうに息子が言った。母は、大きな胸を揺らして、輪姦犯らと並ぶ親子に手を振っていた。その胸の谷間には、陰茎から抜け落ちた縮れ毛がいまだ張り付いているのである。 「きれいな奥さんですね」 カツノリが言うと、夫は、 「そうですか？ ただのデブですよ」 と言ったが、悪い気はしていないようだった。その答えに笑い返しながら、間男らはもう別のことを考えだしていた。彼らの脳裏に、さっき別れたアツシのセリフが浮かぶ。 「じゃあ、昼休憩の時に、もう一人連れてきてやるよ」 まだ物足りないという友人らの意を汲んだ提案だった。二人は次の獲物の上に視線を落とした。コートはさながら淫乱女の見本市である。彼らの目は、次のターゲットとして指名された恵の上に自然と集まっていた。 〈終〉 |
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| 2013.9.28掲載 |
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