（２６）

「えぇぇーっ！？‥‥‥そ‥‥‥そんな事‥‥‥‥」
「無理ですか？」
「‥‥‥‥い、今からですか‥‥‥」
「チャットを見たでしょう。‥‥‥‥この見知らぬ男性と約束をしてしまいますよ。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥わ‥‥‥解りました。」

　仙次郎が提案した内容はこうだった。
　中井の妻、静子を大事な話があると今から呼び出す。
　場所はビジネスホテル‥‥‥‥

　そして苦悩した表情で会社を辞めると嘘をつくのだ。
　当然、静子は驚きながら理由を聞いてくる。
　しかし、そこで中井は、はっきりとした理由を言わないで、酒を飲みながら苦悩を表現し続ける。
　静子の性格上、中井を心配して何度も尋ねてくるはず。
　中井は、演技を続けながら静子を強引に抱くのだ。
　静子の精神状態は、恐らくそれどころではないだろう。
　しかし、中井の台詞によって、静子の心底に眠っていた性を覚醒していく‥‥‥‥‥
　もし、静子が歓悦を伝え、欲心を現した時点で、中井は素直に静子に説明をするのだ。
「しかし、先生‥‥‥‥上手くいくでしょうか？」
「それは、中井さんの演技次第ですよ。上手くいくも、いかないも全て中井さんの演技に掛かっています。確かに奥さんには、嘘をつくわけですが、奥さんの心を違和感無く開放してあげれば、決して中井さんを恨む事は無いと思いますけどね。」

　中井は、仙次郎の案に掛ける事にした。
　何もしないで、このままの状態にしておく事は出来ない。
　中井は、早速、早引きし、妻、静子を呼び出す事にした。

☆☆☆☆☆

　部屋の外でノックをする音が聞こえた。
　中井は、ビジネスホテルの一室でビールを飲みながら妻の静子を待っていたのだ。
　ドアに歩く中井‥‥‥‥

「誰？」
「あなた‥‥‥私‥‥‥静子です。」

　中井は、ドアを開けて静子を部屋の中に入れた。
　部屋に入った静子は、怪訝そうに中井を見つめた。

「どうしたの、急に呼び出して‥‥‥‥‥大事な話って‥‥‥何？」
「静子‥‥‥‥スマン、急に呼び出したりして。家に帰ってからでも良かったんだが‥‥‥しかし、子供達が居るから話せないと思って。」
「‥‥‥‥何かあったの？」
「静子‥‥‥‥‥座ってくれ。」

　静子は、中井の言われるまま奥の椅子に腰掛けた。

「貴方‥‥‥何で、ホテルなんかに‥‥‥‥」
「ちょっとの間、一人で考えたかったんだ。」
「一人で‥‥‥‥？」
「静子‥‥‥よく聞いてくれ。色々と考えたんだが‥‥‥‥俺、会社を辞めるよ。」
「えぇぇーっ‥‥‥‥ど、どうして‥‥‥何があったの‥‥‥ねぇ、貴方っ‥‥‥」

　中井は、仙次郎に言われたとおり、静子に何を聞かれても理由を話さなかった。
　そもそも、理由など無いため中井も考える手間は省けるが、むしろ抱くまでのタイミングを計るほうが難しいようだ。
　とにかく、自分を悲観する言葉だけを口ずさんで、まず、静子の精神状態を低下させていく事が先決だった。

「あなた‥‥‥何とか言って‥‥‥‥悩んでいたの？」
「俺は、‥‥‥‥‥‥俺は‥‥‥‥」

　中井はそう言うと、ビールをラッパ飲みした。
　亭主のこんな姿を始めて見る静子は、動揺を隠せない‥‥‥‥

「あなたっ、どうしたっていうのっ‥‥‥あなたぁっ！」

　中井の飲んでいるビールを奪おうとする静子‥‥‥
　しかし、中井は静子の手を跳ね除けてビールを飲みきった。
　更に、もう１本を冷蔵庫から取り出し栓を開けて口に運んでいく。

