「少し遅くなってしまったわね」
　駅の改札を出た弓子は並んで歩をすすめる大学生の娘に話しかけた。
　お茶の家元の先生に誘われた若手バイオリ二ストの定期演奏会が終わったのは午後九時を回っていた。
　アンコールが入った為、時間がずれ込んでいたのだ。
　弓子は歳はすでに四十半ばに差し掛かっていたが、美貌と若々しさのため三十代にしか見えない。
　それも、お茶やお花の習い事や近所の奥様方を集めた料理教室など常に衆人の目に晒され、活動的な毎日を送っているせいであろう。
　有名私立女子大の二年生になる弥生も今年から将来の花嫁修業の一つとして家元の元に通っていた。
　夢をみているような瞳が母親似で、健康美が醸し出す美しさは異性の憧憬を惹きつけてやまない。
　それでいて親しみやすさと気品が同居しているところも母親と相通ずるところである。
　弓子の目からみても、弥生は人としての教養と女性としての魅力を兼ね備えた娘に成長していた。
　弓子にとっても、若くして銀行の支店長にまで登りつめた夫にしても、一人娘の弥生はいくら慈愛を注ぎ、溺愛しても足りるということはない存在なのである。

　その日は休日というこもあり比較的駅は閑散とし、駅前の店の多くは灯りをおとして、バスを待つ人々と暇をもて余したタクシーが列をなしているだけであった。
「おいっ、このくそジジイ」
　ドスを含んだ若者の声が突然家路を急ぐ人たちの脚を鈍らせた。
　バスの待ちの長いすの上で胸ぐらを掴まれた八十を過ぎたかと思われる老人が、顔を恐怖に引き攣らせ、両手を振って何かを訴えようとしていた。
「わしは……何も…」
　白い髭をヒクつかせながら弁明をこころみるが喉が詰まって声にならない。
「おれが先に乗って悪いのかよ? ぶち殺すぞこのやろう!!」
　家路に向かう人々がバスに乗車するため列を成していたところへ、二人組みの少年たちが現れ、横槍をいれたのを一番前のイスに座っていた老人がたしなめたのが発端であった。
　胸倉を掴み上げた小太りの方はジーンズにTシャツという身なりで頭を金髪に染め、眉を剃り上げていた。
　それを笑いながら見ているもう一人の長身の痩せ型の少年は髪を赤に染め耳にピアスを通している。
　二人とも年齢にすると弥生と同年代といったところだろうか。
　今でいうチーマーという類の少年たちだ。
　小太りのほうが髪を掴み絞り、揺さぶりたてると、赤毛が痩せて筋肉の落ちた老人の外腿のあたりを蹴り上げた。
　老人は苦痛の悲鳴さえ上げる間なくイスから転がるように滑り落ちた。
　その無様な横転にコメディ番組でも観ているかのような笑い声を上げた二人はさらに鳩尾の辺りを蹴り上げた。
「ぐはっ……ううう……」
　老人は目を剥き、呻きながら嘔吐物の混じった黄色い液を口から滴らせた。
　その場には数人の男女がいたのだが誰も止めようとしない。
　これが人間の弱さなのか巻き添えをくうのが恐ろしく動けないのだ。
「やめなさい、何をしてるの!」
　突然、静寂の空の闇を切り裂くように怒気を含んだ女性のソプラノが響いた。
　一人の美しい婦人が列をなす人の間を縫って躍りでると、椅子のたもとに蹲る老人の足元に少年を押しのけるように駆け寄った。
「おじいちゃん、大丈夫?」
　婦人は蹲る老人の頭の下に腕を入れ、顔を起こして呼吸が楽な上向きの姿勢に移し変えた。
　いたわりの声を掛けつつ、バックからハンカチを取りだして口の嘔吐物を拭ってやる。
