（２９）

　翌日の木曜日から、興信所の者が武田の自宅付近にワンボックスの車に積載した機器で愛子の母親の部屋をカメラで監視し盗聴を始めた。

　康平も今日は、まっすぐに家に帰り３日ぶりに娘の亜美と一緒に風呂に入った。
　やはり、一番落ち着くひと時である。
「パパ、お仕事忙しかったのぉ？」
「ああ、ごめんな。でも、もう少しで仕事も終わるから、また亜美と本を読めるよ。」
「やったー。亜美、パパが大好きぃーっ。」
　娘の亜美は康平と本を読むのが好きだった。
　時折、亜美が見せる奥深い感情は、ある意味卓越したものがある。
　康平夫婦だけではなく姉の裕子夫妻にも懐き物怖じしない性格に育っているようだ。
　康平は子供ながらに亜美を逞しく思った。

　礼子も里美が落ち着きを取り戻し少々明るくなってきたようだ。
　里美自身、康平が色々と骨を折っているのを聞き恐縮がっていたと礼子から聞かされた。
　康平は風呂から出ると亜美を礼子に任せ居間のソファに腰掛けた。
　礼子が亜美を寝かせつけ居間に入ってくる。
「亜美、寝たわ。」
「そうか・・お前も入ってこいよ。」
「ええ、そうする。」
　礼子が何か言いたそうな表情で公平を見つめた。
　康平が礼子の視線に気づく。
「どうした？」
「康平・・私、康平をイラ付かせてるような気がして・・。」
「なんで・・。」
「・・・・ウン・・ていうか・・・私が我慢できなくなっちゃった。」
　康平は笑いながら礼子に言い放つ。
「ヨシッ。今日は久しぶりに・・といっても１週間しかたっていないが　お前を天国に招待しよう・・・」
　礼子が笑いながら康平に近づき、こう言った。
「いつ、そう言ってくれるか待っていたのよ。康平。」
「よく言うぜ。あんなに気落ちしていたら誘うに誘えないぞ・・。」
「私、急いでお風呂入ってくる・・・。」
「よく股を洗ってこいよ。」
　礼子は康平の肩を叩き嬉しそうに浴室へ向かった。
　康平も礼子が、少し元気になってホッっとしていた。
（今頃、探偵も張っているだろうな・・）
　康平は上手く証拠を掴むことを期待していた。

　一方、興信所の探偵は・・・
　愛子の母親が帰ってきたのは夕方６時頃である・・・。
　一旦部屋に入ってきたものの寝巻きに着替えて部屋を出て行った。
　風呂にでも行ったのであろう。

　部屋に戻ってきたのは８時過ぎだった。
　髪を乾かした後、鼻歌を歌いながら布団を敷き始めた。
　そして、押し入れを開けるとなにやら中の小箱から取り出したようだ。
　手にしたのはバイブレーターだった。
　布団に寝そべるとバイブを口に含み一人で喘ぎだす・・・。
　ショーツは穿いていなかった。
　ネグリジェをたくし上げバイブで股間を刺激し始めている。
　３０分ほど続けていただろうか・・小さい声をあげながら昇天したようだ・・。
　しかし探偵も、こういう場面は何度か見ているのであろう。
　さして表情を変えるでもなく録画と録音を記録していた。

／／／／／

　礼子が風呂から出てきた。礼子が居間に顔を覗かせると康平に声を掛ける・・・
「康平・・・・。」
　礼子が虚ろな目で康平に訴える。
　康平は、ウィスキーを持って寝室に入った。

　寝室に入ると礼子が髪を梳いていた。
　康平は礼子のうなじに唇を這わせる・・・礼子は天を仰ぎ甘い声を発した。
　康平と礼子は、そのままベッドに移り舌を絡ませる・・・
　礼子の股間は久しぶりの康平の性技で蜜を流し続けていた。
「ァァ・・・康平・・無茶苦茶にしてぇぇぇ・・・」
　康平は礼子に呟く・・・
「礼子・・覚悟はいいか？」
　礼子は応えをキスで返した。
　止めどなく流れる礼子の液体に康平の欲棒が光り輝いていく・・・。
　礼子は、気が狂ったように喘ぎまくり康平に性醜を求めていった。
　康平も礼子の中に肉棒を埋めると快楽のボンテージが加速していく・・・・。
　やはり他の女とは違う独特の快感が康平の全身を襲った。

　礼子は乱れ狂い何度も康平の責めに気を失いかける・・・
　礼子の女芯は赤味を増してきた・・・
　康平が礼子を後ろ向きにし激しく、そして壊れるくらいに突きまくると礼子の奥の壁が悲鳴を上げた・・・・
「ンアァァーーッ・・グッ・・・ッツゥゥゥゥーー、ウァァァッァーー・・」
「礼子・・・俺はもうイキそうだ・・」
「・・コ・・コウ・・・ヘェイ・・・・モ・・・・もう・・私も・・・」
　康平は礼子の乳首と女芯を一緒に摘み上げた。
「んぉぉぉぉぉーーーーーーーーッ・・・・」
　礼子が獣のような悲鳴をあげて全身を振るわせた。
　康平も礼子の中に爆発させる・・
「あ・あ・ぁぁぁぁ・・・熱い・・・康平のがぁぁー・・・」
　康平は、全てを出し切ると礼子の蜜壷から肉棒を抜いた。
　礼子が力を失い前に倒れる。
　礼子は尿穴から静かな音を立てて失禁し始めた。

