未開封のダンボールが積まれた部屋に甘い匂いが満ちている。小林亜美の下半身からたちのぼる女の匂いである。 祐一は軽い眩暈を覚えた。これまで二、三ヶ月ほど義母と暮らしてきた彼だったが、この匂いは知らなかった。彼がはじめて触れる性の匂いだった。ウイスキーボンボンにも似た甘さに、女の淫臭に、頭がクラクラする。 そのように悩乱する義理の息子の前で、亜美は、脚立の上に乳房を乗せるようにして背中をへこませた。 たっぷりとした量感の尻が姿勢のために持ちあがる。ミニスカートも片手で捲ったままだから、もう完全な見せびらかしの痴態である。 「祐一が脱がして」 彼女が声を発するだけで、淫靡な空気が室内に濃くなる。 「ママのここにあるもの、見たいのでしょう」 「う、うん……でも、いいの？」 「いいのよ。でも、隆道さんには内緒よ。いい？ 絶対に言ってはだめ」 「うん、言わないよ」 「あの人のことを裏切りたくないの」 亜美のその言葉は本心であり、口実でもあった。 「いいわね、絶対に内緒だからね」 息子にパンティの尻を見せている時点で、すでにじゅうぶん不謹慎なことなのだ。夫に対するこれ以上の裏切りはない。だからこそ躊躇があるし、不安もあるし、それをうわまわる期待もあった。罪から生じる格別の性熱を味わってみたい。 普段の彼女なら考えもしなかったことだが、今は違う。素肌の足をさんざんにさわられ、パンティの上から淫裂まで啜られ、性感はこれ以上ないほどに昂ぶっている。この身体を中途半端に放置されるのはつらいことだった。また、祐一のうぶな態度も女心をくすぐった。 「ママのパンティ、脱がして」 尻を丸く揺さぶると、その動きだけで少年は睫毛を震わせる。あからさまに萎縮する。 亜美は嬉しくなった。はじめて目にする男の反応だから、彼女の知っている男たちにはないものだから、感動も強かった。自分が特別な女のように思えた。 もっと彼を困らせてみたくなる。少年好みの淫婦を演じてやりたくなる。 「ねえ、はやくゥ」 甘ったるい声でせかすと、ようやく祐一の手が動いた。 亜美は息を詰めてその瞬間を待った。祐一も息を呑んだ。部屋にはまだ荷物が山積みだが、もはや片づけのことなどふたりの頭にはない。 臆した指がパンティの腰紐を掴み、腿へと引きおろした。 「うわあッ……」 祐一の口から感嘆の声がこぼれた。股からパンティの裏地にかけてに、長く太い淫液の糸が引いていたのだ。驚異的な汁量だった。陰毛までがグッショリと濡れて肌に張りついている。 「すごいよ、ママのここ。すっごく濡れてる」 「あーン、そんなの言わないで……」 自分の淫らな体質のことは亜美も以前から知っていた。汁気が異様に多く、痴漢に尻をさわられても、感動的な音楽を耳にしても、股がベットリと濡れる。そんなだから、外出時には常に替えの下着を持参しなくてはならなかった。ＯＬのときも、学生時代もそうだった。 祐一の目が輝いた。パンティはすでに膝まで落ちているというのに、粘る水飴にも似た糸は切れる気配がない。どこまでも垂れ落ちてくる。 恥じらいのために亜美が尻を揺らすと、淫液の糸も左右に揺れる。そしてようやくプツリと途切れ、パンティの裏地や太腿を汚し、床にも小さな水溜りを作った。 新たな淫臭があたり一帯にひろがる。彼女独特のウイスキーボンボンのような甘さも濃くなる。窓は全開だというのに、匂いは少しも薄まることがない。 祐一は心底驚いた。女とは、いやらしいことをすると匂いまで変化するのか。ほかの女たちもそうなのか。あるいは、義母が特別なのか。 中学生の彼には見当もつかないことだった。どちらにしても、恐ろしく刺激的な匂いと眺めであることに変わりはなかった。彼は黒い下着を足首から外すと、匂いの中心にある淫裂を覗きこんだ。 「これが女の人の……」 少年のこめかみに汗が浮いている。 「なんだか不思議な形なんだね」 思ったことがそのまま声になった。対の花びらが狭い場所で重なりあっているような感じの女性器だった。 しばらく息を殺して魅入ってから、指でそっと触れてみた。