（１２８）

　自宅マンションに戻った仙次郎は、重い足取りでエントランスに入った。
　専用ポストにランプが点いていることに気づく。

（‥‥‥‥？）

　暗証番号を押し、ポストを空ける仙次郎‥‥‥‥
　そこには、一枚の封筒が入っていた。
　仙次郎は、直ぐに亜希子からの手紙と判った。
　封を開け中を読む仙次郎‥‥‥‥‥

（‥‥‥‥‥‥‥）

　手紙を持つ手が、僅かに震えている‥‥‥

（‥‥‥‥‥亜希子‥‥‥‥）

　全てを読み終わった仙次郎は、手紙を胸ポケットにしまって立ち尽くした。
　何分立っていただろうか。
　仙次郎は、いきなりエレベーターのドアを渾身の力で殴りつけた。

「‥‥‥‥‥‥クソッタレェェェェーッ！」

☆☆☆☆☆

「えぇー、亜希子さんがっ。」

　仙次郎のマンションを訪れていた美優が大声で叫んだ。

「‥‥‥‥‥ああ。」
「ど、どうしてっ？‥‥‥‥明日が、退院じゃなかったのっ？」
「悩んでいたんだろう‥‥‥亜希子の気持ちは、察していたんだが。‥‥‥‥しかし‥‥‥何も言わないで退院するとは思わなかったよ。」
「亜希子さんの実家には連絡したの？」
「ああ。‥‥‥‥亜希子から何も連絡はないそうだ。娘が振り回して迷惑ばかり掛けてと恐縮していたよ。」
「‥‥‥‥‥」
「連絡があったら俺にも知らせてくれるとは言っていたが‥‥‥‥」
「何か手掛かりはないの？」
「知人や付き合いのあった人には、全て連絡をしたんだがな。」
「‥‥‥仙次郎君‥‥‥」

　仙次郎は、苦悩の表情で天井を見上げた。

「ふぅぅー‥‥‥‥‥‥美優‥‥‥‥たぶん‥‥‥‥‥たぶん、亜希子は、もう俺に連絡してこないだろう。」
「‥‥‥‥何で‥‥‥何で、そんな事が解るの？」
「解るんだ‥‥‥‥‥俺には。」
「何で解るのよぉっ！」

