（１０５）

「じゃ、劉富豊は、一人でいる可能性は高いわけだな。」

　遠藤の言葉に頷く裕二・・・

「ええ、それから仮に奴が地下通路から逃げた場合、抜け出るのは、排水機場横のマンホールなんです。」
「排水機場？」
「ええ、ここに監視員がいるんですが、劉の部下で拳銃を持っています。」
「そうか、面倒だな。」
「しかし、地下通路を通って逃げるとは限らんだろう。」
「そうですね。・・・・・ここは、やはり・・・」

　裕二の言葉に全員が理解を示した。
　まず、監視員を始末し、マンホールから抜ける事が出来ないよう塞いでしまう。
　その後、全員で教会に入り劉富豊を追い込む方法をとろうというのだ。

「よし、単純だが、そうしよう。・・・香坂、奴には連絡は入っていないな。」
「大丈夫です。青木は、連絡を入れる状態ではありませんから。」
「解った。それじゃ、今から排水機場の監視室に行こう。俺が、そいつの気を引く。その隙に、そいつを片付けよう。」
「はい。」

　４人は、監視室に向かって歩き出した。
　この公園から数分のところに監視室はある。

「あそこです。」
「んむ。やはり一人だな。行くぞ。」

　４人は、監視室の入口に歩いた。
　遠藤が、裕二らに合図してドアをノックした。
　中から、男が怪訝そうな顔でドアをあける。

「どなたですか？　ここは排水機場ですよ。」
「すいません。ちょっと貴方に用事があって・・」

　遠藤の言葉にすぐさま気がついたのだろう。
　ドアを閉めようともせず部屋の中に慌てて戻ろうとした。
　しかし、遠藤が男の足を絡めて転倒させると裕二らが咄嗟に室内に入り男を取り押さえた。

「き、貴様ら何者だ。」
「お前に答える事は、一つもない。」

　西田と纐纈が手足を押さえている。

「裕二、縛れ。」
「はい。」

　裕二は、車から持ってきたロープで男を取り押さえた。
　そして頚椎を強打し男の気を失わせる。

「よしと・・・」
「裕二、念のため電話線を切っておけ。」
「そうですね。」

　４人は、男をロッカーに押し込み鍵を掛けた。
　外に出た４人は、金網をかいくぐりマンホールに近づく・・・・

「これだな。」

　裕二と西田が、両脇に取り付けられたフックにバールをさし込んだ。

「これで中からは開かないだろう。」
「よし、教会へ行こう。」

　遠藤が声を掛けると４人は無言で教会に歩き出した。

　住宅街に入り坂道を登っていく彼らの背中は闘気が漂っていた・・・・

　５分ほど歩くと、頂上付近に十字架をまとう屋根が見えてきた。
　４人は、周りを確認しながら慎重に教会の庭に足を踏み入れる。

「念のため、４箇所から突入しよう俺は正面から入る。纐纈、お前は庭からだ。」
「ああ、わかった。」
「西田は２階のベランダから下の部屋へ降りてくれ。」
「はい。」
「香坂、お前は裏口だ。」
「はい。」
「皆が配置した頃を見計らって俺が入っていく。後は、任せる。」

　３人は、遠藤の指示に頷いた。

　遠藤は、西田がベランダを登ったのを確認してから玄関のドアをノックした。
　中から、普段着の劉富豊がドアを開いた。

「はい、何か御用ですか？」

　遠藤と劉の視線が絡み合った・・・・

「・・・・・・劉富豊だな。」

　遠藤が、そう言った瞬間、劉の鋭いパンチが顔面に飛んできた。
　遠藤はフェイクするが、劉は、さらに蹴りを入れながら部屋の奥に下がった。
　しかし、裏口から突入した裕二が、劉の逃げ場を塞いでいる。
　２階からは、西田が駆け下りてきた。
　そして、庭の開き戸からは、ガラスを蹴り破って纐纈が入ってくる。
　４人は、劉を距離をおいて取り囲んだ。

「クッ・・・け、警察か？」
「ふっ・・・お前にしては、警察の方がよかったかもな。命までとられないから。」
「・・・・・・なにっ・・・」
「俺は、お前の愛人、青木順子が勤める太平洋グループの者だ。」
「・・・・クッ、クッ、クッ・・・・フハハハッ・・そうか、ド素人か。」

