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（４０）
康平と美紀は、常務室を出て自分達の課に戻った。
階段を降りていると携帯がなった。康平は電話を見る・・・
（あ、愛子・・）
康平は電話に出た。
「もしもし。」
［康平さん・・？ 愛子です。］
「ビックリしたよ。もう掛かってこないかと思った。」
［この間は、本当にご迷惑かけました。やっと落ち着いたので・・］
「大変だったね。」
康平は、愛子からの急の電話に、この程度しか言葉が出てこない。
［あの・・・康平さん・・］
愛子も、何を喋ったら言いかわからないのだろう。
康平は愛子を気遣い言葉を掛けた。
「愛子、よかったら・・会うかい？」
愛子の声が心なしか元気に聞こえてくる。
［本当に？・・実は、私・・・また会いたくて・・。］
「今夜どうだい？」
［はい。・・・じゃ、前、康平さんと行った、居酒屋で・・どうですか？］
「ああ、いいよ。じゃ６時に店で・・。」
康平は電話を切った。
しかし不思議な感じだった。もう何年も前の様な気がする。
ついこの間の事なのに康平は、忘却さへ感じていたのだ。
／／／／／／
夕方、仕事が終わると康平は愛子の待つ居酒屋に向かう。
店に入ると既に愛子が席に座って待っていた。
（ん？・・ちょっと雰囲気が変わったな。）
「康平さん・・。」
康平は、和む意味もこめて愛子に喋りかける。
「愛子、こんなこと言うと失礼だけど綺麗になったよ・・。」
愛子が頬を染めた。
康平は席に座りビールと料理を頼んだ。
「愛子、家の方は落ち着いたのかい？」
「ええ、・・・こんな事を言うと罰があたりそうなんですけどある意味、主人が亡くなってホッっとしているんです。」
「おい、おい・・。」
「いえ、決して変な意味ではなくて・・。」
康平は、そう言いながらも愛子の言いたい事を理解していた。
愛子が、ギクシャクした夫婦生活に嫌気がさしていたのは康平も知っていた。
康平から言われて、もう一度考え直せと言いわれた直後の事故に愛子もなかなか頭の中の整理がつかなかったのだろう。
ビールと料理が運ばれた。
愛子が康平にビールを注ぐ、康平も愛子に返杯した。
二人は無言でグラスをあわす。
「あの・・康平さん・・・・・・・・私・・・そのぉ・・」
「愛子、君の気持ちは察しているよ。」
「えっ？」
「良かったら、たまに会おうじゃないか・・。」
愛子は眼を潤まして喜んだ。
「康平さん・・私・・いい難くて・・・・嬉しいです。」
「さ、食べよう。」
愛子は、頷いた。
康平は、どんな理由にしろ愛子が元気を取り戻せば、また生活も変わるだろうと思った。元を正せば、愛子は自分が利用した人間だ。
償いも含め愛子との付き合いを承諾しても良いと考えていたのだ。
二人はの会話は酒と共に楽しく盛り上がっていった。
既に２時間ほど過ぎただろうか。愛子が康平に、欲求を訴える・・・・
「ね、康平さん・・・実は今日もしているの・・」
「えっ？」
「・・そのぉーー・・・プ・ラグ・・」
康平は、ふとアルルと桑原の事を思い出した。
（そうだ、愛子と同伴するか・・。）
「愛子、今日は君を抱く事出来ないが、明後日、一緒にＳＭクラブに行かないか？」
愛子が驚いて康平に問い返す。
「・・・ＳＭ・・クラブ？」
「ああ、面白いぞ。愛子の様なＭ女性はきっと気に入ると思うが。」
愛子が顔を染めて返答する。
「康平さんが、そう言うのなら・・いいゎ・・。」
「よし、じゃ、明後日、家まで迎えに行くよ。」
「ええ、わかりました。」
この日、康平と愛子は何もなく別れた。
− ２日後 −
常務の桑原は、この２日間、必死になって慶子の行方を捜したようである。
