（８８）

「沙良、手の動きを止めるなよ。愛撫をしている感覚でな。」
「え・・・ええ。」
　沙良は、松倉の肉棒を丁寧に刺激していった。
　松倉は、歯を食いしばって我慢しているようだが薬の威力には勝てなかった。

「松倉、近藤薫とは、肉体以外にはどういう関係だ。」
「うぅぅ・・・・し、知らん・・・」
「そうか・・・我慢にも限界があるぜ。大事な物が不能になる。」
「ウグククッ・・・」
「沙良、そのシリコン製のホールで摩擦してやれ。」
「・・うん。」
　沙良は、男性専用の自慰用シリコン製ホールを手に持った。
　別名、オナホールと呼ばれる性玩具である。

　沙良は、たっぷりとジェルをオナホールに垂らして両手で肉棒に被せていく。
「ク・・・ククッ・・・・・ウゥゥゥ・・・」
「フッ・・・気持ち良さそうだな・・・しかし、徐々に苦痛に変わっていくぜ。」
「せ・・先生、絶対に・・・絶対に喋っちゃだめよ・・・殺されるわよ。」
「黙れっ。」
　剛士は、薫の蜜壷に填るバイブレーターを回した。
「アググゥゥゥゥゥゥ・・・・」
　薫の全身は、真っ赤に染まり、風が肌に触れるだけで快感が襲う状態だった。
「・・イィィ・・・・・アァァ・・・・クゥゥゥゥー・・」
　すかさず電気を流す剛士・・・
「ウギィィィィィィィィィィィィーッ！」
　薫は、ショックで気を失い失禁し始めた。
「まだまだ、こんなもんじゃないぜ。」
　再度、電気を流し薫を覚醒させる・・・・
「グッフゥゥゥーッ・・・」

「さて、松倉さん、答えてもらおうか。」
　松倉の肉棒は、どす黒く変色し血管が破裂しそうな勢いで浮き出ていた。
　既に、分身を放出する状態なのだが、根元に填るゴム製のリングが、それを邪魔していた。
「ククッ、苦しいだろう。我慢しすぎると気が狂うぜ。」
「アガガガッ・・・」
　松倉は、底知れぬ恐怖で身体を震わせている。
「言えば楽にしてやるぜ。」
　松倉は、水飲み鳥のように何度も頷く・・・
「よし、言う気になったようだな。・・・・・お前は、近藤薫の何だ？」
「ば・・・売春させる・・・女学生・・・を紹介・・・し・・てる。」
「それから？」
「ちょ・・・直接・・・相手と・・・会って・・・・・・・交渉を・・」
「相手？・・・・交渉とは何だ。」
「ぶ・・・武器購入の・・・資金運用・・を・・」

　剛士は、李と目を合わせると、予想通りの答えに頷きあった。

「なるほど・・・・・その、相手はどういう男だ？」
「・・・に・・・日本人だ・・・名前は判らない・・・」
「日本人？・・・・・組織名は？」
「きょ・・・きょく・・・」
「先生っ・言っちゃ駄目ぇぇ・・・殺されるわよっ！」
　薫が、必死の形相で松倉に叫んだ。
　剛士は、薫に近づき顎の間接を外した。
「アガガァァァァッ・・・アーッ・・・」
　松倉は、恐怖と苦痛で全身に脂汗をかき始めている。
「言えっ！」
「・・・・きょ・・・極東・・・み・・民・・・族・・・・戦線・・共同体・・」
「！・・・なんだとぉぉぉーっ！」
　剛士と李は、同時に大声で叫んだ。

「い・・・伊武・・・」
「李っ・・・・・ま、まさか・・・・」
「・・・・・・」
　剛士は、松倉に近づいた。
　沙良が、剛士の異様な雰囲気で手の動きを止めてしまう。
　剛士が、低くゆっくりとした口調で質問を重ねた。
「おい、その男は、両耳がなく、頬に傷があり・・・そして片足も・・・・」
「そこまで言うと、松倉は首だけで何度も頷いた。」

（・・・・やはり・・・・・・生きていたか。）

　ゆっくりと後ろを振り向く剛士・・・
　剛士と目を合わせた李が、椅子に勢いよく尻餅をついた。
「伊武よ・・・・・と・・・とんでもない事に・・・」
　剛士は、松倉に振り向くと、鋭い視線を投げた。

「・・・松倉よ・・・資金を渡す期日は？」
「２・・・２ヵ月後に・・・・」
「いま、天無教は、どれだけ資金を貯め込んでいるんだ。」
「・・や・・約・・・ひゃ・・・百・・七十億・・・・だ・・・」
「・・・・・・・売春クラブだけで、それだけは貯まらんだろう。」
「石油・・・ちょ・・・調査・・団の・・・資金・・りゅ・・流用を騙して・・」
「何？　詳しく話してみろ。」
　剛士は、松倉の顔に耳を近づけていく。
　松倉は、恐怖に慄きながら、ゆっくりと話し始めた。

