（１４４）

　西田が亡くなった今、今件が解決するまで、臨時的に本社本部長の東堂が代わりを務める事になっていた。

「鏑木、お前は、ここの頭脳だ。とにかく調査と分析に力を入れろ。」
「解りました。」
「俺は今から、第一に行って遠藤と話をしてくる。」
「はい。」
「亜美君」
「はい。」
「今日から香坂とペアを組め。」
「え？」
「そのほうがいいんだ。・・・そのほうがな・・」

　鏑木は、東堂の考えに賛成だった。
　東堂は、最悪の事を考えて、亜美と裕二が行動を共にしたほうが良いと考えていたのだ。

「解りました。」
「よし、一緒に行こう。遠藤にも説明する。」
「はい。」

−　第一センター　−

「なるほど、本部長、解りました。」
「遠藤、今からが正念場だぞ。」
「大切な部下を失ったんです。全力を尽くします。」
「んむ。」

　そして、裕二が呼ばれた。
　東堂から直接説明をされ裕二も承諾をした。

「解りました。色々と配慮していただき、ありがとうございます。」

　東堂が、裕二に言い放った。

「西田は、遠藤にとっても部下だが、俺にとっても部下だ。もう、これ以上、犠牲者を出したくない。ターゲットはこのセンターに絞られているようだ。つまり・・・・・」
「本部長、解っています。」
「・・・・んむ。」
「よし、亜美・・・・いや、業務係長、行くぞ。」
「はい。」

　こうして、裕二と亜美は、早速、手掛かりを掴みに港に向かった。

　裕二が、煙草に火をつけた・・・
　助手席で亜美が裕二の横顔を見ながら声を掛ける。

「裕二さん・・・」
「・・・・ん？」
「私・・・裕二さんと、ずっと一緒よ・・・・何処に行くにも・・もし・・・もし・・・・死んでも・・・・・一緒についていく。」

　裕二は、亜美の言葉に一瞬、視線を落とした。

「・・・・馬鹿な事を・・・亜美・・・・・心配するな。俺はやられんさ。」
「・・・・・・・うん。」

　それきり、裕二と亜美は、口を閉ざした。

　港に入り、先日のコンテナ付近に車を停める・・・

「ここで？」
「ああ、俺を観察していたんだろう・・・・何処かで・・・」
「ねぇ・・・裕二さん、何で、裕二さんの居場所が解るの？」
「・・・・解らん・・・つけられている気配は全くないし・・・」
「・・・・・今も？」
「一応、特命課の桜木が、課員を連れて俺達の周りを数人で囲っている。何かあれば、連絡が入るようになっているから後手にはならんはずだ。」
「そう・・・なら、いいのだけど・・」

　裕二の端末機に鏑木から連絡が入った・・・
　内容を確認する裕二

＜情報提供だ。＃ロックで電話を入れろ。＞

　裕二は、直ぐに内容を消去し鏑木に電話を入れた。

「香坂です。」
『おう、今、調査係から、有力情報が入ったんだ。港湾の東側に渡船屋が何件か並んでいるんだが、扇屋という店に、外人らしき連中が出入りしているようだ。』
「そうですか。解りました、今から見に行ってみます。」
『気をつけろよ。』
「はい。」
『ところで、お前の端末機は、妙にノイズが走るな・・・』
「そうですか？」
『まあ、いい、俺か直接、研究所に確かめてみる。』
「了解です。」
『いいか、くれぐれも無理はするな。』
「はい。」