　怒鳴る美優‥‥‥‥

「心理学者だからだ‥‥‥‥そして、何より‥‥俺の元女房だ。」

　仙次郎は、そう言って亜希子が置いていった手紙を美優に見せた。
　受け取る美優‥‥‥‥

「‥‥‥‥‥よ‥‥‥読んで‥‥‥‥いいの？‥‥‥‥」

　無言で頷く仙次郎‥‥‥
　美優は、ゆっくりと手紙を封筒の中から取り出した。

　≪仙ちゃん、黙って、退院してごめんなさい。

　入院中、私なりに色々と考えました。

　その結果、私は、仙ちゃんの前に、もう姿を見せない方がいいと思ったのです。

　仙ちゃんの気持ちを踏みにじってしまった事に、私は、耐える事が出来ないから。

　昨日、研究所にも退職願を提出しました。

　夢だった一流の学者になる夢も、少し遠くなってしまったけど、私は諦めません。

　この間、仙ちゃんが言ってくれた、実現させてこそ夢だ。という言葉を、

　いつも胸に抱いて頑張るつもりです。

　仙ちゃん、あの時、言ってくれたでしょ。

　私と一生、離れる事になったとしても、仙ちゃんの記憶の中から、
　
　私の存在が消える事は絶対にないって。

　私、あの言葉が凄く嬉しかった。

　この言葉だけで、私は、十分一人で生きていく勇気を持つことが出来ます。

　仙ちゃんと出会えて良かった。　

　今まで生きてきた中で、それが一番最高の出来事です。

　もし、もし、生まれ変わって、また仙ちゃんと一緒になる事が出来たなら、

　今度は、今度は、絶対に仙ちゃんを‥‥‥‥‥‥‥

　迷惑を掛けて、本当にごめんなさい。そして、今までありがとう。

　私は、ずっと、仙ちゃんに貰った愛を抱いて人生を全うしていきます。

　追伸

　最後に、美優さんに伝えてください。

　こんな私のために、必死に頑張ってくれてありがとうって。

　それから‥‥‥‥私、仙ちゃんと美優さん、お似合いだと思います。

　さようなら、仙ちゃん、私が、最高に愛した男性へ‥‥‥　　　　≫

　手紙を読み終わった美優は、涙を浮かべて声を荒げた。

「何よ、これっ！‥‥‥‥亜希子さん、卑怯よっ。」

　美優は、握っていた手紙を仙次郎の目の前で破いた。

「‥‥‥美優‥‥‥」
「駄目よ、仙次郎君、諦めちゃ駄目っ。‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥」
「探すのよ。亜希子さんを‥‥‥‥」

　これ以上ない優しい目で美優を見つめる仙次郎‥‥‥‥

「美優‥‥‥‥ありがとうな‥‥‥‥‥お前の気持ち、凄く嬉しいよ。」
「‥‥‥‥‥せ‥‥‥仙次郎君‥‥‥」
「だが‥‥‥だが‥‥‥俺は、亜希子は、探さない‥‥‥」
「‥‥‥え？」
「いや、探せないだろう。」
「‥‥‥‥‥‥どうして‥‥‥」
「この手紙を読んで、俺は、亜希子の全てを探った。そして、亜希子の今の心理を読み取れたんだ。亜希子は‥‥‥亜希子は、自分で自分にケジメをつけたんだ。人間、ある意味、物事に対してのケジメをつけると気持ちを変える事は出来ない。」
「‥‥‥‥‥‥」
「つまり、亜希子は、俺に見つからないような手段をとって生きていこうとするさ。」

　仙次郎は、そう言って笑った。

「で‥‥‥‥でも‥‥‥‥‥‥‥‥仙次郎君‥‥‥‥」
「美優‥‥‥‥お前、洋平に言ってたろ。」
「‥‥‥‥‥‥？」
「時に‥‥‥時に神様は、‥‥‥悪戯をするってな。クククッ‥‥‥‥‥フハハハハハハハハッ‥‥‥‥」

　仙次郎は、大きな笑い声を上げた。
　そんな仙次郎を見つめる美優は、戸惑いながら囁いた。

「仙次郎君‥‥‥‥‥どうするの‥‥‥これから。」

　静かに目を瞑り、そしてゆっくりと囁いた‥‥‥‥‥

「‥‥‥‥‥‥じっくりと、時間を掛けながら考えるさ。」

　仙次郎は、寂しそうに、そう言って伸びた髭を手で触っていた。。

☆☆☆☆☆

−　半年後　−

　年が明けて、春を迎えようとしていた。

「おい、佳代君、そんなに腰を動かすと、俺が潰れるって。」
「アァァァァー‥‥‥駄目ぇぇぇー‥‥‥もうちょっとぉぉぉー‥‥‥」

（ったく‥‥‥‥彼氏が出来たというのに、俺と、こんな事を。）

　佳代は、遠慮のない声を張り上げていた。
　佳代を下から見上げる仙次郎‥‥‥‥‥

（‥‥‥‥しかし、誘いに乗る俺も俺だな‥‥‥‥クククッ‥‥‥）

　佳代は、先月、同期の飲み会で知り合ったグループ支社の男性と交際を始めていたのだ。
　その男性は、来月４月から、本社に移動が決まっており、佳代も仙次郎と、このような関係が続け難くなるため、連日、仙次郎を求めていたのだ。

