（２４）

「先生、１０時に営業部の中井課長が、ご相談したい事があるそうです。」
「ん、わかった。」
「資料を出しておきました。」
「ああ。」
　仙次郎は、アクビをしながらデスクに乗っている資料を手に取った。

（どれ‥‥‥‥‥‥‥男性か‥‥‥‥）

　相談者は、中井信二　営業部営業第一課長　
　営業部の第一線を担う、将来の取締役候補の一人であった。
　妻と一男一女の４人暮らし。妻とは社内結婚で現在は専業主婦　　
　中井自信は、営業畑一筋で、営業部全体からの信頼も厚く、顧客勧誘や部下接導にかけては、本社においてカリスマ的存在だった。

（んー‥‥‥ここ半年ばかり業績が落ちてるな‥‥‥‥）

　仙次郎は、中井信二という男の過去を洗い、性格や人間性を簡易的に推理していった。
　佳代が、仙次郎のデスクにコーヒーを運んできた。
「お、ありがとう。」
　佳代は、妙に落ち着きのない様子で立たずんでいる。
「ん？‥‥‥どうした‥‥‥」
「あのぅ‥‥‥‥‥‥先生、今日お暇ですか？」
「ああ‥‥‥‥暇といえば暇だが‥‥‥何で？」
「‥‥‥‥‥‥ぃ‥‥‥いえ‥‥‥そのぅ‥‥‥‥‥‥‥つまり‥‥‥‥」
　佳代は、顔を真っ赤にしてモジモジしている‥‥‥‥
　仙次郎は、即座に佳代の気持ちを見抜いて苦笑いを浮かべた。
「‥‥‥‥‥いいよ。」
「‥‥えっ？」
「して欲しいんだろ？‥‥‥‥‥ＳＭ‥‥‥‥」
「ぁ‥‥‥‥ぃ‥‥‥そ‥‥‥その‥‥‥‥」
　佳代は、アタフタしながら、一層、落ち着きをなくしていく。
「この間のホテルに行こうか？」
「‥‥‥そ‥‥‥そんな‥‥‥‥‥‥私は‥‥‥そういう意味で‥‥‥‥‥」
「嫌ならいいが。」
「ぃ‥‥‥いえ‥‥‥‥ぁ、はい、是非‥‥‥」
　仙次郎は、拍子抜けしながら佳代のヒップを資料で叩いた。
「この間みたいに漏らすなよ。」
「やだぁーっ、先生ったらぁ。」
　仙次郎の背中をトレイで叩く佳代‥‥‥
「どわっ‥‥‥あ、熱じぃ‥‥‥っ！」
「あぁぁぁー‥‥‥すいませぇーんっ！」
　佳代は、零れたコーヒーを慌ててハンカチで拭き始めた。
「ったく‥‥‥君は‥‥‥‥‥」
　仙次郎は、呆れを通り越して笑いがこみ上げてきた。

　佳代は、照れを隠すように、そそくさと仙次郎から離れていった。

☆☆☆☆☆

「先生、中井課長がいらっしゃいました。」
「ん、直ぐ行く‥‥‥」

　仙次郎は、応対室に入っていった。

「おはようございます。高輪です。」
「‥‥‥‥営業部の中井です。よろしくお願いします。」
「いえ‥‥‥ま、どうぞ。」

　中井は、神妙な面持ちでソファに座りなおした。

「では、さっそくお聞きしましょうか。」
「はい。‥‥‥‥‥実は、家内のことで悩んでおりまして‥‥‥」
「奥さんのこと？‥‥‥‥‥」
「ええ‥‥‥‥考えると、とても仕事が手につかなくて‥‥‥」

