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（１４５）
「東堂、すまんが俺は今から早引きする。」
「え、あ、はい。わかりました。」
様子のおかしい康平に東堂は首をかしげた。
（何かあったのかな？）
康平は、急いでセンターを出ると車に乗り込んだ。
礼子の居場所を探す協力を得るため甲斐の会社に向かおうとしたのだ。
その時突然、愛子から携帯電話が掛かってきた。
「もしもし、康平さん。忙しいのにすみません。ちょっとお話が・・」
「愛子、すまん。今それどころじゃないんだ。れ・・・礼子が・・・誘拐されて・・・・」
「えぇーっ！」
康平が、愛子に謝り電話を切ろうとすると、愛子は慌てて話を始めた。
「康平さん、ちょっと待ってっ！」
「ど、どうしたんだ。」
「康平さん、その事が、礼子さんに関係あるかは判らないんですけど、実は昨日、恭子さんの診療所が何者かに荒らされたらしいんです。それでカルテ庫が、かなり被害にあったらしいんだけど康平さんのカルテだけが、どうしても見つからないんですって。たった今、恭子さんから電話があって一応、康平さんの耳に入れておいた方がいいんじゃないかと思って電話をしたんです。ごめんなさい。」
「俺の・・・・カルテ？・・・・」
「ええ。」
康平は、愛子の話の内容で、自分の歯のカルテを必要とする者が礼子誘拐に関わっている事を確信した。
「・・・・・愛子、ありがとう、何かつかめるかもしれん。」
康平は、愛子に礼を言って電話を切った。
車を発車させる康平・・・・
愛子の話が気になってしかたがない。
康平は甲斐の会社に向かう途中もカルテの事で頭が一杯だった。
（俺のカルテ・・・歯のレントゲン写真・・・・か・・）
康平は、なぜ、恭子の診療所を荒らした者が自分の歯のレントゲン写真を必要としているのか。自分の歯に何かが隠されているのは確実だ。
間違いなく何かあると考えた康平は、過去の事までを必死で回想していた。
（そう言えば昔、親父に連れられて大学病院の歯科医に行った事があったな・・・）
それは康平が、中学に上がる前に、たかが歯の治療で、父の良作に連れられて大学病院に行った事があったのだ。
治療は数分で終了したが、治療した医師は良作と友人であったのであろう
親しく父と喋っていたのを今でも覚えている。
特に気にする事もなかったし、それ以後、康平は、恭子の診療所に行くまで一度も歯の治療をしたことはなかったのだ。
康平は、調べる必要があると考え、車をＵターンさせると恭子の歯科医に向かった。
「あら、康平君、来てくれたの。昨日、愛子さんにも電話したの。」
「ああ、聞いたよ。大変だったみたいだね。」
「見てよ、これ。ヒドイもんよ。」
恭子が、診療室を指差して溜息をつく・・・
康平は、恭子に無理を言って歯を診てもらうことにした。
「恭子君、すまんが俺の歯のレントゲンを撮ってくれないかっ！」
「え？ い、いまから？」
「頼む、急いでるんだ。」
必死の形相で言う康平に恭子も自然と頷いてしまう・・・
「え、ええ・・・わかったわ。じゃレントゲン室に入って。」
康平はレントゲン室に入り恭子の指示通り顎を台の上に乗せた。
撮り終わった康平が出来上がりを待っていると恭子が部屋から出てきた。
「はい。康平君、これが貴方の歯のレントゲン写真よ。」
康平は、写真を受け取ると自分の歯を丁寧に隈なく見ていく。
しかし、これといって変わった所はなかった。
「恭子君、これを見ておかしい所はないかい？」
恭子が受け取って詳しくレントゲン写真を見ていく。
「んー、ちょっと待ってて。」
恭子は、電気を当てる視検スタンドに康平のレントゲン写真をはめた。
再度、詳しく見ていく恭子・・・・