「ウクフゥゥゥゥゥー‥‥‥ァァ‥‥‥先生ぇぇ‥‥‥オ‥‥‥オ○ンコがぁ‥‥」
「さて‥‥‥そろそろ、フィニッシュか‥‥‥」

　仙次郎は、佳代の腰を掴んで前後に激しく揺らし始めた。

「ンクゥゥゥゥゥゥゥー‥‥‥‥イキソォォーッ‥‥‥」

　佳代の女芯に手を当て刺激していく仙次郎‥‥‥‥

「ウグゥゥ‥‥‥も‥‥‥もぉぅ‥‥‥ァァァ‥‥ンハァァァァァァァーッ！」

　佳代は、激しく仰け反って昇天をした。
　密が結合部周りに広がっていく。

　仙次郎は、ゆっくりと佳代を仰向けに倒しながら肉棒を引き抜いた。

「ふぅぅー‥‥‥‥」

　大きく足を開いたまま朦朧とする佳代‥‥‥‥
　指を噛みながら仙次郎の股間に手を延ばそうとしている。

「コラッ‥‥‥いま、いったばかりだろ。」

　仙次郎は、佳代の女芯を擦ると、笑いながら浴室に消えていく。

「ァァーン‥‥‥先生ぇぇ‥‥‥もう１回ぃぃー‥‥」

　疼く股間を手で押さえながら、佳代は仙次郎の後を追っていった。

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「じゃ、佳代君、気をつけて帰るんだぞ。」

　仙次郎は、佳代を駅まで送ってきた所だった。

「先生、まだ、これから彼とデートなんです。」
「えぇっ‥‥‥？　しかし、君‥‥‥いま、やったばかり‥‥‥」
「フフッ、前哨戦です。」
「ぜ‥‥‥前哨戦？」
「だって、最初に先生に抱いてもらっておかないと彼の前で乱れても困るし‥‥‥‥」

　仙次郎は、呆れながらも笑いを堪えて佳代に言い放った。

「佳代君、まず、君のその乱れた心を治さないとな。」
「そんな、言い方しなくても‥‥‥」
「ハハ、ま、彼に可愛がってもらえ。なかなか、ハンサムでいい男だぜ。」
「先生より、多少、落ちますけどね。」
「なに言ってんだ。将来の幹部候補生という噂だぞ。」
「フフッ‥‥‥彼と、喧嘩した時は、先生に抱かれに行きますから。」
「バァーカ‥‥‥喧嘩して仲良くなっていくんだよ。じゃあな。」
「はい。美優さんによろしくぅー。」

　佳代は、走り出す仙次郎の車に向かって手を振った。
　ルームミラーで、その姿を見て笑顔を漏らす仙次郎‥‥‥‥‥

（ふっ‥‥‥彼は君を放すような男じゃないさ。）

　仙次郎は、口笛を吹きながらアクセルを強く踏み込んだ。
　自宅に帰った仙次郎は、大きな欠伸をしながら玄関を開けた。

「お帰りぃ。」
「何だ、美優‥‥‥来てたのか。」
「‥‥‥‥早く終わったからさ。‥‥あ、今、夕食作ってるの、待ってて。」
「いつも、すまないな。」
「いいの。私が、仙次郎君に会いたいだけなんだから。」

　仙次郎は、キッチンで包丁を握る美優のヒップを撫でながら冷蔵庫を開けた。

「後で、思いっきり触って‥‥‥フフフッ‥‥‥」

　缶ビールを取り出して、栓を抜く仙次郎‥‥‥‥‥

「それは、いいんだが、今まで佳代君とな‥‥‥」
「えぇーっ‥‥‥佳代さんと‥‥‥」

　仙次郎は、美優に、佳代との関係を話していたのだ。

　呆れていた美優であったが、詳しく話を聞く内に仙次郎らしさを理解したのか、特に気にすることはなくなっていた。
　美優もたまに食事を共にする事もあり、佳代と親交を深めるまでになっていたのだ。
　美優が、怒った顔で仙次郎を睨んだ。