　しばらくして礼子は目を覚ます。
　康平が礼子に呟いた。
「礼子・・シーツを変えなきゃ寝れないぞ。」
　礼子は康平に抱きつき言い返した。
「・・・・・康平が虐めるからよ・・」
　康平は起き上がり飲みかけのウィスキーを口にした。
　礼子が話し掛ける。
「そう言えば康平・・武田に里美のことを言っておいたわ。」
　康平が礼子を振り向き内容を聞いた。
「で、どうだった？　奴の態度は・・。」
「なに馬鹿なこと言ってるんだ・って言ってたわ。」
「・・・」
「でも、かなり動揺してるように私は見えた。」
「そうか。」
「どういう行動をとるのかな？」
「さて、それは分からんよ。」
「危機感を持ってくれるといいんだけど。」
「よし。じゃぁ俺は今度の土・日に愛子を誘い出す。お前は更に武田に追い込みを掛けてくれ。奴がもし危機感を持ったならば愛子の母親に自分の身の保障を得る為、愛子の母親に訴えに出る可能性がある。」
「うん。」
「仮に今週でなくとも来週もある。愛子をなるべく留守にさせるよう俺が外に引っ張りだすよ。」
「解ったわ。」

／／／／／

　翌日、康平は愛子に電話をし土曜日から泊まりで温泉にでも行くかと誘った。
　愛子は、喜んで康平の誘いに承諾する。

　いっぽう愛子は武田に今度の土・日は友達と遊びに行くから家を空けると伝えた。
　いつもの武田なら、しつこく愛子に問いただすのだが素直に了承したようだ。
　そのことを康平は愛子から電話で聞きひょっとしたらひょっとするなと可能性を高めた。
　康平は礼子に愛子を上手く誘い出せたことを伝える。

「康平、くれぐれもボロを出さないようにね。・・・それから・・・」
　康平が礼子の言いたいことを察して返答した。
「あくまで愛子は、手段だ。俺はお前以外の女に心は奪われない。」
「・・・康平、貴方を信じてる・・・。」
「ああ、心配するな。後は興信所の連絡を待つだけだ。俺の携帯の番号も教えておいた。掴んだ時点で電話をくれるように頼んでおいたから。」
　礼子は康平を心配そうに見送った。

　康平は愛子を迎えに駅裏のロータリーに車を走らせる。
　愛子は、今回も先に到着し康平の来るのを待っていた。
　康平が愛子の横に車をつけると弾んで車に乗り込んできた。
「甲斐さん、嬉しいわ。明日まで、ずっと一緒に入れるのね。」
「ああ、うんと調教してやるよ。」
　愛子は胸を高ぶらせながら喜んだ。
「今からドキドキしちゃうわ。・・うんと虐めて。」
　愛子は、もはや康平の奴隷と化していると言っても過言ではない。
　想像を越える康平のＳＭプレーに愛子は興味を超えた願望を持っているのだ。
「愛子、プラグは？」
「ちゃんと嵌めてるわ。外すのは朝の○○○する時だけよ。」
　愛子が恥ずかしそうに応える。
　愛子はミニスカートを上までずらし康平に見えるように亀裂を上に引っ張りあげた。
「甲斐さん・・わたし今度ここの毛、エステで永久脱毛してくるわ。」
「え？」
「だって面倒くさいんですもの。」
　康平は、ある意味、愛子が自分に惚れこむのを恐れていた。
　今回の件が終わったら愛子には用はない。
　しかし、既に愛子は・・・。

　武田と愛子の母親の関係が発覚したとしても愛子には言うつもりはない。
　武田を脅す材料にするだけだ。
　でも、その後・・愛子をどうするか・・・・・。
　愛子の性格も変わった。
　最初に会った時のような高慢でプライドの高い性格は今では康平の前で少しも見せない。むしろ康平のためなら奴隷扱いでもかまわないというまでに性格が変わっている。
　ならば・・・いい意味で愛子と関係を続けるのも・・・
　康平は運転をしながら悩んだ・・・

（いや、まてまて・・・まだ、この後どうなるかわからない。決着がついてからでも愛子の事を考えるのは遅くないだろう。）

　康平は頭を振り払い運転を続けた。
　愛子は、スカートを捲くったまま女芯を摩り続けていた。
　康平は見向きもせずタバコをくわえた。
　愛子が、それに気づき火をつける・・・
　一服吸い込んだ後、愛子の口にタバコを差し込んだ。
　愛子は美味そうに吸い込む・・・。

「甲斐さん、私・甲斐さんのためなら・・どんなことでもする。」
「どういう意味だ？」
「好きなの・・もう離れたくない・・・。」
「俺には女房がいるんだぞ。」
「ううん、奥さんと別れてなんて言わない。甲斐さんの暇なときだけでいいの。」
　違う意味で康平は、こうなることを恐れていた。
　しかし、愛子との関係をだらだらと長引かせるわけにもいかないだろう。

「私、もう、甲斐さんの前では羞恥心は存在しないわ。」
　康平は、やはりヤバイと思った・・。
　ここまで来ると愛子と離れる時のほうが厄介になる・・。
　新たに愛子を扱う作戦を立てなくてはいけなくなってきた。

