（２９）

「露出？」
「‥‥‥‥‥‥ぇぇ‥‥‥他に相互鑑賞とか‥‥‥‥‥」

　仙次郎の元に、一人の若い女性社員が相談に訪れていた。
　女性の名は、神野咲子　人事部の秘書課に勤める社員だ。

　咲子は、婚約者から異常なプレーを強要されて悩んでいるとの事だった。
　その婚約者とは、同僚で営業部第４課主任の浜田徹という男だ。
　内容が内容だけに誰にも相談できずにいたのだが、遂に大決心をして仙次郎の元に相談に訪れたのだった。

　咲子は、強い恥辱を味わう事に我慢の限界が来ていた。
　しかし、咲子は、浜田を心から愛しており、このようなプレー以外では、非常に紳士でありどんな仕事もこなす優秀な社員であることから、そのギャップに困惑していたのだ。

「つまり‥‥‥貴女の婚約者、浜田という男性にその異常なセックスプレーやめさせる方法をと？」
「‥‥‥はい。」
「今のお話を聞いた限りでは、貴女は、彼を愛しているんでしょう？」
「‥‥‥はい、それはもう。しかし、エッチな事になると彼は別人のようになって、私に対して羞恥的なプレーを強要してくるんです。私は、彼の事を愛していますし、最初は、興奮もしました。ある意味楽しんでいたと言ってもいいかもしれません。ところが、徐々にエスカレートしていったんです。私は、だんだん不安になって。」
「神野さん、よろしければ、強要されるという内容を聞かせてくれますか？」
「‥‥‥‥‥ぇぇ‥‥‥‥はい。」

　仙次郎の質問に、咲子は、その内容を具体的に喋り始めた。

「最初は、ソフトな露出から始まったんです。彼は、カメラが趣味で、私の、そういう姿を撮って、後から楽しむのが好きらしいんです。」
「‥‥‥‥ほぉぉー‥‥‥」

　咲子は、恥をしのんで全ての内容を話し始めた。

　浜田は、人相をカモフラージュするために咲子に濃い化粧を施させ、眼鏡等で変装させて人が多く集まる場所に連れて行くことが多かった。
　当然、下着は着用せず人目を盗んで性器を露出したり当り障りのない人物を選びワザと、その人物の前で裸身を見せる咲子をカメラに収めるのだった。

　当初は、咲子自身も、そういうスリルが癖になり、見せた相手が驚く様子や浜田が、アダルトサイトに投稿して、閲覧者が書き込む掲示板に心躍らせていた。
　咲子は、次第に下着にも凝るようになり、露出が癖になってきた事を感じていた。

　そこまでは、咲子自身も自分の興味と快感が入り混じり、浜田に対して特に苦痛を感じていたわけではなかったらしい。
　ところが、浜田は、単に普通の露出だけでは飽き足らずに完全露出を咲子に要望するようになってきた。

「完全露出？」
「はい。つまり、以前までは、服を着たままで下着は穿かないんですが、彼が写真を撮る寸前に、服やスカートを捲るだけの露出だったんです。」
「‥‥‥‥‥ところが‥‥‥それで済まなくなってきたと？」
「‥‥‥‥はい。」

　咲子は、更に詳しい話を始めた。
　普通の撮影では飽き足らなくなってきた浜田は、咲子を全裸に近い格好で路上を歩かされたり、時には、コンビニ店に一緒に入って買い物をさせたりと大胆な撮影をするようになってきたのだ。
　卑猥な下着を自ら購入して咲子に着せ、撮り終わるとクラクションの合図で急いで車に戻り、その場を立ち去るという毎日だった。

「失礼ですが‥‥‥貴女は、それでも興奮していたんでしょう。」
「‥‥‥はい‥‥‥確かに‥‥‥‥。顔が判るわけではありませんし、そういうスリルで身体が熱くなってきたのは確かです。でも‥‥‥」
「でも？」

　咲子は、目に薄っすらと涙を浮かべ始めた。

「次は、知らないカップルと見せ合うようになってきたんです。」
「‥‥‥‥相互鑑賞ですか‥‥‥」
「‥‥‥はい。」

　浜田は、咲子を説得してネットで知り合ったカップルと相互鑑賞するようになってきた。

「それで？」
「最初は躊躇したんですが‥‥‥‥‥‥凄く‥‥興奮した事は、事実です。」
「‥‥‥‥相手が、貴女と彼の絡みを見て興奮しているという事がですか？」
「ええ‥‥‥‥反対に相手の行為を見て燃えた事も‥‥‥‥‥でも、あくまで、それは私と彼の愛を深くするための手段と理解していました。‥‥‥‥しかし‥‥‥‥彼は‥‥‥‥‥」