「駄目よ、仙次郎君‥‥‥‥佳代さん、彼氏が出来たんでしょ。」
「いや、彼女の方から‥‥‥‥」
「そう言う問題じゃないの。‥‥‥私がいるでしょ。」
「フハハハ‥‥‥美優‥‥‥既に濡れてるな。」

　そう言って、美優の股間を触る仙次郎‥‥‥

「あぁーん、ばかぁっ！」

　冗談で包丁を翳す美優‥‥‥
　仙次郎は、慌ててキッチンから出た。

「本当に俺を刺すんじゃないぞ‥‥‥‥‥刺すのは俺の役目だ。フハハ‥‥‥」
「覚えてらっしゃい。」

　美優は、笑顔で、そういって料理の続きを始めた。

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「どぉぅ？　この煮物‥‥‥」
「ああ、美味い。」
「本当？」
「ああ、酒が進むぜ。」
「良かったぁ。」

　美優は、仙次郎のグラスに酒を注ぐと、自分も料理を口にしていく。

「‥‥‥‥‥ねえ、仙次郎君‥‥‥‥」
「ん？‥‥‥‥‥‥なんだ。」
「‥‥‥‥うん‥‥‥」

　仙次郎は、美優の言いたい事を理解した。

「‥‥‥美優‥‥‥もう、半年も経つんだ。」
「‥‥‥‥うん‥‥‥でも‥‥‥」
「美優‥‥‥‥俺は、もう‥‥‥‥‥俺だ。」

　仙次郎を見つめる美優‥‥‥‥‥
　そしてニッコリと笑って囁いた。

「仙次郎君‥‥‥‥‥私‥‥‥いま、最高に幸せ。」

　優しい視線を美優に投げかける仙次郎‥‥‥

「美優‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥え？」
「‥‥‥‥‥‥‥‥一緒に暮らすか？」

　美優は、器に向けた箸を止めて仙次郎を見た。

「‥‥‥ぁ‥‥‥‥ぇ‥‥‥‥ァ‥‥‥‥アハハ‥‥‥‥‥せ、仙次郎君‥‥‥」
「美優、俺は、マジだぞ。」

　酒を飲みながら美優に視線を返す仙次郎‥‥‥‥

「‥‥‥も‥‥もぉぅ‥‥‥何も、今、そんなこと言わなくても‥‥‥」

　頬を染め、照れた様子を隠さずに料理を口に運んでいく。

「‥‥‥‥んーむ‥‥‥お前らしくないな‥‥‥即答すると思ってたのに。」

　仙次郎の言葉を無視して美優は、自分のグラスに酒を注いだ。

「私も、飲もうっと‥‥‥」

　苦笑いを浮かべる仙次郎‥‥‥

「美優‥‥‥‥早く食って、一緒に風呂入るぞ。」
「‥‥‥本当ぉぉぉぉーに、仙次郎君ってエッチね。」
「そんなこと、１０数年も前から知ってるだろう。それに、お前から、エッチって言われたくないぞ。」
「何いってんのよ。」
「この間だって、もう１回してぇとか、大声で叫んでたじゃねぇーか。」

　顔を真っ赤にする美優‥‥‥‥‥

「‥‥も‥‥もぉぉー、馬鹿ぁぁーっ！」

　大笑いする仙次郎‥‥‥

　美優は、折り膝を立てて仙次郎の肩を叩きまくっていた。

（１２９）

−　一週間後　−

「イヤァァァァァァー‥‥‥‥‥‥イックゥゥゥゥゥゥゥゥゥー‥‥‥」

　美優は、潮を吹き上げながら昇天した。
　仙次郎にしがみ付き、肩に歯を当てていく。

「‥‥‥ゥゥゥ‥‥‥ウグゥゥゥ‥‥‥‥」

　仙次郎の分身を搾り取るように蜜壷に力を入れていく美優‥‥‥‥

「ふぅぅー‥‥‥美優‥‥‥‥燃えすぎだぞ‥‥‥‥‥」

　顔を上げた美優が小声で囁いた。

「‥‥‥だってぇぇ‥‥‥‥仙次郎君、凄いんだもの‥‥‥」

　ここ、最近、美優は、貧欲に仙次郎を求めていた。
　先日、仙次郎から、告げられた言葉の返事を返すかのように、連日、仙次郎のマンションに出入りしていたのだ。
　美優は、日毎に、綺麗になっていった。
　女が、愛する男に抱かれる至極最高の形成を見事に表現していたのだ。