　愛子は、自分の肉襞を左右に引っ張り康平に言った。
「甲斐さん・・・ここが甲斐さんを欲しがるの・・」
　愛子は、ダッシュボードに足を乗せ康平に見てもらおうと更に肉襞を広げた。
　その下からは菊門に刺さったプラグの根元が見えている。
　愛子は、女芯の薄皮を捲って康平に呟いた。

「甲斐さん・・見てぇー。甲斐さんと会えない時にいつも弄ってるからちょっとク○ト○スが大きくなっちゃったみたい。」
　康平は日に日に変貌していく愛子に戸惑っていた。
（ふーっ・・・どうなることやら・・・・・。）
　康平と愛子は、昼もかなり過ぎた頃に温泉街に到着した。
　車を旅館の駐車場に止め荷物を置いて近くの茶屋に向かう。
　その時、康平の携帯が鳴った。
「もしもし・・」
　興信所の探偵からだった。
　愛子の母親の部屋に電話が入ったようだ・・・。
　母親の返事から「今晩来て」という言葉が放たれたらしい。
　探偵曰くおそらく武田本人の可能性が大ということだった。
　康平は、今晩、もし武田が愛子の母親の部屋に現れて秘事があったなら愛子に自分の素性を全て話し別れを告げるつもりだった。

　康平と愛子は茶屋を出ると渓流に散歩に出掛けた。
　川の裏側は山道で人が一人歩く程度の幅しかない。
　康平は愛子を木陰に連れ出しスカートを脱がした。
　愛子は、康平の行動に反応し自ら花弁を広げる・・・・・
「愛子・・しゃぶってみろ。」
　康平はベルトを外し肉棒を愛子に見せつける。
　愛子はトロンとした眼つきで康平の肉棒を凝視した。
　愛子は足を開いてしゃがみ込むと、康平の腰にしがみつき口に咥えてスライドし始めた。
　康平の肉棒は愛子の口の中で更に怒張した。
「愛子、そこの木に手をついてケツを向けろ。」
　愛子は康平の言う通りに木にしがみつき尻を康平に向けた。
　康平が愛子の脇腹を掴み挿入をする。
　愛子は頭を股の下に潜らせ挿入する所を覗きだす。
「ぁぁ・・・フゥゥゥゥーーー・・ンアァァァーーー・・」
　愛子は悶えている。康平は激しく腰を打ちつける・・
　愛子は何度も絶叫し飛沫を撒き散らした。
　康平は愛子をこちらに向かせて木にもたれさせる。
　二人は向かい合うと再度、挿入をし下から思いっきり突き上げた。
　愛子の身体が何度も上に持ち上がる・・・・
　もう３０分以上も続いていた・・愛子の足はガクガクと震え出し我慢も限界のようだ。
　康平は肉棒を抜き愛子をしゃがませる。
　愛子は股を大きく開き康平の肉棒を握ると上下に摩り始めた。
　大きく口を開けて康平に訴える。
「あぁぁーー・・出してぇ・・ダシテェェェーー・・・」
　康平は遠慮なく愛子の口に発射する・・
　分身が愛子の顔に飛び散った・・
　愛子は康平の放った分身を逃すまいと大きく口を開き舌を出して受け取った。
「んあぁぁーー・・・美味しいぃぃぃー・・・」
　康平が出し終わっても愛子は康平の肉棒を舐めまわし更に口を窄めて吸引を繰り返していた・・・・
　全て飲み込むと康平を見つめ呟く・・・
「ぁぁ・・か、・・・甲斐さんって・・・最高よぉー・・・」
　愛子の指は自分の蜜壷に埋まっていた。
　手は愛液でビショビショに濡れている・・・
　康平はズボンを上げるとポケットから煙草を取り出し口に咥えた。
　火を付けて紫煙を吐き出す・・。

　愛子はハンカチを取り出し顔を拭いていた。
　ティッシュで股間を拭いスカートを下げる・・・
　そして軽く化粧を施し口紅を塗った。
「さぁ、旅館に戻るか。」
「ええ。」
「愛子・・変わってきたな。」
「・・・え？」
「いや、いいんだ。」
　愛子は康平に寄り添い腕を組んだ。
　二人は旅館に向かって歩き出した。

　その時、康平の携帯がなった。礼子からである。
［あっ、康平？ビデオを武田の鞄に入れたわ。］
「そうか、わかった。」
　康平はそれだけ言うと電話を切った．
　愛子が電話の相手を聞いてくる。
「誰から？」
「あ、ああ会社の人間だ。」
「そう。」
　二人は再度歩き出す。
　旅館に着くと二人は仲居に案内され部屋に通された。
　あと1時間もすれば夕食が運ばれると言って出て行った。
「愛子、風呂にでも行ってこいよ。」
「ええ、そうします。・・甲斐さんは・・？」
「ああ、１本ビールを飲んでから行くよ。どうせ風呂も男女別々だし・・。」
「そうね・・できれば一緒に入りたかった・・。」
　愛子が照れながら康平に言った。
　康平も礼子の願望に軽く頷きながらビールの栓を抜く・・
　愛子は服を脱ぎ、康平の目の前で菊門に刺さったプラグを外すと真っ裸のまま洗面所に向かい、綺麗に洗ってその場所に置いた。
　そして浴衣を着ると、そのまま何も着けずに温泉に向かう。
　そもそも下着など愛子は持ってきていなかった。
　康平の約束を忠実に守っているのだ・・・・

