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（６２）
剛士は、久しぶりに訪れた四郎の店を出ると徒歩で事務所に帰ろうとしていた。
「剛士君、本当に送らなくていいの？」
「ああ、たまには歩くぜ。それに酔いも覚ましたいしな。」
「ははーん、わかった、沙良さんとやるのね。悔しいわっ。」
「お前に、その台詞を言われると、マジ酔いが冷めるぜ。・・・・じゃあな。」
「もう、剛士君ったら・・・また、来てよ。」
剛士は、背中を向けたまま四郎に手を上げて歩き始めた。
表通りから裏道に入り煙草を吸いながらビル路地をゆっくりと歩く剛士・・・
（・・・ふぅー・・飲みすぎたかな・・・やっぱ、沙良に迎えに来てもらうか。）
剛士が、携帯をポケットから取り出し沙良に電話をしようとしたその時、廃虚ビルの前でたむろしていた若い５、６人の男女グループに声を掛けられた。
「おい、おっさん。」
剛士は、電話を持ったまま声を掛けた若者らに振り向いた。
「ん？・・・何か用か、若造っ・・・」
「小遣いくれよぉ・・・」
若い男女らは、ニヤニヤと笑いながら剛士を睨んでいる。
剥げたジーンズ、破れかけの皮ジャンにチャラチャラしたアクセサリーを無数に飾り付けていた。
２人いる女性の一人は、スカートを穿いているものの大きく足を広げてしゃがみ込んでいる。
真っ赤なショーツを恥ずかしげもなく露にさせているが気にも留めていない様子だ。
「・・・ヒヒ・・酔っ払ってるのか、おっさんよぉ・・」
「まあな・・・・・だが、お前らも脳みそが酔ってそうだな。」
一人の男が、怒鳴るように剛士に言い放った。
「なんだとぉーっ！」
「おいおい、女の前だからって、そう粋がるなよ、兄ちゃん・・。」
そう言って、剛士は女にも視線を向けた。
女は、クールを装い、まるで映画俳優を気取るかのように剛士に睨みをきかせている。
「小娘には、赤いショーツは似合わないぜ。」
「・・・・おじさん、アタイらをナメない方がいいわよ。」
「ククッ・・ところで、お姉ちゃん、ションベンでもしたいのか？」
「・・・なんだってっ。」
「あ、いや、便器に跨ってるような座り方をしてるんでな。待てよ、ウンコか？それなら俺の目の前では遠慮してくれ。」
男の一人が、剛士の言葉に怒りを表しながら怒鳴った。
「おい、コラァッ、ざけんじゃねぇーぞ、おっさんよぉ。痛い目に会いたくなきゃ金を置いてきなってんだよっ。」
男の言葉に剛士は、ポケットから小銭を出すと不敵な笑みを見せて若者の前に放り投げた。
「ほれっ、たこ焼きでも買って仲良く食べろ。」
リーダー格であろう男が、一人の男に目を向けて頷いた。
その男は、ニヤつきながら剛士の前に立ちはだかると拳を撫でながら言い放った。
「大人しく金を出せばいいものを・・・・・おっさん、恨むなよ。」
「兄ちゃん、お前こそ恨むなよ。」
「舐めるなぁーっ！」
そう言うと、男は、いきなり剛士の顔面を目掛けてストレートを放ってきた。
「グギャァァァァァァァァァァァー！」
しかし男は、腕を抱えながら大声を出して跪いた。
男の腕は逆方向に折れ曲がっている。
その様子を見て二人の男が剛士を取り囲んだ。
「舐めた真似するじゃねぇーか、おっさんよぉ・・・」
そう言うと、いきなり剛士に飛び掛かっていく。
しかし、剛士は、僅か数秒で男達を倒してしまった。
呻き声をあげながら横たわる二人の男・・・
リーダー格の男が驚いた様子で剛士を見ていた。
剛士は、男には、目を向けず淫らに座る女の股間に視線を移しながら呟いた。
「おっ・・・おねーちゃん、少し漏らしたか？」
