（１０６）

　沙良は、繁華街を一人でぶらついていた。
　剛士は、昨日から李と韓国に出かけており３日後にしか帰国しない。
　豪も有紀も、休暇を貰い二人で旅行に出かけているため付き合う相手がいなかった。

（あぁーぁ、暇だなぁ・・・・）

　沙良は、そんな事を思いながら駅前のメイン通りを越え、セントラルホテルのロビーに入った。

（一人で飲もうかな・・・）

　そう決めると、沙良の行動は早かった。
　最上階にあるラウンジの一角に夜景を見渡せるバーがある。
　以前、剛士と来た事があり、その店を覚えていたのだ。
　早速、沙良はエレベーターに乗りバーに向かった。

「いらっしゃいませ。」
「奥のパノラマカウンターいいかしら？」
「どうぞ。」
　店員に案内され沙良は、ガラス張りのカウンターに腰掛けた。
　バーテンダーが、沙良に注文を聞いてくる。
「お飲み物は？」
「そうねぇ・・・・ワインを頂こうかな・・・」
「こちらにラベルで表示してあります。」
　バーテンダーが、優しい言葉で棚を指さした。
　沙良は、棚に視線を移しラベルを確認する。
「そうね・・・・ボルドォー・・・・・そう、シャトー・ディケムを頂くわ。」
「かしこまりました。・・・・何かおつまみでも・・・」
「ええ。・・・・じゃ、カマンベールとサーモンスモークを。」
「はい。」
　バーテンダーは、手際よくグラスをクロスさせコースターを置くと共にグラスを載せる。
　バーテンダーは、ワインセラーからシャトー・ディケムを持って沙良の前に立った。
　パッケージを剥き、コルクを慣れた手つきで開けていく・・・
　磨き上げたグラスにディケムを丁寧に、そして優雅に注いでいった。
「どうぞ。」
　沙良は、熟練されたバーテンの腕と仕草に感嘆しながらディケムを口に運んだ。
「美味しいわ。」

　シャトー・ディケムは、フランスのボルドーが誇る貴腐ワインの最高傑作で、ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼ、ハンガリーのトカイ・アスー・エッセンシアとともに、世界三大貴腐ワインといわれている。
　ある条件下で貴腐菌がブドウに付き成長すると、この菌はブドウの果皮に非常に小さな穴を開ける。
　この穴により果汁内の水分が蒸発しブドウは非常に糖度の高い凝縮されたものとなる。
　このブドウから造られたワインは貴腐ワインといわれ、甘味のある香り豊かな非常に素晴らしいものなのだ。

「貴女の巧舌に敬意を表します。」
　バーテンダーは、にっこりと微笑むと、つまみのサーモンスモークを洒落た透明の皿に並べて沙良に差し出した。
　沙良は、夜景を見ながらワインを喉に流し、甘く蕩ける様に口に広がるディケムの感触を楽しんだ。
　沙良は、夜景とワインに夢中になっていた。
　３杯目のワインに手を掛けたとき一人の男性が沙良に声を掛けてきた。
「失礼・・・・お一人ですか？」
　振り向く沙良・・・・

（わっ・・・格好いい男・・・・）

「・・・え・・・ええ・・・・」
「よろしかったら、ご一緒させて頂けませんか？」
「え？・・私とですか・・」
「私も一人なんです。日本は久しぶりで・・・・時間も潰せなくて。」
　男は、少し訛った日本語でそう答えた。
　沙良は、物腰低い男の雰囲気と態度を読み取り危険はないと察した。
「・・・・ええ・・・・私でよければ・・・」
「どうも。」
　男は、沙良の隣に腰を降ろした。
　ブランデーをロックで注文するとバーテンダーは気を利かせて、その場所から少し離れていく。

「あの・・・・日本が久しぶりって・・・」
「あ、紹介が遅れました。私、ユン・ロンといいます。」
「ユン・ロン？」
「香港から仕事で日本に来ました。」
「そうなんですか。あ、私、清水沙良といいます・・・・・でも、何故、私に？」
「あまりにも貴女が美しかったので。」
「まあ・・・・・」
　沙良は、ユンの言葉に頬を染めた。
　甘いマスクに加え落ち着きのある言葉遣いに沙良は翻弄されていく・・

