（２３）

　仙次郎は、亜希子のマンションに来ていた。
　久しぶりに休みを取れた亜希子が仙次郎に電話をしたのだった。

　仙次郎が、入ってくるなり、亜希子は、いきなり抱きついていった。
　場所を構わず戯れる仙次郎と亜希子‥‥‥‥

　そして、早くも亜希子は、昇りつめていた。

「仙ちゃぁぁぁぁぁーん‥‥‥‥‥ァァァ‥‥‥‥イックゥゥゥゥゥゥーッ！」

　亜希子は、居間に向かう途中の廊下で、騎乗位で仙次郎に跨り１回目の昇天を遂げた。
　ショーツを脱いだだけで、まだ服は着たままの状態だった。

「‥‥‥‥ふぅぅー‥‥‥しかし、そんなに慌ててしなくてもいいだろう。」
「だって、我慢できなかったんだものぉ‥‥‥」

　亜希子は、仙次郎の首筋に舌を這わせながら囁いた。

「大体、なんで廊下でやるんだよ。」
「何となく、燃えない？」
「ケツが冷てぇーだろうが。」
「アハハハッ‥‥‥」
「アハハじゃねぇぞ‥‥‥」

　亜希子は、腰を上げて立ち上がった。
　股間を抑えて寝室に入っていく。
　ティッシュを当てながら戻ってきた亜希子は、仙次郎の肉棒を丁寧に拭き始めた。

「いいよ、自分で拭うから。」
「駄目、私の大切な物なんだから。」
「道具みたいに言うんじゃねぇ！」

　呆れたように口走る仙次郎に舌を出しておどける亜希子‥‥‥

「仙ちゃんの一部だから大切って言ったのよ。」
「チェッ‥‥‥‥何とかも方便とは、よく言ったもんだぜ。」

　仙次郎は立ち上がって居間に歩いた。
　ボードの中央には、仙次郎と肩を並べて写した写真が飾られている。
　見つめる仙次郎‥‥‥‥

「仙ちゃん、座って。」
「‥‥‥ああ。」

　亜希子が、ビールを持ってテーブルの上に置いた。

「ちょっと、おつまみでも作ってくるわ。」

　そう言って、キッチンに向かう亜希子‥‥‥

　仙次郎は、二人で生活をしていたときの事を思い出していた。

≪亜希子‥‥‥最近、帰りが遅いな。≫

≪うん、研究が忙しくて‥‥‥‥≫

≪身体を壊すなよ。≫

≪仙ちゃんの顔を見れば、疲れも吹っ飛ぶわ。いま食事の支度するわ。≫

≪飯は焚いておいたぞ。≫

　二人は、どちらかが仕事が遅くても、いつも帰りを待ってから行動を共にした。
　風呂も食事も、寝るのも、いつも一緒だった。
　買い物に行くにも、仕事の宴会があっても、どちらかが迎えに行った。

　お互いが信じあっていた。愛し合っていたのだ。
　しかし、何処かで愛のズレが生じてきた。
　しかし、その愛が薄れたわけではなかった。
　むしろ、より一層深まっていったともいえる。

