（８５）

−　週明け　−

　裕二は、会議室で鏑木に、チップ埋め込みの成功を報告をしていた。

「香坂、よくやったな。」
「今、思えば意外とスムーズにいきました。」
「よし、さっそく集音装置を設定してみよう。」

　鏑木は、そういうと部屋の防音スイッチを押した。
　室内をセキュリーティー・インに設定し、無線式傍受機の操作を始める。

「鏑木さん、何やってるんですか？」
「微電波を集音させるために信号を合わせてるんだ。」
「え？　直ぐ聞けるんじゃないんですか・・・」

　鏑木は、呆れた顔で裕二に説明をした。

「そんな装置があれば大発明だぜ。しかし、これは妨害電波にも対応してる。１キロ以内なら、セキュリティー・インの部屋からも会話程度は聞けるさ。」
「ほぉー、そうなんですか。」
「ま、見てろ。」

　鏑木は、オートクロックを使ってメアリーの髪に埋め込んだチップの発する電波の周波数検索を開始していく。

　数分後、キャッチランプが点灯するとヘッドフォンをはめて微調整を始めた。

「・・・・・！」

　鏑木は、得意げな笑みを見せると、モニターを見ながら裕二にＯＫサインを送った。
　近づく裕二に、ヘッドフォンを渡す鏑木・・・・
　裕二は、ヘッドフォンから聞こえるメアリーの声に驚きの声を上げた・・

「お、鏑木さん、よく聞こえますね。」
「ああ・・・」
「ククッ・・・鼻唄を口ずさんでますよ・・・」
「フッ、盗聴しすぎて業務に支障をきたすなよ。」
「とりあえず、中継器を俺達メンバー全員に渡しておこう。これは、お前が使え。」
「はい。」

　裕二は、鏑木から小型の中継器を受け取った。

　鏑木は、他に用意してあったマッチ箱程度の中継器に周波数を合わせる作業を開始した。
　それを見た裕二も、中継器を胸ポケットにしまい鏑木の作業を手伝い始めた。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「常務っ、ありがとうございました。」

　遠藤は、帰国した康平に礼を兼ねてマーベラス社での結果報告を受けていた。

「まぁ、正直、俺だけの力じゃない。兄貴の力を借りたんだ。」
「恭平さんですか。」
「ああ。さすが顔が広いよ。」
「で、常務、いったいどういう事をされたのですか？」

　康平は、遠藤にマーベラス社で繰り広げた内容を説明した。

「んむ、虚述だが、マーベラス社に多大な損益を及ぼすことを説明したんだ。しかし、マーベラス社もそう簡単に信用するはずがない。そこで、兄貴の出番になるんだが、国連査察を示唆させたんだ。要は、単一国の技量では太刀打ちが出来なくなるような事をだ。いくらアメリカが世界先端を走る国でも国際世論が許さない。さらに、未遂ではあるがデータの抽出作業を行った証拠を見せた。もちろん偽造だがな。相手方は顔が青ざめていたよ。業務提携にも記されているが、そういう場合は主導決定はこちら側にある。」
「なるほど・・・」
「そして、更に、太平洋の莫大な資金力を使ってマーベラス社の株券操作と正規な方法で、対損益操作をすると脅かしてきた。」
「えぇっ・・・・・・そ・・・それで・・・」
「マーベラスの社長が、直々に現れたよ。」

　康平が、笑いながら遠藤を見た・・・・
　しかし遠藤は表情を変えず息を飲んで、次の説明を待った。

「そして、俺は言い放った。前回の事件の時に、不正にマーベラスが手に入れた世界中の企業情報内容を流すとな。もちろん、出先はＣＩＡと国連査察部にと。」

　遠藤は、徐々に、顔をほころばせていく・・・・
　そして、康平を見ると感心したように、そして、あたかも納得しているるかのように確認をした。

「そんな恐ろしいブラフと駆け引きが出来るのは・・・・常務・・・」
「ふっ、遠藤、それ以上言うな。」
「・・・つまり、マーベラス社は・・・」
「ああ、頂いたようなものだ。」
「しかし、常務の命が狙われるんでは・・・・」
「ああ、その通り。だから、兄貴を連れて行ったんだ。俺を殺る事によって、マーベーラス社は消滅する。」

