（１０７）

　就業時間を迎えた礼子は、受付を通りホールに出た。
　既に南は、ホールの外で待っていた。
「ごめんね。南君、無理言って。」
「いえ、とんでもないです。」
「とりあえず、ご飯を食べにいこうか？」
「はい。」
　喜ぶ南と礼子は駅前の寿司店に向かった。
　南は、礼子と歩く姿を他の男性社員に見せ付けるように優越感に浸りながら肩を並べる。
　時折、演技っぽく笑顔を見せながら、さも親しげであるかのように他愛もない事を礼子に喋りかけていた。

　偶然、その姿を山岸が見つけると慌てて声を掛ける。
「れぃ、、あ、・・と・・・・・荒尾課長っ。」
「あ、部長、ご苦労様でした。」
「ど、どこかに行くのかね。」
「ええ、彼とデートなんです。」
「ぇ・・で、デート？」
「フフッ、じゃ失礼します。」
　冗談で言ったつもりの礼子も山岸にとっては、そんな風に聞こえなかった。
　この間の件もあり気が気でなかったのだ。
　もはや山岸の心の中は、はちきれんばかりの状態だった。
　恨めしそうに礼子の後姿を見つめる山岸をよそ目に礼子は南と歩いていく・・・・・・

　店に入って既に１時間ほど経過した・・・
　礼子は、南と寿司をつまみながら説明を聞いている。
　頷きながら相槌を打つ礼子・・・
「なるほど、そういうことね。」
「課長、簡単でしょ。」
「うぅん、南君の説明が上手なのよ。ありがとう。なんだか自信がついたわ。」
「そう言っていただけると僕も嬉しいです。」
「ね、どんどん食べて。私のおごりだから。」
「はい。」
「他にも何か、お礼しないとね・・。」
　南は、必死の決意で礼子に希みをぶちまける。
「あ、あ・・・あの課長・・」
　礼子が南を見る。
「礼は結構ですから・・・い、い、い、今から、の、の、飲みに・・・い、い・・」
　礼子は、クスクスと笑いながら南に答えた。
「いいわよ。飲みに行くだけなら。」
「え、えぇぇー・・本当ですかぁ！！」
「ちょっと南君、声が大きいわよ。」
「す、すいません。」
「ちょっと待ってて。主人に電話するわ。」
　礼子は、席を立つと携帯から康平に電話をした。
［おう、ゆっくりして来い。さっき偶然、一男さんから電話があって焼肉やってるから来いって言われたんだ。］
「そうなの、わかった。なるべく早く帰るわね。」
［ああ。慌てなくていいぞ。］
　礼子は電話を切って席に戻ると南に確認した。
「南君、ＯＫよ・・・そのかわり飲むだけよ。」
「は、はい、勿論です。」
　
　礼子と南は、しばらくして寿司屋を出た。
　南は、普段自分がよく行くパブに礼子を連れて行った。
「課長、ここなんです。」
「へぇー、お洒落なお店ね。」
　南は、礼子とプライベートボックスに入った。
　すぐに店員が注文を聞きにボックスに入ってくる。
　礼子は、南に促されカクテルを注文し南はブランデーを頼んだ。
「課長と一緒に飲めるなんて夢のようですよ。」
「何言ってるのよ南君。私より若い子が一杯いるじゃない。」
「いえ、課長のようにオーラが掛かったような女性はなかなか・・・・」
「南君、それは、かなり大袈裟よ。」
　礼子はそう言いながらも悪い気はしなかった。
　二人は、自然に溶け込みあいプライベートの話題にまで入っていく。
「でも課長って本当に色っぽいっすねー。」
「そうかしら。」
「課長を誘ってくる人も多いんじゃないですか？」
「何言ってるのよ。南君もかなりの人気者じゃない。内の課の女の子達も貴方のファンは多いのよ。」
「・・・い、いや・・そうでもないっす。」
　礼子は、いつの間にかカクテルからワインに変えて既に半分を空けようとしていた。
　ほのかな酔いもあり気分も乗ってきている。
　トイレに立った礼子は、帰ってくると南の横に腰掛けた。
「南君、彼女いるの？」
「ええ、・・以前は・・・・今は、まだ・・・です。」
「そう、寂しいわね・・・・・」
「ええ・・・課長みたいな人がいたら直ぐにでも付き合うんですけど。」
「ま、上手い事言っちゃって・・。」
「でも、課長、僕は課長と部署は違ってもどんな事でも協力しますから。」
　礼子は、ふと康平の言葉を思い出した。

