（７）

　亜美がホテルの一室で、香坂の激しい責めに悲鳴をあげていた。
　ベッドの軋む音と亜美の淫艶な喘ぎ声が混ざり合い部屋中をリズム良く奏でている。

「‥‥アァァー‥‥‥す‥‥凄‥‥‥ぃ‥‥‥」

　亜美は、香坂の激しい出し入れに自然と蜜壷の緩締を繰り返していた。

（‥‥‥‥‥ゥ‥‥‥‥ぜ、絶妙だぜ‥‥‥‥）

　亜美の全身が痙攣し始める‥‥‥
　香坂も同時に果てようとしていた

「‥‥ゥゥ‥‥ァァ‥ァ‥‥ァァ‥‥‥イ‥‥イ‥‥クッ‥‥‥か‥‥係‥‥ちょ‥‥‥アァァ、ウゥゥゥゥゥゥー‥‥」

　亜美が、泣くような叫び声で果てた‥‥‥
　香坂も、蜜壷から肉棒を引き抜くと亜美の下腹部に爆発する‥‥‥‥

「‥‥クッ‥‥‥亜美‥‥‥君‥‥‥‥」

（あぁ‥‥‥まるで、夢のよう‥‥‥‥）

　亜美は、至極、至福の絶頂の中に居た。

　ほぼ同時に果てた二人は、余韻を楽しむように、いつまでも抱き合っていた。
　亜美は、香坂の抱擁に、まるで天空に浮いているような心地良さを感じていた。
　また、香坂も今まで経験した事のない、吸い込まれる様な亜美の身体に魅せられる。

「亜美君‥‥君を抱いていると不思議な感じがするよ‥‥‥」

　そう言いながら亜美の尖った乳首を指で挟む香坂。
　亜美の蜜壷の奥からは、新たな蜜が流れていた‥‥‥

「‥‥‥係長‥‥‥私も‥‥‥‥」
「もう一度、抱きたい‥‥‥」

　亜美は、香坂の訴えを答えるかわりに舌を絡めていった‥‥‥

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

　亜美は、恥かしさで顔を手で覆っていた。
　ベッドのシーツには、亜美が流した蜜で大きく染みをつくっていたのだ。

「‥‥‥わ、笑わないで下さいね‥‥係長‥‥‥」
「いや、感度のいい証拠さ。‥‥‥それに、俺こそ３回も‥‥‥」

　香坂も、亜美の身体の素晴らしさは勿論、正直で素直な性格に好感を抱いていたのだ。

「係長‥‥‥‥その‥‥」
「亜美君、これから外では係長っていう言い方はやめよう‥‥‥」
「‥‥‥え？‥‥‥ぁ‥‥‥は‥‥‥はい。」
「それから‥‥‥‥」
「なんですか？」
「‥‥ああ、つまり‥‥‥いつも俺の側にいてほしいな‥‥‥と‥‥」

　亜美は、言うが早いか香坂に飛びつくように抱きついた。
　嬉しくて仕方がなかったのだ。
　亜美の目から自然と雫が落ちてきた。

「亜美君、いや‥‥‥亜美って呼ぶよ。」
「‥‥は、い‥‥‥‥ぅ、嬉しい‥‥」

　亜美が、指で涙を拭いながら香坂と向かい合った。
　男と女‥‥‥一度、身体を交えれば恥じらいも和らいでいく。

「でも、係長ってタフですね‥‥‥」
「だから、係長ってのはやめろって。」
「‥‥じゃ、‥‥‥ゆ、裕二さんって呼びます‥‥‥」

　香坂は微笑みながら囁いた。

「‥‥ま、基本的にエッチな事は好きだしな‥‥‥‥」
「‥‥‥実は、私もなんです。やはり両親の性格を引き継いでるなって‥‥‥」

　二人は、声を出して笑いあった。
　香坂は、亜美を引き寄せて抱きしめた。

「亜美、君もお父さんを目標にしているが、俺もだ。これからは、競争相手でもあるな。頑張ろうぜっ！」
「ええ。」

　二人は、一緒にシャワーを浴びた。
　香坂も亜美も、すでに何年も付き合っているような気がしてならない。

　先に服を纏った香坂が、亜美の着替えを眺めている‥‥‥

「亜美、セクシーなショーツを穿いてるな。」
「そ、そうですか‥‥」

（係長の言うとおりショーツを穿き替えてきてよかったぁー。これから用意周到って言葉を座右の銘にしようかしら‥‥‥）

　含み笑いをしている亜美を香坂が怪訝そうに見ている。
　気付いた亜美は香坂と目が合ってしまった。

「亜美、変な事を聞くけど、いつもそういう下着をつけてるのか？」
「‥‥え、ええ‥‥‥まぁ。‥‥‥おかしいですか？」
「いや、なかなかいいなと思ってな。また抱きたくなってくる‥‥‥‥」
「じゃ、今度、色々な下着を買いあさってきます。」
「あ、そ、そんな意味じゃないんだけど‥‥‥」