何度も総務課に足を運び慶子の連絡の有無をしつこく確認していた。
（ふっ、苛立ちもピークだな・・・。）
康平は、専務室に入り町田に今日の夜、行動を起こす事を報告した。
「荒尾君、今日で決着がつきそうかね。」
「ええ、たぶん・・。」
「一応、明日に緊急の幹部会議を開く。その場で桑原常務本人に報告をさせ事実を再度確認する。勿論、証拠を見せるつもりだ。」
「今日決着が付けば、恐らく明日から会社には来ないでしょう。」
「うむ、そうだな。しかし幹部会には取り上げないと他の者も納得しないだろう。」
「はい。そのとおりだと思います。」
「社長には、私から報告しておいた。警察沙汰にはしたくないそうだ。しかし、東洋鋼産業には、それなりの償いをさせると言っていたよ。」
「賢明な考えだと思います。」
康平は専務室を出ると、そのまま管理課に向かった。
大村が、康平を見ると手を上げて近づいてきた。
「荒尾、どうだった。」
「ああ、お前のおかげで山口のパソコンのデータも拾えたしな・・感謝してるよ。」
「久々に燃えたよ。遣り甲斐があった。」
「ところで、大村、お前の個人の口座を教えろ。協力金を振り込むから。」
「なんだ、現金でもいいぞ。」
「３０００万をか？」
大村が、目を丸くして康平を見た。
腰を抜けそうな感じで身体が震えている・・。
「あ、あ、荒尾・・な・・・・・さ・・さ・・さ・・ん・・ぜん万・・、お、俺の口座・・・。」
「ああ、教えろ。それくらいのことをお前はやってくれたんだ。当然だ。」
大村は、声が出ない。康平は笑いながら大村が恐らく聞きたい事を代弁した。
「大村、この金を、お前に渡す事は会社も知っているし会社を救った経費として遠慮なく貰っていい金だ。」
やっと大村が口を開いた。
「あ、荒尾、オ、俺・・い、家・・・建てようかな・・？」
康平は大笑いする。
「大村、自由に使え。」
大村は、何度も首を振って頷いた。
「今夜、お前が暴いてくれた証拠を持って桑原常務に引導を渡してくる。」
「そ、そうか。」
「ああ。お前に頼んで良かったよ。」
そう言って康平は大村と別れた。
（大村・・マジ感謝してるぜ。）
康平は、心の中でも大村に感謝した。
今度は総務課に向かい美紀を呼び出す。
康平と美紀は、資料室に入っていった。
「どうしたんですか？課長。ここで抱いてくれるんですか？」
美紀が笑いながら康平に問い掛けた。
「ああ、それもいいが、君の口座を聞こうと思ってね。」
「えっ？」
「今、大村にも会って口座を聞いてきたんだ。今回の協力金を振り込むために。」
「そうなんですか。でも、わざわざ振り込まなくても手渡しでいいんですよ課長」
美紀も大村と同じ返答をする。
「美紀、とても手で渡せられる金額じゃないんだ。」
康平は美紀に説明をした。美紀も驚いて声が出ない。
心なしか身体が硬直しているようだ。
「美紀、会社を救った上に俺に協力してくれたお礼だ。遠慮なく貰ってくれ。」
「わ、わたし・・・か、課長。」
康平は、笑顔で美紀に応える。
「美紀の昔からの夢・・・実現できそうだな。」
「課長・・ゆ・・夢見たい。」
やっと美紀からも笑顔がこぼれる。
康平は美紀を抱き寄せ唇を重ねた
「美紀・・ココで・・・やるか？」
「もちろんよ・・そう思って着いて来たんだから。」
美紀は、康平の股間を握って上下に摩り始めた。
康平は、美紀のスカートをたくし上げた。
黒のガーターと同じく刺繍が入った黒ショーツがやけに眩しく映る。
康平はショーツの上から亀裂に指を当てた。
康平は美紀を引き寄せ椅子に座ると美紀を膝の上に乗せる。
美紀は康平の首に腕を回し康平の口を弄った。
美紀の舌が康平の口の中で滑らかに動く。
康平はショーツの横から指を入れて蜜壷を愛撫していた。