　咲子は、顔を伏せて言葉を詰まらせた。

「もしかして‥‥‥‥スワッピングですか？」

　咲子は小さく頷いた。

「‥‥‥‥‥私が、知らない男性と、そういう行為をしている姿が見たいと‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥」
「私は、それだけは嫌だと断わったんです。そうしたら‥‥‥‥‥彼は‥‥‥君を愛しているからこそだ。って‥‥‥‥‥そう言って私を説得しました。」
「それで‥‥‥‥したんですか？」

　頷く咲子‥‥‥‥

「彼を愛しているんです。‥‥‥彼が興奮して喜ぶ顔を見ると、なかなか断われなくて‥‥‥‥ところが‥‥‥‥さらに‥‥」

　仙次郎は、大体の予想がついた。
　咲子の心を探りながら言葉を投げた。

「‥‥‥‥‥複数プレー‥‥‥‥ですね？」

　咲子は、仙次郎のその言葉に声を上げて泣きはじめた。

（‥‥‥‥‥）

「神野さん、判りました。とりあえず彼の性格や貴女の気持ちを分析します。明日の午後に、また、私の所に来てください。対処方法を考えましょう。」
「‥‥‥‥‥はい‥‥‥」

　か細い声で咲子は返事をすると、仙次郎に頭を下げて部屋を後にした。

　佳代が、コーヒーを持って仙次郎が座る椅子の前に置いた。

「お、サンキュー！」
「先生‥‥‥‥凄い内容でしたね。」
「ああ‥‥‥‥ま、お互いがそういう事を理解し合っていれば特に問題は無いんだが、彼女は嫌がっているからな。心から婚約者を愛しているんだろう。‥‥‥‥断れないくらいに。」
「私は、先生の希望だったら街の真ん中でセックスしてもいいですよ。」

　ガクっとしながら佳代を見る仙次郎‥‥‥‥‥‥

「僕は、そんな勇気は、とてもじゃないが無いよ。」
「あら、私は先生とだったら、と言う意味ですよ。」
「君の場合は、完全な露出マニアだからだろう。‥‥‥彼女は愛しているが故に渋々だったんだ。」
「変態扱いしないで下さいよ。でも、彼女、興奮したって言ってたじゃないですか。」
「露出や相互鑑賞までの話だがな。」
「え？」
「複数プレーとまでなると、勇気とか言う問題じゃないからな。」
「でも、彼女は、彼の言う事なら何でも聞いてしまうわけだから‥‥‥‥」
「俺は、それだけじゃないような気がするんだが‥‥‥‥‥」
「というと‥‥‥‥」
「んむ‥‥‥‥本人が望んでいるような気がせんでもない‥‥‥」
「えぇーっ！」
「ま、あくまで憶測だがね‥‥‥」

　コーヒーを口に運ぶ仙次郎‥‥‥‥

（洋平に浜田を調べてもらうか‥‥‥‥）

　仙次郎は、浜田と咲子の関係を詳しく知るために洋平に調査を依頼してみることにした。

☆☆☆☆☆

「咲子っ、ごめん、待ったか？」

　咲子の婚約者、浜田徹が、車で待ち合わせの場所にやってきた。

「うぅん‥‥‥いま来たところ。」
「じゃ、みんな待ってるから行こうか。」
「‥‥‥‥‥ええ。」

　咲子は、透の車に乗り込んだ。
　後部座席には、ビデオやカメラのセットが置かれている。

「徹さん、今日も撮るのね。」
「ああ‥‥‥‥君の乱れた姿を残しておきたいんだ。」
「ね、透さん‥‥‥‥私が、他の男性に抱かれても平気なの？」
「また、それを聞くのか‥‥‥俺は、咲子を愛してるさ。咲子が他の男に抱かれる所を見ると凄く興奮するんだ。」

