「車でどこかへ連れて行ってくれませんか？」と、その少女は僕に言った。
　僕は正直に「ずいぶん無警戒なんだね。もし僕が君を人気のないところへ連れていって、乱暴しようとしたらどうするの？」と、答えた。
　少女は笑いながら、「あなたはそんな人じゃありません。眼を見ればわかるんです。」と、僕の眼を真っ直ぐに見ながら話す。
　僕はこの少女から信頼されているような気がして、心の底から幸せな気分になった。
この少女とずっと一緒にいたくなった僕は、「じゃ、どこかへいくか？」と、自然にこう喋っていた。
　少女は嬉しそうに「はい。」と、大きな声でこれに同意した。

　この少女とは、駅のホームで知り合った。
　その日の朝、僕は寝坊をしてしまい、電車に乗り遅れた。
　僕が会社で上司に話す言い訳を考えながら、ホームの椅子に座っていると、隣に高校の制服を着た女の子が座った。
　なにげなく女の子の顔を見ると、その子の顔は真っ青で、大きく息をしながら大量の汗をかいている。
　どうやら相当急いで、ここまでやって来たらしい。
　僕が「大丈夫？」と声をかけると、少女は僕の方を見ないで「ええ、大丈夫です。」と答えた。
　僕は、この少女が他人に干渉されるのを嫌がっているような気がして、視線を前に戻し、又、言い訳を考えはじめた。
　しばらくして、ふと、横からの視線を感じた僕が、そちらの方に目を向けると、先程の少女が、真剣な顔で僕の顔を見つめていた。
　びっくりした僕は、思わず「ど、どうしたの？」と、声をあげた。
「あなたは、いい人みたい。」と、少女は僕の瞳を見ながら、そう唐突に言った。
　僕は、少女の真剣な視線に、少し動揺しながら「何かあったの？本当に大丈夫？」と、再度少女に尋ねた。
　少女は視線を下に向けながら、吐き捨てるように「汚い。大人はみんな嫌な人ばかり・・」と、独り言のように呟いた。
　僕は、この少女のことが心配になり「なにかされたの。警察を呼ぼうか？」と、なるべく優しく話しかけた。
　少女は下を向いたまま、激しく顔を横に振る。
　それから、「なにもされてません。でも、ひどい。みんな私のことを・・」と言いかけて、突然、涙をこぼし始めた。
　少女は下を向いたまま、肩を震わせ、ぼろぼろと涙を流す。
（「なにがあったんだろうか？、いじめかな？、でも少し様子が違うような・・」）
「とにかく、一度家に帰った方がいいよ。」と僕が促すと、「いや！、もう電車には乗りたくない。」と、激しく拒否する。
（「きっと痴漢だ。可哀想にすごく怯えてる。こんな真面目そうな子に何かするなんて・・なんて奴だ。」）
「僕が送っていくよ。電車に乗るのが嫌なら、ここからタクシーに乗ればいい。」僕は柄にもなく正義感にもえて、こう言った。
　少女は顔を上げて、僕の顔をじっと見る。
　それから、少し表情を和らげて「ありがとう。でも今、家には誰も居ないんです。もしよかったら、もう少し私と一緒にいてくれませんか？」と、僕の予想しない言葉を口にした。

　僕たちは、駅の近くでレンタカーを借りて、そのままドライブに出かけた。
「君、名前は？」
「芽衣です。」
　芽衣は、見たところ１６才ぐらい、背は１６０センチぐらいで、脚が長くすらりとした体型だ。
　髪はショートカットで、笑うとピンク色の唇から白い歯がのぞく。
　あまり世間では会うことがない、色白の美少女だ。
　服装は上品だけど少し地味な感じがして、どこかの有名私立高校のお嬢さんのようにみえた。