　仙次郎は、中井の社員データと２週間おきに作成される担当長評価記録を見ながら推理を立てる。

「なるほど。ちょうど半年くらい前からではないですか？」
「ええ。‥‥‥‥よくお分かりに‥‥‥」
「社員データを見てたんですが、ちょうど、この辺りから中井さんの業績が低下し始めていたので、そうかなと。」
「‥‥‥‥実は‥‥‥そうなんです。」
「で、奥様との悩みとは？」
「はい。‥‥‥‥‥妻とは、社内結婚だったんですが‥‥‥」
「そのようですね。」
「こう言っては何ですが大恋愛の末に妻と結婚したんです。新婚当時は、夜の生活も活発でした。妻から誘われる事も多く、私も大好きな彼女のそういう性格が嬉しくもあったんです。しかし、昇任するたびに仕事が多忙になりまして。営業という仕事柄、残業も多く、年が経つごとに妻との交わりも少なくなって。最近は、まるっきり関係のない状態が。」
「‥‥‥‥なるほど‥‥‥‥」
「今まで一緒に寝ていたのですが、半年前から急に別々に寝ると言い出しまして。」
「‥‥‥ほぉー‥‥‥‥‥つまりセックス内容に不満があるからと？」
「‥‥‥私も妻も、特に身体に異常があるわけではないんですが。」
「ん？」
「まして、私を嫌いになったという風でもないし‥‥‥。」
「ふーむ‥‥‥」
「まるっきり、私からの誘いを拒否するようになってきたんです。」
「拒否というと？」
「私の勘なんですが‥‥‥つまり‥‥‥普通の‥‥‥‥その‥‥セックス‥‥‥‥」

　仙次郎は、言い難そうな中井の代わりに話を先行した。

「普通のセックスでは、物足りないと言う事ですね。更に、私の推理ですが奥様が、中井さんの誘いを敬遠するようになったのは、奥様自信が希望するセックスをしてくれないから。かといって、直接に要望はしてこない。」
「‥‥‥‥ま‥‥‥‥まったくもって、その通りです。反省はしているんですが、ろくに妻を満足させずに自分勝手に終わる事が多く妻も不満をもっているようで。私もどうすれば満足するんだと妻に聞きましたが、なかなか答えてくれません。」
「仕事に影響が出るくらいだから、かなりお悩みなんでしょうね。」
「私は、‥‥‥‥私は、妻をものすごく愛しているんです。お恥ずかしいんですが、妻も決してセックスが嫌いなわけではないんです。しかし、拒否し続けられるとそれが慢性化して‥‥‥‥例えば、妻が浮気をしたりとか‥危ない遊びを‥‥‥」
「‥‥‥‥内容は、解りました。で、具体的にどうしてほしいと？」
「私の努力で、解決するならば、なんでもします。ただ‥‥‥‥ただ、不安な事は、回数の要求や時間的な要請を望まれると私の年齢を考えるに無理も生じてきます。そこで、先生に相談を。」
「中井さん、夫婦円満であるべく方法としてセックスも確かに必要な条件です。しかし、それだけでは解決はしませんよ。ただ、今聞いた限りでは、奥様も嫌いではない。むしろ性に関しては、多分に積極性はあるようですからね。」
「ええ‥‥‥‥毎日、インターネットで、その類いのサイトを‥‥‥」

（？インターネット‥‥‥‥‥‥‥）

「中井さん、一つだけ確認しておきたいのですが、性生活以外に奥様は不満をもっていないんですね。」
「ええ‥‥‥そう思います。会話もギクシャクしていないし笑顔もあります。ただ、夜になると私の誘いを拒否し、一人部屋にこもってパソコンを‥‥‥」

（‥‥‥‥‥‥‥？）

　仙次郎は、中井の妻が、一人パソコンを見ていることに着目した。

「奥様は、どういうサイトを見ているんですか？」
「‥‥‥私もチラっとしか見たことが無いので、よく解らないんですが、しかし、背景画面や広告などを見る限りアダルトサイトであることは。」
「‥‥‥中井さん、奥様が、パソコンでいつも閲覧しているサイトのアドレスを明日、私の所に持ってきていただけますか。まず、奥様の興味を知りましょう。」
「え？」
「無理ですか？」
「いえ‥‥‥‥出来ます‥‥‥が‥‥」
「私が知りたいのは、先程、中井さんが、心配していた浮気とか危ない遊び。つまり、出会い系のようなサイトを閲覧している事がないかと思いまして。」
「‥‥‥つ、妻が‥‥‥‥」
「いえ、あくまで調べるためで、奥様が浮気しているとは言ってません。しかし、可能性が無いとは言えませんので、一度、覗いてみましょう。」
「解りました。‥‥‥‥それでは、さっそく今夜にでも。」
「お願いします。‥‥‥‥あと、奥様の性格、趣味、生活習慣を知っている限り話してください。出来れば中井さんとの過去の性生活と奥様自信の性癖も支障がなければ、お聞かせ願いたい。」
「‥‥‥‥‥‥解りました。何でも話します。」

