１２

　『目撃者がいる』と聞いたときには、正直半信半疑だった。
　…というのは、数日前に起きた殺人事件の話。

　深夜の闇に紛れて、標的の急所を一撃のもとに斬る。まるで時代劇のような手口。今回は社会的に立場のある人間ではなかったけれども、『共通点』に気づく人間もやはり多かった。
　ただ、あまりに見事すぎる手口、手際のために今まで目撃情報がまるでなかった。けれども、会社にかかってきた電話の男は、『先日の事件で、現場から立ち去る車を目撃した』とのことだった。

　車の中で、今回起きた事件のことを考えていた。前回は、代議士になるはずだった男が殺害された事件、そして今回は一介の中学教師が殺害された。
　社会的立場ではまるでかけ離れた二人ではあるけれども、『手口が良く似ている』というのはあまりにも不自然だった。
　そこで、わたしはどうしてもその秘密を探らなければならなかった。
　『見事すぎる手口』、『闇に紛れて消え去る手際』。それらを考えれば、犯人がどういった人間なのか分からなくもない。

　『殺人のプロ』ではないか、と思う。古臭くて自分でも笑いたくなるほどお粗末な推測だけど、そう考えるしかないと思えた。

「…ＹＴＣ。結構大きい会社みたいね。十七歳の若社長がやっているとは思えないけど…」
　貿易会社という肩書きのほうはわたしにはよくわからない。ただ、先代社長がなくなって、若い娘が継いだくらいしか、わたしには調べがついていなかった。
（そんなことはどうでもいいわね。用があるのは、『目撃者』のほうなんだから）
　わたしは、五階建ての建物の中に脚を踏み入れた。

「葉山新聞社の日下順子という者ですが、小野沢慎太郎さんはいらっしゃいますか？アポイントメントは取ってあります」
「小野沢ですね、少々お待ちください」
　清潔感漂う受付嬢、整理されたたたずまい。さすがに『貿易会社』を名乗るだけはあるかもしれない、とわたしは考えた。

　小野沢慎太郎という男性はあまり時間をおかずに現れ、わたしは応接室へと通された。
「葉山新聞社の日下です。今日はお忙しいなかお時間を割いていただき恐縮です」
　まずは名刺交換。仕事柄名刺を交換することは多いので、わたしはこういうときから人を見るようにしている。
　小野沢慎太郎という人物は、なかなかの好青年のように思えた。ルックスもいい。
「こちらこそ、事件から時間がたったうえでの報告、申し訳ありません」
　お互いテーブルを挟んで座ると、わたしは本題を切り出すことにする。
「早速ですが、先日の殺人事件…中学教師が殺害された事件について、犯人らしき者を目撃されたとか」
「…はい」
（十九歳と聞いたけど、この人、道を間違えなければ伸びるタイプね。誠実そうだし、上司受けはよさそう）
　二十五歳のわたしが十九歳の青年を評価するのも妙だけれども…。
「あの事件のあった夜、わたしは仕事の帰りに現場の近くを通りました。暗くてよく見えなかったのですが、十字路からいきなり人影が音もなく飛び出してきて、車に飛び込むと、そのまま走り去ってしまいました」
「車…」
　彼の言うことが本当かどうかは分からないものの、人を殺した現場から離れるのにはもっとも適した手段といえる。
　警察ももちろん車を逃走用に用意していたことを考えていたものの、物証がまるでなかったために確信できなかったようだった。
（走り去る車、そして人影…複数犯の可能性が高いわね）
「人影を見たということですが、何か特徴はありましたか？」
　わたしはそれを聞いてみることにした。車の特徴は後でいいだろうし、走り去るところしか見ていないだろうから聞いてもよく覚えていないはずだ。
　小野沢という青年は、少し考えるようなそぶりをした後、こう言った。
「…暗くてよく見えなかったのは事実ですが、私よりは小柄だったように思えます。ひょっとしたら…いえ、そんなわけがないですね」
　彼は、自分の考えを振り払うかのように頭を振った。小野沢さんの身長は１７０ｃｍにちょっと欠けるくらいだろうか。男性としてはそこまで大きくない。
「…女性かもしれない、と？」
「…はい。しかし、テレビのニュースで見たあの手口を見ると、女性には無理ですよね」
　…手口。そう、それが一番の問題といえる。すれ違いざまに首をはねたり、急所を一撃したり、ということができる人間などそういるはずもない。
ましてや女性では無理なのではなかろうか、と思わざるをえない。小野沢さんが自分の意見を肯定できないのもそのせいだろう。
（ただ、この事件はさまざまな意味で非現実的だから…女性がそんなことをするような非現実があっても不思議ではない…）
　おとなしそうな少女が放火をするような事件が相次ぐ世の中であるのを、わたしは理解している。