二人の女とリーダー格の男は、完全に剛士の実力に肝を奪われている状態だった。
しかしリーダー格の男と二人の女にも小さなプライドがあるのだろう。
いかにも冷静さを装っているという様子が見栄ゞだった。
「どれどれ・・・」
そう言いながら近づいていく剛士・・・
剛士は、オドケながら女の股間に顔を持っていく。
「んーむ・・おねえちゃん、やっぱり漏らしてるぜ、真ん中に染みが出来てる。」
女は剛士の言葉に足を閉じながら立ち上がろうとした。
その瞬間、剛士は女の鼻を指先で真下から弾いた。
「キャッ！」
女は、尻餅を付きながら背中から倒れこんだ。
剛士は、眠たそうな顔で男に言い放つ。
「お前がリーダーか。」
「・・・・」
「仲間がやられたのに、お前は、女と見学かよ。情けねぇーな・・」
「るっせーっ！」
「ふっ、粋がってる割には、足が震えてるぜ。」
男は、恐怖を振り払うかのように剛士に殴りかかってきた。
剛士は軽くフェイクし男の足を軽く跳ね除ける。
男は、前のめりに倒れ転んだ。
「おい、女が見てるぜ。お前の彼女なんだろ。格好いいところを見せろよ。」
男は立ち上がって剛士に向かっていった。
しかし、何度、腕や足を振り回しても剛士の身体にはかすりもしなかった。
いつの間にか、男の仲間達は姿を消していた。
二人いた女も、座っていた女を残し逃げていったようだ。
「おい、おい、お前ら本当に仲間なのか？ お前を置いて逃げていったぜ。ということは、このパンツ見せてたネエちゃんが、お前の彼女ってわけか。」
男は荒い息を吐きながら剛士を睨んでいた。
剛士の言葉に返答するでもなく、再度殴りかかってくる。
既に男の顔は、腫れ上がり腕も上がらない状態だ。
剛士は、男の鳩尾に軽くフックを見舞った。
「グフゥゥ・・・・ウググッ・・・」
「やめてっ・・・もうやめてぇぇー・・・」
女は、剛士に訴えるような悲鳴を上げた。
「うるせぇーっ、黙ってろ有紀っ！」
「有紀っていうのか、ねーちゃん。」
男は無視して剛士に向かっていった。
「ほぉー・・まだ向かってくるか。」
「ほざけぇぇーっ！」
（ふっ・・・なかなかどうして・・・根性あるじゃねぇか。）
剛士は、笑みを見せながら、向かってくる男の膝を軽く蹴った。
「ウギィッ・・・」
倒れこむ男・・・・
彼女であろう、有紀という女は、涙を流しながら二人を見ていた。
剛士は、男の胸座を掴んで立ち上がらせた。
「おい、無駄だ・・・ハンサムな顔が元に戻らなくなるぜ。」
「・・・ぅぅ・・っ・・」
男は、剛士の手を払いのけると、渾身の力を込めて腹にパンチを繰り出した。
剛士は、あえて、それを避けなかった。
男の放つパンチを何度も腹で受け止める。
しかし、鍛え上げた剛士の腹筋は、男の拳をいとも簡単に撥ね返していく。
男は、最後の一発を放つと驚怯しながら尻餅を付いてしまった。
有紀と呼ばれた女が、男をかばうように真横から抱きしめる。
「ハァ、ハァ、ハァ・・・・・ウゥ・・ゥゥゥ・・・」
「どうした・・・もう終わりか兄ちゃん。」
「・・・・も・・・・・もう・・・だ・・駄目だ。とても・、・・・あんたには勝てる気がしねぇ。」
剛士は、無表情で財布から１万円札を１０枚取り出し女に渡した。
「おねえちゃん、こいつの治療費と家までのタクシー代だ。」
男は、差し出した剛士の手を払った・・・
「最後まで格好悪い真似をさせるなよ、おっさん。」
「・・・・」
「これは俺が売った喧嘩だ、恥をかかさないでくれ。」
男は、そう言いながら、ゆっくりと立ち上がった。
剛士から視線を外す事無く、ゆっくりと呟く。
「おっさん・・・何者なんだ。」
「俺か・・・・・俺は、ただの探偵さ。」