　昨年、国家政策の関連事業で行った日本石油開発の調査資金と各企業の探索費用の運用赤字が１４０兆円あったのだが、実際は、その肩乗せとして流用が可能だった。
　帳簿に載らない資金だけで２兆円はあり、その行方は調べられる事はない。
　松倉は、その支出の仕組みに詳しく、天無教の名を使って脅しをかけ１００億円あまりを騙し取ったのだった。
　更に一部を国債に変換し、株にも手をつけ資金を増やしてきた。
　当然、その手法は公正な物ではなく、あらゆる伝手と違法な手段を使ってである。

「なるほど・・・松倉さん、その手腕もそうだが、あんた相当顔が広いようだな。」
「・・・・・」
「で、その金を手に入れるために何人の人間が死んだ？」
「・・・そ・・・それは・・・・・わ、私は・・・」
「アンタじゃないだろうが、それを実行する奴は誰だ？」

　薫が必死の形相で呻き声をあげながら激しく首を振っている。
　松倉は、顔を顰めながら薫から視線をずらした。

「言えよ・・・・・言って楽になったらどうだ。」
「ぅぅぅ・・・・・ぐっ・・・・・こ・・・殺される・・・・」
「執行するのは・・・・・・大井右京・・・・片足のない男だな。」
　松倉は、剛士の言葉に頭を垂れた・・・・・

「松倉さんよ・・・教祖の近藤つかさは、どういう女だ。」
「・・・・・・・」
「日常生活、性格、言動、全て話せっ！」
　松倉は、もはや逆らう気力はなかった。ゆっくりと剛士の質問に答えていく。

　普段のつかさは、一日中、個室に入り浸り、若い信者を何人も呼びつけては、あらゆる性戯を楽しんでいた。
　入浴時にも若い男の信者を引き連れ、洗髪は当然ながら、数人で体を洗わせるのが日課だった。
　驚く事に、トイレにも信者を連れて行き、用を足した後につかさの股間まで処理させていたのだ。

　さらに、何人もの内部報告者を作っており、本人や天無教の批判、悪口等を聞きつけるとその信者を呼びつけ目の前で拷問をするのも楽しみの一つだった。
　性格は、陰険で独裁的、言動も横暴で意見をする事など許されなかった。
　ただ、薫だけは目に入れても痛くないほどかわいがっており、何かにつけて、つまらぬ事でお節介を焼くほど気に掛けているのだ。

「・・・なるほど・・・やはり狂っているな。」
「・・・・・・・」
「つかさは、何故、極東独立民族戦線と手を組む事になったんだ？」
「・・・・・か・・・神の・・お告げ・・・と」
「・・・・馬鹿らしい。・・・・本当の事を言え。あんたの推測でもいい。」
「お・・・恐らく・・・恐らく、国際テロ組織の中核として、支配的立場に君臨しようと思っているのでは・・野望・・・」

　李が、震える声で剛士に言い放つ。
「・・・伊武・・・・強行手段しかない。」
「んむ。」
「だが、教祖のつかさが、外出するのを待っておれん。」
「判った・・・・薫に電話させよう。」
　剛士は、薫に近づくと外れた顎関節を元に戻した。
「フゥゥゥー・・・アァァ・・・ウグゥゥ・・・」
「さて、手を貸してもらうぞ。お前さんの母親を呼びたい。」
「・・・・・こ、断わるわ。アンタ程度に口を割るなんて恥よ。」
「そうか・・・・・仕方がないな。俺を怒らすと、どうなるか見せてやろう。」
　剛士の目の色が急激に変化した。
　薫は、まるで地獄に引きづり込まれるような錯覚に陥る。
　全身が硬直し２回目の失禁が始まった。

「沙良・・・・・外に出ていろ。」
「・・・ぅ・・・・うん。」
　器械音のような単調な剛士の声に息を飲みながら部屋を出て行く沙良・・・

　剛士は沙良が部屋を出たのを確認すると、薫の両乳首にも金属製のクリップを嵌めた。　さらに金属棒を菊門に刺す剛士・・・・
「ァァ・・ァヮヮ・・・・・ィ・・・・イヤァァァァァァァーッ！」
　蜜壷に挿されたバイブレーターを抜き、朦花夢を指でたっぷりと掬うと中に塗りこんでいく。
「・・・・・さて・・・と・・・」
　剛士は。再度、バイブレーターを挿入しスイッチを入れた。
「ングゥゥゥッゥ・・・・・」
　剛士の目が据わった。