　用意しておいたような台詞を徹は吐いた。
　しかし、顔が気持ち引き攣っているような感じがしないでもない。

「‥‥‥‥徹さん、本当に私と結婚する気あるの？」
「あ、当たり前さ。‥‥‥ちゃんと婚約も交わしたじゃないか。」

　徹から貰った婚約指輪を見つめる咲子‥‥‥

（‥‥‥‥‥‥徹さん‥‥‥私‥‥‥恐いの‥‥‥‥‥感じてしまうことが。）

　咲子は、戸惑いを感じていた。

　確かに徹を愛している。
　にもかかわらず、他の男性と徹の目の前でセックスをし徹本人に写真を撮られる事を‥‥‥‥
　断わりたかった。だが、徹は、強くそれを希望している。
　咲子は、心の底から愛している徹の希望に逆らう勇気がなかった。
　しかし、理由は、それだけではない。
　そう、自分自身が理解したくないほどの理由だった。

（‥‥‥私は‥‥‥‥‥‥自ら望んでいる‥‥‥‥かも‥‥‥‥‥？）

　咲子は、整理できない心を落ち着かせようと徹の肩にもたれかかっていった。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

　徹と咲子は、ホテルに到着した。
　荷物を持ち、咲子の肩を抱きながらスィートルームに入っていった。

「やあ、浜田さん。」
「こ、こんにちは‥‥‥‥」

　浜田に声を掛けたのは、ネットで知り合った本宮正二と言う男だった。
　背が高くハンサムな男だ。

「咲子さん、こんにちは。」
「‥‥‥‥こ、この間はどうも‥‥‥‥‥」

　咲子は、本宮とは顔見知りだった。
　先月、初めて徹と３人プレーをした男だったのだ。

「今日は、浜田さんの意向も合って何人か友達を連れてきたよ。」

　奥の部屋を見るとダブルベッドに座る若い男たちが４人、ビールを飲みながら雑談をしていた。

「紹介するよ。‥‥‥‥おぉーい。」

　本宮の声で、４人の男たちが歩み寄ってきた。

「お、凄ぇー、可愛いじゃん。」

　一人の男の声に皆が頷いた。

「彼らが、今日、君とプレーする俺の友人なんだ。」

　咲子は、恐々とした表情で男たちに頭を下げた。

「浜田さん。‥‥‥ちょっと‥‥‥」

　本宮に呼ばれた徹は、機材を降ろして近づいた。
　小声で何やら話をしている。

「わかっているだろうな。くれぐれも、女にバレるなよ。」
「わ‥‥‥わかってる‥‥‥‥」

　徹は、そう言うと咲子に振り向いて笑顔を見せた。

「じゃ、浜田さん、準備して待ってるから。」
「ええ。」

　徹は、咲子の肩を抱いて向かいの部屋に入っていった。

「咲子、いい写真を撮るから。」
「‥‥‥‥ええ‥‥‥」

　咲子は、服を脱いで下着だけの姿になった。
　真っ白なスケスケのブラジャーと陰毛が食み出るほどの小さなショーツを穿いていた。

「まだ、ちゃんと避妊はしてるよな。」
「ええ‥‥‥ずっと‥‥‥‥‥」
「‥‥‥じゃ、行こうか。」
「‥‥‥‥うん。」

　咲子は、徹とともに皆が待つベッドルームに向かった。
　既に男たちは、全員がブリーフ一枚の姿で咲子を待っていた。
　咲子が現われると一斉に声を上げて咲子を迎える。

「凄い下着だぜ。」　「可愛いよ、君‥‥‥」

