（１１９）

「おはようございます。」

　ＫＫＩ食品のロビーで、亜美は、石川に声を掛けられた。

「あ、おはようございます。石川さん、昨日は楽しかったわ。」
「い、いえ、僕のほうこそ・・・・・あ、ご馳走様でした。」
「いいのよ。また、行きましょうね。」
「はい、是非・・」

　簡単な挨拶をし、オフィスに入った亜美は、さっそくセンターからのメールを確認した。

（あ、次長から届いてるわ・・・・）

　亜美は、鏑木から送られてきたメールの内容を確認した。
　周囲に気づかれないよう念入りに読んでいく亜美・・・

（や、やっぱり・・・）

　亜美は、鏑木が当初予想していた通りの内容に納得をした。

　青葉健二が、酒井由香を狙っている事は間違いが無いようだ。
　青葉は、ＫＫＩ食品の幹部候補を狙っているのではなく、手玉に取ろうとしているのだ。
　つまり、会社貢献のために大見のように関連会社血筋の者と結婚するのが目的ではなく、会社全てを手に入れるために資金を調達しようとしている。

　しかし、現在の地位では、全貌を把握する事は出来ないため、大見よりも早めの昇格を狙っているのは間違いない。
　管理職になれば、ＫＫＩの隙を見つける事もさほど難しい事ではないからだ。
　そして、酒井と結婚することによって莫大な資金を使いＫＫＩを操作できてしまう。
　当然、その方法はいくらでもあるし、考えを変えて自分がトップに立つ事も可能になってくる。

（んー・・・でもなぁ・・・）

　亜美は、席を立って屋上に向かった。
　鏑木に連絡をとるためだ。

「もしもし、私です。」
『掛かってくると思ったよ。』
「・・・次長、一つ質問なんですが、仮にそういう目的でも正規手段を取っているなら青葉を追い込むことは、必要ないと思うんですけど。それに、青葉は、ちゃんと名乗って酒井さんを誘っているんですよね。」
『ああ、そのとおり。』
「じゃ、私達がでしゃばるのは・・・」
『亜美君、ところがだ・・・』

　鏑木の説明に亜美は驚いた・・・・

「えぇぇー！」

　酒井由香は、結婚の意志が無い事を青葉に告げているのだが、困った青葉は、何とか酒井由香をモノにするために既に行動を起こしていたのだ。
　融資担保を偽装し、酒井由香が持つ不動産を操作しているらしい。
　そして、酒井由香を連れ去り監禁計画まで立てているのだ。
　更に、驚いた事にライバルの大見の婚約者で大宝グループ専務の娘、谷口芳江は、青葉健二と関係が出来ている事がわかった。

「と、言う事は、谷口芳江は・・・大見とは・・・偽装結婚・・・」
『ああ、そうだ。完全に青葉の女なんだよ。さらに驚くなよ。その事実は大宝の専務も知っての事なんだ。つまり、３人は同目的を持ったグルさ。』
「・・・な、なんて事なの・・・・だから・・」
『ああ、余裕で動いてるんだ。とりあえずセンターの作戦としては、大宝グループの専務をこのまま泳がせておくつもりだ。どうせなら、一気に、こいつらを片付けてしまいたいと思っているからな。』
「・・・・しかし、よくそこまで調べる事が出来ましたね。」
『ふっ、亜美君、俺の実力は、まだまだ、こんなもんじゃないぜ。』
「凄いです。次長って・・・」
『そんな事より、亜美君、青葉が谷口芳江と絡んでいる証拠が欲しい。』
「それは、難しいですね。」
『亜美君、今日から奴を尾行してくれ。というのも大宝の専務も最近の行動がおかしいんだ。頻繁に怪しい連中と会っている。』
「解りました。」
『変なことを考えたくないが酒井君が拉致されると・・・ヤバイ！』
「でも、裕二さんが・・」
『ああ、香坂がついて居れば心配ないがな。だが、家に送った後は彼女一人だ。』
「・・・・とにかく、青葉の情報は急いでみます。」
『ああ、頼むぞ。』

