（２７）

　久しぶりの連休なのだが、仙次郎は、暇を持て余していた。
　朝から湯船に浸かりながら、のんびりと暇をつぶす予定を考えていた。

（‥‥‥‥‥しっかし‥‥‥何するかな‥‥‥‥）

　亜希子は、学会の発表会で地方に行っており、美優に電話をしたら、大きな裁判が大詰めのためと簡単に断わられた。
　佳代は、実家の法要で故郷に帰っている。

（‥‥‥‥ったく‥‥‥暇な時に限って‥‥‥‥誰も居ないとは‥‥‥）

　仙次郎は、浴槽に置いたバーボンを喉に流し込んで湯船から上がった。
　バスタオルを巻いたまま、居間に向かう仙次郎‥‥‥
　手には、缶ビールが握られている。

（映画でも見るか‥‥‥‥）

　仙次郎は、映画を見ようとソファに腰掛けた。
　衛生テレビのチャンネルを無造作に変えていく‥‥‥‥

「‥‥‥お、こんな朝からエッチな番組が‥‥‥」

　画面は、海外のアダルト映画が映し出された。
　リアル感を出すために２ヶ国語放送に切り替える。

（んーむ‥‥‥‥ハードだ‥‥‥‥‥しかし、モザイクを取れっつーの。）

　ビールをあおりながら煙草に火を点ける仙次郎‥‥‥‥
　その時、仙次郎の携帯電話が鳴った。

（ん？‥‥‥‥）

　携帯の番号を知っているのは、亜希子と美優、そして佳代しかいない。
　仙次郎は、ボードの上にある携帯を手にとった。

「はい‥‥‥‥‥‥高輪です。」
『‥‥‥‥もしもし‥‥‥』
「はい‥‥‥‥‥どちら様？」
『フフッ‥‥‥‥誰か判ります？』

　仙次郎は、聞き覚えの有るハスキーボイスの主の記憶を辿っていく‥‥‥‥‥

（‥‥‥‥‥‥！）

「‥‥‥‥‥‥ひょっとして‥‥‥‥如月さん‥‥‥かな。」
『当たりーっ！』
「‥‥‥ハハ‥‥‥‥どうしたんです。こんな朝から‥‥‥」
『だってぇ‥‥最近、お店に顔出してくれないし‥‥‥どうしてるかなと思って。』
「ぁ‥‥いや、仕事がね‥‥‥色々と忙しくて‥‥‥‥」
『もぉぅっ。‥‥‥‥ねぇ、仙次郎さん、今、暇ですか？』
「え？‥‥‥‥ああ、ま、その‥‥‥」

　仙次郎は、どうしようか迷っていた。
　確かに暇すぎて気が狂いそうだったが、相手が樹里だとすると今度は忙しくなる恐れがある。

『‥‥‥‥その曖昧な返事からして暇ですね。』

　仙次郎は、樹里に見透かされてしまった。

「ぇ‥‥ハハハハッ‥‥‥まぁ、暇なんです‥‥‥が、仕事の疲れも‥‥‥」
『まだ、連休の初日じゃない‥‥‥ね、仙次郎さん、お店に来ない？』
「店に？」
『ええ、今日休みなんだけど清ちゃんが、新しい縛りを研究したいって。』
「新しい縛り？」
『つまり、お客さんが喜びそうな‥‥‥‥』
「それで、俺が？」
『清ちゃんに、仙次郎さんに縛られた話をしたの。そうしたら、一緒に考えてくれないかなって。』
「俺に？」
『ええ‥‥‥駄目かしら？』

　仙次郎は、清七も一緒なら樹里に誘われる事もないだろうと判断し誘いに承諾した。

「解りました。いいですよ‥‥‥行きましょう。興味あるし。」
『やったぁぁー。じゃ、仙次郎さん、待ってますから。』
「解りました。」
『ところで、仙次郎さん。私に敬語を使わないで。私は、仙次郎さんの女なんだから。』「ぇ‥‥‥そ、そんな‥‥‥」
『私、決めたんです。‥‥‥じゃ、待ってますから。』