我慢できなくなったのか美紀は康平の膝の上から降りると膝まづいて康平のベルトを外し肉棒を手にとる。
美紀は康平を見つめながら、ゆっくりと口を被せていった。
舌を丹念に絡める美紀・・・
そして康平の肉棒を責めながら起用に片手でショーツを脱ぎ始めた。
ショーツを片足に入れたまま康平に跨る美紀・・・
康平は美紀の尻の肉を軽く掴み前後に動かし始めた。
美紀の蜜壷からは、直ぐに卑猥な音が流れ出す。
康平が指で美紀の菊門を軽く押すと蜜壷が微妙な動きをしながら締まりだした。
「ゥゥーン、ァァァーー・・・オァァァー・・・」
康平は美紀の身体を入れ替え前に向かせる。
そのまま立ち上がり美紀を棚に掴ませると腰の動きを早めていった。
「ァン、、ウッ・・アァァァー・・ァゥ、ァァァー・・」
美紀が、必死に棚にしがみ付いている。
康平の肉棒は遠慮なく美紀の蜜壷の奥を打ち続けた。
康平は、美紀のブラウスのボタンを外し乳首を口で愛撫する。
硬く尖った美紀の乳首が更に固さを増していった・・・
「ぅぅー・・き・・・気持ちぃぃ・・・イィィー・・」
美紀が昇天が近い事を康平に促した。
康平は美紀をこちらに向かせると片足を持ち上げ再度挿入する。
下から強く突き上げていく康平・・
美紀は、康平にしがみ付き舌を入れてきた。
美紀の片足が震えてきた・・そろそろいきそうだ。
康平は美紀の片足を抱え込んだままスパートをかける。
美紀は声を極力押し殺して淫悦の絶叫を上げた。
「ングゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥー・・・カ・・チョ・・オォォォー」
康平も、美紀の中で爆発した。
美紀が、薄目を開けて康平の表情を窺う。
康平は最後の一滴まで美紀の中に放つと、ゆっくりと肉棒を抜いていった。
美紀の蜜壷から静かに康平の分身が流れ出す。
美紀は、ガーターにつかないようにしゃがみ込んだ。
そのまま、康平の肉棒を咥える美紀・・
「んー・・」
「美紀・・」
「・・・やっぱり、マズイ・・・。」
康平が笑いながら美紀に答えた。
「はは、確かに美味いもんじゃないかもな・・」
それでも美紀は康平の肉棒を離さない。
蜜壷からは、まだ康平の分身が流れている・・・。
美紀がやっと康平の肉棒を離した。
思い出したように康平に訴える美紀・・・
「あっ、課長・・ティッシュがないわ・・」
康平は、笑いながらハンカチを美紀に渡す。
「とりあえずトイレまでこれを当てていけよ。」
「すいません課長。」
美紀はハンカチを股間にあてショーツを穿いた。
そして、冗談っぽく喋りだした。
「あぁー、気持ちよかったゎ。私、もう課長とじゃないとイカないかも・・。でも、こういう場所って興奮するわ。」
康平は美紀のおどけた態度と物怖じしない性格が好きだった。
ＳＥＸに関しても結構、積極的な感じもする。
「次は、もっと凄い事をしようか？」
「期待してますゎ・・カ・チ・ョ・ウ」
康平と美紀は資料室を出た。
美紀は、康平にウィンクをして総務課に戻っていった。
（さてと、夜のシナリオでも練るか。）
／／／／／
− １７：３０ −
康平は、愛子に電話をしアルルの近くにある小料理店で待つように伝えると定時に退社し車を走らせた。
康平は先日と同じ駐車場に車を止め愛子の待つ小料理店に向かう。
店に入ると既に愛子が、待っていた。
「よっ、お待たせ。」
「私も、今来た所なの。」
「そうか。何か軽く食べていこう。」
「ええ。」
康平は、酒と料理を注文しアルルの回転時間まで暇を潰す事にした。
愛子がさっそく口を開く・・
「康平さん、今日ね・・・」
愛子は妙に意味ありげな笑みを見せている。
「どうした？」
「フフッ、アソコの毛をエステで・・・永久脱毛しちゃった・・」