　中井の悩みは、相当のようだ。
　本来ならば、誰しも秘密にするであろう夫婦間の事を話す決心をするほどなのだ。
　唇を震わせながら、顔を紅潮させて仙次郎に話す中井‥‥‥‥
　仙次郎は、何とか中井の悩みを解決してやりたいと思った。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「先生、片付け終わりました。」
「ああ‥‥‥じゃ、行こうか。」
「はい。」

　部屋を出る仙次郎‥‥‥‥
　佳代は、部屋の鍵を掛けると、ウキウキした表情で仙次郎の後を追いかけた。

　二人は、軽く食事をするために居酒屋に入った。
　佳代は、先程の中井の事を仙次郎に聞いてくる。

「先生、私、思ったんですけど‥‥‥‥」
「ん？」
「中井さんのことです。」
「ああ‥‥‥‥‥何を？」
「私の勘なんですが‥‥‥つまり、倦怠期とか性感覚が薄れたとかじゃなく、奥さんの興味が違う所にいってるんじゃないかって、そう思ったんです。」
「んむ。それは、間違いないだろうな。」
「‥‥‥先生もそう思いますか？」
「ああ。中井さんの話が真実なら二人は、まだ性に関して衰えていない。いや、むしろ、まだまだ発展途上だ。ただ奥さんに問題があるんだよ。」
「というと？」
「いいか、例えば君の彼氏を例に取ると、正常位しかやらないと言っていたろう。それも、挿入して１分もしないうちに果ててしまう。ところが彼は満足している。」
「‥‥‥ぇ‥‥‥ええ。」
「しかし、君は欲求が残る。彼に対して不安と怒りが湧きあがってくる。」
「はい。」
「しかし、別れない。‥‥‥‥‥‥何故だい？」
「それは‥‥‥‥私も彼に、はっきり言うし‥‥‥‥彼も‥‥‥それに、エッチ以外では、優しいし、色々尽くしてくれます。」
「そう、そして、それを受け止める事のできる君の性格さ。」
「え？」
「つまり、君の場合は、その不満を素直にぶつける事が出来る。そして、彼も君以上に素直で君を愛しているから努力する。」
「はぁ‥‥‥？」
「中井さんの奥さんは、言えないんだよ。離婚する気などは毛頭無いんだ。ただ、今までは別として、半年以上も前から関係が途絶え始めている。子供も手を離れ、暇を持て余してきたにも関わらず中井さんは相変わらず仕事が忙しくてセックスの内容が薄い。奥さんは３９歳、年齢的に最も身体が熟れてくる歳だ。半年も関係が途絶えていて急に誘うという行為ができるかというと意外と難しいんだ。長年、一緒に暮らしていたとしても。」
「‥‥‥‥あの‥‥‥奥さんが、こうしてほしいと言う事を言えないと‥‥‥」
「ああ。」
「恥しいから‥‥‥‥ですか。‥‥‥‥ご主人なのに‥‥‥」
「だから、性格なんだ。」
「だったら‥‥‥」
「んむ。こういっちゃ何だが解決は早いと思う。ただ、あからさまに今までと違うプレー内容に変えても奥さんは、順応しないと思う。つまり手順を弁えないとな。」
「‥‥‥ははぁーん‥‥‥何となく解りました。」
「明日、奥さんの性格を分析して、いつも見ているネットの内容を照らし合わせながら、アドバイスを考えるつもりだ。」
「簡単そうですね。」
「そうでもないがな。かなり分析を高めないと取り返しがつかなくなるんだ。君の考えているほど簡単じゃないさ。ただ、奥さんに、それを説明するには中井さんでは難しいかもしれないが。直接、会って説明できればいいんだが、そんな事をすれば、中井さんが、俺に悩みを話したことがバレてしまうし。」
「返って傷つけてしまいますね。」
「んむ。ま、それは明日以降に考えよう。」
「そうですね。」