　亜美は、まだ驚きを隠せなかった。
　大見の婚約者、谷口芳江が、青葉の女であるにも関わらず、偽装とはいえ、大見と結婚させてしまうのだ。
　当然、身体の関係があることは間違いないし、隠れて頻繁に会っているはずだ。

　恐らく、自分よりも先に大見が昇格した事を予想して谷口芳江を使いＫＫＩを乗っ取る必要情報を得るためなのだろう。

（そこまでして・・・・）

　亜美は、青葉健二という男を一筋縄ではいかないと思い始めた。

（ちょっと見にいってみようかな・・）

　亜美は、青葉のライバルである大見を知るため営業部に足を運んだ。

（・・・？）

　しかし、営業部に大身の姿は、無かった。
　亜美は、女性職員に大見の居所を聞いてみた。

「係長は、今週末まで出張なんです。」
「あ、そうなんですか・・・」
「何か、係長に御用ですか？」
「いえ、・・・業務の事で聞きたいことがあって。あの・・谷口さんは？」
「そういえば見ないですね。どこにいったのかな？」
「あ、いいです。ありがとうございました。」

　亜美は、そう言って営業部を後にした。

（さて・・・困ったわね・・・婚約者の谷口も居ないし・・・・）

　亜美は、何度も頭の中で作戦を練りながら自分のオフィスに戻った。

　その頃・・・・
　別棟にある食品倉庫で一人の女性が下半身丸出しで男の股間に跨っていた。

「ぐぅぅ・・・たまらんぜ・・・・芳江っ・・・」

　相手の男は、青葉健二だった。

「健二さんっ・・・もっと、もっと突き上げてぇぇー・・」

　芳江は、腰を激しく振りながら青葉にしがみついた。

「激しいな、芳江・・」
「大見の子供なんか生みたくないわ・・・・・アイツと結婚しても子供だけは、健二さんの子を産みたい。お願い、オ○ンコの中に健二さんのを・・・・お願い・・・・・お願いぃぃぃー・・・・。」
「解った、解ったから声を絞れよ。」
「だってぇ・・・健二さんの久しぶりなんだものぉ・・大見が出張中じゃないと、こうして会えないじゃない。せっかく、アイツが居ないんだから・・・・・・」
「今夜、たっぷり注ぎ込んでやるよ。」
「今日、排卵日なの。週末に大見が帰って来たら絶対に私を抱くわ。その前に・・」
「で、芳江、大見のイチモツはどうだ？」
「健二さんのが良いに決まってるじゃないのぉー！」
「いつも、どういう事されるんだ。」
「バイブを使われたり、お尻に指を入れられたり・・・」
「感じてるんだろう・・・」
「もぉぅ・・・健二さんったら・・私が淫乱ってこと知ってて、そういう風に・・・」
「ふっ・・可愛いやつめ・・・よし、出してやるっ！」

　青葉は、芳江を立たせると大型冷蔵庫に手をつかせ後ろから蜜壷を貫いた。

「ハゥゥゥ・・・・・気持ちいぃぃぃー・・・・出して、出してぇぇー・・」
「いくぞ芳江っ・・・うっ・・うぅぅぅー・・・・」
「あぁぁ・・・入ってくる・・・熱いのが・・・・あぁぁぁー・・・」
「ククッ・・・芳江、来月の結婚式の朝にも入れてやろうか・・」

　青葉は、含み笑いをしながら言い放った。

「健二さん、結婚してもちゃんと抱いてもらうわよ。」
「ああ、わかってるさ。・・・・しかし近いうちに酒井由香も種を蒔いてやらんとな。」「健二さん、私を捨てないでね・・・」
「捨てるわけないだろう。お前は俺の女なんだ。今夜は、お前の好きな変態プレーをしてやるぜ。」
「本当っ、嬉しいぃぃーっ！」