「は・・何だって？・・思いきった事したな。もう生えてこないんだろう？」
「ええ、でも・・・・康平さんの為に・・嫌だった？」
「あ、いや・・プレーしやすいかも。」
愛子がクスクスと笑う。
「今日は、何やってくれるか楽しみだわ。」
康平は、はしゃぐ愛子に苦笑いした。
康平は愛子と喋りながら開店時間を待った。
なるべく早めに出て桑原と飯田を待たなくてはならない。
「愛子、そろそろ行こう。」
「ええ。」
康平は愛子を促しアルルに向かった。
二人はマンションのエレベーターに乗り部屋に向かった。
愛子は店内に入って驚いているようだ。
康平は、カードを見せ愛子と共に個室に入って変装をした。
愛子は、服を脱ぎ下着１枚になる。恥ずかしがると思ったが変装しているのか意外と大胆である。
康平は愛子の肩を抱きカウンター脇のソファに座った。
既に向かいのソファでは、男性が女性を跨がせている。
跨っている女性の菊門にはプラグが刺さっており紐が垂れていた。
愛子は、康平に寄り添い興奮状態である。
愛子も、それを見てＭ性が出たのか自らショーツを脱ぎ康平を見つめた。
康平は服を脱ぐと愛子を相手に見えるように跨がせる。
相手の男性も、それを見て女性の向きを康平たちの方へ向けた。
互いに肉棒が女性の蜜壷に埋まっている。
愛子と相手の女性は興奮気味だった。
相手の女性が康平の肉棒を見て男にせがんでいた。男性が康平に声を掛けてくる。
「どうですか？私たち夫婦と個室へ行ってプレーをしませんか？」
愛子は、興味深々だったが康平は丁重に断った。
「すいません。まだ、もう少しココにいます。」
「そうですか、残念だな・・。」
そのかわり康平は、向かいの夫婦に思いっきり性交を見せ付けた。
愛子も相当乗っているようだ。康平から降りると自分の蜜が付いている康平の肉棒をシャブリだし大きく足を開いて相手に見せ付けている。
更に菊門に刺さったプラグを抜いたり挿したりして挑発しているようだ。
（相変わらず愛子も見せたがりだな・・。）
知らず知らずの内に康平たちの周りに人だかりが出来ていた。
康平が、顔を上げると見覚えのある姿があった。
（ん！桑原・・・飯田夫婦もいるな。）
桑原と飯田らは、いつの間にか来ており康平たちのプレーを見ていたようだ。
一旦、康平がプレーを中止し店員に酒を注文する。
周りの客の数人が康平たちに複数プレーを申し込んできたが康平は丁寧に断った。
愛子が小声で康平に囁く。
「康平さん。私、凄い興奮してきちゃった。」
「そうか、今日は、ココで皆に見せ付けてやろう。」
愛子が恥ずかしげに頷いた。
個室に入ると桑原たちが店を出て行っても気付かない。
康平は、ここで桑原たちを見張る事にした。
桑原たちは個室に入ったようだ。しばらくは出てこないだろう。
康平は、酒を一口飲むと愛子とプレーを再開した。
ソファには新たに３組のカップルがいた。
皆、なかなか躊躇してプレーが始まらないようだ。
康平は、他の客に股間が見えるよう愛子を絨毯に四つん這いにさせた。
愛子が下から康平を見つめている。
康平は愛子に刺さった菊門のプラグをゆっくり抜いた。
大きく広がった菊門がゆっくりと閉じていく。
他のカップルの男性客が自ら肉棒を握り締めていた。
康平がテーブルの上のビニールに包まれたバイブを取り出しローションをバイブに垂らすと康平は愛子の口に肉棒を入れ濡れたバイブを背中の上から手を回し愛子の菊門に挿入する。
愛子が悶えながら大きな音を立て康平の肉棒に貪り付いた。
女性たちも手が自然と股間に移動し秘部を愛撫しているようだ。
康平たちのプレーを見て火が付いたのか他のカップルもプレーが始まる。
全員の女性が、下半身が見えるように、こちらに向けていた。
既に蜜壷から淫汁を垂らしている女性もいた。