　助手席に座った芽衣は、シートベルトを締めたウェストがとても細く、長めのスカートから伸びる綺麗な脚が魅力的だった。

　僕たちは海に向かい、昼前に目的地に着いた。
「腹がすいたね。どこかで昼飯を食べよう。」僕は近くのイタリアンレストランに車を停める。
　僕は芽衣のために、パスタを何種類か注文して「育ち盛りなんだから、沢山食べないとね。」と言った。
　芽衣は細い身体に似合わず、沢山食べた。一生懸命に食べ物を頬張る姿が、とてもかわいい。
　僕が、食事をする芽以の姿をじっと見つめていると、「恥ずかしいから、そんなにじっと見ないで下さい。」と、芽衣が言う。
　僕はそんな芽衣の声を無視して、笑顔で彼女の顔を見つめ続けた。
　僕は芽衣の艶やかでプリッとした唇が、食べ物を咥えるのを眺めながら（「なんて綺麗な口なんだ。柔らかくてピンク色の唇。見ているだけで幸せになる。」）と、頭の中で妄想していた。
　すると、芽衣はそんな僕の眼を見つめながら「いやだぁ、口ばかり見て。なんか、いやらしいですよ。」と、少し怒った顔をした。
　僕は恥ずかしくなって、下を向きながら「ごめん、ごめん。」と謝った。

　それから、僕らは砂浜に行き、そこに腰を降ろした。
　横に座った芽衣が、僕の肩に頭を乗せながら、「夕日が見たい。」と言った。
　僕が「帰るのが遅くなるよ。」と言うと「このまま、ずっと一緒に居たいの。」と芽衣は、僕がドキドキするような事を平気で囁いた。
　一緒に夕暮れまでそこに居た僕らは、周りが暗くなってから、ようやく立ち上がった。
「これから、どうしようか？」芽衣の眼を見つめながら、僕は彼女に訊いた。
　その時僕は、なぜだか、道で拾った子犬を抱きしめているような気持ちになっていた。
（「この子を守ってあげたい。このまま、ずっと一緒に居たいな。」）
　芽衣は穏やかな顔で、「遅くなったから、この近くで泊っていきませんか？」と、答えた。
　僕も「そうしよう。」と同意した。
　時間が遅かったので、近くで泊れるのは、ラブホテルと小さなビジネスホテルしかなかった。
　僕は芽衣に「部屋が一つしか取れないけど、一緒の部屋でいい？」と、おそるおそる訊いてみた。
　意外にも芽衣は、笑顔で「もちろん、構わないです。」と答えた。

　僕は先にシャワーを浴びると、パンツ一枚になってベッドに入り、芽衣がバスルームから出てくるのを待った。
（「芽衣は、そのつもりなんだろうか？、いや、そんなことは考えていないかもしれない。もっと純粋に、ただ寂しくて誰かと一緒に居たいだけなのかも・・」）
　そんなことを考えながら、僕がボーとしていると、芽衣が風呂から出てきた。
　僕が芽衣の心の内を確認するために、彼女に話しかけようとしたその時、ベッド脇に立った芽衣が、いきなり身体に巻いていたバスタオルを開けた。
　ショーツ一枚になった芽衣は、そのままベッドに潜り込み、腹這いの恰好で「誰かと一緒に泊るなんて、初めて。」と、嬉しそうに言った。
　僕は話そうとしていた言葉も忘れて、目蓋に残る芽衣の眩しい裸体に、ただドキドキしていた。

　しばらくして、やや落ち着きを取り戻した僕は、一緒のベッドに眠るこの美少女について、また考え始めていた。
（「やっぱり芽衣は、僕のことを全く意識していない。ただ初めての外泊に、浮かれていただけなんだ。もしかすると、処女かもしれないな。」）
　僕が芽衣の方を見ながら、そんな想像をしていると、芽衣が急に寝返りをうった。
　僕に背を向けて、横寝の恰好で眠る芽衣。