「以前、欠けた歯を私が治療した以外は特にないわね・・・・」
「・・・・よく見てくれないか。」
「んー、康平君は虫歯がないから特にこれといって・・あ、ちょっと待って。右上の奥歯が被せてあるわね。」
康平の眉が僅かに動いた・・・・
「でも、これも特には・・・・・あれ？」
「どうした？」
「微かだけど四角い形が見えるわ。」
「恭子君、その被せてある歯を取ってくれないかな。」
「え、ええ。いいけど・・・・」
康平は、診察台に座って恭子から処置を受けた。
意外と簡単に外す事ができたようだ。
「康平君、この歯は虫歯でも何でもないわよ。」
「・・・・・」
「はい、これが被せてあった歯よ。」
康平は、恭子からそれを受け取ると中を覗いてみた。
恭子が言ったように薄いフィルムの様な物が貼り付けてある。
「恭子君、中の四角いフィルムみたいなものを取り出してくれないか。」
「ええ、わかった。」
恭子は、ニードルピンセットで歯の中にあるフィルムを取り出した。
取り出したフィルムを康平に渡す。
「・・・・真っ黒だな・・・・・。」
「何なの、それ？」
「俺が聞きたいよ。」
康平は、恭子に歯科用のクリアケースをもらいフィルムをしまった。
「恭子君、ありがとう。」
「この程度、お安い御用よ。処置代はアレでね。」
「・・・・・ああ、それもいいが・・・・・・」
恭子は、先程から様子のおかしい康平に質問をした。
「・・・・・・康平君、何かあったの？さっきからおかしいわよ。」
康平は、一瞬、恭子の顔を見ると目をそらしながら答えた。
「・・・・・実は・・・・妻が何者かに誘拐されてね。」
「え？ えぇーっ・・・・・」
「・・たぶん・・・・・たぶんだが、このフィルムだ。君の診療所を荒らされたのもこれを探すためだろう。恭子君、後で修理代を請求してくれ。全て直すから。」
「いいのよ、康平君・・・そんな事・・・それより奥さんが。」
「・・・・」
「私にも何かお手伝い出来る事があったら言ってね。」
康平は、無言で何度か頷くと恭子の診療所を出た。
康平は、急遽、太平洋製鉄の研究所に寄ることにした。
ここの研究所長は、康平の同期で、まだ製鉄に居る頃、クビになった常務の桑原を調査するため協力をしてくれた大村である。
大村は工学の博士資格をもつ太平洋の研究者の１人なのだ。
康平は、研究所に車を乗り入れた。
「おお、荒尾っ、久しぶりだな。何か用か？」
「ああ。・・・大村、ちょっと頼みがある。」
「何でも言えっ！俺の恩人だからな。あの時の報酬で本当に家をかったんだぜ。」
「そうか。」
「・・・？ それより頼みって何だ？」
康平は、クリアケースを開いて中身を見せた。
「これなんだ。フィルムのようなんだが調べてくれんかな？」
大村は、康平からケースを受け取ると胸ポケットからピンセットを取り出してフィルムをつまむみ上の蛍光灯に照らして見た。
「んー、何も写ってないな。」
「何か・・・何か、あるはずなんだが・・・・。」
「んーむ・・・よし、化学的に調べてみようか。」
「頼む。」
康平は大村の後に続き、実験室に入っていった。
− ２時間後 −
ソファに座って待つ康平に大村が声を掛けた。
「荒尾、判ったぞ。」
大村が康平を呼びつけた。
康平は大村が見ているモニターに近づいていく。
大村が康平に説明を始める。
「荒尾、これはフィルムのようだが、何か情報を埋め込んであるチップの一種だ。」
「チップ？」
「ああ。何か特別な機械に認識させると読み取れるんだろうな。」
「そうか。・・・・・・・・・出来ないかな・・お前に。」
大村は、先程から様子のおかしい康平が気になって仕方がなかった。
「荒尾・・・・うちの仕事じゃないようだな。」
康平は、大村を見た。
