愛欲の向こう側

（１４０）

　裕二が、車を走らせていると、さっそく鏑木からＣＥ機に情報が送られてきた。

（鏑木さん？・・・情報部経由じゃないのか・・・）

　車を停めて、液晶を開く裕二・・・・

＜香坂、最新情報は、俺が直接入れるからアドレスを聞いておいた。後は、暗号化して情報係から入る手筈になっている。一応、俺とお前のシークレット暗号を教えておく。ＫＫ１９０１１１Ｚ２３だ。完全に暗記したら、この送信文を全て消しておけよ。　鏑木より＞

（ＫＫ１９０１１１Ｚ２３・・・か・・・・・・よし、覚えた。）

　裕二は、送られてきたメールを直ぐに消去した。

－　西港　旅船乗場　－

　裕二は、車を停めると港を歩いてみることにした。
　ＩＰアドレスを調べた結果、この付近で発信されている可能性が高いからだ。

（・・・しかしな・・・・ワイヤレスだったら、日本中、何処にいても判かんねぇんじゃ・・？）

　裕二は、そんな事を考えつつ付近の建物を確認しながらブラついた。
　情報が送られてくるには、まだ時間がかかる。
　裕二は、何気に腕時計を見た。

（・・もう昼か・・・・・飯でも食うか。・・）

　裕二は、乗船ステーションのビルに入って昼食を摂る事にした。
　平日ではあるが、店内は、意外と込んでいた。

　海が見えるガラス張りの席が偶然空いている。
　裕二は、その席に座りランチを注文した。

「・・・・・あら・・・裕二さん。」

　後ろから、声を掛けられる裕二・・・

「あれ、美貢さん・・・・・どうしたの。」
「偶然ですね。いま、友人を送りに来たの。」
「そうか。」

　美貢は、前に置いた荷物を隣に移して裕二を誘った。

「裕二さん、こっちで一緒に食べませんか？」
「ああ、そうだな・・・・・じゃ、そうするか。」

　裕二は、美貢の誘いで席を後ろに移動した。

「お仕事ですか？」
「ああ、まあね。でも、下調べというか・・・暇といえば暇なんだ。」

　裕二は、内容までは、美貢に話さなかった。
　どんな、親しい人間でも油断は禁物だ・・・

「へぇー・・暇な仕事で暇を持て余してるって可笑しいわ。」

　笑いながら言う美貢に裕二も笑みがこぼれる。
　相変わらず、屈託のない笑顔が美貢らしかった。

「ハハハッ、そうだよな。ところで、美貢さん、彼氏とは上手くいってるのかい？」
「ええ・・・でも、お互いが忙しくて中々会えないの。」
「そうか・・・でも、例の不感症も何とかクリアしたし・・・・・ぁ・・・ごめん。」

（俺とした事が・・・変な事言っちまったな・・・）

「いいんです。・・・それに・・・・」

　裕二は、それこそ、前回、メアリーの企みでベーカーパワードに屈辱を味わされていた美貢に、失礼な言葉を吐いた事を後悔した。

「本当に、ごめん・・・美貢さん・・・」
「いいんです。もう気にしていないし・・・・・でも・・・」
「ん？・・・でも・・・・・・」

　美貢は、意味ありげな笑みを見せて裕二に囁いた。

「少し、気分を害したな・・・・」
「・・・あ、いや・・・ゴメン・・・」

　美貢の言葉に、裕二は、済まなそうな態度を見せた。

「裕二さん・・・・・私の気分を治す方法を教えてあげる。」
「・・・あ、ああ・・・・何でもするよ。」
「本当？」
「ああ、勿論さ。」
「絶対に？」
「嘘言わないって。」

　美貢は、裕二から視線を外して窓越しに海を見つめながら言い放った・・・

「・・・今から、私を抱いて。」
「・・・・・・・・・・・・えぇぇぇーっ！」
「もぉうっ！　そんなに驚く事じゃないじゃないですか。」
「し、しかし・・・」
「何でも言う事を聞いてくれるって言ったでしょ、裕二さん。」
「そ、そりゃ、そうだけど・・・・」
「嘘つき。」