　薄いシーツを被る彼女の、細いウェストから腰骨にかけての見事な凹凸と、そこから長い脚に伸びる美しい曲線がそこにあった。
　シーツの隙間から、この時期の少女に特有な、ほっそりとした背中と細い首筋が見えている。
　僕の視線は、その魅力的な後ろ姿にくぎ付けになっていた。
　あるいはこの時、すべてを忘れ、芽衣に背中を向けてそのまま寝てしまえば、あんな事にはならなかったかもしれない。
　でも僕は、芽衣の魅力に逆らうことができなかった。僕だけでなく、すべての男が、もしあの場所に居れば、きっと同じように我慢が出来なかっただろう。
　自分の意志とは関係なく、下半身を大きく怒張させた僕は、「芽衣、寝たの？」と、静かに彼女に声をかけた。
「うん、うーん。」芽衣は夢の中で返事をする。
　僕はシーツの中で芽衣の背中にそっと近づき、その魅力的なウェストに手を伸ばした。
　そのまま、彼女のわき腹からふとももにかけて、そっと指を滑らす。
　芽衣の素肌は、まるで大理石の様に滑らかで、少しひんやりとした感じがした。
　僕はその感触を楽しむように、彼女の起伏に富んだサイドラインを、ゆっくりと撫でた。
「うん？、あ・・どうしたんですか？」ようやく目覚めた芽衣が、寝ぼけた声をあげる。
　僕は内心ドキッとしながら「ねぇ芽衣、抱きしめてもいい？」と、期待をこめてそう尋ねていた。
　寝ぼけた芽衣は、「うん。」と無邪気に返事をして、僕の片腕を自分のわき腹から胸の前に回すと、両腕でそれを抱え込んだ。
芽衣の柔らかい両乳房の感触が、僕の腕に伝わる。
　芽衣のうなじの辺りから、うっとりするようないい匂いが漂っていた。
　僕は激しい興奮から、痛いほどに股間を勃起させながら、不思議と芽衣を犯そうという気にはならなかった。
　彼女の人を疑う事を知らない、その無邪気な態度から、なぜか（「これ以上してはいけない。芽衣を恐がらせてはいけない。」）という気持ちになっていた。
　僕は、固く勃起した股間を芽衣に悟られないように、腰を後ろに引いたまま、芽衣が再び寝息をたてるまで、ただ彼女を抱きしめていた。
　芽衣が完全に寝たのを確認してベッドを抜けだした僕は、トイレで自分のペニスを扱き、すでに溢れそうになっていた大量の精液を処理した。
　僕が息を荒げながらトイレから出てくると、なんと芽衣がベッドの端に座り、僕の方をじっと見ている。
　びっくりした僕が「どうしたの？」と訊くと、「ごめんなさい。私、気がつかなくて・・ほんとうに、ごめんない。」と言いながら泣き始めた。
　僕はベッドの脇に駆け寄り、「いいんだ、いいんだよ。泣かないで。僕が悪いんだ。」と言いながら、芽衣の髪をそっと撫でた。
　芽衣は顔を上げ、涙を溜めた瞳で僕の眼を見つめながら、「あなたのことがとても好き。すごく誠実だから・・もし、私でよかったら抱いて下さい。」と、とても落ち着いた声でそう言った。
「えっ！」あまりにも突然な彼女のこの告白に、僕が驚いて口を噤んでいると「心配しないで下さい。私、これでも経験があるんです。ただ、大人の男の人が恐かっただけなんです。今までに、あなたみたいな人に会ったことがなかったから。」
　僕の心の奥を見透かしたような芽衣のこの言葉に、僕は喜びのあまり頭の中が真っ白になり、思わず屈み込んで芽衣に口づけをした。
　芽衣は瞳を閉じ、黙って口づけを受けた後、恥ずかしそうにベッドに潜り込んだ。
　僕は、喜びで身体が震えそうになるのを必死に堪えて、静かに芽衣の横に滑り込む。