「あなたっ、無茶は止めてぇーっ‥‥‥‥あなたぁっ！」

≪中井さん‥‥‥‥奥様が静まるまでは、駄目ですよ。≫

　仙次郎の言葉が中井の脳裏を過ぎっていく‥‥‥‥‥

「話してっ‥‥‥‥何があったか話してぇっ！」

　中井は、顔を顰めながら俯いたままだ。

（我ながら演じれるもんだな‥‥‥‥‥）

　中井は、そんな事を思いながら機会を待つ‥‥‥‥

「私が原因なの？‥‥‥‥それとも仕事で嫌な事が‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥‥」

　静子は、涙を浮かべながら押し黙ってしまった。
　暫し無言状態が続く‥‥‥‥

（今か‥‥‥‥）

　中井は、ビール瓶を叩きつけるようにテーブルに置いた。
　ビクッっと肩を震わす静子‥‥‥‥

「静子‥‥‥‥静子ぉぉっ！」

　中井は、静子を引き寄せるとベッドに押し倒し覆い被さっていった。

「‥‥い、いやぁ‥‥‥あなた‥‥‥‥やめてっ‥‥ど、どうしたのっ！」

　静子は、中井に声を荒げた。
　中井は、静子を無視し服を乱暴に脱がしていく。

「いやぁ‥‥‥あなたっ、やめて‥‥‥やめてちょうだいっ。」

　静子は、あっという間に下着だけの姿にされてしまった。
　中井は、静子の首筋に唇を這わせながら乳房を強く握っていく‥‥‥

「アァー‥‥‥やめてぇぇーっ‥‥‥」

　しかし、中井は、強引に静子を襲った。

「静子‥‥‥静子ぉぉーっ‥‥‥‥俺は‥‥‥お、俺は‥‥‥‥‥」

　中井は、迫真の演技で静子を抱きしめた。
　静子の身体から一瞬、力が抜けていく。

「あなた‥‥‥‥話して‥‥‥‥あなたの悩みを‥‥‥」
「‥‥‥‥静子‥‥‥‥お前を、お前を‥‥今、抱きたいんだぁっ！」

　そう言って、ショーツに手を掛け、引き千切るように脱がしていった。

「‥‥‥うぅっ‥‥‥あ‥‥‥‥あなた‥‥‥‥‥‥‥」

　静子は、中井を見つめた‥‥‥‥

「‥‥‥解ったわ‥‥‥気の済むようにして。そのかわり‥‥‥抱いた後に訳を聞かせて。」

　静子は、ブラジャーを自ら外し中井の首に手を回した。
　中井は静子の蜜壷に指を這わせていく。

「‥‥‥ゥゥッゥゥ‥‥‥」

　ここまでは、いつもの二人のパターンだった。
　静子も、直ぐに中井が挿入してくると思っていたようだ。
　しかし、中井は、静子がネットで見ていたような絡みのシーンを思い浮かべて実行していった。
　静子の両足を強引に開き蜜壷に口をつけていったのだ。

「ぇ？‥‥‥い、いやぁぁ‥‥‥あなたぁっ‥‥やめてぇっ‥‥やめてぇぇぇーっ！」

　中井の頭に手をあて拒否する静子‥‥‥
　しかし、中井は、力を込めて静子の股間に密着させたまま動かない。

「あなたっ‥‥‥駄目、シャワーも‥‥‥汚いわぁっ‥‥‥あなたぁぁぁー‥‥‥」

　中井は、静子を無視し舌を蜜壷の中に挿入した。

「‥‥！ハァゥッ‥‥‥‥アァァ‥‥‥‥‥‥ウアァァァァァァァァァーッ！」

　静子は、そう叫ぶと押しのける手の力が緩めていった。

「あなた‥‥‥お願い‥‥‥‥汚いからヤメテっ！」

　言葉とは裏腹に力を抜いていく秀子‥‥‥

「お前は、俺の女房だ‥‥‥汚いなんて思った事は一度も無いっ！」
「！」

　そう言うと、舌を肉襞に絡めていった。

「ゥゥ‥‥‥ウフゥゥゥゥゥゥー‥‥‥‥」

　身体の力を抜いた静子は、天井の一点を見ながら中井の舌に集中した。
　経験したことのない快感が、静子の全身を駆け巡っていく‥‥‥‥

「ァァァァ‥‥‥ンアァァァァー‥‥‥」

　静子の口から聞いた事のない喘ぎ声が漏れた。
　中井は、静子の女芯を舌で転がし始める。

「クッフゥゥゥゥー‥‥‥‥‥ァァ‥‥‥あなたぁ‥‥‥アァァァァァァー‥‥」

　静子の目が淫艶な輝きに変化した。
　自分の股間を責める中井に視線を移す静子‥‥‥‥
　中井の獣のような姿に、静子の眠っていた性悦が本性を現わしていく。

「ゥゥ‥‥‥ゥゥ‥‥‥ァ‥‥ァァ‥‥き、‥‥‥気持ち‥‥‥気持ちいぃぃーっ！」

　中井は、覆い被さったまま身体の向きを変え怒張した肉棒を静子の顔の前に向けた。
　静子は、無意識に中井の肉棒を握って唇を被せていく。

「ンムゥ‥‥‥ンムグゥゥゥ‥‥‥」

　中井は、信じられなかった。今まで、あれほど拒否していた静子が自ら肉棒に貪りついてきたのだ。
　慣れていないためか、時折、歯が当たり痛みが走るが、中井にとってはどうでもいい事だった。
　ひたすら舌で静子の蜜壷周囲を愛撫していく。
　静子の蜜壷からは今まで見たことも無かった量の愛液が噴出していた。

　シックスナインを続ける中井と静子‥‥‥‥
　死ぬまで、こんな事をするとは、お互いに思っていなかったのだろう。
　ぎこちなさの中にも、我を忘れて舌を駆使していく中井と静子‥‥‥‥
　中井は、静子を四つん這いにした。
　当然、初めてする体位だった。

「静子‥‥‥‥素敵だ‥‥‥君のヒップはこんなに‥‥‥‥」

　静子は、顔をシーツに押し付けて恥しさを隠しているようにも見える。
　しかし、小刻みに腰を振って中井を誘っているようにも見えた。
　中井は、グッショリと濡れた静子の蜜壷に肉棒を挿入した。