　色々な声が飛び交いながら咲子を見る男たち‥‥‥
　咲子は恐る恐るベッドの中央に腰を下ろした。
　咲子を取り囲むように男たちは身体を寄せていく。

　徹は、ベッドの前に行きカメラを構えた。

　男たちは、咲子の身体を触り始めている。
　ある者は、乳房を鷲掴みし、ある者は、ショーツに手を入れていた。

「‥‥‥‥ゥゥゥ‥‥‥‥」

　咲子の項に舌を這わせる男‥‥‥‥‥

　二人の男が我慢出来ずにブリーフを降ろして怒張した肉棒を咲子の顔に突きつけると咲子は、肉棒をそれぞれ両手で掴みフェラチオを開始した。

「‥‥‥‥ジュ‥‥‥‥‥クチュ‥‥‥」
「くぅぅぅー‥‥たまんないぜ！」

　それを見た本宮が仰向けに寝て咲子の股間を顔の上に移動させた。
　本宮は、咲子のショーツを捲り蜜壷に舌を這わせ始める‥‥‥

「ンゥゥゥゥゥゥー‥‥‥ンムゥゥゥ‥‥‥」

　肉棒を交互に咥えながら喘ぎ声を上げる咲子‥‥‥‥
　徹は、シャッターを何度も押しながら心の中で呟いた。

（咲子‥‥‥‥‥咲子ぉぉぉー‥‥‥‥‥）

　咲子は、蜜壷を舌で刺激され、二人の男に両乳首を弄ばれている。
　更に、二人の男の肉棒を交互に舌で刺激しながら５人の男と痴態を開始した。

「咲子さん、四つん這いになってよ。」

　下から本宮が咲子に囁いた。
　全ての下着を剥ぎ取られた咲子は、言われたとおりに四つん這いになった。
　そして、前から、別の男が肉棒を無理矢理、口に挿入してきた。
　残りの４人は、順番に咲子の蜜壷に怒張した肉棒を挿し込んでくる。

「グムゥゥゥゥゥゥー‥‥‥‥‥」

　咲子は前後から肉棒を突きつけられて身体を震わせていた。

「おい、出すんじゃねぇぞ。」

　本宮の声に男たちは頷いた。

「そうだ‥‥‥おい、剃刀とシェービングを持ってこい。」

　本宮の命令で洗面所に走る一人の男‥‥‥
　男は、直ぐにベッドに戻ってきた。
　本宮は、咲子を仰向けにしてシェービングクリームを咲子の陰毛に塗りつけた。

「‥‥‥い‥‥‥‥いやぁ‥‥‥剃っちゃいやぁぁー‥‥‥」
「いいじゃないか‥‥‥‥なあ、浜田さん‥‥‥」

　徹を見る咲子‥‥‥‥
　徹は、咲子を見つめて頷いた。

（‥‥‥徹さん‥‥‥‥‥‥ぃ‥‥‥いいのね‥‥‥‥‥）

　咲子は、徹から視線を外して本宮の手元を見た。
　恥丘に剃刀を当ててゆっくりと下方に刃を当てていく‥‥‥

「ゥゥゥゥ‥‥‥‥」

　男たちは、それを見ながら卑猥な笑い顔を浮かべている。

（‥‥‥ぁぁ‥‥‥‥ぁ‥‥‥‥‥だ、駄目‥‥‥‥‥か、感じちゃ駄目っ‥‥‥‥）

　咲子は、急激に変化する身体の異常に不安を覚えた。

「見ろっ。ツルツルになったぜ。」

　本宮の声に一人の男が、咲子の蜜壷に吸い付いた。

「ンァァァァァァァァー‥‥‥」

　自然と声を上げる咲子‥‥‥男たちは一斉に咲子の身体を弄び始めた。

（咲子‥‥‥‥‥咲子‥‥‥‥‥‥‥お、俺は‥‥‥‥）

　徹は、５人の男が、咲子の身体を貪る様子を歯を食いしばりながら見つめているだけだった。
　何より悔しかったのは、婚約者である咲子が見知らぬ男たちに弄ばれていると言うのに、自分の股間が熱くなってしまう性に対してだった。