　婦人は二人の少年の方に視線を投げ、澄んだ瞳を怒りに滾らせながら凛とした表情で口を開いた。
「あななたたち、お年寄りにこんなことして恥ずかしくないの!!」
「なんだと!　あんたには関係ないんだよ」
　小太りは婦人の言葉にやや怯みながらも恫喝を弛める気配はない。
「あななたち、まだ未成年でしょ、何処の大学なの?」
　しかし、婦人もまったく臆することなく逆に二人に詰問の言葉を投げかけた。
　この言葉が学歴にコンプレックスを持つ少年たちの胸を抉った。
　赤毛の少年が顔を赤らめ、凄みを利かせた目で婦人ににじり寄る。
「おやめなさい」
　二人の後ろから女性の声が響いた。
　そちらの方を振り向いた二人のチーマーの顔に瞬く間に恐怖が張り付いた。
　たぶん、歳の頃は三十前後だろうか、
　普通のOLでないことだけは濃く引かれたルージュやアイラインで誰の目にも分かる。
　美しいといえば美しいのだがどちらかというと人工美に近い感じだ。
　痩せぎすで身長は女性としては高く170センチ位はあろうか、色白で小さな顔は能面を思わせた。
　チーマーの二人を射る眼差しは氷の冷たさを湛えている。
　小太りと赤毛が唇を震わせ泣き出しそうになりながら呻いた。
「マリアさん……」
　小太りはその女性をそう呼んだ。
　その時誰が通報したのかパトカーのサイレンの音が次第に大きくなって伝わり始めていた。
　二人の少年はマリアと呼んだ女性に媚びるような、否、哀訴するような眼差しを一瞬向けた後、顔を恐怖に強張らせながら全速力で走り去った。

　警察の事情聴取は十五分ほどで終わった。
　弓子は老人が暴力にさらされている所を目撃し救済に入ったことや、ことの顛末をかいつまんで警察官に説明して聞かせた。
　しかし、警察官が駆けつけた時には少年は勿論、あのマリアと呼ばれた女性の姿もすでになかった。
　幸い老人は運び込まれた病院からの連絡で軽症ということであった。
　弓子と弥生は再び自宅への帰路についた。
　駅から自宅までは徒歩で十分ちょいの距離である。
　婦人はタクシーを使うことも考えたが、日頃から健康には歩くほうが良いと考えているため徒歩を選択した。
　それにまだ深夜という時間ではない。
　弓子たちの自宅は都会のベットタウンとなったこの街の中でも比較的新しい新興住宅街の中にあった。
　駅から近いせいか比較的地価が高く、ミドルクラス以上の家庭が大半を占めている。

　二人は自宅まて後二分ほどの位置に差し掛かっていた。
　この児童向けに作られた公園の中を横切るのが最も近く、ここを抜ければもう自宅は目前である。
　弓子と弥生の胸には微かな疲労感と安堵、そして温かいバスへの欲求が湧き上がっていた。

　しかし、その幸福感は次の瞬間に突然暗転する。
　それは、二人が公園の半ば、滑り台の横を通り抜けようとした時であった。
　トイレの側面から三個の黒い影が飛び出し、背後から母と娘に襲い掛かったのだ。
　娘に最初に飛びかかったのはあの赤毛少年である、口を手で塞ぎ、背後脇から入れた手で獲物の女子大生を羽交い絞めにしながら、トイレの方へ引きずりたてる。
　弥生はヒッと喉を鳴らしただけで悲鳴を上げることさえ出来なかった。
　弓子を後ろから急襲したの小太りの金髪である、軽く突いておいて、すぐさま、プロレスのヘッドロックにとる。
　そこにあの時はいなかったもう一人の少年が後ろから走り寄り、腰に手を入れて婦人の身体を浮遊させ小脇に担ぎ上げて、ヘッドロックをかけたままの小太りと赤毛の後を追う。