　仙次郎は、結合したまま美優を起こした。
　騎乗位になると、美優は、仙次郎の舌を貪るように絡めていった。

「‥‥‥ァァ‥‥‥アハァ‥‥‥ァァ‥‥‥‥‥ンフゥゥゥー‥‥‥」

　仙次郎は、今ほど、放出したにもかかわらず、股間に力が漲ってきた。

「‥‥‥ぁぁ‥‥‥仙次郎君‥‥‥また‥‥‥」
「‥‥‥フッ‥‥お前の魅力のせいだ。」

　仙次郎は、美優を降ろして打つ伏せにさせた。

　美優は、直ぐに腰を上げ四つん這いの格好になって仙次郎にせがんでいく。

「仙次郎君‥‥‥もっと‥‥‥もっと、して欲しいぃぃー‥‥‥」

　仙次郎は、美優の背中に覆い被さった。
　まるで獣のように、二人のプレーは続いていく。

　腰を突き上げる美優‥‥‥‥
　湿った摩擦音が、部屋に響き渡った。
　美優は、顔をシーツに押し付け、くぐもった声を漏らし続けている。

　まるで、身体全体が性器になったような錯覚を覚える美優‥‥‥
　全身が紅潮し、さらに鳥肌が、鮮明に浮かび上がってきた。

「‥‥‥ゥゥゥゥゥゥゥゥゥー‥‥‥‥」

　先ほど放った、仙次郎の分身が摩擦で泡立ってきた。
　溢れた分身が、美優の太腿を伝いシーツに落ちていく。
　その感触に美優は、痙攣に似た震えを見せた。

「‥‥‥ウァァァ‥‥‥ァァァ‥‥‥‥ンアァァァァァァァァァ‥‥‥‥」

　美優の両手の指は、潰れるのではないかと思うほど乳首を摘んでいた。
　仙次郎の額から零れた汗が、美優の背筋をすべるようにして首筋に落ちていく。

「クフゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥー‥‥‥‥ンァァァァァァァァァー‥‥‥」

　全てが美優にとっは、快感につながっていった。
　そのままの体位で、既に３０分以上も経過した。
　美優の蜜壷の肉襞が、何度も何度も奥ヘめり込んで行く。
　美優は、限界を迎えた。
　ヒップを独立させたように高く上げ仙次郎にフィニッシュをせがんでいく。

「美優‥‥‥」
「キテェ‥‥‥ァァ‥‥キテェ‥‥キテェ‥‥キテェェェェェェェェェーッ！」

　仙次郎は、ヒップに当てていた手の指を美優の菊門に入れながら肉棒を思いっきり根元まで押し込んだ。

「グッフゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーッ！‥‥‥‥ゥゥ‥‥ゥ‥‥」

　仙次郎の、煮え滾る分身が、美優の蜜壷の最奥の壁を叩いていった。
　半開きに開いた美優の口は、閉じる事が出来なかった。
　恍惚とした表情のまま、呻き声をあげている。
　美優は、ゆっくりと崩れ倒れるように打つ伏せになった。
　自然と肉棒が抜かれ、パックリと開いた美優の蜜壷からは、仙次郎の分身が静かに流れ出てくる。

