（１０３）

「アァー、すっきりした。」
「・・・順子さん、喉が渇いちゃったよ。」
「冷蔵庫に何か飲み物があるわ。好きなのを飲みなさい。」
「うん。・・・・順子さんも何か飲む？」

　江藤は、何とか順子に薬を飲ませようと嗾けていく。

「んー・・そうね・・・・じゃ、缶酎ハイでも飲もうかな。」

（やった。チャンス・・・）

　江藤は、冷蔵庫から缶酎ハイを取り出しグラスに注いだ。
　そして、トイレに行ってる隙にポケットから出しておいた睡眠薬をグラスに落としたのだ。
　二つのグラスを持って江藤はベッドに戻った。

「あら、缶のままでよかったのに。」
「飲みにくいと思ってさ。」
「そうね。ありがとう。」

　順子は、グラスを受け取ると半分ほどを一気に飲み込んだ。

「ん？・・駿ちゃんのを飲んだから味がおかしいわ。」
「そ、そうかな？」

　江藤は、感づかれると思ったが残りも全て飲み干した順子を見て胸を撫で下ろす。

「ふぅー。・・・ね、駿ちゃん、もう一度、オ○ンチンをシャブらせて。」
「うん、いいよ。」

　江藤は、順子の前に立ち肉棒を突き出した。
　若いだけあって肉棒が衰える事は無い。
　順子は、自ら指を蜜壷に入れ、江藤の肉棒をくわえ込んでいく。

「クチュッ・・・ジュルッ・・・ンー・・」
「あぁ・・順子さん・・・お、音が凄いっ！」

　順子は、肉棒を離すと江藤を抱きしめた。
　しかし、舌を江藤の口に入れようとした瞬間、一気に腰が砕けていく。

「ぇ・・？・・・しゅ・・・駿・・ちゃ・・・・ん・・・」

　順子は、瞬く間に気を失った。
　江藤は、順子を確認すると急いで鏑木に電話を入れた。

「鏑木さん、僕です。いま順子さんが眠りました。」
『わかった。エントランスのロックを外してくれ。』
「はい。」

　裕二と鏑木は、車から降りて順子の部屋に向かった。

　ノックをする鏑木・・・
　中から江藤が、顔を覗かせた。

「よくやった。」
「ええ、ところで、その人は？」
「ああ、私の同僚さ。怪しいものじゃない。心配しなくていいよ。」
「はぁ・・」
「よし、後はいい。君は帰りたまえ。」
「え、帰るって・・・・で、でも・・・」
「大丈夫、彼女に変な事はしない。それに君もヤバクなるよ。」
「わ、わかりました。」

　江藤は、急いで服を着ると何も言わずに順子のマンションを後にした。
　鏑木は、さっそく順子の部屋の全てを調べ始める事にした。

「香坂、俺は部屋を探る。後は頼んだぞ。」
「解りました。」

　裕二は、眠っている順子を持ってきたロープで縛り始めた。
　両足の裏を重ね合わせ固定する。一種の座禅縛りである。
　さらに膝と大腿を固定し両腕は真後ろで高手小手縛りで固めた。
　下半身は、胸の高さまで上がるよう首から吊り下げると順子の身体は、完全に身動きが出来ない格好になった。

　そして、恥辱フックを顔面に装着し始めた。
　頭部にベルトをはめ真上から両方の鼻の穴にフックを取り付ける。
　更に真横にもフックをつけると、順子の鼻の穴は完全に真正面に向いて広がった。

（プッ・・・面白い顔だぜ・・・美人も台無しだな。）

　しかし、固定はまだ終わらない。
　輪ゴムで巨大に突起した女芯の根元に巻くと、研究所から持ってきた
　ジェリー状の薬をたっぷりと塗りつけ、残りは全て蜜壷の中に挿入したのだ。

「香坂っ！」

　鏑木が大声で叫んだ。

　裕二が、鏑木がいる部屋に向かった。

「どうしました。」
「いま、バッグに入っていたディスクを開いたんだがとんでもないぞ。」
「え・・・」
「３年前と４年前に、第三企画課の社員が殺られている。退社と言う事になってるようだが、密告しようとして劉富豊と青木に始末されたようだな。これを見ろっ。」