　慌てる香坂を見て、何故か照れと恥かしさが混同してくる亜美だったが、身体中が幸せな気分で充満していた‥‥‥‥‥‥‥

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

　亜美は、タクシーで香坂に送られて帰宅した。

「じゃ。」
「どうもありがとうございました。私‥‥‥その‥‥‥」
「‥‥‥‥」
「その‥‥‥‥嬉しくて‥‥‥‥幸せで‥‥‥‥‥お、おやすみなさい。」

　亜美は、照れ隠しのように急いで家に入っていった。

（亜美君‥‥君は‥‥‥君は素敵だよ‥‥‥）

「ただいま。」

　居間を覗くとソファで礼子が康平の肩を揉んでいた。
　亜美の声に顔を向ける康平‥‥そして礼子が声を掛ける。

「あら、お帰り。」
「おう、今日は遅かったな。」
「うん、ちょっとね。それより、お父さん、お願いがあるんだけど。」
「ああ、なんだ？」
「いつでもいいんだけど、暇な時にセンターの香坂係長と会ってもらえない。」
「なにっ！」

　礼子も手を休めて声を出す‥‥‥

「亜美、‥‥‥もしかして‥‥」

　なにやら勘違いしている二人に亜美は呆れながら答えた。

「ったく‥‥‥‥二人の思ってる事と違うわよ。香坂係長がお父さんに教えて欲しい事があるんだって。それで聞いてみてくれないかって。」
「な、なんだ、そんな事か‥‥‥なら、いつでもいいぞ。」

　半ば拍子抜けしながら礼子も答えた。

「てっきり、結婚話でもするかと思ったじゃない。」
「何、馬鹿なこと言ってるのよ、お母さん‥‥‥結婚なんて、まだまだ先よ。」
「で、亜美、香坂君と今まで一緒だったのか？」
「ええ、そうよ。食事してたの。それより係長と会ってくれる日は？」

　そう言って話す亜美を康平は、心を読むように眺めていた。
　ふと亜美の耳たぶが紅く染まっているのに気付く‥‥‥

（‥‥ん？‥‥‥亜美の奴、やってこやがったな‥‥‥）

　礼子も康平と同じく亜美の様子に気付いたようだ‥‥‥
　笑いながら亜美に答えた。

「二人とも何笑ってるのよ。」
「いや、別に笑ってなんか‥‥‥」
「‥‥‥それより、いつ会ってくれるの？」
「ああ、明日でもいいぞ。」
「本当？　ありがとう。さっそく明日、裕二さんに話すわ。」
「裕二さん‥‥‥‥？」
「え‥‥‥あ、いや‥‥‥」

　礼子がカマを掛けて亜美に聞きだす。

「ところで、香坂さんとのエッチは気持ち良かったの？」
「ええ、とっても‥‥‥‥‥‥‥‥ぁ‥‥」

　あまりにも、はっきり即答した亜美に康平と礼子も笑いが止まらなかった。

「‥‥‥ひ、卑怯よ、お母さん‥‥‥‥‥」

「尋問した訳じゃないわ。それにエッチくらいしたっていいじゃないの。ねぇ、あなた。」
「はは、そりゃ、そうだ。それより亜美っ、綺麗なパンティー穿いてたか？」
「穿いてたわよっ‥‥‥‥‥‥‥‥ぁ‥‥‥‥‥ぅ‥‥‥」

　更に自ら墓穴を掘っていく亜美‥‥‥‥

「ば、馬鹿っ‥‥」

　亜美は、顔を真赤に染めながら立ち上がった。
　礼子が思い出したように亜美に言い放った。

「亜美、私が若いころ着ていたキャミやガーターをあげようか？」
「いらないわよっ。」
「なんで？　結構、高級なものばかりなのよ。」
「自分で、カ‥イ‥マ‥スッ」

　亜美は、そう言って居間から逃げるように自分の部屋に走っていった。

　礼子が康平の隣りに座って呟いた。

「康平‥‥亜美も、もうすっかり大人ね‥‥‥でも、同僚とはねー。」
「‥‥‥‥しかし、あの男なら亜美も好きになるはずだろうな。」
「そうね、それに雰囲気が貴方に凄く似ていたわよ‥‥」
「‥‥‥フッ‥‥」

　礼子は、苦笑いしている康平の手を静かに握った。

「さて、寝るか？」
「‥‥‥そうね。私も‥‥‥あなたに甘えようかな‥‥」

　礼子は、座っている康平の腕を掴んで、ソファから強く引き上げた。