　樹里はそう言って電話を切った。

（‥‥‥まいったな‥‥‥‥‥‥‥‥‥ま、いいか‥‥‥）

　仙次郎は、それとは別に、プロの緊縛師である清七の技術を見るのが楽しみだった。
　仙次郎は、バスタオルを取って服を着始めた。
　ビンテージジーンズに足を通し、Ｖカットのニットシャツを着込むと早速、部屋を出て行った。

☆☆☆☆☆

　マスタングの爆音が、樹里の店に響いた。
　ローブーストしてエンジンを切った仙次郎は、≪奈落≫のドアを開けた。

「こんちは！‥‥‥高輪です。」

　店の奥から樹里が駆け寄ってきた。
　仙次郎にしがみ付いて股間を太腿に押し付けてくる。

「仙次郎さぁーん‥‥‥‥」
「ちょ‥‥ちょ、ちょっと‥‥‥如月さん‥‥‥」
「もぉぅ、馬鹿ぁっ‥‥‥名前で呼んで。」

　仙次郎の腕を抓る樹里‥‥‥‥

「痛たたたぁっ‥‥‥‥‥‥わ、わかったから‥‥‥‥」

　二人の様子を清七が笑いながら見ていた。
　それに気づく仙次郎‥‥‥

「あ、どうも‥‥‥‥‥」
「高輪さん、わざわざお呼び立てしてすいません。」
「いえ‥‥‥私も興味ありましたし、番さんの技術を見るのは楽しみでしたので。」
「‥‥‥まあ、どうぞ‥‥‥」
「はい。」

　仙次郎は、樹里に腕を引っ張られてステージのある店内に入っていった。

「仙次郎さん、何か飲む？」
「え‥‥‥ああ‥‥‥じゃ、バーボンをロックで‥‥‥」
「わかった、待ってて。」

　樹里は、カウンターに入っていった。

　清七が、微笑みながら仙次郎に声を掛けてきた。

「高輪さん、先日、樹里ちゃんから聞きましたよ。見事な後手観音だったそうで。何処で覚えたんです。」
「いえ、見よう見真似でして‥‥‥全く習った事はありません。」
「そうなんですか‥‥‥」
「番さんは、いつからこういう仕事を？」

　番は、照れた笑いを浮かべながらカウンターの椅子に座ると仙次郎に自分の過去を話し始めた。

「私は、元々、彫師の倅だったんです。もう、かなり昔の話なんですが親父の持っていた捕獲伝記書を見ていて縛りの世界に魅惑されました。
　それはもう身体中が震えていたのを今でも鮮明に覚えているくらいです。
　私は、魅了されましてね。そして当時、日本でも有数の緊縛師だった、北陸の淡野桐蔭という方に、速攻駆け込みで弟子入りしたんですよ。」
「へぇー‥‥‥」
「その後、こちらに戻ってきたんですが、個人的に彫師の仕事をしながらマニアを対象に縛りを施してきました。そのうちに噂が広がりましてね。」
「噂？」
「ええ、当時は、雑誌や口込みだけで、私の存在が広がっていったのですが、嬉しい事に、そういうマニアの方から私に縛りの依頼が殺到しましてね。金銭的にも裕福でした。そう言う趣味を持った方の多い事にも驚きました。」
「‥‥‥‥ほぉ‥‥‥」
「そして、ある時、ヤクザの大物親分の奥さんを彫る事になったんです。それはもう絶賛して頂いたんですが、私が緊縛をする事も知ったんです。
　その、親分さんは、私の今まで縛った緊縛写真を見て感動していました。
　是非、女房をと言う話になりまして。‥‥‥‥‥私は承諾したのですが、しかし、その後、その親分さんの女房といい仲になってしまいましてね。」
「‥‥‥‥‥」
「見つかった挙句、男性として致命的な仕打ちを受けまして‥‥‥‥」