　裕二は、モニターに映る詳細リストに目をやった。
　課員の人数、家族構成、性格、働かされている店名等々かなり、細かくリストアップされていた。

「香坂っ、俺は、これを持ってセンターに帰る。後は頼む。」
「解りました。」

　鏑木は、部屋にあった全てのディスクと順子のノートパソコンをバッグに詰め込むと急いでセンターに戻った。

　裕二が、寝室に戻ると順子が顔を顰めながら目を覚まそうとしていた。

（お、ちょうどいいな。）

　裕二は、ベッド脇のチェアに座って順子を注視した。

「うぅぅ・・っ・・・・・・・？・・・？」
「目が覚めたかい、課長さん。」

　順子は、縛られている自分と鼻に固定されたフックに気づき激怒していた。
　しかし、首を固定されているため裕二のいる方向に振り向けない。

「・・・・・・な、何、これっ。何の真似よ。あなた誰よっ！」

　裕二は、椅子から立ち上がると順子の真正面に移動した。

「こ、香坂・・・・」
「これは光栄ですね。私を知っていてくれてるとは・・・」
「・・・・・ぅ・・」
「何故、私がここにいるかは、お判りですね。用件は一つ、劉富豊の居場所を知りたい。」
「・・・・だ、誰それ・・・知らないわ。」
「知らないわけないさ。あんたは劉富豊の女なんだから。」

　順子も太平洋本社の人間である。
　センターの調査には、たてつく理由が見つからなかった。
　遂にふて腐れたように居直り始めた。

「・・・・香坂さん、あなた死ぬわよ。」
「青木課長さん、この状況で、よくそんな事がいえるもんですね。それに、そんな顔で言われても迫力がなくて笑えるだけですよ。」
「・・くっ・・は、外しなさい。・・・・・・・・ぁ・・・・ぁぅ・・」
「おっ、効いてきたようですね。」
「な、・・・私に何やったのよっ！」
「ちょっと薬を塗らせてもらいました。効きますよそれは。」

　順子の根元で縛られた女芯は、赤く変色し蜜壷の周りは厚く盛り上がっていた。

「はぁぁぁ・・・・うぅぅぅぅぅー・・・」
「しかし、巨大ですね。それじゃぁ、下着も穿けないでしょう。」
「ぅぅぅっ・・・」

　裕二は、ベッドの横にあるボードから手鏡を手にとり順子の顔の前に鏡を近づけた。

「ほら、なかなか面白い顔でしょ。自分でも笑えてこないですか？」
「ぐっ・・・ぅぅ・・・」
「さ、奴の居場所を教えてください。」
「わ、私の・・・バッグにある携帯電話の・・・アドレスのＫＫのイ、イニシャルを・・・・・お、押すと住所が出る・・・わ・・。」

　裕二は、ボードから順子のバックを取り中の携帯電話を持った。
　そして、ファンクションキーからアドレス画面を開いてみた。

「ん？・・・・・自動転送になってるじゃねぇか・・・・・・」

　裕二は、転送画面を開きＫＫの内容を確認した。

「ふっ、危ねぇ、危ねぇ・・・もうちょっとで劉富豊に転送するところだったぜ。」

　裕二は、冷笑しながら順子を睨んだ。
　順子は、悔しさを表しながら、激しく襲う快感に絶え口を閉ざしている。

「舐めた真似をしてくれるぜ。」

　裕二は、ア○ルプラグと注射器を取り出した。
　そして注射器の中にグリセリンを入れると突き出している菊門に注入していった。

「ぐぅぅぅぅぅぅ・・・」

　裕二は、更にもう一回、それを繰り返した。

「あぐぅぅぅ・・・・」

　１リットルのグリセリンボトル全てを注入するとア○ルプラグを順子の菊門に無造作に挿しこんだ。

「ギャッ・・・」
「さてと・・・一服させてもらうか。」

　裕二は、煙草を吸いながら順子の様子を眺めた。
　順子の下腹部は、大きく膨らみ、裕二の場所からも腹部内の音が聞こえてくる。
　苦しそうに顔を顰めるが、プラグを装着しているため外に出す事は出来ない。