　ビールを空けようとした時、また康平の携帯が鳴った。今度は探偵からである。
　康平は、詳しく内容を聞いた。

「そうですか。・・・解りました。では、その後も宜しく。」
　康平が小さく笑った。
　愛子の母親の部屋に武田が現れたらしい。話の内容から自分が危機な状態にある事を相談に訪れたようだ。
　その時は、何もなかったようだが、今晩、抱いてくれたら何とかしようという内容だったようだ。
　事実は間違いなかった。後は映像を記録し武田を揺するだけだ。

（よし、・・これで９０％は、片付いたな。）
　康平は、思った。今回の件は１ヶ月を予想していたのもかかわらずわずか１週間でカタが付こうとは・・・。
　康平は、服を脱ぎ大浴場に向かった。

（３０）

−　その頃愛子の母親の部屋では・・・　−

「何の相談なの・・。克彦さん。」
「実は、やばいことに・・。」
「ま、話は後で聞くわ。それより早く気持ちよくさせて。」
　そう言うと愛子の母親は服を脱ぎ布団の上に寝そべった。
　武田も全裸になり恵美の蜜壷を丹念に奉仕し始めた。

／／／／／／

「ふぅーー、いい湯だったぜ・・。」

　康平が風呂から上がり部屋に戻ると愛子が座って待っていた。
　料理も運ばれている。

「甲斐さん、ビールにします？」
「ああ、そうしよう。」
　愛子がビールを抜き康平に注いだ。康平も注ぎ返す。
「じゃ、乾杯っ。」
　二人はグラスを口に運んだ。
　康平が一気に飲み上げると愛子を隣に呼んだ。
　愛子は喜んで移動した。

「愛子、四つん這いになってこっちを向け。」
　愛子は素直に言う通りにする。
　康平は愛子の菊門に刺さったプラグを抜いた。
　愛子は小さな声を発する。
「ぬ、抜いていいの？」
「ああ、もう付けなくていい・・・。」
　愛子は意味ありげな康平の言葉に不安を持った。
「ね・・・どうしたの甲斐さん。」
「いや、別に・・何でもないさ。」
　康平は愛子を見た。愛子が哀壮な表情で康平を見つめている。
「どうした？」
「い、いえ、・・・いつもの甲斐さんじゃないみたい。」
　康平は、まじめに愛子に話し掛ける。
「愛子、お前は俺のことを旦那さんに話したか？」
「ううん、言ってないわ。言う必要もないもの・・。」
「そうか・・。」
「お前、旦那とは別れるつもりはあるのか？」
「・・・ど・どういう事？・・まさか・・？」
「いや、俺が愛子と一緒になろうってんじゃないよ。」
　愛子は意味がわからなかった。
　その時、康平の携帯がなった。探偵からだ・・・

「そうですか・・・解りました。映像のほうは私が直接取りに行きます。一応、明日まで記録しておいてください。」
　康平が苦笑いをしながら電話を切った・・・
（遂に始めたか・・・・）
　康平は、再度、愛子に問いただしていく。
「愛子、お前これから一生旦那と暮らす自信あるのか？」
「・・・・言ってる意味がよく・・・」
「ま、いいさ。寂しくなったらいつでも電話をくれ。」
　愛子は、怪訝そうに康平を見つめた。愛子に不安が湧いてくる。
「甲斐さん・・私を捨てるの・・？」
「言っただろう、いつでも電話しろと・・。ただ、今後、旦那と何かあっても俺のことは言わないほうが、身の為だ。下手をすると命まで危うくなるぞ。」
「・・・・」
「それから俺の名前は甲斐と言うんじゃないんだ。」
「えっ・・・？」
「まだ姓は言えないが名前は康平という。」
「・・ど・・どういう事なの・・何か・・・私を・・」
「お前をどうこうするつもりなんか全くない。」
「じゃ・・なぜ・・」
　康平は愛子の不安を取り除くために丁寧に説明した。
　愛子も何とか理解したようだ。
「愛子、今の正直な気持ちでいい。はっきりと答えてくれ。」
　愛子は康平の落ち着いた態度とクールな言葉づかいに思わず頷いてしまった。
「俺には女房がいる。当然愛している。・・でも他の女性と寝ても嫉妬するような女じゃない。上手く説明は出来ないが妻も他の男性と関係してるんだ。そして、いま、お前とここに来ていることも知っている。」
　愛子は信じられないという眼で康平を見ている。
「・・・う・・そ・・。」
「いや本当だ。俺と妻は、性を探っているんだ。」
「・・・・」
「ま、信じ難いだろうが事実さ。だから、いつでも電話してこいと言ったのさ。」
「・・・あ・・・あ・・の・・」
「さあ、どうするんだ。答えろよ。」
「わ・・わたし・・甲斐さ・・・い・・いえ・・・康平さんと・・」
「俺達夫婦のような考えになれるか？　そうでなければ別れたほうがいい。」
　康平は当初の考えを覆し、愛子も同じ思考を持つことが出来れば今回の件が終わっても愛子と会うことを了承してもいいと思った。
「・・・私は・・・出来るわ・・」
　康平は頷いた。
「そして、もう一つお前自身が、考え方を変えて旦那にも、いい意味で強要するんだよ。旦那をもう一度愛せるように努力していくんだ。」
　愛子は、康平の話に吸い込まれていった。
　不思議と康平の話す意味が理解出来るようになってきた。
　意外と冷静なのかもしれない。
「これから・・これから、康平さんって呼んでいいですか？」
「ああ、勿論だ。」
　康平は愛子を抱き寄せ唇を重ねた。
　愛子は康平が自分の生き方をいい方向へ変化させていく存在に思えた。
「さぁ、こんな話は終わりだ料理を食おう・・。」
　愛子は康平にビールを注いだ。
　上手そうな料理に手を付けながら康平は礼子とのプレー話を聞かせた。
　愛子は目を丸くして聞いている。
　時折、康平は驚く愛子を微笑しながら反応を探った。
（んむ・・。まんざら解らん女でもないな・・。）
「ねぇ、康平さん、私も奥さんのようになれるかしら。」
「まず、性格を元から変えていかなくちゃ駄目だな。」
「えっ？　例えば？」
「今は、俺の前では従順な態度を取っているが、お前はプライドが高く高慢で、なおかつ誰にでも威嚇したような話し方を慎むことだ。金なんか無くても異性を振り向かせることなんて、はっきりいって簡単なんだよ。わかるか？愛子・・」
「ぇ・・・ぇぇ・・」
「お前と会ってまだ１０日も経っていない。なのに、お前は惜しげもなく性器を見せるし放尿まで平気でやれる。普通入れないところにプラグまで突っ込んでな・・・。」
　愛子はが赤面している。
「お前は、自分の旦那に俺にしてるようなことが出来るか？」
「・・・・・たぶん・・・できないと思う・・。」
「何故、出来ないんだ。夫婦だろ。」
「そ、それは・・・」
「その理由を見つけるんだよ。そして出来るように努力すると、お前は、ＳＥＸ感が変わると思うがな。そして、前よりもっと、いい女になると思うぞ。」
　康平が言いたい事を話し終えると仲居が新しい料理を運んできた。
　二人は酒を飲みながら話題を変えた。
　愛子は、初めて笑いのある会話に移っていった。
　愛子は、こんな楽しい酒と料理は始めてだったのだ。