　芳江は、そう言って青葉の肉棒から離れると、びっしょりと濡れた、その肉棒を舌で丹念に舐め上げていった。
　青葉は、芳江の頭に手を置き芳江の奉仕に満足しながら快息を吐き出した。

「あ、香坂さん、どこに行ってたんですか？」

　石川が席に座った亜美に呟いた。

「ええ、ちょっと調べごとを・・・・・あれ、青葉係長は？」
「さぁ、どこかな？」

　そこへ、ちょうど青葉が席に戻って書類を開き始めた。

　亜美は、適当に質問事項を作って青葉の席に向かった。

「係長、ちょっと教えてください。」
「ああ、なんだい？」
「この、データの作り方なんですけど。」

　青葉は、亜美の質問に指を指しながら答えていた。
　亜美は、横から静かに青葉に近づく・・・

（シャネル・・・・？・・・女性の香水の臭いだわ・・・）

　亜美は、青葉の説明を上の空で聞いていた。

「解ったかな。」
「ぇ、ええ、ありがとうございました。」

　亜美は、青葉に礼を言って席に戻った。

「石川君、ちょっとお願いがあるんだけど。」
「はい、何でも言ってください。」
「誰も来ないところある？」
「そうですね・・・・ボイラー室なら。」
「わかったわ。一緒に来てくれる？」
「はぁ・・」

　亜美は、石川を誘って一階にあるボイラー室に入った。

「あのぅ、香坂さん・・何でしょうか・・・」
「石川さん、私に好意を抱いてくれてるんでしょ。」
「ぇっ・・・ぁ・・・そ・・・・は、・・・はぁ・・・まあ・・」

　石川は、顔を赤くしながら慌てていた。
　亜美は、意味ありげな笑みを見せて石川に囁いた。

「私の、頼みを聞いてくれたら身体を触らせてあげる。」
「・・・・・・・・・えぇぇぇーっ！」

　石川は、亜美の言葉に耳を疑った。

「石川さん、貴方、口が堅いって言ったわよね。」
「・・は・・は・・はい・・・・ぜ、全部硬いです。」
「ふふっ・・・」

　亜美は、石川の手をとって胸に当てた。
　石川は、その行動にガクガクと足が震えている・・・

「触っていいのよ・・・・」

　石川は頭の中が真っ白になっていった。
　亜美の張りのある乳房を手の平で包んでいく。
　亜美は、石川の股間に手を伸ばした。

「こ、こ、こ、・・・・こ、香坂さん・・・・」

　亜美は、石川から離れると話の続きをした。

「私のお願い聞いてくれる？」
「何でも聞きますっ！」

　亜美は、真剣な顔で頷くと石川に説明を始めた。

　センターから持ってきたタップ式の盗聴器を青葉の身体に取り付けるよう石川に頼んだのだ。
　そして、青葉が席を立つたびに気づかれないよう尾行する事を依頼した。

「あの・・・香坂さん・・・何で係長を・・・」
「今、お願いした事が成功したら話すわ。」
「しかし・・・」

　亜美は、スカートをたくし上げて石川に下着を見せた。
　濃紺のレースのショーツが石川の目に飛び込んできた。

「ま、任せてください。香坂さん。」

　亜美は、にっこりと笑いタップ式の盗聴器を石川に手渡した。
　そして、石川の頬に軽く唇をつけると小声で呟いた。

「私、ちょっと社内を見てくるからお願いね。１時間後にここで会いましょう。」
「解りました。完璧に仕込んできます。」

　石川は、飛んだ声で、そう言うとボイラー室を急いで出て行った。
　亜美は、石川の後に続いて、再度営業部に向かう・・・・

　亜美が、中廊下を歩いていると偶然、谷口芳江がトイレに入るところを目撃した。

（あ、チャンス）

　亜美は、谷口の後を追ってトイレに入った。
　中では谷口が、洗面台の前で化粧を直していた。
　亜美も視線を合わさずバッグから口紅を取ると谷口から一つ離れた洗面台の前に立つ・・・
　何気なく谷口の様子を伺う亜美・・・

