（１１４）

　仕事を終え、自宅マンションに帰った仙次郎は、樹里からの電話を受けていた。

『仙次郎さん、聞いたわよっ！』
「聞いたって何を？」
『さっき、店の子達と、慰安旅行から帰ってきたのよ。』
「ほぉー、楽しんできたかい？‥‥‥土産でもくれるのかな。」
『土産なんか、買ってないわよっ！』
「ハハハッ、なに怒鳴ってんの？」
『‥‥‥‥‥成美から聞いたわよ。』
「成美‥‥‥ああ、リンダさんか。‥‥‥‥‥で、何を聞いたんだい。」
『成美と寝たでしょっ！』
「ぇ？‥‥‥‥ぁ‥‥‥‥ああ、そういえば‥‥‥‥」
『そういえば、じゃないわよっ！‥‥‥私って者がいながら。』
「い、いや‥‥‥しかし、樹里ちゃん、あれはだな‥‥‥‥」
『言い訳無用よ。抱いた事には変わりないんだから。』
「‥‥‥し‥‥‥しかし、今頃‥‥‥なんで、そんな前の話になったんだい。」
『バスの中で、仙次郎さんの話題になったのよ。成美なんか、酔っ払っちゃってさ。その時の事を、実演なみに喋りだしてさ。最初は、作り話と思って笑っていたけど、よくよく、聞いてみると本当に抱いたそうじゃないっ！　言ってたわよ成美が。初めて女を意識したってさ。仙次郎さんなら、また抱いて欲しいわって。フンッ！』

（‥‥‥こ‥‥‥こりゃ‥‥‥非常ぉぉぉーーーーにヤバイな‥‥‥）

　仙次郎は、咄嗟に仮病を演技した。

「グォォーッ‥‥‥‥アタタタタッ‥‥」

　その大袈裟な声に驚く樹里‥‥‥‥

『え？‥‥‥‥せ‥‥‥仙次郎さんっ、どうしたの？』
「グガァァァァァァー‥‥‥‥む‥‥‥胸が‥‥‥‥ゥゥッ‥‥‥」
『だ、大丈夫っ？‥‥‥仙次郎さんっ‥‥‥仙次郎さんっ！』
「だ‥‥‥大丈夫だ‥‥‥‥し‥‥‥心配ない‥‥‥‥」