　沙良は、ユンと楽しい会話を交わしていった。
　初対面にも関わらず恋人同士のような雰囲気に見える。

　２時間ほど経過しただろうか・・・
　沙良は、ワインボトルを空にした。
「沙良さん・・・・君、強いんだね。」
「そうでもないわ・・・・もう身体は麻痺してるかも。」
　ユンは、煙草を１本くわえると夜景を見ながら沙良に囁いた。
「もし、・・・もし良ければ君を覚醒させたいな・・・」
「え？・・・なぁに？・・・」
　ユンは、沙良に振り向くと素早く唇を奪った。
「・・・ぇ・・・や、やだ・・・ユンったら・・・・ずるいわよ。」
「・・・・僕じゃ、お気に召さないかな？」
　沙良は、身体が火照っていた。
　先月から、剛士の仕事が忙しい事もあり欲した身体を癒していなかったからだ。

（どうせ剛士もいないし・・・一夜限りなら・・・・）

　沙良は、子宮の奥から欲求が湧いてくるのを感じた。
「・・・いいわ・・・・お部屋に行く？」
　沙良の言葉で、ユンはバーテンダーに指を鳴らした。

「お帰りですか？」
「ああ。このホテルの１８０５号室だ。」
　そう言って、ルームカードをバーテンダーに提示した。
「ありがとうございました。」
　ユンは、沙良の椅子を引き手を差し出した。
　紳士的で嫌味がないユンの仕草に沙良も気分が高まっていく。
「ありがとう。」
　ユンは、沙良の腰に手を回しバーを出て行った。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

　ユンは、沙良を抱き寄せ熱いキスを交わしていた。
「沙良・・・・素敵なキスだ・・・」
　潤んだ目でユンを見つめる沙良・・・・
　ユンは、沙良のレザージャケットを脱がすと同じくレザーパンツのベルトを外し、ゆっくりとファスナーを下ろしていく。
「・・・・・・アン・・・」
　ユンは、跪いて沙良のレザーパンツを脱がした。
　薄紫のヒップハンガーのショーツが露になる。
　腰に手を回し下腹部に口づけをするユン・・・・
「ゥゥ・・・ァァァァ・・・・・・・・・」
　そのままの状態で沙良のシャツのボタンを外していく。
　沙良は、ユンの髪を弄りながら顎を突き上げてた。
「・・・・先にシャワーを浴びたいわ。」
　ユンは、手の動きを止め頷いた。
「ああ・・・・わかった・・・先に浴びておいで。」

　沙良は、妖艶な視線をユンに投げるとシャツを脱ぎ捨てブラジャーを外した。
　裾を引っ張りレザーパンツから足を抜くとショーツだけの姿で浴室に向かう。
　盛り上がった沙良のヒップと括れたウェストを見てユンは溜息をついた。

（・・・・・・ナイス・・・・ベリーナイス・・・・）

　沙良は、ショーツを包んで棚に置くと浴室に入った。
　蛇口を捻り熱いシャワーを浴びる沙良・・・
　股間に湯を当て、陰毛にソープを当てていく。
　敏感な女芯に湯が当たるたび蜜壷からは、蕩けるような蜜が溢れ出てきた。
　念入りに蜜壷を洗い、最後に冷水を浴びて沙良は浴室を出た。
　バスタオルを巻き部屋に戻る沙良・・・
　部屋は、ルームライトが消されオレンジ色のスタンドライトのみが壁伝いに漏れている。
　ブリーフ一枚のユンが、沙良の頬にキスをして浴室に向かった。
　沙良は、ベッドに座り薄化粧をすると薄いシーツを捲って中に潜り込んだ。