　裕二は、電話を切って、さっそく扇屋に向かった。

「渡船屋？・・そこが、怪しいの？」
「ああ、外人が出入りしているらしい。不自然だな、確かに・・」
「釣りをやるとは思えないものね。」
「だな・・」

　走る事、５分、裕二は、小橋付近に車を停めて渡船場や食堂が立ち並ぶ一角に足を踏み入れた。

「亜美、正面に食堂がある。ここに入って様子を探ろう。」
「ええ。」

　裕二と亜美は、扇屋の真正面に位置する大衆食堂に入った。

「いらっしゃいっ！」

　威勢のいい声が二人に投げられた。

「裕二さん、何か注文しないと・・・」
「そうだな・・・亜美、適当に決めてくれ。」

　亜美は、席に座る前に、店主にところてんを二つ注文した。

　裕二は、扇屋からは、死角になる位置に座り出入り口を注視する。

「見える？」
「ああ、何とかな。」

　しかし、幾度待てども、扇屋に出入りするものは一人もいなかった。
　既に２時間、業を煮やした裕二は、いったん車に戻る事にした。

「亜美、出よう。」
「ええ・・・・」

　二人は、大衆食堂を出て小橋に停めた車に戻った。
　その時、ふと運転席側のドアに布らしきものが挟まれていた。

（・・・・・？）

　裕二が、そっと、中を覗き込む。

「・・！・・・み、・・・・美貢・・さ・・・・・・あ、亜美ぃぃぃーっ！」

　全裸で全身を縛られ、散々、弄ばれただろう形跡を残して美貢が横たわっていた。

　走り寄った亜美が息を飲む・・・・

「ヒ・・・ヒドイ・・・・」

　裕二は亜美と、美貢のロープを解き始めた。
　下腹部には無数の鋲が刺され、蜜壷と菊門には巨大なバイブが刺さっていた。
　恥毛は、焼かれ、皮膚がひどく爛れている・・・・

「裕二さん・・・・」
「まだ、息はある。急いで救急車を呼んでくれ。」
「解ったわ。」

　裕二は、上着を脱ぎ、美貢の身体に優しく被せた。

（・・・・・・美貢さん・・・・・・すまない・・・・・・・）

　・・・強く噛み締めた裕二の唇から血が滴たる。
　もはや、裕二の怒りはレッドゾーンを振り切っていた・・・・・・・・

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「命は、何とか、助かるみたい・・・・」

　処置室から出てきた真央が、小さく呟いた。
　裕二が、項垂れながら真央に謝罪する。

「真央さん、済まない・・・・・」
「・・・裕二さん、言ったでしょ。・・・・貴方のせいじゃないわ。」
「・・・・・」
「・・・ただ・・・ただ・・・・美貢の・・・・・・」
「絶対に・・・・俺が、倍にして返す。」
「私も・・なんでも協力するわ。」
「・・・ああ・・・・・・・・ありがとう。」
「さ、行って。まだ仕事中でしょ。ここは、私が付いてるから。」

　裕二は、無言で真央を見つめた。

　真央は、裕二に頷くと、早く行けと背中を押した。
　裕二は、やるせなさを隠し切れずに背を向けたまま病院を出た。

（美貢さん、真央さん・・・・必ず敵はとってやる。）

　裕二は、センターに戻った亜美に連絡を入れた。

「どうだ、亜美・・」
『鏑木さんの話だと、変わった低電波が出てるって言ってたわ。』
「低電波・・・・扇屋からか？」
『ええ・・・それから桜木君の情報なんだけど、マリーナに怪しい外人が出入りしてるって。』
「マリーナ？」
『ええ、ヨットやクルーザーが、多く艇してるわ。』
「その、一つか？」
『解らない。桜木君がそれを調べてるんだけど。』
「解った。俺も一旦、センターに帰る。」
『ええ。』

　裕二は、車に乗るとセンターに向かって車を走らせた。

（・・・・・・しかし・・・何人も・・・・）

　裕二は、頭の中が混乱しそうだった。
　この二日間で、西田、美貢と二人も攻撃されている。
　裕二は、何気なく回想をしていた。

　ラッシュに近いのか、信号で何度も待たされた。
　その時、ふと裕二の脳裏に疑問が、沸いてきた。

（やはり・・つけられている？・・・いや、待て待て・・よく考えると不可能だぜ。）

　裕二は、こう思った。
　仮につけられているとしても、別のところで起きた件まで手がまわらないはず。
　仮に仲間がいたとしても、要点をつくまで攻めるには説明が必要だ。