　仙次郎は、時計を見た。

「さて、佳代君、行こうか？」
「はいっ。」

　元気よく立ち上がる佳代‥‥‥‥

「ククッ‥‥‥‥今日も写真を撮ってやろう。」
「いやぁーん‥‥‥‥‥‥‥‥お願いしますぅ。」
「‥‥‥‥へ？」

　冗談で言ったつもりの仙次郎だったが、拍子抜けしてしまった。

　仙次郎は、佳代の性に対しての正直すぎる性格が将来の女性像を象徴している気がしてならなかった。

（２５）

　佳代は、壁に備え付けられたフックに四肢を固定されていた。
　両足は大きく開かれ真後ろから抱え込まれているような格好となっている。
　佳代の亀裂からは、早くも蜜が沁みだしていた。

「先生ぇ、早くぅぅぅぅー‥‥‥‥」
「慌てるなって。」

　仙次郎は、皮製のフェイスマスクを佳代に被せた。
　目と口の部分は、取り除かれているが、口の部分だけは金属製の筒を口内に埋め込むようになっていた。

「フンァァァァァァー‥‥‥‥」

　佳代の恥丘は、綺麗に剃毛されていた。
　先程、浴室で自ら処理してきたのだった。

「‥‥‥しかし、彼に問いただされたら、なんて言うんだい？」
「アハァ‥‥‥ンアァァァァ‥‥‥アワワァ‥‥‥」

　首を左右に振りながら何やら口ずさんでいるが聞き取れない。

「ま、いいか‥‥‥」

　仙次郎は、女芯専用の吸引クリップを佳代に当てた。

「フハァァァァァァァァァァァァァァー‥‥‥‥」

　吸引クリップに繋がるコードを縛った胸に差し込みスイッチをオンにする。
　クリップは、モーター音を発しながら微振動を開始した。

「ンオアァァァァァァァー‥‥‥ハオォォォォォォォォー‥‥‥‥」

　クリップは、吸い上げた女芯を前後左右に揺らしながら蠢いた。
　仙次郎は、更にチェーンボールを佳代の菊門に挿入していく。

「アオゥ‥‥‥アァッ‥‥‥アァッ‥‥‥アァッ‥‥‥‥」

　全部で１０個繋がったボールを全て入れ終わった。
　仙次郎は、カメラを構えて佳代の醜態を撮っていく。

「んーむ‥‥‥‥なかなか、アングルが難しいな‥‥‥」

　仙次郎は、角度を何度も変えながら佳代の痴態をメディアに記録していく。
　佳代は、フラッシュが光るたびに妖艶さを増し、蜜を流していった

「佳代君‥‥‥‥自然とココが開いてきたぞ。」

　仙次郎は、佳代の蜜壷に指を滑らせながら呟いた。

「アハァァァァァァァァ‥‥‥‥ンアァァァァァー‥‥‥」

　片方の大○唇を軽く引っ張り伸ばしていく仙次郎‥‥‥

「ハオゥッ‥‥‥アガハァァァァァァー‥‥‥‥」

　鏡に映る自分の姿を見て興奮していく佳代‥‥‥
　仙次郎は、佳代の色々な表情をカメラに収めていく。

「アァッ‥‥アァッ‥‥アァァァッ‥‥」

（ん？）

　佳代が仙次郎を見て何やら叫んだ。
　仙次郎は、佳代の口にはまる金属製の筒を外す。

「どうした？‥‥‥先生のオ○ンチン舐めさせてぇぇー。」