「‥‥‥‥ふぅぅぅー‥‥‥‥」
「‥‥‥ゥゥ‥‥‥‥ァァ‥‥‥‥ゥ‥‥‥」
「美優‥‥‥‥？」

（‥‥‥‥‥ククッ‥‥‥ダウンか‥‥‥）

　朦朧としたまま、美優は身動きしなかった。
　仙次郎は、シーツを美優に掛けてキッチンに入った。
　冷蔵庫からビールを抜き一気に全てを飲み干していく。
　大きく息を吐いて、キッチンチェアに腰掛ける仙次郎‥‥‥‥

　仙次郎は、漠然と思っていた。
　美優との関係が、既にバリアフリーな状態になっている事を。
　そして、美優との生活が、今から始まろうとしている事を‥‥‥‥

＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜＜

　シャワーを浴びて、寝室に戻ってきた美優は、セクシーなナイトウェアを着ていた。

「おい、おい、美優‥‥‥そんなもんを着るんじゃねぇ。ムラムラするじゃねぇか。」
「フフッ‥‥‥いいのよ、また、抱いてくれても。」
「あほぉ！　明日、仕事にならんぜ。」

　美優は、パール糸で編みこんだシースルーのボディースーツを着込んでいた。
　絹のような手触りで肌にピッタリと張り付いている。
　一見、セパレーツの水着に、長めのフレアースカートをつけたような感じだ。
　美優の形のいい恥丘の陰毛が、くっきりと透けて見えた。
　興奮が冷めたらないのか、固く尖った乳首がナイトウェアを突き上げている。

「仙次郎君、立ってきたでしょう。フフフッ‥‥‥」

　美優は、下腹部分の生地を真上に引き上げた。
　蜜壷の亀裂にナイトウェアが食い込んでいく。

「‥‥‥お前‥‥‥挑発してるな。」

　美優は、笑いながら手を離した。
　ナイトウェアの股間部は、美優の蜜が染みを象っている。

「チッ‥‥‥‥明日は、居眠り覚悟だな‥‥‥」

　仙次郎は、美優の手を持って引き寄せた。

「ウフッ‥‥‥仙次郎君‥‥‥‥」

　仙次郎の肉棒を握りながら舌を絡めてくる美優‥‥‥‥

　仙次郎は、美優を抱き上げてベッドに押し倒していった。

☆☆☆☆☆

−　翌朝　−

「じゃ、仙次郎君、私、先に行くわね。」
「ああ、気をつけろ。」
「うん、‥‥‥‥朝食作っておいたから。」
「ああ。」

　美優は、スーツを華麗に着込んでバックを肩から下げた。

「仙次郎君‥‥‥‥今夜も泊まりに来ていい？」
「‥‥‥‥‥‥ここは、お前の家も同然だ。」

　美優は、その言葉に喜びを隠せない。

「じゃ、服と下着の替えを持ってこないと‥‥‥フフッ、ちょっと遅くなるわよ。」
「ああ、寝ていたら起こせよ。」

　寝ボケ顔で、美優に手を上げる仙次郎‥‥‥‥

「フフッ‥‥‥早く顔を洗いなさいってば。‥‥‥‥じゃ、行ってくるわ。」

　美優は、ニッコリと笑って部屋を出て行った。

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　夕方近く、美優は、顧問を務める区役所へ足を運んでいた。
　総務部の職員と話を終え、ちょうど席を立つ所だった。

「それでは、部長さん、私はこれで‥‥‥来週に、また来ます。」
「どうも福島先生、ありがとうございました。」

　美優は、総務部長に見送られてエレベーターに乗り込んだ。

（さてと、家に下着を取りに行かなくっちゃ。）

　美優は、今夜の仙次郎との戯れを想像して子宮を熱くした。

（セクシーなのを持って行こうっと。フフッ‥‥‥でも、色々穿きたいなぁ‥‥‥）

　美優は、ウキウキした心を鎮めながら考えた。

（そうだっ！　仙次郎君が、うちに来ればいいんじゃない。)

