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（１２０）
アンドレとスコルビッチは、穂波の菊門と蜜壷に肉棒を同時に突きたてていた。
腕の太さほどもある肉棒に穂波は白目を剥き気を失っている。
「アンドレ・・・先に行くぜ。」
そう言ってスコルビッチは穂波の菊門に分身を放出した。
ほぼ同じくしてアンドレも大量の分身を蜜壷に爆発させる。
「ぐぅぅぅー・・・・た、たまらんぜ。」
全てを出しきったアンドレは、穂波を放り投げるように畳の上に転がした。
「フゥゥー・・・スコルビッチ・・・満足したか。」
「ああ・・・まあな。」
服を着た二人は、時計を見た。
「おい、そろそろ行くか。」
「ああ。」
仰向けに倒れている穂波の下腹部を踏むスコルビッチ
蜜壷から分身が流れてくる。
「クククッ・・・・」
スコルビッチは、穂波の喉にナイフを突き立てた。
無造作に体重を掛けていく。
穂波の目が、瞬間に開き、僅かに唇が振動した。
（・・・・つ・・・剛・・・・・・士・・・・・さ・・・・）
二人の男は、ビデオを止めテープを取り出すと穂波の胸の間にテープを置いた。。
「さ、行くぜ。」
そう呟きながら、アンドレとスコルビッチは電気を消し何事も無かったように部屋を出て行った。
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「伊武さん、電話です。」
「誰だ？」
「それが名乗らないんです。」
「・・・・・・・」
伊武と李は顔を合わせた。
李は、眉を寄せて剛士から視線を外した。
「もしもし・・・・」
『伊武さんですね。』
「誰だ・・・・」
『・・・・・・・離宮の女将が昇天をしたので報告をと思いましてね。』
「！・・・な、何ぃぃぃーっ！・・・・誰だ、貴様っ！」
『では、そういうことで。』
電話の相手は、勝手に電話を切ってしまった。
受話器を投げつける剛士・・・・
「ど・・・どうしたの剛士・・・・・」
「伊武・・・・何があった。」
剛士の全身が不気味な音を立てて部屋に鳴り響いた。
筋肉が、盛り上がりはちきれんばかりに膨張していく。
その迫力と不気味な剛士の怒りに、全員が、凍りついていった。
「・・・・・・ほ・・・・穂波が・・・殺られた・・ようだ・・・」
「な、なにぃーっ！・・・」
剛士の顔は真っ赤に染まり怒りが部屋中に浸透していく。
「・・・・李よ、ここに居てくれ。沙良も狙われるかもしれん・・・」
「解った。」
剛士は、勢いよくドアを開けて部屋を出て行った。
沙良は、頭が真っ白になった。
穂波まで殺されたという強いショックで知らずに気を失っていく。
「さ・・沙良さん。」
李が沙良の身体を支え、ゆっくりとソファに寝かせる。
（・・・・・伊武・・・・・・や、奴らは・・・・・・）
離宮に着いた剛士は店に入っていった。
静まり返った店内には、焦げた匂いが充満している。
カウンターの中を恐る恐る見る剛士・・・・
穂波は居ない。
剛士は、鍋に掛かった火を止めた。
焦げたじゃが芋と玉ねぎの匂いが鼻につく。
２階に上がる剛士・・・・
僅かに開いた和室のドアを剛士は開けた。
壁にある電気のスイッチを押す剛士・・・・・
「！」
全身真っ裸で喉に１本のナイフが突きたてられていた。
股間からは、血に混じった白い液体が流れ出し畳の上に零れている。
その姿を呆然と見つめる剛士・・・・
剛士は、煙草のパッケージをポケットからだし１本を口に咥えた。
目の角膜が一気に濁っていく・・・・
スローモーションのように煙草に火を点ける剛士・・・・・・
穂波を見つめたまま剛士は立ち尽くしていた。
剛士は、またもや過去の出来事が頭を過ぎっていった。
穂波と初めて会ったときの事、初めて抱いたときの事
剛士に泣きじゃくりながら永遠の愛を告げた事・・・・
剛士は、吸っていた煙草を掌の中で握り締めた。
指の隙間から白い煙と皮膚が焦げる匂いが漂う。
「・・・・・・穂波・・・・・・・おい・・・・・・・・・穂波・・・・・・・・目を開けてみろよ・・・・・・・・穂波・・・・・・・・・穂波・・・・・・・・穂波ぃぃぃぃぃぃぃーっ！」
剛士は、大声で叫んだ。
崩れ落ちるように穂波に覆い被さっていく。
（・・・・・お・・・俺は・・・・・ク・・・クソッタレがぁぁ・・・・）
剛士は、穂波を抱いたまま号泣した。
剛士は、穂波の胸の上に置かれたテープに気がついた。
しかし、確認せずとも、すぐさまテープの内容を理解した。