（３０）

　咲子は、自分を囲む男たちの肉棒をルーレットのように順番に奉仕していた。

「ククッ‥‥‥もう限界だぜ‥‥‥おい、順番にブチ込むぞ。」

　本宮の声で、皆が咲子を仰向けに寝かせた。

「まずは、俺からだ。」

　本宮が、咲子の蜜壷に肉棒を挿入し、激しくピストン運動を開始した。

「グゥゥゥゥゥゥ‥‥‥‥アゥゥゥゥゥゥゥゥー‥‥‥‥」
「ククッ‥‥‥‥‥‥もっと声をあげて叫べよっ‥‥‥」

　本宮は、そう言いながら激しく腰を振った。

「グゥ‥‥‥で、出るっ！」

　数分後、本宮は大量の分身を咲子の蜜壷の中に爆発させた。

「次は、俺だ。」

　順番に咲子に覆い被さっていく男たち。
　咲子の絶叫は止まる事無く延々と続いた。
　５人の男に輪姦される状態に咲子は我を忘れて興奮と快感を表していた。

「‥‥‥‥フゥゥゥゥゥ‥‥‥ぁぁ‥‥ぁぁ‥‥気持ちいぃぃぃぃーっ‥‥‥‥」

　遂に、咲子は自ら歓喜の声を発してしまった。

「グゥゥゥ‥‥‥もっと‥‥‥もっとぉぉぉぉぉぉぉー‥‥‥‥」

　乱れに乱れる咲子‥‥‥

　全ての男たちが分身を放出したのは１時間ほど経過してからだった。
　そのうちの２人は、２回も分身を放出している。

「おい、グラスだ。」

　本宮に命令された男が咲子を跪まづかせてグラスを蜜壷の真下に置いた。

「さぁ、出しな。」

　咲子の蜜壷からは、大量の分身がグラスに落ちていった。

「ァァァッァァー‥‥‥」

　咲子は、完全にプレーに没頭していた。
　もはや徹の存在を完全に忘れているようだ。
　自ら性器を開き、男たちの視線がそこに集中していることに興奮と歓喜が入り混じって感激すら覚えていた。

「アァァァー、見てぇぇぇ‥‥‥‥ウゥゥゥゥー‥‥‥」
「咲子さん‥‥‥自分で掻き出すんだ。」

　咲子は、本宮の言葉に頷くと蜜壷に指を入れて分身を掻き出した。

「アゥゥゥゥゥゥー‥‥‥‥」

　全てを出し切ると咲子は指を抜いた。

「咲子さん、舐めなきゃ。」

　咲子は、指についた分身を口に含んだ。
　わざと舌を出し男たちに見えるように舌を這わしていく。

「さぁ‥‥‥グラスの中のものを残らず一気に飲めよ。」
「‥‥‥‥‥‥‥ぅぅ‥‥」

　咲子は、グラスに入った男たちの分身を一気に喉に流し込んでいった。
　グラスに付着した分身も舌を目一杯伸ばして掬い取っていく。

「どうだい‥‥‥咲子さん、お味は？」
「ァァァァ‥‥‥‥美味しいぃぃ‥‥‥」

　男たちの肉棒は、咲子の今の台詞で、たちまち復帰をしていく。

「よし‥‥‥‥じゃぁ、２回戦にいくか。」

　本宮は、そう言って咲子を押し倒していった。

　徹は、顔を顰めながら、ただ写真だけを撮っていた。
　咲子が開放されたのは、それから２時間後の事だった。

　本宮を残し、他の男たちは、別々に部屋を出て行った。
　咲子は、浴室で身体を洗い流している。
　残った本宮が、徹に近づいてきて小声で囁いた。

「おい、浜田‥‥‥あの女を俺にくれよ。」
「な‥‥‥なんだと？‥‥‥‥‥」
「あの女は、絶対に好き者だ。俺に合っている。」

　徹は、元宮を睨んだ。

「ぜ、絶対に駄目だぁっ‥‥‥そこまで言うのなら俺は何もかも捨てて警察に行く。咲子は俺の婚約者だっ！」

　徹は、顔を真っ赤にして本宮に怒鳴った。

「チェッ‥‥‥わかったよ。‥‥‥そのかわり、次も相手してくれよ。」

　本宮は、徹の肩を叩いて、部屋から立ち去っていった。

　暫くして、体を洗い終えた咲子が浴室から出てきた。

「‥‥‥‥‥徹さん‥‥‥‥」

　咲子の、興奮は冷めていた。
　脱力感が全身を巡っている‥‥‥‥‥

「咲子‥‥‥‥‥‥」
「また‥‥‥また、約束したの？」
「あ、ああ。‥‥‥‥‥‥咲子‥‥‥お前、感じていたのか？」
「‥‥‥‥徹さん‥‥‥誰がそうしろって言ったの？‥‥‥‥私じゃないわっ！」

　咲子は、先ほどまでの自分の状態を忘れてしまっている。
　徹は、咲子に気づかれないように悔し涙を流した。

「‥‥‥ゴ‥‥‥ゴメン‥‥‥‥‥咲子、凄く興奮したよ。いい写真が撮れたし‥‥‥君の喘いでいる姿は最高だった。」

　咲子は、徹の態度に不信を覚えた。

（‥‥‥‥おかしい‥‥‥‥徹さんの‥‥‥徹さんの望みじゃないの？‥‥‥‥‥）

　咲子は、悲壮感を漂わせながら徹の背中にしがみ付いていった。

−　翌日　−

　仙次郎は、浜田の性格を判断しながら思考を繰り返していた。
　性格は真面目で仕事も出来る。
　咲子との、そういう行為以外は、至って普通の人間だった。
　ただ気になるのは、昨日の咲子の説明だ。
　態度といい、話し方といい、おかしな点がいくつもあった。