　だが、亜希子の心に変化が現れた‥‥‥

≪え‥‥‥‥‥な、何て言った？≫

　亜希子が、離婚という言葉を口にした。

≪仙ちゃんに、とことん愛されたいの。私の人生の全てを掛けて、仙ちゃんを愛していたいから離れていたいの。≫

≪だったら、離婚じゃなくてもいいんじゃないのか？≫

≪仙ちゃんの愛に溺れそうなの‥‥‥‥‥そうすると私は駄目になる。絶対っ。≫

≪‥‥‥‥‥‥≫

≪‥‥‥ゴメンね、仙ちゃん‥‥‥‥でも、でも私は死ぬまで貴女の物‥‥‥‥離れて暮らしても、仙ちゃんとは、毎日、会いたいし、抱いて欲しい‥‥‥‥≫

≪‥‥‥‥亜希子‥‥‥‥解った。‥‥‥‥十分に解った。≫

　仙次郎は、このときの言葉が忘れられなかった。
　そして、つい、この間の言葉が頭を過ぎった‥‥‥

≪二人が、次に一緒に暮らすときは、真愛が沸点に到達したときよ。≫

　仙次郎は、キッチンに居る亜希子を見つめていた。

（‥‥‥‥‥まだまだ、加熱中ってとこか‥‥‥‥）

　仙次郎は、煙草に火を点けるとキッチンに振り向いた。
　目が合う二人‥‥‥‥
　亜希子は、これ以上ない笑顔を仙次郎に投げかける。

「今、持って行くわ。」

　亜希子は、即席で作ったつまみをトレイに乗せて居間に戻った。

「はい。」
「サンキュー‥‥‥」

　仙次郎は、亜希子のグラスにビールを注ぐと、つまみを口に運んでいった。

「‥‥‥ね、仙ちゃん、お仕事どう？」
「ああ、順調と言うか、忙しいというか。」
「そう、でも生活に張りが出ていいじゃない。」
「お前はいつも同じ事を言うなぁ。」
「そうかしら‥‥‥」
「お前はどうなんだ？」
「うん、相変わらず忙しい。でも、暇じゃないほうがいいわ。」
「何でだ？」
「仙ちゃんを思い出しちゃうから。」
「忙しくても忘れるなっつーの！」
「フフッ、そんな意味じゃないわよ‥‥‥‥」
「どうだか‥‥‥‥」
「それより、仙ちゃんも夜のお仕事に精を出しているんじゃない？」
「‥‥‥‥‥何を言ってんだ‥‥‥‥でも、ま、たまには‥‥‥」

　声を荒げるのを覚悟して言った仙次郎だが、今日は言い返してこなかった。

「？‥‥‥‥どうした。騒がないな。」
「‥‥‥‥フフッ‥‥‥私ね‥‥‥最近思うの。」
「‥‥‥何を？」
「つまりさ‥‥‥‥仙ちゃんが、他の女の人とエッチしても、どんなに強引に誘われたとしても、情を擽られたとしても、仙ちゃんは、私の所に絶対に戻ってくるっていう‥‥‥‥。」
「‥‥‥‥つまり？」
「んー‥‥‥自信って言うのかな‥‥‥‥上手に説明できないんだけど。」
「何で、そう思うんだ？」
「何でって‥‥‥‥‥どうして？」
「いや、非常に興味があるぜ。真剣に対人心理を勉強したことのないお前が本心を見抜いてる。単に思いつきで言ってないような感じがしてならない。」
「思いつきで、仙ちゃんに愛を語るわけないじゃないわよ。」
「だから聞きたいんだ。」
「‥‥‥‥そうねぇ‥‥‥‥つまり、一つは抱かれている時に感じるかな。」
「抱かれている時？」
「うん。たとえば男の人って大体の人が、出してしまえば満足って感があるじゃない。でも、女性は余韻に浸ってるでしょ。むしろ、そっちの感覚の方が女性にとっては愛という言葉を考えるなら大きいわ。その余韻の中に仙ちゃんは入ってくるのよ。」
「入ってくる？‥‥‥‥」
「ええ。不思議だわ。‥‥‥‥‥その瞬間、私は、このまま永遠の眠りについてもいいって感じちゃうの。勿論、仙ちゃんだけしか、こんな感じにはならないけどね。
　つまり、全てがお互いに調和をしていないとそれを感じ取る事は出来ないと思うわ。と言う事は、仙ちゃんは、私を愛している証拠になる。だから安心して居られるの。」
（‥‥‥ふーむ‥‥‥‥亜希子の奴、なかなか言いやがるぜ‥‥‥）

「後は、雰囲気ね。」
「‥‥‥‥雰囲気？‥‥‥‥というと？」
「始めて会った時から、仙ちゃんは全く変わっていない。いつも私に正直で居てくれるから変わらないと思うの。」
「‥‥‥‥‥‥」
「もし、私に対しての性格や考え方が変とか、隠し事があれば、雰囲気で判るわ。でも、仙ちゃんは、いつも正直に話してくれるし嘘をつかないから仙ちゃんが何をしても信用できるのよ。仙ちゃんの前でこんなこと言うのはおかしいけど、仙ちゃんは、世界中で、一番私を愛してくれていると思う。フフッ‥‥違う？」
「んー‥‥‥‥気恥ずかしいが、そこまで読み取れるとは大したもんだ。」
「フフッ‥‥‥でもね、正直言うと、読み取ってるんじゃなくて自然と解るの。だって、仙ちゃんに吸い込まれていくんだもの。」

（‥‥‥‥‥亜希子‥‥‥‥）

「‥‥‥‥‥‥‥‥」
「だから‥‥‥‥‥だから、愛に溺れるといけないから離れて暮らすの。」
「‥‥‥チッ‥‥‥常に先手を取っていくな、お前は。」
「‥‥‥フフッ、‥‥‥‥‥‥さ、仙ちゃん、２回戦いくわよぉー。」

　亜希子は、服を全て脱ぎ捨てた。
　仙次郎の隣に移動し抱きついてくる‥‥‥‥

「次は、ここでか？」
「そ、３回戦で、やっとベッドよ。」
「じゃ、４回戦は、風呂か？」
「そうね‥‥‥それもいいかも‥‥‥‥‥‥‥ね、仙ちゃん‥‥‥キスして‥‥‥」