　裕二は、美貢の膨れっ面を見て、覚悟を決めた。

「美貢さん・・・わかった！　ただし、ただし、仕事の連絡が入ったら中断するよ。」

　美貢は満面の笑みを浮かべて返事をした。

「ええ、わかりました。それまでに、いかせて下さい。」

　裕二は、周りを見ながら口に人差し指を立てる。

「シィィーッ・・・美貢さん、声がでかいよ。」
「ご、ごめんなさい・・・・」

　そう言って、二人は、小さく笑い声を上げた。
　運ばれてきた料理を食べながら裕二は、近況を美貢に聞いていた。
　しかし、美貢は、あまり答えないで食事に集中している。

「おい・・・美貢さん、そんなに急いで食べなくても・・・」
「・・・・ん・・・・だ、だって、早くしないと・・・・裕二さん・・仕事の・・」

　そう言って美貢は咳き込んだ。

「それ見ろよ・・・」
「・・・・・・」
「慌てなくても俺は逃げないよ。」

　美貢は裕二の言葉に顔を赤く染めていった・・・・・

－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－

「アゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・ンアァァァァァァァー・・」

　美貢の乱れっぷりは凄かった。

　裕二の腰に絡みついた足の力が緩まない・・・
　裕二は、美貢を起こして騎乗位の格好にした。

　美貢が、裕二の舌に貪りついてくる・・・・
　瞳は、完全に潤み、先程とは態度も一変していた。

「ングゥゥゥ・・・・・・いぃ・・・いぃぃ・・凄くいいぃぃぃぃぃー・・」

（・・・凄いな・・・美貢さん・・・・・・・）

　裕二は、以前の美貢からは、想像できないくらい豹変したプレーに驚きを隠せなかった。

　裕二は、美貢を軽々と持ち上げ四つん這いにさせた。
　亀裂から零れる美貢の蜜は、摩擦によって白く濁っている。
　裕二は、美貢の括れた腰を両手で掴むと怒張した肉棒を突き刺した。

「ウアァァァァァァァァー・・・・・イィィィィー・・」

　裕二が、腰をひきつけるタイミングにあわせて自らも腰を打ちつけてくる。
　肉棒の先が、奥の壁に当たるたびに美貢の全身がビクンっと反応を示した。

「・・・・ゆ・・・・ゆ・・・・・・・裕二・・さ・・・・ウゥッ・・ァァ・・・ウゥッ・・ウゥ・・・だ・・・・アァ・・・ァゥ・・・・だ、抱かれなが・・・ら・・・・ハァァァ・・・抱かれ、抱かれ・・・ながら・・・イキたいっ・・・・・」

　裕二は、美貢の言葉を察した。
　腰から手を放し美貢を仰向けにすると両足を高く持ち上げて肩に担いだ。
　美貢は、裕二の首に手を廻しキスを求めてくる。
　そして、裕二は唇を合わせながら肉棒をゆっくりと美貢の蜜壷に挿入した。

