第一章

（４）

「じゃ行ってくる。留守中頼むぞ。」
「ええ、気をつけてね。」
「ああ。たぶん込み入って電話も出来ないかもしれないが心配するな。」
「うん、わかった」
「ま、２日間ゆっくりと羽でも伸ばしとけよ。」
　康平は笑いながら、そう言うと空港のロビーに向かった。
　礼子は軽く手を振りながら康平の姿が見えなくなるまで眺めていた。

（さぁーて、どうしよう暇だなぁ。家に帰っても誰も居ないし・・）
　礼子は今日一日をどうやって過そうか考えた。
（久しぶりに街でもブラブラしようかな）
　とりあえず礼子は会社のある駅前のほうに車を走らせた。

　近くのパーキングエリアに駐車すると、ひとまず喫茶店に入り今日の行動を考えることにした。
（・・洒落たお店ねぇ）
　２年前に開店した店なのだが礼子は、ここに来るのは初めてだった。
　店内は広く観葉植物をメインにした落ち着いた喫茶店だ。
　礼子は窓際の席につくとバッグから読みかけの小説を取り出しページをめくる。

　しばらくして店員が近づいてきた。
「いらっしゃいませ。」
「ミルクティーを下さい。」
「モーニングは？」
「いえ、結構です。」
「では、お待ちください。」
　注文が出されると礼子は小説に集中していた。

　２０分位経った頃だろうか礼子を呼ぶ声が後ろから聞こえた。
「荒尾君。」
　礼子が声のほうを振り向くと山岸がレジに立っていた。
「あっ、課長」
　山岸は礼子の勤めるＩＫ観光広報部の上司である。
　山岸は礼子の席に近づいてきた。
「どうしたんだい。こんな朝早くに。一人なのかい？」
「ええ、主人の同僚の奥さんが亡くなって葬儀の手伝いで福岡まで行ったものですから空港まで送っていったんです。」
「そうか。・・・ご主人も大変だね。」
「・・課長も、こんな早くに・・どこかお出かけですか？」
「私は、休みはいつも、この喫茶店に来るんだよ。」
「そうなんですか。」
「で、荒尾君は、家に帰らないのかい？」
「ええ、子供もスキー合宿で居ないし、たまにはブラつこうと思って・・。」
　山岸は少々考える仕草をした後に礼子に話し掛けた。
「荒尾君、もし暇だったら、私と付き合わないか？」
「エッ、付き合うって・・？」
「はは、勘ぐらなくていいよ。私も暇なんだ。一緒に映画なんてどうかなと思って。」
　礼子は一瞬戸惑いを感じたが、少々考えたあと山岸の誘いに承諾をした。
「わかりました。私も今日はすることがありませんし・・。」
「よし、そうと決まったら行こうか。」
　山岸はそう言うとテーブルのレシートを取り礼子とレジに向かった。
　映画館は喫茶店前の道路を挟んですぐのところにある。
　二人は地下道を歩いて映画館に向かった。

「映画なんて久しぶりです。」
「そうだなー、そういえば私も最近見てないよ。」
　二人は映画館に着くと紹介ボードを見ながら上映を選んでいる。
「荒尾君はどういう映画が好きなんだい？」
「特に好きというのは・・・お任せします。」
「んー、じゃ、これにしよう。」
　山岸はチケットを２枚買い礼子とホールに入っていった。
「ここの席にしよう。」
　山岸と礼子は中ほどの通路側の席に座った。
　礼子は映画のパンフレットを見ている。
　久しぶりに見る映画に康平と昔よく行った事を思い出していた。