「ぅぅぅぅ・・・・・い、・・・・痛い・・・」
「楽にさせてやるから、居場所を言いな。」

　順子は、涙を流しながら苦しみを訴えるが、劉富豊の怖さを知っているのであろう。全く喋る気配がなかった。

「そうか、劉富豊に殺されるくらいなら、ここで死んでもいいってか・・・」
「・・・・・・く・・くくっ・・・・」
「しかし、それはどうかな。」

　裕二は、順子の女芯を指で摩擦し始めた。
　声を上げて快感を身体中に浴びる順子だが、下腹部の激痛も同時に味わってしまう。

「や、やめ・・・・・やめ・・・て・・・・・・うぐぐっ・・・」

　とても聞き取れないような声で順子が苦痛を訴えた。

「言えば、やめてやるぜ。」
「・・・・」

　しかし、順子は、黙ったままだ。

「いいか、人間の身体は、限界があるんだ。腸の中のものが逆流して十二指腸に上がり胃に到達して口から吐くんだぜ。」
「ぅぅ・・・ぅぅ・・・・・」
「人工的に腸閉塞にしてるんだ。辛いはずさ。」

　裕二は、そう言うとバイブを順子の蜜壷に挿入した。

「ンガガァァ・・・・・・ウギャァァ・・・・」

　順子の顔は、真っ青になり脂汗が全身からほとばしっている。
　鼻水が垂れ、不定期な嗚咽を漏らしていた。
　しかし、のんびりとしているわけにもいかない。
　裕二は、バイブのスイッチを入れ女芯を強く摘んだ。

「グゥゥハァァァァァァァーッ・・・アゥ、アゥゥゥゥー・・」

　順子は、限界に到達し白目を剥いて気を失ってしまった。

（チッ・・・これでも吐かんか。そんなに、奴は恐ろしいのかよ・・・）

　裕二は、焦りを隠せなかった。
　もし、順子が口を割らなければ、全てがお蔵入りになってしまう。
　裕二は、もはや手段を選ばずに、順子の口を割らせようと決心した。

（１０４）

　順子は、蜜壷と菊門を天井に向け気を失っている。
　裕二は、腕時計を見ながら溜息をついた。

（しょうがねぇな・・・・女だからやりたくなかったが・・・・）

　裕二は、苦痛を与える攻撃をやめ、恐怖を与える方法に切り替えることにした。

　裕二は、順子の乳首を思いっきり摘んで目を覚まさせた。
　呻き声と共に、ゆっくりと瞼を開ける順子・・・・

「・ぅぅ・・・・・」
「まだ、言う気にならんか？」
「・・・・・・・・ぅぅ・・わ、・・・私は・・・知ら・・・ない・・・」
「そうか・・・・なら仕方ないな。」
「どうせ地獄に落ちるんだ。今から経験をしておけ。」

　そう言うと裕二は、事務用のバインダークリップを順子のバッグから取り出すと指に挟んでも、血豆が出来るほど強力なクリップを順子の乳首に挟んだ。

「いぎぎぎぎぃぃぃぃぃぃーっ・・・」

　更にもう片方の乳首にもクリップを挟む。

「あぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーっ・・・・」
「痛いか？・・・・さて、次はアンタ自慢の巨大ク○トリスに挟ませてもらうぜ」

　裕二は、順子の女芯の根元に填るゴムリングを外すと指で摘んで呟いた。

「さてと・・・・・これは、痛いだろうなぁ。」
「・・・ヤ・ヤ・ヤ・ヤ・・・ヤメ・・ヤメ・・・テ・・・・」

　順子は、涙声で恐怖に慄いている。
　裕二の、表情は変わらない。
　クリップが女芯に触れると順子の全身が痙攣のように震え出した。

「・・・ま、・・・ま、・・・・・・まっ・・・・・待って・・・・」

　裕二は、一瞬、動きを止めて順子を見た。

「言うか？」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

　順子は、涙を流しているものの言葉を発しないでいた。
　無言で数分待つ裕二・・・・
　しかし、一向に喋る気配がなかった。
　裕二は、順子の女芯にクリップを挟んだ。

「グギャァァァァァァァァァァァァァァァァァーッ！」

　順子の目は、飛び出んばかりに突出し、縛ったロープが肌に激しく食い込んでいく。
　口からは、泡を吹き全身が真っ赤に染まっていった。
　叫び声が止まると同時に、気を失う順子・・・
　しかし、責めを中止しないのが吐かせるコツだ。