　トイレの中まで母と娘を引き立てると、玩具の手錠を後ろ手にかけた。
　そのトイレは今年に入って新築され、設備と清掃は公園のトイレとは思えぬほどいきとどいている。
　トイレの中には少年たちが母と娘をここに連れこむのを待っていた人間がいた。
　それは先ほど駅前で目の前の少年たちをあれほど畏怖させたマリアという女性であった。
「ようこそ、お待ちしておりましたわ」
　婦人は身体をばたつかせながら、助けを求める悲鳴を懸命に絞りだそうとしたが、機先を制せられるように小太りに両頬を張られ、痛みと恐怖で声にはならなかった。



「カンチョ−ッ!」
「ヒッ、ヒィーッ!!」
　赤毛が歓喜の叫びを上げた瞬間、十九歳の娘はグリセリンを注ぎこまれる衝撃に喉を引き絞った。
　二個目をいちぢくを赤毛から変わった小太りが、雫をしたたらせるすみれ色のアヌスに叩き込む。
　容器を抜き取ると早くも便意が、じわりじわりと確実な形となり膨らみ始めていた。
　エネマの経験などまったくない健康的な娘だけに効果の方は絶大である。
　強くなる排泄の欲求が決壊の怯えを呼び、知的な女子大生の胸をドス黒く染めていく。
　腸にグリセリンが浸透し、蠕動運動をおこして荒れ狂い、容赦なく便意が衝きあがる。
　弥生は後ろ手に立たされたまま、地団駄を踏み、涙でメイクの剥げおちた美貌を振り立てる。
　白いブラウスの谷間から揺れる形の良い乳房があらわになり、腰上まで捲られたスカートの下で白い太腿と臀が若い娘特有の耀きを放つ。
　リボンをあしらった純白のショーツが膝上まで降ろされ、黒い翳りがあらわになり、クレバァスの亀裂さえも目に捉えることができた。

「おねがい! ! やめてええっ!!!」
　婦人はもう一人の少年に背後から抱えられたまま、眦を吊り上げ、身体を捩り、脚をばたつかせながら声にならない叫びを噴き上げる。
「こんなことをしてどこが面白いの………娘はまだ大学生なのよ、ひどいことはやめてえ!!!」
　嗚咽しながら弓子は哀訴した。
　じっと弥生の陵辱を見ていた能面のような女が振りかえると、表情ひとつ変えずに弓子に向かって語りかけた。
「奥様。以外に世間知らずでござられますわね、あなたは何が面白いのかと言われましたが、世の中には奥様や娘さんのような知性豊かで美しい方が苛まれ、堕ちていくこところを見ることを悦びとしている人間もいるのでこざいます。もちろんわたしもそのひとりではあるのですけど。
　この少年たちは貴方に咎められた復讐ではありませんよ。
　しいて言えば私の楽しみの手助けなんです。
　私は駅でとても魅力的なあなたたち母娘を見て、どうしても手に入れて遊んでみたくなったのです。
　このような女は奥様の近隣には間違ってもいらっしゃらないでしょうね。
　嗜虐趣味のレズビアンなどは……。ところでこれをごらんになって」
　能面の女は肩から傍らにかけていた、黒いバックの側面を婦人の顔に近づけた。
　弓子が目を凝らすと丸い穴が開けられ、何かガラスのようなものが覗いているのが見えた。
「ビデオカメラですのよ、いままでのところは余すとこなくこれに……」
　婦人は恐ろしいものでもみたように目をカッと見開き悲鳴を噴き上げた。
「これからがその手のマニアが一番見たいところなの、ビデオのクライマックスよ……奥様にこっそり教えてあげて……」
　後ろで拘束する男が弓子の耳元で、周りには断片的にしか聞こえぬ音量で囁いた。
