第十一話「チアギャル」

千沙「ねね、優ちゃん。朋美にも彼氏できたって。聞いた？」
優子「本当に？よかったねぇ。どんな人なんだろ？」
千沙「なんか陸上部の３年らしいよ。」
優子「陸上部？」
千沙「うん。なんか真琴の紹介らしい。って言うか、向こうが熱烈に朋美ラブだったんだって。」
優子「うそー。凄いね。朋美ちゃん。」

　あ、噂の当人が来たよ。お、なんかいつも以上にオーラが出てるよ。

優子「朋美。おはよう。ねね、おっはー。」
朋美「・・・。さては、もう知っちゃったの？うわぁ、なんかはずいなぁ。」
千沙「まぁまぁ、それで、ねね。３年生はやっぱり大人？どうなの？ねぇ、どうなの？」
朋美「普通だよ。別に。」
優子「あ、ずるい。普通で済まそうとしてる。私達のは根堀葉堀聞くくせにぃ。」
千沙「そうだそうだ。横暴だぁ。」
優子「ねね、デートしたんでしょ？ねね、キスとかした？」

朋美「えっと・・・。うん。」
優子「きゃーー。」
千沙「きゃーーー。」
優子「朋美が恥ずかしそうにしてるの始めて見たぁ。かわいい。」
千沙「うんうん。どうだった？感想は？ぬるぬる？」
朋美「わわわ。なんか勢いづいてるよ。あ、あの、ここだけだよ。まったく。ぬるぬるって言うか、むにゅむにゅって感じかな・・・。でも、なんか温かかった。」
優子「わわわ。むにゅむにゅだって、Ｈぃ〜。」

千沙「あはは。ね、今度、陸上部の練習見に行こうよ。ね。」
朋美「えぇー。嫌だよ。」
優子「大会とかなら良い？」
朋美「えぇ、それもやだ。って優ちゃんだって、彼氏今度ＪＯとかなんとかって大会、見に行くんでしょ？」
優子「え、うん。なんか辰巳って言うトコであるらしい。結構近いよ。」
朋美「見にこられたくないっしょ？」
優子「え？うん。だって、二人が良いもの・・・。あ、そっか、朋美の邪魔も駄目かぁ。ちぇっ。」
朋美「いや、あの、邪魔ってわけじゃぁ・・・。」
千沙「優ちゃんは朋美よりそういうの恥ずかしがらないからねぇ。」

朋美「千沙は？そろそろ雄太君と３ヶ月までもうちょいじゃなぃ。そろそろ、あれの時期？」
千沙「え？あのぉ、ちょっとまだ早いんじゃないかなぁ。」
優子「雄太さんが千沙を欲しいって言ってきたらどうするの？ねね。」

朋美「ふっ、好きだよ。千沙。君が欲しい。」
優子「まぁ、雄太さん。あたしもよ。」

千沙「うっ。くだらない演技を・・。優ちゃんだって、もう２ヶ月半だよ。そろそろじゃん。」
優子「千沙の方が付き合ってちょっと長いもの。先輩。Ｈなお話を教えて下さい。」
朋美「うん。優ちゃんが正しい。で、求められたらどうしちゃうの？」
千沙「いや、あの、ほら、授業始まるよ。」
朋美「あ、逃げた。」

（ねぇ、優ちゃん。元気ない？）
　え？元気だよ。なんで？
（だって最近、いっつも眠ってるじゃない。静か過ぎて不安だよ。）
　あ、ごめんね。でも、優ちゃんに任せておいても、僕は幸せになれそうだなぁ〜って思うと、ゆっくり休んでられるんだよね。
　優ちゃんと話したりいろいろ見たり聞いたりすごく楽しいんだけど、僕ってこれまでずっと眠ってたから、すごく慣れないって言うか疲れるから、休める時は休んどこうかなぁと最近は思ってます。

（そっかぁ。うん。じゃ、いざと言う時のために体力蓄えておいてね。でも、来週の水泳大会の応援は一緒にしよ。ね。）
　うん。僕も大角は大好きだもん。ちゃんと応援したいよ。

