（１０５）

　康平は、李の件で知り得た南部通運、東州運輸、桜貿易、鹿島空輸４社の調査に取り組んでいた。
　４社とも太平洋グループと取り引き若しくは、関わりのある契約もあるからだ。

「局長、北原専務がお見えです。」
「ああ。入って頂いて・・・・」
　北原が、局長室に入ってきた。
「康平、どうだ進み具合は？」
「ええ、数年掛かりになると思います。」
「うむ、いずれもいっぱしの一流企業だ。お前らの調査内容を武器にせん事にはな。」
「ええ、しかし正直難しいですね。信用しないんですよ話を。」
「そうかもな。俺もお前に聞くまでは考えもしなかった事だから。」
「とにかく時間を掛けさせてください専務。」
「うむ、わかった。町田社長もお前に一任するといっていた。」
「はい。」
　
　康平は、センターで緊急会議を開き各社員に今後のセンターでの基本方針と業務内容を徹底させる指示を出した。
　企業人といえども政治や国がらみの重要任務があり、これからのセンターのあり方は、単に情報収集だけに止まらず全ての危機管理に関わる国家クラスの諜報的組織を築いていく事を全員に言い渡す。

　康平は、説明を終わると東堂、黒田を局長室に呼び任務分担の詳細を練り直すよう支持していた。
「ま、焦ってもロクな事がない。じっくりいこう。」
「はい。」
「ところで、局長、桜貿易ですがうちのセンターと同じ調査を専門とする情報部署を作ったようですよ。」
「ほーっ、そうか。」
「ちょいと調べたんですが例の吉池が絡んでいるようです。」
　康平が苦笑いをしながら答えた。
「吉池？　また厄介な事にならんといいがな。」
　黒田が東堂に横やりをさす。
「でも東堂、吉池は局長に恩義を感じてるんじゃないか？」
「そんな、玉じゃないさ。あの女は。」
　康平が呟く。
「ふっ、まぁいいじゃないか。それならそれで、また落としてやれば。」
「ええ、ただ彼女は会社相手というよりも局長に勝つのが目的みたいで。」
　康平は大笑いした。
「はははっ、東堂、どうだ、お前先手を打ってみるか・・・吉池に。」
「え、僕がですか？」
「ああ、お前も天下のセンター課長だぞ。」
　康平の持ち上げに東堂の顔に気合が入ってきた。
　おどけながら康平に言い放つ。
「局長、私の実力を見せましょう。１ヶ月下さい。彼女から桜貿易との関係を聞き出します。」
「おぅ、頑張れっ！　期待してるぞ。」
　康平も、たまには東堂と黒田に任せなければ二人の実力は上がっていかないと思ったのだ。
　東堂の鼻息が荒くなってきた。
　康平は、東堂のためにも最初は失敗も構わないという覚悟で任した。

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「帰ったぞー。」
「あら、最近早いわね。遊んでないの？」
「お前、普通そういうこと言うか旦那に・・・・。」
「フフッ、・・・・でも本当に早いじゃない。」
「まあな・・確かに最近ちょっと落ち着いてる。」
「美紀さんや恵美子さんとは？」
「ああ、恵美子はアメリカに出張してるし美紀は最近、水泳に通ってるってよ。」
「へぇー、残念ね。」
「・・・・礼子・・・お前何が言いたいんだ。」
　康平は礼子のスカートに手を入れて茶化した。
「キャァー、ごめんなさい・・止めてぇー・・くすぐったぁーぃ・・」

−　寝室　−

「・・ハァ・・アァァァー・・・こ・・康平・・・・ぅぅ・・気持ちいイィィー・・」
　康平は、仰向けになった礼子の上から強烈な杭を打ちつけていた。
「・・す・・凄い・・・康平、凄いぃぃぃぃぃー・・」
　礼子は、両足を康平の胴に絡めて悶えている・・・・・
「・・も、もう・・駄目っ・・・イ・・イク・・・・イクゥゥゥゥゥー」
　礼子は２度目の昇天を迎えた。
　ベッドのシーツは礼子の愛液で染みが大きく広がっている。
　イク瞬間、礼子の蜜壷が急激に締まり康平の肉棒を吸い込んでいった。
　康平も放出を余儀なくされ礼子の中に爆発をする。
「・・ぁぁ・・熱い・・・康平のが熱いぃぃぃー・・・ウゥゥゥゥゥー・・・」
　礼子の蜜壷の中は、収縮を繰り返していた。
　ゆっくりと康平の腰から足が離れグッタリとする礼子・・・