ほんの軽い接触だったにもかかわらず、肉唇はピクリと蠢いて感応し、かすかに口を開けた。内部にもまた別の花びらがあった。こちらはごく小さく、コーラルピンクに近い粘膜そのものの色である。対して外側の花びらは赤みが強く、ふっくらと縦に長い。そして、どこもかしこも淫液の沼にどっぷりと浸っている。 祐一は、今度はやや大胆に指を押しつけた。感触はプリプリッとしていて、耳たぶのそれと似ている。外側よりも内側のほうが感じるのか、そこに指が触れるたびに亜美の太腿が震えた。時折、短い吐息もこぼれる。 「ああン、そんなさわりかた……」 男を悩殺するために作られたような形状の尻が動いた。濡れた女性器を指でいじくられては、そうじっとしていられるものではない。 咄嗟に祐一は指を離してしまう。尻のくねつきを拒絶の意味と取ったからだった。不安げな顔が亜美を覗きこむ。 「大丈夫よ。痛いわけじゃないから」 「うん」 「祐一の好きにさわっていいの」 「でも、どうしたらいいかわかんないよ」 「真んなかに溝があるでしょう」 そう言うと、亜美はスカートをさらに引きあげ、裾が落ちないよう腰の部分で固定した。それから両手を臀部にまわし、左右に割りひろげてみせた。 「どう、見える？」 「うん。す、すごいや」 卑猥な光景だった。淫裂の内部はもちろん、肛門までがもう丸見えだった。単なる美人のさらに上をいく美貌の女が、彼の義母が、排泄のための孔を自らさらしている。 「……まるで洞穴みたいだ」 「そこを上下にさわるの。でも、なるべく優しくね。女性のその部分はデリケートなんだから」 「うん、やってみる」 「いい？ そっとよ」 必要以上に念を押したのには別の理由もある。激しくされたら、淫らな声を抑えられる自信がなかった。それでも祐一の指が触れると、悩ましげな喘ぎがいやでもこぼれた。 指が動く。亀裂に沿って何度も上下する。 「こ、こんな感じでいいの？」 「ええ。そう、それでいいの……上手よ」 半分は彼を喜ばせるための世辞だったのだが、強い性感があるのも事実だった。ぎこちない接触がかえって愉悦をはこんでくる。 「いいわ、とってもいい……ママ、感じちゃう」 「そんなにいいの？」 「祐一が優しくさわってくれるから、そうなるの」 愛液の分泌もおびただしくなった。あたかも腹をすかせた乳児の口元のように、淫裂の内も外もドロドロになる。不器用なさわりかたがどうにも気持ちよくて、じれったい感じがたまらなくって、腰が左右に動く。 「……ねえ、今度は別のところも」 「どこをさわればいいの」 「上のほうに小さな突起があるでしょう？」 目を凝らして探る必要などなかった。性感の高まりとともに淫裂が口を開け、爪先ほどの大きさの肉芽が顔を覗かせている。 「そこもさわって、指でグリグリするの」 「こ、こう？」 祐一の指がそこに触れたとたん、亜美の背中がのけぞった。 「ああァーン！」 ダンボールの積まれた部屋に淫声が響く。 「ごめんなさい、痛かった？」 「……ううん、違うの。そうじゃないの」 逆だった。痛みとは正反対の感覚があるから、つい声が出てしまったのだ。強い性感だからのけぞらずにいられなかったのだ。 「もう一度さわって。そこ、指でやって」 まだ臆した面持ちで祐一は愛撫を再開した。 亜美は右手を口元に押しつけ、声を押し殺そうとする。だが、無意味な防御だった。かえって熱っぽい鼻息がこぼれ、身体の震えが止まらなくなる。祐一に触れられているクリトリスが疼き、身悶えの動きとともに長い黒髪も揺れる。 母の嬌態を目と耳で楽しみながら、祐一は無心で肉芽を押し潰した。女という生きものの魅惑に、素晴らしさに、すっかりと圧倒されている。 普段の亜美は口数が少なく、容姿以外は地味な印象の強い女だった。かといって陰気な感じがするわけでもなく、常に品のある笑みを口元に浮かべ、物腰も柔らかい。校外授業の美術館で聖母の肖像画を見たことがあるが、聖母の化身とはこんなものか、と思ったほどだ。 けれども、今の彼女は聖母とは正反対の容貌だった。淫裂への愛撫だけで、ほんの指一本の接触だけで、狂乱している。たまらなくなっている。 