　亜希子は、仙次郎のグラスを奪って唇を重ねていった。

−　３０分後　−

　二人は、既に３０分以上、互いの性器を愛撫していた。

　仙次郎の身体の上に覆い被さり肉棒に舌を絡める亜希子‥‥‥‥
　一方、仙次郎は舌先で亜希子の女芯を転がしている。

「ゥゥゥゥ‥‥‥ンムゥゥゥ‥‥‥‥‥‥ハァ‥‥仙ちゃん‥‥‥」
「限界か‥‥‥亜希子‥‥‥‥」
「‥‥‥うん‥‥‥‥‥入れて欲しい‥‥‥‥」

　仙次郎は、起き上がって亜希子を四つん這いにした。
　腰を高く上げて仙次郎に振り向く亜希子‥‥‥‥
　目は泳ぎ、口を半開きにした表情が淫艶だった。

「早くゥゥー‥‥‥ァァ‥‥」

　亜希子は、腰を振りながら挿入を訴えている。
　仙次郎は、亜希子の腰を掴んで引き寄せた。

　亜希子は、自ら股間の下から肉棒を握り蜜壷に導いていく。
　仙次郎は、先が当てがると、思いっきり腰を突き上げた。

「グッハァァァァァァァァァァァァァァーッ！」

　根元まで挿し込んだ仙次郎は、暫し、その状態で腰を揺すった。
　一番奥の壁を肉棒の先が擦りつけている。

「せ‥‥仙ちゃぁん‥‥‥‥気持ち‥‥‥ぁぁ‥‥‥‥‥気持ちいぃぃぃぃーっ‥‥」

　亜希子は下腹部に力を入れて肉棒を締め付けていった。
　絡みつく肉襞と弾ける空気泡で絶妙な快感をもたらす‥‥‥‥

「クッ‥‥‥亜希子‥‥‥最高だぜ‥‥‥」

　仙次郎は、ゆっくりと前後運動を開始した。
　激しく塗れそぼった蜜壷は、肉棒を抜くたびに蜜が掻き出されていく。

「クフゥゥゥゥゥゥー‥‥‥イィィィィー‥‥‥‥」

　耳に入る結合部の湿った摩擦音が心地良かった。

「イヤァァーン‥‥‥‥‥‥イィ‥‥‥仙ちゃんっ‥‥‥イィィィィィー‥‥‥」

　亜希子は、狂ったように髪を振り乱し自ら腰を押し当てていく。

「ンアァァァァァァァー‥‥‥‥アハゥゥゥゥゥー‥‥‥」

　仙次郎の激しい突き上げで亜希子は、絶叫を繰り返した。
　挿入から１０分ほど経っただろうか‥‥‥
　亜希子の喉は枯れ上半身を力なく投げ出し蜜壷だけを完全に仙次郎に預けた状態だった。

「ゥゥ‥‥‥グッ‥‥‥‥も‥‥‥も‥‥‥‥ぅ‥‥‥‥だ‥‥‥駄目ぇ‥‥‥」

　仙次郎も全身に痺れを覚えた。

「亜希子‥‥‥‥‥‥‥フィニッシュだ‥‥‥」

　仙次郎は、まるで人形を操るように亜希子をひきつけていく。
　亜希子は、シーツを噛みながら顔をベッドに押し付けていた。
　くぐもった声を発したかと思うと、亜希子は顔をあげ顎を大きく突き上げながら大絶叫した。

「ンッアァァァァァァァァァァァァァァァァーッ！」

　同時に果てる仙次郎‥‥‥‥
　亜希子は崩れ落ちるように顔をベッドに埋めていく。

　さすがの仙次郎も疲れたようだ。
　亜希子の背中に覆い被さって荒い息を吐き続けた。

☆☆☆☆☆

「おい、亜希子‥‥‥‥‥そろそろ俺は行くぜ。」
「‥‥‥‥ぁぁぁ‥‥‥‥仙ちゃん‥‥‥‥‥‥‥また‥‥‥来てね‥‥‥」

　亜希子は、グッタリとベッドに横たわりながら仙次郎に視線を移した。

「何だ、だらしないぞ。」
「だってぇ‥‥‥‥仙ちゃんが激しすぎるからぁ‥‥‥‥」
「お前が暴れすぎなんだ‥‥‥」
「フフッ‥‥‥‥でも当分、生気が宿って仕事も捗るわ。」
「ま‥‥‥‥あまり、使いすぎるなよ。」
「お馬鹿っ。‥‥‥そんな事より、仙ちゃんこそ女性を誑かしちゃだめよ。」
「ククッ‥‥‥‥‥じゃあな。」
「うん。‥‥‥‥また電話するわ‥‥‥‥‥飛んできて。」
「ああ。」
「愛してる。‥‥‥‥‥仙ちゃん。」
　
　仙次郎は、亜希子に優しい笑みを投げかけて部屋を出て行った‥‥‥‥‥‥