（・・・？・・お化粧が取れてるわね・・・）

　化粧を直した谷口は、香水を取り出し首筋に振付けている。
　そして、手を洗うと亜美の前を通り過ぎていった。

（やっぱり・・・・・シャネルだわ・・・）

　亜美は、香水の臭いで青葉と谷口が先程まで接触していた事を確信した。

（１２０）

　１時間後、石川が、小汗をかきながらボイラー室に現れた。

「香坂さん、何とか成功しました。」
「よかった・・・・ありがとう。」
「ちょうど、人事部打ち合わせ会議で席を立ったんですよ。上着を脱いで、椅子に掛けていったのでチャンスと思って。でも、他の社員にバレないようにするのが大変でした。」
「助かったわ。石川君、ありがとう。」
「しかし、何で係長に盗聴器を・・・」
「石川君、全てが終わったら、話すって約束するわ。」
「・・・ぁ・・え、えぇ・・・別に僕は聞かなくてもいいんですが・・」

　亜美は、笑いながら石川に囁いた。

「石川君、約束どおり触っていいわよ。」

　亜美は、石川の手を取ってスカートの中に導いた。
　石川の手は汗ばみ震えているのが解る・・・

「こ・・こ・・・香坂さん・・・ぼ、僕は・・・」
「そのかわり・・・これからも、私に協力してね。」
「・・も、もちろんです。」

　亜美は、石川の肉棒をスラックスの上から握り締めた。

「石川君、凄い・・・もうこんなに・・・」

　石川は、息を荒くしながら亜美の股間の中央部を指で触りはじる。
　亜美は、スカートを上げてショーツを膝上まで下ろした。

「石川君、お口で・・・・」

　石川は、瞬間に屈みこむと亜美の蜜壷に舌を這わせた。
　舌で亀裂を舐め回していく・・・・

（ぅぅ・・・なんとなく、罪悪感が・・・・裕二さん・・・ゴメン・・）

　石川が、亜美の女芯を舌で探り当てた。

「・・・ぁぁ・・・」

（・・・で、でも・・スリルあるわね・・・・何か興奮しちゃうゎ・・）

　狂ったように蜜壷を嘗め回す石川・・・
　亜美は、そんな石川の口に、股間を強く押し当てていった。

「あぁーん・・・・」

　亜美は、石川を立たせるとスラックスの中で窮屈そうに悲鳴を上げる石川のジッパーを緩め、ブリーフの上から肉棒を握って擦り始めた。

「ウッ・・・こ、香坂・・さ・・・ん・・・」
「触っていいのよ。」

　亜美は、石川の肉棒を握ったまま、上体を屈めて石川の愛撫を助けた。
　石川は、亜美の蜜壷に指を入れながら腰を震わせている。
　亜美も、スリルを味わいながら上下しながら優しく手を動かしていた。
　その瞬間・・・

「ぁぉ・・・で、出るぅーっ・・」

　石川の肉棒からは、勢いよく分身が発射された。

「・・は・・・・・早いのね・・・石川さん・・・」
「・・・・、す、すいません・・・気持ちよくて・・・」

　あっという間に爆発した石川に、亜美も驚きながらも笑いがこみ上げてきた。
　亜美は、手の甲に付いた石川の分身をハンカチで拭くとショーツを穿き直した。
　スカートを下ろし、身なりを整える。

「石川さん、このハンカチを使ってもいいわ。」
「すいません・・」

　石川は、亜美からハンカチを受け取って囁いた。

「・・あ、あの・・・洗って返しますので。」
「エッ？・・・フフッ、いらないわよ。石川さんにあげるわ。」
「そ、そうですよ・・ね・・・重ね重ね・・・・すみません・・・」
「いいのよ、さて、私は先に行くわ。一緒だと怪しまれるものね。」
「はい・・・解りました。」