　遠藤は思った。
　まさか、たった１度の渡米で、そして、こんな短期間に巨大企業マーベラスを手中にしてしまう康平の手腕と偉業に・・・
　そして、康平の兄、恭平の効力ある実力と裁量、度胸にだった。

「しかし、相手からは、虚勢でも良いから今の状態を保持させてくれと頼まれた。」
「つまり、公にしてくれるなというわけですね。」
「ああ、要するに互いの提携主導を我が太平洋が握ったと同じだからな。これで、美津子君自身も大丈夫だ。緊張が一気に取り払えた訳だから。ある意味、完全に人質ではなくなった。もう生活に不安はないだろう。」

　遠藤は、康平の驚異的な実力に足がガクガクと震え出した。
　そして、・・・・・握る拳に力が入る・・・
　康平は、俄かに遠藤の心を読み取った。

「遠藤、今言ったとおり、これからはマーベラスが世界中の他企業にバレないようブラフを張っていかなきゃいかん。そういう意味では、当初の提携契約どおりに美津子君は、一応、１年間は向こうで仕事をやってもらうぞ。それは解ってくれ。」
「・・・・はい・・・・十分・・・・・承知して・・・・」

　遠藤の声が詰まった。
　康平に対する感謝の言葉が出てこなかったのだ・・・

「さ、後の仕事が待ってるぞ。行けっ！」
「・・はい・・」

　遠藤は、涙を堪えながら常務室を出た。

（・・常務・・・・・・み、、美津子・・・・・）

　数歩、歩いただけで、遠藤は、瞬時に普段通りの精悍さに戻っていた。
　今から、メアリーとベーカーを落とす大作戦が始まる。
　自分自身の指示で部下の危険度も変わってくるのだ。
　気を引き締め直すと、センターへ急いだ。

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「鏑木さん、トイレで用足してる音まで聞こえますよ。」

　笑いながら言う裕二に、鏑木が呆れながら言い放った。

「香坂っ、お前、最初の１個を手伝っただけだけじゃねぇか。」
「いや、鏑木さん、いつ何時、ベーカーと連絡をとるか解らないっすよ。」
「ぅ・・・こ、このやろう・・・」

　そこへ、本社から帰った遠藤が部屋に入ってきた。

「あ、所長、香坂がメアリーのチップ埋め込みに成功しました。」
「そうか。」
「ええ、今、メンバーに配る中継器を作成しているところです。」
「んむ。いま、常務からマーベラスの方は、片付けてくれたと報告を受けてきた所だ。常務の働きで今後、主導を握れるようだ。全く、底知れない実力を持った人だよ。」
「・・・そ、そうですかっ！・・・と、・・言うことは、美津子課長も・・」