　薫は、まるで亡霊に見つめられている錯覚に陥りながらも激しく襲う快感に全身をくゆらせていった。

（８９）

「ハゥゥゥゥゥー・・・・」
　薫は、子宮の底から湧きあがる快感に、我を忘れるほど酔いしれていた。

　剛士は、一時も目を離さず薫を観察する。
　薫の下腹部が小刻みに痙攣し始めた。
「ゥゥゥ・・・・・・アハァァァァ・・・アゥゥゥゥー・・・ゥゥゥゥーッ！」

　剛士は、薫の昇天ギリギリのところで電流を流した。
　乳首と女芯、そして菊門に挿された金属が、小さな微震音を立てて唸る。
「ウギャァァァァァァァァァァァァァァァーッ！」
　気を失う薫・・・
　しかし、強制的に電流を流し覚醒させる剛士・・・
　ショックで顔を蒼ざめさせる薫だが、直ぐに快感が襲ってくる。
「・・・や・・・やめて・・・・・やめてぇぇぇぇぇぇぇーっ！」
「つかさを呼ぶか？」
「・・・・・・・」
　薫は、歯を食いしばった。
　目を真っ赤に充血させ、涎や鼻水を流している。
「なるほど・・・・しぶといな。それだけ親子の野望は強いというわけか。」

　李が、剛士に提案をした。
「伊武・・・・・時間の無駄かもしれん。松倉を使うか。」
「ん？」
「松倉に電話をさせるんだ。」
「・・・・・そうするか？」
「今から手下に連絡をしておく。車には、既に工作はしてある。」
「判った。そうしよう。」
　二人の会話に、薫は慄いた。
「・・・・・・ふ。二人とも・・・・た・・ただで済まないわよ。」
「さて、それはどうかな？」
　剛士は、不敵な笑いを見せると松倉に近づいていった。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「皇女様、今日は、薫お嬢さんから連絡がないですね。」
　つかさは、側近の信者を見ると虚ろな目で呟いた。
「どうせ、松倉先生と、いい事してるんでしょ。」
　つかさは、ソファに腰掛けて大きく足を開いていた。
　数人もの若い信者が交代で、つかさの蜜壷に舌で愛撫をしている。

「しかし、明後日は、大井様からの最終打ち合わせが・・・」
「わかったわ・・・後から聞くから静かにしててよ。」
「・・・・は・・・はい。失礼しました。」
　つかさの周りには、１０人ほどの若い信者が、自ら肉棒を握りながら上下に扱いていた。
「あなた下手ねぇ、交代よ。」
「はい。」
　つかさは、そう言うと煙草を咥えた。
　すかさず、火を点けに走る信者・・・

「そこの二人、オッパイを吸うのよ。」
　つかさの命令に急いで二人の信者が駈け寄ってくる。
　二人の男は、つかさの乳首をそれぞれ口に含み舌で転がし始めた。

「あなた・・・後よ。」
「はい。」
　さらに、もう一人の信者が、つかさの背後に回りうなじに舌を這わせていく。
「・・・・ァァァ・・・いいわぁ・・・気持ちいい・・その調子よ。」
　つかさは、全身を舌で愛撫され快感に酔いしれていた。
「さ、そろそろ、入れて・・・連続で射精しなさい。」
　男らは、肉棒を握り、つかさの前に一列に並んでいく。
　つかさは、蜜壷を開いて最初の男を迎え入れた。
「失礼します。」

　一人目の男が、つかさの蜜壷に肉棒を挿入した。
「アフゥゥゥー・・・ぁぁ・・ぅ・・動かしなさい・・激しく・・・もっと早くっ！」
　男は、必死に腰を動かした。
「・・・ウグッ・・・皇女様・・・・いきます。」
「ぁぁ・・たくさん出してぇぇーっ！」
　一人目の男が、つかさの蜜壷の中に放出した。
　すかさず２人目の男が、挿入していく・・・・
「ハグゥゥゥー・・・・いい・・いいわぁぁぁー・・・」
　放出しては、次の信者が入れ替わり立ち代り、つかさに覆い被さっていく。
　つかさは、結合部を注視しながら狂乱していた。
「ウッフゥゥゥゥゥゥー・・・イクゥ・・・オ○ンコ、イックゥゥゥゥゥー」
　つかさは、残り数人を残して昇天してしまった。
「フゥ・・・・アゥゥ・・・ゥゥ・・・・」
　残った男らは、一斉につかさの前に立ちはだかる。
　そして、肉棒を扱きながら、つかさの恥丘の上に分身を放出していった。
「・・・はぁ・・・はぁ・・・・もっと・・・もっとよ・・・」
　つかさは、恥丘に落ちた分身を手の平で腹部に広げながら余韻に浸っている。
　そこへ、側近の信者が、受話器を持ってつかさの前に現われた。

