（４３）

　亜美は、スナックのカウンターでカシスソーダを飲みながら柴田の来店を待った。
　時間は、１８時を過ぎている。
　データ通りだと、そろそろ柴田は顔を出すはずだ。

　亜美の隣りの客がカラオケを歌い始めた時だった。
　口髭をたくわえた小太りの男がスナックに入ってきた。

（来た・・・・柴田だわ。）

　亜美は、カウンターのボーイと軽い会話をしながら柴田の観察をした。
　３０分程すると、一人でいる亜美の方を柴田がチラチラと見始めた。

（この女、ベッピンじゃねぇーか・・）

　柴田は、何気なくカラオケの画面を見るフリをして亜美を眺める。
　亜美は、２杯目のカシスソーダを注文した。
　携帯のタイマーに合あわせた音楽がグッドタイミングで鳴りはじめる。
　もちろん、シナリオで実際には相手はいない。
　亜美は、バッグから携帯を取り出して演技を始めた。

「もしもし、・・・・・・・・えぇー、これないの？　もう、かなり待ってるのよ。・・・・・そうなの、じゃ、しょうがないわね。うん、わかった。またね・・・・」

　亜美は、わざと柴田に聞こえるように喋ると、つまらなそうな顔をして電話をバッグにしまった。

　それを柴田が見逃すはずはない。
　すかさず、亜美に声を掛けてきた。

「ねぇ、君・・・待ちぼうけ食らったみたいだね。」
「え・・・・・何ですか､あなたは。」
「煙たそうにしなくてもいいじゃないか。怪しいもんじゃないよ。どうだい、暇つぶしに私と一緒に飲まないかい。おごるよ。」

　亜美は、しめたと思いながら考える不利をして柴田を焦らせた。

「・・・・どうしようかな・・・」
「いいじゃないか。暇なんだろ？歌でも歌おうよ。」

　柴田は、グラスを持って図々しく亜美の横に移動してくる。

（シメシメ・・・）

「んー・・・・・じゃ、ちょっとだけなら・・・」
「そうこなくちゃ。さ、飲もう。」

　亜美は、すんなり事が進んでホッっと胸を撫で下ろした。
　とりあえず、裕二から連絡があるまで柴田をこの場所に居座らせなければならない。
　亜美は、隙を見せないよう注意しながら柴田の話に耳を傾けていった。

　一方、裕二は、ホストクラブの外で依頼したリョウというホストと打合せをしていた。

「じゃ、その線に話を持っていけたら連絡をくれないかい？」
「ええ、いいですよ。正直言って僕らも助かるんです。全くエチケットやマナーがなくて困ってたんですから。」

　このホストが言うとおりマナーを無視した行動がホスト連中の反感を買っていた。
　横に座るホストの股間は遠慮なく触るしキスをせがむは当たり前、最初は、金持ちで小奇麗な明美にホストも喜んでいたが、度が過ぎるたびに明美の性格を疑うようになっていたからだ。

「もうじき、来ると思いますが、直ぐに、そっちの線に持っていきます。」
「上手く頼むよ。」
「ええ、その辺は僕らもプロですから。」

　そのホストは、裕二にそう言うと急いで店に入っていった。
　数十分後、明美がタクシーで店に現れた。
　裕二は、明美のド派手な衣装に舌を巻いていた。

（ったく、あんな格好でよく街を歩くもんだな。）

　既に４０代後半になろうという明美は、屈むと見えそうなくらいのミニスカートとレースのガーターに、胸が丸見えのシィーセーターを着ている。
　当然、ミンクの毛皮のコートを羽織って濃い化粧を施していた。

　明美が店内に入っていくのを確認し裕二は煙草を取り出して口にくわえた。

　店内では、リョウが明美の入店を確認し、一目散に駈け寄って明美の席に付くと早速裕二の策案通りに事を進め始める。

「明美さん、いらっしゃいませ。」
「あら、おはよっ。元気？」
「ええ、明美さんは？」
「フンッ、最近、身体が欲求不満だらけよ。誰も相手してくれないんだから。柴田の親父は、超がつく早漏だしね。ねぇ、リョウちゃん､今晩付き合ってよ。」

（キタ・キタ・・）

「明美さん、良かったら僕の友人を紹介しましょうか？　かなり、いい男ですよ。」
「えっ、本当っ！　直ぐに電話してよぉー。」
「いいですよ。今晩いいんですか？」
「もちろんよ。ね、どういう男なの？」
「ええ、そりゃ、明美さんの思ってるとおりの男と思いますよ。恐らく、明日の朝は、おきられないくらいクタクタに・・・。」