　仙次郎は、そう言って電話を切った。
　電話機のコードを抜いておく事を忘れない。

（ふぅぅぅー‥‥‥やばかった。‥‥‥ま、時間が経てば忘れるだろう。）

　仙次郎は、冷蔵庫からビールを２本取り出し、帰りに買ってきた特上寿司をテーブルに置いてビールの栓を開けた。
　一気に半分ほどを喉に流し込んでいく。

「クァァァァァァァー‥‥‥美味いっ！」

　そう口走ると、寿司を包む紙を解きパックを開けた。

「こりゃ、美味そうだ。」

　箸で海栗を一貫丸ごと口に放り込んだ。

「ウォォォー、最高ぉぉっ！」

　仙次郎は、テレビをつけると、ニュースを見ながら寿司を頬張った。

（‥‥‥‥‥‥‥面白くねぇな‥‥）

　チャンネルボタンを何度か押してスポーツ番組に切り替えた。
　画面は、アメリカのモータースポーツを放映していた。

（お、面白そうだな。）

　レースを楽しみながら寿司を頬張る仙次郎‥‥‥‥

　ビールから酒に切り替え、冷えたグラスで東北の大吟醸酒に舌鼓をうつ。
　仙次郎は、リラックスをしながら寛いでいた。

　寿司も食べ終え、ほろ酔いで良い気分に浸っていた仙次郎‥‥‥

（さて、風呂でも入るか。）

　服をその場で脱ぎ、浴室に向かおうとした時、部屋のチャイムが鳴った。
　応答ボタンを押す仙次郎‥‥‥

「はい、どちらさん？」
『！？‥‥‥あれ‥‥‥仙次郎さん‥‥大丈夫なの？』

　相手は、樹里だった。

「え？‥‥‥‥‥‥あぁぁっ‥‥‥じゅ、樹里ちゃん‥‥‥‥」

　思わず、普通に声を出してしまった仙次郎‥‥‥‥

「ぇ‥‥ぁ‥‥‥‥い、いや‥‥‥ハハハ、‥‥‥少し寝てたら楽になって‥‥‥」
『‥‥‥あぁー、良かったぁ‥‥‥』

　ホッっとした様子で、そう答える樹里‥‥‥

　仙次郎は、罪悪感を感じながらも、いやな予感が頭を過ぎった。

『仙次郎さんせっかく来たんだから開けてよ。』
「え‥‥‥‥あ、ああ‥‥‥‥‥」

　仙次郎は、やむなく入口のロックを解除した。

　暫くして再度、部屋のチャイムが響いた。
　ドアを開ける仙次郎‥‥‥‥

「ごめん、ごめん‥‥‥‥ん？」

　ドアの外には、樹里の他に成美と、もう一人の女性が立っていた。

（ラッキー‥‥‥３人居れば、樹里ちゃんも誘うまい。）

「高輪さん、お久しぶりです。」

　仙次郎に挨拶をする成美‥‥‥

「やあ、元気そうだね。」
「お店の子を連れてきちゃったの。上がっていい？」
「はは、勿論さ。‥‥‥どうぞ、どうぞ‥‥‥」

　仙次郎は、樹里と成美、そして、もう一人の女性を部屋の中に入れた。

「仙次郎さん、心配したのよ。」
「いやぁ‥‥‥申し訳ない‥‥‥急に‥‥」

　嘘をつくのも忍びなかったが、仙次郎は、樹里の心配する気持ちが嬉しかった。

「まあ、座ってよ、樹里ちゃん。」
「ええ。」

　ソファに腰掛ける樹里たち‥‥‥‥

「ところで、彼女は？」

　成美の横に座る女性を見て仙次郎は問いただした。

「え？‥‥‥ああ、サリーって言うの。奈落の踊り子よ。ほら、オープニングと入れ替えの時に踊ってるでしょ。」
「ああ、彼女が‥‥‥へぇー、皆、店に居る時と化粧が違うから判らないな。」
「そうかもね。」

　仙次郎は、その女性を見ながら微笑んだ。
　その女性も恥しそうに頭を下げる。

「あ、始めまして、高輪と言います。」
「サリーです。本名は、白木雪音と言います。」
「ゆきね‥‥‥‥へぇー‥‥いい名前ですね。」

　仙次郎の言葉に気をよくする雪音‥‥‥

「サリーさんは、踊りだけしかしないのかい？」
「ええ。プレーは、しないわ。ダンスショー専門なのよ。」
「ほう、そうなんだ‥‥」
「それより仙次郎さん、せっかく心配して来たんだから何か飲ませてよ。」
「ぇ‥‥‥ああ、ごめん、ごめん。‥‥‥何を飲む？」
「そうねぇ‥‥‥みんな、どうする？」
「私、車を運転してきたし‥‥‥」