　遠藤は、僅かに笑みを見せるだけで無言だった。
　しかし、裕二と鏑木は、内容を理解したのだろう、互いに見合って頷きあった・・・・・

「メンバーを集めてくれ作戦会議を開く。」
「解りました。」

　亜美、香川、そして草刈が会議室に集合した。

　遠藤が、今までの経過とマーベラス社との関連、そして康平が実行してくれた経緯を説明し終わると、それぞれに意見を求めた。

「鏑木、どうだ。」
「はい。まず、メアリーの追い出しは、さほど時間もかからないと思います。ただ、ベーカーは、そのまま放ってはおけません。奴が単独でスリーパーを育成している事は解っていますので、奴一人を始末すれば、全て解決です。」
「で、どうする？」
「私と香坂でメアリーとベーカーを落とします。ＣＩＡを強制脱退、もしくは不能に・・・・」
「んむ、そうしてくれ。・・・で、俺は？」
「大丸造船を、このまま所長と香川にやってもらいます。つまり、企業台頭してこないように操作をするんです。」
「なるほど、メアリーは、行き所がなくなるな。」
「ええ、国同士の軍事協定ならともかく、闇で大量の製造や運搬は出来ませんからね。メアリーの狙いは、国家ＣＩＡの貢献ではなく、個人的なテロ相手の武器密売です。」
「そうでなければ、隠れて動く必要もない・・という事だな。」
「その通りです。」
「亜美君と草刈君には、センターの情報ラインナップを全てシークレットインして関連会社のシステム侵入を全部調べて貰います。多少時間が掛かりますが、潜入あるいは、工作員が太平洋関連会社に存在しているかを推理することが出来ます。」
「なるほど・・・・・よし、解った。鏑木の案でいこう。鏑木っ、メアリーとベーカー、どちらから落とすんだ？」
「まず、ベーカーを始末します。つまり、奴を落とすことによってメアリーは情報取得が無くなります。ということは頻繁にどこかへ連絡をとるようになる。」
「なるほど、いろいろな秘密事項が傍受できるな。」
「そういうことです。そして内調の専門官に傍受を委託すれば、国益に貢献でき、更には、我々にも有利になりますからね。」
「その、カウントやアクセスは？」
「これも、亜美君と草刈君にやってもらいましょう。」
「解った。マーベラス社は、もう口を出さない。手段は任せた。」
「はい。」
「よし、横山を出社させよう。メアリーが接触するはずだ。会話を録音して強制追放する。横山には、ストーリーを説明しておけ。なるべく気がつかれるまで演技をさせる。」
「はい。さっそく話をしておきます。」
「んむ、初仕事だ。条件は整った。俺達の優位に変化は無い。頼むぞ。」
「はい。」

　全員が、任務を確認し、早速、作戦に取り掛かった。

　一方、裕二と鏑木は、会議室に残り、ベーカーを強捕する方法を練る事にした。

「香坂、ちょいとベーカーは、手強いが、捕まえた後は、お前が楽しめる。」
「え？？」
「フッ、まァ、聞け。」

　鏑木は、意味ありげな笑みを見せながら煙草を口に咥えた。

（８６）

　鏑木の考えを聞いた裕二が、納得したように賛成の意を示した。

「なるほど、面白いですね。」
「奴は地獄に落ちて、しかるべき人間だ。」
「しかし、どうやって誘き寄せます。警戒心は半端じゃないですよ。」
「奴の行動範囲は調べてある。」
「・・・・・」
「あいつは、海浜通りにある高級クラブに、週末は、必ず行くんだ。そこの、経営者は女性なんだが、ベーカーの情報提供屋なんだよ。」
「なるほど、解りました。その女を利用して、そこで奴を・・・」
「ああ、ベーカーを捕まえ、何処かに監禁する。」
「・・・で？」
「オビファルピンを打つ。・・・そして、まず横山と美貢さんの敵を討ってやれ。」
「なるほど、なら、真央さんと美貢さんも呼びましょう。」
「ああ、それは、かまわんが、念のためベーカーの素性は説明するなよ。」
「ええ、解ってます。で、その女の名前は？」
「片桐節子、元ソープ嬢だ。ただし、政財界の者を専門に相手する会員制の闇のソープランドだがな。その時に通っていた、片桐を贔屓する連中らが今でも、そのクラブに通ってるんだ。当然、片桐との性行為のためにな。」
「つまり、片桐を餌に・・・」
「ああ、この片桐節子も極悪だ。連中から知り得た極秘情報をベーカーに流してるんだよ。本命はベーカーなんだが、好き者の性なんだろうな。週一のセックスでは物足りないさ。金と欲で誰とでも平気で寝るからな。」
「解りました。任せてください。」