「・・・・大村・・・・実は俺の妻が誘拐されたんだ。」
「な、なんだとーっ。 れ、礼子さんが・・・・・」
「そのチップが原因のようなんだ。」
「警察に・・・」
「いや、・・・・その時点で妻は殺されるだろう。」
「えぇっ・・・な、そ、そのチップは、そんなに重要なものなのか？」
「それがわからんのだ。実はここに来る前に、中学時代これを埋め込んだ大学病院の医師に連絡を取ったんだが、３年前に亡くなったそうなんだ。」
「・・・・・でも何故そんなものをお前の歯に？」
「判らん。親父に大学病院に連れて行かれたんだが別段、気にもしてなかったさ。」
「お前の親父はどうしたんだ。」
「５年前に死んだよ。今はお袋１人で田舎に居るが、お袋は、親父の仕事に一切首を突っ込まない人間だったから聞いても恐らくわからないだろう。」
「お前の親父さんは、どんな仕事をしてたんだ。」
「スイスの国連科学センターで働いていた。指導教官だったかな。」
「ほぉー、それは凄いな。あそこはＭ工科大や各国の一流技術大出身の連中ばかりが集まってる所だぞ。国家派遣もいるし、そこの指導教官だったのか。世界のあらゆる技術の研究をやってるところだからな。」
「そうなのか。俺はあまり興味がなかったからな。」
「俺も研修で行った事があるが、施設内に入るのにも５重のチェックをするんだ。」
康平は、大村の説明で先程まで推測していた事に新たな要点を見つけた。
もしかしたら、このチップは物凄く重要なものなのではないかと・・・
それも世界中の一流科学者が集まる研究所に勤務していた父親が、全く関係のない康平の歯に、わざわざ隠すくらいの物なのだから。
「大村、お前も研究者だろ。何とかチップの中身を調べてくれんか？」
大村は、深刻な康平の顔を見ながら首を縦に振った。
「荒尾、お前は親友でも有り恩もある。やってみるよ。奥さんのためにもな。ただ、直には無理かもしれない。あらゆる方法で試さないとデータ自体が壊れる可能性がある。俺もオリジナルチップは触った事がないからな。」
「すまん・・大村。」
「荒尾っ、任せておけ。全力を尽くすよ。」
康平は、大村に礼を言って研究所を出た。
康平は、東堂に連絡し、東堂と黒田だけには、今回の件の事を詳しく説明し、しばらくセンターを休む事を告げた。
「そうですか、解りました。局長、いや、先輩、何かあったら何でも言ってください。 全力で協力させてもらいます。」
「わかった、ありがとう。お前も仕事の事で何か、あったら連絡をくれ。」
「はい。」
電話を切り車に乗ると脳裏に異様な緊迫感が過ぎっていく・・・・・
それから、康平は、何もつかめないまま３日目を迎えた。
先程、甲斐の会社から出てきた康平は、もう一度、大村に会いに研究所に足を運ぶ事にした。
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その頃、原デンタルでは、恭子が数人の男たちに取り囲まれていた。
男が恭子の顎を突き上げる。
「言えっ、何が入っていたんだ。」
「し、知らないわ。」
恭子は、男達に診察台へ全裸で座らされロープで固定されていた。
男達のしつこい質問に恭子は厳として答えないでいる。
「そうか、しょうがないな。」
１人の男が、部下らしき男に目で合図をする。
男は、薄笑いを浮かべ診察台に座る恭子の前に立つとズボンのベルトを外しブリーフごと膝まで降ろした。
男の肉棒は、まるで造り物くらいの太さがあり、更に無数の真珠が埋められていた。
「ふっ、・・原さん、この男のモノは凄いだろう・・・金かけて、手術したんだぜ。味わってみなよコレを。」
男の一物に顔を顰める恭子・・・・
男は、濡れていない恭子の蜜壷に肉棒の先を当てると一気に奥まで挿入した。