「ンムムッ・・・ングゥゥゥゥ・・・・・アゥゥッ・・・・・」

　裕二の体重で両足を固定され美貢は身動きが出来ないでいた。
　嫌がおうにも、蜜壷を責められているという事に集中せざるを得ないのだ。

「駄目ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇー、・・・いっちゃうぅぅぅぅぅぅぅー・・」

　徐々に、美貢の子宮が収縮し始めた。
　全身に鳥肌が立ち始め、瞬間、汗が引いていく・・・

「ゆ・・・・裕二さ・・・・・き・・・き・・・・きて・・・・・・い、一緒に・・」

　裕二も最後のスパートを掛けた・・・・
　裕二の打ち付けるような上下運動で、美貢の身体が、半分以上、ベッドにめり込んでいく。

「・・・ダ・・・・ダ・・・・メ・・・・・・」

　そこまで言うと、美貢の瞳は何度も剥いていった・・・

「い、いくぜ・・美貢さん。」
「ウゥゥゥゥゥゥゥゥー、アァァァァァァァァァァァァァァァァーっ！」

　美貢は、長い絶叫で昇天した。
　裕二も、美貢の一番深い場所に分身を爆発させる・・・

「ぁ・・熱い・・・・熱い・・・・・裕二さんのが・・・熱・・・・いぃ・・・」

　裕二の額から零れる汗が、美貢の頬に数滴落ちていった。

　美貢の足を開放し肉棒をゆっくりと引き抜いていく裕二・・・・

　美貢は、大の字になり放心状態だった。
　閉じた亀裂からは、押しのけるように分身が流れ出してくる・・・

（ふぅぅー・・・・美貢さん・・・なかなか、どうして・・・感度いいぜ。）

　裕二は、枕もとにあるタオルで顔全体を拭った。

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「美貢さん、送っていけなくてごめん。」
「いいんです。わたしのわがままを聞いてくれたんだし。」
「いや・・・俺も良かったよ。」

　美貢は、顔を紅潮させて裕二に囁いた。

「やっぱり、裕二さん、最高でした。裕二さん・・・私の、ビタミン剤になってください。」
「はは、ビタミン剤か。・・・上手い事言うね。」
「じゃ、裕二さん、私、行きます。」
「ああ、気をつけて。」

　美貢は、何度も後ろを振り向いて裕二に手を振っていた。

（・・・フッ・・・美貢さんんも、だんだんと、いい女になっていくな・・。）

　裕二は、美貢が見えなくなると、ＣＥ機を開いた。
　まだ、センターからの連絡は、入っていない。
　裕二は、輸出用のコンテナが置かれている港湾倉庫の方に歩き出した。

　しばらく、コンテナ周りを歩いていると強烈な闘気を背中に感じた。

（！・・・・・）

　裕二は、気づかぬフリをして前に進んでいく。
　肝に気を溜め、徐々に筋肉を緊張させていった。

（チッ・・・いつまでも知らん顔をしとれんな・・）

　そう思って裕二は、立ち止まった。
　ゆっくりと後ろを振り向くと東南アジア系の男３人がバタフライナイフを手に持ち裕二を睨みつけている。

「・・・・・・俺に何か用か？」

　男らは、答える様子はない。

「日本語がわからんようだな。」

　裕二は、目で男達の実力を探っていった。
　体格的には、さほど裕二と変わらない。

（・・・・・・・・・・試してやるか・・）

　そう思った時、更に背後に強烈な気を感じた。
　身構えながら、ゆっくりと後ろを振り向く裕二・・・・

「な！・・・・・・・・ク、クソッタレが・・・」

　そこには、サングラスを掛けたメアリーが、先程、別れた美貢を羽交い絞めにして、不敵な笑いを浮かべながら立っていたのだ・・・・・

（１４１）

　美貢が、泣きそうな顔をして裕二を見つめていた。
　声を出したくても出ないのだろう。
　首を強く押さえつけられてもがいている・・・

（・・・・・・クッ・・・・どうする、裕二・・・）

　裕二は、必死で考えた。
　この状況では、美貢が危ない。
　鏑木の進言したとおり、今のメアリーは、狂っていると考えていい。
　そのメアリーが、裕二に向かって声を上げた。