／／／／／

　愛子の母親、恵美の部屋では武田と恵美が痴態を繰り返していた．
　仰向けになった武田の顔の上に恵美が跨り蜜壷を口に押し付けている。
「お義母さん、美味しいです。」
「もっと、もっと舌を使って克彦さん・・。」
　武田が舌を恵美の蜜壷に差し込む・・・。
「なによ・・この間より下手じゃない・・。しっかりやって。」
　恵美は苛立ち武田の肉棒を握り締めた。
　そして口に含むと激しく頭を上下し始める・・。
　恵美は武田の顔から腰を離し自ら武田の肉棒に腰を沈めて行った・・・
「んぉぉぉぉーー・・・・ぁぁ・・オ○ンコが疼くわぁぁー」
「お・・お義母さん・・・気持ちいいです・・。」
「克彦さん・・もっと下から突き上げて・・」
　武田と恵美は獣と化していた・・・。

　興信所の探偵は、二人の行為を淡々と録画していく・・。

　恵美は四つん這いになり武田に欲求を注文した。
「克彦さん・・お尻の穴を舐めて・・早くッ！」
　武田が黒ずんだ恵美のア○ルを舐め始めた・・。
「ングゥヮーーーッ・・・ぎ・・気持ぢぃぃーーーーー」
「うっ・・うっ・・」
「舌入れて・・舌をお尻の穴に入れテェーー」
　武田は恵美の注文どおりにする。
「グガァァァァーーー・・・イイ・・イイヮー」
「・・う・・うっーー」
　恵美は武田に挿入を要求した。
　武田は起き上がり恵美の腰を掴むと蜜壷に挿入し腰を動かす・・。
「グフゥゥゥーー・・克彦さん・・・もっと激しく動かしてよー。」
　恵美の欲求は貧欲だ。遠慮なく武田に注文していく。
　武田も必死なのだろう、恵美の要求をこなしていった。
　恵美が昇天に近くなる・・。
「あぁ・・私先にイクわ・・まだ出しちゃ駄目よ・・。」
　そう言う恵美は、動物の叫び声のような淫声を上げてイッテしまった。
　すかさず武田を立たせ出すように命ずる。
　武田は恵美の乳房に分身を吐き出した。
　恵美は出す瞬間を見るのが癖なのだ。
　勢いよく武田が恵美の乳房に爆発した。全て出し切ったのを確認すると恵美はそれを身体中に手の平でのばしながら塗りつけていく。
　そして武田に自分の蜜壷を舌で処理するように命じる・・。
　武田は躊躇することなく従った。

　恵美が息を整わせながら武田に話し掛ける・・・。
「克彦さん、愛子には私たちのことバレていないでしょうね？」
「大丈夫ですよ。お義母さん。」
「そう、ところで頼みって何？」
　武田は恵美の乳首を擦りながら話をし始めた。
　武田の話を聞いた恵美は武田に即答する。
「わかったわ。大丈夫よ。私から愛子に言っておくわ。そのかわり、私の欲求処理するのを忘れちゃ駄目よ・・わかってるわね克彦さん・・・。」
「勿論ですよ。お義母さん。宜しくお願いします。」
　武田は再び恵美の蜜壷に舌を這わし始めた。

