（１３１）

―　ＩＫ観光　―

　今日は、ＩＫ観光の１０月移動の内辞日だった。
　４月移動とは違い社内掲示板での発表である。

　礼子のいる開発情報課は、来月から企画部から独立し新設の西館で単独部課として業務を開始する事になる。
　本社を含めた関連会社のデータを扱う事から課長の礼子と課長補佐の順子と里美も個室を与えられた。
　一方、前回の契約を成功させた夢野が幹部役員一致で２つ飛ばしで営業部長に昇格した。
　他の社員も夢野の業績なら当然と理解しているようだ。

　礼子は、里美と順子を伴い部長の岡本に内辞の報告をした。
「荒尾君、びっくりだよ。しかし単独課とはねー。」
「部長、短い間でしたけど、お世話になりました。」
「いや、なに世話らしい事はやっていないさ。でも、大変だろうが頑張ってくれたまえ。」
「はい、ありがとうございます。」
　礼子は、他の企画部の課長にも挨拶をして回る。
　一通り終わると課員全員で西館に資料を移動する作業が待っていた。
　西館には、本館３階以上の渡り廊下から移動できた。

　礼子らの開発情報課は真ん中の４階にあり３人の個室は最新式のセキュリティーシステムで装備され指紋照合でドアを開け、部屋に入った時点で自動ロックが掛かるようになっている。
　課員も４人１室で８部屋あり快適な空間で仕事が出来るようになっていた。
　デスクにはパソコンと本社を結ぶ端末機が２台並び保管棚も金庫並の施錠が出来るようになっている。
「凄いわねー。」
　礼子の言葉に里美と順子も頷いた。
　しかし礼子の顔が今ひとつパッとしない。
　順子が礼子に問い掛けた。
「どうしたの？礼子・・」
「うん・・・・その・・・妙に私の部屋だけ遠くない？」
「そう言えばそうねー。」
　礼子の部屋は、４階の一番奥に位置し書庫・資料室・トイレを挟んで本館からの渡り廊下があり、その廊下から他の社員の部屋があった。
　里美と順子の部屋は向かい合って並んでおり課員の部屋もそこから並列している。
「何か、孤独を感じるわ・・・」
「ま、内の課は、部署から独立しちゃったし課長さんってことで諦めなさい。」
　順子が礼子に向かってニヤつきながら呟いた。
「もう、順子ったら。」
「でも、この中で気を失ったら誰が私たちを発見するの？」
　里美の素朴な質問に礼子と順子も首を振る。
「どうするんだろう？」
　ちょうどそこへ本社の橘が笑いながら近づいてきた。
「はは、君達、そんな心配は無用だよ。部屋から出て数秒で電気が消えるんだ。守衛部で確認できるし８時以降には守衛長が直々に確認にくる事になっている。
　全て君達の在席状況は把握できるように最新のシステムで作ってあるからね。」
「そうなんですか。」
　質問した里美がホッとした顔をした。
「ところで君達、お茶でも飲みながら、これからの業務を説明しよう。」
「はい。」
　礼子ら３人は、橘の後に続き喫茶室に向かった。
　各階では、部屋を替わった部署が荷物の運搬に汗を流していた。
　西館には、開発情報課のほか経理部・総務部・人事部の３部が部署を移す。
　課の単独は開発情報課だけだった。

　礼子たちが橘の話を聞き終えたのは夕方近くだった。
　喫茶室を出た礼子たちは、会議室に入った。
「頑張ろうね。」
　順子が口を開くと里美も頷いた。
「でも、やりがいがあるわ。ここは重要部署よ。」
　礼子を含めた開発情報課は、来週から始まる新作業に終われるだろう。
　礼子も担当長として気を引き締めなければいけないと思った。
「ねぇ、二人とも聞いて。」
　里美と順子が礼子に注目する。
「これから、顔をなかなか合わせられないけど失敗を恐れずに積極的に業務をこなしていきましょう。」
「ええ。」
「それから提案なんだけど私たちの課以外にも個人的に協力者を見つけることが必要だわ。」
「というと・・・」
「困ったときに援助してくれる部課の担当長を見つけておくの。」
「ふーん、なるほど。・・・そうよね。」
「私たちは、まだ武器が少ないわ。秘密兵器を作っておかないと。」
「礼子、解ったわ。じゃ、来週早々に作戦会議ね。」
　３人は、笑いあった。
　しかし、３人の胸の内は、やる気で溢れていた。

