（７２）

　−　翌日　−

　事務所では、剛士を囲んで沙良、そして豪と有紀がソファに座っていた。

「剛士、これからどうするの？」
「・・・・・今、李の手下が必死で探してくれている。」
「そう・・・・穂波さん・・・大丈夫かしら・・・」
　心配そうに囁く沙良だが、剛士は、何も答えられなかった。

　この沙良でさえ、異常すぎるほどの屈辱を経験させられたのだ。
　今、剛士の心の中は、締め付けられるような痛みが走っていた。

「剛士・・・・私に出来る事ないかしら。」
「・・・・・沙良、すまんが穂波の家に行って手掛かりになるような物を探してくれないか。」
「ええ・・・わかったわ。」
「伊武さん、俺たちも・・・」
「豪、お前と有紀君に、しばらく事務所を任せる。幸三にも後から連絡して頼んでおくから他の仕事を切り盛りしてくれ。」
「・・ゎ・・・わかりました。」
「難しい依頼があれば断わればいい。」
「・・はい・・」
　剛士は、ソファにもたれると天井を見上げたまま視線を停止させた。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

　穂波は、裸で椅子に座る右京の肉棒を丁寧に舐め上げていた。
　菊門には、巨大なプラグが挿入されている。
「うぅぅ・・・出すぞ・・口を開けろ！」
　穂波は、言うとおりに大きく口を開いた。
　右京は、肉棒を扱きながら穂波の口に目掛けて分身を放出した・・
「クゥゥゥーッ・・・」
　穂波は喉を鳴らして分身を飲み込んでいった。
「ングッ・・・ングゥゥ・・・」
　右京は、グッタリとソファに座り込んだ。
「ボブっ。」
「はい。」
「彼女に入れてやれ。」
「はい。」
　ボブは、ジーンズを脱いで穂波の背後に回った。
　穂波は、ヒップを高く突き上げボブの方に振り向く。

　ボブは肉棒を握りながら穂波の蜜壷に肉棒を当てがった。
　その肉棒は、まるで女性の腕ほどの太さがある。

　穂波は、口を半開きにしながらボブの顔を見つめていた。
　ボブは、穂波にウィンクをしながら蜜壷の中にゆっくり挿入していく。
「ンフゥゥゥゥゥー・・・ぁぁ・・・凄いぃぃ・・・」
　ボブは、穂波の腰を抱えると前後に動かし始めた。
　巨大な肉棒が埋まるたびに、穂波の下腹部が膨れ上がっていく。
「ンゥゥゥー・・・・・気持ちいいぃぃ・・・オ○ンコが気持ちぃぃぃぃー・・」
「穂波っ、俺の顔を見ろ。」
　右京が穂波に声を掛けた。
　穂波は、舌で唇を舐めながら右京に視線を移した。

　右京は、椅子に座ったまま肉棒を自ら擦っている。
　穂波は、顎を突き上げ物欲しそうに右京の肉棒を見入っていた。

「ボブ、遠慮は入らん。子宮が壊れるくらい突きまくってやれ。」
「はい。」
　ボブは、渾身の力を込めて肉棒を打ち付けていった。
　穂波の腰は、何度も上に浮き、喘ぐ口元からは涎が零れ落ちている。
「ググゥゥーッ・・・ウゥッ、ウゥッ、ウゥッ、ンッハァァァァァーッ！」
　次第に右京の肉棒も復調の兆しが見え始めた。
「ボブ、仰向けになって穂波を腰の上に乗せろ。」
「はい。」
　ボブは、そのまま穂波を抱くようにして背中から寝転んだ。
　そして腰の上で穂波の身体を入れ替え抱きかかえた。
　ボブの巨大な肉棒が穂波の蜜壷に深々と埋まっていた。
　右京は、びっこを引きながら二人に近づいていく。
　そして、穂波の菊門に埋まるプラグを抜いた。
「ハウゥゥッ・・・ゥゥ・・」
「ボブ、穂波をしっかりと抱いておけよ。」
「はい。」
　右京は、自分の肉棒にジェルをたっぷりと垂らし始めた。
　根元まで念入りにジェルを塗りつけると肉棒を菊門に当てがった。
「穂波、入れてやるからな。」
　右京は、そう言うと肉棒を菊門に押し込んでいった。
「アヒィィィィィー・・・・・」
　穂波は、右京の肉棒を見事に根元まで飲み込んだ。
　蜜壷には、ボブのものが深々と埋まっている。
　薄い肉襞を隔てて二つの肉棒が両方の穴に突き刺さった。
「どうだ、穂波・・・・感じるかい？」
「ぁぁ・・・痛い・・・・痛いぃぃ・・・」
「ふっ・・もうじき快感に変わるぜ。」
　右京は、肉棒を出し入れし始めた。
「アグァァァァァー・・・・」
　右京は、結合部にもう一度ジェルを垂らした。
　更に滑りがよくなり締め付けられる快感に右京も声を漏らしていく。
「んぅぅーむっ・・・・こりゃいい・・・」
「ハァ、ハァ、ハァ・・・アハァ・・・アゥゥゥゥ・・・・・」
　穂波は、我を忘れてボブの口に舌を差し込んだ。
　穂波の唾液が大量にボブの口の中に流れ込んでいく。