／／／／／

　康平は愛子を激しく責め立てていた・・・。
　愛子が康平に抱きつき喘ぎ狂っている。
　既に愛子は失神寸前だった。
「こ・・コ・・ウヘイ・・・・さん・・・イ・イギ・・ソォー・・」
　愛子は、そう言うと康平を持ち上げる勢いで腰を高く上げて果ててしまった。
　眼を半分閉じたままでうわ言を呟いている・・・
「・・ま・・・マ・○・・・コが・・壊れ・・・そ・・ぅ・・」

　康平は愛子から離れ椅子に座った。
　一気に疲れがきたのか目頭を抑え煙草に火を付ける・・・。
　その時、携帯に電話が入った。探偵からだった。
「はい。」
［全て上手く成功しました。］
「そうですか。わかりました明日の夜、取りに伺います。」
　康平は電話を切る。
（ふぅー・・これで何とか終われるかな・・）
　康平もかなり疲れが溜まったようだ・・。
　愛子は、まだ仰向けになって身体を動かす気配がない・・。
　康平は愛子に近づき小さく呟いた・・・
「愛子、お前を利用して悪かったな・・。」
　愛子が静かに眼を開けようとしていた。
「こ・うへい・・さん・・・。」
　康平は愛子を抱き起こしキスをした。

−　翌日　−

　康平と愛子は午前中に旅館を出て帰途についた。
　愛子は車の中でも康平に寄り添ったまま離れない。
「愛子・・」
「なぁに・・康平さん・・。」
「家に着くと、お前の旦那から俺のことを聞かれるかもしれない。」
「え・・なんで？」
「この間、お前を撮ったビデオを旦那に渡したんだ。」
「だ、誰が・・？　康平さんが？」
「いや、それは言えない・・。」
　康平は、ケリを付けるまでは、まだ愛子に嘘をつかざるを得なかった。
「嫉妬するかな・・と思ってな。」
　愛子が答える。
「嫉妬というか今日も男と出かけてると思ってるんじゃないかしら。」
「ん？」
「主人は、私が普段男と遊んでることは知ってると思うわ。私もアイツが違う女とそういう関係があることは知ってる。」
「・・・」
「あのビデオを見たら反対に俺を捨てないでくれって言うんじゃないかしら？」
「そうかな・・」
「康平さんの事もしつこく聞くと思うけど、たぶん媚びてくると思う。アイツは私と離婚なんてする気はこれっぽっちも持ってないのよ。」
「もし、亭主が会社を辞めたらどうする？」
「別に・・どうってことないわ。あいつの給料なんて無くても十分生活していけるし。アイツの方が反対に困るんじゃないの。遊ぶお金がなくなっちゃうんだから・・。」
　愛子は薄笑いを浮かべて康平に話した。
　康平は、愛子には危険は無いなと思った。
　もしかすると武田に暴力でも振るわれたら厄介であるが武田が愛子に頭が上がらないのは明確のようだ。
「愛子、家に帰ったらお袋さんの部屋に隠した盗聴器を外して捨てておいてくれないか。」
「えっ、もういいの？」
「ああ、もういいんだ。それから南側にカーテンがあっただろ。」
「ええ。」
「その隅に黒色の小さい箱も取り付けたんだ。それも外して捨てておいてくれ。」
「・・・わかったわ。」
　愛子は詳しく康平に聞くことをしなかった。
　今の愛子は康平が全てである。自分を裏切らないと約束してくれた康平に余分なことを聞いて嫌われたくないと思っていたからだ。

　夕方近くに康平は愛子を家の近くで降ろした。
　愛子が康平に別れ惜しそうに告げる・・・
「康平さん・・また・・必ず、、、電話してね。」
「ああ、するよ。」
　愛子が康平の言葉に笑みを浮かべて安堵感を見せた。
　愛子が手を振って康平を見送る。
　康平は、そのまま興信所に足を運んだ。

　康平は探偵からビデオとテープを受け取った。
「見ますか？ビデオ。」
　探偵が康平に内容の確認を促した。
「ええ、お願いします。」
　康平が探偵にビデオを渡すとテレビをつけビデオテープを差し込む。
　武田が愛子の母親、恵美の部屋に現れてなにやら話している。
　その後、武田と恵美の戯れの姿が克明に記録されていた。
　最後まで見終わると康平は、ビデオを巻き戻しバッグにしまった。
「完璧な内容です。」
　康平は探偵に礼を言って興信所を後にした。

　家に着くと康平は礼子に成功したことを話す。
「本当？康平」
「ああ、これで決着がつくだろう。」
「で、どうするの？そのビデオ。」
「俺が直接武田に会おう。そろそろ登場してもいいだろう。」
「でも、大丈夫・・。」
「大丈夫さ・・でも愛子の仕事の関係で危ない奴とも付き合いがあるらしいからな。それなりの手を打っておくよ。」
　礼子は、いよいよ詰に入る段階に緊張していた。
　あれから２週間が過ぎている。
　里美も、まだ不安が残り仕事に専念できないようだ。
　礼子は早く里美を楽にさせてやりたいと思っていた。
「明日さっそく武田に会うよ。武田がよく行く店知ってるか？」
「んー、解らないわ・・。・・・あっ里美に聞いてみるわ。彼女なら・・。」
　礼子は里美に電話をし武田の行き付けの店を聞き出した。
　康平は礼子から店の名前を聞くと最終段階の作戦を立てはじめた。