　と、そのときドアがノックされた。閉鎖された空間に、空気が流れ込んできた瞬間のようにも思えた。
「はい」
　小野沢さんが返事をした。
「お茶をお持ちしました。入ります」
「え？」
　その声に驚いたのは小野沢さんのほうだった。別に会合中に女性社員がお茶を持ってくるくらいは普通だと思うのだけれど…。
　かちゃり、と音を立てて、お盆をもった女性が入ってきた。
（女性…というよりは新入社員かしら。まだ若いわね。小野沢さんと同じくらいか、もっと下か…）
　背中までの長い髪を肩のあたりで束ねた独特の髪型、どこか凛としたところのある顔立ち、そしてその中に見て取れる未成熟さ。
「しゃ、社長！何も、社長自らが給仕をしなくても！」
「へっ！？」
　立ち上がった小野沢さんの言葉を受けて、わたしも思わず立ち上がってしまった。
（この子が…この会社の社長ですって！？）
「社員も社長も客人に対する敬意を忘れないのは当然のことだ。他をやるにも人手がなかったからな。一番手の空いているわたしが来ただけのことだ」
　口調はどこか女性とは離れたものがあるものの、その微笑にはやはり少女らしい優しさを感じることができる。
（なるほど、彼女が雪村風花、この会社の社長なのね…）
　調べるべきことはこの会社ではないものの、わたしは彼女のことに興味を持たざるをえなかった。
「それでは、失礼します」
　雪村社長はそういうと一礼をして部屋から出て行く。お嬢様らしくどこか優雅な振る舞いだと思った。
「…社長は、自分に厳しくて他人に優しい人ですから」
「そのようですね。社長だと聞いたときには驚きましたが、その社長に社員がついてこられるわけが分かる気がします」
　わたしは素直に感想を述べた。気遣いがあり、会社経営のノウハウを分かっているし、そして美少女。これだけでも若い小野沢さんを含め、社員がついてくる気になるものかもしれない。
「…話を戻しますが」
　着席しなおしたわたしは、小野沢さんに言った。社長が来室したせいなのか、部屋の中にどこか甘い香りが漂っているのが分かる。
「手口といい、闇にまぎれた犯行といい、そして用意されていた車といい、小野沢さんが目撃したのが犯人だとすれば…やはり、今回の事件は『殺人のプロフェッショナル』が起こした事件だと見るべきではないでしょうか」
「そこまでは私には判断できませんが…しかし、あの人影…どこかで見た雰囲気を持っていたような…」
　小野沢さんは、意味深な言葉を残した。