　穂波の両穴は、裂けんばかりに広がっていた。
「ングゥゥ・・アウゥ・・アゥッ、アウゥーッ・・・ウッフゥゥゥゥゥー・・」
　穂波は、激痛で身体が硬直した。
　それでも、右京は、淡々と埋没運動を繰り返した。
　ボブが悲鳴をあげる・・・
「ボス・・・・イキそうです。」
「んむ・・・待て・・・俺もだ・・・」
　右京は肉棒を引き抜くとボブにも結合を解くように命令した。
　そして、穂波を仰向けに寝かせると顎を掴んで口を開かせた。
「ボブっ、口にブチまけろ・・」
　ボブは、自ら肉棒を扱きながら穂波の口に目掛けて分身を発射した。
　同じく右京も爆発をする。
　二人の大量の液体が穂波の口の中に注がれていった。
「穂波、ちゃんと飲むんだ。」
　穂波は、右京の言うとおり喉を鳴らしながら分身を飲み込んでいった。

「ふぅぅー・・・少し休憩するか・・・ボブ、穂波の体を拭いてやってくれ。」
「はい、ボス。」
　右京は、冷蔵庫からビールを取り出し上手そうに喉に流し込んでいった。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

　剛士は、李の店を訪れていた。
「李よ・・・どうだ？」
「伊武・・とりあえず、有力情報が二つあるが、まだ判らんのだ。」
「そうか・・・・・」
　剛士は、項垂れながら椅子に腰掛けた。
「・・・で、その有力情報とは？」
「一つは、杖をついた怪しい男が、ワールドタワーから出てきた所を目撃されている。」「ワールドタワーか・・・」
「ああ、あそこは、世界中の貿易物を取り扱ってるが中東の人間が多い。」
「・・・で、もう一つは？」
「黒人らしい男が、シュラフを担いでワゴン車に乗せたのを見ているんだ。」
「シュラフか・・」
「んむ・・・中に人が入っていた可能性もある。」
「・・・・・・」
「今、その付近を中心に手下を貼り付けている。」
「・・李・・・・・面倒かけてすまん。」
「なに・・・お前には、力を貸す義理がある。遠慮するな。」
　剛士は、小さく溜息をついて煙草に火をつけた。
「伊武・・・今度は、とどめを刺そう。」
「・・・・・」
「奴を生かしておくと、かなり面倒だ。」
「しかし・・・場所が判らん事にはな。」
「伊武・・・焦りと憶測は禁物だぞ。」
「・・・・ああ」
　その時、李の携帯に電話が入った。
「私だ・・・・んむ・・・・」
　李は、しばらく無言で相手の話を聞いていた。

「解った。それが確かなら、もう一度連絡をくれ。」
　李は、電話を切ると剛士に視線を移した。
「伊武、さっき話した黒人男性は、間違いなく右京の仲間だ。」
「・・・ということは。」
「シュラフの中は、間違いなく門田という女性だろう。」
「なぜ、それが？」
「奴が彼女を運んだワゴンを発見したんだが、盗難車だった。」
「・・・・だろうな。」
「車の中に、紅色の着物と割烹着があったそうだ。
「・・・・・ほ、穂波だ・・・」
「更に今朝、コンビニで、プラムとチェリーを買ったそうだ。」
「プラムとチェリー・・・」
「んむ、俺の手下が店の店員に、ブラックリストを見せたら正体がわかった。」
「誰だ？」
「・・・要人暗殺専門で国際指名手配されている、ボブ・ハウアー・・」
「ボブ・ハウアー？」
　李は、ブラックリストを棚から取ると剛士に手渡した。
　資料をめくる剛士・・・
（・・！・・こいつか・・）
　剛士は、資料を閉じると利に返し質問をした。

