O・ヘンリーの「運命の道」では、主人公が歩いていくと、右へ行くか、左へ行くかの選択を迫られる。その上、引き返すという道まで用意されていたが、全て結末は同じ。 進はこの小品が好きだ。 本当の人生では、いつも、一つの道の結果しか見る事ができない。 もしかしたら、どの道を進んでも、結果は同じなのかもしれない。 予備校に通っていた時、進が英語の勉強のために読んだ本だった。 時間が流れ、進の帰国前日となり、進はこの1年を振り返っている。 無事、研究成果を出し、有名な工科大学のマスター資格を修得した。 さすがに、ドクターは会話から始めた進には、1年では無理だったが、会社も充分に評価してくれた。 律子とは、婚約後の夏休みの１週間は地元で、正月（クリスマス）の1週間は、東京と箱根で過ごした。 そして、メールのやり取りは、律子を進の理想の奴隷としての資質を失わせなかった。 結婚式は6月の7日、土曜日と決まり、式場も決定している。 媒酌人は、進の所属する開発グループの部長に、一応、電話で頼んであり、返事も貰ってあった。 5月の連休に、律子と挨拶に行くことになっている。 全て、順調に事が運びつつあった。 律子の協力、進の努力は、１つの結末に向かっている。 こうなる、運命だったのだと、進は思い、それが進の思った通りであることに満足だった。 帰国後の進は、公私とも、目が回るほど忙しい。 会社での、研究に関する発表、電話とメールでの、式についての調整、新婚者の社宅の確保、旅行の計画等々、挨拶状、結婚式の招待状など含めたら限が無い。 4月の終わりに、1度、地元に帰り、式場との調整、家族へ結婚後に住む場所などを説明した。 今から、間に合う花嫁道具を、律子と律子の母親と共に見に行ったり、律子のウェディングドレス姿の撮影に、進自身もタキシードを着て写った。 律子のウェディングドレスを着た姿は、進が見ても息を飲むほど、美しいものだった。 写真館の主人が、写真を店頭に飾らせて欲しいと言ったのは、極めて当たり前だろう。 それも終え、律子と共に上京して、媒酌人である上司の自宅を訪問する。 「進君、綺麗なお嬢さんを見つけたな。気立ても良いし。おめでとう。結婚式を楽しみにしているよ。」 「はい、ありがとうございます。奥様も本当によろしくお願い致します。」 2人が頭を下げる。 「いいなぁ、若い人は。どんどん、幸せを自分の手に捕まえていく。」と上司が、その妻に言った。 「そうですね。素晴らしいご夫婦になるのでしょうね。」と優しい笑顔で、2人を見ていた。 夕方、上司の家を出て、予約してあるホテルに入る。 翌日から、進は6月の3週間ほどを休むために、こなさなければいけない仕事が、山ほどある。 果たして、10日ぐらいで片付けられるのか。 ホテルの部屋で、久しぶりに2人がいた。 「律子、幸せかい。」 乳首のピアスを弄びながら、進が聞いた。 「はい、ご主人様、夢のような毎日です。」 「うん、旅行だが、一応、海外も考えたが、私は気がのらない。実は、海外の方が安い。変な話だ。北海道へでも、行ってゆっくりしようと思うがどうだ。」 「ご主人様の仰せのままに。でも、私も、北海道へは、ゆっくりと行ってみたいです。」 「じゃぁ、決まりだな。5泊の予定だ。式翌日の飛行機で行く。」 「はい、わかりました。ご主人様。」 「律子、服を脱がせてくれ。」 「はい、ただいま、ご主人様。」 律子が、スラックスを脱がしている時、進は眠ってしまった。 それでも、律子はいつものように、進の体を、舌と唇で掃除をした。 足の裏を舐め、全てが終わっても、進は起きる様子は無い。 「ご主人様、失礼致します。」と言って、その日は進の胸に顔を埋めて、律子は眠った。 翌日の朝、AM７：00アラームが鳴る。 進は9時から仕事で、律子自身も9時半の飛行機で帰る。 「おはようございます。ご主人様。」 律子は進の乳首にキスをした。 「あぁ〜、夕べは寝てしまったなぁ。もったいないことをした。」 律子の体を仰向けにさせて、乳房を揉みながら言った。 時計を進が見る。 「時間がないな。律子、口でしてくれ。」 「はい、ご主人様。」 ペニスを律子が口にすると、すぐ、放尿が始まる。 律子はきれいに飲み干した後、ペニスを舐め、口に含み直し、フェラチオを始めた。 進のいくら寝ても、今は取れない疲れは、その反作用であっと言う間に、律子の口の刺激で勃起させられた。 「律子、お○んこを使おう。」 「どのような、姿勢を取りましょうか。」 「律子が上で、腰を振りなさい。」 「畏まりました、ご主人様。失礼致します。」 進の上に跨り、ペニスに手を添え、一気に体に収めた。 「アウ〜。」 進の足に両手をおき、体を支え、腰を振る。 「アア〜、アイ〜、イイ〜、イイ〜。」 律子の声が10分ほど響いた。 律子の肉は、進を満遍なく包み込み、ペニスの先端が子宮に当たるのがわかる。 もう5分ほど、律子が快楽を貪るように、腰を振りつづけていると、「律子、口だ。」と進が命じた。 律子は、すぐにお○んこから、ペニスを抜き、手で支え、進の好みのフェラチオに戻る。 数秒後に口の中に射精され、精液で口の中が一杯となった。 律子は唇をペニスから離し、少しずつそれを飲み込んで行く。 30秒ほどで、全部飲み込み、再び、ペニスに舌を伸ばし、掃除を始めた。 その日から、進は仕事で身動きが取れない状態になった。 