　礼を言って応接室を辞去したわたしは、ロビーで雪村社長を見た。やはりどこか凛々しさをみせる赤いスーツ姿がまぶしく見えた。
　が、それよりもわたしが興味を持ったのは、彼女が話をしている相手だった。
　一人はスーツ姿の男、もう一人はあからさまにこの中では場違いに思える老人だった。
（一人はこの会社の社員だろうけど…もう一人はいったい…？取引先の社長かしら？）
　そして、その二人と話す雪村社長の表情もどこか印象的だった。先ほどお茶を運んできたときの顔とは一変して、厳しい表情だったからだ。
（取引が難航しているのかしら？）
　わたしはそんな考えを抱きながら、先ほどの受付嬢に声をかけてみた。
「社長と話をされているあの方はどなたかしら？」
「え？この会社の専務と、社長の相談役の浅見さんですけど…」
「…あれだけ若い社長さんだと、部下に気を遣うことも多いでしょうね」
「まぁ、わたしのほうが年上なくらいですからね」
　受付嬢の屈託のない微笑が好ましく思えた。
「ただ、この会社を引っ張っていけるのは…やはり、社長だけだなぁ、とも思います。わたしが言うのも変ですけど…」
（そうね、それはあるかもしれない）
　おべっかではなく、この受付嬢は本当にあの社長を慕っているらしい。自分より年下だというのに。

「…さて、小野沢さんが見た人影が事実だとすれば、犯人は背の低い人間…女性かもしれないということだけど…。どう考えても、女性にできるマネではないわね…」
　帰りの車の中でそんなことを考えていると、不意に携帯電話が鳴った。周りにパトカーがいないことを確認してからボタンを押すと、
「あら、どうしたの？」
　と声をかけた。相手は相棒兼恋人の烏丸翔一。細身の外見と鋭い視線、そして常に黒いスーツで実を固めることから『カラス』と呼ばれる人間でもある。
『これから逢えるか？俺のほうも、割と収穫があった』
「分かったわ。場所は…？あなたの家？了解、これから向かうわ。それから…」
　わたしは一度言葉を切った。『ん？』という翔一の返事が返ってくると、
「…報告だけで夜を終わらせたりはしないわよね？」
『カラスは光輝くものに興味を持つからな』

　都会の喧騒の中に戻るころには、すでに夜の帳が辺りを包んでいた。わたしは翔一のアパートの前で、改めて携帯電話を取り出す。
「今、着いたわ」
『カギは開いている。いい酒が入っているから二人で開けようか』
「それは楽しみね」
　浅ましくやかましい鳥のカラスとは違い、翔一はわたしとは違い、冷静沈着、そして頭脳明晰な人間だ。それがなぜわたしとこうやって付き合っているのかははっきりいって、わたし自身にもよくわからない。
　むこうがわたしの体が目的だったとしても、それはそれでわたしは幸せだし、お互いに『愛している』のとはまだ違った感情なのだとも思う。
　でも、所謂『セックスフレンド』ともまた違う気がする。わたしたちは若干複雑な関係でもあった。

「…その様子だと、報告は明日のほうがいいかしら？」
　男にしては片付けられた部屋のベッドに腰掛けた翔一を見て、わたしは言った。テーブルの上にはしっかりブランデーのボトルが置かれている。
「お前と飲むのも久しぶりだからな」
「目的はそれだけじゃないでしょう？」
「さあな」
　翔一がテーブルのグラスにブランデーを注ぐと、わたしはそれを手に取り、ゆっくりと飲み干す。
　心地よい香りと風味が口の中に溶け、強いアルコールがわたしの体を火照らせるのが分かる。
「…ふぅ、いいお酒ね」
「そうだろう？安くはなかったぞ」
　翔一も合わせてグラスを飲み干す。
「もう一杯いい？」
「ああ」
　わたしは、今度は自分でボトルを手に取ると、グラスの中に注ぎ込み、今度は一息に飲み干す…と、そのまま翔一に唇を重ねた。
「んっ…ふぅっ…」
　ゆっくりと後頭部に両手を回すと、翔一もわたしの頭を抱きしめ、唇を押し付けてくれる。ゆっくりと舌を差込み、口の中のブランデーを流し込んでいく。
　とても情熱的で甘美な香りがわたしたちの中に漂っていた。
「…んっ、気持ちいい…」
　わたしがキスの快感に酔いしれていると、翔一はそんなわたしの服を脱がせ始めた。