「おっ、始まるぞ。」
「ええ。」
　映画はミステリー映画で新米女性捜査官が難解事件を解決していくという内容だった。山岸も礼子も集中して最後まで観賞した。

・・・・・
「いやぁー、なかなか面白い映画だったよ。」
「そうですね。あの女性も格好良かったわ。」
　地下道を歩きながら山岸と礼子は映画のことを喋りあっていた。
「荒尾君、まだいいかい？」
「エッ？」
「良かったら食事でもどうだい。ご馳走するよ。」
「ええ、でも・・・。」
「いや、無理にとは言わないが。」
　礼子は、どうせ家に帰ってもすることはないし、先回、山岸の誘いを断った詫びも兼ねて承諾することにした。
「じゃ、お言葉に甘えて・・。」
「そう、嬉しいよ。ちょっとドライブがてら車で遠乗りして湖畔近くのレストランに行かないか？すぐそこに車を止めてるんだ」
「ええ、おまかせします。」
「じゃ、行こうか。」
　二人は山岸の車を止めてあるパーキングまで歩いていった。
「ここだよ。」
（えっ、私と一緒の駐車場だわ。）
　偶然にも礼子は山岸と同じパーキングに駐車していた。
　グレーのＢＭＷが山岸の車だった。
　山岸は助手席のドアを開け礼子に促す。
　礼子は山岸の車に乗り込んだ。

　高速道路に入るまで二人は無言だった。
　先に話し掛けたのは礼子だった。
「そういえば課長、ご家族はいいんですか？」
「家内は、昨日から娘と京都に旅行に出掛けたよ。」
「ふふ、課長ひとり、おいてけぼりですか。」
「ハハハッ、まぁ、そんなとこさ。」
　二人は１時間ほど会話を交わしながらドライブを楽しんでいた。
　話の面白さと車内の心地よさが、康平に対する後ろめたさを薄れさせていく。
「さぁ、着いたよ。」
「凄い綺麗な所・・。」
　湖に面した丘地には自然な樹木や花木が彩っている。
　その一角にパステル調のレストランがあった。
　二人は、そのレストランに入っていった。

「綺麗なレストランですね。」
「気に入ったかい。たまに一人で来るんだよ。」
「課長って意外とロマンチストなんですね。」
「おい、おい、意外って・・失礼だぞ。」
　山岸は笑いながら礼子に呟いた。
　礼子もペロっと舌を出しおどけて見せた。

　席に案内され二人は向かい合って座った。
　山岸が手際よく注文をし、しばらくして料理が運ばれてきた。
　お酒も高級そうなワインで、ワイン好きの礼子は非常に満足な様子であった。
　二人は色々な話をしながら食事を楽しんでいた。
　礼子もホロ酔い気分になり、かなり慣れいそしんだ会話になっていく。
　そして山岸に対する防御も解いていった。
　デザートも食べ終わり山岸は礼子を湖畔脇の小道に誘った。

　礼子は、山岸に寄り添い周りの景色を楽しみながら会話を続けている。
　山岸は礼子の肩に手を掛けた。
　礼子は一瞬、身を解こうとしたが何故か体が反応しなかった。
「いきなりでビックリしたかい？」
　山岸は微笑みながら礼子に喋りかけた。
「え、ええ、ちょっと。」
　礼子は頬を染めながら返答した。
　少し歩いただろうか・・奥行った人影がなくなる場所に来た時突然、山岸はスキを見て礼子にキスをした。
「ゥッ、、か、課長」
　礼子はビックリして身体を離した。
「す、すまん、荒尾君。」
　しかし礼子は、・・・心の奥で期待してたのかもしれない自分が恥ずかしかった。
「怒ったかい？」
「え、・・・い、いえ・・。」
「すまなかった。私は君を好いているんだ。つい・・・」
　礼子はうすうす山岸の思いは気づいていた。
　礼子自身も山岸を嫌いではない。
　しかし同じ職場の上司に対し一線をこえることがないように壁を作っていたのも事実だ。
　いま、その壁が崩れるのではないかと言う思いが礼子の心のどこかに潜んでいるのを感じていた。