　裕二は、鏑木から片桐の住むマンションの住所を聞くと、さっそく会いに出掛けることにした。

　片桐節子のマンションは、高級住宅街の一角にある。
　裕二は、車を遠く離れたパーキングに駐車し歩いてマンションに向かった。

（ここか・・・）

　裕二は、マンションのエントランスホールにある片桐の部屋番号をコールした。

『・・・誰？』
「ベーカー・パワードさんからの預かり物を届けにきました。」
『ベーカーから？・・・・・・・いま、開けるわ。』

　ロックの解除音が鳴った。
　裕二は、不敵な笑いを見せてエントランスを抜けるとエレーベーターに乗り込んだ。

　片桐節子の部屋のチャイムを押すと、３０代を少々過ぎた女性が煙草を咥えたままドアを開けた。

「何を預かってきたの？」
「さぁ・・・私には。」

　節子が、裕二から箱のようなものを受け取ると、その場で包装を破って中身を確認し始めた。

「な、なによ、これ。」

　箱の中には、大きなビーズを散りばめた巨大なバイブが入っていた。
　節子が何かを言おうとした瞬間、裕二は節子の腹部に拳を食い込ませる。

「ウグッ・・」

　裕二は、節子を抱きかかえながら部屋に入った。

（ほぉー、こりゃまた、立派な部屋だぜ・・・）

　裕二は、片桐の衣服を全て脱がせるとオビファルピンを頚動脈に注射した。

「さてと・・」

　裕二は、部屋中の施錠を確認しカーテンを閉めた。
　そして、玄関に転がったバイブを拾うと片桐の横に置き、覚醒させるために胸骨を拳で強く刺激した。

「ゥゥゥ・・・」

　裕二は、ソファに腰掛けると煙草に火をつけ片桐を注視している。
　片桐は、ゆっくりと目を開け身体を起こそうとしていた。

「目が覚めたかい？」

　節子は、真っ裸の自分に気づき、険しい顔をしながら裕二に言い放つ。

「・・・・・だ、誰よっ、あんたっ。何の真似なの。」
「俺の事はいい。それよりＣＩＡに情報を垂れ流すあんたに、キツイお仕置きをしようと思ってね。」
「ウッ・・・な、何の事よっ・・・」
「惚けるなよ。・・・・」
「し、知らないわよ・・・・・・わ、私は・・・・」
「まぁ、そんなことはいいさ。あんたに協力してもらうぞ。」
「フンっ・・あんた、こんな真似して、ただで済むと思ってるの。」

　開き直ったのか、片桐は、ふてぶてしく笑いを浮かべて裕二を見下したように言い放つ。

「さて、それは、どうかな・・・」
「はっきり言ってあげるわ。あんたの命くらい簡単に奪えるのよ。」

　そういった瞬間、節子の身体に急激に異変が起きた。

「・・ゥッ・・」

（おっ、さすがに早く効くな。）

「・・な？・・・・・・・・なに・・・こ、これ・・・・」

　節子の乳首が一気に硬く突起し始めた。
　股間に手を強く押し付け、疼きを我慢をしているようだ。
　しかし、子宮の奥から強烈な快感が発生し全身が震え出してくる・・・・

「・・・な・・・何、やっ・・た・・・・の・・よ・・」

　裕二は、節子の問いを無視し転がるバイブを節子の方に蹴飛ばした。
　節子は、一瞬、バイブを見つめるが這うようにして奥の部屋に移動しようとしている。

　裕二は、四つん這いになりながら這う節子の蜜壷に指を滑らせた。

「ハゥゥーッ・・・」

　節子は、快感でうつ伏せに倒れこんでしまった。
　裕二は、節子を仰向けにさせ乳首を強く摘みながら囁いた。

「遠慮するなよ、恥ずかしがることはない。バイブを使いな。」

　そういって、巨大なバイブを節子の口に突っ込んだ。

「うぐぅぅぅぅぅぅー・・」

　節子の我慢が限界に達したようだ。
　口に入れられたバイブを両手で握るとまるで本物の肉棒のようにフェラチオを開始したのだ。

「んむぅぅぅ・・んあぁぁ・・・」

　節子は、裕二を見ながら咥えたバイブを激しく上下し、下半身は、まるで踊っているかのように腰をくねらせている。
　既に太腿を伝い透明な液体が大量に流れ出ていた。

（さてと・・・）

　裕二は、節子からバイブを取り上げた。

「ぃ、いやぁぁぁー、返してぇぇぇー・・・」

　裕二は、キッチンにあったガムテープを手に持っている。
　そして、暴れる節子を強引に、ソファの前にあるテーブルに仰向けに寝かせると両手両足をテーブルの足にガムテープで固定していった。