　ブラとパンティだけの姿にされるのに、そんなに時間はかからなかった。
　わたしは、翔一の横に座りなおすと、彼の手がそっとわたしを抱き寄せた。右手を背中から前に回し、ゆっくりと胸を揉み解してくる。
「あっ・・」
　熱いため息が漏れた。快い酔いのせいもあるのか、いつもより敏感になっている気がする。
　左手はわたしの足の間へともぐりこみ、下着の上から秘所を愛撫し始める。
「んふぅ…あっ…」
　びくん、とわたしの体が反応した。わたしは体を摺り寄せ、そして目を閉じて顔を翔一に向ける。
（ああ…もっと、キスしてほしい…）
　ほどなく、望みどおりに唇が重なったのが分かった。舌を絡ませあう中でも、翔一の手や指はわたしの胸、そして秘所を愛撫してくる。内股にして阻止しようとしても、その指の動きは止まることなくわたしを刺激し続けた。
「ん…あんぅ…っ！」
　唇がやっと離れると、わたしは大きくあえいだ。その間に、翔一はわたしのブラジャーをはずしてしまった。胸が零れ落ちる。
「…勃っているな」
　右手で乳房を包み込み、その指で先端を挟んでくるのへ、わたしは大きく声をあげて答えていた。
「あ、当たり前でしょ、こんなに気持ちいいのに、勃たないなんて、女じゃないわよ！」
「そうか。じゃあ、ここが濡れているのも、そういう理由か？」
「ひっ！」
（もう、相変わらず指技すごいよぉ…）
　パンティの中に左手が滑り込んでしまい、わたしは快楽に浸っていた。
「…そろそろ、いいか？」
　だいぶ濡れていることを確認して満足したのか、翔一がわたしに声をかけた。
「えっ？何？」
　快楽に浸りすぎていたわたしは、翔一が何を言ったのかよくわからなくて自分から聞き返した。
「…そろそろいいか、と言ったんだ」
「うん、想いっきりかき回して…」
　わたしは、自分から残された下着を脱ぎ捨て、全裸になっていた。

「…もう少し、脚を広げるんだ」
　ベッドに座ったわたしの前で、翔一が言うのに従い、わたしはゆっくりを両足を大きく広げていく。見下ろしてみると、わたしの秘所はもう滝のように愛液を垂れ流し、ただ翔一のものを待っているという状態だった。
「は、早く入れて…恥ずかしくて、死にそうよ…っ」
「そんなに入れてほしいのか？」
「意地悪…！」
　わたしは翔一をにらんだ。こういうとき、この人はいつもわたしを焦らしてくれる。最初から入れるつもりのくせに。
「ジュン…」
　不意に、翔一の体がわたしを抱きしめた。右手で首を引き寄せられると、下腹部に固いものが当たった。
「あっ！！」
　ぐちゅっ、と液体がこすれるような音がするのと同時に、わたしの体の中隅々に、挿入の快感が響き渡った。
「ああーーーっ！」
　それだけでイってしまいそうになるような快感に突き動かされ、わたしは大きな声をあげてしまった。
「…奥まで、入れるぞ」
「う、うん…」
　わたしは翔一の体を受け入れるように、両手をその首の後ろに回し抱きしめる。脚は大きく広げ、ただそれを受け入れる体勢を維持する。
　太く固い遺物が、狭い膣内を前後していく。膣壁にこすりつけられ、体がめくれ上がるような快感がほとばしる。
「あんっ、ああっ！」
「気持ちいいか？」
「うん…！すごいっ！」
　わたしの声に満足したのか、その腰の動きがどんどん早くなっていく。わたしは喜悦の声をただ狂ったように上げ、拒むこともできず、自分から腰を動かして快感に抗って…いや、従っていた。
「…ジュン、今日はどうなんだ？」
「えっ…？あ、うん、膣内でいいわ…膣内に出して！！」
「いいんだな…くっ…！」
「ああっ！！」
　わたしの中に深々と突き刺さった陰茎がびくびくっ、と震えるのを感じるのと同時に、熱い液体が子宮の中に直接注ぎ込まれてきた。
「ひいいっ！い、イく…ぅぅっ！！」
　わたしは翔一の体をただ抱きしめ、その快感、そして精液を体全体で受け止めていく。
　背筋がゾクゾクした。なぜか目尻から涙が溢れた。こんな快感、耐えられるわけがなかった。
　それは翔一も同じだったのか、その射精はしばらく止まず、わたしの膣内を汚し続けていった…。