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−　寝室　−

「ほぉー・・そりゃ大変そうだな。」
　風呂から出てきた康平がビールをグラスに入れながら礼子の話を聞いていた。
「ええ、でも里美も順子も張り切っているわ。」
「ま、最初は失敗もあるだろうがビクついていちゃ発展はしないからな。俺も少しは、助言してやるが、出来る限りお前自身で構想を考えながら練っていくのが望ましいぞ。真似事には必ず何箇所か穴があるからな。」
「うん、そうね。」
　康平が、一気にビールを喉に流し込んだ。
「美味しそうに飲んでるわね。・・・・私も飲もうかな。」
「注いでやろうか？」
　礼子が、グラスを差し出す。
「じゃ、礼子たちの前途を祝して・・・」
「乾杯っ！」
　礼子が、康平の隣りに座りなおしてビールを注ぎ直す。
「ねぇ、康平・・・・」
　礼子が、康平にもたれ掛かってきた。
　すかさずガウンの下に手を入れる康平・・・・
「・・・フッ、明日は休みだし徹夜でやるか？」
「もーっ、・・・徹夜は遠慮するけど虐めてくれる？」
　康平は、グラスをテーブルに置き礼子をベッドに倒した。
　礼子が向きを変え康平の上から逆向きに覆い被さると肉棒を掴み舌を根元から這わせ始めた・・・・
　下から見る礼子の亀裂がかすかに蜜で光っている。
　ゆっくりと指で開くと糸を引きながら蜜が垂れてきた・・・・