　リョウは、冗談っぽく明美の股間をスカートの上から突付いた。
　明美は、リョウの言葉にショーツを一気に湿らせていく。

「ねぇ、早く電話しなさいよ。」
「はい、はい。」

　３０分もしないうちにホストのリョウから連絡が入った。

『香坂さんですか？　バッチグーです。イイ男を今から紹介するといったら飛びついてきました。』
「そうか、よくやってくれた。」
『とんでもないっすよ。反対に感謝してます。懲らしめてやってください。』
「ふっ、まかせろ。」
『じゃ、香坂さん、１０分ほどしたら店に顔出してください。』
「解った。」

　裕二は、笑みを浮かべながら、もう１本煙草を吸うと車から降りて身なりを整えた。

（さて・・・いくか。）

　裕二は、店のドアを開けて周りを見渡した。
　７番と書かれたボックスにリョウと明美が座っている。
　裕二は、二人のいるボックスに近づいていった。

「あ、香坂さん、彼女が明美さんです。」
「始めまして。今、リョウから連絡を貰って・・・」

　明美が裕二を下から眺めた。

（・・・いい男じゃない。）

「リョウちゃん、私、もう出るわ。」
「はい。ゆっくりと楽しんできてください。」

　リョウの言葉に明美はウィンクを返した。

　そうして、裕二と明美は外に出た。

「ねぇ、リョウちゃんから聞いたわ。凄いんだって。」
「え、何がです？」
「もーっ、アッチの話よ。」
「あぁ、ええ、ま､自信ありますよ。」
「あんた、高いの？」
「いえ、普通ですよ。」
「そう。」

　明美は素っ気無く返事をするとバッグから封筒を取り出し裕二に金を渡した。
　裕二が中身を確認する。ざっと５０万は入っているだろうか・・・・

「え、こんなに・・・」
「いいのよ。そのかわり満足させてよね。」
「ええ、それはもちろん。」
「私、明美って言うの。宜しくね。」
「私は、香坂です。」

　裕二は、明美を車に乗せると携帯メールで亜美に連絡を入れた。

「ねぇ、ボサッっとしていないで早く連れてってよ。」
「ああ、すいません。何処がいいです？」
「何処でもいいわ。ホテルでしょ。もう、オ○○コがベチョベチョよ。」

（オ、オ○○コ・・・・・くっ・・・この、ババァは・・・）

　裕二は、呆れながら明美に質問をした。

「明美さん、ＳＭに興味ありますか？」
「ＳＭ？」
「ええ。」
「なくはないけど・・・」
「いろいろな道具を試して見ませんか。もちろん個室ですよ。」

　明美は、色々な事を想像したのであろう。
　股間に手を持っていきながら即答で了解をした。

「お任せするわ。とにかく無茶苦茶にして。」
「解りました。」

（ふっ、本当に無茶苦茶にしてやるぜ。）

　その頃、亜美は裕二のメールを確認して柴田を誘いにかけていた。

「ふふっ、おじ様って面白いわ。」
「そうだろう、よく言われるんだ。」
「ねえ、おじ様、私とエッチしたんでしょ？」
「！」
「・・・いいわよ。」
「な、なにっ、本当かい。」
「ええ、私ね、ＳＭクラブに行ってみたいの。でも彼には、なかなか言えなくて。」
「ほぉぅ、ＳＭか。俺もＳＭは大好きさ。女を甚振るのは得意だぜ。」
「私､いい店知ってるの。連れてってくれる？」
「ああ、もちろんだよ。」

（ふっ、ラッキーだぜ。この女、明美とは雲低の差だからな。）

　亜美は、誘いに成功し柴田と共にスナックを出た。
　タクシーを捕まえると早速、亜美を車に乗せていく。
　タクシーの運転手に行き先を告げた亜美は、柴田を見て微笑んだ。
　柴田も笑みを返す。

（この女・・・かなり、いい女だぜ。）

「君、そう言えば名前は？」
「え、あ、私、亜美・・です。」
「そうか､亜美か・・・いい名前だ。」

　柴田は、そう言うと亜美を引き寄せて乳房を揉み始めた。

「アン、柴田さん・・運転手さんが見てるわ。」

　小声で囁く亜美の声に柴田の股間もはちきれんばかりに怒張していた。
　柴田は、亜美のスカートに手を入れて股間の中心部を突つきだす。
　嫌がる亜美だったが、怒らせても都合が悪い。
　我慢して柴田のされるがままになった。

「柴田さん、駄目ってば・・・直ぐに店につくわ。」
「いいじゃないか。チョットだけだって。」

　柴田は、無理矢理に亜美の足を開かせ覗き込むように身体を屈める。
　亜美の薄紫のセクシーなショーツを確認すると中へ手を入れてきた。

「い、嫌よ・・・ここじゃ嫌っ・・」

　亜美の言葉に反してショーツをずらして指を入れてくる。

「アンッ・・・駄目ってばぁ・・」

　亜美の抵抗が蜜壷の収縮に変わった。

（おぉぉっ・・凄い締まりだぜ。）

　柴田は、亜美の蜜壷から指を抜くとその指を口に含んだ。
　笑いながら、亜美を見る柴田に気持ち悪さを感じながらも亜美は作り笑いをし、柴田の怒張した肉棒をスラックスの上から静かに撫で続けていた。