　仙次郎は、樹里に聞いた事を思い出した。

≪アソコが無いの‥‥‥‥≫

（‥‥‥‥なるほど‥‥‥そういう事情が‥‥‥‥）

　清七は、目を細めながら昔の事を思い耽っていた。

「その後、色々と地獄を味わいましてね。‥‥‥‥‥樹里ちゃんと知り合ったのは１０年前、ちょうど彼女が高校を卒業したばかりの頃です。いきなり私を尋ねて来まして‥‥‥‥縛ってくれって。ハハハ‥‥‥とんでもない娘が来たもんだと。」
「ほぉー‥‥‥」

　樹里が、照れ笑いを浮かべてバーボンを運んできた。

「清ちゃん、恥しいからやめてよ。」
「ま、いいじゃない‥‥‥樹里ちゃんが、初めて惚れた男性に聞かせるのは当然さ。」
「‥‥‥‥‥ん‥‥‥そうね。」

　照れる樹里をよそ目に、清七は、話を続けた。

「当然ながら、私は、追い返そうとしたんですが、樹里ちゃんは、しつこくて。止む無く、興味本位で彼女を縛る事にしたんですが、裸にせずに服の上から彼女を縛ったんです。適当に葵縛りを作ったんですが、樹里ちゃんの目が急激に変化しましてね‥‥‥‥‥‥直ぐに判りました。本物のＭだってね。
　僅か１８歳の娘がですよ。私は始めて見ました。性体験が少ない未成年の女性が、何故だって。天性的にそういう資質を持っているのかもってね。」
「でも、小さい頃から、そういう兆候があったわよ、清ちゃん。」

　樹里は、笑いながら呟いた。

「高輪さんは、そういう事があると信じますか？」
「‥‥‥‥‥性刺激過敏症候群‥‥‥思春期を迎えると発症する人もいます。
　女性に限らず男性にもいますよ。自分で肌に針を刺して快感に目覚めたり、男性の場合ですと、殴られるのが快感で、ワザと喧嘩を売ったりするとか。」
「‥‥‥‥‥そうなんですか。‥‥‥‥やはり‥‥‥‥」
「え？」
「私は、樹里ちゃんを縛った後に彼女の変化に度肝を抜かれました。試しに、今、高輪さんが言ったように、樹里ちゃんの首筋に針を刺したんです。‥‥‥驚きました。大絶叫をして失禁したんです。」
「やだぁー‥‥‥清ちゃん、言わないでよぉーっ‥‥」

　顔を赤く染めて清七を叩く樹里‥‥‥‥‥

「そういう女性は、見る者を楽しませますよ。針のような一時的な痛みだけでなく縄が肌に食い込む継続的な刺激は、どの女性も美しい姿を表現してしまうんです。まさに、妖艶と言う言葉がピッタリと当てはまるんです。曰く緊縛は芸術です。」
「私もそう思いますよ。」
「ただ、それを演じる事が出来る女性は、ほんの一握りしかいませんが‥‥‥」
「‥‥‥‥‥なるほど‥‥‥」
「しかし、私は、見つけることが出来ました。」

　そう言って、樹里を見る清七‥‥‥

「彼女は、緊縛で商売をしたいと言い始めたんですよ。もちろん、最初は、涙を飲んで断わりましたけどね。」

　そう言って笑い声を上げる清七‥‥‥‥

「ところが、数年後、樹里ちゃんが、この店をオープンしたんです。驚きましたよ。まだ、二十歳そこそこの女性が専門店を作るなんて。
　よくよく、聞いたら彼女の家系は、昔から伝わる名家らしくて。つまり、お金に不自由はなかったんですね。ある意味彼女は生き方を決めてしまったんです。当然、両親から勘当を食らったそうですが。」

　仙次郎は、清七の話で、樹里と言う女性の見方が変わった。

（‥‥‥‥信念か‥‥‥‥‥なるほど、半端じゃないな‥‥‥）

「樹里ちゃんは、再度、私を訪れてきました。‥‥‥‥手伝ってくれと。私は、樹里ちゃんの必死さに観念しましたよ。そして、決心しました。　
　第二の人生を彼女に‥‥‥‥樹里ちゃんに賭けてもいいと‥‥‥‥ね。」