「はァン、そこ、いい……オマ×コ、いいッ！」 色っぽくかすれた美声で淫語まで口にする。 祐一は興奮した。性交とは、これほどまでに女を豹変させるものなのか。だが、そのような義母をはしたない女だとは思わない。普段が貞淑な美人だからこそ、淫裂いじりでよがり泣く姿もよけいに魅惑的なのだ。興奮を誘ってやまないのだ。 「ンンゥ……ね、ねえ。指だけじゃなく」 祐一の知っている義母とは別人の声音で亜美は言った。 「舌で、今度は舌で」 彼女が望んでいることを祐一はすぐに実践した。目一杯に伸ばした舌を溝に埋め、忙しく上下に動かし、肉芽を舌先でころがす。がむしゃらに舐める。 頭で考えてやったことではない。単に無我夢中なだけだった。けれども、その粗暴さがよけいに性感を熱くして、亜美は自分から尻を突きだした。言葉ではなく身体でもっとやってとせがんだ。 「いいわ、これ。指もいいけど、これはもっと好き……気持ちいい」 「そうなの？」 「そうよ、男の子だって同じでしょう」 全開の窓から風が入りこんでくる。だが、外には人も民家もない。二階の部屋で尻を露見させた若妻を窃視する目もない。 「オチン×ンを舐められるほうが指よりも感じるでしょう」 「僕、わかんないよ」 「祐一くんはそういう経験ないの？」 「え、経験って」 「言葉通りの意味よ」 亜美は、首を後ろに捻って祐一を見た。 「女の人とセックスをしたり、オチン×ンを舐められたり……ってこと」 祐一は何も答えない。だが、それ以上は問いただす必要などなかった。中学生の彼にそういった経験があるとは考えづらいことだった。 「そう……そうなのね。知らないのね」 今度は身体ごと向きなおって祐一と正対する。新たな好奇心が彼女のなかに芽生えていた。 動作のためにスカートの裾が落ち、ノーパンの股間が隠される。しかし、それはほんの数秒だった。亜美は自らスカートのホックを外し、足から抜き取った。 「こんなのは邪魔」 息を詰めて緊張する祐一の前で、亜美はさらにノースリーブを脱ぎ捨て、ブラジャーも身体から外した。血の繋がりのない息子の前で全裸になる。 「す、すごいよ……ママの胸」 量感と美しさを備えたＤカップの胸に祐一の視線が刺さる。 「すっごく綺麗だ」 「さわりたい？」 祐一の首が縦に動いた。 「いいわ。祐一がしたいのなら、さわらせてあげる。でもね、今はだめ。まずはわたしの用事をすませてからよ」 「用事って、何を……あ」 言葉の途中で祐一の姿勢が崩れた。亜美が、前置きもなしに身体にのしかかってきたのだった。彼女の乳房がデニムの太腿に、指が股間にそれぞれ当たる。 「祐一のここにあるもの、見てもいい？」 遠慮がちの口調だが、丸い目は期待で輝いている。 「ね、お願い」 「でも、恥ずかしいよ……」 「そうね、確かに恥ずかしいでしょうね。でも、男の人に下着を悪戯されるほうがもっと恥ずかしいことだわ」 「え？」 「知ってるのよ、わたし。祐一が脱衣所で何をしてたのか」 驚きと動揺のために祐一の肩が揺れた。 「人のパンティをあんなにベトベトにして……」 「ご、ごめんなさい」 「いいのよ、別に責めているわけじゃないの。ただね、わたしだけ悪戯されっぱなしじゃ不公平でしょう？」 「ママ……」 「わたしだって悪戯したいわ」 股間の膨らみに手のひらをかぶせ、デニムの生地越しにしばらく擦ってから、ファスナーを引きおろした。 祐一は顔を伏せて恥じらったが、それ以上の拒絶はしなかった。あたかもプレゼントを開封する子供のように、亜美はデニムを引きおろし、ブリーフごと足から抜き取ってやった。眼前に顕現した男の性器に顔を寄せる。 「すごいわ、こんなにおっきくなってる」 不敵な笑みが自然と浮かんだ。 「中学生のくせに、ここはもう立派なオトコね」 「ああッ、ママ……」 「たまらないんでしょう？」 祐一の男根と顔を交互に見据える。だが、実際にたまらなくなっているのは亜美のほうだった。 すぐに彼女は自分のやりたいことを行動に移した。白い指を太幹に巻きつけ、強すぎず弱すぎずの力加減で上下にしごく。 「うああ……ッ」 祐一の口が半開きとなっている。 