−２−

　自宅を出た弘志は、落着かない一日を過ごしていた。
「ただいまぁ〜」
　新しい住居に帰る弘志の声は、幾分緊張気味に震えているようだ。
「は〜い、開いてるわ」
　駆け寄る静香の声に弘志は誰なのか聞き分けがつかないでいる。
　ドアノブを押し開けるとぶつかるほどに急接近。
「あっ」
　驚く弘志に静香は意図したように身体を押し付けてくる。
「お帰り…お腹すいたでしょう」
「よろしく、お願いします」
「こちらこそ」
「みんなで夕食用意してたのよ」
　さすがに薫とは似ていないが、花盛りそのままの美人である。
「ネクタイはずしたら」
　静香は弘志から引き剥がすようにして学生鞄をひき取ると足速に去っていく。
　真っ白なテーブルクロスに覆われた大きなテーブルにはところ狭しと料理が並んでいる。
「お世話になります」
「ようこそ、いらっしゃいませ」
　料理を一皿運んで、おちゃめに応えたのは妹の玲子。
「今日は歓迎パーティだから特別…」
　テーブルにちらっと目をやると忙しそうにキッチンへいく。
「直ぐできるから、座ってまってて」
　薫がキッチンから叫ぶように声をかけてくる。
「はい」
　弘志は薄い生地の衣服が身体の線を追うように纏わりつかせた、よく似た姉妹に驚いた。
　小学生の幼い子供ころのに見た記憶とは大違いの成長を成し遂げて、近づきがたいほど綺麗な大人になっている。

　にぎやかで華やかな夕食、食べきれないかというほどの料理もペロリとたいらげ、初めてのワインが弘志を有頂天にした。
　食事の後の女の匂いに満ちた入浴も弘志を夢の世界に誘ってくる。
「今日はこれで…」
　薫の宣言でそれぞれの部屋へ行く。
　弘志は宅配で送り届けられた荷物を解くこともなく大きなベットに酔った体を横たえると、あっという間にうとうとしてまう。

「まぁ、着替えもしてないじゃない」
　夢の中の弘志に声を掛ける女の声。
　細い指がやさしい手付きで弘志の身体をまさぐるように衣服を解き放っていく。
「だらしないのねぇ」
　夢心地で股間を緊張させた弘志、細い指はズボンのバンドを緩めるといきなり引き下げようとする。
　動きが止まり一呼吸おくとチャックに手が掛かる。
　熱いものをなぞるようにして引き下げられたチャックの動きに、ビクンと反応する。
「あっ」
　驚きの声にも弘志は夢心地、白いブリーフを元気に持ち上げている。
　かろやかに弘志の股間をまさぐる指、ブリーフの合わせ目をくぐらされ、いつのまにかむき出しにそれている。
（まぁ、たのもしい）
　艶をもち、はちきれるほどに充血した砲弾に大きな段差、薄皮をからめるように段差をゆっくり往復する指。
　指が根元に移り、しっかり挟み込むと砲身を標的を狙うかのように起こされる。
　ねっとりした熱いものが切っ先をチロチロと往復する。
　ビクン、ビクンと跳ね上がると太さまでも増す元気さ。
（すてき）
　舐め取られる透明な粘液、止め処なくあふれ出るものが、つぎつぎと舐め取られていく。
　大きくくびれた結び目に、ねっとり熱いものが蠢くと粘液は滴るほどに量を増す。
　熱く硬い砲身が両手で絡めるように支え持たれると、砲弾はスッポリ包まれると脈を持った砲芯が疼きだしてくる。
　包まれた砲弾は、ねっとり熱いものと共にこだわりのない激しい動きに翻弄されていく。
（あぁ〜、いとおしい）
　まったりと情熱のこもった蠢きが、いつ終わるともなく続くと、砲芯をたどるようにして滴る唾液は量を増している。
　支えていた指の蠢きが引き下がると砲弾を包んでいたものが、どこまで届くのかというほどに砲芯を絡めとられていく。
　やわらかく咥え取られたままの往復され、砲芯が裏返るかというような奥底まで響く吸引に子種を蠢かされてしまう。
　再び、いとおしげに砲芯が細い指に絡め取られると、強い吸引のまま熱いものが激しく砲弾との段差を往復すると、熱く硬い砲芯がドクドクと蠢いて勢いよく放出されたものに穢される。
　喉の奥底に消えた穢れ、放出の後も変わらず続けられる往復。
「うっ」
　夢心地で声をあげた弘志。
‘あっ’という間もなく何もかもがチリのように消えてしまうと、バタンとドアの音。

　４人そろった朝食は、弘志の疑問がうそのように自然である。
　この日、夜中早くに目覚めた弘志には衝撃が襲っていた。
　着ていたはずの衣服を脱がされたうえ、パンツから男のシンボルを投げ出したままに目覚めた、そのうえ根元には赤い紅色まで残っていたのである。
　頭の中に渦巻く疑問を口にすることもできず、ぼんやりした記憶の中にあるのは、バタンと閉まる扉の音ばかり…。

つづく