　礼子は、巧みな舌技で康平の肉棒に舌を絡めていく
　康平は、早いスピードで怒張していった・・・・
「ングッ・・・・んぅぅーー・・・・」
　礼子の女芯に舌を伸ばして突付く康平・・・
　礼子は腰を振りながらも肉棒に執着している・・・
　康平は指を蜜壷に挿入した。
「ンアァァァァァー・・・・・駄目ぇぇー・・感じちゃうぅぅーっ・・・」
　康平は上半身を起こして礼子を仰向けにさせると腰を高く上げさせ真上から蜜壷に口を当てた。
「アァー・・・イイ・・気持ちいいぃぃぃー・・」
　礼子の顔が快感で歪んでいく・・・・
　康平も、今日は無性に早く入れたい衝動に掻きたてられた。
　礼子の両足を降ろすと亀裂に沿って肉棒を擦りあげる・・・
　礼子は自ら蜜壷を開いて康平を向かえた。
　準備を整えた康平がゆっくりと味わうように侵入していく・・・
　礼子は口を半開きにしながら淫声を発した・
「ァァァァァァァー・・・・アゥゥッ・・・」
　康平は、完全に埋めると礼子にもたれ掛かった。
　礼子が康平の頭を両方から抱え込み舌を口に入れてくる・・・・
「ゥゥ・・ウゥァー・・・動かしてぇぇー・・」
　激しく腰を動かし始めた康平に礼子が絶叫し始めた。
　自然と足が康平の腰に絡みつく・・・・
　結合部からは、出し入れを繰り返す摩擦音が厭らしく発せられている・・・
「ゥゥー・・・凄いぃぃー・・・・奥に・・奥に当たるぅぅーー・・・・・ンアァァァー・・・・・イヤァァー・・・コ、コウヘ・・・アァァァー・」
　康平は、結合したまま立ち上がると礼子の腰を真上に上げた。
　礼子からは、康平の肉棒が自分の秘穴を出たり入ったりするところが丸見えになった。
　淫音が、やけに大きく聞こえるのは気のせいだろうか・・・・
　礼子は、気持ち良さで唾を飲み込むことも出来ずに口脇から零していた・・・・
「イ、・・・イヤァー・・・康平っ・・・・康平・・･凄いぃぃー・・・・アァァー・・・もう駄目ぇぇぇー・・・・イッチャイソォォーッ・・・」
　康平は体位を変え礼子を四つん這いにさせた。
　礼子が後ろ向きに康平を見つめる・・・・・・
「頂戴っ・・・康平っ・・・・早く入れてぇぇぇぇぇー・・・」
　康平は、礼子の腰を左右から握り一気に杭を打ち込んだ。
「アッハァァァァァァァァァァー・・・・・・・ンァァァァァァァァァー・・・・イィ・・イィ・・イィィィィィィー・・・・もっと・・もっと強くぅぅぅぅー・」
　礼子も、康平の動きに合わせて腰を自ら打ち付けていく
　片手は女芯を刺激している・・・・
　きつく瞳を閉じ唇をかんでいた礼子は、大きく口を開けた・・・・
「アォォォォーーーーー・・・・・アウゥゥゥゥゥー・・・・・アァァァハァァー・・・・・康平ーっ・・・イックゥゥゥゥゥゥゥゥゥー・・・」
　女獣の叫吠のような歓喜の声を発しながら礼子が昇天した・・・・・
　康平は、まだ果てる事をせず礼子を仰向けにする。
　引き抜いた蜜壷からは礼子の蜜が大量に溢れていた・・・・
　康平は礼子の亀裂を左右に開き女芯をきつく吸い始めた。
「アゥゥゥゥゥゥゥゥゥ、ゥゥ、ゥゥゥ、ゥゥゥゥゥゥゥー・・・」
　礼子が無意識に腰を高く上げ康平の頭を掴んだ。
　舌で女芯を転がす康平に礼子は気が狂わんばかりに腰を上下に振っている。
　そして康平が礼子の亀裂から顔を離した瞬間、真上に向かって何度も飛沫が上がった。「ゥ・・ゥウゥゥゥゥー・・・・・」
　グッタリと四肢を投げ出し下腹部を痙攣させる礼子・・・
　しかし康平は休まない。再度、礼子の蜜壷に挿入すると礼子の腰を持ち上げて激しく肉棒を打ち込んでいった。
　礼子は、されるがままに攻撃を受けた。
「コ、・・コウ・・ヘ・・・・・・ィ・・・・も、もう・・・・・ゆ、許してぇ・・」
　さすがの康平も我慢は限界だった。
　礼子に覆い被さり根元まで深く埋め込むと分身を爆発せせる・・・・・
「・・ォ・・・・・・ア・・・熱い・・・・す、・・・キ・・モチ・・ィィィィ・・」
　康平が、ゆっくりと礼子から離れた。
　礼子は、完全にダウンしている。

（ふぅー・・・疲れた。）

　礼子を眺める康平・・・・
「・・おい、礼子・・・礼子っ！」
　礼子が薄目で康平を見つめた。
「・・・・ぁぁ・・・凄かったわぁ、康平・・・」
「久しぶりに潮吹きを見たぞ・・・」
　笑いながら康平が囁くと礼子は足で康平の腰を叩いた。
「もぉぅ・・・・だってぇ・・・」
　ゆっくりと起き上がった礼子は、康平に抱きついた・・・・・
　康平が礼子を優しく包み舌を絡ませていく・・・
　礼子は康平のディープで全身が麻痺していった。

（康平・・・・・・・愛してる・・・・・・）

（１３２）

　総合病院の玄関から澪が出てきた・・・・・
　先回の桜貿易の事件で暴漢に襲われ入院していた澪だがやっと退院の許可をもらったようだ。

　昨日、センターに澪の妹、雪子から電話があり、澪の退院を知らされた康平だったが雪子の依頼で自分が行くより康平が行った方が喜ぶから是非と頼まれたのだ。
　康平も澪が気になっていた事もあり、入院以来、一度も見舞いに行っておらず忘れていると思われても癪だと感じ雪子の依頼を承諾したのだ。