　芽衣はなぜか、僕と反対側に顔を向けたまま、うつ伏せに寝ていた。
　きっと恥ずかしいのだろうと思った僕は、すぐ横に寝る芽衣の背中を、左手の甲で下から上に、そおーっと撫で上げる。
　芽衣は少し頭を仰け反らせると、大きく息を吸い込む。
　次に僕は、芽衣の首筋に顔を近づけて、ふうーっと息を吹き掛けてみた。
　芽衣は、眼を閉じて「はあぁぁ・・」と、深い吐息を漏らす。予想通りの反応だ。
（「ああ、芽衣の喘ぎ声が聞きたいな。このまま、背中に口づけをしながら、わき腹を擽ったら、芽衣はどんな反応をするだろう？」）
　僕は、頭の中でこんな事を考えながら「芽衣？」と、彼女の背中越しに声をかけた。
「なんですか？」芽衣は振り返り、潤んだ瞳で肩越しに僕を見る。
「僕が今、なにをしたいかわかる？」と僕は質問する。
　芽衣はしばらく僕の瞳をじっと見つめていたが、やがて、少し寂しそうな目をしながらうつ伏せの姿勢に戻ると、重ねた両手の甲に頬を乗せたまま「私のこと、好きですか？」と、突然、僕に尋ねてきた。
　僕が「ああ、大好きだよ。」と、答えると芽衣は「ほんとに？、それは私が若いから？、それとも、好みのタイプだから？」と、ちょっと冷ややかな感じの声で問い返してきた。
　芽衣の言葉の調子に、少し不安を感じた僕は「理由なんか無いよ。会った瞬間に、ずっとこの子と一緒に居たいと思ったんだ。」と、少しむきになって、本当の気持ちを話した。
　芽衣はこちらを向き、笑いながら「ごめんなさい。本当はわかってたんです。でも、訊いて見たくて・・」と言った。
　僕は黙って芽衣の背中に顔を近づけると、その美しい背中にキスの雨を降らせた。
　芽衣は、僕の激しい唇の愛撫を背中に受けながら、「あんっ、はあぁ・・ハッ！、アッ・・アッ」と小さな歓声を上げ続ける。
　次に僕は、芽衣のウェストに手を伸ばすと、両手の指で掴めてしまうほどに細い、その括れをゆっくりと摩った。
　それから、その手を、彼女のわき腹から腋の下まで進めて、上下に優しく撫で回す。
　芽衣は僕の欲望をかき立てるように、「はあぁん、ああぁ・・ハアッッ」と、甘い声を漏らしながら、そのかわいい尻を少し上に突き上げた。
（「ああ、堪らない。この細い腰に腕を回して、芽衣の後ろから抱きつき、かわいい尻にペニスを突き入れたい。」）
　僕は我慢できずに、四つん這いの恰好で芽衣の背中に覆いかぶさると、彼女の下半身に手を伸ばし、腰の下に右手を差し込んだ。
　そのまま、彼女の腰を押し上げるようにして、下腹部を撫で回しながら、硬くなった自分の股間を芽衣の尻に擦りつける。
　芽衣は驚いたように、一瞬ビクッとした後、「お願い・・優しくして。」と、消え入りそうな小さな声で囁く。
　それから、怯えるように、その美しい背中を震わせた。
　僕は夢中で、「なんて可愛いんだ。あぁ・・芽衣、愛してる。」と呟きながら素早く自分のパンツを脱ぐと、芽衣の背中に抱きついた。
　そのまま、自分の身体を芽衣に密着させながら、その美しいうなじに何度もキスをする。
　僕の熱く固いペニスを腰に押しつけられた芽衣は、ただ震えながら動かなかった。
　もう、どうにも我慢が出来なくなった僕は、芽衣の腰に手を伸ばし、彼女を仰向けにしようとする。
　すると「お願い。恥ずかしいから、このままでいさせて。」と、芽衣が静かな声で頼んでくる。
　僕は「わかった。」と答えると、うつ伏せに寝る芽衣の腰の両側に手を伸ばし、彼女のショーツの端に指を入れて、そのままゆっくりと下まで引き下げた。