　さほど時間を掛けずユンは浴室から出てきた。
　ベッドの横に立ちバスタオルと外すユン・・・・
　沙良が覆うシーツをゆっくりと捲っていく・・・・
　沙良は、真っ裸で胸を両手で押さえていた。
　ユンを見つめる沙良・・・・・・
　ユンは、沙良の横に身体を移し静かに抱き寄せていく。
「素敵だ・・・・・沙良さん・・・」
　ユンの首に手を回していく沙良・・・・
　ユンは沙良を優しく抱きしめ唇を合わせていく。
　ユンは、沙良の腕を解き身体を沙良の下腹部に移動していった。
　腹部を通り過ぎ、柔らかい陰毛を鼻で擽ると女芯に辿り付いた。
　沙良の下腹部に力が入る・・・
　ユンは、女芯を優しく唇で包み舌で突付き始めた。
「・・・ァッ・・・ァァァァァ・・・・」
　敏感な部分を刺激され、声と共に蜜が溢れ出てくる。
　ユンは、沙良の足を押し広げ亀裂を舌から舐めあげていった。
「アゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・」
　ユンの頭部を左右から掴み腰を突き上げていく沙良・・・・
　身体中が火傷しそうなほど熱くなっているのが解る。
　乳首は固く突起し、女芯が薄皮を捲って飛び出してきた。
「・・・沙良さん・・・・・」
「・・・ュ・・・ユン・・・・・・ほ・・・欲しいぃ・・・・ァァァ・・・」
　ユンは、身体を起こし肉棒を沙良の股間に近づけた。
「素敵だ・・・・素敵過ぎる・・・・」
　ユンは、濡れそぼった沙良の蜜壷に肉棒を当てがった。
　沙良が、妖艶な瞳を輝かせる。
　そして、ユンの欲棒が沙良を貫き始めた・・・・・・

（１０７）

「アハァァァァァァァァァァァー・・・・」
　ユンの肉棒が深々と沙良の蜜壷に突き刺さった。
　沙良は、久々に味わう男性の肉魂に声を張り上げる。
「フゥァ・・・・・もっと・・・ぁぁ・・・激しくしてぇぇぇーっ！」
　沙良は、ユンの腰に足を回し股間を密着させる。
　ユンの腰の動きに、自身の腰が浮き上がるほど力が入る。
「アゥゥッ・・・・ウックゥゥゥゥゥゥー・・・イィィィィーッ！」
「・・さ・・・沙良さん・・・・し・・締め付け・・・・・グゥ・・・」
　ユンは、顔を顰めた。
　沙良の蜜壷が肉棒に巧みに絡んでくる。

（・・・・こ・・・こんな・・・・・・）

　ユンは、下腹部に力を入れて我慢をした。
　沙良の足を腰から外し背後位に変える。
　沙良は、ヒップを高く突き上げ、再結合を促した。

　ユンは、底知れぬ興奮と歓喜に包まれている。
　沙良の姿と不思議なセックスアピールに睾丸が倍増したような錯覚を起こした。
　まるで初めて女性を抱くような感じだった。
　飛びつくように沙良の腰を掴むと一気に肉棒を埋没させていく。
「ウアァァァァァァァァァー・・・・突き上げてぇぇぇー！」
　ユンは、言わずとも激しく突き上げていった。
　乾いた軽快な音が何度も響き渡る。
　出し入れする結合部の湿った摩擦音が二人の性感を更に高めていった。

　そして１回目の波が襲い始めた。
　ユンも快感で全身の筋肉が硬直し始める。

「げ・・・限界だ・・・・・さ・・沙良さん・・・」
「キテッ・・・キテェ・・・・ァァ・・キテェェェェェェェーッ！」
　ユンの分身が、勢いよく子宮の奥深くに当たった。
　熱い液体が当たるたびに沙良の蜜壷がきつく閉まっていく。

　ユンは、沙良の背中に覆い被さるように倒れこんでいった。
　まだ萎えないユンの肉棒は、沙良の蜜壷に刺さったままだ。

「沙良さん・・・・凄い・・・君は凄い・・・・」
「ユン・・・あなたも・・・・・・凄かったわ。」

　ユンは、沙良の背中から降りて横に転がった。
　沙良の身体の向きを変え向かい合って軽くキスをする・・・・
　二人は数分間、余韻に浸りながら無言でいた。
　沙良が、ユンの胸の鼓動で目を開ける。