　あのコンテナで襲ってきた、外国人３人も雇われだ。
　西田の刺し傷も鑑識では単独ではないと言っている。
　そして、美貢の身体から検出した精子も複数である。

（・・・・・先を読まれている？・・・・・）

　裕二は、そう思ったが、直ぐに否定した。

　それは、鏑木が、完璧なシークレット体制に設定したばかりだからだ。
　盗聴は、絶対に不可能である。
　潜入した機械室も異常は無かったはず。
　そして、今乗っている車も検査済だ・・・・・

（おかしい・・・・絶対におかしいぜ・・・・）

　またもや、次の信号で止まったとき真横にオートバイが停車した。
　視線を移した裕二の顔色が変わる・・・

「・・・メアリー！」

　裕二が、車を降りようとしたとき、銃口がこちらに向けられた。

「動かないで、ユウジ・・・」
「・・・・おい、ずっと俺をつけてるのか？」
「さて、どうでしょう？」

　裕二は、怒鳴るように言い放った。

「何故、人を殺すっ！　何故、関係ない女性を痛めつけるんだっ！」
「・・・フフフ・・怒ってるの？」
「・・・・て、てめぇー・・・・俺を直接狙えばいいだろうがっ！」
「貴方は、後回しよ・・・」
「？・・・・・・・・・・・！・・次は・・・・亜美か・・・・」
「貴方のハニーは、殺さないわ。」
「・・・・どういう意味だ。」
「逆よ。」
「・・・・・逆・・？」
「貴方が死ぬところを彼女に見せたいの。それ以上の地獄ってないでしょ。」

　メアリーは、そう言って気が狂ったように笑い声を上げた。

「舐めんじゃねぇぇっ！」
「舐めて欲しいもんだわ・・・ただし、私のプッシーを・・」
「・・・生きて、アメリカに帰れると思うなよ。」

　その言葉に、メアリーは、ウィンクを投げて赤信号を突っ走っていった。

「ク、クソォッ・・・」

（１４５）

「えぇっ！・・・・・・また、メアリーと・・・・」

　寝室で、亜美は、驚きながら裕二に聞き返していた。

「ああ、そして、こう言ったよ・・・・俺の死ぬところをお前に見せたいってな。」
「・・・・・・・」
「それ以上の、地獄は無いだろうと・・・・・恐らく、鏑木さんにもそうするつもりだろう。洋子の目の前で・・・・・・・クソッ・・・」

　裕二は、バーボンをストレートであおった。
　喉が焼ける痛みに顔を顰める裕二・・・・
　顔には出さないが、裕二の怒りが手にとるように解る亜美・・・
　裕二が、何杯めかのバーボンをグラスに注ごうとしていた。