　芽衣の、白く形のいい尻が、僕の視線を占領する。
「あんっ、恥ずかしい。」芽衣はそう言って、下を向いたまま固く眼を閉じた。
　僕は「とても綺麗だよ。」と言いながら、彼女の浮き出た腰骨の辺りを撫で回す。
　それから、焦らすようにふとももに息を吹き掛けながら、芽衣の尻に顔を近づけ、その割れ目に舌を這わせた。
　芽衣は「ハッ！、ハアァアッ」と声をあげながら、その背中を大きく反らす。
　僕は芽衣の反応に眼を細めながら、「尻を持ち上げて。」と指示を出した。
　芽衣が両膝を立て、おずおずとその尻を上に持ち上げると、僕は、彼女の脚の間隔を少し拡げさせ、自分は仰向けになって、その隙間に頭を突っ込んだ。
「きゃあっ！、あっ、やめてッ」驚いた芽衣が悲鳴を上げる。
　僕は芽衣の声を無視して、芽衣の尻に腕を回し、彼女の股間に自分の顔を引き寄せる。
　そのまま、片手で芽衣の陰唇を押し開き、その中をじっくりと眺めた後、ピンク色の内部に舌を差し込んだ。
　僕は、激しく身悶えする芽衣の身体を押え込むようにして、彼女の内部を執拗に舐め回した。
　それから、まだ固い芽衣の淫核の皮を剥き、唇と舌でこれを強く刺激する。
「あっ！、ああぁ・・あうぅーーっ！」絶叫を吐いた芽衣が、その細い身体をぶるぶると震わせ、ビクンッ、ビクンッと頭を大きく前後させた。
（「あぁ、なんてかわいい声で鳴くんだ。もう、気が変になりそうだ。もっと、もっと・・」）
　芽衣の震える身体と、そのかん高い歓声が僕の理性を失わせ、頭の中を彼女とのセックスの事だけで一杯にしてゆく。
　しばらくの間、芽衣の敏感な蕾をしゃぶり続け、彼女の悲鳴のような淫声をたっぷりと楽しんだ僕は、芽衣の身体の下からそっと抜け出し、彼女の後ろで膝立ちの姿勢をとった。
　そして、芽衣の尻を抱え、自分のペニスを扱きながら「入れるよ。」と、彼女に声をかける。そのまま返事を待たずに、腰を深く突き入れた。
　その瞬間、芽衣は「はうっ！」と声を上げて、大きく背中を仰け反らせる。
　僕は芽衣の背中に覆い被さり、ゆっくりと腰をくねらせ始める。
「アッ・・あんっ、うっ・・うんっ、ハッ、ハッ・・はぁーーッ」芽衣の荒い息づかいが部屋に響く。
　腕を回した芽衣の下腹部が、僕のペニスの出入りに合わせて、大きく上下していた。
（「あーーっ、熱くて、狭くて、すごくいい！。あーーっ、とろけそう。」）
　もう僕は芽衣の身体に夢中になっていた。
　少しすると僕のなかに、（「もっと芽衣と密着したい。」「もっと深く芽衣に突き入れたい。」）という気持ちが沸き上がってきた。
　僕は一旦、芽衣の身体から自分の身体を離すと、芽衣の身体を仰向けにしようとした。
「あっ！、いやっ、やめて・・お願い。」と、芽衣は強く嫌がったが、僕はそれを無視して、強引に芽衣を仰向けに転がす。
　そして、芽衣の脚首を掴むと、両脚を左右一杯に開く。芽衣は、自分の陰部を僕に曝した恰好になった。
　その時一瞬、僕の顔を見つめる芽衣の瞳に、恐怖の表情が浮かんだようにみえた。
　下半身に意識が集中している僕は、そのまま自分の腰を芽衣の股間に近づけ、熱く脈打つペニスを彼女の身体に突き入れた。
　さらに、芽衣の上半身にきつく抱きつき、彼女の眼を見ながら、腰を刳るように激しく動かす。
（「あぁ気持ちがいい。なんて凄い身体なんだ。こんなにいいなんて・・、あぁ・・もっと深く・・もっと強く。」）
　その時僕の頭の中は、芽衣の膣内の肉襞と、ペニスの亀頭部が擦れ合う感触で一杯になっていた。