「・・・・康平・・・・・凄かったゎ・・」
「ふっ、お前もな。」
「あ、そういえば康平、来週から私、３日間、出張でいないからね。」
「そうか。管理職になってからの初出張だな。いいぞ暇だし。ところで何処に行くんだ。」
「沖縄なの。」
「ほぉー、いい所に行くな。」
「うちの会社と契約したいホテルが沖縄に新設されるの。その会議で。」
「ん？・・待てよ。沖縄・・？・・ひょっとしてリベラとか言う・・・」
「そうそう、知ってるの？」
「知ってるも何も太平洋が手掛けるリゾートホテルだよ。来春オープンの予定だぞ。施主は、英国の会社だ。」
「そ・・そうなの？」
「お前、それ位は予備知識で入れておかないと会議で恥かくぞ。」
　礼子は舌を出しながら畏まった。
「いいか、礼子、事前契約会議というのは物凄く大事なんだ。ＩＫ観光が他社と競う観光会社に主権を取られないために、お前のやってる情報開発課という部署があるんじゃないか。」
「・・・・そう・・・です。」
「ま、精々、必死で頑張るんだな。」
「・・つ、冷たい言い方ね、康平・・・」
「俺がアドバイスできるわけないだろう。俺は太平洋の人間だぞ。夫婦である事をいい事に肩入れしたと思われたらどうなる？」
「・・・そうよ・・・ね・・」
「ったく、のんきだな。任された以上は期待に応えんと。」
「・・・はい、頑張ります。」
「管理職なら、もうちょっと考えんとな・・・・・」
　康平はそう言いながら、ムスっとするの礼子の蜜壷に手を伸ばすと手の甲を摘まれて無視された。
（・・グッ・・怒りやがったな。）

（１０６）

　礼子は、昨夜の康平の言葉を思い出していた。

（いいか礼子、過剰宣伝でもいいから目立って来い。お前という人間を記憶に残させるんだ。まず、それからだ考えるのは。）

　礼子は、デスクで何度も康平のアドバイスを思い浮かべた。

（康平、ありがとう。やってみるわ・・・・とことん。）

　礼子は、総務部管理課長の里中に内線を入れた。
「もしもし、開発の荒尾ですけど。」
「あ、荒尾課長どうしたんですか？」
「ちょっと教えてほしいことがあって。いいですか？」
「ええ。」
「過去の顧客契約をホテルに依頼した書類を見せてくれないでしょうか？」
「ええ、構いませんよ。」
「ありがとうございます。今から伺ってよろしいですか。」
「ええ、いいですよ。」
　礼子は、急いで総務部に出向いた。

「すいません。荒尾です。」
「あ、そこに出しておいたのでご自由に。」
「すいません。」
　礼子は、分厚い書類に目を通し始めた。
　しかし、見方が全くわからない。
　契約書は解るが契約書面、確認事項等、経緯が把握できないでいた。
　管理課長が笑いながら礼子に近づいた。

「荒尾課長、見方がわからないでしょ。」
「え、ええ、どうやって見たらいいか・・・。」
「ひとり暇な人間をつけますので隣りの応接室でこき使ってください。」
「す、すいません。お忙しいのに。」
　課長の里中が、一人の若い男性を礼子に紹介した。
「まだ、去年入社したばかりの奴ですが出来る男ですので・・。」
「すいません。開発情報課の荒尾です。ご無理言ってごめんなさいね。」
「いえ、とんでもありません。南です。」
　里中が、南に書類を持たせて応接室で説明するよう促す。
　ソファに座った礼子が、再度、南に謝った。
「ごめんなさいね、南くん。お仕事があるのに。」
「いえ、結果的にＩＫの為ですから。それに荒尾課長なら僕の方が感激です。」
　礼子は、南の言動に赤面しながら微笑んだ。
「ま、ありがとう。・・・・じゃ、さっそく・・」
　礼子は、南に書類内容の説明を聞いた。
　丁寧に説明をはじめる南・・・・
　礼子の大人の色香と雰囲気に、内心興奮していた。
　時折、足を組み返す礼子のスカートの奥に自然と目が行ってしまう・・・
　礼子は、書類を注視し南の視線に気付かないでいた。
　メモを取る度に屈む礼子のブラウスの胸元からはイエローのブラジャーがチラチラ見える。
　南は生唾を飲み込みながら必死で興奮を隠していた・・・