「・・・・た・・・・探偵？」
剛士は、手に握っていた金を男のシャツのポケットにねじ込んだ。
「じゃあな、小僧・・・・こんな事してないで働く事だ。」
「小僧じゃねぇ。」
これだけやられた割には、男の眼の光は失っていなかった。
（・・・ふぅーむ・・・・・）
剛士は、男に呟いた。
「お前・・・・・名前は？」
「・・・豪・・・・江口豪だ。」
「豪か・・・・覚えておいてやろう。」
剛士は、そういって豪たちに背を向けると煙草を吸いながら歩いていった。
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「へぇー・・・そんな事が。」
「ああ、結局、考えながら歩いてたら、ここまで着いちまった。」
「でも、よかったわ。剛士の酔いが醒めてエッチできるから。」
「え？・・・今からやるのか・・・」
「当たり前じゃない。起きて待ってたのよ。」
「・・・・・・・いや、そいつらを相手にして疲れちゃったしな。」
「何言ってんのよ・・・あっという間に倒してやったって言ってたじゃない。」
（・・・・・ぐっ・・・いらん事を言っちまったな・・・）
「なに？」
「あ・・い、いや・・・別に・・・」
沙良は、早くも服を脱ぎ始めている。
「おい、そう急ぐなって・・・・・」
「だって、早くショーツ脱がないと汚れちゃうもの。」
「汚れちゃうって？」
「もぉう、剛士ったらっ。 我慢できなくて、お汁が出てきちゃうの。」
「しかし、お前、はっきりいう奴だな。」
「馬鹿っ。」
沙良は、脱いだショーツを剛士に投げつけた。
「まさか、やらないって言うんじゃないでしょうね。」
「あ・・・・いや・・・その・・・・」
沙良は、目を吊り上げて剛士を睨んでいる。
「ハハ・・・勿論、やります。」
「やったぁー！ 早くベッドにいこうよ。」
沙良は、剛士の手を引っ張りベッドに倒れこんでいった。
「お、おい・・・慌てるなぁぁぁぁーっ！」
− 翌朝 −
沙良は、昨夜の剛士とのプレーの疲れで、なかなかベッドから起きないでいた。
だが、剛士は、いつも通りに目を覚まし、朝のトーレーニングを終えていた。
「おぉーい、沙良ぁ・・・飯はどうしたーっ。」
（っかしーな・・・まだ寝てるのか。）
剛士は、沙良の部屋に上がりドアを開いた。
（こ、このやろぉー・・・）
剛士は、毛布を捲って沙良を起こした。
沙良は、何も身につけずに真っ裸で寝ている。
「沙良、起きろっ！」
「・・・・・・ゥゥ・・」
（寝ぼけてやがるな。）
剛士は、沙良の部屋を見渡した。
そして机の上にある鋏を見つけ出す。
（よーし・・・）
剛士は、鋏を手に取ると沙良の恥丘になびく陰毛を切り始めた。
沙良は、ピクリとも動く気配がない。
剛士は、慎重に鋏を陰毛に当てていった。
（ププッ・・・い、いかん・・・笑えて手が震えてくるぜ・・・）
沙良の陰毛は、ほとんど切られ、まるで中学生の坊主頭のようになっていた。
剛士は切った毛をきれいに拾いティッシュに包んでゴミ箱に捨てると静かに部屋を出て行った。
事務所に降りた剛士はコーヒーを入れて新聞を読み始めた。
その時、事務所のチャイムが鳴り響いた。
「ん？・・・こんな早くに誰だ。」
剛士は、新聞を置きドアに向かった。
ドアを開いて外を見ると若い男女が立っている。
「お前らは・・・昨日の・・」
事務所に訪れたのは、昨夜、剛士にコテンパンにされた江口豪と有紀と呼ばれていた女だった。
昨夜の態度から一変し、二人は、神妙な面持ちで立ちつくしていた。
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