太さと強度を指で確かめると、次に亜美は、勃起に顔を近づけた。けれどもすぐには口に含まず、血管の浮き出た茎に頬擦りをし、首筋や額にも押しつけ、男だけが持つ匂いを鼻孔で味わった。夫にだってこんな真似はしたことがない。愛撫の合間に数回ほど軽く舐めた程度である。 相手が年下の子供だという優越感が、彼女をより淫らな気分に、より大胆にさせていた。いやらしいことで少年を圧倒するのは楽しかった。 「どう、自慰なんかよりぜんぜん興奮するでしょう？」 ゾクリとするような目で祐一の顔を見あげながら、赤い舌を伸ばして茎の横腹を舐める。それだけで中学生の息子は枯れた声をもらし、腰を震わせるのだ。亜美が何をしても彼は喜び、その喜びは強い性熱となって亜美自身にかえってくる。新たな愛液がとくとくと膣から溢れ、自分の意思とは無関係に尻が揺れる。 もっと大胆なことをしてやりたい、自分が気持ちよくなるために祐一を喜ばせてやりたい。その感情はそのまま舌づかいにあらわれ、亜美は、亀頭のくびれた裏側を丹念に舐め、茎全体を涎で浸し、睾丸にも舌を這わせた。息子のキンタマをペロペロ舐めた。 「ああッ、ママ……す、すごいよォ！」 激しい台風の中心で祐一は吠えた。あの亜美が、結婚当初からひそかに憧れていた美しい義母が、彼の股間に顔を埋めている。ペニスどころかキンタマまでおいしそうに舐めている。しかも、乳房も尻も丸だしの全裸である。 これ以上の感動などない。舐められている勃起も睾丸も、息づかいも、太腿に当たる乳房の感触も、すべてが最高だった。あまりに桁外れな興奮のため、射精感が迫っていることさえ忘れている。 「え……う、うわあッ」 ようやく声を発したときには、もう噴出がはじまっていた。白い飛沫が亜美の美貌を汚し、黒髪にも張りつき、残りはダンボールの側面に飛び散った。 亜美は、彼が勝手に射精したことを咎めたりはしなかった。どころか甘い笑みを浮かべ、顔じゅうの白濁を指で拭い、彼に見せつけるようにして舌で舐め取ったのだった。恥液の残った亀頭にも唇をかぶせた。重そうな乳房ごと頭を前後させて、熱心にしゃぶる。 祐一の首がのけぞった。射精直後の勃起を咥えられるのは強烈な刺激だった。すぐに男根が生気を取り戻した。 「わたし、母親失格ね」 何がきっかけで理性が戻ったのか、亜美はふと顔を起こしてそんなことを言った。数滴の精液が首筋に張りついている。 「息子にこんなことするなんて」 「そんなことないよ、ママは最高だよ」 「隆道さんにだってあわせる顔がないわ」 「親父は関係ないよ、ママはママだよ」 「……ありがとう。でもね、やっぱり母親失格」 自嘲気味につぶやいた。 「今だって、とんでもないことを考えてるもの」 だからこそ迷いがあるのだ。すでにさんざんペニスに悪戯をして、淫裂まで舐めさせた。性感だってこれ以上ないほどに燃えさかっている。 状況が状況なら、今すぐ挿入を求めていたに違いない。相手が夫なら、そうしただろう。だが、彼は隆道ではない。夫とは別の身内の男である。これ以上先へ進むのはやはり躊躇があった。溺れてしまうのが自分でもわかっているから、怖かった。 「きっと祐一だって軽蔑するわ」 「しないよ。僕、ママのこと大好きだもん」 「冗談を言わないで」 亜美は、祐一の顔から視線をそらした。窓の外で常緑高木の枝が揺れている。今の彼女の心と同じように、強い風にさらされて揺れている。 「冗談なんかじゃないよ、本当のことだもの。僕、ずっと前からそうだったんだ」 「祐一」 「普段のママも好きだけど、いやらしいママはもっと好きだ」 「だめよ、ずるいわ。祐一、ずるいわッ！」 理性の境界線で踏みとどまっていた亜美の身体が動いた。思考とは無関係に動いた。勃起したペニスを持つ男にそんなことを打ち明けられては、もうじっとしてなどいられない。 すばやい動作で祐一の腰にまたがり、最後にもう一度だけ躊躇してから、勃起に右手を添えた。隆道への愛が隠滅したわけではない。妻として、また母としても、それが許されない行為だということも理解している。そんなことはわかっている。 