　そう言う雪音に、樹里が言い放った。

「大丈夫よ。酔いを覚ましてから帰ればいいんだから。」

（なぬっ？‥‥‥酔いを覚ましてからって‥‥‥‥‥）

　てっきり、茶を飲んで帰ると思っていた仙次郎‥‥‥‥

「いいじゃない。せっかく来たんだし、ゆっくりしていこうよ。」

（腰を落ち着けるつもりかよ‥‥‥‥‥‥ま、いいか。どうせ飲むだけだし。）

「でも‥‥‥‥‥」

　雪音の返事を待たず樹里は、ビールを注文した。

「仙次郎さん、とりあえずビールを。」
「あいよ。待っててくれ。」

　仙次郎は、キッチンに行き冷蔵庫からビールを出すとトレーに乗せた。
　そこへ成美が、手伝いに来る。

「高輪さん、運ぶわ。」
「悪いねぇ、リンダさん。お客さんに運ばせちゃって。あ、グラスは、ボードに入ってるから出してくれるかな。」
「ええ。」

　仙次郎は、冷蔵庫から適当にツマミをこしらえてテーブルに運んでいった。

「こんなものしかないけど‥‥‥」
「うわぁー、美味しそう。」

　鰯明太に、鮑の数の子和え、そして蟹の昆布巻きと、ツマミにしては豪華だ。

「どうぞ、遠慮なく‥‥‥」

　仙次郎は、皆のグラスにビールを注いでつまみを勧めた。
　樹里は、仙次郎のグラスにもビールを注いでいく。

「あ、サンキュー‥‥‥‥‥じゃ、乾杯しようか。」

　グラスを重ね合わす４人‥‥‥

「乾杯っ！」

　それぞれが美味そうにビールを喉に流し込んでいった。

「あ、そういえば‥‥‥」

　徐に樹里が声を上げた。

「どうした、樹里ちゃん？」
「仙次郎さんっ、さっきの電話の続きよ。」

（ゲッ‥‥‥しまった、忘れてた‥‥‥‥‥）

　仙次郎は、体裁悪そうにリンダと目を合わせながら苦笑いを浮かべた。
　樹里の言葉を恐る恐る待つ仙次郎‥‥‥‥‥

「ま、でもいいわ‥‥‥‥」
「え？」
「仙次郎さん相手ならしょうがないもんね。」
「‥‥‥ハ‥‥‥ハハハハ‥‥‥‥‥‥」

　ホッっと胸を撫で下ろしながら愛想笑いする仙次郎‥‥‥‥‥

「ところで、エミーだけど残念だったわ。彼女、人気あったのにね。」
「樹里ちゃん、本当にすまない。‥‥‥‥無理を聞きいれてくれて感謝してるよ。」
「うぅん‥‥それは、いいの。仙次郎さんの頼みだから。」
「金は、絶対に返すって言ってたから。」
「いつでもいいからって、お二人に伝えておいて。」
「まあ、彼らの性格上、そういうわけにもいかないだろう。とにかく、樹里ちゃんには、感謝してるよ。ありがとう。」
「いいのよ。お金なんか余ってるんだから。」

（‥‥‥な‥‥‥‥なんとも、リッチなもんだ‥‥‥）

「それにしてもさ、エミーが店を辞めたのは残念だったわ。成美も、パートナーが居なくなって手持ちぶたさだしさ。」

　そう言って成美をみる樹里‥‥‥
　成美も残念な表情を浮かべている。

「でも、彼女は、真性Ｍじゃないんだろう？」
「ええ。でもさ‥‥演技力があったのよ。‥‥まあ、私も事情を聞いて納得したんだけど。」
「お客が、減ってしまったかな？」
「うぅん、それは影響ないけど、メンバーが減るとね。」
「そっか‥‥‥一人減ると大変だろうな。」
「でも、また、募集するわ。」
「しかし、そんな簡単に見つかるのかい？」
「ええ。皆、お金を稼ぎたいから‥‥‥‥でも、難点は、すぐ辞めちゃう事かな。」
「結構、ハードな仕事だからなぁ。」
「ええ、そうなのよ。今じゃ、古株は、成美だけ。」
「そっか‥‥‥サリーさんは、昔から？」
「うぅん、彼女は、まだ１年かな。」
「しかし、サリーさんの踊りは、イカすよな。」
「ぇ‥‥‥ぁ‥‥‥ありがとうございます‥‥‥」

　雪音が、恥しそうに頭を下げる。
　そこへ成美が、話に割って入ったきた。

「なによ、高輪さん。私は褒めてくれないの？」
「え？‥‥‥あ、と、とんでもない‥‥‥リンダさんのあの迫力は圧倒されるよ。」
「あのさ、高輪さん、名前で呼んでよ。樹里さんだけ本名で呼んでさ‥‥‥」
「ぁ‥‥‥そ、そうだね‥‥‥」

　クスクスと笑い声を上げる樹里‥‥‥‥

「しかし、奈落は、いつ行っても流行ってるね。」
「皆のおかげよ。こんな商売だけど、全員がプロ意識を持ってくれてるもの。」
「それに、全員がＳかＭの本物だし、フフフッ。」
「こんな風俗店は珍しいからね。」

　仙次郎の言葉に、３人とも満足げな表情を浮かべる。

「しかし、雪音さんが、踊りだけってのはもったいないなぁ。」
「あら、彼女のダンスだけを見に来るお客さんも居るのよ。」
「そっか‥‥‥でも、確かに上手いもんな。」
「彼女は、元々、プロのミュージカルダンサーだったのよ。」
「へぇー、そうなの。」