　仙次郎は、清七の心内を詮索し、この世界に骨を埋めた清七の気持ちを納得をしていく。

「しかし、樹里ちゃんの信念が揺るぐと人生は墜ちていく。私は、それを何日もかけて樹里ちゃんに説明しました。そして‥‥‥‥樹里ちゃんは、意志を決定づけたんです。」

　樹里は、着ている服を脱いだ。

（‥‥‥‥え？）

　怪訝そうに清七と樹里を見る仙次郎‥‥‥‥

　清七は、ウィスキーを軽く口に運んで話を続けた。

「彼女の肌に墨をいれたんです。２年間掛けてね。」
「牡丹ですね。」
「私が一世一代を賭けて彫ったものなんです。牡丹は、百花之王と形容されるくらい美しくて綺麗な花です。樹里ちゃんの白い肌には、この花が一番似合うんですよ。
　樹里ちゃんの背中に彫った牡丹は、寒牡丹をアレンジした皇嘉門で、縛った時に肌の色が変化して美しさを増していきます。この彫りが似合う女性は少ないんです。」
「少ないとは？」
「まず、肌が白くないと駄目です。そして、肌のきめ細かさはもちろんですが皮膚の柔軟さと血行の良さ。この条件が揃って初めて美しく見えるんです。」
「なるほど‥‥‥‥‥確かに綺麗ですね。」
「それよりも大変だったのは、彫っているときに樹里ちゃんが感じてしまって。」

　笑いながらそう言う清七‥‥‥

　樹里が、清七の口を抑えて話を止めようとする。

「樹里さん、ここまで聞いたんだ。聞かせてくれないか？」

　仙次郎は、そう言って樹里に微笑んだ。

「‥‥‥あぁーん‥‥‥もう勝手にして。」

　樹里は、仙次郎のバーボンを奪うと、やけ気味に喉に流し込んでいった。

　清七が、詳しくその話を始めた。

「刺すたびに身体を震わせてしまって。感じてるんでしょうが、一番困ったのは快感で肌の色が変わってしまうので、出したい色がなかなか見つからなくて。」
「なるほど。」
「いつも終わると敷布が蜜でビッショリと濡れていました。最後の仕上げの時は凄かったんですよ。終刺して口に含んだ酒を彫った絵柄に吹き付けるんですが、敏感に反応したんでしょうね。大声を上げて放尿を開始したんです。真っ赤に染めた身体が、吹き付けた酒に反応して反射した牡丹が色づいたんです。私は、興奮を隠せなかった。自分の男根が無い事をこれほど悔やんだ事はありません。墨を入れた色が、快感によって肌の変化に順応する人間は非常に珍しいんです。」
「そうなんですか。」
「ええ。‥‥‥‥‥しかし、私は、確信したんですよ。樹里ちゃんは、日本一の芸術的な縄女になると‥‥‥ね。」

　仙次郎は、恥しがる樹里を見つめた。

「あの‥‥‥‥あそこの毛も手入れをしたんですか？」
「ええ。毛深くても少なすぎても駄目なんです。恥毛周囲は昔ながらのやり方で、線香で無駄な毛穴を塞いだんですよ。しかし、焼くにも跡が残らないような技術がいるんです。」
「‥‥‥‥いや、いい話を聞かせていただきました。」

　仙次郎の言葉に、一層、顔を赤く染めていく樹里‥‥‥
　仙次郎に寄り添いながら小声で囁いた。

「でも、大変なのよ。夏でも陽に焼けないように長袖を着なくちゃいけないし太っても痩せてもいけないの。健康にも気をつけて食事も考えて摂らないと肌が荒れてしまうし‥‥‥。太ってしまうと模様や形も変わっちゃうから。」
「そうか‥‥‥‥そりゃ、大変だろうね。」
「でも、お客さんの感動した顔を見ると嬉しくって。」
「んーむ‥‥‥まさにプロ意識というか。縛女の悦びというか‥‥‥‥」

　仙次郎は、ある意味、樹里の生き方に感動した。

　人の歴史は性の歴史‥‥‥
　色々な楽しみや過ごし方があり風性を確立してきたのは、まさに、性の考え方、在り方‥‥‥‥
　そして、生きるための悦楽を探求する事なのだと。