「ミスター・ユウジ・・・・・実力が落ちていないか見ててやるよ。」

　ハスキーな声が、妙に暗く陰険に聞こえた。
　両手を下げた裕二の両手の小指が痙攣したように跳ね上がる。

　その瞬間、男達が裕二を一斉に襲った。
　フェイクしながら、コンテナに背を向ける裕二・・・

　男の一人が器用にバタフライナイフを踊らせながら裕二の前に立つ。

　裕二は、気を据えた。
　そして、指で掛かって来いと合図をする。

　男は、裕二の要求どおり向かってきた。
　膝を狙って蹴りを入れるが、男は予想していたのか身体を入れ替えジャンプしながらナイフを刺し下ろしてきた。

（やるな・・・だが、甘いぜ・・）

　裕二も先を読んでいた。
　蹴った足を軸にもう片方の足を真下から突き上げる。
　裕二のつま先が、男の腹に見事に食い込むと、男は、頭から地面に落ちて気を失った。

　後ろから、メアリーの口笛が聞こえる。

（・・・・・・・舐めやがって・・・）

　今度は、二人が同時に裕二に飛び掛った。
　一人は足を狙い、もう一人は顔面を狙ってくる。
　かなり、慣れたコンビネーションで裕二を攻め立ててきた。
　しかし、裕二は冷静だ。

（・・・・なかなか、訓練しているようだが、まだ甘いな・・）

　裕二は、男の襟を掴むと強く引き上げた。
　男が、抵抗し逆に押し付けようと力を入れた瞬間、裕二の膝が男の股間を直撃する。

「グギャァァァァァァァァァァァァァー・・」

　悲鳴をあげて男は白目を剥いた。
　口から泡を吹き、全身を痙攣させている。

　裕二は、気を抜かなかった。
　膝を股間に入れた瞬間、振り向きざまに踵をもう一人の男の首にヒットさせた。
　男は呻き声をあげて尻餅をつこうとするが、更に反動でこめかみにミドルキックを食らわせる裕二・・・・
　ほんの少しの時間で、３人の男らは、裕二の足元に崩れ落ちていた。

　裕二は、咄嗟に後ろを振り向くが、既にメアリーの姿はなかった。

（・・・・シマッタ・・・・・・クソォッ・・・）

　裕二は、急いでセンターに電話をした。

　電話には、遠藤が出た。

『どうした、裕二・・』

　裕二は、遠藤に事情を説明した。

『なんだとぉっ・・・よし、解った。俺は、鏑木と西田に指示をしておく。お前は、その男らの持ち物を調べろ。篠塚さんは、業務係に探させる。』
「解りました。」

　裕二は、男らのポケットを調べ始めた。
　封筒に包まれた１万円札が１０枚づつ、それぞれの男らから見つかっただけで他には、手掛かりになりそうなものは、見つからなかった。

（・・・・・・やはり、雇われか・・）

　裕二は、悔しそうに、その場に立ち去った。

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　業務係長の亜美が、第二センターに戻ってきた。
　西田から状況を聞かれるが、何も手掛かりはつかめなかったようだ。

「そうか・・・」
「次長、これだけゲリラ的にやられては、手の打ち用がありませんね。」
「んーむ・・・どうしたもんかな？」

　そろそろ終業を迎える時間だった。

「亜美君、一応いつでも出られる体制でいてくれ。」
「ええ、そのつもりです。」
「俺と、鏑木は、今日から泊り込む。何かあったら連絡をするから頼むよ。」
「はい。」

　亜美は、机に座って両手で頬杖をついた。

（・・・・・単独でやられては、こちらも手がないわよ・・・・・）

　亜美は、溜息をつきながら席を立ち、オフィスを出た。

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　その頃、裕二は、真央の店を訪れていた。

「み、美貢が？」
「ああ、すまない事をした。」
「うぅん、裕二さんのせいじゃないわよ。・・・・・でも・・・」
「真央さんと美貢さんは、姉妹と一緒だしね。連絡がくるかもしれないと思って。もし、美貢さんから連絡が入ってきたら、直ぐに、俺に連絡をくれないかな。」
「ええ・・・わかったわ。・・・・・・・・今度も大変なの？」
「・・・・・・・」