「さぁ、荒尾君、帰ろうか。」
「あっ、はい。」
　帰りの車内で、しばらく二人は無言だった。
　夕方も７時を過ぎただろうかそろそろパーキングに着こうとした時、山岸が礼子に話し掛けた。
「荒尾君、今日は無理やり誘ってすまない事をしたね。」
「いえ、とんでもありません。本当・・・楽しかったです。」
「そう言ってもらえると私もホッとするよ。」
「さっきの場所でいいかい？」
「ええ、お願いします。」
　山岸は車が先ほどのパーキングのところに車を止めた。
　山岸は車から降り助手席のドアを開けた。
「す、すいません。」
　礼子は山岸の紳士的な行動に照れていた。
　山岸は礼子が車から降りるのをまった。
「有難うございます。」
「じゃ、私はここで。」
　山岸が礼子に言葉を掛け車に乗り込もうとしたとき礼子が山岸を呼び止めた。
「課長」
「ん。」
「あの、・・よろしかったら夕食・・一緒にどうですか？」
（やだっ、なに言ってんだろう私・・）
　礼子は、食事くらいなら・・と、つい誘いを出したが心の奥では、山岸となら・・・・・・一線を超えてもいいと言う誘惑に心が踊らされていた。
「・・あ、ああ、もちろんいいよ。」
　山岸は車を急いでロックして再び礼子と歩き始めた。
　二人はホテルの駅裏にある２０階建ての最上階のレストランに入った。
　食事をしながら礼子が山岸に話し掛けた。
「あの、課長・・私、変な意味では・・。」
「荒尾君、解ってるよ。・・君は優しいんだな。」
「えっ？」
「いや、今度、会社に行った時に私に気まずい思いをさせまい・・と思ってのことだろ。」
「ち、違います。私、、別に・・そんな・・。」
「いや、いいんだ。有難う。」
　それをきっかけに二人は普通の会話に戻り食事が終わった後も１８階にあるカウンターバーで酒を共にしていた。
「ところで荒尾君、時間はいいのかい？」
　時計は１０時を回っていたが、礼子は、酔いも手伝ってか気分も良く久々に味わう独身時代のような雰囲気が心地良かったのだ。
「ええ、大丈夫です。どうせ家に帰っても今日は一人ですし。」
「じゃ、店を変えようか？」
「ええ、あっ、はい。」
　礼子と山岸は店をエレベーターに向かった。
　少々、酔いが強くなってきた礼子は山岸の腕を掴み身体を預けた。
「おい、おい荒尾君、大丈夫かい。」
「大丈夫です。課長」
　山岸は礼子を抱きながらと、エレベーターに乗り込んだ。
　山岸の肩に額をつけていた礼子は、遂に大胆な言葉を発した。
「課長・・・」
「ん？」
「・・あ、　　　あの・・私を・・・だ、抱いてください。」
　山岸は驚いた。
　今日、礼子と一日を共にし、礼子の気持や態度で自分の気持を切り替えようと決意をした山岸だったが、今の礼子の言葉で山岸の男としての気持が沸騰してきたのだ。
　山岸は礼子を無言で強く抱きしめエレベーターのボタンを押した。