　美優は、わざわざ下着や洋服を持って出かけるより、仙次郎が家に泊まってもらう方が、面倒がなくていいと考えたのだ。
　早速、仙次郎に連絡をとる美優‥‥‥‥

『‥‥‥おう、そうだな‥‥‥その方が俺も近いし楽だぜ。』
「じゃ、そうして。仙次郎君の好きな下着をつけるから。」
『了解っ。‥‥‥‥ヒヒ‥‥覚悟しておけよ。』
「お馬鹿‥‥‥‥あ、事務所によってから帰るから部屋で待っていて。」
『ＯＫ！』

　美優は、笑いながら電話を切った

　エレベーターを降りた美優は、市民課の前を通り玄関口に出ようとした。
　その時、ふと見覚えのある顔が目についた。

（‥‥‥‥？‥‥‥‥‥‥）

　少し近づく美優‥‥‥‥

（ぁ！　！　！　‥‥‥‥あ‥‥亜希子さん‥‥‥‥）

　美優は、目を疑った。それは、紛れもなく亜希子だった。
　亜希子の姿を見て美優の足の動きは止まってしまった。
　美優の心臓の鼓動が激しく高鳴っていく。
　見つからないように出ようか、それとも声を掛けるべきなのか‥‥‥
　複雑な気持ちが、一気に美優の脳を駆け巡っていく。

　美優が、迷っている中、係員から書類を受け取った亜希子が、偶然、美優の方に振り向いた。
　驚いた表情で美優を見つめる亜希子‥‥‥‥

「み‥‥‥‥美優さん‥‥‥‥」

　美優は、亜希子と視線を合わせながら呆然と立ち尽くしていた。

/ / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / / /　

「亜希子さん‥‥‥元気だった。」
「‥‥‥‥ええ‥‥‥まぁ‥‥‥」

　美優と亜希子は、近くの喫茶店で向かい合って座っていた。

「亜希子さん‥‥‥‥何故、区役所に？」
「‥‥‥‥ぇぇ‥‥‥住民基本台帳をもらいにきたの‥‥‥」
「え？」
「アメリカに住む事になったの。」
「‥‥‥‥‥アメリカに‥‥‥」

　亜希子は、美優に事情を説明した。
　病院を黙って退院した後、心の静養を兼ねて１ヶ月ほど沖縄で過ごしていたのだ。

　落ち着きを取り戻した亜希子は、アメリカの学者仲間とコンタクトをとり、直ぐに渡米をする事になった。アメリカで研究を続けるうちに学者仲間から亜希子の実力を評価され、一緒に研究を続けてみないかとコンタクトを受けたのだ。
　亜希子は、生物博士と言う地位と優秀な実力を認められ、また、アメリカ学会の特別な計らいもあり、僅か、数ヶ月で永住権を手にする事が出来た。
　亜希子は、その準備と手続きのために４ヶ月ぶりに日本に帰国していたのだ。

「そうだったの。‥‥‥‥‥‥でも、なんで、黙って姿を消しちゃったの？」
「そ‥‥‥それは‥‥‥」
「仙次郎君、凄くショックを受けていたわよ。」
「‥‥‥‥‥‥美優さん‥‥‥‥あんな事があって、おいそれと仙ちゃんの前に顔を出すなんて出来ないわ。」
「で‥‥‥でも‥‥‥」
「美優さん、私は、仙ちゃんに物凄く酷い事をしたのよ。」
「‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥仙ちゃんには、しつこいくらい、私は、貴方のもの、私の全ては、仙ちゃんだけのものだって。そんな、大きい事を言っておきながら。‥‥‥だから、仙ちゃんに顔向け出来ないの。」
「亜希子さん‥‥‥‥でも‥‥‥でも、連絡くらいは‥‥‥‥」
「仙ちゃんの声を聞いただけでも胸が張り裂けそうなの。私の気持ち‥‥‥‥解るでしょ‥‥‥‥美優さん‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥‥」
「でも、もう大丈夫よ。‥‥‥今の私は、夢があるから。‥‥‥もう仙ちゃんが居なくても一人で生きていけるわ。」