「昨年、フロリダで上院議員５名が殺された事件を覚えているか？」
「ああ。全員が額を一発づつ打ちぬかれたらしいな。」
「・・・余弾なしで、全て一発で仕留めている。その男がこのボブ・ハウアーと言う噂がある。」
　剛士の目が鋭く光った・・・・・
「なるほど・・・・右京の奴、得意のずる賢さで、こいつを匿ったか。」
「恐らくな。奴は、昔からそうだったが、暴くれ者を囲う術に非常に長けている。恐らく、自分の不自由な身体を補うためのボディーガードでもあるかもしれん。」
「・・・・・・相手に不足はない。」
「伊武・・・侮るな。奴らには人質がいる。」
「・・・・・そうだな。」
　そう言った剛士の据わった目を見た李は、背筋に強烈な悪寒が走った・・・・

「ボブ、俺は少し寝るから、穂波にクラッチチェンジの練習をさせておけ。」
「はい。」
　右京は、そう言うとウィスキーをあおりソファに寝転んだ。
　ボブは、冷蔵庫からプラムとチェリーを一つずつ小皿に入れて穂波の寝るベッドに運んだ。
「おい、起きろ。」
　ボブは、穂波の肩を揺すった。
　虚ろな目でボブを見る穂波・・・
　穂波は、裸のボブを見て反射的に肉棒を咥えていった。
「ふっ・・ようやく板についてきたな。」
　ボブは、そう言うと穂波の髪の毛を引っ張り肉棒から引き離した。
　更に小皿に乗っているプラムを穂波の口の中に入れた。
「おっと、食べるんじゃないぜ・・・歯を当てても駄目だ。」
　穂波は、静かに頷いた。
「よく聞け。俺は、チェリーを口の中に入れる。それを舌だけで互いに交換し合うんだ。いいか。」
「・・・・」
「それから、手だけで互いの性器を愛撫し合う。わかったな。」
　ボブはそう言うと、チェリーを口の中に入れた。
　ベッドに座り穂波を抱き寄せるボブ・・・

　穂波は、ボブの首に手を回し唇を近づけた。
　ボブは、チェリーを舌で押し出し穂波の口の中に入れていく。
　穂波は、それを受け取ると同時にプラムをボブの口の中に入れ返した。
　ボブが、穂波の蜜壷に指を挿入すると、穂波もボブの巨大な肉棒を握り丁寧に擦り上げていく。
　クラッチチェンジと互いの性器の愛撫を繰り返す二人・・・
　互いの口からは、大量の唾液が零れ始めている。
　ボブの指が、肉壁を擦るたびに穂波の唾液量が増加していった。
　どれくらいの時間がたっただろうか。
　二人の胸元から腹部に掛けて大量の唾液が付着していた。

（７３）

「ボブ・・・交代するか？」
　口を離したボブが返事をする。
「はい。」
「ボールチェーンと卵を持って来い。」
　ボブは、ベッドから降りると隣室に、それを取りにいった。

　ベッドに戻ったボブは、卵を割ると白身だけを捨て黄身の入った殻を右京に渡した。
「よし、穂波・・・仰向けになって足を開け。」
　穂波は言うとおりにベッドに寝転んだ。
　足を抱え込み足を左右に広げていく。
「ボブっ。」
「はい。」
　ボブは、金属製のボールが繋がったチェーンを持って穂波の股間に移動した。
　チェーンは長く、ボールも２０個は繋がっている。
　ボブは、そのボールを穂波の菊門に一つずつ挿入していった。
「ンッ・・・アンッ・・ウゥッ、ウゥッ、ウゥッ、ウゥッ、ゥゥゥ・・・」
　全てを埋めたボブは、右京に振り向き頷いた。
「ご苦労・・・・穂波、次はこの黄身を潰さないようにディープチェンジするぞ。」
　右京は、そう言うと殻に入った黄身を口に含んだ。
　仰向けに寝る穂波を四つん這いにさせると右京は、床に座った。
　ゆっくりと穂波の口に黄身を移動させていく。
　穂波は、それを受け取ると慎重に返していった。
「ンフゥゥゥー・・・」
　四つん這いになった穂波の股間からは、糸を引きながら透明な蜜が零れ落ちていた。
　右京は、黄身を穂波の口に移し変えるとボブに合図を送る。