「…体は綺麗になったか？」
　シャワーを浴びてきたわたしに、翔一が言った。一つも嫌味や皮肉で言っているわけではないのがこの人の性格というものだろう。
「ええ。…よかったわ」
「シャワーがか？それとも、さっきのがか？」
「どっちもよ」
　そういうと、わたしは翔一の頬に唇を寄せた。
「…さて、そろそろ話を聞かないとね」
「そうだったな。どっちが先に話す？」
　恋人同士から仕事仲間へ、一瞬にして移った瞬間だった。お互いこうだからこそうまくやっていけているのを、わたしはよく理解している。
　数年前から付き合いがあるのに、結婚とか恋愛とかそんなふうに考えないのもそのせいなのだろう。
「…わたしから話すわね。わたしのほうは、例の事件の『目撃者』に話を聞いてきたわ」
「あの事件に目撃者がいたのか。よく見つかったものだな」
　翔一が素直に感心した。わたしはすぐに
「違うわ。タレコミよ。現場からちょっと離れた会社の社員で、仕事帰りに闇に紛れて逃げる人影と車を見た、という情報だったわ」
「ガセじゃないのか？」
　翔一の言いたい意味はよくわかる。所謂売名行為や愉快犯でウソ情報を教えてくる輩ももちろんいる。
「ウソを言うような人間じゃなかったわね。もっとも、目撃された人影が犯人かどうかは分からないけど…でも、とりあえず小柄な人間だったということだけど」
「…まさか、女が犯人ということもないだろう？」
「それはわたしも思うわ。手口が見事すぎるもの」
　わたしと翔一の意見は一致していた。よほどの手練でも、あんなふうに見事に一撃するのは難しいだろう。時代劇じゃあるまいし。
「…だけど、前にもまして、『殺しのプロ』がやった犯行に思えるわね。なんていうか、ヤクザとか暴力団とかとは違った意味で、もっともっと殺伐とした意味での『殺しのプロ』だけど…」
「そうか。…俺のほうは、もう少しさかのぼって調べてみた。ガキのころに妙な事件があったのを思い出してな」
「妙な事件？」
「今回の事件とはちょっと違うが、やはり闇に紛れて首を一突き、という見事な事件が何件かあったんだ」
「それは初耳ね」
　わたしは翔一の話に耳を傾ける。
「そのときも、当時の警察によって『殺人に慣れている者がやったのではないか』という意見が流れているな。もっとも、迷宮入りしているが。あとは、ちょっと前に起きた事件だな。『ＭＩＮＤ　ＢＲＥＡＫＥＲ』事件を覚えているか？」
　翔一に言われ、わたしはうなずいた。十年前くらいに起こった、『人間が次々と記憶を失った状態で発見される』事件のことだった。
「あの事件が何か関係あるの？」
「関係あるかどうかは分からないが、狙われた人間が『なんらかの要人』であることは似ているな」
「手口が違いすぎるのは？」
　記憶を失うのと人が死ぬのと…どちらも道理的には『死』だとしても、やはり手口の違いは否めない。わたしはその疑問を素直にぶつけた。
「…突飛な意見ではあるが…『そういう組織』の仕業じゃないか、と思っている」
　翔一の言葉は、わたしも考えていたものと同じだった。