第１章

（１）

　ある会社のオフィスで一人の女性が残業している。
　中堅どころの観光会社で、いつも月末は残業を余儀なくされている忙しい部署だ。
　女性は苛立ちを覚えながら腕時計をみた。

「やだぁ、もうこんな時間・・・」
　女性は急いで家に電話をかけた。
「もしもし、あっ、康平っ、亜美は？ご飯食べたかしら。」
「ああ、食べたよ。いま風呂に入れたとこだ。」
「そう、ごめんなさい。もう少し掛かりそうなの。」
「ああ、わかった。帰り道は気をつけろよ。」
「ええ、じゃ、お願いね。」
「了解。」
　女性は電話を切ると、ふと亭主の顔が頭を過ぎった。
（そういえば、最近抱いてもらってないなー。）

　この女性は広報部第３課の広告係長で名は「荒尾礼子」２年前に経理部の主任から昇格し現在に至っている。

　礼子は月末だけは、亭主の康平に家事を任せていた。
　康平は鉄鋼会社に勤務しているが事務職で常に定時には帰宅できる。

　礼子は康平の想いを振り払い残りの仕事に取り掛かった。
「早く片付けなくちゃ。」
　礼子には部下が、男性２人と女性３人いるのだが、ほとんどが入社２、３年程度の新人であり残業を任せられるほどまだ経験もなく要領も得ていない。
　上司の山岸に、しょっちゅう具申しているが、なかなか思い通りにならないのが最近の礼子のフラストレーションの原因になっていた。

　山岸は広報部の課長で、礼子の直接の担当部門を受け持っていた。
　なかなかのナイスミドルで対等に議論してくれる山岸を礼子も慕っていた。

　その時、突然、デスクの電話が鳴った。
（誰だろう？）
「もしもし、ＩＫ観光広報部です。」
「荒尾君か？」
「あっ、課長、、どうしたんですか？」
「いや、いま会社の前を通ったら、まだ電気が点いていたのでね。
　たぶん君だろうとは思ったが。・・・・・・・まだ終わらないのかい。」
「ええ、でも、あと少しで片付きます。」
「そうか・・・どうだい、終わったら食事でも？」
　礼子は一瞬心が揺らいだが思い直して山岸に答えた。
「ええ、主人が待ってますし、今日は・・・。」
「そうか、いや、いいんだ。じゃ、また今度の機会に。」
「はい。すみません。」
「あまり無理するんじゃないよ。」
「はい、ありがとうございます。」
　礼子は山岸を嫌いではなかった。もちろん康平を愛しているし離婚など考えたこともないが、他の男性に興味があるのも事実なのだ。
　外回りをしてもよく得意先の男性から誘われることが多い礼子はまんざらでもないのかな？と異性に対し、最近では警戒心を解くことも多くなってきている自分に気づいていたのだ。　
　　　
　礼子が仕事を終え、家に着いた時には１０時を回っていた。
「ただいま。康平、ごめんなさい。」
「おっ、ごくろうさん。疲れてるようだな。」
「ええ、でも今日で終わったわ。明日からは普通に帰れそう。」
「そうか。風呂でも入ってこいよ。」
「ええ、そうするわ。」

　礼子は、寝室のクローゼットにスーツをしまい下着だけになった。
　黒で統一したブラジャーとガーター＆ストッキングを脱いでショーツ１枚になるとバスタオルを巻き浴室に向かった。
　バスタオルを取りショーツを脱ぐと横の洗濯機に放り込んだ。

　ゆっくりと浴槽につかり一日の疲れを癒していく。
　目を瞑り、じっと湯につかる・・・・
　自然に指が蜜壷に誘われるように移動していった・・・。
　礼子は突起した芽を軽く撫でてみる・・・・。
（ァ・・・ッ・・）
　そっと指を中に挿入すると
（ァァ、ァ、ゥゥー、、、）
　静かに、そして甘い声を発しながらも礼子は身体の疲れが取れていくような快感を覚えた。
　浴槽から上がると丹念に身体を洗い剃刀で下半身の陰毛を整える。礼子の日課なのだ。
　礼子は無類のＨ好きで仕事の活力もＳＥＸから得るといっても過言ではない。
　結婚してからＳＥＸには全くのウブだった自分を亭主の康平に仕込まれ２０代も後半になると、まさに性の悦びと快感を知ってしまったのだ。
　それ以来、礼子はＳＥＸが生活から切り離せない性分になっていたのだ。