「何だ、そんなことか‥‥‥ま、何を言ってるか解らないから外しておこう。」

　仙次郎は、佳代の正面に立ち、怒張した肉棒を口に挿入した。
　佳代は、肉棒を自ら飲み込むようにして喉を鳴らしていく。

「おっ‥‥‥た、たまらんっ‥‥‥」

　仙次郎は、佳代の喉の奥に当たる感触に快感を増大させていく。

　佳代は、顔を前に突き出し強引に肉棒を喉に当てていった。
　目から涙を流し仙次郎を見つめる佳代‥‥‥‥
　乳首は、硬く尖り千切れそうな状態だ。

「‥‥‥‥ンググググゥ‥‥‥‥ムグゥウゥゥゥ‥‥‥」

　仙次郎は、佳代の口から肉棒を引き抜いた。

「イヤァァー‥‥‥頂戴ぃぃー‥‥‥」

　仙次郎は、佳代の要求を無視し硬く尖った乳首を指の腹で転がしていく。

「ンオァァァァァァァァァァァァァーッ！」

　蜜壷から流れた愛液が床に滴り落ちた。

「さて、佳代君、抜こうか‥‥‥」

　仙次郎はそう言うと菊門にはまったチェーンボールを握った。
　片手でカメラを構えて手に力を入れる。

「さて、佳代君‥‥‥１個づつ抜けるたびに自分で数えるんだ。」
「‥‥‥は、はい‥‥‥」

　仙次郎は、佳代から離れて紐を引っ張り出した。
　鏡に映る自分の姿を見ながら佳代は、興奮気味に声を上げた。

「‥‥‥ぅぅ‥‥ひ、ひとぉつぅ‥‥‥アハァゥッ‥‥‥‥‥‥ふ、二つ‥‥ンァァァァァー‥‥‥‥み‥‥‥三っぅぅー‥‥‥‥ぁぁ、気持ちいぃっ！」

　菊門が広がり、飛び出てくるボールに佳代は、全身に鳥肌を立てた。

「せ‥‥‥先生‥‥‥‥‥ァァァァァァァ‥‥‥‥‥だ、駄目ぇぇぇ‥‥‥」

　佳代は、抜かれる快感に声がおぼつかない‥‥‥
　仙次郎は、数えさせるのを諦め一気に引き抜いていった。

「ンッアァァァァァァー‥‥アァァ‥‥ァァァー‥アアァァァァァーッ！」

　全部のボールが出た瞬間、佳代は真上に潮を噴き上げた。
　３回ほど飛沫を上げると、下腹部の緊張が解け失禁を始める。

「ハゥゥゥゥゥゥー‥‥‥‥‥‥」

　仙次郎は、すかさずシャッターを押していく。

「いやぁぁー‥‥‥先生、見てぇぇぇぇぇーっ！」

　腰を突き上げ股間を揺する佳代‥‥‥‥
　小水は、大きな弧を描きながら床に迸った。

「ぁぁぁー‥‥‥‥‥‥恥しぃぃぃー‥‥‥」
「恥ずかしいというわりには、異常すぎるほど大胆だな。」

　仙次郎は、佳代に近寄ってフックに固定されている手足を外していった。

「でも‥‥‥先生の前だと‥‥‥‥不思議と、平気なんです。」
「フッ、彼の前でやってやればいいのに。」
「‥‥‥彼が見たら驚いて尻込みしますよ。」
「そうかな‥‥‥‥」
「ええ、セックスに関しては、至ってノーマルなんです。私が、こんな趣味を持ってるって知ったらフラれるかも。」
「ハハハッ‥‥‥‥‥‥‥‥ん？」
「どうしたんですか、先生？」