優子「お疲れ様。大角って泳ぐの速いねぇ。ばしゃばしゃーーって凄いねぇ。」
大角「うん。でも、予選落ちだったみたい。」
優子「でも、あの、格好良かったです。」
大角「あ・・。うん、ありがと。まだ、来年の春も同じ年齢層で出れるからさ。そこで頑張るよ。」
優子「うん。頑張ってね。わたし、すごい応援しちゃう。」

優子「ねね、大角って家では何、食べてるの？ちゃんと食べてる？」
大角「うん。朝はインスタントラーメンに卵。朝と昼の間に弁当食べて、昼にうどん。夕方、ホットドック食べて、練習して、晩御飯はちゃんと作ってる。」
優子「え？食べすぎだよ。それに、え？なんで太らないの？」
大角「ん？水泳選手は６０００カロリーとらないといけないんだ。練習で消費しちゃうから。」
優子「えーー。すごい。お相撲さんみたい。じゃさ、私とデートしてる時、満腹になれてないんじゃ・・・。」
大角「うん。腹八分な感じかな。でも、家でちゃんと朝晩食べてるからね。」

優子「うわ。申し訳ないです。ねね、料理とか上手なの？」
大角「え？いや、普通かなぁ。」
優子「私ね、最近、豚の生姜焼きがプロなのよ。お母さんに習ったの。ねぇ、作ってあげよっか？」
大角「ほんとに？嬉しいな。じゃぁ、どっか遠出とかする？僕もお弁当作るよ。で、一緒に食べよっか。」
優子「えっとね。それは私のプライドが折れちゃいそうな事件が起こりそうだから・・・。あ、大角の家で一緒にお料理しようよ。ね。一緒に料理しよ。」

　わわわ、おーい。優ちゃん。部屋に行くの？あの、あの、もしかしてあぁんになっちゃうかもよ。
（へ？あー。どうしよ。つい口が勝手に・・・。どうしよ、誤解されちゃったかな・・・。）
　大角・・・、あ、なんかちょっと考えちゃってるし・・・。あわわ。僕はその、良いんだけど。
（あん、もう。優ちゃん。急にＨモード入れないでよ。）

優子「あ、あの、その・・・。」
大角「ん？何つくろっか。優ちゃん、豚の生姜焼きでしょ？
僕は、じゃぁ、酸辣湯と鳥の炊き込みご飯かな。まだ、ちょっと寂しいね。」

　あ・・・、大角、別にＨなことかんがえてなかったね・・・。
　僕達が勝手に走ってただけか・・・。あははは。優ちゃんのエッチ。
（う、優ちゃんが勝手にエロエロになったんじゃないか。もう、馬鹿。）

大角「ん？どうしたの？」
優子「へ？あの、じゃ、私ね、肉じゃがも作ってみよっかな。ねぇ、男の子って肉じゃがつくる女がかわいいって言う噂は、女の勝手な妄想って本当？」
大角「ん？えっと、たぶん、肉じゃがに特別な感情なないかなぁ。あ、ごめん。でも、優ちゃんが肉じゃが作ってくれたら嬉しいなぁ。」
優子「うん。頑張る。大角の酸辣湯ってなに？」
大角「えっとね。説明が難しいんだけど、すっぱくて辛い中国風ごった煮、かな？」
優子「へぇ、私始めてかも。楽しみだな。」
大角「じゃぁ、来週は少し早めに会って、買い物しよっか。」
優子「うん。」

　ねぇ、大会中はぜんぜん話せなかったもん。晩御飯一緒に・・。
（うん。私もそう思ってたよ。）

優子「あの、大角。ねぇ、帰りに御飯食べて帰ろうよ。」
大角「うん。そうだね。あ、ちょっと遠回りになっちゃうけど、水道橋はどう？すっごい辛い中華の美味しいお店知ってるんだけど。」
優子「辛いの好きだよ。うん。すごいね。大角って物知り。」
大角「なんかスイミングの先輩がいろいろ教えてくれるんだ。本当に辛いよ。」
優子「うん。水道橋にレッツゴー。」