（自分の味方を、沢山作るのはセオリーさ。まず自社の人間を完全に自分の手中に収める事が先決だな。お前には素質がある。ただ躊躇している時間が長いんだ。失敗は誰でもある。それを怖がっていたら、いつまでたっても大きくなれないぞ。）

「課長、どうしたんですか？」
「え・・うぅん、何でも。」

（ちょっと康平が言ってる意味とは違うかもしれないけど、南君に私の情報網になってもらおうかな。優秀なうえに管理部は情報の宝庫って言われてるし。）

　礼子は、悪戯心に南を誘惑してみた。
　極自然に挑発し南の心理を見抜こうとした。
「ねぇ、暑くない・・南君」
「そうですか。」
　礼子は、ブラウスの上のボタンを外した。
　昼に見た礼子の紺色のブラジャーが上からよく確認できる。
　礼子は太腿を南に押し付けながら演技を開始した。
「あぁー・・ちょっと酔っちゃったかな・・」
「大丈夫ですか？」
「・・・・んー、このまま帰ると主人に怒られるし、どこかでシャワーを浴びてから帰るわ。そろそろ出ましょ、南君・・・」
「は、はい・・・」
　礼子は、がっかりとする南を見ながら席を立った。
　外に出た礼子は、周りを見渡しビジネスホテルを探した。

「南君、この辺でビジネスホテル知らない？」
「あ、ああ、、それならこの通り向かいに３、４件ありますよ。」
「そう、じゃ、私そこで少し酔いを覚ますわ。」
　そう言うと礼子は、横断歩道を渡ろうとした。
「課長ぉっ！まだ信号赤ですよ。」
　慌てて礼子を止める南・・・
　当然、礼子はわかっていての行動だ。
　しかし南は、このまま一人で礼子を歩かせるのは危険と思ったようだ。
「課長、そこまで一緒に行きますよ。」
「そぉう？　ゴメンネ、南君・・・・」
　礼子は、南に寄り添いながらホテルに向かった・・・・・・

（１０８）

「荒尾課長、ここでいいですか？」
　南は、一軒のビジネスホテルを指差して礼子に問い掛けた。
「ええ、ありがとう。助かったわ。」
　礼子は、南から離れてホテルに入っていく。
「課長、・・・・あ、あの・・・・」
「え、何？」
「シャワー浴びるまで外で待ってます。危ないから送っていきますよ。」
「えぇー、悪いからいいわよ。」
「いえ、大丈夫です。」
　礼子は、意外と真面目な南に好感を持った。
「南君、じゃ、一緒に部屋に入ったら。」
「え・・・・・？？」
「誤解しないで、シャワー浴びるまで部屋の中で待ってて。」
「は、はい。」
　礼子はフロントで部屋を取り鍵を受け取ると南とエレベーターに乗った。
　南が、ソワソワしているのがわかる。
　礼子は、南に声を掛けながら頬にキスをした。
　驚く南・・・
「あ、ごめん酔ってるわね、私。でも南君、今日はありがとう。本当に助かったわ。」
　そう言うと、止まったエレベーターから降り礼子は部屋に向かう。
　後を追う南・・・・・・南は胸が高鳴り苦しささへ感じていた。

　部屋に入ると、礼子はテーブルにバッグを置き薄手のジャケットを脱いだ。
「南君、覗いちゃ駄目よ。服を脱ぐから向こうを向いてて。」
　南は素直に壁のほうに向きを変えた。