　仙次郎は、佳代の今の言葉で何か思い立ったようだ。

（相手にフラれる？‥‥‥‥嫌われるから言えない‥‥‥‥か。そうか‥‥なるほど‥‥‥異常可逆思考過敏性かも‥‥‥‥‥）

　仙次郎は、掌を拳で叩いて笑みを浮かべた。

「どうしたんですか？」
「いや‥‥‥‥うん。‥‥‥‥さぁ、佳代君、今夜はトコトンやってやるぜ。」

　仙次郎は、佳代を抱き上げてベッドに放り投げた。

−　翌日　−

　営業第一課長の中井が、ノートを持って仙次郎の部屋を訪れていた。

「先生、調べてきました。」
「どうも‥‥‥‥」
「私も気になって、妻が寝てから夜中に見たんですが‥‥‥」
「そうですか‥‥‥」

　仙次郎は、パソコンに中井から預かったノートのアドレスを打ち込んでサイトにアクセスした。
　モニターに現れた画面は、大部屋で楽しむカップルの痴態を映していた。
　互いの絡みを見せ合ったりして楽しんでいる様子が鮮明に説明されている。
　参加者のコメントには、感想を克明に記した掲示板やメッセージも書かれているようだ。
　また違ったサイトでは、道具を駆使したプレーや緊縛画像などが出てきた。
　いずれも中年カップルを対象にしたサイトのようである。

（‥‥‥‥やはりな‥‥‥‥‥‥‥‥）

　仙次郎は、中井に振り向くと率直に質問をした。

「中井さん、失礼ですが、今まで奥様とセックスをしてきた中で、こうしてほしいという要望や希望を言われた事がありますか？」
「い‥‥‥いえ‥‥‥‥‥」
「中井さんも薄々感じておられるでしょうが、奥様は　中井さんとのセックスに不満を持っているんですよ。」
「‥‥‥‥‥ぇぇ‥‥‥‥‥‥はい‥‥‥‥‥」