帰るのも早くて、夜の10時、遅い時は深夜の1時などと言う日もある。 進は、仕事を後1週残した土曜日に、新婚者の多い社宅に引越しをした。 その日には、律子と進の父親が、そこに来ている。 「さすがに、大きい住宅メーカーの社宅ですなぁ。3LDKもあり、最新の設備もある。」 律子の父親が言った。 そこは、まちがいなく、同様な施設を持った賃貸マンションだと、15万以上取られるもので、3万5千円が社内規則で決まった使用料である。 荷物が、予定どおりの時間に届き、食器棚、ダブルベッド、蒲団、テーブル、その他の新品の家具と大きな電化品、冷蔵庫、洗濯機なども、男3人の頭で、悩みながら、運送屋に指示を与え、設置してもらう。 やがて、進が手配した電化製品、TV、シャンデリア、電話、などが届き、それぞれも設置され始める。 最後に、進の独身寮から、パソコン、書籍、衣服なども届き、全て、任せられるものは運送屋にやってもらい、終わったのが、午後4時を回った頃だった。 「りっぱな新婚さんの新居だ。」進の父親が言う。 「そうですね。私たちの時とは、大違いですな。」律子の父親が笑った。 その日は、3人で食事に出かけ、式の最終の打ち合わせを行い、父親2人はホテルに泊まった。 明日の午前中の飛行機で帰るらしい。 夜、律子に電話をかけ、家具等が届き、こちらの家が住める程度になったことを伝えた。 「律子、悪いが本当に疲れている。明日も１日、寝るつもりだ。」と伝える。 「ご主人様、お疲れなのは、わかっております。ゆっくり、お休みください。」 進は、律子と出会い初めて何も命令せず、電話を切った。 進の１週間は矢のように過ぎ、6月の４日から3週間の休みに入る。 5日の朝の飛行機で結婚式のため、帰る予定だ。 （もう、取りあえず、することはないな。律子には最良の日だろうが、私は途中で寝てしまうじゃないか。）と思い、進は苦笑いを浮かべた。 結婚式当日、神式で神主を前で、それぞれの父親が、肉親、親戚の紹介をしている。 律子を見ると、角隠しの衣装だった。 進は、控え室で飲まされた日本酒で、眠たくてしかたがない。 とうとう眠ってしまい、2人で誓いの言葉を言い、結婚指輪を交換する場面で隣の由美子に起こされた。 進を知る安達家の人間は、大笑いし、厳粛な雰囲気がまったく、吹き飛んだ。 律子の父親は、「本当に、お疲れでしょうから。」と、平謝りする進の父親に言った。親族、全員で取る写真中に、父親に、「ばかもの、もう寝るんじゃないぞ。」と何年ぶりかに、父親が進を叱った。 「すみません。」と父親に謝ったのも何時が最後だったか。 披露宴が始まる。 進のタキシードに、律子のウェディングドレスがつづいた。 （まぁ、きれいなお嫁さん。本当にきれい。） 律子への賛辞が飛び交う。 進と律子の友人が拍手で迎え、新夫婦に何度もフラッシュが光った。 ビデオも式場関係者が取っている。 さっきの居眠りも取られたらしい。 式は順調に進んでいく。 上司の媒酌人が、進の未来が輝いていると言い、そして、今までの方には、失礼だが、私が拝見した中では、一番、賢く、美しい女性を奥さんとし、ますます、未来は明るい。との内容の挨拶に場内が、沸いたり、聞き入ったりしていた。 それからは、律子が勤めていた事務所の県会議員の挨拶があり、友人代表のお祝いの言葉などが続き、段々、場が明るい雰囲気となってきた。 しばしの中断に、会場にいた友人が、進と律子に何杯もの酒やビールを飲ませようとする。 その時、久美が上がってきた。 「進さん、律子さん、本当に、ご結婚おめでとうございます。お幸せを祈っております。」 2人のグラスにビールを注ぐ。 そして、律子の耳に手をやって、「律子さん、かわいい奴隷妻になってね。」と言い、ウインクをした。 「はい、久美さん、ありがとうございます。」律子が答える。 2度のお色直し、そして、キャンドルサービス、ケーキへの入刀、式は淀みなく進む。 最後に、両親への花束への贈呈となった。 律子がマイクの前で、両親への感謝の言葉を贈っている。 その言葉は律子の優しさ、賢さ、愛情深さが、散りばめられていて、その美貌どおりの女性であることが、聞いている全ての人に伝わる素晴らしいスピーチだった。 花束を両親に渡す時添える。 「お父さん、お母さん、本当にありがとうございました。」 律子が、今日初めて涙を零した。 うん、うん、と父親が声にならない言葉で答え、母親が言う。 「律子、進さんに、幸せにして頂くのよ。」 「進さん、律子を幸せにしてやってください。」 父親が、握手を求める。 「わかりました。必ず、律子さんを幸せにします。」 父親の手に握手を返した。 2人は今日泊まるホテルの部屋にいる。 友人達との2次会までの時間は、1時間しかない。 「律子、綺麗だったぞ。」 「ご主人様のおかげです。私は、何度も、何度も沢山の方に言われました。「段々、綺麗になって行く。」 全て、ご主人様が私を変えてくださったのです。」 「律子、もっと綺麗になれよ。」 「ご主人様の奴隷として、奥様として、律子をもっと染めてください。」 女性の幸福を全て手にした律子は、進の靴に長いキスをした。 （ 完 ） |
| 2011.10.1掲載 |
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