「・・何するのよぉぉーっ・・やめてよぉー！」
「おい、おい、暴れるなって。」

　裕二は、完全に身動きが取れないようにするとバイブを節子の蜜壷に無造作に挿入した。

「あふぅぅぅぅぅぅぅー・・いぃぃー、気持ちいぃぃぃー・・・」

　既に節子の蜜壷は溢れ出るように蜜が流れ出ている。
　裕二は、バイブを蜜壷に挿入したまま手を離した。

「いやだぁー・・・動かしてぇぇぇー、ねぇーっ、動かしてよぉぉー・・」

　完全に固定されている節子は、自分ではバイブを操れない。
　身体中が性感帯になっているのだが、自ら刺激をもたらすことは出来ないのだ。
　鏑木から教わったこの方法で長く続けると、数時間で気が狂ってしまう。
　この節子の状態を開放するには、昇天するしか方法はないのだ。

「お願い、・・・お願いしますぅぅぅー・・・動かしてくださいぃぃぃー！」

　既に、節子の女芯は、硬く突起し薄皮を飛び出していた。
　裕二が、節子に近づき、そっと女芯に息を吹きかける。

「んあぁぁぁぁぁぁぁぁー・・・・たまんなぁぃぃぃぃぃぃぃぃー・・」

　しかし、裕二は、直ぐに刺激を中止しバイブも蜜壷から引き抜いた。

「いやだぁぁー・・抜かないでぇっ！　入れてぇー・・動かしてぇぇぇー・・」

　裕二は、ソファに座ると時計で時間を測りながら節子を監視した。
　節子は、大きく息をしながら腹部を上下している。

「ふぅっ、はぁ、はぁ・・・・お願いしますぅ・・オ○ンコに入れてくださぃぃっ！」

　節子は必死で祈願するが、裕二は、煙草をふかしながら無言で節子を見る。

「・・ぅぅぅぅぅぅ・・・気が狂っちゃうぅぅぅーっ・・お願いぃぃぃーっ！」

　節子は、涙を流しながら絶叫を繰り返していた。

（そろそろ、いかせんとヤバイかな・・・）

　裕二は、時間を見計らって節子に近づいた。

「いきたいか？」
「いきたい、いきたいのぉぉー・・オ○ンコに入れてぇぇぇー・・」
「よし、俺のいうことを聞くか？」
「聞く、聞きます・・・いえ、聞かせてくださいぃぃ・・」

　裕二は、節子の言葉に目で頷くとバイブを蜜壷に挿入し激しく出し入れを開始した。

「くっふぅぅぅぅぅー・・・うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーっ！」

　裕二の出し入れで、節子は、瞬時に果ててしまった。

　全身で荒い呼吸を繰り返すと、しばらくして、節子の失禁が始まった。
　大きく弧を描きフロアーに小水が飛び散っていく・・・・

「あぅぅぅぅ・・・」

　節子は、口を開いたまま気を失ってしまった。

（しかし、恐ろしい薬だな・・）

　裕二は、小型ケースから薬を取り出し節子の鼻に近づけた。
　小さく呻き声あげながら、ゆっくりと目を開きはじめる・・・・・

「・・・・ぅぅ・・・わ、私・・・・・ぁぅぅ・・・」

　まだ、疼いているのであろう、節子は、執拗に腰を突き上げていた。

「まだ、欲しいのか？」

　節子は、目を潤ませながら何度も首を振った。

「よし、俺の質問に答えたら望みどおりにしてやろう。」
「わかった、わかりました・・・な、何でも・・・・」
「・・・まず、ベーカー・パワードとは、よく会ってるのか？」
「・・・い、いえ・・、しゅ、週末の・・・土曜日だけ。」
「なぜ、土曜日なんだ。」
「・・・私のお店は・・・特定の方しか来ないの。」
「政財界の連中だな？」
「ええ、・・・・・せ、政財界のお偉い方は、平日しか来なくて・・・・・そういう方のお相手は　私が直接するんだけど、そこで聞いた話は全てベーカーに言われて録音しているわ。」
「その内容を聞くために、土曜日なのか。」

　節子が頷いた。

「彼とは、直接連絡は取れないの。いつもメールを入れておくと返信してくるんだけど、会っても抱かないで帰るときもあるわ。ただ、大物が来たり、重要な内容だと電話が入る事はあるけど。」
「いつから、ベーカーの情報提供者になったんだ。」
「・・・ま、前の・・お店をやめてからよ。」
「著名人専用ソープか？」
「！・・・な、なぜ知ってるの？」
「そんなことはいい、続きを喋るんだ。」