　劉の言葉に、４人が、強い闘気を漲らせた。
　その雰囲気に、劉の笑い顔が瞬時に消えていく。
　４人の実力を感じ取ったのだろう。劉は、顔を顰めながら呟いた。

「・・・・お、お前ら・・プロか！」
「劉よ、お前には、色々と聞きたいことがある。」

　遠藤が、そう言った瞬間、劉は、テーブルを蹴って行方を広げた。
　蹴り返す西田に花瓶を当てながら、暖炉のある土間に続く階段を猛スピードで掛け下りていく。

「よし、地下通路に入った。追うぞ。」

　４人は、ゆっくりと地下に続く階段を下りていった。
　遠くで劉が走る音が響いている。

　数百メートルしかない地下道のため、４人は、直ぐに劉に追いついた。
　何度もマンホールを叩く音が耳を劈いた。

　遠藤は、冷笑しながら劉に声を張り上げた。

「劉よ、上の蓋は開かない。お前の部下も眠ってるぜ。」

　劉は、警戒しながら、ゆっくりと梯子を降りてきた。

「・・・・日本人は汚ねぇな。４人掛かりか？」

　遠藤が、纐纈を見て頷いた。

「いや、お前の相手は、俺一人だ。」
「ほぉー・・・お前を倒せば俺を見逃すか？」

　裕二が、怒鳴った。

「ふざけるんじゃねぇっ！　タイマンを張ってやるだけだ。」

　遠藤が、裕二を手で制止した。

「よかろう。その男を倒せば見逃してやるぜ。」
「しょ、所長っ！」

　西田も遠藤に大声を出す。
　遠藤は、冷静に答えた。

「しかし、この男を倒せるかな？・・劉よ・・・」

　遠藤が纐纈に視線を移した。
　纐纈は、目を細めて遠藤の視線を受け取ると劉に向きを替え静かに言葉を発した。

「劉富豊っ、俺の名は、纐纈秀樹、お前が殺した東城凛子の婚約者だ。」
「東城・・・・・凛子？・・・そうか思い出した。あの小娘の・・俺の誘いを受けていれば、今ごろ贅沢な暮らしをしていたのに。」
「・・・・」

　纐纈は無言で腰から棍棒を取り出すと攻撃態勢をとった。

「ケッ、そんな道具じゃ俺を倒す事は出来んぞ。」

　劉富豊も不敵に笑いながらファイティングポーズをとる。
　そして、握った拳の中指を突起させていた。

（北殺拳か・・・）

　劉富豊が、口笛のような吐息を鋭く吐き出した。
　纐纈も細く風を切るような呼吸で丹田に力を入れていく・・・・

　数秒後、申し合わせたように二人が攻め立てた。
　二人の蹴りが交差し重低音が響く・・・

　まるで特殊撮影を見ているような素早い攻撃に、後ろで見ていた３人も息を飲んだ。

（やるな・・・纐纈・・・）

　二人の攻防が繰り返し続けられる。
　劉の攻撃も一向にスピードが落ちない。
　また纐纈も鋭い責めで劉の急所を何度も狙っていた。

　あっという間に数十分が経過した。
　二人の額からは、うっすらと汗が滴り始めている。

　少々間を置いた後、再度、二人は攻撃を開始した。
　その時、地下水のぬかるみで纐纈が足を捻ってしまった。

「クッ・・・チッ・・・・」

　劉は、それを見逃さなかった。
　今まで以上の攻撃で纐纈を攻め立てていく。

　痛みが走るのか、纐纈の繰り出す棍棒は、無残にも空を切っていた。
　劉は、落ち着いた表情で機会を狙っている。
　そして、纐纈が左右から棍棒を打ち付けたときだった。
　劉の頭突きが纐纈の胸部にヒットした。

「グッ・・」

　すぐさま、後退して間合いを取るが、口からは鮮血が滴り落ちている。
　劉の頭突きで肋骨が折れたのだ。

「フッ、なかなか使うようだが俺には通用せんようだな。」

　纐纈が血の混ざった唾を吐いて言い放った。

「舐めるな！・・・・・・俺の学んだ武術は世界一だ。お前の邪拳には負けん。」

　纐纈は、そう言うと裕二に視線を送った。
　裕二が、目で纐纈に訴える・・・・・

（纐纈さん、あの時、俺の肋軟骨を折った技を・・・・）

　纐纈は、裕二の訴えを理解したのか気合を入れ直すと武式呼吸を開始した。

「シュゥゥー・・・・・ッッッ・・・」
「クッ、クッ、クッ・・・何をやっても無駄だ。」

　一見、無防備にも思える纐纈の構えに、劉は笑みを見せながら突進した。
　纐纈は、棍棒を上下に構えた。
　劉は、姿勢を低くし思った通り肘を繰り出してくる。
　纐纈がフェイントで蹴りを見せると劉は、防御を兼ねた返し技を放ってきた。
　劉が、下からの棍棒を避けた瞬間、もう一つの棍棒が劉の鎖骨にヒットした。

