（６４）

「局長、おはようございます。」
　東堂と黒田が手伝いのため康平の家を訪れた。。
「おう、すまんな。今、遠藤が２階を片付けてくれてるんだ。」
「そうですか。じゃ我々は大物をトラックに積みましょう。」
「悪いな、業者に頼めば簡単なんだが・・」
「いえ、元はと言えば我々が手伝いに行くと言ったんですから。」
「そうですよ。東堂が局長の奥さんと飲みたいって言うし。」
「何を言うんだ。お前こそ楽しみにしてたくせに。」
　康平は笑いながら二人を部屋に入れた。
「礼子っ！」
　玲子が奥から出てきた。黒田と東堂に挨拶をする。
「こんにちは。いつも主人がお世話になっています。今日は、すみません。」
「い、いえ・・こちらこそ。・・・局長・・綺麗な奥さんですねぇー。」
「先輩、うちの女房と替えてもらいたいです。」
　玲子が赤らんだ・・
「ははっ、お世辞はいいよ。じゃ、早速だが２階の和室を頼むよ。」
「わかりました。」
　その時、また玄関のベルが鳴った。
「局長、おはようございまぁーす。」
「おっ、玲子、例の二人組の女性係長のお出ましだ。」
　康平と玲子が玄関に向かう。

「よっ、上がってくれ」
　入ってきた二人に玲子が挨拶をする。
「こんにちは、始めまして。荒尾の家内です。　主人が公私ともにお世話になってます。」
　微笑んではいるが恥ずかしそうに喋る礼子に美紀と恵美子も顔を真っ赤にしながら礼子に挨拶を返す。
「あ・・あの・・いえ・・とんでもありません。」
「私たちの方こそ・・、面倒見て頂いて・・・」
　康平は笑いながら礼子たちのやり取りを見ていた。
「ま、上がってくれ。礼子、二人には台所を手伝ってもらうか？」
「ええ、女性に重たいものは持たせちゃ駄目よ。」
　美紀と恵美子が小声で喋りあっている。
「恵美子、やっぱり想像以上よ。私たちより若く見えるわ。」
「スタイルなんて、いいどころかモデルみたいよ。」
「おい、君たち何、言ってんだ？」
「い、いえ・・」
　美紀と恵美子が礼子の後を追って台所に向かう。

　礼子が、美紀と恵美子に話し掛けた。
「榊原さん、三林さん、康平が迷惑掛けてないですか？」
　美紀は、恐縮そうに答えた。
「と、とんでもないです。私たちの方こそ、わがままをいつも聞いてくださって・・。」「フフッ・・康平って超がつくＨでしょ。ごめんなさいね。」
　恵美子が恐る恐る礼子に質問した。
「あ、あの・・・奥様・・その・・・・」
　礼子は恵美子の聞きたいことを理解できたため即座に答える。
「三林さん、主人から聞いてます。４Ｐの事でしょ？」
　美紀と恵美子が赤面した。
「私もＯＫよ。でもビックリしたでしょ？　変な夫婦だって。」
「いえ・・その、局長と奥様の・・その・・愛っていうか・・・」
「ふふっ、今晩、いろいろとお話しましょう。それから奥様って言うのは勘弁して。私も榊原さんや三林さんとお友達になりたいわ。歳も近いって康平から聞いてるし。」
　二人は喜んだ。
「あの・・礼子さんって呼んでいいですか？」
「勿論よ。私も美紀さん、恵美子さんって呼ばしていただくわ。」
　３人は、食器をダンボールに詰め込み始めた。
　スムーズに事が運んでいき、あっという間に片付いていく・・。
　２階の男性陣も作業が進み、ほとんどトラックに詰め込みが終わったようだ。