「裕二さん・・・貴方らしくないわ。」

　そう言ってグラスに手を被せる亜美・・・・

「・・・俺は、負けん・・・・もう誰も痛みや苦しみを味合わせない。」

　既に、ボトルの半分以上を空にしていた。
　亜美の手を払ってグラスにバーボンを注ぐ裕二・・・

　亜美は、こんな裕二を始めて見た・・・・

　恐怖なのか、怒りなのか、苛立ちか・・・・・
　いや、裕二が持つ戦士としての葛藤なのだろう。

　亜美は、もう裕二を止めなかった。
　椅子に座る裕二の後ろから、そっと抱きしめて頬を合わせた。

「・・・裕二さん・・・・私と貴方は、一心同体・・・・貴方が何を考えているか、・・・・・・私はお見通しよ。」
「・・・・・・・・亜美・・」

（亜美・・・・・お前を・・・お前を決して一人にはさせん・・・）

　裕二は、グラスをボードに静かに置いた。
　亜美の手首を掴み立ち上がる。

　裕二は、猛獣が獲物を狙うような目に変化していた。

「・・・・・・ゆ・・裕二さん・・・」

　裕二は、亜美のナイトがウンを一気に腰まで下ろすとベッドに押し倒した。
　まるで、猛獣が獲物をしとめるがごとく亜美の身体に襲い掛かる。

「・・・ど、どうしたの・・・裕二さ・・・ん・・」
「亜美・・自分でも解らん・・誰かが・・・今、お前を抱いておけと言ってるんだ。」
「・・・・・・」

　裕二は、亜美の下着を一気に引き千切った。

　亜美は、そんな裕二の行動に抵抗しないでいた。
　むしろ、裕二の全てを受け止める覚悟でいたのだ・・・

「・・・・ウゥッ・・・・ァァ・・・・」

　裕二の怒張した肉棒が、強引に突き刺さった。
　亜美は、まるで猛獣をあやすかのように裕二を抱きしめる。

（裕二さん・・・・貴方の全てを私の母胎に吸収してあげる・・・・・・）

　荒れ狂ったように、亜美を突き上げる裕二・・・・
　まさに、阿修羅のごとく怒り狂った裕二の気持ちが、亜美には痛いほど理解できた。

　既に、亜美と交わってから１時間・・・日付は、変わっていた。
　一度も果てることなく亜美を攻めたてる裕二・・・・

　亜美は、何度も頂点に達しながら、裕二の気が済むまで耐えるつもりだった。
　髪は乱れ、汗が迸る・・・・・そして遂に・・

「亜美・・・・・俺は・・・・・・お前と・・・・・・・・」
「キテ・・・・・欲しいの・・・裕二さんを・・・きてぇぇぇぇぇー・・」
「亜美っ！」
「ゆ・・・裕二ぃぃぃぃぃぃーっ・・」

　裕二の、熱く燃え滾った分身が亜美の子宮に直撃した。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

−　翌朝　−

「裕二さん」

　亜美の声で目を覚ます裕二・・・

「・・・亜美・・」
「朝食出来てるわよ。」

　裕二は、昨夜の事を思い出していた。

「・・・亜美・・・・・・・お、俺は・・・すまん・・・・」
「何言ってるのよ。私は、貴方のものなのよ。」

　裕二は、瞼を指で押さえながら軽く頭を振った。
　亜美は、和むように冗談っぽい口調で呟いた・・・・

「裕二さんの、強烈な攻撃で腰がフラフラだわ。」

　そう言って、裕二の頬に口をつける。

「・・・・荒れすぎたな・・・お前に辛い思いをさせたようだ。」

　裕二のらしくない言葉に亜美の胸は詰まった・・・

「もぉう・・・・・そんな言い方しないでよ、裕二さん・・・・前、言ってたじゃない。俺たちはフェニックスの両翼だって。」
「・・・・・・・そうだな・・」

　亜美が、裕二の頚椎に気を当てた。

「ウッ！・・・な・・・」
「・・・さぁ、戦闘開始よ。」
「・・・・ああ。・・・・・・・亜美、お前・・・・・・つくづく、いい女だ。」
「・・・・・・・馬鹿っ・・」
「・・・・・お前が・・・俺の妻でよかった・・・・」
「・・・・・・」

　亜美は、うっすらと浮かんだ涙を裕二に見せないように背を向けると急いでキッチンに降りていった。

「早く、ご飯食べてね。」

（・・・・・亜美・・・・すまなかった・・・・・・）

　階段を下りる亜美の胸に、今の裕二の言葉が突き刺さる。

（・・・・裕二さん・・・貴方は・・・・私の全てなのよ・・謝らないで・・）

　裕二は、両頬を思いっきり叩いて気を入れ直した。

（よし、やるぜ・・）

　裕二は、着替えを済ませ朝食を摂ると亜美と共にセンターに向かった。

−　第二センター　−

「課長、亜美、おはよう。」
「あ、翔子、おはよう。」
「おう、翔子君、おはよう。元気いいな。」
「私は元気だけがとりえですから。でも、いいですね、夫婦で出勤して・・フフッ・・」
　亜美が、翔子を小突きながら答えた。