女性の淫声や肉棒を啜る音が店内の音楽に混じって鳴り響いている。
男性達は、興奮に耐えられないのか、直ぐに果ててしまう者もいた。
しかし全員の男性が果てても康平たちは、まだプレーが続く。
女性客は、康平のタフさに眼を丸くし羨ましがっているようだ。
康平は、愛子を他の客達の方に向かせて跨がせるとフィニッシュに入る。
後ろから愛子の乳首を引っ張り激しく突き上げる康平に愛子は身体を震わせた。
愛子の陰唇が康平の太い肉棒で出たり入ったりしているのをみて女性客たちから溜息が漏れた。
興奮しバイブで出し入れしている女性もいる。
愛子は蜜壷を左右に開き、わざと結合部が見えやすいようにしている。
愛子も、かなり興奮状態だった。
「ぁぁ・・康平さん出して・・もう・・死にそう・・・」
「ああ、わかった。」
康平が、ピッチを上げ、思いっきり下から突き上げると愛子の中に放出した。
愛子は、低く、くぐもった声で果てると康平に背中からもたれ掛かる。
康平はゆっくりと肉棒を抜くと愛子の亀裂を左右に広げ
蜜壷の中から分身が流れ出すのを他のカップルに見せ付けた。
男性客たちが唸った。
康平たちのプレーが終わると皆が一斉に康平たちに声を掛けてきた。
是非、一緒に複数プレーをしたいという依頼ばかりだ。
康平は、笑いながら、そこにいたカップル達と話を始めていた。
一人の男性が康平に問い掛ける。
「もしよければ連絡先か、ここへ来る日を教えて頂けませんか？ うちの妻が是非、貴方に責められたいと言ってるんです。」
女性達は、康平の肉棒を見たままだ。
「は、はぁ・・」
康平は答えに困っている。
愛子は、康平のパートナーである優越感からか康平の肉棒を握りながら女性達と会話を続けている。
一人の男性が康平に質問をしてきた。
「彼女は奥さんなんですか？」
愛子が変わりに答える。
「いいえ。彼の奴隷なの・・・」
康平は心の中で爆笑していた。
（愛子の奴、なりきってやがる・・。）
反対に女性客が愛子に質問をしてくる。
「やっぱり中に出してもらうと気持ちいいでしょ。」
「熱くて最高よ。私たちの様なＭ女はこれがないと・・ね。」
「でも、妊娠が怖くない？」
「フフッ・・彼はパイプカットしてるの。だから安心なの。」
他の女性達が愛子の言葉で一斉に康平を見た。
康平はバツが悪そうに苦笑いをしながら煙草に火をつけた。
質問した女性が主人であろう男に迫っている。
「ねぇ、あなた、、あの方にプレー申し込んでよ。」
康平は、とても会話に絶えられずトイレに立った。
トイレで用を済ましてソファに帰ろうとしたとき一番奥の個室から桑原たちが出てきた。康平は急いで愛子を呼び店を出る事を伝えた。
「えぇー、康平さん・・もう帰るんですか？」
「愛子っ、すまん。訳はあとで話す。」
一緒にいた他のカップルたちも康平たちを引き止める。
康平は、また愛子を連れて来る事を告げ更衣室に入った。
愛子は康平の顔つきが変化した事に首をかしげながら服を着た。
康平が部屋を出ようとした時、もう一度、桑原たちを確認した。
カウンターに座ってなにやら話している様だ。
康平と愛子はマンションを出た。
「どうしたの？康平さん。」
「あぁ、実はな。」
康平が、愛子にアルルに来た本当のことを説明した。
「えぇー・・・そうだったの。」
「すまん。でも愛子と、ここへ来たかったのは本当だ。」
「ううん、楽しかったわ。また来てみたい。」
「ああ、ゆっくりとな。約束するよ。」
愛子は満足げに康平に微笑んだ。
「嬉しい。」
「車を取ってくるよ。」
「ええ。」
康平は駐車場に車を取りに行った。
車を駐車場から出すと路上の脇に駐車し愛子に車に乗るように告げる。
「愛子、送っていくから車の中で待っててくれ。」