　礼子は、ブラウスとスカートを脱ぎ下着姿になると浴室に入った。
　南がゆっくりと浴室のドアを見る。
　鍵を掛ける音が鳴り南は心臓が煽った。

　１５分ほど立ったろうか、シャワーが止まり鍵を開ける音が聞こえる。
　南は、身体全体に緊張が走った。
　バスタオルを巻いた礼子が浴室から出てくる。
　礼子は、クスクスと笑いながら壁を向く南を見た。
「か、か、課長・・・早く服を着て下さい。」
　礼子は、バスタオルを外し真っ裸で返答する。
「南君って意外と度胸ないのね。」
「え・え・・な・・っ・・」
「フフッ、鈍感ね、南君って・・・・。」
「・・・え・・どういう・・・」
「普通、こういう状況って・・・襲ってこない？」
　礼子の言葉に南の理性も吹っ飛んでしまった。
　多少の酔いもあったのかもしれないが南は振り向くと同時に礼子を抱きしめた。
「ちょ、ちょっと南君、痛いっ・・・・慌てないで。」
「か、課長・・・僕は・・」
「フフッ、わかったわ。南君もシャワーを浴びてきて。」
　南は、何度も首を振り服を脱ぎ始めた。
　急いで浴室に飛び込む南・・・
　礼子は、苦笑いをしながらベッドに横たわった。

　凄い速さでシャワーを浴びて出てきた南は、ベッドにいる礼子に覆い被さっていく。
　まだ、髪は濡れたままで慌てた様子を物語っていた。
「アン、南君、慌てないで・・」
　礼子は、今にも破裂しそうなほど怒張した南の肉棒を手の平で包んだ。
「か、課長・・・」
「南君、女性は優しくあつかうものよ。」
　そう言うと、礼子は南の肉棒にゆっくりと唇を被せていった。
　軽く舌で撫で上げた瞬間、南が爆発をする・・・
「・・ん？・・んんんんっ・・・？？？」
　礼子の口の中に南の分身が発射されていった・・・
　思わず口を離して南を見る礼子・・・
　キョトンとした礼子の驚きの目が笑いの目に変わっていく。
「南君、いくらなんでも数秒って・・・・・」
　南が赤面しながら蚊の鳴くような小声で礼子に謝った。
「す、すいません・・・課長・・・まさか課長に・・・・・・こんな事してもらえるなんて・・思わなかったので・・・・」
　礼子は、暫し沈黙の後、微笑みながら南に声を掛けた。
「南君、ひょっとして・・・・・・ま、いいわ。」
　礼子は、放出しても衰えていない南の肉棒を再度口に含んだ。
　ゆっくりと舌を絡めて南を痺れさせていく・・・
　南も辛抱できないのだろう、礼子を背中から押し倒した。
「南君も口でお願い。」
　礼子は、そういうと膝を立てて足を開いた。
　南は、礼子の膝を更に開きじっくりと蜜壷を見つめた。
「こ、これが・・・・課長の・・・課長の・・・」
「南君、そんなに見られると恥かしいわ・・・ね、お口で・・・お願い・・」
　南は、礼子の蜜壷に貪りついた。必死で舌を動かす南・・
　礼子の喘ぎ声に全身が興奮し更に舌に力が入っていく。
　礼子は、自ら女芯の薄皮を捲って南に見せ付けた・・・・
　一層息が荒くなり唇を震わす南・・・
　そして礼子の女芯に吸い付いた。
「んあぁぁーん・・・南君・・もっと優しく舐めてぇぇー・・」
「・・うっ・・・す、すいません・・・」
　南は、女性経験が少ないのだろうと礼子は思った。
　女性の扱いに雑があり飢えた獣を思い立たせる。
　しかし礼子は、そんな南に同情を感じてしまった。