けれども、これ以上は自分自身を抑制することなど不可能だった。それでもという気持ちのほうがはるかに強かった。それでも挿入がほしい。目の前にある硬くて太いものがほしい。人間失格の烙印を押されてもいいから、それがしたい。 「え、ママ」 咄嗟に祐一は何かを言おうとしたが、そのときにはもう義母の尻が落ちていた。亀頭が膣溝にめりこみ、深く入り、女の体内に埋没する。 「はァン、これ」 ふたつの大きな乳房が震える。 「……許して、祐一。わたし、だめなの。ずっとこればっかり考えてたの……これがしたかったの」 泣きながら喜んでいるような声だった。 「祐一はきらい？ こんなスケベなママ、きらい？」 「きらいなわけないよ」 ふたりの視線が重なった。どちらも潤みきった目である。 「最高だよ、これ。こんなのはじめてだ」 「わたしも変になりそう」 「僕、ママじゃなきゃいやだよ、ほかの女の人じゃいやだよ」 「ああン、祐一ッ！」 義理の息子のその言葉を耳にしたとたん、亜美のなかにあった最後の理性が消えた。ありとあらゆる常識的な感情が霧散して、真っ白になって、膣に刺さる勃起の感覚だけが彼女に残された。 尻が前後する。曲線と丸みだけで作られた若妻の裸身が揺れる。 「ゥあン、ああァン、い、いい……」 この世でもっとも淫靡な女の声を耳にしながら、祐一も重く呻いた。魅惑的なのは声だけではなかった。尻を中心にしてクネクネと蠢く下半身も、弾む乳房も、とんでもなく美しくて、とんでもなくいやらしい。義母が動くたびに、はめ入れたペニスに襞が吸いつき、内部が蠢き、変幻自在の膣緊縮で彼を楽しませる。 自然と祐一の手が乳房に伸びた。 「ンンッ……そうね、約束だものね」 亜美は上体を前のめりに倒し、彼が乳房をさわりやすいようにした。性熱の蓄積された膨らみを強く揉まれる。 「ムニュムニュだよ、これ。ママのオッパイ、こんなだったんだ」 「ずっとこうしたかったんでしょう？」 「うん。このオッパイにさわりたかったんだ」 「いやン……でも、嬉しいわ」 亜美はさらに身体を倒し、乳房を彼の顔に押しつけた。 「嬉しいから、こうしてあげる」 尖った乳首が口内に埋没する。それ以上は特に指示する必要もなく、祐一は自分の意思で舌を動かしはじめた。 少年の上に騎乗した女の背中が震える。深い情交のなかで乳首を苛められるのは、別天地の気持ちよさだった。 「ねえ、もっと……こっちも」 いったん性器と性器の結合を許し、敏感な胸の尖りまで舐められてしまっては、亜美としても節度のある言動を取ることなど不可能だった。右につづいて左の乳首も彼に与え、彼女はしきりに腰を振り乱した。なぜこれほど感じてしまうのか、自分でもわからない。近親相姦の罪悪が淫の起爆剤となっているとしか説明のしようがなかった。 「あァン、祐一の……なかでビクビクしてるゥ」 豊満な尻が前後に動き、８の字に動き、上下にも跳ねる。亀頭のくびれが膣口に引っかかる強い感覚に、新たな声が出る。 ペニスで貫かれる部分からブチュブチュと卑猥な音がたち、もれ出た淫液が祐一の陰毛から陰嚢までを濡らした。その音が腰振りの動きをさらに乱すのだ。ふたつの乳房も少年の涎でベトベトになる。 「ママ、今度は僕が」 胸の谷間に顔を埋めたまま祐一は言った。 「僕も動きたいよ、後ろからママに入れたいんだ」 亜美は驚いた。彼女がまったく予想していなかった祐一の言葉だった。けれども、彼女がひそかに望んでいたことでもあった。 「犬みたいなポーズでママに入れたい」 「あン。祐一、いやらしいわッ！」 口調とは裏腹に勃起を抜去し、彼に尻を奉じるために脚立に手を伸ばそうとする。亜美にしても、自分が一番感じるその体位でペニスを受け止めてみたかった。 しかし、身体が満足に動かない。足腰にまったく力が入らない。 少年の上でしきりに腰を振り、乳房も苛められ、すでに何度となく軽い絶頂に見舞われていたのだ。そんな状態で無理に立ちあがろうとすれば、いやでも足がよろめく。ダンボール箱に背中や肩がぶつかる。 亜美は壁にしがみついて崩れそうな姿勢を支えた。