（２８）

　仙次郎は、樹里の専用室に上がっていた。
　清七が樹里を何も身につけさせずに立たせて見つめている。

「んー‥‥‥‥高輪さん‥‥‥背中の牡丹を隠さずに妖艶さを現わす縛りをしたいんですが、何かいい縛り方はないですかね。」
「そんな‥‥‥プロ緊縛師の番さんに聞かれても‥‥‥‥」
「いえ、むしろ素人の方のほうがいいんです。縛り方が頭にこびり付きすぎて奇抜な思考を邪魔してしまいますから。」
「‥‥‥んー‥‥‥‥」

　仙次郎は、真剣に考え始めた。

　樹里は、仙次郎を見つめながら身体を捩じらせている‥‥‥‥

　暫し思考を繰り返した仙次郎は一つの案を提じた。

「番さん、吊り上げられる棒のような柱を使ってみては？」
「棒のような柱‥‥‥ですか？」
「ええ。例えば駿河問いは背中の中央で手首と足首を起点にした一点で真上に吊り上げますけど、身体を海老反りにするんではなく手首と足首を２点で棒の柱に吊るんです。つまり、吊り橋のように‥‥‥」
「ふーむ‥‥‥‥‥」
「更に、葵や亀甲縛りではなく、胸縄縛りで乳房を強調させるんですよ。」
「というと？」
「客の見る視点が集中します。直接、樹里さんの性器や表情だけでなく完成したシルエットだけで絵になる。蕾渡りで胸縄に固定すると見栄えもいいと思いますが。」
「なるほど。」

　蕾渡りとは、蜜壷の左右に縄を通し下腹部を通って一直線に固定する方法だ。
　反対に蕾通しとは、蜜壷の亀裂に直接縄を食い込ませる縛りである。

「そして責めは、乳首とク○トリスに鈴鉛をぶら下げてはどうですか？」
「それ、‥‥‥‥いいですね。」
「鈴鉛をぶら下げる紐は、ナイロン‥‥‥蜜が糸を伝っていきます。」
「いやぁぁーん‥‥‥聞いてるだけで濡れてきちゃうぅー‥‥」

　樹里が、仙次郎の説明で淫声を上げた。

「そうだ‥‥‥高輪さん、その蜜が垂れる真下に水鈴碗を置けば‥‥‥‥‥」
「いいですね、落ちた蜜が静粛したステージに美しい音色を響かせていく‥‥‥‥」
「んーむっ‥‥‥高輪さん、早速、後から水鈴碗を買いに行ってきますよ。」

　清七は、興奮を隠せなかった。

「樹里ちゃん、一度やってみようか。」
「ええ、いいわよ。」
「高輪さん、丸太を探してきますので樹里ちゃんに胸縄を縛っておいてくれますか。」
「ええ。‥‥‥‥いいですが‥‥‥」
「確か、奥の倉庫に丸太の棒があったと思いますので‥‥‥」

　清七は、そう言って倉庫に向かった。

「じゃ、樹里さん‥‥‥縛ろうか‥‥‥」
「その前にキスしてっ‥‥‥」
「えぇっ‥‥」

　樹里は、仙次郎に抱きついてきた。
　顎を突き上げディープをせがむ樹里‥‥‥‥

「‥‥‥‥しょうがないな‥‥‥」

　仙次郎は、樹里の腰に手を当てて引き寄せた。
　半開きに開く樹里の唇を割って、舌を入れる仙次郎‥‥‥‥‥
　樹里は、潤んだ目で仙次郎の舌を迎え入れた。
　絡めあう二人‥‥‥仙次郎の舌が円を描くように樹里の舌根を這っていく。

「‥‥‥‥ンァァァ‥‥アァァ‥‥‥‥」

　自然と蜜壷に指を持っていく樹里‥‥‥‥‥

「クアァァァァァァァァァー‥‥‥‥‥」

　舌根の太い血管を、仙次郎は微妙な摩擦によって刺激していく。
　あっという間に、樹里の口内に唾液が湧き口元から零れ落ちていった。
　仙次郎は、樹里の項の窪み部分を下から突き上げるように押し込んだ。

「ハウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥー‥‥‥‥」

　樹里の全身に鳥肌が立ち、快感でしゃがみ込んでしまった。

「おっと‥‥‥‥‥ククッ‥‥‥相変わらず感度がいいね。」
「ァァァ‥‥‥‥堪らなぃぃ‥‥‥仙次郎さん、後で‥‥‥‥ね‥‥‥お願い‥‥‥」

　そう言って仙次郎を見る樹里の妖艶な視線は、男を狂わす魅力があった。
　潤んだ瞳が光の反射で栗色に変化するのだ。
　樹里を立たす仙次郎‥‥‥‥‥
　縄を手に取り胸縄縛りを作っていった。

「‥‥‥ぁぁぁ‥‥‥‥感じちゃうぅぅ‥‥‥‥‥」

　手際よく縛っていく仙次郎‥‥‥
　樹里の乳房は縄で搾り出されるように盛り上がっていった。

「ァァーン‥‥‥乳首が立ってきちゃったゎぁ‥‥‥」

　樹里の乳首は、硬く尖っていた。
　息を吹きかけただけでも快感が全身を襲う状態だった。
　更に蜜壷の左右に縄を通し胸縄の前後に端末を固定した。
　縄は大○唇を引っ張り蜜壷が開きっぱなしになる。

「いやぁ‥‥‥お汁が漏れちゃうぅぅ‥‥‥」
「しかし、君の言葉ってリアル過ぎて聞く者の性感を駆り立てていくね。」
「ぇ‥‥‥そ、そうかしら‥‥‥‥」
「お待たせ‥‥‥‥あったぞ。」