「ウゥッ・・ググググググギィィィー・・・」
恭子の顔が苦痛で歪んだ。
男は、遠慮なく出し入れするスピードを速めていく。
恭子は激しく首を振り声を押し絞った。
「ゥゥ・・ゥゥ・・ウグッ・・・」
横で見ている男が呟いた。
「どうだ、この女の持ちモノは？」
「ふふっ、意外と締めて来ます。」
「ほぉー、好き者なんだな・・・」
男は恭子の乳房を握り締め更に激しさを増していく。
「気持ちいいだろう・・・ええ？」
恭子は、男に向かって唾を吐いた。
しかし男は動じず笑みを浮かべて唸り声を上げた。
「ウォォォーっ・・」
「イ？・・・イヤァァァァァァァー・・・」
男は、恭子の中に爆弾を発射させた。
恭子は涙を流しながら歯を食いしばっている・・・
「さぁ、原さん。言う気になったかな・・・・」
「・・・だ、誰が言うもんですかっ・・・・・」
「・・・そうか。」
男は、ワンドという麻酔を打つ針をボックスから取り出し恭子の乳首に無造作に突き刺した。
「ゥ・・・ギャァァァァー・・・・」
「言えっ！」
恭子は、苦痛の表情で首を振る。
男は、もう一方の乳首にもワンドを刺した。
「ウギッ・・・・ィィー」
男たちは何も喋らない恭子に苛立ちを隠せない。
何やら小声で相談している・・・
（こ・・・康平君・・・・・・）
男の１人が恭子に近づいてきた。
金属製の開口器を恭子の口にかませるとハンドピースという歯を削る歯科器具を握りスイッチを押す。
低い金属音が唸りだした・・・・
恐怖で恭子の身体が震えていた・・・・
男は、恭子の口の中にハンドピースを挿入し舌を突付きはじめる・・・
「・・ァガァァァァーー・・・・アガァァァァー・・・」
「さぁ言えっ・・・。」
恭子は、朦朧としながらも首を横に振った。。
目は真赤に充血し口の中からは、鮮血が流れてくる・・・・
男は、笑いながら恭子の前に移動した。
ハンドピースを恭子の女芯に近づけていく。
恭子の身体は硬直し、ガタガタと痙攣の様な震えに包まれた。
「これなら言う気になるだろう。」
男が恭子の女芯を包む薄皮を指で捲ってハンドピースを無造作に刺した。
「イギャァガァァァァァァァァァァァァァァァァァー・・・・」
恭子は、激叫しながら失禁をした。
まるで水鉄砲のように男のスーツを汚していく。
あまりの激痛に激しく動く恭子の身体が縄に食い込んでいた。
「チッ・・・このアマが・・・」
男は再度恭子の女芯を挿すと、恭子は声をあげる事もなく気を失ってしまった。
「・・・何故だ・・・何故言わんのだ。」
男が部下である男に問いただす。
「恐らく・・・よほど、・・・・よほど荒尾を好いているのでは・・・・」
「・・・・・・・・ふむ・・・なるほど。」
その頃、康平は研究所に向かって車を走らせていた。
無造作に康平の携帯のベルが鳴った。
（ん、恭子君か・・・）
「もしもし、この間は・・・・・・・」
「・・・・・？」
「だ、だれだ貴様？」
「・・・・ふっ、ふっ、先日、センターに電話した者です。」
「なにっ！何故、恭子君の・・・・き、貴様、恭子君をどうしたっ！」
「荒尾さん、貴方の歯の中に何が入っていましたか？」
「貴様は一体誰なんだ。何故、俺に接触せんのだ。妻も恭子君も関係ないだろう。」
「ふふっ・・・貴方の奥様は保険です。」
「なにぃーっ」
「貴方は、荒尾恭平さんや修平さんの弟ですから一筋縄ではいかないと思いましてね、止む無く。」
「妻はどうした？」
康平が質問すると同時に電話は切れた。
（クッソーッ・・・・・・い、いかん恭子君が・・）
康平は、ハンドルを切ると急いで恭子の診療所に向かった・・・・・・・・
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