　節子は、唇を震わせながら続きを喋った。

「・・・・外務省の人からベーカーを紹介されたわ。」
「外務省だとっ？・・そいつは誰だ。」
「・・・き、北山・・・」
「補償局の北山次官補かっ！」
「ええ、・・・・でも、数日後、・・・事故で亡くなったけど・・」

（殺られたな・・・）

「それで・・」
「・・・高級クラブを持たせてやるから・・・」
「自分の情報提供者になれって・・か。」
「殺されたくなかったら・・・・ずっと裕福な生活がしたかったら・・・」
「脅された訳だな。」

　裕二の問いに頷づく節子・・・

「・・・１回の情報で銀行にお金を振り込んでくれるの。内容によっては・・かなり・・・多額なお金を・・・・・・」

　裕二は、金だけで、これだけ忠実にベーカーに従う節子の性格が理解できなかった。
　ベーカーだけではなく、政財界の者から貢がれる金だけでも十分に裕福な生活が出来るからだ。

「あんた・・ベーカーに薬を飲まされたり打たれた事はないか・・・」
「・・・・そ、そういえば・・出会った頃・・・気持ちよくなるからと注射されて・・・・セックス漬けにされたことが・・何度か・・・・」
「これぐらい太い、奴のコックにか？」

　裕二は、先ほどまで使っていたバイブを節子に見せた。

　それを見た節子の脳の思考が、即座に反応してしまった。
　眉を寄せて腰を突き上げる行為を見せ始める・・・

「あぁぁ・・・欲しい・・・また欲しいぃぃ・・・入れてくださいぃっ！」
「まだだ。」

　節子が、舌を出して乾いた唇を舐め始めた。

「今からベーカーに、メールを入れろ。」
「ぇ・・・・・な、何て・・・」
「今夜、太平洋グループの幹部が、国土交通省の職員と店に来るとな。」
「・・・・わ、わかりました・・・・」

　裕二は、節子を固定しているガムテープを外した。
　節子は、バッグに入っている小型端末機を使って裕二に言われた内容を打ち込んだ。

「・・・・・送ったわ・・・」
「よし。」

　裕二は、バイブを節子に手渡した。

　節子は、バイブを奪い取るようにして取ると尻を床につき一気に蜜壷に挿入した。

「うぅっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁー・・・・・」

（・・・・しっかし、凄ぇーな・・・）

　その数分後、部屋の電話が鳴った・・・
　裕二は、即座にベーカーからの電話だと直感する。
　そして、節子のバイブを奪い取り電話に出るよう促した。

「ぃ・・いやぁ・・返してぇぇーっ・・・」

　裕二は、節子の頬を叩いて声を張り上げた。

「聞くんだっ！　恐らくベーカーだ。どこから仕入れた話だと聞かれたら、よく来る重工の重役から聞いたと言っておけ。普段どおりに会話しろよ。」
「・・・ぁぁ・・・ぅ・・」
「これが欲しければ、上手く言うんだ。いいなっ！」

　節子は、言うが早いか、這いながら、うるさく鳴り続ける電話の受話器をとった。

「・・も、もしもし・・・」
『俺だ・・・今、メールを見た。本当に来るのか。』
「・・え、ええ・・」
『誰から聞いた話だ。』
「太平洋重工の幹部さんから・・・・」
『・・・よし、そいつらの会話の録音を忘れるな。翌日にマンションに行く。』
「わかったわ。」

　それだけ話すとベーカーは、一方的に電話を切ってしまった。
　裕二が、確認しようと節子に声をかける。

「奴は、何て言ってた？」
「・・・翌日に・・・取りに来る・・って・・」
「翌日に？・・・・一人でか？」

　しかし、節子は、それに答えずに、身体を震わせながら発作的に、手に持っている受話器を蜜壷に挿入した。

「うくぅぅぅぅぅぅー・・・・あぅぅぅぅぅぅぅーっ・・・・」

（チッ・・埒があかんな・・・）

　裕二は、考えた挙句、携帯電話で鏑木に連絡をとり処置方法を聞く事にした。