　清七が、丸太を肩に担いで部屋に戻ってきた。

「ねぇ‥‥‥仙次郎さん、丸太じゃなく直接フックでは駄目なの？」
「つまり、見栄えさ。‥‥‥丸太の方が見る者の目が違ってくる。」

　清七も呟いた。

「樹里ちゃん、拷問を題材にした演出にすればいいのさ。」
「そうねぇ‥‥‥‥」
「まずは、やってみよう。」

　清七は、樹里を寝かせて手首と足首を縛り合わせた。
　丸太の両縁を縄で固定しフックに取り付けるると、それぞれ縛り合わせた手首と足首を２点で吊るし上げた。

「‥‥‥ぅぅぅぅ‥‥‥ぁぁ‥‥‥」

　樹里の身体が、吊り橋のようにＵの字に反った。
　乳房が誇張され開いた蜜壷が露になる。

「んー‥‥‥なかなかいいね‥‥‥」

　清七の言葉に頷く仙次郎‥‥‥‥
　清七は、樹里の乳首に釣り糸を縛りつけ鈴鉛を装着した。

「ハゥゥゥゥゥー‥‥‥ゥゥー‥‥‥」

　更に、蜜壷に木玉を挿入し同じく糸を垂らして小型の鈴鉛をつける。

「‥‥‥‥‥‥‥‥ゥゥ‥‥‥ゥゥゥゥ‥‥‥‥」
「さて、樹里ちゃん、菊掘りをするよ。」
「‥‥‥‥‥ァァァ‥‥‥」

　清七は、樹里の菊門に編み上げた専用の芋茎を挿し込み円を描くようにして刺激していった。

「ハォォォォォォォー‥‥‥‥‥ンアァァァァァー‥‥‥‥」

　身体を震わす樹里‥‥‥‥鉛の鈴が低い音を奏でていた。
　蜜壷に挿し込まれた木玉を伝って蜜が糸を流れていく‥‥‥‥‥

　ゆっくりと時間を掛けて樹里の蜜は下へ落ちていった。
　清七は器用に樹里の性感を高めていった。
　時折、乳首を弾いたり、首筋に針を当てていく。

「ンッァァァァァァァァァァァァー‥‥‥‥」
「高輪さんも、樹里ちゃんを愛撫してください。」
「ぇ‥‥‥ぁ‥‥‥はい。」

　仙次郎は、清七の責めを見ながら、女芯を指で摘み上げた。

「アウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥー‥‥‥‥‥イィィィ‥‥」

鈴鉛に到達した蜜が下部に大きな雫を作った。
　簡易的に用意した和太鼓を真下に置いてある。
　徐々に雫の玉が大きくなってきたようだ。

「高輪さん、落ちますよっ！」

　仙次郎は、清七の声に頷いた。
　そして‥‥‥‥‥
　愛液の雫が、和太鼓の上に落ちると小さな乾いた音が部屋に響いた。

「ＯＫっ！‥‥‥高輪さん、成功です。本番は、水鈴碗を置いておけば、綺麗な鈴音がステージに響きますよ。」
「拍手と歓声が渦巻きますね。」
「よぉーし、後は演出とストーリーを考えて来週にはステージで披露します。」
「楽しみですね。」
「高輪さん、さっそく、水鈴椀を買ってきます。」
「付き合いましょうか？」
「ダメェェーッ！‥‥‥仙次郎さんは行っちゃ駄目ぇっ！」