　踵を返した女の背後で母親の悲鳴が迸った。

　猿轡をはずされた弥生の便意はすでに限界に達しようとしていた。
　蒼白な貌を便意に引き攣らせながら、粟立つ肌をマラリアにかかったように震わせる。
「おねがい……おトイレにいかせて……」
　すすり泣きながら哀願する娘を、バックを小太りに渡した能面の女が覗き込む。
「お嬢さん……おトイレならそこにあるわよ、おトイレで何をするの?」
　若く美しい娘のプライドを徹底的に崩壊させようとする恐ろしい意図が女の言葉からは浮かびあがる
「そら、何がしたいのか言ってごらんなさい」
　時間が責め苦になる、能面の女は決して焦らない。
　弥生はいやいやするように力なく頭を振る。
「言いたくなければ言わなくていいのよ、ここでこの男の子たちの前でしてもらうから」
　恐ろしい言葉に絶望の呻きが弥生の喉から噴きあがった。
　あと一度激しい排泄感に衝きあげられたら我慢できるかどうかわからない。
　弥生の忍耐力は限界に近づいていた。
「いいのよ、男の子たちはあなたがどんな風にするのか見たいんだから」
　それだけは年頃の娘には絶対にできない。
「い……言います、お、おトイレで……」
「おトイレで何なの、ぐずぐずしてると間に合わなくなるわよ、はっきり言いなさい!」
　女は最後の一押しとばかりに恫喝した。
「ウ……ウンチです……ウンチがしたいんです!!」
　血を吐かんばかりの言葉を口に出した弥生は屈辱にワッと泣き声を爆ぜさせた。
　少年たちの哄笑がどっと沸き上がった。
　能面の女はスカートとショーツを泣きじゃくる女子大生の足先から抜き取ると、個室の前の一番ひらけた空間に追い立てた。
「お嬢さんところは洋式かもしれないけど、今日は和式でお願いするわね……信二、トイレをここに」
　赤毛が病院で使う携帯用のトイレを紙袋の中から取り出す。
「さあ、お嬢さんここに屈んで和式で用をたす時の恰好をするのよ」
「いやああっ」
「ひ、ひどい……約束がちがいます……お願い、ひとりで……おトイレでひとりでさせてえ!!!」
　弥生の嗚咽を含んだ言葉とともに、後ろから弓子の叫びが虚しく響いた。
　マリアが弥生の後ろ髪をひっ掴んで個室の前まで引き立てると、赤毛が弥生の肩を下方に押し、小太りがピシピシと膝裏を叩いて身体を沈めさせる。
　バランスを崩し尻餅を着きそうになる弥生を小太りが後で受け止めると、赤毛が尻の下に簡易用トイレを差し込んだ。
　赤毛と小太りは傍らに距離を取ったが、もはや弥生には横のトイレに向かってにじり寄る力は無かった。

「その小さな便器で足りるかしらね……お嬢さん」
　能面の女は美しい娘を嘲弄する手を最後まで弛めない。
「さあ、もうすぐお嬢さんヒリだすわよ」
　女の声が鼓膜に響いた瞬間、便意が強烈に突きあがり、閉じた瞼の裏に閃光が走った。
「……いやあ、見ないでえ!!……いやあああ!!!」
　喉を掻き毟るような叫びとともに便器を叩く排泄音が響いた。
　プライドを木っ端微塵に打ち砕かれた女子大生は支離滅裂に喚きちらしながらはらわたが捩れるような号泣を噴き上げる。
　若い娘の健康的な大便の匂いが微かに便器の底から漂い始めていた。
　赤毛が後ろから弥生の髪をどうだとばかりに引き絞り泣き咽ぶ貌を曝しあげた。
「可愛いお嬢さんもウンチは一緒ね」
　初産の産婦のように真っ赤に泣き腫らした女子大生の顔を覗きこみながら、能面の女の口端に初めて微かな笑みが浮かんでいた。