「まあね、翔子も早く孝彦君と結婚したら？」
「あぁぁー、あ、亜美ぃぃっ。」
「・・・ぁ・・言っちゃった・・・」
「孝彦君って？」

　裕二の質問に亜美が答えた。

「私たちの同期なの。去年から翔子と付き合ってるのよ。」
「へぇー・・知らなかったな。」
「翔子が黙っててくれって。でも言っちゃった。」
「もぉぅ・・亜美ったら・・あれだけ約束したのに。」
「いいじゃない。隠す事じゃないし。」
「・・・・・・・ま、そうだけど。」
「あれ、怒った？　翔子・・・・ごめん。」
「うぅん、怒ってなんか。あ、それより課長、鏑木次長が出社したら呼んでくれと。」
「ああ・・わかった。」

　亜美と翔子を残し、裕二は、さっそく鏑木のデスクに向かった。

「鏑木さん・・・何か？」
「おう、裕二・・・・ちょっと話がある。地下のシークレットルームに行こう。」
「ええ。」

　裕二と鏑木は、地下に向かった。

−　シークレットルーム　−

　ここは、第一センターと同様、防音、防壁であらゆる電波や侵入を防ぐ事が出来る部屋だった。
　ドアを閉めて鏑木が裕二に背を向けたまま言い放った。

「裕二・・・・・解ったぞ・・・・センターに、スリーパーがいる。」
「・・・・え？・・・・今、何て・・」
「盗聴も、されていない。俺の手がけた工作や作業に落ち度は無い。」
「はぁ・・それは解りますが。」
「いいか、なぜ、動きが読まれていると思う。お前は、つけられていないし監視もされていない。なのに、先を読まれて後手になっている。そして俺達がやっている作戦や行動をあの女に逆撫でされている。何故か判るか。」
「・・・情報を流していると・・言うんですか・・・・・センター員が。」
「疑いたくは無かったが・・・」
「調べたんですね、鏑木さん・・・・・・根拠は？」
「裕二・・・・・お前の持っているＣＥ機を出せ。」
「え？」
「いいから早く。」
「はぁ・・」

　裕二は、情報部から与えられた情報端末機を胸ポケットから出して鏑木に渡した。
　受け取った鏑木が、ＣＥ機を分解し始める。

（・・・クッ・・・やはり・・・）

　鏑木は、それを確認すると裕二に説明し始めた。

「裕二、この銀色のチップを見ろ。」

　鏑木が、小さなドライバーでチップを指した。
　それを覗き込む裕二・・・

「・・・コレが何か？」
「つまり、研究所で開発したチップではないんだ。ＭＩチップといって主にＣＩＡが使うチップでな。何度か俺のシークを使ってアクセスをしただろう。その時に、異種電波が発生してバースノイズが走るんだ。俺は、情報課の依頼で開発した端末機だから、さして気にしなかった。当然だ、仲間だからな。ましてや機密事項で作っているＣＥ端末機だ。」
「・・・・・つまり・・」
「・・・・研究所から届いたその端末機は、一度何処かを経由している。そして、情報部に渡り、お前に渡された。」
「・・・・・・・・つまり、スリーパーが・・・ですか？」
「ああ、間違いないだろう。」

　裕二は、息を飲んで鏑木に質問した。

「・・・誰ですか、そいつは？」

　鏑木が、裕二の目を凝視しながら、ゆっくりと答えた。

「・・・・・・第三課・・・・・・・・・情報係長の阿部翔子だ。」

　裕二は、耳を疑った・・・・・
　まるで、後頭部を強打されたような錯覚に陥っていく・・・
　そして・・・・裕二の顔が、著しく歪んでいった・・・・