「はい。」
愛子が助手席に乗り込んできた。
康平は、桑原と飯田夫妻が出てくるのを待った。
しばらく愛子と話をして暇を潰していたが４０分ほどして、まず桑原が出てきた。
（ヨシッ、出てきたな。）
康平は、バッグを持って車から降り偶然を装い桑原に近づいた。
桑原が自分に近づく康平を見た。
「桑原常務」
桑原はビックリしたように康平を見た。
「あ、荒尾君か・・・」
「常務、変わったところから出てきましたね。」
「ぅ・・・えっ・な・・・ああ、こ、これは・・」
「東洋鋼産業の飯田さんの奥さんはどうでしたか？」
「！・・・・・」
「しかし、困りますね。幹部と有ろうお方が超シークレットデータを漏洩しては。」
「・・く・・な、何を言ってるんだ君は。」
「隠さなくて結構です。先日、山口慶子から全て聞き出しました。」
「な、何ぃっ・・・・アイツは・・・どこだ・・」
康平は桑原の質問を無視した。
桑原は、額に汗をかいている。足もガクガク震えだしていた。
康平は、バッグからレコーダーを取り出し慶子が話した録音内容を桑原に全て聞かせ、更に慶子のマンションから持ってきたパソコンを見せる。
「残念ながら桑原常務の野望は崩れてしまいましたね。」
桑原は、康平の手を取り必死の形相で話し掛けてくる。
「あ、荒尾君・・・と、取引をしないか・・・頼む。」
「常務、往生際が悪いですよ。」
アルルから飯田夫妻も出てきたようだ。
康平と桑原に気付き、こちらに歩いてきた。
「桑原さん、まだ居たのかね？・・ん、誰かね、その人は？」
桑原は下を向いて黙っていた。
康平が、飯田に喋り掛けた。
「東洋鋼産業の飯田専務ですね。始めまして。私、太平洋製鉄の荒尾と申します。」
飯田は顔色を変えた。桑原に問い掛ける。
「桑原君・・ど、どういう事だね。」
「飯田さん、今回の漏洩の件を全て掴ませて頂きました。そして、そちらの会社の技術部のサーバーにうちの漏洩したデータを隠してる事もわかりました。当然、飯田さんにデータを送ったという証拠も掴んでいます。」
康平は、慶子のパソコンを見せ全ての内容を飯田に説明した。
飯田は見る見る顔色が蒼ざめていく。
「き、君は、それを・・どうするつもりだ。」
「ま、うちの社長を通じてお宅の会社に報告せざるを得ないでしょう」
「ま、待ってくれ！・・頼む・・私の話を・・」
康平は手を上げて飯田を静止した。
「飯田さんが、謝罪しなくても、お宅の社長をはじめ幹部一同が、それなりの謝罪は、我社にしてくれると思います。最終的には取引で、漏洩を公にしない事を条件にお宅の会社は我社と吸収合併という可能性も出て来るかもしれませんね。」
康平は嫌味たっぷりに薄笑いを浮かべて飯田に言い放つ。
飯田は、足がふらつき倒れそうになった。
「と、取引してくれ・・頼むっ・・金はいくらでも出す。頼むぅぅ！」
康平は無視して歩き出した。
飯田の女房が、康平にしがみつく。
「お、御願いします。な、何とか・・主人を・・」
康平は祈願する飯田の妻に言い放つ。
「奥さんも企業人の妻なら、これが、どれくらい大きな問題かわかるでしょう。」
「ああ・・お、おねがいしますぅ・・」
「奥さん・・貴女のご主人も企業戦士なんですよ。散り際を見届けなさい。」
そう言って康平は、縋る飯田の妻を静かに払いのけ車に戻った。
愛子が康平に話し掛ける。
「もう、終わったの？」
「ああ、簡単なもんさ。・・・さて、さっきのお詫びにホテルでも行くか？」
「えぇー・・本当ですか。」
「ああ、失神するまでやってやるよ。」
愛子が、嬉しそうに康平に寄り添い下半身にひれ伏す。
康平は車のアクセルを噴かした。
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