　ぐぅ、これは、辛いなんてもんじゃないね。
（うん。うひゃぁ。唇が焼ける。でも、美味しい。）
　うん、美味しい。でもアイタタタ。舌に刺さる。

大角「あ、あの、大丈夫？辛すぎたかな・・・。」
優子「だいひょうぶ。おいひいよ。」
大角「うわぁ、なんか言葉になってないね。でも、うん。美味しい。火鍋良いよね。こんな料理を生んでくれた中国に感謝。」
優子「うん。しぇしぇだっけ？中国語のありがとって。」
大角「うん。そだね。しぇしぇ、しぇしぇ。あはは。」
優子「しぇしぇ、しぇしぇ。きゃはは。」

　唇が熱いよぉ。腫れてないかな。不細工になってないかなぁ。
（うん、痛い。でも、大丈夫だと思うよ。）
　あ、コンビニでジュース買って行こうよ。
（そだねぇ。）

優子「ねぇ、大角。美味しかったね。」
大角「うん。美味しかった。」
優子「今日は、お疲れ様でした。ねぇ、いっぱい泳いで疲れてるでしょ？」
大角「ん？いや、そうでもないよ。でも、ありがと。優ちゃん見てると疲れも吹き飛ぶ。」
優子「あ・・・。うん。恥ずかしいよ。」

　大角の手、暖かい。僕、大角の腕とか好きだな。ねぇ、大角の唇もちょっと赤いね。
（うん。私も辛くて赤いのかな・・・。）
　うぅ、大角。ねぇ、キスモードだよ。優ちゃん。あ、このぎゅって包まれるの好き。
（わわわ。うん。なんか嬉しい。）

優子「はむ。」

　あ、舌・・・。柔らかくて熱い。あん。

優子「ふぐぅ。」

　溶けちゃいそうだよ。優ちゃん。あぁ、なんか口から全部、僕、吸われちゃう。
（あぅん。大角。今日、強いよ。あ、ぎゅってされちゃうと・・・。）

　はぁ、今日の大角のキス・・・。ねぇ、ちょっとＨだったね。
（うん。あの、来週、おうちに行くんだよね。）
　うん。・・・・あの。
（あの。）

　あ、そっちから言って。
（えぇ、その、優ちゃんからどうぞ。）

　えぇ。ずるいなぁ。でも、もう僕達わかってるじゃん。ねぇ、あの、来週、しちゃうのかな？
（あわわ。そのどうしよう。）
　しちゃうの。Ｈしちゃうの。
（うぅ、優ちゃん。デリカシーないよ。）
　ずるいよ。優ちゃんだってわかってたくせに。でね、あの、避妊とかってどうするんだろ。
（え？あの、初めてでも使うのかな・・・。）
　なんかやだね。でもね。できちゃったら・・・、僕は大角と結婚しても良いよ。
（あん。飛躍しすぎだよ。それに、大角だってそんなの困るよ。きっと。）
　そだよね・・・。あの、なんか怖いね。
（うん。好きなのに、子供できちゃいけないのって怖い。）

　でもね。来週なら、危険日じゃないじゃん。大丈夫じゃないかな・・・。
（うぅ、女の子の体特集では、駄目って書いてあったよ。）
　雑誌を信じて良かったことなんてあんまりないから、無視するとか・・・。

　はぁ、大角の体って大きいよね。
（うん。なに？今更。）
　今日ね。気付いてたでしょ？あの、大角にキスされてた時・・・。
（うぅ、あの、アレのこと？）
　うん。大角も、僕達のこと欲しいって思ってくれてるんだよね。きっと。僕も大角と一つになりたいし。
（うん。私も。はぁ。できるかなぁ。あのね。私の体、良くないとかだったらどうしよ。大角、わたしのこと嫌になったりしないかなぁ。）
　怖いな。不安だよ。
（私も。）