「ねぇ・・・・ユン・・・・」
「なんだい？」
「ユンのお仕事って、・・・なぁに？」
　ユンは、一瞬、顔を曇らせたが、直ぐに笑顔に変わって質問に答え始めた。
「ＳＤＵという政府の人間なんだ。」
「政府？・・・・・香港って前までイギリス統治下でしたよね。」
「１９９７年に中国へ返還され、その年の７月１日から中国の香港特別行政区になったんだ。一国二制度の元で５０年間は資本主義体制をとるようになったんだ。」
「へぇ・・・・・・ところで、ＳＤＵって？」
「・・・・・つ、つまり・・・・んー、ま、警察関係かな。」
「・・・フフッ・・・警察の人間が、こんな事していいの？」
「僕だって、一人の人間であり男だからね。」
「ところで、いつまで日本にいるの？」
「ある女性を捜してるんだ。彼女を探すまでは。」
「へぇー・・・日本人なの？」
「いや、オーストラリアの女性なんだけどね。」
「そう。・・・頑張ってね。」
　沙良は、それ以上聞く事をせず、にっこりと笑みを返した。

「それより、沙良さん、君の身体は素晴らしいね。」
「そうかしら・・・・・でも、ありがとう・・・」
　沙良は、笑いながらユンの肉棒を握り締めた。
「君のような女性を見逃したとあっては、日本まで来た甲斐がないってものさ。」
　そういって、沙良の女芯を丁寧に擦った。
「・・・アン・・・・」
「もう一度君を抱きたい。」
　沙良は、ユンの首筋に唇を這わせ返答した。
「もう一度、貴方に抱かれたいわ。」
　ユンは、優しい笑みを見せながら沙良の身体を包んでいった。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「沙良さん、送ろうか？」
「うぅん・・・一人で帰ります。」
「・・・・そう。」
「ユンさん、ありがとう、素敵だったわ。」
「・・・・・君こそ。・・・・・・・あの・・・」
「え？」
「・・・よかったら・・・当分暇なので・・・・また・・・・」
　沙良は、にっこりと微笑んで囁いた。
「そうね・・・・・・・来ちゃおうかな。」
　沙良の返答にユンは喜びを隠せなかった。
「夕方の５時には、仕事も済ませて部屋にいるから。」
「ええ・・・・わかったわ。」
「沙良さんは、ワインが好きなようだから、とびっきりのを用意しておくよ。」
　ユンの言葉に頷いて、沙良はホテルの部屋を出て行った。

−　翌日　−

　沙良は、事務所の掃除を済ませ、一人で遅い昼食をとっていた。
　ユンの宿泊するホテルに行くには、まだ時間が早すぎる。
　昼食の後片付けが終わり一息つく沙良・・・・
　セイロンティーを入れ、ブルースを聞きながら一人静かな時間を過ごした。

（・・・もう１杯飲もうかな・・・）

　２杯目のセイロンを作ろうと立ち上がった時にドアがノックされた。
　何度もドアのノックを繰り返している。
「はぁーい、いま開けます。」
　入口に歩みドアを開ける沙良・・・・
　外には、金髪の女性が立っていた。

　沙良は、女性の顔を見て驚愕した。
　女性の額の右側から頬にかけて深い傷があり首にも切創跡がある。
　医師であった沙良は、深い傷であっただろう事が直ぐに判った。
　しかし、元はかなりの美貌であったのであろう。
　綺麗な肌と整った顔立ちが、その面影を残している。

「・・・あ・・・あの・・・」
「突然、お邪魔して申し訳ありません。ツヨシ・イブの事務所ですよね。」
　金髪の女性が、ブルックリン・イングリッシュで沙良に問い掛ける。
　沙良も流暢な英語で返答をした。
「そうですが・・・・・今、剛士は、韓国に行ってるんです。」
「韓国？・・・・・何をしに？」
「さぁ・・・私・・詳しくは？」
「いつ帰ってくるんですか？」
「えーと・・・・明後日ですね。」
「そう・・・」
「あの・・・失礼ですが・・・剛士とは、お知り合いですか？」
「ええ、私の恩人なんです。」
「そうなんですか。・・・・・どうしよう・・・連絡が取れないし・・」
「・・・・・いいです。２日後、またお邪魔します。」
「・・・・そうですか・・・すみません。・・あの、お名前は？」
「私？・・・・・・・」
　女性は、少々、視線を外して考えたあと笑みを浮かべて応えた。
「パンサリス・・・そう、パンサリスよ。」