（５）

　〜ホテルの１室

　礼子は山岸と裸で熱いキスを交わしていた。
「荒尾君・・素敵だ」
「課長・・礼子って呼んで・・・。」
　二人は舌と舌を絡ませ、熱い抱擁を続けている。
　礼子は夢遊病者のように、我を忘れて一匹の雄を求めている雌のようであった。
「課長、私、本当は物凄いＨなの。」
「・・・」
「ＳＥＸが大好きなの。」
「よく浮気するのかい？」
「ううん、課長が始めてよ・・。」
「ご主人にバレないかい？」
「わからない。でも今は関係ないわ。でも・・・・」
「でも？」
「たぶん・・・たぶんだけど　バレても怒らないと思う・・・・。」
「・・・？」
「私ね、結婚するまではＳＥＸにあまり興味がなかったの。というか快感っていうのがよく理解できなかった。でも主人に色々なことを教えられてから人生が変わったって感じ。」
「・・、たとえばご主人とは、どういうＳＥＸを？」
「アブノーマルから、ＳＭ、普通の女性がやらないことは全てよ。」
　礼子は、照れることなく山岸に語った。
「・・・そんな風には見えないな。」
「主人も私もＳＥＸのために避妊手術したくらいですもの」
「ほ、本当に？」
「ええ、ＳＥＸは私たち夫婦の愛欲の糧よ。。」
　礼子は笑いながら答えた。
　山岸は礼子を抱きしめながら、つくづく良い女だと思っていた。
「ご主人とは上手くいってるんだろ？」
「もちろんよ。愛してるのは彼だけ。優しいし・・彼以外には考えられないわ、フフ。」「じゃ、何故、私と・・？」
「言ったでしょ。Ｈ好きだって」
「んーっ、君って人が解らなくなってきた。」
　礼子は、それ以上語りたくなかった。
「気持ちよくさせてア・ゲ・ル」
　礼子は下にもぐり山岸のモノを口に含んだ。
　山岸は礼子の舌技に驚嘆していた。
「ングッ、クチュ、ジュッ・・」
　礼子のフェラチオの技は凄かった。
　山岸は我慢できなくなり礼子を仰向けにし胸に吸い付いた。
「ァ、ァー、、課長ぉー、、」
「ン、ン、、、入れてぇ、ここに入れてぇー」
　山岸は礼子の淫らな言動に一層下半身の怒張を刺激される。
　そして礼子の蜜壷に舌を這わせた。
「ァァァァーー、・・・ィィ、ィィヮー」
　山岸は礼子の突起した部分を強く吸った。
　礼子の壷からは大量の愛液が溢れだしている。
「礼子君、凄い、凄すぎる・・・」
「ウッ、ウッ・・・ァァー、、課長、素敵・・・」
　山岸は限界を感じ欲棒を挿入した。
「ゥアァァー、・・・う・動かして・・」
「もっと、、もっと強くぅぅー」
　山岸は、もはや抑えきれる状態ではない。
「もう駄目だ。礼子君、、、いきそうだー」
「ぁ、ぁー、、来て、課長キテェェー」
　山岸は礼子の中で一気に爆発した。
「あぁぁーー、イイ、イイィィー、」
　今まで経験したことないような快感を感じた山岸はこんな淫艶で感度のいい礼子を離したくないと思っていた。

　事を終えた二人はベッドの上で抱き合っていた。
　礼子は山岸の胸に身体を預けている。
　山岸は礼子の腰を後ろから引き寄せながら話し掛けた。
「荒尾君、こんな時に・・言うのもなんだが・・」
「ん、何ですか？」
「私と、たまに関係してくれないか？」
「・・・・」
　礼子は返答できずにいた。
　確かにＳＥＸを堪能したい。・・・それは正直な気持だ。
　しかし本当に康平に対する気持が癒えないだろうか・・？
　いや、康平と別れるつもりなど毛頭ない・・。別れたくない。
　でも、他の男に抱かれたいと思う気持は確かに礼子の中に存在していた。
　それは異常なのだろうか・・。いま礼子は、その疑問を模索中なのだ。

　最近の、康平の言動から、そういう雰囲気は感じている。
　むしろ、それを勧められている感じさへある。
　以前からＳＷクラブでのプレーも二人とも興奮していたし満足しあった。
　しかし、それはあくまで康平も同伴しているという前提があったからだ。

　今日は礼子の始めての浮気ということになる。
　ある意味、康平が言っていた二人の快楽を得るための手段としてならお互い性の究極を探るのならもう一度、康平に正直な気持を確認しておきたいと思った。
「課長・・私、即答できません。」
「・・・・」
「正直、課長が好きです。でも仕事でも一緒ですし会社にばれると・・。いえ仮に私はいいとしても、課長の家族が・・。」
　山岸は一瞬ためらったが礼子に答えた。
「荒尾君、それなりの覚悟を私が持ったとしたら？」
「え・・？」
　礼子は困惑した。
　今は、そんな事を考えたくない。
　礼子にとっては、まさに今なのだ。
「課長、先は長いです。答えは今後の私の行動で察してください。」
　山岸は礼子の大人の女性としてのスマートな言葉に感嘆していた。
「ああ、解った。よく解ったよ。」
　山岸は礼子を再び抱きしめた。
　礼子も山岸の胸に唇を這わせる。
　今日の夜は二人にとってやけに長くそして甘美な一夜となった。