　裕二は、指先で女芯を挟んでいるクリップを弾いた。

「アギィィッ！」

　激痛で、覚醒する順子・・・

「寝るんじゃねぇよ。」

　裕二は、順子のこめかみを持つと親指を両目に当てた。

「眼球が潰れる音を聞きな。・・・・・なに、見えなくても生きてはいける。」

　裕二は、徐々にタイミングを計りながら力を入れていった。

「！・・や、や・・・・・やだっ・・・・・・いや・・・やめて・・・・・」

　裕二は、無言だった。
　更に力を加えていくと、順子の呼吸が不規則になってくる。

（・・・・そろそろか・・・）

　裕二は、潰れる直前まで親指を食い込ませると更に恐怖を与えた。

「目を潰した後は、耳の穴にも突っ込んでやるからな。」

　そう言った瞬間、裕二は、いかにも今から指を押し込むと言う状態を順子に判断させるよう、軽く息を吐き気合を見せた。

「んっ！」
「やめてぇぇぇぇーっ！・・言いますっ・・・ぅぅ・・・言いますからぁーっ・・・」

　とてつもなく大きな声で順子は叫んだ。
　裕二は、親指を瞬間的に離し、額に当てた指を思いっきり押しつけた。
　順子の頭部は、ベッドに半分ほど埋まり、そのショックで失禁が始まる。

「うぅーっ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃーっ！」
「ギリギリだったぜ。残念だ。もうちょっとで潰れる音が聞けたのに。」

　裕二は、極力低くクールな声で順子に言い放った。

「・・・・・・・ウッ・・・ゥッ・・・・ゥッ・・・ゥゥゥ・・・」

　順子は、ショックで失禁しながら泣き始めた。
　居場所を言うためではなく、裕二の迫力と責めに恐怖を抱いたため自然と嗚咽を漏らしてしまったのだ。

　裕二は、順子の顔に填る固定フックを取り外した。
　順子の痙攣は止まらない。歯を鳴らし視線も定まらないでいた。
　順子の全身が、恐怖という二文字を裕二から刻み込まれたのだ。

「青木さん・・・人間は弱いよな。特に悪事を働く奴は欠点がいくつもある。」
「・・・・・・・」
「そして必ず・・・正義が勝つ。・・・さ、劉富豊の居場所を言え。」
「・・・・・・・・・きょ・・・きょ・・・・・・教・・会・・・・」
「聞こえないぜ。はっきりと言え。」

　裕二は、順子の両乳首と女芯に填るクリップを外した。

「うぐぅぅぅぅぅー・・・・・」
「もう一度、挟むぞっ！」

　そう言うと、順子は、どもりながらも急いで喋りだした。

「きょ、教会です。・・・・南高台住宅にある・・・ハンセン教会です。」
「教会？」
「そ、そこで・・・・神父を・・・」
「神父だと？」
「今、いるのか？　他に人は？」
「ほ、ほとんど・・・外出しないから・・いつも、この時間なら一人とおもう・・」
「教会の中に、何か仕掛けは？」
「・・・・・・・・」
「言えっ！」
「・・・ぅぅっ・・・・・・・ち、地下通路が・・・あって・・」
「どこに抜けるんだ。」
「み、南高台の緑地公園・・・・・の・・・排水機場・・に。」
「・・・・？」
「金網が張ってある・・・ポンプ室のマンホールから・・で、出入りが・・・」
「そうか・・・なるほどな。・・・他には？」
「・・・・・・・」