　澪は外に出るくると周りをキョロキョロと見渡していた。
　雪子を探しているのだろう。
　雪子は、自分の代わりに康平が迎えに行く事を澪には黙っていたのだ。

　澪は、まだ雪子が到着していないと思い玄関横にある芝生庭のベンチに腰掛けた。
　康平は、見つからないように澪の後ろに回りこみ、そっと近づいていく。
　澪は、バッグから本を取り出して読み始めていた。

　気付かれぬよう澪に近づいた康平は、後ろから両手を回して乳房を掴んだ。
「キャァァァァーッ・・・」
「ナ、エッ？」
　予想外の悲鳴に康平は驚いた。
　澪の悲鳴に玄関にいた警備員が走り寄ってくる。
「どうしましたっ。」
　澪は、直に康平と気付き、警備員に適当な言い訳をして追い返していた。
　警備員が玄関に戻っていったのを確認した澪が康平に怒鳴った。
「ビ、ビックリするじゃない。」
「お、おまえ、・・・澪、普通、悲鳴なんかあげるかよっ？」
「あ、あげるでしょ普通・・・・・」
「お前は、普通じゃねぇだろ。」
「どういう意味よっ、それ。」
「お前の性格なら悲鳴あげる前にパンチが飛んでくると思うぞ。」
　澪がムスッっとした表情で答えた。
「・・・・・・ところで何しに来たのよ。」
「・・・・雪子君の代わりに迎えに来てやったんだよ。」
「ェ？・・・雪子の変わりに・・・」
「ああ、彼女に電話をもらってな。お前と違って気を使う優しい女性だな。」
「な、何言ってんのよっ。・・・・・もう・・・雪子、勝手な事を・・・・」
　澪は、そう言いながらも心の中で嬉しさが込み上げていた。
「さぁ、荷物を持ってやるから貸せ。」
「何処に行くの？」
「隣りの地下パーキングに車を停めてあるんだ。」
　そう言うと康平は、勝手に歩き出した。
　急ぎ足で後をついてくる澪・・・

　駐車場に降りると康平は、車に向かった。
「歩くのが早いわよー。」
「リハビリを兼ねてやったんだよ。」
　康平が車に近づきロックを開けた。
　紺色のジャガーだ。
「どうしたの？この車・・・」
「・・・借りてきた。このまま退院祝いでドライブにでも行こうと思ってな。」
「・・・え？」
「いや、長い入院で男と遊べなかったし欲求が溜まってるだろ。」
「な・・・なんですってっ！」
「お前の股間の洪水を止めるには俺しか出来んからな。」
　真赤に顔を染めた澪が、今度は康平をめがけて平手を放つ。
　軽く受け止めた康平は、澪の腕を引き寄せ腰を抱くと唇を合わせた。
「・・ンッ・・ン・・」
　康平を睨む澪の瞳が、徐々に潤んでいく・・・・・
　澪は、康平の首に手を回してしがみついた。
　静かに澪から離れる康平・・・・
「さ、乗れよ。」
　澪は、無言で小さく頷き助手席に乗り込んだ。
　康平は、澪の荷物をトランクにしまい運転席に腰を落とす。
　煙草をくわえた康平は、エンジンを掛けると車を発射させた。
　数分で高速道路に入ると車を一気に加速させていく・・・・
「どこまで行くの？」
「湖畔公園さ。ま、２時間もあれば昼までに着くだろう。」
「湖畔公園？」
「ああ、退院祝いだからな。美味い料理と最高のワインも予約しておいた。」
　澪は、康平が病院に来たときから自分に対する応対が冗談交じりであったし単なる迎えだけだと思っていたのだ。
　それに雪子の電話が、つい昨日の事なのに、車まで用意し食事の予約までとってくれた康平らしい振る舞いに少々感動していた。
「・・・・ァ、・・・アリガト・・ゥ・・」
　康平は、横目でチラっと澪の表情を確認した。
　しおらしく頬を染めている・・・・・・
　康平は和すために冗談交じりに囁いた。
「澪、部屋もとってあるんだ。足がちゃんと開くか確認しないとな。」
　澪が、照れ隠しで康平の股間を握り締めた。
「アダダッ・・・・馬鹿っ・・・・澪っ、危ねーぞ！離せって。」
「アンタが悪いのよ。せっかく感激してたのに。」
　顔を前方に向けてスネている澪に康平は苦笑いをして言葉を返す。
「澪・・・・・・、俺がお前を抱きたいんだよ。」
「・・・！」
　澪は、顔を紅く染め急激に身体が火照っていくのを感じた。
　澪は、康平を見つめた。
　康平が澪の視線に気付くと照れ臭そうにＣＤを取り出しデッキに差し込む。
　流れだした音楽に即座に反応する澪・・・・
　ビリーホリディのＧＡＴＳＢＹ ＷＯＭＡＮが澪の身体を包んでいく・・・・
　澪は聞き取れないほどの小さな声で康平に呟いた・・・
「・・・・肩に・・・・・もたれていい・・？」
　康平が無言で澪を引き寄せる。
　康平の粋な演出と女心を擽る優しさに、澪の瞳から光った雫が頬を伝っていった。