　美優は、そう言い放った亜希子の言葉を推測した。

（‥‥‥‥‥違う‥‥‥‥嘘よ。‥‥‥亜希子さんは、まだ耐えてる‥‥）

　亜希子が、笑顔で美優に囁いた。

「美優さん、仙ちゃんと会ってるんでしょ？」
「‥‥‥え‥‥‥‥‥ぇぇ‥‥‥‥‥あの‥‥」

　美優は、仙次郎と半同棲の状態でいる事を亜希子に言えなかった。
　突然、現われた亜希子の存在‥‥‥
　そして、もしかしたら仙次郎、そして亜希子の気持ちが動いてしまうかもしれないという恐怖が、美優の口を塞いでしまっていたのだ。

「美優さん、仙ちゃんと結婚すればいいのに‥‥‥‥」
「‥‥‥！」

　美優は、その言葉に驚いた。怪訝そうに亜希子を見つめる美優‥‥‥

「‥‥‥美優さん‥‥‥‥本音じゃないでしょ。」
「‥‥‥ぇ‥‥‥」
「私には、解るわ。」
「‥‥‥‥何を‥‥‥‥」
「貴女は、仙次郎君を離したくないと思っているはず。仙次郎君を今でも心から愛しているはずよ‥‥‥‥‥」
「‥‥‥そ‥‥‥そんな事‥‥‥」
「私と仙次郎君を結婚させる事によって、踏ん切りをつけようとしている。」
「‥‥‥‥‥‥」
「そうすれば、亜希子さん‥‥‥‥自分の気持ちに‥‥‥ケジメがつくと思ってる。」

　押し黙る亜希子‥‥‥‥

「‥‥‥‥‥美優さん、ごめんなさい。‥‥‥私‥‥‥私‥‥‥もう行きます。」
「‥‥‥ぇ‥‥‥あ‥‥‥亜希子さん‥‥‥‥」
「何度も言うわ。‥‥‥もう私は、仙ちゃんの前に姿を現す資格なんかないの。」
「亜希子さんっ！」
「‥‥‥‥美優さん‥‥‥仙ちゃんと‥‥‥‥仲良くしてあげて‥‥‥」

　亜希子は、そう言って席を立った。

「待って‥‥‥‥‥」

　立ち止まる亜希子‥‥‥‥

「亜希子さん‥‥‥いつ‥‥いつアメリカに？」
「‥‥‥‥明日の夜の便で‥‥‥‥」
「‥‥‥あ‥‥‥明日？」
「美優さん、最後に美優さんと会えて良かったゎ。」
「亜希子さん‥‥‥‥」
「仙ちゃんに会ったら伝えて。」
「え‥‥‥？」
「‥‥‥‥‥私は、仙ちゃんに言われたとおり‥‥‥‥夢を追い続けるって。」

　亜希子は、そう言って喫茶店を出て行った。

「ま‥‥‥待って、亜希子さん‥‥‥」

　慌てて代金を払い店を出る美優‥‥‥
　しかし、亜希子は、走るようにして立ち去っていった。

　美優は、亜希子を追う事をしなかった。いや追えなかったのだ。
　真っ暗闇の中に一人取り残されたような感じを受ける美優‥‥‥‥
　心の中は、まるで究極の選択を強いれられているかのように壮絶な葛藤をしていた。
　直ぐに、仙次郎に伝えるべきか、それとも黙って、仙次郎との今の生活を維持していくのかを‥‥‥
　美優は、自分でも気づかぬうちに涙を流していた。

（‥‥‥神様‥‥‥‥お願いだから神様‥‥‥もう悪戯は止めて‥‥‥‥‥悪戯は止めて下さい‥‥‥‥何で‥‥‥‥何で‥‥‥いつも私を‥‥‥‥）

　美優は、何度も、そう呟きながら重い身体を引きずるようにして歩き出した。