しかし、彼女の目の前にあるのは壁ではなかった。青い空と田舎の景色だった。 すぐに少年の影が背後に迫った。 「え、待って」 尻を揺さぶって拒もうとするものの、後ろから身体ごと圧された状態では、逃げようがない。むしろ、尻を振ったことがかえって逆効果となった。 偶然、亀頭が膣口に当たり、祐一は少しの迷いもなく突き入れた。 「ゥああーン」 亜美の背中がきしんだ。挿入の衝撃に押されて、乳房から上の裸身が窓枠の外にせりだす。 かまわず祐一は腰に力をこめた。膣の最奥までペニスを埋め、襞を巻きこむようにして半分ほど引き、また押し入れる。強烈すぎる淫裂の締めつけのため、挿送の動きも自然と容赦のないものとなった。 腰と尻がパンパンと音をたててぶつかる。全開にした窓の前ではめられる。 「ああン、だめ、見えちゃう……み、見られるうゥ」 「だめだよ、僕、もうやめられないよォ」 亜美は右手を壁に当て、左手では窓縁を強く掴み、なんとか姿勢を維持した。しかし、上半身は依然として屋外に出たままだ。乱れた黒髪も窓の外で揺れている。 いくら民家のない山の高台とはいえ、陸の孤島というわけではない。やや離れた場所には農家もあるし、郵便配達員がやってくる可能性だって、絶対にないとは言いきれないのだ。もしも人が通ったら、どうなるのか。 わかりきったことだった。庭先から聞こえる色めいた女の声を耳にすれば、無視して素通りする男などいない。 彼らが二階に目を向けただけで、窓辺で性交する美人妻の裸身を容易に発見することができるのだ。悩乱する顔を、揺れる乳房を、塀の隙間から、木立の陰から窃視される。きっと色情狂の女と思われるに違いない。その危険はこうしている今も常にあるのだ。 にもかかわらず、亜美は行為を中断しなかった。窓から離れることもなければ、祐一を制止しようともしない。 いたわりなどない激しいだけの挿入だから、思考が肉体に追いつかない。どこまでも際限なく墜ちる。光りながら燃える流星のように落下する。 「ゥああン、す、すごォい！」 物干し台のある庭に甲高い声が響いた。 亜美は夢中になった。こんなにも感じる性交など過去に経験がなかった。危険ととなりあわせの状況ではめられるのがいい。血の繋がらない息子に犯されているのが、たまらない。 こんなことを考える自分は変態なのではないか、とも思う。かといって、言葉や感情でどうにかできる状況ではないし、どうにかしたいとも思わない。変態じみたこのセックスを終わらせたくなかった。おびただしい汗が背中や乳房を、飛び散る愛液が下半身をそれぞれ濡らし、女の裸身が卑猥なぬらつきの色で覆われる。 「いいわ、これいいッ、好き……オチン×ン好きィ！」 やがて絶頂が近づいてくると、自分が非常識な場所で交接していることさえ頭から消えた。乳房が窓枠に擦れてひどく痛いが、かまいはしなかった。 「オチン×ン、いいッ。ズブズブがいいッ」 「ママ、ぼ、僕もう……」 「あァン、イキそうなの？」 「出ちゃうよォ」 不意に車のエンジン音が家へと近づき、窓の位置からは死角となる場所に停車した。ラフなジャンパー姿の中年男がおりてくる。 来訪者の存在など少しも気づかず、祐一は延々とペニスを突き入れた。亜美も尻を揺さぶった。ともに絶頂寸前であるから、動きに遠慮がない。 性器と性器の擦れあう感覚だけが今のふたりのすべてだった。ほかには何も感じない。何も見えない。玄関の扉が開いた音すら聞こえていない。 「きて。祐一の熱いの、ママにかけてェ！ オマ×コにやって！」 女の嬌声は階段の下にもはっきりと届いた。 驚きのために一度だけ歩みを止めたあと、男の身体が動いた。足音を消して二階へとあがってくる。黒い影が部屋のすぐ手前まで迫る。その男とは祐一と血をわけた肉親のことであり、亜美のよく知っている身内の人物のことだった。 |
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| 2011.8.12掲載 |
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