「グハッ・・」

　劉の鎖骨が粉砕し、折れた骨が動脈を切断して鮮血が吹き上がった。
　跪く劉・・・・
　顔が紅潮し口を半開きにしながら絞るような呻き声を漏らした。

「・・・・・ぅぅぅ・・・」
「・・・・おい劉よ、・・・言い残す事はないか？」
「・・・・・・・・」

　纐纈は、棍棒を振り上げて言い放った。

「地獄へ行け！」
「ま、まま・・・・・ま、待ってくれ・・・」
「未練がましいぞ、貴様も武闘家のはしくれだろう。覚悟を決めろ。」

　劉は、蹲りながら腹部に手を伸ばしている。
　手には、光る物を持っていた。

「くそっ！」

　そう言いながら、劉が、下から纐纈にナイフを突き上げてきた。
　しかし、隙を全く見せなかった纐纈の強烈な膝が劉の顎を砕いた。

「あががぁっ！」

　口から大量の血を流し劉は尻餅を突く。

「もう、言葉も吐けんな。」

　纐纈は、凛子と名の彫られた棍棒を利き手に持ち替えた。
　後ろの３人に振り向き目で小さく頷く纐纈・・・
　遠藤は、静かに頷き返す。

（凛子・・・・・・先生と、あの世でこいつに制裁を加えてやれ！）

　纐纈が、劉の頭頂部に懇親の力を込めて棍棒を振り下ろした。

「ぐぁぁぁぁっ！」

　劉は、目を開いたまま絶命した。
　纐纈の目からは、涙が大量に溢れていた。

「纐纈・・・・」

　遠藤の声に指で涙をふき取りながら振り向いた。

「・・・・・遠藤・・・・色々と世話になった・・・・お前達のおかげで・・・凛子の敵を討つことが出来た。」
「・・・纐纈・・・」
「俺は、警察に自首する。これ以上、東城先生の教えに叛きたくない。」

　纐纈の言葉に遠藤が声を荒げる。

「纐纈よ、それは違うぞっ。」
「・・・・・」
「奴は、殺人者でもあり、国連主室から懸賞を掛けられているほどの男だ。償うどころか、日本での龍栄の活動を封鎖したんだ。自首する必要はない。」
「・・・・・え、遠藤・・」
「その通りですよ、纐纈さん。」
「香坂・・・」

　遠藤が、西田に菊花に連絡をするよう指示した。
　菊花は、内閣調査室専用レストランで、作戦の後始末を専門にする分野だ。

「西田、店長の大場さんに電話をしろ。話はしてある。」
「解りました。」
「・・・さあ、纐纈・・・・・行こう。」
「・・・・ぁぁ・・・」

　元気ない纐纈の声が地下通路に響いた。

「凛子さんの墓にも報告に行くんだろう。」

　纐纈は、その言葉で棍棒を握る手の力を抜いていく・・・・・

「遠藤・・・すまん。・・・・・・・香坂、・・・西田さん・・世話になりました。」

　遠藤は、俯き加減に、元気なく小声で礼を言う纐纈の肩を叩いて地下道を後にした。

（１０６）

　地下道から外に出ると、早くも夜が明けようとしていた。

「肋骨が痛みませんか？」

　裕二の声に気丈に答える纐纈・・・

「ああ、大丈夫さ、これくらい。」
「纐纈さん、これからどうするんですか？」

　裕二が、公園の車を駐車した場所で纐纈に問いただした。
　纐纈は、視線を落としながら一呼吸置くと静かに語り始めた。

「まず、凛子の墓を先生の墓に移そうと思っているんだ。それから、先生に怒られるかもしれないが、俺が道場を再建しようと思う。一生掛けて二人に償うつもりでな。」
「そ、そうですか・・・俺も嬉しいですよ。」
「香坂、俺は、生まれ変わるつもりだ。」
「・・・・・はい。」

　纐纈が、胸を押さえながらバイクに跨った。
　遠藤と西田に、再度、礼をいう纐纈・・・・

「纐纈・・・・お前なら、道場を再建できるさ。」
「ああ・・・頑張るよ。」
「頑張ってください。私も影ながら応援しています。」
「西田さん、道場にも顔を出してくださいよ。」
「ええ、ありがとうございます。」