（２）

　風呂から上がり寝室に向かうと薄紫のショーツを穿き、その上にガウンを羽織ったまま康平のいる居間に向かった。

「ねぇー、康平・・今日で仕事も一段楽したし、たまには抱いてよ。」
「おっ、そろそろ我慢も限界にきたか？」
　康平は笑いながら礼子に答えた。
「何言ってんのよ。誰がこんな体にしたのよぉー。」
　気持ち拗ねた口調で礼子は言い返す。
　康平は、礼子の股間に手を伸ばし親指で陰部の膨らみを押さえた。
「ァ・・・、」
「相変わらず感度がいいな、礼子。」
「ねぇー、、苛めてぇー。」
　康平は礼子のガウンを脱がし乳首を吸い始めた。
　右手の指はショーツをずらし蜜壷に挿入されている。
　巧みに中で指を動かすと礼子は足を諤々させながら腰を振り始めた。
「う、うぅぅぅー」
　礼子は、指を払いのけ康平のズボンを降ろし始めた。
　康平の怒張した肉棒が目の前に現れると、うっとりとした眼で眺めながら亀頭にキスをする。
　久しぶりに見る康平の肉棒を舌で丹念に、そして味わうように根元から舐め始めた。
　四つん這いになった礼子は、康平のコ肉棒を口に含みスライドをし始める。
　康平は遠慮なく礼子の喉に肉棒を打ちつけた。
「ングッ、ン、ウッ、ウッ・・・ングッーーー」
　康平は後ろから手をまわし礼子の蜜壷に指を挿入しながら内壁を愛撫している。
　既に大洪水だった。
「康平、、、も、もう・・だ、駄目ぇぇ、我慢できないゎ・・・」
「よし、ヒップをこっちに向けて高く上げろよ。」
　礼子は康平に言われたとおりに腰を高く上げる。。
　そして両手で肉唇を広げると康平は欲棒を一気に挿入した。
「ンアァァォー・・・、、ァ、ァ、ァァァー、、イィィー」
　康平は礼子の脇腹を左右から掴み激しく腰を動かし始めた。
「んっ・んっ・んんんーー、」
「ィィ、ィィ、イイ、ァ、ァァー」
　結合部からは愛液が溢れベッドに滴り落ちていく・・。
　どれだけ続いただろうか、何度も絶頂感を覚えた礼子は・・淫声を発した。
「・・も、う、駄目ぇ！ちょ、頂戴！・・康平のを頂戴ぁーぃ！」
　礼子の内部が収縮し下腹部が痙攣したと同時に・・ついに。
「ァァァァー、イク、イク、イク、ィ、、ィ、イックゥゥゥゥーーー・・・・・」
　康平も礼子の中に大量の分身を爆発させる。

　お互い数年前に避妊手術をしているためコンドーム装着の惑らわしさがない。
　そのせいもあってか礼子も一段とＳＥＸに関しては開放的な性格になったようだ。
「ァ、ァー、、こ、康平のが熱いぃ、熱くてとても気持いいー」
　礼子は下腹に力を入れて康平の欲棒を搾り取るように締め付ける。
「凄い吸い付きだな礼子・・・」
「ィャ、恥ず・かしぃ・・・」
　康平は、しばらく礼子の中で快感を堪能していた。
　そして、ゆっくりと引き抜くと礼子は打つ伏せに倒れこんだ。
　礼子の亀裂からは、康平が放った分身が流れ落ちてくる。
　礼子は、落ちてくる液体を拭こうともせずに起き上がると、向きを変え、あぐらをかいた康平の下半身に顔を埋めた。
　久しぶりに男を味わった礼子は、康平のモノを口で綺麗に舐めあげていく。
　そして、康平は、礼子の乳首を弄んでいた。
「凄い堅くなってるな。」
「だってぇー・・・」
「今一番、ＳＥＸに燃える年代だよな。」
「・・・フフッ、でも、女性は４０代になるともっと凄いらしいわよ。」
「な、なに？まだ当分あるぞ。それまで俺が持つかな？」
　礼子は微笑しながら答えた。
「いつも鍛えててね。」
　康平も薄笑いを返して言い返す。
「俺に満足できなかったら、見つからないように浮気してもいいぞ。」
「えーっ、何言ってるのぉー。」
「は・・、だって、よくカップル喫茶やスワップクラブへ行くじゃないか。」
「康平が一緒にいるからじゃない。それに康平がそれを求めるし・・。」
「フッ、でも意外と燃えてるじゃないか。」
「もぉぅ、意地悪っ！」
　礼子は怪訝な表情を見せながらも夕方食事に誘われた課長の山岸の顔が頭を過ぎった。「康平・・」
「何？」
「・・・ううん何でもない。」
「何だよ。」
　礼子は山岸に誘われたことを言おうとしたが、やはり黙っていた。
「本当に何でもないの。それよりお酒でも飲まない？」
「そうだな、持ってきてくれ。ついでにツマミもな。」
「うん。わかった。」
　礼子は、ガウンを羽織ると康平から離れキッチンに向かい酒の支度を始めた。
　康平は礼子の後姿を眺めながら、ふと思った。
（んー、最近、熟れた下半身になってきたな・・。しかし、さっき言いかけた事は、、、何だろう・・）

　康平もＳＥＸに関しては、理解があるほうで夫婦といえども、お互いの愛が消えることさへなければ、礼子が他の男性に興味を持ってもいいと思っていたのだ。　　　

「お待たせー。」
　先ほどの事を隠すように、おどけた態度で礼子が戻ってきた。
　トレイには康平の好きな冷酒と佃煮がのっている。
　礼子はワイン好きなのだが今日は康平に付き合い冷酒に飲むことにした。

　礼子は康平に酒を注ぐとグラスを合わせた。
「じゃ、乾杯！」
「何に？」
「何でもいいじゃない。本当によく突っ込むわねー。」
　礼子はそう言うと酒を一気に口に運んだ。
「おいしいわ、このお酒。」
「とりあえず風呂で身体流してきたらどうだ？」
「ふふ、まだ康平のが、ここから出てくるわ。」
　礼子は指で広げて見せた。
「パリパリになっちまうぞ。」
「アハハハッ」
　礼子は康平の言い方に大笑いした。
「お風呂にいってくるわ」
「ああ。」
　康平は今、もっと礼子を淫乱な女にしたいと考えていた。
　しかも静淑かつ淫艶に・・・。
　そう・・・二人の究極を目指すために・・・・