（・・・・右京よ・・・・地獄などと生易しいもんじゃ済まさんぞ・・・・）
丁寧に・・・丁寧に身体を拭き穂波を綺麗にしていく剛士・・・・
鏡台にあるリップを手にすると穂波の唇に優しく当てていった。
「穂波・・・・待ってろ・・・・・」
剛士は、穂波の冷たくなった唇に最後の口づけをした・・・・・・・・
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− 中央警察 −
沙良が、穂波の亡骸に顔を埋めて泣き崩れていた。
「何でっ・・・・何でよっ・・・ぅぅぅぅ・・・・」
豪と有紀は、もはやショックを隠せないでいた。
四郎は、検死室の部屋の壁にもたれたまま、ずっと下を俯いたままだ。
「伊武さん・・・・」
夏子が剛士に声を掛けた。
「夏子さん、彼女の身体は解剖して欲しくないんだ。」
「・・・・でも・・・・・法で・・・」
「何とか、何とか綺麗な身体のまま・・・・・」
夏子は、剛士の尋常ではない心境を察した。
「伊武さん・・・」
「・・・・・相手は判ってるんだ。」
「えっ・・・・・なら、刑事課に・・・・」
「警察なんかに手が負える相手じゃないんだ。軍の大隊でも連れて行かない限り・・・な。」
「・・・・・・」
夏子は、剛士の依頼を承諾した。
「解ったわ。・・・・なんとかしてみる。」
「すまない・・・・恩にきるよ。」
剛士は、そう言ってベッドに寝る穂波をいつまでも見つめていた。
≫≫≫≫≫≫
１週間が過ぎ、多少ではあるが剛士にも落ち着きが戻ってきた。
だが、右京に対する怒りは一向に衰える事は無かった。
事務所には、今夜、北朝鮮に出かけるという李が事務所に顔を出していた。
「伊武、遅くなって済まん。」
「いや、いいさ。・・・その分、俺の闘志も倍増したからな。」
「で、最終打ち合わせだが、俺の手はずが済み次第、お前に連絡をする。」
「ああ、わかった。・・・・・俺が選んでおいた武器は？」
「既に現地に居る部下に送っておいた。」
「そうか・・・マリオンからも昨夜連絡が入った。兵器開発をしている場所を探し出したようだ。」
「本当か？」
「ああ、一人では破壊できないらしい。俺の到着を待って実行する。」
「・・・んむ。・・・じゃ、早速俺は出かける。中国に着いたら迎えをよこす。そこから北へ入ってくれ。ルートは既に手配済みだから。」
「ああ、わかった。」
「こちらの情報は、奏光源という俺の従兄弟からお前に入る。穂波さんと冬木を殺った男をいま、探っている最中だ。」
「そうか。」
「優秀な奴だ。・・・元ＫＣＩＡだからな。」
「・・・・・李、世話を掛ける。」
李は、それに応えるように拳を握って剛士に突きつけた。
同じポーズを李に返す剛士・・・・・
李は、ゆっくりと頷き事務所を後にした。
剛士は、豪と有紀を応接室に呼び出した。
「はい・・・なんですか、伊武さん。」
「まあ、座れ。」
剛士が二人に座るよう促す。
神妙な面持ちで、豪と有紀は剛士と相対した。
「豪、有紀君、暫くここを出て身を隠せ。」
「え？」
「幸三や穂波の二の舞を踏ませたくない。」
「で・・・でも・・・」
「豪、有紀君、よく聞け。・・・・半年間お前たちはよくやった。チンピラだったお前達が、ここまでやるとは俺も思わなかった。」
「・・・伊武さん・・・」
「今月中に、右京を始末する。その間、絶対に姿を見せるな。」
「・・・・・・・伊武さん。」
剛士は、机の上の封筒を豪に渡した。
「何すか、これ・・・」
「この事務所と裏のアパートの権利書だ。通帳も入っている。」
「・・・・どういう意味ですか？」
「お前に、ここをやる。・・・・今日限り・・・俺は探偵をやめる。」
「えぇーっ！・・・な、何で・・・何でですか？」
「理由は色々ある。・・・この仕事が終わったら、この探偵事務所はお前達の物だ。」
「そんな・・・伊武さんが居ない事務所なんて・・・それに自信が無いですよ。」
「馬鹿野郎・・・・いつも言ってるだろう。信じるんだ自分を。」
豪と有紀は、呆然としていた。
有紀が唾を飲み込んで剛士に恐る恐る声を掛けた。
「終わったら・・・・終わったら、帰ってくるんですか？」
「・・・・・そうだな・・・・顔は出してみるかな・・・・」
何日か振りに剛士の顔から笑みが見えた。
「・・・ぜ、絶対に帰ってきてください。」
「・・・・・・・・・・・・・ああ。」
豪と有紀は、剛士の笑顔を見て、僅かであるが安堵感を覚えた。
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