「ウアァァァァァァァァァァーッ！‥‥‥‥‥‥イィ‥‥‥イィィィィーッ！」

　上から静子の乳房に手を回し腰を振る中井‥‥‥指は乳首を摘んで刺激している。

「ぁ‥‥‥ぁぁ‥‥‥‥‥ィィ‥‥ィィ‥‥‥‥‥ウアァァァァァァァァァーッ！」

　静子は、大絶叫して果てた。
　急激に締め付ける蜜壷に中井も爆発を余儀なくさせる。
　中井は、静子の蜜壷から肉棒を抜き仰向けにさせた。
　避妊具が無いため、腹の上に放出するためだった。
　その時‥‥‥‥‥
　静子が中井の肉棒を握って上下に擦り始めた。

「‥‥‥し‥‥‥静子‥‥‥」
「‥‥出してっ‥‥‥私のお腹の上に、出してぇぇぇぇぇぇぇー‥‥」
　
　静子の変貌振りに中井の興奮も冷めやらない。
　中井は、唸り声を上げて分身を爆発させた。

「ウゥッ‥‥」
「‥‥‥‥あぁぁぁぁ‥‥‥‥あなたぁ‥‥‥‥凄いぃぃ‥‥‥」

　静子が言うように、信じられない量の分身が静子の腹に発射された。
　更に、静子は信じられない行動に出た。
　腹に放出された分身を掌で身体中に広げていったのだ。

「‥‥‥静子‥‥‥‥」

　静子の目は、まさに女、そう女獣の目だった。
　指についた分身を舌で舐め上げていく。
　中井は、静子に覆い被さって唇を合わせた。

　舌を絡めてくる静子‥‥‥‥
　もちろんディープも初めての経験である。
　静子は、両足を中井の腰に巻きつけていった‥‥‥‥

　中井と静子は、自然と２回目の性交を開始した。
　中井は、知っている限りの体位を静子に試していった。
　さらに、卑猥な言葉を囁き、互いの性器を貪り、静子の性欲を一層漲らせていく。
　静子は我を忘れた状態で中井の責めに浸っていった‥‥‥‥‥

☆☆☆☆☆☆

　就業が近くなった頃、仙次郎は、帰り支度をしていた。

「先生、中井課長から、お電話です。」
「？‥‥‥‥そうか‥‥上手くいったのかな？」

　仙次郎は、保留にされているデスクの受話器を握った。

「高輪です。」
『先生‥‥‥‥静子と‥‥‥‥いえ‥‥‥つ、妻と‥‥‥』
「‥‥‥‥どうでした？」
『上手くいきました‥‥‥‥そして、妻に正直に話をしたんです。』
「ほぉう‥‥‥それで‥‥‥」

　興奮気味に説明をする中井‥‥‥‥

『最初は怒っていましたが、徐々に照れというか‥‥‥つまり、妻も気持ちを伝えてくれたんです。私は、妻の今までの気持ちを知っていたと話したら、妻は、ごめんなさいと‥‥‥でも、私は嬉しかったんです。話してくれて。』
「奥様も、中井さんに気持ちを訴える事が出来たんですね。」
『はい。‥‥‥実は、今から妻と、これからの夜のために、アダルトショップに行ってみようと言う事になりまして。』
「ハハハ、いい事じゃないですか。‥‥‥ただ、一つだけ言っておきます。奥さんに気を使って、もう一つ奥にある気持ちを察してあげてください。」
『はい。‥‥‥先生‥‥‥私‥‥‥‥若い頃に戻ったような気が‥‥‥』
「そういうものですよ。」
『妻が、今まで以上に綺麗に美しく見えて‥‥‥‥』
「中井さん‥‥‥奥さんを大切にしてあげてください。」
『はい‥‥‥勿論です。』

　中井は、何度もしつこいくらいに仙次郎に礼を言って電話を切った。

　佳代が、受話器を置いた仙次郎に尋ねてきた。

「先生、上手くいったようですね。」
「ああ‥‥‥中井さんは、全部、今回の魂胆を話したらしい。」
「そうですか‥‥‥でも、良かったですね。」
「だな‥‥‥ま、失敗しても次の手はあったんだが、奥さんが素直過ぎて、返って即座に成功したようだ。」
「これで、中井課長も業績アップですね。」
「だといいがな‥‥‥‥‥さて、俺は帰るから。」

　仙次郎は、そう言うと佳代のヒップを撫でながら部屋を出て行った。

「先生、お疲れ様でしたぁぁー。また、私のオ○ンコを虐めてくださぁぁーい！」

　大声でそう叫ぶ佳代‥‥‥

「ば、‥‥‥馬鹿者‥‥‥そんな、でかい声で‥‥‥‥」

　慌てて廊下に人が居ないかを確認する仙次郎‥‥‥‥

「す‥‥‥すみません‥‥‥‥」

　仙次郎は、佳代を睨みつけながら、呆れ顔でドアを閉めた。