　照れた表情で仙次郎を上目遣いに見る雪音‥‥‥‥

　そして、成美が、煙草をふかしながら呟いた。

「ね、雪音、高輪さんに踊って見せてあげなさいよ。」
「え‥‥‥ここで？」
「ええ。」
「でも‥‥‥‥」
「雪音さん、是非、見せてよ。じっくり見たことがないんだ。」

　仙次郎の勧めもあって雪音は、小さく頷いた。

「じゃ、ちょっとだけ‥‥‥‥」

　雪音は、そう言うと、はにかみながら立ち上がった。
　大型テレビの方に歩く雪音‥‥‥

「よし、ちょっと、演出効果を上げるか。」

　仙次郎は、ルームライトを消して両側のスタンドライトを点けた。

「あら、なかなかいい雰囲気じゃない。」

　更に、仙次郎は、桟に取り付けてあるスポットライトをマルチコントローラーで操作して雪音に当てた。

「わぁー‥‥‥凄いぃぃー。まるで、舞台みたいよ。」

　成美の声に雪音も気が乗ってきたようだ。

「あのぉ‥‥‥‥出来れば‥‥‥何か‥‥‥音楽があれば‥‥‥」
「仙次郎さん、何かない？」

　樹里が仙次郎に尋ねる‥‥‥

「どんな曲がいいのかな？」

　雪音は、できれば静かな音楽がいいと注文した。

「静かな音楽か‥‥‥」

　そう言って、ＣＤスタンドを見ていく仙次郎‥‥‥

（‥‥‥‥‥お、コレいいかも‥‥‥）

　仙次郎は選んだＣＤを雪音の前にかざした。

「雪音さん、これどうだい？」

　ＣＤジャケットを見る雪音‥‥‥‥

「Ｊ‥シスターズ‥‥‥‥？」
「和楽器でクラシック風にアレンジして演奏しているグループなんだ。」
「クラシック‥‥‥‥‥‥ええ。じゃ、それで‥‥‥」

　仙次郎は、頷いてＣＤをデッキに挿し込むと急いでソファに座った。
　琴が、綺麗な音を靡かせて演奏が始まった。
　メンデルスゾーンだ。

　仙次郎は、ソファに座って雪音に注目した。
　音楽に合わせて華麗に雪音の身体が靡いた。
　拍手をする仙次郎たち‥‥‥‥
　表情豊かに踊りを演じる雪音‥‥‥
　しなやかな指の動きからも、その表現力が素人とは違う事を感じさせる。

（‥‥‥‥‥こりゃ、じっくり見ると素晴らしいな‥‥‥）

　仙次郎は、雪音の踊りだけを見に来る客がいるという事に納得した。
　仙次郎の隣で樹里が指を鳴らした。
　驚きながらも、小さく目で頷く雪音‥‥‥
　雪音は、優雅に何度か身体を回転させると、上に来ている服と穿いている巻きスカートを外した。

「おぉぉっ‥‥‥」

　唸る仙次郎‥‥‥‥

　雪音は、ノーブラで透き通ったラメ入りのキャミソールを着ていた。
　ショーツは、純白のＶ型ローライズショーツだ。
　真っ黒で艶のある雪音のロングヘアーは、腰ほどまである。

　妖しく艶かしい雪音の踊りに、仙次郎は、吸い込まれていった。
　片時も視線を外さずに、雪音の踊りを堪能していく。

　いつの間にか、雪音のキャミソールと下着は取り省かれていた。
　真っ白な絹のような裸体、そして、産毛１本も生えていない恥丘‥‥‥
　何よりも、見せるために生まれてきたようなパーフェクトボディ‥‥‥
　まるでギリシャ彫刻を思わせるような完璧な裸体だった。