（４４）

　裕二と明美が、ちょうどフェニックスに到着した。

「明美さん、ここです。」
「へぇー、そう。」

　裕二は、車を駐車すると明美を助手席から降ろし店のドアをくぐっていく。
　カウンターで手続きを済ますと準備が出来るまでフロアーで待たされた。

　その頃、亜美と柴田を乗せたタクシーもフェニックスに到着していた。

「ここかい？」
「ええ、雑誌に載っていたの。人気店なんだって。」
「ほう、そうか。ま、いいか。亜美ちゃん、入ろう。」
「ええ。」

　亜美が柴田に肩を掛けられ店に入っていく。
　柴田は、カウンターで手続きを済ますと同じくフロアーに通された。

　明美は、中央のステージで繰り広げられているショーに目が釘付けになっていた。
　手を股間に挟み押さえつけるように身体を捩じらせている。

「凄いわ。」
「明美さん、ああいうプレースは好きですか？」

　裕二の言葉に明美が何度も首を縦に振った。
　裕二が、明美の手を避け無造作にショーツを捲って蜜壷を確かめる。

「明美さん、凄い濡れ様ですね。」
「ぁぁぁ・・・早く部屋に行きたいわ。」

　裕二の指使いに明美は、眼を一層、輝かせていた。

　一方、亜美も柴田から執拗な攻めを受けていた。

「もう、柴田さん、我慢してよぉ。」
「いいじゃないか。どっちにしろやるんだから。」

　柴田が、亜美の後ろから乳房を揉みながらスカートを捲ろうとしていた。
　必死で手で押さえる亜美が、カウンターにいる真央に気が付いた。
　ウィンクをする真央・・・
　亜美も小さく頷くと、柴田が、なるべく不信を抱かぬよう身を委ねる。

　遂に、柴田の指が亜美の蜜壷に侵入してきた。

「おぉー・・亜美ちゃん､濡れてるねぇー。」
「アン、柴田さんの指使いが上手なんですもの・・・」
「ふ、感じるかい・・」

（馬鹿オヤジ、ショーを見て濡れたのよっ・・・あぁ、早く準備してよー。）

　亜美の思いが叶ったのか、店員が亜美のいるボックスに部屋の準備が整った事を伝えに来た。

「どうぞ。」

　柴田は、早速、亜美を抱え込むように案内された部屋に向かった。
　部屋に入った柴田が壁に掛けられた道具を見渡し興奮気味に声をあげる。

「亜美ちゃん、どの道具で攻めてほしいんだい？」
「え・・あ・・・えぇ・・・あのー、全部かな？」
「そうっ・・・ねぇ、亜美ちゃんのオシッコ見せてよ。」
「え、えぇぇーっ。」
「いいじゃないか。」
「でも､今出ないわ。」
「ビ、ビール飲もっ、ビールッ。」

　柴田は、冷蔵庫からビールを取り出しグラスに注ぐと急かしながら亜美に勧める。
　亜美は、苦笑いをしながらグラスを口をつけた。

「ね、柴田さんも飲んでよ。」
「ああ。・・・・・それもそうだが、まずは脱ごうか？」
「え、・・え、ええ。」

　亜美は、止む無く服を脱ぎ始める。
　柴田も、それを見て凄い勢いで自分の服を脱いでいった。
　すかさず亜美は、裕二から貰った薬を柴田のグラスに落とした。
　瞬間に溶ける錠剤に柴田は気付かない。

　真っ裸になった亜美に柴田は見とれた。

（す、凄ぇぇ・・・こ、こんな、いい身体してる女は、初めて見たぜ。）

　柴田の肉棒は､これ以上なくいきり立っている。
　とうとう我慢が出来ずに、亜美に抱きついたいった。

「あぁん、柴田さん、チョット待って・・・」
「何だ。もう､我慢できないぞ。」
「・・お、オシッコ・・そう、オシッコが出そうなの。」
「何っ、そうか・・・よし、そこに跨いでくれ。」