「礼子。最初に家に入れるのは鏡と食器らしいから先に美紀君と恵美子君を連れて、向こうに行っててくれ。」
「うん、わかった。」

　康平たちもトラックにロープを掛け新家に向かう準備をした。
　トラックに乗り込む前に康平は、家に鍵を掛け表札を外す。
「さ、行こうか？」
　康平たちは、車を走らせ新家に向かう。
　同じ町内のため、５分も走らないうちに到着した。
　義兄の一男が、外に出て待っててくれた。
　トラックを誘導し康平に声を掛ける。
「康平君、ご苦労さん。玄関と庭は掃除しておいたから。」
「義兄さん、すいません。」
「康平君、先に昼にしよう。優子がにぎりめし作ってくれてあるんだ。」
「そうですか。じゃ、みんな、食べようか？」
　康平たち男性陣は庭で昼食を並べている女性陣の輪に入っていった。
　全員で昼食を摂り、しばらく休憩したあと早速、家具などの搬入を開始する。

　黒田と東堂が必死でベッドを運んでいた。
「き、局長・・・凄い大きいベッドですね・・・、」
「ああ、大きくないとな。」
　康平は意味ありげな笑いを浮かべながら言い放った。
　照れる二人は力が抜けていく・・・・
「おい、しっかり持てよ！」
　全ての家具を搬入し終えた時には夕方近くになっていた。
　礼子と姉の優子が料理を作り美紀と恵美子も手伝った。
「康平、御寿司を頼んでよ。」
「おお、そうだった。」
　里美と順子も新築祝いに駆けつけた。準備も整い全員が居間に集まる。
　康平が、労いながら皆に挨拶をした。
「今日は本当にありがとう。そしてお疲れさまでした。明日も休みだし、暇な方は朝まで飲んでいってください。」
　皆が一斉に乾杯をした。

　里美と順子が、久しぶりに会う康平に近づき、美紀と恵美子は礼子の話を聞こうとグラスを持って移動した。
　それぞれが、色々な話をしながら楽しんでいった。

　美紀と恵美子は、例の話の続きをしているようだ。
　恵美子が驚いて声を出す。
「えぇー、礼子さん・・上司とですか・・。？」
「ええ、でも会社だけ。どちらかと言うとスリルを味わうって言うのかな？」
　そこへ、祝いを持って駆けつけていた仁美も参加し始めた。
「美紀さん、恵美子さん。私の大学からの友人で仁美って言うの。」
「こんにちは。」
「始めまして。」
「彼女も康平のＨ相手なのよ。」
　美紀と恵美子が、また新たに驚く。
「今日は来てないけど康平の友人とダブルで４Ｐやった事があるのよ。」
「えぇー、うっそぉー！」
　際どい会話をしている礼子たちに康平も冷や冷やだった。
　将棋好きの一男が、これまた将棋好きの東堂と早速勝負を始めている。
「一男さん、何か賭けましょう。」
「むむっ・・女房賭けるかね？」
　一男が優子に叩かれていた。

　遠藤は、娘の亜美に捕まり絵本を読まされているようだ。
「亜美ちゃん、勘弁してよー・・」
「だめー、ぜんぶよんで。」

　黒田は、酔っ払って礼子の姉、優子を口説いていた。
「さすが局長の奥さんのお姉さんだけあって美人っすねー。是非・・是非、わたひと・・付き合ってくらはいです。」
「黒田さん、飲みすぎじゃないですかぁ？　舌が回っていませんよ。」

（やっぱり仲間っていうのはいいもんだ・・・・）

　恵美子が康平に寄って来る。
「局長、今、礼子さんに許可貰いましたよ。来週の土曜日に・・・。ふふっ。」
「何を？」
「何、言ってるんですか・・・４・Ｐ・ですよ。」
　康平が礼子と美紀のほうに顔を向けると礼子がウィンクしながら笑っている。
「ったく・・・。」　　　
「局長、嬉しいくせにッ・・。」
　康平がニヤけた顔で恵美子に言った。
「やっぱり・・・わかるか？」
　結局、最後は全員が下ネタ話に花が咲き、明け方まで騒ぎが続いた・・・・・