「目の前で見ると凄いでしょ。」

　樹里の言葉に即答する仙次郎‥‥‥

「ああ。‥‥‥‥確かに‥‥‥これは芸術だな。」
「わかるでしょ、雪音が踊りだけって。」
「んむ。この肌に蝋燭や鞭は当てられないからな。」
「そういうこと。」

　仙次郎は、夢想現な感覚を全身に浴びながら雪音の醸し出す不思議な雰囲気を味わった。
　雪音は、まるで天女のように美しく、そして華麗な舞いを演じていった‥‥‥‥‥‥

（１１５）

　仙次郎ら、３人の拍手に、雪音は、満面の笑みを見せた。

「いやぁー、素晴らしい。こんな踊りは見たことがないよ。」
「‥‥‥‥ありがとうございます。」

　素っ裸の雪音は、恥しそうにショーツとキャミソールを着ていく。

「雪音さん、ファンが多いでしょう。」
「え‥‥‥そうでも‥‥‥‥」

　謙遜する雪音‥‥‥

「とにかく、お誘いが凄いのよ。樹里さんと人気を二分してるくらいなのよ。」

　そう口走る成美‥‥‥‥

「だろうねぇ‥‥‥‥‥でも、成美さんも人気あるだろう。」
「私の場合は、女性にね。‥‥‥‥男性は、敬遠しちゃって。」
「そうか。‥‥‥しかし、男性でも成美さんと交際したいと思ってる人はいるんじゃないの。」
「どうかしら？‥‥‥‥アハハハ‥‥‥」
「とにかく、いい物を見せてもらったよ。‥‥‥よぉーし、今夜は飲もう。」
「賛成っ！」

　気を良くした雪音も、皆に賛同する。
　仙次郎は、ワインやブランデーをしこたま持ち込みテーブルに置いた。

　色々な酒に手をつけていく樹里たち‥‥‥
　いつの間にか、大宴会となっていく。

　仙次郎も、樹里だけではない安心感から、飲むピッチが早くなっていった。
　既に、全員が、酔っ払った状態になっている。

「へぇー‥‥もったいないな。雪音さんは、ステディがいないのかぁ。」
「でもさ、仙次郎さん。こういう商売しているとなかなか出来ないのよ。」
「そうなのか？」
「だって、一般の人と生活が逆ですもの。昼間は寝てて、夜に起きてるでしょ。」
「ふーむ、なるほどね‥‥‥。」
「まあ、成美はそうでもないけど、雪音は彼氏が欲しいんじゃない？」
「そんな事ないですよぉー、樹里さん‥‥‥‥‥」
「そうなの？」
「まあ‥‥‥でも、今は、踊りでお客さんを魅了する事も楽しいかな。」

　雪音も、かなり飲んだのか、先ほどと違い言葉も滑らかだ。
　火照った顔に手を当て、はしゃぎながら答える。

「雪音さんは、今まで、付き合った男性はいないのかい？」
「何人か居たんですけど‥‥‥でも、プロダンサーだったし、遅くまでレッスンとかしてて‥‥‥会う機会もなかなか。」
「そうかぁ‥‥‥‥」

　雪音は、拗ねたように口を尖らせて仙次郎に尋ねた。

「高輪さぁーん、誰か紹介してくださいよぉー‥‥‥」
「‥‥‥‥俺じゃ駄目かな？」

　樹里に頬を抓られる仙次郎‥‥‥‥

「アタタタタッ‥‥‥じょ、冗談だって、樹里ちゃん‥‥‥」

　笑い転げる成美‥‥‥‥‥

「仙次郎さんっ！　成美を抱いて、さらに雪音まで抱こうなんてとんでもないわよ。」
「だから、冗談だって、樹里ちゃん。」

　隣で笑っていた成美が、樹里をからかうように口走った。

「樹里さん、私たち３人で高輪さんを襲っちゃおうか？」

　承諾するはずなどないと思っていた仙次郎は、笑いながらワインをラッパ飲みしていく。

「‥‥‥それ、いいわね。」
「えぇぇぇーっ！」

　驚く仙次郎‥‥‥‥‥

「おい、おい‥‥‥樹里ちゃん、冗談は、よしてくれよ。」
「あら、本気よ。ね、雪音‥‥‥」
「ええ。高輪さん、格好いいし‥‥‥‥最近、男を味わっていないから。」

　仙次郎は、暫し無言の後、徐に立ち上がった。

「‥‥‥んー‥‥‥飲みすぎたようだ。‥‥‥そろそろ、寝るかな。」
「何ですってぇっ！」

　凄む樹里‥‥‥‥

「あ‥‥‥いや‥‥‥その‥‥‥‥それに、明日も仕事だし‥‥‥」
「寝てればいいじゃない。」
「寝てればって‥‥‥そんな簡単に‥‥‥」
「仙次郎さん、４Ｐよ。‥‥こんなの経験した事ないでしょ。」
「３Ｐもないですが‥‥‥‥‥」
「何事も経験よ。」
「別に、そんな経験しなくてもいいんだけど。」