（パンサリス？・・・・・女豹？・・・）

　パンサリスと名乗ったその女性は、沙良に礼を言って事務所を後にした。
　立ち去った女性の後姿を見つめる沙良・・・
　長い足にスレンディーな身体を颯爽と運んでいく。
　しかし、顔の傷といい雰囲気といい、沙良は普通の女性ではないと直感した。

（・・・・・どういう関係なのかしら？・・・・）

　沙良は、特に気にする事無くドアを閉めて事務所の中に入っていった。

　夕方、沙良は、ユンの宿泊するホテルに到着した。
　色香を漂わせて部屋のドアをノックする。
　ドアが開きユンが顔をのぞかせた。
「やあ、待ちかねたよ。」
「お疲れじゃない？」
「いや、君の顔を見て一気に疲れが吹っ飛んださ。」
　ユンは、沙良の肩に手を掛け部屋に招き入れた。
　沙良は、部屋の中央のソファに腰掛けた。
「いま、ワインを持ってくるよ。冷やしておいたんだ。」

　ユンが、部屋に備え付けのボード上に乗るワインを取りテーブルに戻ってきた。
「モンラッシェだが、お気に召すかな。」
「凄い・・・剛士が、見たら驚くわ。」
「ん？　ツヨシ・・・・・・君のステディかい？」
「あ・・・・ぅ、うん・・・まぁ・・・」
「ハハ、いいのかい、彼に黙って僕なんかと・・・」
「ぇぇ・・・大丈夫よ。」
「それより、今日、必死にこのワインを探し回って見つけたんだ。」
「私、これを飲むのは初めてなの。」
「私もさ。」

　モンラッシェは、フランスのブルゴーニュ地方、コート・ド・ボーヌ地区で生産される、ブルゴーニュの白ワインの貴族と呼ばれ、ピュリニー・モンラッシェ村とシャサーニュ・モンラッシェ村の２つの村にまたがる８ヘクタール程度の小さな畑から生まれる。
　年間の生産量も3万本程度で、その実力と希少性から世界一の白ワインと評価され、価格も高価なものとなっている。

「さっき、フロントに軽い食事を頼んだんだ。来たら栓を抜こう。」
「ええ・・・」
「ちょっと、着替えてくるよ。」
　ユンはそう言ってベッドルームに消えていった。

（１０８）

　沙良とユンは、モンラッシェを飲みながら、魚料理に舌鼓を打った。
「凄く美味しいわ。」
「ああ、料理もワインによく合うよ。」

　二人は、暫し他愛もない会話を繰り返しながら時間を過ごした。
　料理もたいらげ、ワインも空になったころ・・・・
「沙良さん・・・・・」
　気持ち頬を赤く染めた沙良が、ユンを見つめながら囁く・・・・
「ベッドへ行きましょうか？」
「ああ・・・・・先に行っててくれ。ジントニックでも作っていくよ。」
　沙良は、頷いてベッドルームに足を運んだ。
　カーテンをあけ外の夜景を見つめる・・・・
　ユンが、片手でグラスを持ちベッドルームに入ってきた。
「お待たせ。」
　ユンの手からグラスを受け取る沙良・・・
　軽くグラスを重ね、それぞれ口に運んだ後、ユンは、グラスをテーブルにおいた。
　沙良の手をとり引き寄せるユン・・・・
　沙良の腰に手を回しキスを交わす・・・・・

「ユン・・・脱ぐわ・・・」
　ユンは、優しく微笑みながらベッドに腰を下ろした。
　ワインレッドのブラウスのボタンを外しスカートを脱ぐ沙良・・・
　ブラジャーを外し、ショーツ一枚だけの姿になるとユンを見つめて妖艶な視線を送った。
　ユンは、立ち上がってガウンを脱いだ。
　沙良を窓側に向け、後から優しく抱きしめていく。
　ユンに抱かれながら夜景を見つめる沙良の身体は、ルームライトで悩ましい色に肌を染めていた。
「綺麗だわ・・・・」
「君もね・・・」
　ユンは、そう言って、ゆっくりとしゃがんでいく。
　沙良のショーツはティーバックだった。
　左右のヒップを丁寧に開き、細い布に沿って息を吹き掛けていく。
「ァァァァァ・・・・・」
　沙良は、自然とヒップを突き出し足の幅を広げていった。
　ユンもそれに応え、中央に走る細い布をずらしていく・・・