　宴は信二が移動させてきたキャンピングカーの中へ移行していた。
　弥生を盾に大の字に拘束され目隠しで光さえ奪われた人妻は感覚だけの世界に引きずり込まれ、マリアの執拗で巧みな愛撫に、面白いように反応する。
　上流階級夫人の虚飾を剥ぎ取るべく責めは熾烈を極めた。
　能面の女は乳房を掌で捏ねまわし、乳首を吸い上げ、尖った舌先でクレバスの奥に息づく充血した核を玩ぶ。
　蜜が溢れ、鮮紅色のラビアが捲れかえり、下腹がせわしなく波打った。
　夫婦生活の中で性の喜びを知った熟した肉体は一度火が付くと、劫火のごとく燃え上がる。
「ああッ…そこは赦して…ああ…頭がおかしくなる…」
　クリトリスへの舌の愛撫の集中に夫人はせわしなく喘ぎつつ、なんとか逃れようと懸命に腰を捩りたてた。
　しかし能面の女はガッシリと腰を抱え込むと、長く細い指で包皮を剥き、緩急をつけて余裕タップリに核を弄ぶ。
「奥様、気持ちいいんでしょ?こんなにグッショリ濡らして…ほら、ここも勃起してこんなに敏感になっていますわ」
「ああ…うそ、うそです」
「貞淑ぶらなくていいのよ、ほら」
　マリアは唇で挟み込むように包皮ごとクリトリスを吸い込むと、コリコリした感触のものを舌の先で思うままにで転すようにいたぶった。
「ヒッ、ヒぃーッ」
　夫人は絶息せんばかりに咽を引き攣らせ、腰をシーツの上で二度、三度とバウンドさせた。
　こらえてもこらえ切れぬよがり歔きが噴きあがり、硬直した裸身に痙攣がはしる。
　女は股間に埋めた顔を上げると足首の枷を外し、傍らに控える小太りに言い放った。
「守! あんたこの奥さんとやりなさい、いまドッキングして擦りあげたらすぐ気をやるわ」
　血走らせた眼を剥き、ベルトを外しにかかる小太りの傍らを、マリアは通りすぎ、二人の少年が前戯を完了させた娘の方へ歩を進めた。



　弓子がオルガを告げる言葉を何度も支離滅裂に叫びたてつつアクメを極めたのはそれから間もなくのことであった。
　小太りの贅肉で緩んだ腹に脚を廻しからめ、抜き差しに濡れ音を響かせつつ、腰を突き上げた淑女は愉悦の貌を陵辱者たちの前におしげもなく曝したのである。

　母親の白い裸身が弓なりに反り返る後方で、秘めたる自慰行為まで告白させられた娘を悪魔のごとき女はゆっくりと追い上げにかかっていた。
　充血し鋭敏な知覚神経の塊と化した陰核の上では白い指が巧みに躍り、膣前庭とアヌスにあてがわれた指からはむず痒さを孕んだ狂おしいまでの刺激が眩めいた。
　乳房を揉みしだき、乳首を舌で優しく転がしつつ、レズビアンのサディストは下半身の急所を三箇所責めで容赦なく攻め立てる。
　女の性感のツボを心得た刺激に、箱入り娘は理性も慎みも擲ち、頭を振り、たまらぬとばかりに尻をシーツの上で小刻みに揺すりたてる。
「ああ…もう、ゆるして……ああっ」
　恐ろしいほどの快感が波頭となって押し寄せてくる。
「それっ、お嬢さん、あなたもイクのよ!!」
　マリアはクリトリスにあてがった指を、残りの指とともに小刻みバイブレーションさせて、ラストスパートへと移行させた。
「ああっ…ダメよ……もうだめえ!!!」
　それの到来に怯えつつも、硬直し大きくはだけ切った下肢を衝き上げた弥生は、処女の肉体に積もった欲求を一気に解き放った。
　絶頂を告げる怪鳥のごときオルガの叫びが喉の奥から噴きあがる。
「アッ……アアアーッ、ヒッ…ヒぃーッ」