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　康平は寝室で録音したテープを用意しカセットデッキに入れた。
　武田の自宅に電話を入れて聞かせるためだ。
「康平どうするの？」
「今から武田に聞かせるんだよ。」
　笑いながらそう言うと康平は受話器をもち番号をプッシュした。
［もしもし武田ですが。］
　武田本人が出た。
「武田克彦さんですね。」
［ええ、そうですが。］
「ちょっとこれを聞いてもらえますか？」
　康平はテープのスイッチを押し受話器をスピーカーに当てた。
　昨日の武田と愛子の母、恵美との話や戯れの内容が流れる。
　電話の奥では武田の怒鳴り声が聞こえていた。
　康平は受話器を耳に当てた。
「武田さん、聞こえましたか。」
「貴様ぁ、何者だ。こんな事してただで済むと思っているのか。」
「ほう、しかし、これを奥さんに聞かせるとただで済まないのは貴方じゃないですか？　ま、明日、貴方の行き付けの店でお会いしましょう。一人で来ないとテープを奥さんに　渡しますよ。」
　康平はそう言うと、電話を切った。
　おそらく一目散に恵美の部屋に行き盗聴器を探すだろう。
　しかし愛子が既に取り外しているはず。
　康平は、すぐさま愛子の携帯に電話を掛けた。愛子が出る。
「もしもし、・・愛子か？」
［あっ、康平さん・・。］
「旦那は？」
［えっ、何か怒鳴りながら電話で話してたけど切ったとたん慌てて部屋を出て行ったわ。］
　康平は薄笑いを浮かべながら愛子に告げた。
「いいか愛子。旦那から何を聞かれても一切知らないとシラを切っておけ。」
［え、ええ。］
「ま、お前には聞くに聞けないだろうがな・・」
　康平は、愛子にまた近々誘う事を約束して電話を切った。

「礼子、明日一番で会社に行ったら奴の行動を見てみろ。」
「えっ？」
　康平が笑いながら礼子に喋りかける。
「おそらく落ち着かない態度で顔色も悪いぜ。」
「ちょっと見ものね・・。」
　康平と礼子は軽く酒を飲みながら今後の想定を話し始めた。
　しかし礼子は明日行動を起こす康平の身が心配で気が気でない。
　何とか、上手く事が運ぶように祈った・・・・

−　翌日　−

　康平は会社を終えると礼子に電話を入れた。
「礼子か・・今から行ってくるからな。」
［・・・ええ、わかった。くれぐれも気をつけてね。］
「ああ。任せておけ。」
　康平は、電話を切ると武田の待つスナックに向かった。