　仙次郎は、次々とサイトを検索しながら中井に説明をした。

「おそらく、この画面に出てるようなプレーに興味を持っています。」
「そ‥‥‥そんな‥‥」

　仙次郎は、あるチャット画面でマウスを停止した。

（ん？‥‥‥‥Ｓ‥Ｎ‥‥‥‥‥‥‥‥‥静子‥‥‥中井‥‥‥‥‥）

　ログを見ていく仙次郎‥‥‥‥‥‥
　ちょうど、チャット中のようだ。
　いつも見ているサイトでありイニシャルからして中井の女房である可能性は極めて高い。

（‥‥‥‥間違いない‥‥‥‥中井さんの女房だぜ‥‥‥‥）

　仙次郎は、溜息をついて中井に話を再開した。

「今日、朝から中井さんの奥様の性格を分析した結果ですが、私の今から言う事が当たっているか聞いていてください。」
「は‥‥はぁ‥‥‥」

　仙次郎は、モニターを切り替えて中井静子のデータ−を出した。

「奥様は、中井さんより５歳年下の３９歳、血液型はＡ型、几帳面で意思をしっかりと持ち堅実な生活を送るタイプです。３人姉妹の長女で小さい頃からしつけに関しては、厳しく育てられた事実。名門の付属女子学校を中学から大学までストレートで出て、榊原グループに入社し、中井さんと結婚をした。奥様の最初に性交した男性は、中井さん、貴方ですよね。」
「‥‥‥‥はい‥‥‥‥。」
「真面目な奥様は、今まで、男性とのセックスはこういうものだと信じきってきた。ところが‥‥‥‥‥ネットから色々な情報を得るようになると疑問が湧いてきた。」
「‥‥‥‥‥‥‥」
「顕著なのは、このネットでアダルトサイトを閲覧しているうちに、異様な興味を示した事です。世の中、ごく普通のカップルが、互いのプレー内容を告白したり自慢げに訴えているのを見てしまった、知ってしまったんですよ。その時期がちょうど半年前、もしくは、それ以前かもしれません。奥様の大人しく真面目な性格から判断すると、直接、中井さんに対して自分の希望、要望を話すことは出来ないんです。つまり、自分がそういう事をやりたい、してみたいとい事を恥しくて　亭主である中井さんにも言えないんです。身体に染み付いた家系の訓へや、古風な女性の考え方が頭の隅に残っている。つまり、邪魔してるんです。」
「‥‥‥‥‥‥と‥‥‥言う事は‥‥‥」
「奥様は、中井さんを嫌いになったわけではないんです。‥‥‥‥‥ただ‥‥」
「‥‥‥‥‥‥た‥‥‥‥ただ‥‥‥‥」
「奥様は、ご主人の前では貞淑でありたいと思っている。しかし、性の興味の反動が、奥様を苦しめているんです。」
「‥‥‥い‥‥‥‥言っている意味が‥‥‥よ、よく‥‥‥」
「つまり、奥様は、ご主人以外の全く見知らぬ男性なら、性の素直な気持ちを訴えられると考えているようです。」
「えぇぇーっ！」
「異常可逆思考過敏性と言えます。」
「な‥‥‥なんですか‥‥‥それは‥‥‥‥」
「簡単に言えば、知らぬうちに二重人格を形成しようとしているんです。」
「‥‥‥‥に‥‥‥‥二重人格‥‥‥‥」
「特に精神状態、例えば、人に迷惑をかけてはいけない、家族に心配させてはいけないという気持ちが強く、一人で悩み続ける。相談を打ち明けても理解されにくく、自分は駄目な人間ではと思ってしまう。 こんな事ではいけない、と自分で励ましたり奮い立たそうとするが、ふさぎ込んでしまう。しかし、義務感責任感が異常に強いために、自分を責めてしまうんですよ。解りやすいように言えば、そういう自分から逃げるために本来とは違うもう一人の自分を作り上げてしまうんです。」
「‥‥‥‥‥‥違う自分？」
「ええ。自分を二人にする。現実逃避ですが‥‥‥ま、一種の願望異常です。」
「そ‥‥‥そんな‥‥‥‥」
「失礼ですが、中井さん、奥様に、フェラチオをしてもらうとか、反対に、クリニングスとかしたことが無いんじゃないですか。」
「ぇ‥‥‥ええ‥‥‥‥‥新婚当時なんですが、酷く恥ずかしがって。‥‥‥それ以来、私も妻を思って一度も強制した事はありませんし。」
「しかし、既に１５年も経っている。人間っていうのは変わっていきますよ。」
「つ‥‥‥つまり‥‥‥‥性の興味が‥‥‥変わったと‥‥‥‥」
「ええ、ところが、自分に気を使ってくれる中井さんに対して奥様は、今更という気持ちが先立ってしまったんでしょうね。」
「‥‥‥ぅぅ‥‥‥」
「自分の努力や、正直に言う事が出来ないせいで。皆はうまくやっているのに素直になれない。今までの生活習慣と性格、育った環境が、染み付きすぎて正直に自分の気持ちを伝える事が出来ないんです。最初は妄想でもいいからそういう世界に浸ってみたいと考えたんでしょう。ところが‥‥‥‥‥。」
「‥‥‥‥‥と‥‥‥ところが‥‥‥？ 」
「これを見てください。」

　仙次郎は、モニターを中井に見せた。
　チャット画面で男女が会話をしているようだ。
　内容を見ると、女性の亭主であろう男の愚痴や不満を訴えている。
　一方、男性は、その女性に自分が満足させてあげるからと口説いているようだ。

「！‥‥‥‥‥こ‥‥‥この女性の亭主‥‥‥‥」
「そう、貴方です‥‥‥‥つまり、この女性は奥様ですね。」
「‥‥‥そ‥‥‥‥そんな‥‥‥‥‥」
「内容を見ると奥様は、この男性と会おうとしていますよ。」
「えぇぇぇーっ！」
「見知らぬ男性なら、恥しくないという表れでしょね。」

　仙次郎は、モニターを閉じて中井に具申した。

「中井さん、奥様の気持ちも解ってあげてください。奥様は、中井さんに伝える事が恥しいんですよ。こういうセックスをしてほしいと言えないんです。」
「‥‥‥‥せ‥‥‥先生‥‥‥‥‥どうすれば‥‥どうすればいいんですか。」
「基本的には中井さん自信が、奥様のそういう状態を開放する事なんですが‥‥‥」
「し、しかし‥‥‥‥」
「気をつける事は、いきなり、そういう性戯をしないことです。」
「‥‥‥‥‥」
「ま、私の案ですが、つまり偶然性を装うんですよ。」
「え？」
「試してみますか？」

　中井は、即座に答えた。

「先生、お願いします。何でもします、助けてくださいっ！」
「解りました。」

　仙次郎は、中井に対して、とんでもない方法を話し始めた。