　弥生の肉体が断末魔の痙攣とともにブリッジに反りかえった。
　硬直し弓なりのまま激しい揺り返しに襲われる弥生の裸体に、慌ててカメラを構えた信二のフラッシュが容赦なく十九歳の娘を更なる官能地獄を誘うべく降り注いでいた。



　破瓜の儀式の僥倖は信二に与えられた。
　後手を解かれた腕を頭の上で拘束された弥生は、男たちの目の前で性の
悦びを極めたことで脚を閉じて抵抗する気心さえすでに失っていたのだ。
　今まさに、マリアの指示で中央に身体を入れた信二が怒張の根元を押さえつつ、血走った目で破瓜を果たそうとしていた。
「ズブリ」と膣口に嵌めこまれた亀頭が処女膜をメリメリと引き裂き、鮮血をしたたらせつつ道をつけていく。
「い…いた…痛いッ…お願いやめて…」
　弥生の口からは呻きを伴なった悲痛な叫びと哀願のことばが断続的にこぼれでる。
　絶頂に達してすぐ本番行為に移ったため、比較的スムースに抽入は進むものの、バージンのお嬢様育ちにはかかる精神的、肉体的負担は決して軽いものではない。
　信二は興奮と感激に汗を馬のようにしたたらせながらグンと最後の腰を突き入れた。
　ペニスが柄元まで埋まり「ヒィーッ」という喉を引き絞る声と弥生の泣き声が同化した。
　信二がどうだといわんばかりに、怒張を飲み込んだ股間を覗き込んだ。
　先ほどまであれほど慎ましやかであったクレバァスが醜悪な怒張を根元まで呑み込んで膨らみ捩れ、内側からは形の良い桜色のラビアがペニスに蹂躙されて痛ましいまでに外側に捲れかえっていた。
　包皮から突端を覗かせるクリトリスはマリアの愛撫の余韻がまだ引ききらぬのか、微かな充血を見せて慄いている。
　信二が視線を再び上半身に移すと弥生は真っ赤な美貌を腕の根元に押し付けるようにして嗚咽していた。
(とうとう奪ってやったぜ！良家のお嬢さんの大事なものをな。おい、分かるか、お嬢さんよ?あんたも信じられないよな?
　あんた今、まともなら生涯、縁もゆかりもないような低偏差値の中卒のプータローとおまん○しているんだぜ！)
　信二は心で跳ね回る征服感を味わいながら快哉を上げ、腰を動かそうとした。
「信二！」その時、後から冷気を孕んだ声が鼓膜を揺さぶった。
　首だけを返して振り返ると、ゾッとするような底なしの深い闇を思わせる能面の中の瞳が信二を見据えていた。
　恐怖にも似た悪寒が信二の背中を駆け上がった。
「指示したとおりにしなさい、まずは慣れさせるのよ」
　信二は従順に頷くと動きかけた腰を再び奥まで突きいれた。
　そのままの状態でエレクトさせたまま二十分近く信二は体位を堅持した。
　普通なら動かないまでも、精神的な昂ぶりだけでも終わりを告げるところであったが、先ほど先回りした車の中でマリアの指示で続けざまに二度ほど抜いていたために、処女の痛いまでの狭窄と収縮にもなんとか堪えることができたのだ。
　やがて弥生の啜り泣きが弱まるのを感じ取ったマリアは、信二に一度身体を引くように命じ、破瓜の後始末を簡素に済ますと、インターバルをとって再び貫かせた。
「お嬢さんも子供じゃないんだから、少しは協力して貰わないと何時までも終わらないわよ」
　マリアはそう弥生の顔を覗きこみながら普通の正常位から弥生の脚を揃えて伸ばし、その脚の外側に男性が脚を開く、男性騎上位の形に移行させた。
　この体位は激しい動きや深い繋がりは無理だが、女性の陰核を男性が陰阜で擦るように刺激するのにはもってこいなのだ。