　亜美は、石川にウィンクを投げてボイラー室を出て行った。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

　その頃、鏑木は、酒井由香の拉致計画を実行する人物を突き止めていた。
　裕二が呼ばれ、詳細を説明している最中だった。

「橘社？・・・・こいつらが？」
「恐らく間違いない。奴らは、便利屋なんだが暴力団ではない。つまり、金で雇われて仕事をする連中なんだ。当然、口も堅く、信頼があるんだろうな。訳ありの顧客が意外と多いようだ。」
「へぇ・・・ちょっとやり難いですね。でも何で判ったんですか？」
「大宝の専務、谷口の振込みを押さえたんだ。」
「つまり、送り先が、ここなんですね。」
「ああ、既に洋子が、その受取書を取りに向かっている。お前も行ってくれ。」
「わかりました。」
「それから連中は、格闘上がりの猛者ばかりだ気をつけてくれ。」
「そうですか・・・違う意味で楽しみですね。」
「酒井君のガードもあるから彼女の終業までには帰ってきてくれよ。」
「はい。」

　裕二は、既に洋子が向かっている橘社に急いだ。

−　橘社事務所　−

「よぉ・・ネエちゃん、女の割には、かなり腕が立つが俺達には通用しねぇぞ。」

　男の一人が洋子の後ろから羽交い絞めしていた。
　洋子に喋りかける男は、陰険な笑みを見せながら洋子のベルトを外し始める。

「・・クッ・・・数人掛かりで女一人を弄ぶのかい。」
「強がんなよ・・・・好きなんだろ。」

　その時、下の階で騒々しく怒鳴り声が聞こえた。

「ん・・・下が騒がしいな。何やってんだ？」
「さぁ、また、客を脅してるんじゃないですか。」
「そうだな、こっちはこっちで楽しもうぜ。」

　男は、洋子のベルトを外すとジッパーを下げて革のパンツをストッキングごと引き下ろした。

「ほぉー、セクシーな下着を穿いてるねぇ・・・ククッ・・・」

　男は、洋子のショーツに手を掛けると、思いっきり手前に引き千切った。
　抵抗する洋子だが、凄い力で押さえられビクともしない。

「おぉっ、ネエちゃん、ドテのお手入れが念入りじゃねぇか。」

　その男は、洋子の品の良い恥丘を撫でると一気に指を蜜壷に挿入してきた。

「ウッ・・・クッ・・・」
「おい、女を持ち上げろっ！」

　その声で、もう一人の男が洋子の片足を持ち、後ろの羽交い絞めしている男ももう片方の足を持って洋子を担ぎ上げた。

「なかなかいい女だ、順番に頂こうぜ。」
「アンタら・・・後で後悔するんじゃないよ。」
「ククッ・・後悔だと・・俺達に敵う奴らはいねぇよ。」

　男は、そう言うと足を大きく広げられる洋子の蜜壷に顔を埋めた。

「チッ・・・」

　洋子は、舌打ちしながら男を睨みつけた。
　男は、既にベルトを緩めて肉棒を露出している。

　唾液で潤いを与えると男は立ち上がって洋子の蜜壷に肉棒を挿入した。
　しかし、洋子は、表情を全く変えていない。

「気持ちいいだろ、ネエちゃん・・・よがってみろよ。」
「フンッ、アンタのその粗末なポ○チンじゃ、私のオ○ンコは満足させれないよ。」
「何だとぉー、このアマがっ・・」