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　湖を背にし、オープンデッキを挟んで康平と澪はグラスを合わせた。
「乾杯っ」
　二人は、ワインを喉に流していく・・・・
「美味しいわ。」
　康平は、今後の事を澪に問い掛けた・・・・・
「澪、仕事には、いつ復帰するんだ。」
「ええ、明日すぐにでも。」
「桜貿易の専務には俺が話をつけておいた。情報部もお前に一任するようにな。」
「ありがとう。話は、尾形専務から聞いたわ。大変だったようね。」
「まあな。でも尾形さんも社長に昇格したし、もう大丈夫だろう。情報部も再編して直に軌道に乗るだろう。簡単に終わるさ。」
「尾形さんからは正式に桜貿易の社員として来ないかと誘われたわ。」
「ほぉう・・・で、返事は？」
「性格的に雇われるのは合わないかも・・・・まだ返事はしてないの。」
「そうか。」
　テーブルに豪華な料理が運ばれてきた。
　康平は、食事をしながら澪の話を聞くことにした。

　澪は、雪子のこともあるし、これからは無理な事は避けたいようだ・・・・
　何よりスワンでの仕事にピリオドを打つ事も決めたらしい。
　生活していくには、全く困らないのだが、澪の性格上、暇を持て余したくないのが本音のようだ。
　澪の話を聞いているうちに康平は、以前、甲斐から依頼されていたことを思い出した。
　甲斐の経営する会社の支店を来年度に数社増やす事が決まり本社を含めた系列会社が２桁になった事から、運営効率をあげるためにコンサルタント会社も作る事になった。
　甲斐としては、２股を掛ける事は至難であることから康平に優秀な人間を探して欲しいと頼まれていたのだ。
　康平は、その事を澪に話してみることにしてみた。

「私が・・？」
「ああ、どうだ、やってみないか。」
「遣り甲斐がありそうだけど私にできるかしら。」
「お前は、違う意味で優秀だ。元弁護士だし経営手腕もある。職種は違っても親父の会社を一時手伝っていたじゃないか。」
「・・・・」
「一度、甲斐と会ってみないか？」
　澪は、暫し考えた末に康平に答えた。
「ええ。・・・貴方がそういうなら・・・」
「よし、今度、時間を取っておくよう言っておく。」
「わかったわ。」
　澪は、康平を見つめながらグラスにワインを注いだ。