　沙良の蜜壷は既に潤っていた。
　部屋の明かりが、沙良の蜜を怪しく彩っている。
　ユンは、敏感な部分に舌を伸ばした。
　沙良は、膝を軽く曲げヒップを突き出してユンの愛撫を助けた。
「ァッ・・・ァゥゥゥゥ・・・」
　ユンの舌が沙良の蜜壷に埋まった。
　蕩けるような生暖かい沙良の蜜がユンの舌に零れていく・・・・・
「・・・ァァ・・・だ、駄目ぇぇ・・・」
　沙良は、我慢出来ずにユンに振り向いた。
　ユンのブリーフを一気に下げ、既に怒張している肉棒に唇を被せていく。
「・・・クゥッ・・・」
　丁寧に舌を絡め、絶妙な舌技でユンを責めたてていく沙良・・・

　ユンは、沙良の舌技に驚嘆した。
　微妙な感触と強弱をつけたスロートに加え根元まで咥え込んでいく、その技術に急激に興奮が増していった。
「・・・・・さ・・・・沙良さん・・・・」
　ユンは、テーブルに置いたジントニックを一気に喉に流し込んだ。
　沙良を立たせ、ベッドに押し倒していく・・・
　ユンは、お返しとばかりに沙良の両足を広げて蜜壷に舌を這わしていった。
「ハァァ・・・ァァァァァァァ・・・・」
　沙良の蜜壷は、まるで別の生き物のように独立した蠢きを見せている。
　ユンが舌を押し込むたびに、蜜壷が吸い込まれていくのだった。

　いつの間にやら二人は自然に合体していた。
　ユンの肉棒が深々と突き刺さるたびに沙良の甘い声が部屋に響き渡った。
　何度か体位を変え、ユンは沙良を責めたてていく。
　そして、１回目の頂点が近づいた。
「・・・ユン・・・・ユン・・・・いきそう・・・・アァァァァァ・・・・」
「さ・・沙良さん・・・・・僕もだ・・・・・」
　ユンは、そう言うと背後位から沙良の蜜壷を目掛けて思いっきり腰を突き上げていった。
「アハァァ・・・アウゥゥゥゥゥゥゥゥゥー・・・・ィィ・・・・・」
　ユンは、歯を食いしばって沙良の蜜壷に肉棒を根元まで押し込んだ。
　そして一気に分身を爆発させていく。
「ンゥゥゥゥゥ・・・アァァァァァァァァァァァー・・・イィイッィィ！」
　全てを出し切ったユンが、沙良の背中を指先で撫でていく。
　沙良は、後ろを振り向くと虚ろな目でユンを見つめた。
　半開きの口が艶かしい・・・・
　ユンは、沙良の瞳に吸い込まれそうな錯覚を起こした。
「沙良さん・・・・君は最高だ・・・・・」
「・・・・・ぁぁ・・・あなたもよ・・・・ユン・・・・」
　沙良は、自分から肉棒を引き抜いてユンに抱きついていった。

　いつの間にか２回目のプレーに入る二人・・・

　沙良は、立ちあがって、胡座をかくユンの顔の前に蜜壷を持っていった。
　女芯を覆う薄皮を自ら捲り上げ、腰を突き出して突起をユンの口に持っていく。
　ユンは、沙良のヒップに手を回し沙良の女芯に吸い付いた。
「ンッハァァァァァァァァー・・・・」
　快感で立っている事が出来なくなると、沙良はユンを押し倒し顔を跨いで蜜壷を擦りつけていく・・・・
　獣のような叫び声をあげる沙良・・・
「グフゥゥゥゥゥゥゥゥー・・・」
「さ・・・沙良さん・・・・・」
　沙良は、我を忘れ、延々と欲求をぶつけていった・・・・