　男は、洋子の頬を平手で叩くと、乳房を鷲掴みにし腰を強く当てていった。

「ウグッ・・・」

　その時・・・

「洋子ぉーっ！」

　裕二が、鍵の掛かってるドアを蹴破って部屋に入ってきた。

「な、なんだ、テメェはっ！」
「お、遅いわよ、裕二君っ！」

　洋子は、裕二の突入にも表情を変えなかった。

「悪ぃ、下で手間取ったぜ。」

　洋子を羽交い絞めにしている男を残し、一人が身構えた。
　洋子に挿入していた男も慌ててズボンを穿きはじめる。
　そして、裕二に向かい低い声で言い放った・・・

「・・・まさか・・・下の奴らを・・」
「ふっ、素人を集めてんのか、ここは。・・・・全員下でくたばってるぜ。」

　裕二の言葉に男達の顔色が変わっていく・・・・

「な、何者だ・・・お前は。」
「そんな事はどうでもいい。大宝グループの専務、谷口から振り込まれた証拠書類を頂きにきた。怪我せんうちに出せ。」

　洋子が、不機嫌そうに裕二に呟く。

「裕二君、普通は、まず、その女を離せって言わないかしら？」
「・・・す、すまん・・・わざと、やられてるかなと思って。」
「ぶ、ぶっ飛ばすわよ！」
「怒るな、洋子・・・・おい、その女を離せ。」

（ったく・・・裕二君ったら・・・）

「馬鹿が、俺達は下の連中とは訳が違うぞ。やれっ！」

　そう言うと、二人の男が裕二に飛び掛った。

　しかし、裕二も、表情一つ変えずに立拳で正面の男の鼻を砕くと、更に連続技で、肘をもう一人の顎に食らわせた。
　二人の男は、僅か数秒で気を失ってしまった。
　裕二が、リーダーであろう、残った一人の男に低い声で言い放った。

「おい、お前、下の奴らとは、どう違うって？　」
「・・・・な・・・・・・・・な、馬鹿・・・な・・お前・・・どこの誰だ・・・」

　裕二は、それには答えず男に歩み寄った。
　男は、恐怖なのだろう反射的に裕二に殴りかかるが、強烈な蹴りが男の鳩尾にヒットすると白目を剥いて崩れ落ちていく。

「きゃー、裕二君、格好いいぃぃ、凄すぎぃーっ！」

　洋子が、叫びながら裕二に抱きついてきた。

「大丈夫か、洋子っ・・・やられてたみたいだけど。」
「フンっ、あんなポコチンなんか、入れられたうちに入らないわよ。」
「・・・どうでもいいが、早く下着とズボンを穿け。丸見えだぞ。」
「あ・・・・ゴメン、つい見とれちゃって・・・でも、下着は、破かれちゃったし。」
「じゃ、ノーパンで帰れ。」
「いやよ。そうだ、ハンカチ当てとこっと。」
「・・・・調査係に行ってから腕が落ちたんじゃねぇーか、洋子・・」
「馬鹿言っちゃいけないわよ。ちょっと油断したら・・・その・・」
「俺達の仕事に油断は禁物だぞ。鏑木さんには、黙っててやるから早く穿け。」
「フフッ、裕二君、じっくり見てみる、私のココ？」

　洋子は、妖艶な視線を送り足を開こうとしていた。

「どあほっ！　早く穿けっ！」

　洋子は、渋々、床に落ちている皮製のパンツを拾うと裕二を見ながら穿き始めた。
　洋子の性格なのだろう。恥ずかしがるわけでもなく、淡々としている。

（亜美の言ったとおり、洋子の奴、本当に毛がねぇーな・・・・ププッ・・・）

　裕二の視線に気づき言葉をかけてくる洋子・・・

「フフッ・・・裕二君、亜美に内緒でやろうか？」
「ば、馬鹿言ってんじゃないよ。それより少しは、恥らったらどうだ。堂々と見せたまま着替えて・・普通は向こう見ててって言わねぇか？」
「え・・・あ・・あぁ、そうね。」

　裕二は、洋子に呆れながら部屋を見渡した。

「洋子、急いで書類を捜すぞ。」
「ええ、わかったわ。」

　二人は、金庫や書棚、そして机の中まで隈なく丁寧に書類を探しはじめた。