（１）母と子の秘密


「坊や！」
　陽子が玄関から声をかけたが、声がしない。
「どうぞ、子どもには今朝話してありますから。」
　白衣を着て黒い鞄を持った慈郎の手をとって、陽子は玄関から廊下を客間に向かった。
　陽子にうながされるまま、座敷にに通されたが、慈郎は落ち着かなかった。
　偽医者の役にまだ迷いがあったからだ。医者のまねごとはともかく、在宅しているはずの陽子の息子に気付かれずに、陽子のお目当ての自分のペニスで、彼女のからだをほしいままにするようなことができるのか、心配だったからだ。

　慈郎の心配は当たっていた。実はその時、陽子の長男の小学１年の敦は客間の隣の居間に潜んでいたのだ。
　今朝敦は母親から、きょうは熱があって体調が優れないこと、腰が痛くて病院に行けないので、お医者さんに往診にきてもらうことをきかされていた。
　往診と聴いて、敦は突然激しく嫉妬していた。昼間、誰も居ない部屋で、布団に寝た母親のお乳を医者が触る光景が甦ったからだ。
　いつだったか、敦がもっと小さかった頃見た光景だ。襖の隙間から覗いた忘れられない母の白い胸や膝だった。医者がなぜか母の乳首をつまんだ時、母親は恍惚の表情をみせてからだを反り返らせた。
　よくみると医者のもう一方の手は母親の股の間にあって母の膝がしっかりはさんでいた。それを見て敦は激しく勃起した。射精には至らなかったが、初めての勃起の狂わしく甘美な思い出だ。

　母親がかかりつけの医師を客間に通した時、敦は、客間の隣の部屋でドキドキしながら息をころしていた。しかし、どうしても襖の隙間を覗く気になれなかった。なぜか母親の秘密にこれ以上近づくのがとんでもない罪なことに思え怖かったからだ。
　それというのも、小学生になって自慰が始まってから、自分の勃起をもてあましながら、医者の目に胸をはだける母親の姿や、医者に乳首をつままれて息を詰まらせる母親の表情や、知識が増えるに従って、母の胯間の先生の手のうごめきを思い浮かべ、先擦りに耽る習慣になっていたからだ。
　隣室に潜む慈郎は目をつぶり、全身を耳にして、母の衣擦れの音や吐息に耳をそばだて、身を固くして、何かがはじまるのを待っていた。

　しかし、そこは母親だ。陽子は、息子の敦が隣室の襖の向こうに潜んでいる気配を感じていた。返事をしないのは、お医者さんに対してあいさつしたくないか、きまりが悪いからだろうぐらいに考えていた。

　陽子は、布団に座って寝間着の前をはだけながら、慈郎「医師」にめくばせした。その目線を隣の部屋の襖に移して、あごで指し、「息子は隣に居ますよ！」と目顔で伝えた。
　慈郎はうなずくと、陽子の前に座って、往診用のバッグを開きながら意識的に事務的な口調で言った。
「症状は先ほどのお電話でだいたいわかりました。何か言い残したことや気になることはありますか？」
　こうして慈郎と陽子のお医者さんゴッコは始まった。

「あー、あーん、うーん」
陽子は、滋郎の掌が乳房をもみはじめると、耐えきれずに声を揚げた。ふすまの向こうの敦の勃起を意識していた。
滋郎の指が乳首をとらえた。つついたり、軽く爪でつまんだり、親指と人差し指でつまんで、ぎゅーっと押しつぶしたり、もみもみしたり・・・「はーはー」呼吸が激しくなって、もう敦のことはどうでもよい感覚に流されていた。といきなり「あーーーん」甘えた大声になった。
　着衣のままの滋郎の堅い部分がショーツ越しに股間に当てられて、ジッパーがいきなり下げられ、ぐいとずらさえれたショーツの隙間から、するりと挿入され、「あっ」と陽子が声をあげたときには、２０センチの巨根は、子宮頸部に達し、ポルチオセックスの強烈な快感が子宮から陽子の全身をゆさぶっていた。
　陽子は硬直し、息を止め、絶頂に浮いていた。かたまった陽子のからだを滋郎の硬直した陰茎が刺し貫き、激しく突き刺し続けた。
　亀頭はスラストのたびに少しづつ子宮頸の開口部にもぐりはじめ、陽子は経験したことのない絶頂感に襲われ、気を失ってしまった。
気がついた陽子の胎内にはまだ、滋郎の亀頭が収まっていた。
陽子が余韻を楽しんで滋郎がまたはじめた送抽に腰を持ち上げて股を寄せ、足を少し開いて、腰を浮かせて滋郎の動きを追い始めた。陽子の中で滋郎はまた堅くなり、そりかえり、亀頭が子宮頸部にリズミカルに当たりポルチオセックスの快感のスイッチを入れた。

　息子の敦は、ふすまの隙間から、陽子の裸の足と股が、滋郎の腰を挟みつけて、もだえる姿を凝視していた。息子の股間には、母への欲望が画然と立ち上がって、先端に流れ出る透明な意志があふれていた。

（つづく）