（‥‥‥‥‥原因は、浜田じゃないような気がしてならんな‥‥‥）

　そこへ、洋平が仙次郎の部屋にやってきた。

「仙次郎、営業４課の浜田を調べたぞ。」
「そうか‥‥‥どうだった。」

　洋平は、仙次郎のデスクに腰を降ろして説明をした。

「浜田の仲のいい同僚で、柴田って奴がいるんだが、こいつに話を聞いてみたんだ。」
「んむ‥‥‥‥で？」
「どうやら、誰かに脅かされているらしいな。」
「脅かされている？」
「ああ、ただ、その柴田って男も詳しい事は知らないらしいのだが、脅しているのは、浜田が、ネットで知り合った投稿仲間らしいんだ。」
「‥‥‥‥なるほど‥‥‥‥何となく解ったぜ。」
「ん？」
「つまりだ、お前にも説明したが、浜田は、写真を撮る趣味がある。そして複数プレーも経験したと聞いた。つまり、浜田は婚約者の神野咲子をネタに、その投稿仲間の男に弱みを握られているんだ。」
「‥‥‥なるほどな。‥‥‥‥よし、解った。‥‥仙次郎、俺が直接、浜田に問いただしてみよう。」
「ああ、頼む。」
「任せろ。」

　洋平は、そう言って部屋を出て行った。
　しかし、仙次郎は、それだけで解決するとは思っていなかった。
　咲子自身に何か問題があると感じていたのだ。

（んー‥‥‥俺も浜田と会っておいた方がいいな。）

　仙次郎は、洋平に電話をし浜田と就業後に会う約束を取り付けるよう依頼した。

☆☆☆☆☆

　正午に差し掛かり、仙次郎と佳代は昼食を摂り終わって寛いでいた。

「そろそろ来るかな？」
「神野咲子さんですか？」
「ああ‥‥‥‥もう一回、彼女の心を探ってみる。」

　仙次郎は、佳代にコーヒーを頼むと咲子にする質問を整理していた。

　暫くして、咲子が部屋を訪れてきた。

「先生、神野さんが来ました。」
「わかった、行くよ。」

　仙次郎は、データを持って応対室に入っていった。

　咲子は、昨日よりも暗い表情でソファに座っていた。

「神野さん、お待たせしました。」
「‥‥‥どうも‥‥‥‥」

　仙次郎は、早速、調べ上げたデータを見ながら咲子に質問と話を聞かせていった。

「神野さん、一日かけて貴女の異性に対する思考基準、性に関する感受性などを私独自のマニュアルに沿って調べてみたんですよ。」
「‥‥‥‥はい。」
「自嘘性的な性格と感じました。」
「‥‥‥そ‥‥‥そんな事ありません。」
「そうですかね‥‥‥‥そう言うわりには、はっきり断わらないじゃないですか。」
「そ‥‥‥それは‥‥‥」
「神野さん‥‥‥‥で、次は、いつ複数プレーをするんですか‥‥その前に解決‥‥」

　咲子は、仙次郎の言葉を遮るように言い放った。

「それが‥‥‥‥昨夜、既に‥‥‥‥」
「えぇぇっ？‥‥‥‥昨夜って‥‥‥‥」

　咲子は、項垂れながら小声で話を続けた。

「実は、昨日、既に約束をしていたんです。」
「‥‥‥‥‥よろしければ、どういうプレーをしたか話していただけますか。」
「‥‥‥‥‥ええ‥‥‥」

　咲子は、昨夜の内容を仙次郎に聞かせ始めた。
　佳代は、隣の部屋で股間を抑えながら興奮気味に話を聞いている。

「浜田さんは、どうしてたんですか？」
「彼は、撮影に没頭してて‥‥‥‥‥‥‥」
「没頭していた？‥‥‥‥貴女は彼の表情を観察していましたか？」
「い‥‥‥‥いえ‥‥‥‥」
「不思議ですね。‥‥‥‥普通、愛している彼の前で、５人もの男性に抱かれているのに。彼がどういう顔をしているのか気になりませんか？」
「‥‥‥そ‥‥‥それは‥‥‥‥」
「まあ、いいでしょう。‥‥‥‥で、彼は、その後どうしたんです。」
「‥‥‥‥次の約束までしてしまったんです。‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥貴女は、承諾したんですか？」
「‥‥‥はい‥‥‥‥‥‥」
「何故、断わらなかったんですか？　嫌だから昨日も相談に来たんでしょう。」
「それは‥‥‥‥彼を‥‥‥‥」