　樹里は、大声で仙次郎を制止した。

「ハハッ‥‥‥高輪さん、一人で行ってきます。樹里と楽しんでください。」
「そ‥‥そんな‥‥‥‥」
「じゃ、樹里ちゃんをよろしく。」

　清七は、そう言って部屋を出て行った。

（‥‥‥ひ‥‥‥一人にしないでくれぇぇ‥‥‥）

「どうかしたの、仙次郎さん？」

　鋭くも妖艶な視線を仙次郎に投げかけてくる樹里‥‥‥

「ぁ‥‥い、いや‥‥‥‥」
「仙次郎さん、早く降ろして貫いてぇ‥‥‥‥気が狂っちゃうぅー‥‥」

　ハスキーで甘えた声を漏らしながら樹里は身体を捩った。
　仙次郎は、溜息をつきながら樹里を降ろしていく。
　全ての縄を解かれた樹里は、仙次郎に飛びついた。

「ここで‥‥‥ここで、お願いぃぃーっ！」

　絹のような繊細な柔肌に仙次郎の顔をひきつけていく樹里‥‥‥

「‥‥‥‥じゅ‥‥‥樹里さ‥‥‥‥ちょ‥‥‥」

　腰を前後に振りながら樹里は、挿入をせがんだ。

「わ‥‥わかった‥‥‥‥わかったから‥‥‥‥」

　樹里は、仙次郎にヒップを向けて四つん這いになった。
　肩を落としながら服を脱ぎ始める仙次郎‥‥‥‥

「早く‥‥‥早くぅぅ‥‥‥‥オ○ンコに入れてぇぇぇぇぇーっ！」

　樹里の蜜壷からは、湧き出るように蜜が零れている。

（‥‥‥‥‥凄ぇな‥‥‥‥）

　仙次郎は、樹里のヒップを擦りながら手を腰に滑らせていった。
　左右から腰を掴み肉棒を蜜壷に当てていく。

「‥‥‥‥‥ゥゥゥ‥‥‥‥」

　樹里は、泣いているような、か細い声を上げ始めた‥‥‥‥‥
　眉を顰めながら後方に顔を向けて仙次郎を見つめている。

　仙次郎は、樹里にウィンクをすると一気に肉棒を根元まで挿入した。

「グッハァァァァァァァァァァーッ！」

　背中を大きく反らせて顎を突き上げる樹里‥‥‥‥‥

「クフゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ‥‥‥」

　仙次郎は、間髪をいれずに出し入れを開始した。
　仙次郎の強い突き上げで樹里の膝は浮いてしまうほどだ。

「ウッハッ‥‥アゥッ、アゥッ、アゥゥゥゥゥゥ‥‥‥クゥゥゥーッ‥‥」

　背中の牡丹が、鮮やかに色づいてきた。
　前に手を回し女芯を指で強く擦っていく仙次郎‥‥‥‥‥‥

「ゥゥゥ‥‥‥ィ‥‥‥イィィィーッ‥‥‥‥‥」

（‥‥‥‥‥‥普通じゃ面白くないな‥‥‥）

　仙次郎は結合を説くと樹里を縄で縛る事にした。

「樹里さん、立ってくれないか。」

　樹里は、恍惚とした表情で頷き立ち上がる。
　仙次郎は、胸縄後ろ手緊縛を作り天井のフックに樹里を吊るしていった。

「‥‥‥ウクゥゥゥゥゥゥゥーッ‥‥‥‥‥」

　前屈みのように身体を前傾させる樹里‥‥‥‥
　仙次郎は、両膝にも縄を縛りフックに固定した。

「アギィィィィィィィィィィー‥‥‥」

　全体重が、フックに掛かった。
　乳房を押し出すように縄が肌に食い込んでいく‥‥‥
　仙次郎は、硬く突起した樹里の乳首を指で何度も弾いた。

「ウグゥゥゥ‥‥‥ウッ‥‥ゥッ、ゥッ‥‥‥‥‥ウアァァァァーッ‥‥‥」

　痛みが瞬時に快感に変わり淫悦な声を上げていく。
　仙次郎は、机の上にあった滅菌グローブをはめジェルを指で掬った。
　突き出した樹里の菊門に掬ったジェルを塗りたてていく。

「フゥゥゥゥゥゥゥゥー‥‥‥‥‥ァァァァー‥‥」
「さて‥‥‥‥入れるよ。」

　仙次郎は、樹里の乳首を摘んだまま、指を菊門に挿入した。

「ウググゥゥゥゥゥゥゥゥー‥‥‥‥き‥‥‥‥気持ちいぃぃぃぃー‥‥‥」

　狂ったように叫ぶ樹里‥‥‥‥
　もはや、自制が利かない状態だ。
　仙次郎は、樹里の体を回転させた。

「フゥゥ‥‥‥イィィィィィィィィー‥‥‥‥」

　縄が身体にきつく食い込んでいく。
　樹里の瞳の焦点は合わなくなっていた。
　仙次郎は、回転を止めると突き出したヒップを持ち肉棒を突き当てた。

「ンッ‥‥グッゥゥッ、ハァァァァァァァァァァァァァーッ！」

　全身が硬直し大絶叫と共に樹里は果てた。
　ぐったりとする樹里だが仙次郎の挿入は続く‥‥‥‥‥‥

「‥‥‥‥ゥゥ‥‥‥‥ゥ‥‥‥‥ゥゥ‥‥‥‥ゥゥゥゥゥ‥‥‥‥」

　まるっきり動けない樹里を仙次郎は激しく責め立てた。
　樹里の開いた口からは涎が垂れている‥‥‥‥
　仙次郎はピッチを上げて樹里の奥深くに分身を放出した。

「ゥ‥‥ィィィィィー‥‥‥‥‥」
「‥‥‥ふぅぅ‥‥‥‥」

　溜息をつきながら肉棒を引き抜く仙次郎‥‥‥‥
　急いで樹里を降ろし、縄を解くと止まっていた血流を戻していく。
　横たわった樹里は、徐々に目を開き始めた。

「‥‥‥‥‥ァァ‥‥‥‥ァゥゥゥ‥‥‥‥‥せ、仙次郎さ‥‥ん‥‥‥」
「大丈夫かい？」
「‥‥‥ぇ‥‥‥ぇぇ‥‥‥‥‥‥‥最高ぉ‥‥‥‥」

　自然と股間に指を持っていった樹里は、蜜壷から流れ出る分身を指で掬った。
　そして、恍惚とした表情で指に付着した分身を口に運んで指に舌を絡ませていく。

（‥‥‥‥‥ぅ‥‥‥‥‥みょ、妙に、セクシーに見えるから恐い‥‥‥‥‥）

　仙次郎は、樹里から視線を外して服を着始めた。
　手を伸ばし、仙次郎のジーンズの裾を引っ張る樹里‥‥‥‥
　妖艶な視線が、仙次郎に突き刺さっていく。

（‥‥‥‥‥こりゃぁ‥‥‥これから‥‥‥‥‥‥大変だぜ。）

　仙次郎は、作り笑いをしながら樹里を抱き上げシャワールームに連れて行った。