　纐纈は、遠藤と西田の激励に真剣な眼差しで答えた。

「本当に・・・ありがとう。」

　纐纈が、バイクのエンジンを噴かした・・・
　裕二に振り向くと一呼吸置いて声を掛けた。

「香坂っ・・・・・・・・・・・・・・・・・お前を兄弟弟子と思っていいか？」
「纐纈さん・・・・当然ですよ。」

　纐纈は、裕二の答えに小さく笑みを見せると軽く３人に手を上げてバイクをスタートさせた。

（・・・・・纐纈さん・・・・・・頑張ってください。）

　西田が、裕二に声を掛けた。

「さ、裕二行くか。」
「・・はい。」

　３人は、それぞれ車に乗り込もうとした。
　その時、センターで作業をしていた鏑木から西田に電話が入った。

「おう、鏑木か。んむ、・・・・・わかった、所長と代わる。所長、鏑木からです。」
「ご苦労、どうだ、そっちは？」
『先程、全ての作業が完了しました。ルートも解明できましましたし、香港にも全く知られていません。それから、青木の儲けた金ですが、所長に言われたとおり、義援金として施設に寄付するよう手続きも完了しています。残りは、帰国させた女子社員の治療費と見舞金に。』
「そうか。」
『あと、その本社の女子社員ですが、病院に収容されて現在治療中です。かなり長い期間、薬漬けにされていたようですので完治するまでには、相当な時間を要すと思いますが、医師の話によるとリハビリも必要と。』
「そうだろうな。しかし、自分の部下を使うとは青木も・・・・」
『そういえば青木は、どうしたんですか？』
「いや、香坂に聞かんと判らんな。」
『そうですか・・・・わかりました。じゃ、私は、これで。』
「ああ、早くシンディの所へ帰ってやれ！」
『ええ、そうします。』

　電話を切った遠藤が裕二に声を掛ける。

「香坂、いま鏑木も言っていたが、青木順子は、どうするんだ。」
「すいません、うっかり忘れていましたが、アオイ物産の大八木に電話して青木順子のマンションに行かせます。」
「そうか。当分の間は、本社の企画第三課も機能しないからな。青木順子のことは、本社に俺から詳しく説明をしておく。」
「解りました。」
「じゃ、気をつけて帰れよ。」
「はい。お疲れ様でした。」

　裕二は、車に乗ると大きく深呼吸をした。

（やれやれ・・・・・おっと・・・電話をしないと・・。）

　既に、陽が昇りかけ朝を迎えようとしていた。
　早速、大八木に電話をする裕二・・・・

「もしもし、大八木専務ですか？　朝早くにすみません。センターの香坂です。」
『な、何のようだっ！・・・・・』
「もう、辞表は書きましたか？」
『ぅぅ・・・くっ・・・』
「ま、懲戒は、間違いありませんし、どこへも逃げれないので覚悟はしてて下さい。」
「・・・ぅぅぅ・・・」
「あ、そうそう、青木さんが、貴方に、すぐマンションに来て欲しいと言っていました。大八木さんが、喜ぶ格好で待っているからと、ね。」
「な、何だと・・・また、俺を騙すつもりなんだろう。」
「とんでもない。もうカタはつきましたし、騙す必要もありませんよ。」
「カタがついた？」
「ええ。」
「どういう事だ！」
「それは、ご自分で確認してください。」
「・・・・なにっ・・」
「・・・ま、どうするかは、ご自由に。では・・」

　裕二は、笑いを堪えて電話を切った。
　大八木は、今ごろ慌てて青木のマンションに向かう用意をしているだろう。

　そして、時間を見計らって警察にも電話をする事にした。
　青木のマンション名を教え、女が監禁されていると告げるためだ。

　裕二は、煙草を吸いながら亜美のマンションに急いだ。
　ちょうど、亜美のマンションに着いた頃、裕二は、警察署に電話をした。

（よし、と・・）

　裕二は、車から降りると、アクビをしながらエレベーターに乗りこんだ。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

　その頃、大八木が、青木順子の部屋のチャイムを何度も鳴らしていた。

（おかしいな・・・留守かな？）

　大八木は、ドアノブを引いてみた。

（あれ、開いてるじゃないか。）

「順子さん！」

　返事は無かったがドアを開いて中に入っていく大八木・・・・・

「順子さんっ・・・・・・？・・・順子さぁーんっ！」

　施錠しないまま、外出するはずなどないと思った大八木は確認しようと各部屋を覗きながら足を踏み入れていく。
　寝室の前にきた大八木は、中から呻き声が聞こえるのを確認した。