　仙次郎は、首を傾げた。
　嫌だと相談に来ているにもかかわらず約束を受け付けたことまで平然と話している。
　そして、仙次郎は、咲子を見ながらある事に気がついた。
　先日から浜田との関係や悩みを話している言葉が、やけにリアルすぎる点‥‥‥‥
　普通の会話は、言葉を詰まらせるが、二人の性癖やプレー内容に限って、こと詳しく、それも言葉を詰まらせずストレートに話す素直さ‥‥‥
　何より、喋っているときに咲子の上ずった表情‥‥‥‥
　仙次郎は、咲子の悩みが違う所にあると疑いを掛けた。

（‥‥‥‥‥‥もしかして‥‥‥‥やはり‥‥‥‥）

「神野さん‥‥‥一つ尋ねていいですか？」
「‥‥‥‥はい。」
「ひょっとして貴女は‥‥‥‥それを楽しんでいませんか？」

　仙次郎の言葉に肩をビクっと震わせた。

「ぇ‥‥‥ど‥‥どういう意味‥‥‥‥‥ですか？」
「‥‥‥つまり、神野さん、貴女は、露出も相互鑑賞もスワッピングも‥‥‥そして複数プレーも、ある意味楽しんでるのでは‥‥‥‥と言う意味です。」

　咲子の顔が一気に崩れた。

「やはり、そうですね‥‥‥‥‥しかし、貴女は、ここに相談に来た。貴女は、自身の性格や考え方にも悩んでいるのではないですか？　ところが、愛している彼の希望だからと嘘びいて困惑しているんだ。」
「‥‥‥そ‥‥‥それは‥‥‥‥‥」
「あなたの悩みは違う所にある。‥‥‥今、彼は喜んではいるが、自分の性格を読み取られて、婚約を解消されるんではと‥‥ね。」
「‥‥‥‥‥そ‥‥‥‥そんな事ありませんっ！」

　咲子は、大声で怒鳴った。

「では、お聞きしますが、彼が、もうそのような事を一切しないといったら貴女は、ホッとしますか？‥‥‥それとも、残念な気持ちになりますか。」
「‥‥‥‥‥‥‥そ‥‥‥それは‥‥‥‥‥す、少しくらなら‥‥‥」
「え？‥‥‥‥‥彼は、一切しないと言っても、少しくらいならして欲しいと、貴女自ら具申する。‥‥‥と言うわけですね。」
「‥‥‥‥‥‥な‥‥‥‥何が言いたいんですかっ！」

咲子は、言葉に詰まって興奮気味に怒鳴った。

　仙次郎は、冷静に咲子の全てを観察していく。
　そして、咲子が少々落ち着きを取り戻したのを見て仙次郎は話を再開した。

「わかりました。‥‥‥‥‥それでは、貴女の話を少しまとめてみましょうか。貴女は、先日お聞きしたとおり、露出や相互鑑賞では興奮したと言いましたね。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥はい‥‥‥」
「最初は躊躇していたにもかかわらず、婚約者の浜田さんが望んだから。と言いましたが、実はやってみると意外とそうではないことに気づいた。」
「‥‥‥‥‥‥‥ぇ‥‥‥ええ‥‥‥」
「さらに、言えば、ほんの短期間で完全露出、そしてスワッピングまで発展してしまった。その後、あれほど拒んでいた複数プレーを経験し、彼に不信感を抱いた貴女は、その時点で私に相談に来たわけですね。」

　咲子は、小さく頷いた。

　仙次郎は、咲子の怪訝そうな表情を見てとると用意しておいた心理実験を試してみる事にした。

「佳代君‥‥‥」

　仙次郎は、佳代を呼んだ。

「はい。」
「彼女をそこの椅子の座らせてくれ。ちょっと実験をする。」
「わかりました。」

　佳代は、仙次郎が、アメリカのシルバー社に特注で作らせたベッド式チェアに座るよう咲子に促した。

「神野さん、直ぐに用意しますのでリラックスしててください。」

　仙次郎は、そう言って奥の部屋に入っていった。