「皇女様、松倉先生からお電話です。」
「えっ・・・もぉぅ、こんな時に・・・・」
　つかさは、側近を睨むと、渋々、受話器を手に取った。
「先生っ・・今いいところだったのに。」
『も・・・申し訳ない。』
「薫と一緒だったんじゃないんですか。」
『え・・ええ、いまベッドで横になってます。』
「フフッ、薫を可愛がったところかしら？私に似てエッチだからね、あの娘も・・」
『は、はぁ・・・・実は、今から薫君のマンションに来て欲しいんですが。』
「えぇ？・・今から・・・・・何で？」
『実は、資金を倍にする方法がありまして、皇女様に説明したいのです。』
「明日でいいじゃない。」
『それが、今、流用していいという本人がいるんです。』
「え！・・・・そうなの？」
『はい。かなり短い期間で、目標資金に到達できると思います。』
「わかったわ。・・・そうね・・・１時間後に行くわ。」
『お待ちしてます。』
　つかさは、側近に受話器を放った。

「苗場、少ししたら薫のマンションに行くよ。用意しなさい。」
「はい。」
　苗場と呼ばれた側近の男は、頭を下げて部屋を出て行った。

「さ、あなた達、綺麗にして。」
　男らは、丁寧に担ぎ上げるとつかさを浴室に運んでいった。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「よし、なかなか上手く喋ったな・・・」
　薫が、凄い形相で松倉を睨んでいる。
　松倉は、顔を顰めながら視線を下に落とした。

「伊武、いま、手下に連絡した。マンションに着いたら直ぐに連れてくるだろう。」
「んむ。」
「俺は、天無教の資金ルートを遮断する作業をしてくる。」
「出来るか？」
「ああ・・・ま、その松倉って男の言ったことが本当ならな。」
　そう言って、李は、松倉を見た。
　天無教の資金は、教団本部の大型金庫に保管されている。
　株券、積券、不動産証書、国債証書の全てがあるという。
　２日後には、これら全てがスイス銀行に入れられてしまうのだ。

　李は、つかさが空になる今がチャンスと読んだのだ。

「李よ、くれぐれも気をつけろよ。」
「大丈夫だ。奴らは、所詮素人、俺が、血の砂漠で、やってきた事を思えば・・・・・」　李は、そこまで言うと、剛士を見ながら申し訳なさそうに口を閉じた。
「李・・・・・気にするな。今は、お前の力が必要だ。」
「伊武・・・す、すまん・・・・・」
「いいんだ。」
「それから１７０億もの金だ。運ぶのには恐らく明日の朝まで掛かるだろう。終わったら連絡する。」
「わかった。」
　剛士は、椅子に腰掛けると煙草を口に咥えた。
　薫が、小さく、しわがれた声で剛士に問い掛ける。
「どうして・・・・どうして、こんな事するの・・・狙いは何よ。」
　剛士は、目だけで薫を見た。
「どうしてだと・・・お前・・・・自分が何をしているのか解ってるのか？」
「・・・・・・」
「お前らが、やろうとしている事は、とんでもない事なんだぞ。」
「て・・・天無教は、そんなんじゃない。私達は・・・私達は世界を・・・」
「馬鹿野郎ぉぉーっ！」
「ヒィーッ・・・」
　剛士の怒りに満ちた怒鳴り声に薫の身体が硬直した。

「天無教に誘いを掛けてきた大井右京と言う男はな、元国際テロリストだ。奴は、血の砂漠という組織の中心人物で、世界を震撼させた一人なんだ。」
「・・・・・・民族・・共同体を・・確立するために・・・」
「だから、大馬鹿野郎ってんだ。今までの歴史上、それを成功させた奴がいるか。信用って言葉は奴には通じない。お前らは、その大馬鹿野郎共に騙されてるんだ。」
「・・・・・」
「そして、手段を選ばず金を儲け、邪魔者を殺し・・・・世界を手玉に取ろうと企んでいる。何が、民族共同だっ！」
　剛士は、煙草を指で潰して床に捨てた。

「お前ら母娘のやってきた事は、死に値する。」
「・・・・・・・・・」
　薫は、不安を通り越し恐怖で身体中を縛られている状態だった。
　剛士が使う専門用語や口を割らせる技術、対人心理、そして拷問法・・・
　そして身体全体から醸し出される独特な雰囲気と迫力・・・
　薫は、もはや剛士と言う男が、尋常ではない存在であることに今更ながらに気付きはじめていた。