　仙次郎と樹里の会話を無視して、成美と雪音は、服を脱ぎ始めている。

「お‥‥‥おい、おい‥‥君たち何やってんだい。」
「何って、脱がないと出来ないでしょ。」

　酔っ払っている成美は、淡々とした表情でショーツを脱いだ。
　恥丘のローズタトゥを怪しげに撫で上げていく。

「な‥‥‥成美さん‥‥‥‥ちょ、ちょっと待ってくれよ。」
「ねぇ‥‥‥ベッド、何処ぉ‥‥‥‥」

　既に裸になっている雪音は、真っ白な身体を赤く染めて部屋を見渡している。

「仙次郎さん、もう覚悟を決めた方がいいかもね。」
「覚悟って、樹里ちゃん‥‥‥‥‥‥そういう問題じゃないって。」
「なに言ってんの仙次郎さん‥‥‥奈落の人気トップを３人一緒に抱けるのよぉ。」

　樹里もあまりロレツが回っていない。目が据わっており、相当、酔っているようだ。

（‥‥‥‥‥‥一晩に３人も相手に出来るわきゃないぜ‥‥‥‥）

　仙次郎は、眩暈を覚えていく。

「さて、成美、雪音、お風呂で身体流しておいで。」
「はぁーい‥‥‥」

　二人は軽快な返事をして浴室に歩いていく。

「え‥‥‥お‥‥‥おい‥‥‥マ、マジ‥‥‥‥‥」

　虚ろな目で仙次郎に笑い顔を見せる樹里‥‥‥‥

「仙次郎さん‥‥‥覚悟は、よろしいですか‥‥‥‥フフフッ‥‥‥」

　そう言うと、樹里は、仙次郎の手を引っ張り浴室に歩き出した。

（‥‥‥‥‥‥クゥゥー‥‥‥‥こうなったら、もうヤケだ‥‥）

　覚悟を決める仙次郎‥‥‥‥
　大きな溜息をつくと樹里のヒップに手を当てていった。

　脱衣場で全裸になった仙次郎は、来ていた服を洗濯機に放り込み中に入っていった。

　中では、成美と雪音が体を洗い合っている。

　仙次郎は、冗談っぽく呟きながら二人の間に入っていった。

「お邪魔します‥‥‥」
「キャァー、高輪さぁーん、来て来てぇー‥‥」

　成美が、仙次郎の手を引っ張り泡のついた身体を仙次郎にくっ付けていった。
　雪音も強い酔いと興奮で我を忘れたように仙次郎に抱きついていく。

「‥‥‥グッ‥‥‥‥酒池肉林とは、この事だな‥‥‥‥」

　そこへ、樹里も浴室に入ってきた。

「あら、いきなり抱きついちゃってるのぉ‥‥‥」

　ゆっくりとした、甘えたような口調で３人に声をかける樹里‥‥‥‥
　相当、酔っているようだ。

　樹里は、そのまま湯船に足を入れ身体を沈めていく。

「ぁぁぁぁー、気持ちいい‥‥‥」

　一方、仙次郎は、成美と雪音に挟まれながら乳房で身体を刺激されていた。

（んー‥‥‥‥しかし、こりゃ、やっぱエエなぁ‥‥‥‥）

　敬遠気味だった仙次郎だが、次第に脳と身体が覚醒していく。

　雪音が、仙次郎の肉棒を両手で触りはじめた。

「アァァーン、成美ちゃん、見てぇー、高輪さんのオ○ン○ン凄いぃぃー‥‥‥」

　雪音は、興奮状態でそう叫びながら、仙次郎の肉棒を握り締めて上下に擦り始めた。

「雪音、漏らすんじゃないよ。」

　成美は、後から仙次郎の首筋に唇を這わせながらそう呟いた。

「アァン、成美ちゃん、早く、オ○ンコに入れたぁぁーい‥‥‥」

（‥‥‥‥‥彼女も変わるもんだな。）

　大人しそうな雪音に見えたが、酔いも手伝っているのか、口ずさむ言葉も卑猥さを増していく。

「雪音、身体流して出るわよ。」
「うん。」

　成美は、シャワーで泡を落とすと仙次郎を急かすようにして浴室を出て行った。

　湯船でうたた寝していた樹里がドアの閉める音で目を覚ます。

「ぇ‥‥‥あ、あぁぁー‥‥ちょっと、待ってよぉ‥‥‥置いていかないでぇー。」