「ボブ、ゆっくり抜いていけ。穂波・・何があっても黄身を潰すなよ。」
「ンゥゥゥー・・」
　右京は、再度、黄身のクラッチチェンジを開始した。
　ボブは、穂波の背後に回り、菊門に挿入したボールを一つずつ引っ張り出していく。
「ングゥゥゥゥー・・・・ゥゥゥゥ・・・」
　穂波の全身に鳥肌が立ち始めた。
　乳首は、これ以上なく硬く突起し触れるだけで昇天しそうな様子だった。

　ボブは、興奮しながら穂波の菊門から姿を現すボールに見入っていた。
　引くたびに菊門が広がり、皺が伸びきったかと思うと飛び出すようにボールが踊り出てくる。
　そして、遂に最後のボールを抜いた瞬間、穂波は我慢していた下腹部の緊張が解け、勢いよく放尿を開始した。
　それを見た右京は、黄身を飲み込み声を発する。
「クククッ・・・よく耐えた、・・・素晴らしい・・」
　穂波の顎は、麻痺し口を閉じる事が出来ないでいた。
　右京は、立ち上がると怒張した肉棒を穂波の口に挿入した。
「穂波、今の調子で舌を絡めてみろ。」
　穂波は、下から右京を見上げながら舌を動かし始めた。
「くぅぅ・・・いいぞ・・・んーっ・・これはいい。」
　穂波は、更にスライドをしながら舌を絡めていく。
「んむぅぅー、最高だ・・・最高にいい・・ボブ・・穂波をイカせてやってくれ。」
　ボブは、冷笑しながら穂波の蜜壷に肉棒を挿入した。
「ングゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥー・・・」
　穂波は、肉棒が入った瞬間に白目を向いて昇天してしまった。
　手の力を失い顔からベッドに落ちる穂波・・・

　しかし右京は、気を失った穂波の口の中に肉棒を入れたまま動かし続けた。
　同じくボブも穂波の腰だけを持ち上げ肉棒を打ち付けている。
「ボブよ・・・中には出すなよ。出すならア○ルに出せ。」
「はい。」
　ボブは、肉棒を引き抜くとその巨大なモノを菊門に挿入した。
　痛みで目を覚ます穂波・・・
「ングググググググッゥゥゥゥゥー・・・」
「穂波っ・・歯を当てるんじゃない。」
　穂波は、涙を浮かべながら再度、舌を駆使し始めた。
　ボブは、野獣のような声で叫びながら穂波の菊門に分身を爆発させた。
　ボブは、大きく息を吐きながら、ゆっくりと肉棒を抜いていく。
　パックリと開いた穂波の菊門は分身を吐き出す事無く、ゆっくりと閉じていく。
「ボブ・・・ゥゥ・・ボブ・・・カクテルグラスを持ってこい。」
「はい。」
　ボブは、グラスを取って戻ってくるとそれを右京に手渡した。
　右京は、穂波の口から肉棒を抜くと零さないように慎重に分身をグラスに放出していく。
「ふぅぅぅー・・・」
　右京は、それを床の数箇所に零すとグラスを手渡した。
「舌でグラスを綺麗にしろ。」
　穂波は言われたとおりに舌を伸ばしグラスに付着した右京の分身を拭き取っていく。
「穂波、次は、床に零した俺のリキッドを舌で全部拭うんだ。」
　穂波は、ベッドから降りると、犬が這うように床に零した分身を舐め上げていった。
「フッ、フッ、フッ、・・・フハハハハハハハハハハッ・・・・」
　右京は、穂波の姿を見て高笑いをした。
「ボブ、後からビデオを伊武の事務所に置いて来い。」
「はい。」
　右京は、びっこを引きながら部屋を出て行った。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「伊武っ、今連絡が入った。怪しい場所を見つけたらしい。」
「何処だ？」
「県境の岬だ。ここに電力会社の別荘がある。」
「別荘？・・・・で、そこに入るのは確かなのか？」
「林道で工事をしている人間が、ボブを見たらしい。」
「・・・・・・そうか・・・」
「今の時期は、ここを利用する者はいない。絶好の隠れ場所かもしれんぞ。」
「しかし、見晴らしが良すぎるな。迂闊には近づけんぞ。」
「・・・・まあ、私に任せておけ。」
「任せるって・・李よ・・・俺は、一刻も早く穂波を・・・」
「伊武、焦ると自分の命も失うぞ。」
「・・・・・そうだな。・・・・わかった。」
「明日の夜に作戦決行だ。」
　李は、そう言うと、剛士に武器を選ぶよう促した。