　マリアの狙いは膣性感が未熟な弥生をインサートでオルガスムスに導くことであった。
　男のペニスを受け入れたまま女の喜びを極めれば、感受性の強い世間知らずな女子大生のことだ、その男に対してはたしてどんな感情を持つか想像するに難くない。
　信二は息を整えつつ、弥生の首の両脇に手をついた前傾姿勢をとり、水も漏らさぬばかりの密着を深めている。
　圧迫し、前後に小刻みな動きで擦り上げたかと思えば、円を描くように腰を廻し緩急をつけて責め立てる。
　もちろん口も信二は遊ばせてはいない。
　弥生の頭上からマリアがダイナミックに乳房を揉みこむのに呼応するように、時折、あうんの呼吸で乳首を舌で転がし弄ぶ。
「あっ、あん…いや、あん…ゆるして…」
　苦しげに柳眉がたわみ、愛らしい白い前歯を覗かせる口からは哀訴の言葉とともに甘く崩れたソプラノが噴きあがった。
　脾腹から反り返った首筋までが紅色に染まり、内股の筋がピーンと引き攣って爪先までが反り返る。
　今まさに、休火山は急激な活動期へと移ろうとしていた。



　アリの門渡りから滴りおちる粘り気を含んだ樹液が、男の動きに合わせて小刻みに動き出した腰の動きが弥生の理性の崩壊を告げていた。
　信二が追い上げては焦らすように動きを止めると、弥生は腰を無意識に密着させようと追いすがってくる。
　動きは徐徐に激しさを増していた。
　それをジッと観察していたマリアが指で信二に○を作ってみせた。
　マリアからのサインを受け取った信二は「よっしゃ」と叫ぶと緩慢だった動きを腰を上下に激しく揺すりたてた。
　その動きに呼応するように令嬢は腰を揺り動かし、啼き声を爆ぜさせる。
　マリアは二人をノーマルな正常位に移行させた。
　今度は信二が腰を廻し、円運動に大腰をブレンドさせて責め立てる。
　絶頂に向けて押し上げられる弥生はもうなすがままに、よがり泣きを搾りとられるしかない。
「お嬢さん、感じているんでしょ?、素直におっしゃったらいかがかしら」
　マリアが意地悪く弥生の耳もとで囁いた。
「いや…そんな」恥らう弥生にマリアは容赦しない。
「ほら、自分の言葉で『感じる』ってハッキリと言うのよ」
　動きを止めていた、信二が腰をゆっくりと突きいれ始めた。
「ああ…」弥生は腰を振りたて、しとどに汗に塗れた黒髪を頬にへばりつかせつつ仰け反った。
「ああッ…か…感じるッ…感じるうう……」
　自らの言葉に煽られるように腰を大きくグラインドさせ始めた弥生は、自分が何を言っているかさえもう分からない。
　能面の女は乳首を優しく指先でいたぶり、言葉を緩めず責めたてていく。
　弥生のシークレットゾーンからは蜜が止めどなく溢れ、ペニスと擦れ合う淫ら音がソプラノと交錯する。
　マリアは機は熟したとばかりに弥生の両足首を掴み、信二の腰の上部で交差させるように絡ませ結合を深くさせた。
「これなら、お嬢さんも手が自由にならなくても、思いっきり腰を使えるでしょ?」
「ハイッ！どう！」
　マリアは頓狂な声をあげ、おどけたように信二の臀部を叩いた。
　信二が尻を前後に動かしだすと弥生は狂奔したように、腰を揺さぶりたてながらゴールに向かって走りはじめた。

　弓子は何度も気をやらされ、疲労困憊となった肉体を側面の壁に座り預けて放心状態で娘の痴態を見つめていた。
　化粧は涙と汗で無残に剥げ落ち、敗北感と羞恥で胸や股間を隠す気力さえうせていた。
　傍らでは小太りが手を伸ばし、弓子の片方の乳房を執拗に弄んでいる。