（１３３）

「素敵な部屋ね・・・」
　康平と澪は、湖畔の丘上に建つ一軒の別荘の中にいた。
　２階にベッドルームがあり湖側の窓は一面が総ガラス張りになっている。
　澪は、レースのカーテンを開いて湖を眺めた。
　何一つ喋ることなく水面の波うちを見ている・・・

　康平が、澪の後姿を見つめ何かを感じ取ろうとしていた。
　康平の視線を感じたのか、澪が康平の方に振り向き和やかに囁く・・・
「ねえ、或る女の告白っていう小説知ってる？」
「ああ、平岡靖志・・・だろ。聞いたことはあるな。」
　澪が静かに微笑みながら喋り始めた。
「この小説は世の中を知らない乙女が手癖の悪い男に遊ばれたことを知らず、男が去った今でも想いを断ちきれないと云う永遠の真理を描いているの。」
「・・・・・・」
　澪がバッグから本を取り出した。
　病院のベンチで読んでいた本だ。
　澪は、挟んでいた栞の部分を開くと康平に読んで聞かせた。
「この小説の中でね、《お酒を飲んでも介抱してくれる人がこれまでいなかったから、私はいつでも限度を超して酔いつぶれるということがなかったの。あの夜に限っては、わたし、酔いというものを初めて経験したわ。勘違いしないで。お酒にじゃなくってよ。わたし、彼の囁く言葉に酔ったの。そのときから私は永久に待つことのできる女になったのよ。永久に待つことの嬉しさったらありはしないわ。》って。」
　そう言うと澪は本を閉じてバッグにしまった。
「・・・澪・・・」
「今まで恋愛なんてしたことなかった。私を抱いた男達も私に恋愛感情なんて無かったと思う。実際、恋愛なんてする暇なんか無かったわ。」
「・・・ああ、・・・そうだろうな。」
「・・・私、生まれて始めて心の底から男の人を好きになった。・・・それは・・・貴方よ。」
「・・・・・・」
「勘違いしないで。この小説の様な女性の心理に陥ったってこと・・・。貴方の家庭を壊してまでなんて思わない。でも、でも、貴方の周りにいるような素敵な女性たちを扱うように・・・私も・・・」
「澪、この小説に出てくる男と俺の違う所を教えてやろう。」
「・・・なぁに？」
　康平がおどけながら喋り始めた。
「まず、俺は、手癖は悪くない。」
　澪がクスクス笑い始めた・・・
「さらに、遊びで女は抱かないし、中途半端なＳＥＸなどしない。そして・・・男と女という立場で言うのなら同等と思っている。」
「・・・・・・」
「ただし、責めるのは俺のほうだがな。」
　声を出して笑い出す澪・・・
「・・・それに、・・・新しい生命、魂を植え付ける事は出来る。」
「・・・貴方が私に植え込んだ魂が、もう根を出し始めたわ。」
　澪は、そう言うと康平に背を向けて湖を眺めた。
　そして、ゆっくりと薄手のセーターを脱ぎストッキングを下ろし始める。

　康平も上着を全て脱ぎ捨てると、ゆっくりと澪に近づいていった・・・
　下着だけになった澪が振り向きざま康平に抱きついた。
　康平は、澪の腰の後ろから手を回しショーツに指を滑らせた・・・
　澪も康平のベルトを外しジッパーを下げていく。
「前回みたいに早くいっちまうなよ。」
「今日は、私の退院祝いよ・・・いかせ続けて。」
　康平は、澪を抱き上げベッドに運んだ・・・