　夕刻に近づいた頃、沙良から剛士に連絡が入った。
「沙良か？　どうした・・」
『いま、買い物から帰ったらポストにビデオテープが入っていたんだけど。それが、例のスズメバチとアゲハ蝶のマークが張られてて。どうしよう？』
「何だと・・・沙良、それを持って李の店に来てくれ。」
『ええ、解ったわ。』
　剛士は、妙な胸騒ぎを覚えた。

数十分後

「伊武、沙良さんが来たぞ。」
　沙良は、ビデオテープを持って部屋に入ってきた。
「剛士・・・これ・・・」
　ビデオーテープを受け取る剛士・・・
　表面にはクレィジィータンデムのシールが貼られている。
　剛士は、李の顔に視線を向けると小さく溜息をつきながらビデオデッキにテープを挿し込んだ。
　いきなり穂波の剃毛された股間がアップで映し出された。
　注射を打たれるシーンや、右京の肉棒を咥えさせられるシーンが延々と続いていく。
　沙良は、とても見ていることが出来ず、顔を真っ青にしながら部屋を出て行った。
　李は、顔を顰めながらモニターに見入っていた。
　剛士は、表情をかえる事無く動揺もしてないように見える。
　李は、目だけを剛士に向け様子を伺った。
　その時、剛士の背中が盛り上がったように見えたかと思うと全身の筋肉が不気味な音を立てて鳴り響いた。
（・・・・い・・・伊武・・・・）

　剛士は、相変わらず微動だにせずモニターを見ている。

　李は、剛士の身体から発せられる怒りからか、部屋の空気が一気に澱んだ事を感じた。
　剛士に気を使い、静かに部屋を出る李・・・・・・
　だが、李が部屋を出た瞬間、中から凄音が響いた。
　慌ててドアを開け中の剛士を見る李・・・・
　剛士の横にあったテーブルの足が崩れ、真ん中から真っ二つに割れていた。
「・・・伊武・・・・・その怒りは、明日まで取っておこう・・・・・」
「・・・・・・」
　剛士は、李に返答する事無くモニターを注視していた。

（穂波・・・・待ってろ・・・こいつらを地獄に送ってやる・・）

−　翌日　−

「幸三、出来たか？」
『ええ、今終わりました。』
　剛士は、李の店から手に入れたプラスチック爆弾のリモートを幸三に作成してもらっていた。
「よし、いま李の店にいる、持ってきてくれ。」
『はい。』
　剛士は、電話を切ると李と、その仲間に説明をした。
「今からＰボムを俺の仲間が持ってくる。これを別荘に仕掛けて欲しい。」
　李が、手下達に問うた。
「出来るか？」
「はい。海岸から上がっていこうと思います。」
　李の手下の一人が自信有り気に即答する。
「よし。　伊武は、陽が落ちて直ぐに侵入する。それまでに、仕掛けを終わらせておくように。」
「解りました。」
　李が剛士に喋りかけた。
「伊武よ。少なくとも７人の男達が別荘の入口付近で見張っている。奴らを見つからないように始末しないと、彼女の命は危ないぞ。」
「んむ。」
「どうする？」
「狙撃するつもりだ。」
「道具は？」
　剛士は、立ち上がって壁に掛けられている銃器を選び始めた。
「・・・・・・これにしよう。」
「なるほど・・・まあ、お前の腕なら問題ないだろう。」
　剛士が手にしたのは、スナイパーライフルだった。

　アサルト・ライフルＧ３をベースに作られたセミ・オートマチックのスナイパー・ライフルでとても高性能であり値段も高価なことから「＄１０，０００ライフル」と呼ばれることもある。
　弾は、７．６２ｍｍＮＡＴＯ弾を使用
　肉厚の６５０ｍｍポリゴナル・ライフリング・バレルを装備しチーク・ピースやトリガー・シュー等のパーツは射手の体格に合わせて位置を調整できるようになっている。
　ドイツＧＳＧ−９等で使用され、主に対テロ機関向けの狙撃用ライフルである。

　銃を手にして器用に操作をする剛士・・・・
　手馴れた手つきと、その表情に、李の手下達は剛士が只者ではない事を察した。
「フフッ・・・・お前らは知らないかもしれないが、この伊武はもとＳＡＳの対テロ部隊を率いていた男だ。覚えておくんだな。」
　一瞬にして肝が縮み顔が蒼ざめていく手下たち・・・・
「・・・・・・」
「さて、タイムスケジュールを組もう。」
　剛士の言葉に皆がテーブルを囲んだ。