「順子さんっ、居るのかい？入るよ。」

　大八木は、ゆっくりとドアを開け顔を覗かせた。
　そして、目に飛び込んできたのは、座禅縛りをされ、蜜壷を露にし菊門にプラグを装着されて苦しむ順子の姿だった。

「じゅ、順子さんっ！どうしたんだい！」

　顔面蒼白で、涙を流しながら順子は激しく首を振っていた。
　大八木は、ベッドに駆け寄り順子の口に張られたガムテープを外した。

「ぁぅ・・・ぁぁぁ・・・・あが・・ぅ・・・・・お・・・おな・・・か・・・」

　大八木は、順子の喋る言葉が上手く聞き取れなかった。

「え、何？・・・なんだって？・・・苦しいのかい？」
「・・・お・・・お・・・しり・・」
「おしり？」

　大八木は、順子の言葉で菊門に填るプラグに視線を移した。

「これを抜くのかい？　そうなのかい？　・・・そうなんだねっ。」

　大八木は、そう言うとプラグの根元を掴み引っ張り始めた。

「や・・・め・・・・・ち、違・・・・・・ぅ・・・ト、・・・トイ・・レに・・」

　順子は、激しく首を振っているのだが大八木は、それを見ていない。
　なかなか抜けないことに苛立ち、大八木は、プラグを思いっきり引き抜いた。

「ぁ・・・違・・・・ぅ・・ぃ・・・ぃ・・・・い・・・嫌だぁぁぁぁぁぁぁーっ！」

　その瞬間、順子の菊門からは、大量の汚物を大噴射したのだ。
　しかし、声を張り上げるものの、既に遅く、大八木の全身に順子の汚物が大量に降りかかった・・・・・

「うわぁぁぁぁぁぁぁーっ・・・な、なな、な、何だ、これはぁーっ！」

　一気に腸内の物が噴出したため、膀胱を押さえていた緊張が解かれ小水も噴射し始めてしまった。
　順子も、疲労と精神的ショックで筋肉のコントロールが取れず、止めようにも意思に反して放尿が続いてしまう。

　驚きを隠せない大八木だったが、なぜか興奮を隠せないでいた。
　身体中が汚物で汚れているにもかかわらず順子の放つ小水を口で受け止めたのだ。

「んぉぉぉーっ・・・・ングッ・・・ングッ・・・」
「や、やだ・・・・ほ、解いて・・・ロープを・・・解いて・・・」

　そこへ何者かが、荒々しく進入してきた。

「おい、誰か居るのかっ？　大丈夫かっ？」

　部屋に入ってきたのは、裕二が通報して駆けつけた数人の警察だった。
　興奮気味の大八木は、警官に全く気づいていなかった。

　寝室に入ってきた警官が、全身を縛られて放尿する順子とそれを口で受けとめている大八木を見て激しく顔を顰めている。

「おい、お前っ、その女性から離れろっ！」

　大八木が、やっと警官らに気がついた。

「ぇ！・・・・ぁ・・・」
「何やってるっ！」

　順子は、強いショックで気を失ってしまった。

「貴様か！　監禁して強姦しているという男は。署に来いっ！」
「ゎ・・・私は・・こ、この人を・・た、助けに・・」
「ふざけるなっ！」
「ま、待って・・ください・・・わ、私は・・・・彼女の・・・」

　一人の警官が、気を失っている順子の縄を解き救急車を呼んだ。
　残りの警官は、大八木に手錠をはめ連行しようとしていた。

「わ・・・私は・・・私は・・・・な、・・・・・・なぜ・・・・」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

　その頃、裕二は亜美の股間に顔をうずめていた。

「アンッ、裕二さん・・・・寝なきゃ・・疲れてるんでしょ。」

　顔を上げた裕二が、亜美に微笑みながら返答した。

「その割には、受け入れＯＫ状態になってるぜ。」
「んーっ、もぅっ・・・・・」

　亜美は、眠気が一気に覚め、裕二の頭を抱え込むと腰を突き上げた・・・・・

「ぁぅー・・い、入れてぇぇー、裕二さぁぁーん！」

　昨夜から一睡もしていない裕二だったが、亜美の妖艶な表情と吸い寄せられる魅力に、全身が反比例していったのだ・・・・・・