（ん、ここだな・・。）
　康平が店に入っていく。
　若い女性が３人ほどいた。客はサラリーマン風の男性が３組ほどおりボックスで若い女性と話し込んでいる。
　ママらしき女性が康平に声を掛けた。
「いらっしゃいませ。カウンターへどうぞ。」
　店主の女性を無視して康平が店内を見渡す。
　武田はカウンターの一番奥の席に居た。
　康平が武田の隣に座る。
「武田さんですね。」
　武田が康平を見て顔色が変わった。
「お・お前は・・妻とビデオに写っていた・・・・男」
「ほぉう・・記憶力がいいですね。」
　武田の顔が怒りで紅潮してきている。すかさず康平に捲し上げる武田・・・・
「何が望みなんだ・・金か？」
「いえ違います。」
「じゃ何だ。何が目的だ。」
「武田さん、声が大きいですよ。ま、私は一向に構いませんが・・・。」
　武田はカウンターのママらしき女性を見て奥へ追いやった。
　そして康平に話の続きを聞きだす。
「どういう用件だ・・言え！」
　康平は、直ぐに話を切り出した
「・・・武田さん、会社を辞めてもらいたいんですよ。」
「何ぃ・・戯けた事を言うな。なぜ俺が辞めなくちゃいけないんだ。」
　康平は、長話はしたくない。率直に武田に用件を要求した。
「宮口里美さんをご存知ですね。」
「・・・・宮口の回し者か、お前は。」
「ま、そうです。」
「無駄だぞ。アイツは俺の女だ。」
「無理やりそう思ってるだけで彼女は別れたがってるんですよ。武田さん。」
「何ぃぃー。」
「貴方、会社の金を使い込んでるようですね。それも巨額らしいじゃないですか。」
　武田は、驚いたように康平を見つめた。
「ば、馬鹿なことを・・・しょ、証拠でもあるのか・・」
「宮口さんが作成した裏帳簿も私の手にあります。」
「・・・くっ・・・あのアマ・・・」
「それを会社に見せますよ。」
「やれるもんならやってみろ。宮口も道連れだぞ。」
「私は構いませんよ。それに彼女もその覚悟です。」
「・・な・・・くっ・・」
「そして宮口さんを撮った写真、それから彼女から騙し取った５００万円あまりの金・・　これも返してもらいます。」
「ふっ、そんなもの使っちまったよ。それに借りたんじゃない。くれたんだ。」
「そんなことが通用するとでも思ってるんですか？」
「貴様、何がいいたいんだ。」
「解りました。そうまで言うなら昨日お聞かせしたテープを奥さんに渡すまでです。」
「・・そんな物・・いくらでも細工して作れるだろう。信用せんよ愛子は。」
　武田は、あくまでも強がりを言い埒があかない。康平は身を煮やしてきた・・・
「そうですか・・なら貴方と義母の関係を撮ったビデオでもお見せしましょうか？」
　武田の顔が蒼白してきた。
「これを奥さんが見れば信じるでしょね。そして裸で戯れてる姿と会話をも聞くと・・・」
「・・な、何ぃぃ・・、う、嘘を言うなよ・・貴様っ。」
「何ならお見せしますよ？　」
「・・ううっ・・・・んーー・・ぐっ・・・」
　更に康平は武田に追い討ちを掛ける・・・・
「どうでしたか？　あの真っ黒で緩みきった性器と飛び出たお尻の穴のお味は・・・かなり前から義母の恵美さんと関係があったようですね・・・武田さん。」
　康平は、武田と義母の戯れの内容や恵美が武田に奉仕させた台詞までも事細かく武田に話す。半信半疑だった武田も恵美の身体の特徴まで康平から聞かされて身体の震えが止まらずショックを隠せない様子である。
「あ、愛子を使ったのか？」
「そんな事はどうでもいいでしょう。どうするんですか・・承諾しますか。」
「くっ・・・、ど、どこにあるんだ。そのビデオは・・。」
「ちゃんとお返ししますよ。今私が言った要求を飲むのならね。もちろん、奥さんにもビデオは見せませんし横領の件も会社には黙っておきます。」
「貴様、ただで済むと思っているのか。」
　武田が開き直ったように康平に脅しをかけてきた。
「どういう事ですか？」
「俺のバックには、貴様一人くらい簡単に消す奴がいくらでも居るんだぞ。」
「ほぉう、そうですか。じゃ、しょうがないですね。」
　康平は、席を立ちながら武田に言い放った。
「今、貴方と私の会話も録音させてもらいました。」
　そう言って康平は胸ポケットから小型録音機を見せた。
「・・な・・・く・くっ・・・貴様・・どこまでも・・・。」
「民事とか告訴なんて問題じゃありませんよ武田さん・・刑事事件になりますよ。しかし私は、そんなことはするつもりはありません。それに愛子さんとも離婚しなくて済むんじゃないですか？勿論すべて今回の件は一切、愛子さんには黙っています。それは絶対にお約束しましょう。」
　康平が不敵に笑った。
　武田は下を向いたまま黙っている。
　康平が店を出ようとした時、武田が康平を呼び止めた。
「ま、待ってくれ・・・。わ、わかった要求を飲む・・しかし・・金はすぐには・・」
「武田さん、明日すぐに辞表を会社に出して頂ければ、お金の事は流しましょう」
　武田が康平に顔を向けた。
「・・・ほ・・本当か？」
「ええ、約束します。それに少なからず退職金も出るでしょう。どちらにしろ貴方の家は裕福ですし離婚さへしなければ食うのには困らないんじゃないですか・・？」
　武田は、もはや康平の要求を逃れることは出来ない。
　宮口里美の写真を返し会社に辞表を出すことを康平と約束した。
「明日、貴方が辞表を出したのを確認したらビデオと録音したテープをお返しします。」　そういって康平は店を出る。武田はガックリと肩を落とし下を向いていた。
　康平は店を出ると、どっと疲れがにじみ出てきた。大きく息を吐き出す。

（ふーっ、やっと終わったぜ・・３週間掛か・・・。ふっ、早くカタが尽いたもんだ。）
　康平は、そう思いながら疲れきった身体をリカーショップに運びワインとバーボンを買って家路を急いだ・・・・

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「礼子、帰ったぞー」
　礼子が急いで玄関に走ってきた。
　康平の笑顔と手に持っている酒を見て咄嗟に判断したのだろう。
　何も言わずに康平に抱きついた・・・
「康平・・・・・・・ありがとう」
　礼子が康平に抱きつく。
　康平は礼子の肩に手を回し居間に歩いていった。
「やっと終わったよ。武田が明日、辞表を出すそうだ。直ぐに宮口さんに電話して安心させてやれよ。」
「うん・・・」
　礼子は涙ぐんでいる・・
　康平はグラスボードからワイングラスとシェビーを出しそれぞれのコップにワインとバーボンを注いで礼子を待った。
　電話を終えた礼子がソファに座る。
「康平、里美が本当にありがとうって・・・」
　康平は今までの苦労を口にしなかった。
　むしろ礼子に笑顔で、今回の件が解決したことを喜んでやっている。
　礼子は、つくづく康平の努力と行動に感謝をした。
「礼子。これで、また二人の普通の生活に戻れるな。」
　康平が笑いながら礼子に言う。
「康平・・ありがとう・・本当にありがとう。」
　康平は照れながら礼子とグラスを合わせた。
　グラスを合わせた音が居間に鳴り響く・・・・執労にピリオドを打った音のようだった。
「礼子・・友人は大切にしなくちゃな。・・お前の親友は俺にとっても親友だ。」
「・・うん・・・うん・・・康平・・・・私・・・・」
　礼子は手で顔を押さえて涙を隠した。
　康平は礼子の横に移動し肩を抱き寄せる
　・・・礼子は康平に寄り添い声を上げて泣きじゃくった・・・。
（礼子・・・俺は・・お前のためなら・・・・・）

　その夜、康平と礼子は、互いに乾いた身体を愛欲の湖で湿らせていった。