　亜美は、柴田の言葉で、床よりも一段高い場所にある便器に上った。
　亜美は、受け口のない和式便器に跨ると伏目がちに柴田を見た。

「は、はやく・・はやく出してくれ。」

　柴田は、亜美の跨る便器に顔を近づけ蜜壷を凝視している。
　亜美は、全く出る気配もなく困り果てていた。
　柴田が指で亜美の花弁を開こうとしている。

（もぉぅ・・裕二の馬鹿っ、全然、薬が効いてこないじゃない。）

　その時、急に柴田が膝をついて崩れた。

「ぅ・・あ、あれ・・・おかしいな・・・きゅ・・急に・・・眠・・た・・」

　柴田の身体がゆっくりと横たわっていく。

（よかった・・・・間に合った・・・）

　亜美は、ホッとしながら便器から降りるとスタッフに繋がるインターホンを押した。

『亜美さん？』

　インターホンから真央の声が聞こえてくる。

「ええ、今、男を眠らせました。」
『解ったわ。直ぐ行くわね。』
「はい。」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「香坂さん、もう我慢できないわ。」

　裕二と明美も、既に個室に入っていた。

　明美は、部屋に入るや、全ての服を脱ぎ捨て乳房を揉みながら裕二にせがんでいた。

「明美さん、慌てちゃいけないよ。まず軽くビールでも飲もう。」
「え、ええ。」

　裕二の注いだビールに口をつける明美・・・
　当然、グラスの中には、薬が入っているのは言うまでもない。

　裕二は、ビールを飲みながら、しばらく会話を続けていた。

（そろそろ、いいかな。）

「さ、明美さん、始めますか。」
「ええ！」

　裕二は、明美をベッドに寝かせると四肢に皮の固定帯をはめていった。

「な、何するの？」
「まず、道具で天国へ連れて行ってあげるよ。」

　裕二の言葉に大きく開いた明美の股間から液体が溢れ出てくる。
　垂れ過ぎて横に広がる乳房と緩みきった下腹部を眺めて裕二は溜息をついた。

「あん、・・・・思いっきりしてね。」
「ええ、解ってます。」　（フッ、天国ではなく地獄だがな・・）

　口を半開きにして腰を上下している明美を裕二は嘲笑っていた。
　ケースから電動バイブを取り出すとスイッチを入れて明美の身体に当てていった。

「ンォォォーー、気持ちいいぃぃ・・・入れて、もう駄目っ、オ○○コに入れてぇっ！」「裕二は、明美の要望どおり蜜壷にバイブを差し込んだ。」
「クゥゥゥゥー・・気持ちいいぃぃ・・動かしてぇぇー・・・動・・か・・・し・・」

　明美の瞼が一気に閉じ始める。

「・・そ・・ぇ・・？・・・ま、まだ・・・ねむ・・た・・・・」

　明美は、口を開いたまま静かに瞼を閉じていく。

　裕二は、明美の身体を揺すって確認した。

（よぉーし、・・・・眠ったな。）

　裕二は、インターホンを押した。

『香坂さんですか？』
「ああ。」
『真央さんから聞いています。今すぐ行きますので。』
「わかった、待ってる。」

　裕二は、真央が話をしておいてくれた男が部屋に来るのを待った。
　ノックをして裏のドアから男が入ってくる。

「スイマセン、見つかりたくないので。・・・・あ、健太郎です。」
「香坂です。」
「話は聞きました。とりあえず、この女性を真央さんの部屋に運びましょう。」
「ああ。」

　裕二と健太郎は、裏口から明美を担いで真央の部屋に向かった。
　既に柴田は目隠しをされ両手を縛られて天井から吊るされていた。
　亜美が、裕二の顔を見て安堵感を抱く。

「裕二さん。」
「亜美、ご苦労だった。大丈夫か？」
「ええ、なんとか・・」

　真央が裕二に声を掛けてくる。

「香坂さん、どうする？」
「んむ。」

　裕二は、真央と健太郎に詳細を話した。
　驚きながらも興味を示してくる二人は、徐々にプロの目つきに変わっていく。

「解った。要するに私と健太郎がこいつらを責めながら、質問をしていけばいいわけね。」
「ああ、その会話を録音する。」
「でも、香坂さん、こういう目にあわせて吐かせても効力がないんじゃないの。」
「ああ、その通りだ。しかし、柴田と専務夫人が不倫の仲という事がわかるだけでも、まずは解決できるのさ。それを大山建設と太平洋建設の専務に報告をするんだよ。」
「え？」
「つまり、大山建設は慌て出す。推進事業部長である責任者の柴田が主導企業の担当指揮である専務の女房と出来ていると知ったらな。」

　亜美が裕二の説明に納得した。

「なるほど、だから強攻策に。」
「ああ、こういう手以外は、証拠を作りにくい。といって無理に二人を合わせようと思うと不可能ではないが、時間が足りない。」

　真央と健太郎は、裕二たちの話の内容がわからなかったが、今から行う責めで、仕事が、万事、上手くいくのだろうと感じた。

　健太郎が明美をＸ柱に固定して柴田と向かい合わせた。

「さ、香坂さん、そろそろ始めようじゃない。」

　真央の不適な笑いに裕二は頷いた。