☆☆☆☆☆

　沙良とユンは、浴室で戯れていた。
　向かい合って入る浴槽で、沙良はユンの肉棒を握り敏感な部分を指で弄んでいた。
「沙良さん・・・・君は不思議な魅力があるね。」
「え？・・・・・そう・・・・」
「・・・・・・・」
　ユンは、沙良の項に軽く手を当てていく。
「ウフフッ・・・」
「ところで、沙良さん・・・・まだ聞いていなかったが君の仕事は？」
「・・・探偵事務所でアシスタントしてるの。」
「へぇー、探偵という仕事も大変そうだね。」
「まあね、でも楽しくやってるわ。」
「昨日話してた　君のステディというのが、そこのボスなのかい？」
「ええ・・・そうよ。」
「いいのかい、彼を放っておいて僕なんかと・・・まあ、僕としては嬉しいが・・・」
「実をいうと、いま留守してるの。それに私も男の人が欲しかったし。・・まあ小娘じゃないし行動は自由よ。」
「留守って？・・・仕事かい・・」
「どうかしら。」
　沙良は、肉棒から手を離すとユンを見つめた。
「彼、明後日に帰ってくるの。だからユンとも・・・・」
「そうか・・・残念だけどしょうがないね。」
「明日も来ていいかな？・・・最後にもう1回だけ貴方に抱かれたいわ。」
「ああ、大歓迎だよ。」
　ユンは、そう言って沙良の口に舌を押し込んでいった・・・・・

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

　翌日も沙良は、ユンと身体を貪りあった。
　一緒に過ごす最後の夜ということもあって、沙良は大胆な性戯を繰り返す。
　仰向けに寝るユンを跨ぐと、自ら菊門に怒張した肉棒に埋めていった。
「さ・・・・沙良さん・・・・・そ・・・そこは・・・グゥゥー・・」
　沙良は、顔を赤く染めユンを見つめた。
「・・・こんなの嫌？」
「いや・・・・まさか、君がここまでと・・・思って・・・・」
　沙良は、それには応えず肉棒を菊門に挿入したままユンに抱きついていった。
　舌を絡めあい、唾液のディープチェンジを繰り返していく。
　沙良の柔らかい舌の感触にユンの身体は、興奮を超え脱力していった。

　果てては、挿入し、挿入しては激しく沙良を責めたてていくユン・・・
　沙良の蜜壷の中は、ユンの分身がこびり付いていた。
「・・・ユ・・・ユン・・・・・も・・・もう・・・だ・・・・・め・・」
　ユンは、沙良の両足を肩に掛け、真上から最後の放出に向かって打ち付けていった。
　二人の結合部は、蜜と分身が混ざり合い摩擦で真っ白な泡を作っていた。
　沙良は、絶妙に肉棒を絡め奥深くに引き込んでいく・・・・

（・・・す・・・凄い・・・・）

　ユンは、痙攣に似た痺れが全身を襲った。
「・・・・・」
　快感で昇天を伝える事が出来ないユン・・・・・
　しかし、沙良も・・・・
「ゥゥ・・・ッ・・・・・」
「！・・・ィ・・・イ・・・・イックゥゥゥゥゥゥゥゥゥッゥッゥゥゥゥーッ！」
　沙良は、絶叫と共に肉棒を吸い込んでいった・・・・・

☆☆☆☆☆

　沙良は、服を着替えユンと向き合っていた。
「ユン、３日間楽しかったわ。」
「僕もさ。本心は、君を香港に連れて行きたいんだけどね。」
「フフッ・・・また、日本に来る事があったら連絡して。」
「ああ、もちろんそうするよ。」
　ユンは、沙良の頬にキスをして別れの挨拶とした。
「じゃ・・・お仕事の成功を祈ってるわ。」
　これ以上ない笑顔で部屋を出て行く沙良・・・・・

　雲ひとつない空は綺麗な星が輝いていた。
　外は、不思議と寒さを感じなかった。
　心地良い夜風が、沙良の全身を包んでいく。

（・・・・・ユン・ロンか・・・・・・ゴメンね・・・剛士・・・・・）

　空を見上げる沙良・・・
　ビルから漏れるイルミネーションが、３日間の沙良の記憶を消していった・・・・・・