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「ゥクゥゥーッ・・・凄いぃぃー・・・」
　澪が腰を高く上げて激しく左右に振っていた。
　康平が澪の蜜壷に指を挿入し上の壁を擦りあげているのだ・・・
　透明な蜜が女芯を伝ってシーツを湿らせていく。
「ンァァァ・・・ウゥゥゥゥゥー・・・」
　康平は、指を抜くと澪を横に寝かせ膝裏を持って足を持ち上げた。
　松葉崩しの状態になると康平の肉棒を握り自らの蜜壷に導いていく・・・
「グゥゥー・・・アァァ・・・アァーッ・・凄いぃぃー・・」
　澪は、康平の袋部分を手の平で揉み始める。
　康平が腰を打ち突けるたびに下腹部が大きく盛り上げっていく・・・
　動かす速さを増していく康平・・・
　澪が康平から手を離し大きく背中を反らし始める。
　康平は、もう一方の手で澪の女芯を摘み上げると澪が絶叫した・・・
「ン、ッハァァァー・・・ゥゥー・・・ァァ・・ァァァ・・・ゥッ、ゥッ、イヤァァー・・」
　澪の全身が硬直した。急激に子宮が収縮していく・・・
　下半身が微震しながら痙攣していた。

　一旦、康平は澪の蜜壷から引き抜くと澪の背中に回りこみ身体を包み込んだ。
　後ろから手を回し乳房を軽く揉み始める・・・
　澪の両足に滑り込ませた康平の大腿に澪の蜜が垂れていく・・・

「・・・凄かったゎ・・・」
「まだ、俺が満足してないぞ・・・」
「本当に身体が壊れそう・・・」
「俺の女房は、何度も壊れかけてるぜ。」
「・・・貴方の奥様が羨ましい・・・」
「・・・ベランダに出るか？」
「え？」
　康平が澪を引き寄せてベッドから降りた。
　澪が康平の腕にしがみついて後をついていく。
　康平は窓を開けてベランダに出るとスチール製のベンチに腰掛けた。
「あぁー、気持ちいいわぁー。」
　心地良い風が二人を包んでいく
　康平は、澪の腕を取って引き寄せると前向きで腰に跨がせた。
「アンッ・・・・」
　前に手を回し乳房を揉み始める。
　澪は後ろを振り向きキスを求めた・・・
「ンッ・・・ンゥゥ・・・」
　康平は立ち上がった・・・
　澪が手すりに手をつき腰を突き出すと強弱をつけながら康平は、肉棒を突いていった。「アゥゥゥー・・・アン、アァァー・・・た、たまんないぃ・・・ウゥァァー・・・」
　打ち突くたびに乾いた音が響き澪の声がこだました。
　澪の身体が康平の強い攻撃で手すりを越えていく・・・
「ウアァァァーーー・・・イイィィ・・・凄いぃぃングッ、ウッ・・ウッ・・ウッ・・ウゥゥー・・・アハァァキ・・キ・・・アァァ・・・キテッ・・・キテェー・・・ウァァほ、ほし・・・欲しい・・・貴方が・・・キテッ・・・」
　康平も、そろそろ限界に来たようだ。
　澪の訴えに激しさを増す事で応えた・・・
「ォァ・・・・ゥッ、ゥッ、ゥッ、・・・アゥゥ・・・ダ・・・メ・・・ゥッ、ァァー・・・イィィー・・・ゥゥゥー・・・もう・・・も・・・ぁ、駄目ぇぇ・・・イク、イク、イク・・・アァァー、イヤァァーッ・・」
　澪の足はガクガクと震え立っている事も困難になった。
　必死で手すりにしがみつき耐えているが、康平の熱い分身を子宮で受け止める快感に、遂に手すりから手が離れてしまった。
　受けとめる康平・・・
「熱い・・・ココが・・・熱い・・・」
　そのままベンチに座った康平は澪を腰の上に座らせる。
　澪の蜜壷からは康平の放った分身が溢れ出てきた。
　澪は、分身を手で受け止めると無意識に恥丘に塗りつけていった・・・

−−−−−

「じゃあな。」
「ありがとう・・・・・今日は・・・私、嬉しかった。」
「フッ、・・・・・また誘わせてもらうよ。」
「ほ、本当っ？」
「ああ。」
「嬉しいわ。」
「甲斐の件、よく考えておいてくれ。」
「ええ。」
　康平は、軽く手を上げて車のウィンドウを閉めた。
　笑顔で手を振り返す澪・・・
　康平は澪の心の底から笑った顔を始めてみたような気がした。