　翌朝、礼子は早めにベッドから出て化粧を直した。
　後から起きた山岸も身支度を簡単に済ませると二人は１階ロビー隣のレストランで朝食を済ませホテルを出た。山岸は礼子と駐車場まで歩いていく。
「それでは課長、失礼します。」
「ああ、気をつけて。とても素敵だったよ。」
「私も・・です。」
「本当に送っていかなくていいのかい？」
　礼子は微笑みながら山岸に答えた。
「実は私も、この駐車場に車を止めてあるんです。」
「そうだったのか。」
　山岸はそう言うと礼子に軽く手を上げ出口に車を走らせて言った。
　礼子は止めてある自分の車に歩いていった。
　ふと、康平の顔が頭を過ぎる。
（康平・・・・）
　礼子は頭を振り車に乗り込んだ。

　礼子は帰宅すると下着を取り替えシャワーを浴びた。
　一連の家事を済ませ夕食の準備に取り掛かかる。
　支度を終えたときに子供も幼稚園のバスで帰ってきた。

「荒尾さん、亜美ちゃんを送ってきましたー。」
「ママ、ただいま。」
「お帰りぃーー、どう楽しかった？」
「うん。とっても。」
「先生、お疲れ様でした。小さい子ばかりで大変でしたでしょ？」
「いえ、仕事ですし。では、まだ他の子供たちを送りますのでこれで失礼します。」
「有難うございました。」
「亜美、疲れたでしょ。」
「ううん、全然。」
「今度、冬休みになったらお婆ちゃんの所へ行くでしょ。お婆ちゃんの方は雪国だから、もっとスキーが出来るわよ。」
　礼子は６歳になる娘のスキーでの出来事を楽しく聞いていた。

（トゥルル・・・）
「もしもし、、荒尾です。」
「あっ、康平、、そう分かったわ。じゃ今から行くわ。」
「亜美、パパを迎えに行くから一緒においで。」
「はぁーい」
　礼子は娘の亜美を連れ空港まで康平を迎えに行った。

　空港に着くと康平がロータリーの手前で待っていた。
「あなた、ここよー。」
　礼子が手を振ると康平も気づきこちらに歩いてきた。
「お帰りなさい。」
「ああ、ただいま。疲れたよ。」
「パパ、おかえり。」
「おっ、亜美も来たのか。スキーはどうだった？」
「面白かったよ。」
「そうか、そりゃ良かった。」
「礼子、留守中何もなかったか？」
「え、ええ。」
　礼子は、康平の言葉で瞬間的に山岸との事が回想された。
「さ、家帰って飯食おう。早く飲みたいよ。」

　帰宅後、康平は家族で楽しく食事をとり夜を過ごした。
「さ、亜美、パパと風呂に入ろうか？」
「うん。」
　礼子は、今回の山岸との出来事を打ち明けようか迷っていた。
　隠し事が嫌いな礼子だが事が事だけに、そう簡単に言い出せる問題ではない。
　なかなか康平に打ち明けるキッカケが掴めなかった。

　浴室から康平が礼子を呼んだ。
「おーい礼子、亜美が出るから頼むぞ。」
「はーい。」

　康平は風呂から上がると冷蔵庫からビールを取り出し喉に流し込んだ。
「ふーっ、美味いっ！」
「康平、まだ飲むの？あまり飲みすぎないでね。」
　そう言うと礼子は娘を寝かすため子供部屋に向かった。
　康平は寝室に移りベッドに横になる。かなり福岡での疲れが溜まっていた。
「康平、、？」
　礼子が亜美を寝かせつけ戻ってくると康平は、早くも眠りについている。
　結局、礼子は、今日は言えずじまいだった。