　慌てて湯船から立ち上がる樹里‥‥‥‥

　濡れた身体を拭かずに、樹里は、３人を追いかけていった。

＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜

　ベッドで仰向けに寝る仙次郎の肉棒に、３人は、代わる代わる舌を這わせていた。

（おぉぉぉー‥‥‥生きてて良かった‥‥‥）

　今まで味わった事のない、まさに至福とも言えるプレーに仙次郎の股間は、ますます威力を増していく。

「アァァーン‥‥‥我慢できなぁーいっ！」

　雪音は、仙次郎の身体を跨ぐと肉棒を握って腰を降ろした。

「ンッハァァァァァァァー‥‥‥‥‥‥ウァァァァァァァー‥‥‥」
「ちょ、ちょっと、雪音ったら、卑怯じゃない。」

　樹里が、雪音のヒップを平手で叩いた。

「イヤァーン‥‥‥直ぐに‥‥直ぐに変わるからぁぁー‥‥‥‥」

　雪音は、激しく腰を降り始めた。

（‥‥‥‥んー‥‥‥こ、こりゃ、凄い‥‥‥‥キンチャクか‥‥‥‥）

　仙次郎は、雪音の名器に唸った。

　成美が、二人の結合部に舌を這わせながら乳首にはまったピアスを引っ張り喘ぎ声を上げている。

「ちょっとー、私も仲間に入れてぇっ！」

　樹里が、拗ねた声で成美の身体を揺すった。

「樹里さん、縛ろっか？」
「アンッ‥‥お願いぃぃー‥‥」

　成美は、フラフラと立ち上がりながら寝室を見渡した。
　クローゼットに目をつけた成美は、扉を開いて中を物色する。

「あ‥‥‥いいのがあったわ。」

　成美は、フックに掛かった仙次郎のネクタイを全部取り出した。
　１本１本をつなぎ合わせ、更にこよりを作って紐状にしていく。

（‥‥‥‥‥‥ん？）

「あ、あぁぁぁぁー‥‥‥俺のネクタイ‥‥‥」
「いいじゃないの、高輪さん。」
「し‥‥‥しかし‥‥‥」
「あら、グッチなのね‥‥‥まあ、いいか。また、みんなで買ってあげるから。」

　成美は、紐状にしたネクタイで樹里を縛り始めた。
　後ろ手緊縛を造り、更に足を開脚首賭け縛りしてうつ伏せにした。

「ァァァァァー‥‥‥‥成美ぃぃ‥‥‥」

　成美の顔付きが、樹里の悲鳴で一気に変化した。

「ぁぁー‥‥‥樹里さんを責めれるなんてぇ‥‥‥最高ぉぉ‥‥」

　成美の太腿には、既に流れ出た蜜が付着していた。
　高く上げられた樹里のヒップに歯を立てる成美‥‥‥‥

「イヤァァァァァー‥‥‥イィィィィィー‥‥‥」

　ネクタイが、樹里の身体に食い込んだ。

（‥‥‥お‥‥‥俺のネクタイが‥‥‥‥グッ‥‥‥）

　仙次郎の腰の上では、雪音が暴れていた。

「イヤァァー、最高ぉぉぉー‥‥‥こんな気持ちいいの久しぶりぃぃぃー‥‥」

　恥丘を押し付けて腰を振り続ける雪音‥‥‥‥‥

　隣では成美が、樹里の菊門に指を突きたてている。

「クフゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥー‥‥‥‥成美ぃぃぃー‥‥‥もっとぉぉー‥‥」

　成美は、興奮気味に指を回転させている。
　もう片方の手は、自分の女芯を摘み上げていた。

「ングゥゥゥー‥‥‥‥私も気持ちイィィィィー‥‥‥アァァー‥‥‥」

　部屋中に３人の女性の喘ぎ声が、途切れる事無くこだましている。

（こりゃ、騒音に近いな‥‥‥‥）

　仙次郎に容赦なく股間を打ちつけていく雪音‥‥‥‥

（‥‥‥マジ、明日は、休まないといかんかも‥‥‥‥）

　仙次郎は、３人の女性に囲まれながら壮絶な性宴に突入していった‥‥‥‥