　芽衣は、僕の波打つような腰の動きに身体を揺すられながら、「やめて・・お願い・・やめて」と、譫言のように呟いている。

　目くるめくような快感の中、僕は、下半身が急激に昂ぶってくるのを感じていた。
（「ああ、このまま出したい。芽衣の身体の中へ思い切り射精したら、どんなに気持ちがいいだろう。でも、もし芽衣が妊娠したら・・いや、芽衣は、僕がどこの誰だか知らない。やるだけやって、このまま別れてしまえば・・」）
　僕は性欲に支配され、快感に押し流されて、後で後悔するような恐ろしい事を考えてしまった。
　そして、噴き上がってくる精液を、芽衣の身体の奥深くに流し込むために、さらに腰を深く突き入れる。
　と、次の瞬間、突然芽衣が「いゃーーっ！」と悲鳴を上げながら、凄い勢いで暴れ始めた。
　眼を大きく見開き、手で僕の胸を押しのけながら、足を曲げて二人の身体の間に潜り込ませると、凄い勢いで僕の身体を蹴飛ばした。
　芽衣の身体が僕の身体から離れるのと、ペニスの先端から勢いよく精液が噴出すのが、ほぼ同時だった。
「うっ！、あっ！、うんっ、うんーーーっ」
　僕はそのまま、大量の精液を芽衣の腹の上にぶちまけた。
　すぐに芽衣は、震えながら後退りをして、部屋の隅にうずくまる。
　それから、泣きながら僕に、「そんなに私の中へ出したい？！、私が妊娠したら、そのまま逃げるんでしょう。」と、怒鳴った。
「なんでそんな事を言うの？」僕は少しびっくりしながら、芽衣に訊いた。
「私、相手の眼を見ると、その人がなにを考えているか、わかるの。」
（「えっ！？、そんな、バカな。」）
「今、（そんな、バカな。）って、思ったでしょう。」
（「う、嘘だろう。それじゃ、今まで僕の考えていたことは全部この子に・・」）
「嘘じゃありません。全部、わかってました。」
「・・・」僕は、あまりのことに言葉を失い、顔を引き攣らせた。
　それから、芽衣のことが急に恐くなり、何も考えないように注意しながら、後退りを始めた。
　芽衣は悲しそうに顔を歪めながら、「やはり、あなたも他の男と同じ。優しいふりをしながら、相手のことを愛していると言う。でも、本当は、相手の身体が欲しいだけ。」と、冷たい声で言った。
　それから、閉じた眼から涙をこぼしながら「あなたも最初は、私のことを素敵な子だと思ってくれた。いつまでも一緒に居たいと・・」
「でも、すぐに、自分勝手な欲望で頭の中が一杯になってしまった。私の気持ちなど、どうでもよくなって、考えているのは、私の裸と自分の射精の事だけ。」と、厳しく僕を責める。
　もう僕の胸は、芽衣の信頼を裏切ってしまった後悔で一杯になっていた。
「大人はみんな同じ。通学の電車の中でも、学校の教室でも、私のことを見れば（あの子の裸が見たい。あの子とセックスがしたい。あの子の中へ射精したい。）みんな、そればかり。あなたと同じよ！」
　僕は、自分の心の中の醜い部分を、芽衣に刳り出された気分で、とても居たたまれなくなった。
　急いで自分の服を手にとると、部屋の外に飛び出していた。そして、そのまま後ろを向いて走り出す。
　一刻も早く、芽衣から逃げ出したかった。

　海辺のラブホテルで女子高生の死体がみつかった、という記事が新聞に載ったのはその翌々日だった。
　死因は自殺で、警察は一緒に泊っていた男を探しているという。

（「芽衣の死は僕の責任だ。罪は償わなければならない。」）
　僕はぼんやりと頭の中で、そう考えながら、マンションのエレベータの中で、最上階のボタンを押した。