　裕二は、答えられなかった。
　最悪の場合、命さえ落としかねないからだ。
　裕二は、無理に笑顔を作って真央を安心させた。

「大丈夫・・・じゃ、俺は行くよ。」
「身体、気をつけてね、裕二さん。」
「ああ、ありがとう。」

　裕二は、真央の店を出て、再度、港に、向かった。

　車を海沿いに停めて、煙草を噴かした・・・

（・・・・・チッ・・・こんな、先が見えん仕事は、初めてだぜ。）

　裕二のＣＥ機に鏑木からダイレクトで連絡が入った。
　シークレットパスを打ち込み、内容を確認する裕二・・・

＜５分後に、♯ロックで俺に電話をしろ。＞

　裕二は、煙草を吸い終ると鏑木に電話を掛けた。

「もしもし、香坂です。」
『香坂、解ったぞ。メアリーは、恐らくモバイル機器を使って太平洋にアクセスをかけている。しかし、その仕組みとポート、ＩＰは、特殊なんだ。つまり普通の機械ではないんだ。遠隔で分析をかけたり衛星を使用してロードできるんだよ。』
「・・・つまり・・」
『近くからじゃないと、操作出来ない。コレは、その機器とチップの関係で機械自体に限界があるからと考えていい。』
「という事は・・・・」
『・・・・・俺達の近くで・・・・メアリーは、動いている。』
「鏑木さん、今の時点では、メアリーに踊らされていますね。」
『ああ、悔しいが、その通りだ。　美貢さんの安否も気になるし・・・・・』
「鏑木さん、何とか手掛かりを。」
『ああ、そうだな。俺も全力を尽くす。』

　鏑木は、そう言って電話を切った。

　裕二は、やるせない気持ちで胸が締め付けられた。
　美貢を抱いた後での出来事も、その理由の一つだ。

　２本目の煙草を吸おうとしたとき、助手席のウィンドウをノックされた。
　振り向く裕二・・・・

「！・・・・・メアリー・・」

　裕二の全身が一気に緊張した。

　ドアを開けて車から降りる裕二・・・

「暇そうね・・・ミスター・ユウジ・・・お昼は楽しませてもらったわ。」
「・・・・・何を企んでいる。・・・・・やり方が汚ぇーな・・」
「そうかしら・・・ま、元来、根に持つ性格だし。」
「彼女はどうした？」
「彼女？・・ああ、シノヅカ・ミクね。・・・・・・生きてるわ。」
「・・・・・・彼女は関係ないだろう。」
「彼女の子宮から貴方の精液が、美しく流れていたわ。」
「・・・・・・お前・・・・許さんぞ・・」
「んー・・・本当に美味しかった。また、ユウジのを直接飲みたいもんだわ。」

（・・・・・・相変わらず・・異常な女だぜ・・・）

　裕二は、直ぐにでも攻撃できる態勢をとりながら言い放った。

「彼女は、何処に居る。言わんと、この場でお前を・・・」

　メアリーは、裕二の言葉を遮って小型でプラスッチク系のコントローラーを見せた。

「近づかないで・・・コレを押すとシノヅカ・ミクは、死ぬわよ。」
「何故、そんな事をする。・・・・復讐か！」
「復讐？・・フフッ、そんな甘いものじゃないわ。地獄を味わってもらいたいの。」
「地獄だと・・・」
「特に、ユウジとカブラギ・ヒロシをね・・・」

　そう言うと、メアリーは小さく手をあげた。
　それを合図に、バイクが爆音をあげて近づいてくる。

　そして、メアリーは、バイクの後ろにまたがった。

「じゃ、ユウジ、また会いましょう。」
「待てっ、彼女の居場所を言えっ！」

　ユウジは、磁気シールを裾の裏から、ゆっくりと剥がした。
　バイクに近づき制止するような行動をとるユウジ・・・・

「ユウジ、怪我するわよ・・・どいたら・・」

　裕二は、バイクのハンドル部分に気づかれぬようシールを貼り付けた。
　そして、ゆっくりとバイクから離れる・・・

「そ・・聞き分けいいわね。　じゃ、頑張って・・」