(やめて、弥生ちゃん…おねがいだから…)
　弓子の心の内の懇願を嘲笑うかのように、霞がかった視線の先で身の毛もよだつような不良と性交渉をする愛娘。
「蝶よ花よ」と慈愛をそそいできた我が家の自慢の娘━弥生。
　弓子にとっての掌中の玉が羞ずかしい声を異性の前で憚りなく噴き上げつつ、腰を娼婦さながらに淫らにグラインドをさせている。
　もはや娘の姿を正視することが出来なくなった弓子は、視線を足元に移した。
「……!」
　弾かれたように顔を上げる弓子。
「お○んこ!!」
　繰返される、震えを帯びた弥生のソプラノ。
　異性の前どころか同性同士でも決して口に出来ない女性器の隠語を、能面の女に誘導されて真っ白な頭で何度も口走る弥生。
　弥生の汗に塗れた裸体が弓なり反り、腰がガクンガクンと衝き上がった。
「お嬢さん、今度はちゃんとイクって知らせなさいよ」
　マリアは真っ赤に焼けて愛液を滴らせながら怒張を出入りさせる結合部を覗きながら嬲りぬく。
「入ってるわよ、大きなオチンチンがお嬢さんの中に」
「ゆるして……いや…」
「カマトトぶらないの、腰が踊ってるじゃない」
　鳩尾から太股にかけて断続的な痙攣が始まっていた。
　信二が唇を奪い舌を差し入れると、弥生は身も心も捧げた恋人との接吻のごとくそれに応じてくる。
「あら、お嬢さん！妬けるわねえ、夫婦のセックスみたい」
　マリアの嘲笑の入り混じった揶揄さえ、弥生にはもう聞えてはいない。
　頭を基点にして顔が逆さまになるほどに反り返り、弥生の腰は高々と擡げられていた。
　糸のように閉じられた瞼からは白目がのぞき、口端からは涎の雫が滴りおちていく。
　信二が恥骨も砕けよとばかりに大腰を高速で突き入れた。
「いや………いっちゃ…う…ああ…いっちゃうう！」
「それ、いっちゃえ」
　信二が降りてきた子宮を亀頭でグリグリと抉りたてつつ、急ぎたてる。
「ほら、もう、降参しちゃえ、これでどうだ！」
　弥生の掲げられた腰を手前に引きつけるようにして信二は更に深く抉りたてた。
「そら！あなたの娘がイクわよ…箱入り娘にしては激しいわね」
　ブリッジに反り、全身に波及したふるえを感じとったマリアは無慈悲な言葉を弓子に向かって投げつけた。
　口を片手で覆い、身体の慄えを必死で抑えようとする弓子は目線を前に向けたまま下がれぬ壁に後ずさった。
「いくッ……イクう！！」
「ダメえっ…弥生ちゃん…好きな人とじゃなきゃ、だめえ！」
　弥生の今際の言葉に重なり響き渡る弓子の叫喚。
「うおおおおおっ」
　信二が膣の痛いほどの収縮に負けて、堪えていたものを獣の咆哮と共に弥生の子宮に向けて解き放った。
「ほら、あの娘さんの気持ちよさそうな顔……良い子ぶって我慢してオナニーばかりじゃねえ」
　してやったりと笑いながらも嬲ることをやめないサディストの玩弄に弓子が咽を引き攣らせつつ叫んだ。
「弥生はハレンチな娘じゃない、今日は生理前なんです！違う、違うの！」
　そこには、娘のプライドを最後まで必死で守ろうとする母親の姿があった。
「ああ〜いくう〜♪」
　おどけたように弥生の声色を真似る小太り。
　弥生の痴態を懸命に取繕うとする弓子の周りで爆発する獣たちの哄笑。
「さあ、次はお母さまにお浣腸して、アナルセックスといきましょうよ」
　弓子の後ろ髪を引き絞りながら、マリアが決して変わらぬ悪魔のような微笑を浮かべた。
　能面の女の抑揚のない声だけが暗い闇の中で絶対的なものとして君臨していた。