　裕二は、クリップを順子の女芯に近づけた。

「！　は、排水機場の監視員は、劉の部下で・・・拳銃を・・・」
「・・・・もう、隠してないな。」

　何度も首を振る順子・・・・
　腹部に激痛が走るのだろう。顔を顰めながら歯を食いしばっている。

「青木さん、劉富豊を捕まえるまで、そうしててもらうぜ。」
「そ・・そんな・・・・た、絶えられないっ！」

「今、判ってるだけでもアンタは、数人の罪のない女性を殺してるんだ。その程度は、地獄に値しないぜ。劉を始末するまで我慢するんだな。」
「・・・し、始末・・・・？」
「東城凛子を知ってるか？」
「・・・・・・」
「１０数年前、麻薬を打ち山中で犯した後、殺害した女性だ。」
「・・・！」
「その、婚約者だった男が、劉富豊を殺るんだよ。もう、お前は孤立する。頼る術もない。そして、リストに登録された顧客は、既に手を打った。」

　裕二は、順子の口にガムテープをはめた。
　更に、ベッドから移動できないようにロープで固定する。

「劉富豊を捕まえたら、アンタの愛人の一人、大八木をここへ来させてやる。」

　そう言うと裕二は、順子のマンションを急いで飛び出した。

　車に乗り込んだ裕二は、センターに連絡を入れた。

「所長ですか、香坂です。居場所を吐かせました。」
『そうか！』
「場所は南高台住宅にあるハンセン教会です。今から、直ぐに向かいます。」
『よしっ、俺も西田と直ぐに向かう。』
「では、南高台の緑地公園で落ち合いましょう。ここで詳しく話します。」
『解った。』

　裕二は、電話を切ると纐纈にも連絡を入れた。

「纐纈さん、香坂です。」
『よぉ・・どうした？』
「劉富豊を見つけました。今から来れますか？」
『！・・な・・・・・ど、どこに行けばいい？』

　裕二は、南高台緑地で待ち合わせするよう纐纈に促す。

『直ぐに行くっ！』
「わかりました。待っていますので。」

　裕二は、携帯電話を助手席のシートに置き、煙草を１本咥えた。

（纐纈さん・・・・・・）

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

　センターからの方が近かったため、遠藤と西田は既に公園に到着していた。
　裕二は、遠藤らの横に車を停める。

「所長っ！」
「香坂、鏑木の方は、すでに取り掛かっている。明日の朝には終わるだろう。」
「そうですか。」
「顧客は、凄い連中ばかりだ。金も入ってくるわけさ。」
「・・・しかし、今日で終わりです。」
「んむ。」

　そこへ、バイクに乗って纐纈が到着した。
　ヘルメットを脱いだ纐纈が、硬い表情で裕二らに歩み寄った。

「香坂・・」

　纐纈が、裕二の後部に居る遠藤を見て驚きを見せた。

「え・・・遠藤っ！」
「久しぶりだな、纐纈・・・」
「どうしてここに・・・・」

　裕二は、驚きながらも不思議そうに尋ねた。

「所長、知り合いなんですか？」
「ああ、昔、よく試合をしたことがある。」
「そうだったんですか。・・・でも教えてくれたらよかったのに。」

　纐纈が、話に割り込んだ。

「遠藤、所長ということは・・・」
「ああ、香坂は俺の部下なんだ。」
「そうだったのか。」
「香坂から話を聞いたときに、お前だと判ったから許可したんだ。」
「え？」
「俺も東城先生には、一時、世話になった事がある。」
「・・・・・」
「まあ、お前が、お嬢さんと駆け落ちした事は知らなかったがな。それに香坂の兄弟子だ。うちのエースの頼みも聞いてやらんと。」
「す、すいません。恐縮です。」

　裕二は、遠藤に頭を下げた。

「・・・・・・すまん、遠藤っ・・・」
「ふっ・・・それより腕は鈍ってないだろうな纐纈・・・」

　纐纈は、小さく笑いを見せて遠藤に答えた。

「俺がやられても、ここに３人も格闘に長けた奴がいるんだ。」
「おい、おい・・・」
「しかし俺自身の敵討ちだ。刺し違えても奴を殺る。」

　纐纈の鋭い目つきに遠藤は、真剣に頷いた。

「よし、香坂、作戦を練ろう。まず話を聞かせてくれ。」
「解りました。」

　４人は、車の陰に座り、劉富豊を捕らえる要領を打ち合わせした。