　１時間ほど、説明を聞いただろうか、礼子もあまり南を引っ張ると迷惑が掛かると思い書類を借りる事にして礼を言う。
「南君、ありがとう。貴方の仕事もあるし後は何とか自分で見てみるわ。」
「あ、ああ、はい。また解らない事があったら遠慮なく聞いて下さい。」
「ありがとう。南君の説明解りやすくて助かったわ。」
　礼子は課長の里中に礼を言って総務部を後にした。
　礼子はデスクに戻ると里美と順子に協力を求めて３人がかりで履歴データを作成していった。
「ねえ、礼子。今度の会議は大事なの？」
「うん、そうねー、あくまで私達の仕事は情報集めなんだけど利益指針を出すのも目的だから会議なんかではＩＫを宣伝しないと駄目なのよね。」
「大変そうね。」
「康平は、目立つくらい目立ってＩＫを記憶に残させるだけでも良いって言うのよ。」
「そう、なんだか私達には、その趣旨が理解できないけど・・・。」
　３人は、適切にデータを解りやすくまとめていった。

　翌日も、翌々日も礼子は、書類に眼を通していく。
　解らない事があると、管理課の南に電話をして教えを請うた。
「んー、ちょっと、その意味が解らないわ。」
「荒尾課長、よろしければ昼休みにでも説明しますよ。」
「えっ、本当？　お願いできるかしら。あと少しなのよ。」
「ええ、構いません。」
「じゃ、第１応接室で待ってるわ。」
「はい。伺います。」
　礼子は電話を切ると一息ついた。

（南君にも面倒かけちゃって悪い気がするな・・・・）

　礼子は、いずれ南に借りを返さねばと思っていた。
　昼休みになり礼子は応接室に向かう。
　既に南は、待っていた。
「あら、早いわね。南君・・・・ゴメンネ、せっかくの昼休みに。」
「いえ、課長と一緒にいるだけでも感激ですから。」
「ま、上手い事言っちゃって。」
「いえ、本当の事ですよ。うちの社の連中は荒尾課長となら間違いを起こしてもいいと思ってる奴らばかりですから。」
「フフッ、大袈裟ね。」
　礼子は、南の言動をさほど気にしていなかったが、南にとっては遠まわしに礼子に対してモーションを掛けたつもりだった。
「んー、わかんない・・・どういう意味、南君。」
「要するにですね、ここの部分は年間の利用指数を示してるんです。」
　礼子が、南の指差す所を前から覗き込む。
　南は礼子の胸元から見える膨らみをまともに見てしまった。

（・・・今日は・・・課長・・紺色のブラか・・）

　南は股間に痺れを覚える・・・
　このまま、礼子を押し倒したい衝動に掻き立てられた。
「あ、あと、グラフの見方ですが・・・・」
「ちょ、ちょっとまって・・・」
　礼子は、必死でメモを取っていく。
　短い休み時間を思ってか乱筆になってしまう。
　その様子を見て南は、思い切って礼子に聞いてみる事にした。
「あ、あの・・課長・・よろしかったら勤務後に説明しても構いませんよ。」
「えぇ？」
　南は、てっきり断れると思ったが意外な答えが返ってきた。
「いいの？　南君・・助かるわ。会議も近いし。夕食おごるから頼めるかしら。」
「は、はい・・僕、超ぉーっ暇ですからっ！」
　礼子は、笑いながら南を見つめた。

（面白い子ね・・・・南君って。）