　礼子は、南を起こして仰向けにさせた。
　礼子を見つめる南・・・・礼子は南の肉棒を掴むと跨りながらゆっくりと腰を落としていく。
「う・うううう・・・課長・・・こ、こんな・・・・ぐおぅ・・」
　またしても南は、数秒で礼子の中に放出してしまった。
　さすがの礼子も呆れてしまう。
「・・・え？・・・・」（ちょっと早くない・・・）
「課長・・・すいません・・まだ・・・ゴムを・・」
「い、いいのよ。妊娠はしないから・・・」
「・・は・・・・？」
　若さなのだろう、南の肉棒は、まだ衰えない。
　礼子は、ゆっくりと腰を動かしていった。
　南の放った分身が結合部から食み出てくるが礼子は動きを止めない・・・・・
「・・・アァァ・・・南君・・・今度は我慢してね・・・」
　南は、下から礼子の乳房を手で包みながら揉み上げている。
　礼子は、肉棒を締め付けながら上下に腰を動かしていった。
　しかし、さすがの礼子も驚いた。さっき放出したばかりの南はまたしても昇天を促す・・・
「えぇぇー・・・・う、嘘・・・・ほ、本当に、南君？」
　礼子は、急いで腰の動きを止めたが既に呻き声を上げながら南は果ててしまった。
　礼子は、南の分身を搾り取るとゆっくりと腰を上げて南の胸まで移動する。
　さすがの南も３度目の放出で肉棒が萎えていた・・・
　南は自分の胸の上で蜜壷を開く礼子を凝視した。
「・・・南君、貴方がこの中に出したモノを見せてあげる。」
　礼子は下腹部に力を入れた。
　礼子の亀裂からは自分が放った白い爆弾が流れてくる・・・・
　それを見た南は萎えた肉棒が復調してくるのを感じた。
　礼子は、出し切った南の分身を手の平で胸に広げていくと南の表情を確認しながら舌で掬い取っていった。
　南は、礼子の淫艶な行動を見て完全に復帰していた。
　かすかに自分の股間に当たる南の分身を不思議そうに振り向いて確認する礼子は、またしても驚いた。
「・・え・・・えぇー・・・・な・・・も・・う、大きく・・・・？」
（・・・す、凄い回復力・・・・・・・）
「課長だから復帰が早いんです。」
「・・・あ、・・はは・・あ、ありがとう・・・・・南君、女性経験は？」
「ありますよ。・・・でも・・・早漏・・・かも・・・です。」
「気にしちゃ駄目よ、南君。」
　礼子は、さらに悪戯心が沸いてきた。
　南に向かって四つん這いになった礼子は、後ろを振り向きながら腰を振って誘いを掛ける・・・・
「南君、・・・・キテッ・・」
　南は礼子の腰を握ると乱暴に蜜壷へ肉棒を挿入してきた。
「アンッ・・・・」
　激しく肉棒を打ち突ける南が呟く・・・
「・・課長の・・ここ・・・・凄く気持ち・・・いいです。」
「・・・・どういう風に？」
「・・・ゥ・・グッ・・・なんか・・ニュルニュルしてて・・締め付けられて・・・」
「・・それから？」
　礼子も南の言葉に身体が反応してくる・・・
「・・・うぅ・・・・何かが僕のモノに絡み付いて・・・・もう駄目です。」
「アァン、もうちょっと我慢し・・・」
「で、出るぅぅーっ！」
「えぇぇー・・・・・」
　南はそう言うと礼子の蜜壷の奥深くに挿入したまま４度目の爆発を遂げた。
　そして礼子が後ろを振り向きながら南に呟いた。
「もぉぅー・・・南君ったら・・」
「・・・すいません。でも課長が・・・・そのぉー・・・気持ち良過ぎて・・・」
　礼子は起き上がると南と向き合った。
　南は、今、自分が放った分身が礼子の亀裂から流れ出るのを見て言葉を掛ける。
「課長・・あの、妊娠しないって・・今日、安全日なんですか？」
「・・・・・・私、避妊手術してるの。」
「えぇー・・・・っ？　そ、そうなんですか。」
「・・・ふふっ、南君、今日は楽しかったわ。ありがとう。」
「あ・・・あの・・課長・・・僕、その・・・課長と・・・」
「南君、貴方は、まだ若いし、ちゃんとした女性を探すべきよ。」
「・・・・・・は、はぃ。」
「それに、私が貴方に抱かれてもいいと思ったのは訳があるのよ。」
「え・・？」
「説明するのが難しいんだけど、主人と一緒に探しているものがあるの。」
「・・・・意味がよく・・・解らないんですが・・・」
「・・・・・・」
　礼子は、困惑した顔で寂しさを表わす南の心理を読み取っていく。
　恐らく南は、自分に惚れている。
　しかし礼子は、外での関係は性格上好きではない。
　他の男性とは、あくまで康平と追い求めている愛欲の向こう側を探るためだけの関係でいたいからだ。